将棋タイトル戦情報

第63期名人戦(2005年4/12〜6/24)

 

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挑戦者 王位 王座 王将 棋王 羽生善治

名人              森内俊之

第1局 4月12,13日 107手で先手羽生四冠の勝ち
第2局 4月25,26日 107手で先手森内名人の勝ち
第3局 5月12,13日 154手で後手森内名人の勝ち
第4局 5月23,24日  87手で先手森内名人の勝ち
第5局 6月  2,3日  69手で先手羽生四冠の勝ち
第6局 6月14,15日 128手で後手羽生四冠の勝ち
第7局 6月23,24日 109手で先手森内名人の勝ち

森内名人4勝3敗で防衛


第63期名人戦七番勝負第7局(6/23,24)

 挑戦者/名人  
四冠  羽生善治 3勝4敗
名人  森内俊之 4勝3敗

109手で先手森内名人の勝ち

森内名人が苦しいところから踏ん張って防衛に成功しました。
名人3期となり、4期の羽生四冠と5期(永世名人)に向けて
どちらが先に行き着くかとなって来ました。

振り駒が行われて先手が森内名人、羽生四冠は後手でした。そして将棋は矢倉にな
りました。A図は先手が7二歩と打ったところ。この歩打ちが活きる展開にできる
のかどうか、先手は駒損をしての攻めなので是が非でも成功させたいのですが・・
A図のあと先手は5二銀打ちから6三銀成りとしました。7二の歩が効いてますね。
後手も取られそうな桂を手順に跳ねて行って先手陣に迫って行きました。B図は先
手がその忙しい最中に3四歩と打ったところです。後手3四同金に先手2五桂とし
て拠点作りに成功しました。後手は7七桂成りから4五金でしたがあっさりと指し
た感じです。その桂を先手は3四に打って行き攻めを繋いで行きました。C図は最
後の決め手、先手が5三に角を打ったところです。後手の攻めは繋がらなかったで
すね。投了図まで先手が勝ちました。森内名人が防衛、名人3期目となりました。
タイトル戦前は羽生が好調だったので、名人復位出来るだろうと思っていました。
そして「十八世名人」誕生となるだろうと。それが最終局までもつれての森内勝ち
で、森内が「羽生十八世名人」に待ったをかけました。森内が先に「十八世名人」
になるかも知れませんね。「谷川」のあとは当然「羽生」だと思い込んでいたので
ちょっと驚きです。


第63期名人戦七番勝負第6局(6/14,15)

 挑戦者/名人  
四冠  羽生善治   3勝3敗
名人  森内俊之   3勝3敗

128手で後手羽生四冠の勝ち

羽生四冠が連勝で3勝3敗のタイにしました。
タイトルの行方は最終第7局
へ。

相矢倉のがっちりと囲った将棋になりました。先手森内名人が3八飛車から2五桂
と跳ねて攻撃態勢を取ります。後手羽生四冠は3三の銀を2四とかわして3五銀と
出て行く展開になりましたが、この後手銀はなんと1八まで入り込んでいくことに
なりました。後手は6二に居た角で先手の3五歩と突いて来た歩を取ったのですが
そのあと3五から引いたのが7一でした。8二に飛車が居てこの7一の角は一方に
しか効かない角ですがこういうものなのでしょうか。A図は後手が8六桂と打った
ところ。先手の2五の桂を後手が2四の歩で取ったあとに先手はすかさず空いた2
四に銀を打ち込んで後手玉にプレッシャーをかけます。後手も取った桂を8六に打
ち込んで、さあどうだというところ。A図のあと先手は貴重な持ち駒の金を7九に
使わなければいけなかったのが痛いですね。後手3八飛車、先手6八銀のあと後手
は4二の銀を3三に上がり先手の2四の銀を清算してしまい、後手の玉はすっきり
と広く、安全になりました。3三銀もこういうものなのでしょうか、発想がすごい
と感じてしまいます。
森内が3勝1敗とリードした時にはこのまますんなりと森内防衛で今回はあっさり
した名人戦かと思ったのですが、さすが羽生というところを見せて最終第7局まで
熱戦が続くことになりました。最後は大勝負になりますね。


第63期名人戦七番勝負第5局(6/2,3)

 挑戦者/名人  
四冠  羽生善治     2勝3敗
名人  森内俊之     3勝2敗

69手で先手羽生四冠の勝ち

割と短い手数で羽生四冠が2勝目を挙げました。
森内名人は余裕の負けなのでしょうか。

相横歩取りの将棋になりました。飛車角の交換と打ち合いがあり動きの激しい展開
になり、後手の右の桂は8五に跳ねて出たのに合わせて先手の左の銀は8六から7
九まで下がり凹まされた形になってしまいました。後手が指し易くしたように思わ
れたのですがA図の先手4四歩打ちが好手でした。A図の前に後手4四角打ちがあ
り、先手6七の歩を6六歩として、後手2八歩、先手同銀をはさんで、後手6六同
角で歩を取らせてからの6四歩が絶妙の手順でした。後手は9九角成りと香取りで
馬を作りましたが先手6三歩成りから6四歩で後手玉は中段に引っ張り出されてし
まいました。金銀4枚を下段に置いたまま中段に出された後手玉は先手の飛車角に
捕まってしまいました。後手は9九の馬を使って先手玉を追って見ますがもういけ
ません。9九の馬を守りに使えばもう少し手数が長く粘れたかもしれませんが粘っ
ただけということなので指せないでしょう。3連勝でタイトル防衛にあと1勝とし
ていた森内はあっさりと負けてしまった感じの将棋でした。リードしている者の余
裕だったのでしょうか。次局で決められるでしょうか。


第63期名人戦七番勝負第4局(5/23,24)

 挑戦者/名人  
四冠  羽生善治       1勝3敗
名人  森内俊之       3勝1敗

87手で先手森内名人の勝ち

森内名人が第2局から3連勝で防衛にあと一番としました。

後手番の羽生四冠は中飛車でした。先手森内名人は右の金銀を繰り出して行き後手
の飛車角を押さえ込もうという作戦です。A図は先手が2八の飛車で後手の歩を取
りながら2四に出た手に対して後手も5一の飛車を5四に出たところ。先手の押さ
え込み作戦は成功しているようです。ここまで後手の角は2二から3三、2二、4
四、6二と追われて移動させられている感んじです。でも後手も飛車を5四に出て
さばければ指せるというところですが、A図のあと先手は2二歩成り、後手5一角
に先手2七飛車と進み、後手2二銀、先手4四歩、後手同歩に先手4五金でB図と
なりました。後手は飛車が捉えられてしまいましたね。もうこの先は差が開くばか
りとなりました。先手森内が最初から力強く押し切ってしまったような印象です。
負けたからでしょうが後手羽生は良いところが見られなかったですね。特に後手の
角は2二から3三、2二、4四、6二、5一、6二、4四、3三、2四、そして投
了図の1五へと移動しています。自ら動いたというよりは動かされたほうが多いで
す。羽生の角が迷走した一局でした。


第63期名人戦七番勝負第3局(5/12,13)

 挑戦者/名人  
四冠  羽生善治         1勝2敗
名人  森内俊之         2勝1敗

154手で後手森内名人の勝ち

名人が一歩リードの2勝目です。

角換り腰掛銀の将棋になりました。両者先例のある将棋を追って進行し、先手羽生
四冠が1一に角を打ち込む将棋となりました。この角がどれだけ活躍出来るかが注
目の展開に。後手森内名人も3八角打ちから馬を作り、先手の飛車は6九へ。先手
は飛車を移動した6筋から手を作り6四で先手の飛車と後手の馬を換えることにな
りました。先手は後手玉に1一の角を取らせて指す作戦。角を取らせている間に後
手玉の横から攻める展開にして、さあ、先手が攻め切れるかどうか。後手は凌げる
かどうかという息もつけないような一手一手の応酬となりました。A図は先手が後
手玉を捉えようと4二の金を3二ににじり寄ったところ。この前に先手5六桂打ち
後手1二玉と共に自玉の詰みを消す手を指した後での3二金でした。図から後手は
3七飛車成りとしました。単に3二同飛として同と、同龍かなと思われたところで
すが3七飛車成りとして先手に4八金打と先手のただ一枚の持ち駒を使わせてから
3二龍、同と、同龍でした。先手はせっかく作ったと金を消されてしまい持ち駒は
飛車一枚で、これでは後手玉に届かないようです。後は後手のじっくりと押し出す
ような攻めに先手負けとなりました。これで名人が一歩リードの2勝1敗となりま
した。好局、熱戦が続いていてファンには嬉しいですね。タイトルの行方も戦前は
羽生有利かと思っていたのですがわからなくなりました。


第63期名人戦七番勝負第2局(4/25,26)

 挑戦者/名人  
四冠  羽生善治           1勝1敗
名人  森内俊之           1勝1敗

107手で先手森内名人の勝ち

後手番羽生四冠が角交換をして四間飛車に。先手森内名人は交換した角を早めに6
五に打って攻め気十分です。中盤の捻り合いは華々しくも難解な手の応酬でB図へ。
図は先手が3八の金を4八に寄ったところです。先手後手共に飛車角二枚で攻めて
いますが、先手玉は8八に入っているのが玉の位置としては有利だがその分後手は
成り銀も攻めに加わっていて全くどっちが良いのかわかりません。後手は先手の3
四の角の守りへの効きを止めて4五歩と打ち、先手玉に総攻撃という態勢ですがそ
こでの先手4八金で後手同成銀となっては、成り銀がそっぽに行ってしまった感じ
がします。先手6六香打ちが間に合い先手勝ちとなりました。
これで1勝1敗、面白くなってきました。将棋も面白い将棋が続いています。この
先も楽しみですね。


第63期名人戦七番勝負第1局(4/12,13)

 挑戦者/名人  
四冠  羽生善治             1勝0敗
名人  森内俊之             0勝1敗

107手で先手羽生四冠の勝ち

挑戦者の羽生四冠が五冠に向けて真直ぐら、まず1勝です。

先手の羽生四冠から角を交換しました。後手森内名人が2二同金としてから駒組へ。
4五でお互いの右の銀も交換したあと先手陣の左の銀が中央に出て行ったのが羽生
の不思議の始まり。7七の銀が5五に出て行ったのに4六に引いたのが局後に羽生
が「引くようでは調子がおかしい」と言っていた進行ですが、どういう構想で銀が
出て行き、どういう考えで引いたのか分かりませんが妖しい銀の動きでした。
A図は後手が3七の馬をで1九の香を取ったところ。先手の4六の銀にねらいを付
けて後手は6四角打ちとしてから3七に銀を打ち込み、3七で銀の交換があり角成
りがありました。後手3七角成りに先手は7七銀と打ちました。この局面だけを見
ると7七銀打ちは納得の一着ですがそれならば最初の銀出は何だったのかというこ
とです。予定変更があったとしても相当の手損での変更で、これでは先手が指し難
くなっても当たり前と思うのですが・・。この先手7七銀打ちと後手1九馬の交換
は先手の銀打ちのほうが手の価値が高かったようです。B図は先手が3七歩を打っ
たところです。後手は二枚の飛車で先手陣の横からと正面から迫ろうとしましが、
この歩打ちで後手の飛車馬が使いづらくなってしまいました。投了図を見ると後手
の馬が最後まで使えなかったのが分かりますね〜。4九銀打ち、3七歩と先手の受
けの手に頑強な手が出てますがこの将棋の印象はなんと言っても「妖しい銀の動き」
でした。


第63期名人戦挑戦者に羽生四冠(3/5)

A級順位戦の最終第九回戦が3月4日に行われて6勝2敗でトップだった羽生四冠
が最終局も勝ち7勝2敗で挑戦を決めました。同じく6勝2敗でトップを走ってい
た藤井九段は最終局に敗れて3敗となり残念ながら挑戦のチャンスを逃しました。
名人戦はまたもや羽生ー森内戦となります。第1局は4月12、13日です。


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