将棋タイトル戦情報

第61期名人戦(2003年4/17〜5/20)

 

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挑戦者 竜王 王座、王将 羽生善治

名人           森内俊之

第1局 4月17,18日  92手で後手羽生三冠の勝ち
第2局 4月24,25日 113手で先手羽生三冠の勝ち
第3局 5月  7,8日  70手で後手羽生三冠の勝ち
第4局 5月19,20日  71手で千日手、
        指し直し局は82手で後手羽生三冠の勝ち

羽生三冠4勝0敗(1千日手)で奪取、四冠に


第61期名人戦七番勝負第4局(5/19,20)

 挑戦者/名人  
三冠  羽生善治       4勝0敗
名人  森内俊之       0勝4敗

71手で千日手、
指し直し局は82手で後手羽生三冠の勝ち

 

・いかづちの落ちて敗退定まりぬ

千日手局

先手番の羽生三冠は四間飛車でした。A図は先手が7六の銀を8六銀に出た
ところ。先手は5八の金を6八に寄って、飛車に連絡をつけてから8五銀と
出て飛車筋を通して、さあ、どうだ、決戦だというところですね〜。ここで
後手森内名人は8二飛車と寄ります。このあたり一手一手密度の濃い手の応
酬で一手指したほうが良く見える局面です。後手は飛車切りで攻めて、先手
は銀を自陣に打って守ったりしての攻防がありB図。後手が6四の銀を7五
に出た手に対して先手が7四飛車と打ったところです。
このあと、▽6四銀、▲8四飛、▽7五銀、▲7四飛の繰り返しとなり、千
日手の成立まで行ってしまいました。後手は千日手も止む無しという感じで
すが、先手はこれで千日手なら他に手があったかなと思えるような気もしま
す。先手にしてみれば持ち駒にした銀を自陣に使っているし、うーむ、難し
いのかなあ。

指し直し局

先後を替えての指し直し局は後手羽生の8五飛車、先手森内は6八玉でした。
中段での細かいやり取りが難しいですね〜。A図、先手は5四銀と7四歩が
後手陣に迫って、後手は6五桂と7六歩が先手陣に迫ってます。このあと先
手は7九玉、後手は5六歩〜5七歩と攻めます。先手の5四銀は後手陣に迫
っているようで少〜し負担になっている面もあるようです。結局投了図の最
後の場面まで残ってしまいました。8八の銀も壁のまま残ってしまったし、
後手のペースで攻められてしまった気がします。
森内は1勝もできずに失冠となってしまいましたね。そんなに力に差がある
とは思えないのですが・・・。捲土重来、再び名人戦で森内らしいところを
発揮してもらいたいです。
羽生三冠はこれで四冠に。一時期、名人、竜王はなかなか獲れなかった時期
がありましたが、今は名人、竜王を含んでの四冠です。これから名人を何期
保持することになるのか、どんな挑戦者とどんなタイトル戦を戦うか楽しみ
です。


第61期名人戦七番勝負第3局(5/7,8)

 挑戦者/名人  
三冠  羽生善治         3勝0敗
名人  森内俊之         0勝3敗

70手で後手羽生三冠の勝ち

万緑に歩一枚のどこまでも

70手という短い手数で終りました。両者ともに1時間以上の時間を残しての
終局で終局時間も早かったです。後手番羽生三冠の四間飛車でした。先手森
内名人は急戦でA図は先手3二歩と打ったところ。これは封じ手前の指し手
で、羽生の封じ手は▽4四角でした。お互いに長考だったようですが、先手
の3二歩に▽同飛とか▽4一飛とか相手をする変化は先手有利なのでしょう
ねえ。▽4四角は森内は意外だったよう。▲同角、▽同飛、▲5五角から先
手は香を取って馬を作って、悪いはずは無いと思っても当たり前か。実際そ
のように進んで行くのですが、結果は3二歩が最後までそのまま残ってしま
い活かせるようにならなかった。羽生がそうさせないように指していったの
でしょうけれど。B図は後手の5六飛車に先手が5八の金を4七に上がった
ところ。後手はこのあと4六飛車から5七角として攻め続けて勝ちました。
ここで先手が4七金としたのは、ここを受けてしまえば勝てるという判断で
しょう。後手の持ち駒は角と歩だけですしね。後手の飛車切りを軽視したの
でしょうか。他に手がありそうな感じの場面がね〜。このあとの羽生の攻め
は鋭い攻めでした。先手は1一の馬で2一の桂馬を取ってもすぐには引いて
使えないのがつらい。3二の歩がじゃま駒になってます。
森内の3二歩が成功しなかった、羽生が3二歩を相手にしない指しまわしで
勝ったという一局でしょう。これで3連勝3連敗となってしまいました。さ
すがにこれから逆転は無理でしょう。前期丸山から4連勝で名人を獲った森
内が今度は4連敗での敗退の危機です。1勝も出来ずに負けるのは名人とし
て屈辱でしょう。森内らしい将棋を見せてほしいですね。


第61期名人戦七番勝負第2局(4/24,25)

 挑戦者/名人  
三冠  羽生善治           2勝0敗
名人  森内俊之           0勝2敗

113手で先手羽生三冠の勝ち

春宵の思いめぐらす将棋指し

角換わりの将棋になりました。A図は封じ手の局面。先手羽生三冠の1一角
打ちに後手森内名人が2二角と打ったところです。前例のある局面で両者と
もに経験、研究していると思われます。この後、先手の羽生が駒損の攻めを
敢行。2二で角交換して4一角打ちから角金交換、4三に銀を捨てて2三に
飛車を成りこみます。後手3三銀受けに先手が2五に金を打ってB図。この
金打ちが羽生用意の一手だったらしい。駒損の攻めで後手玉は広いし、先手
の攻めが切れるかどうかも心配なところで、後手玉から遠いところに金を打
つ手は指しにくいと思われるのですが・・。先手の攻めの間隙を縫って後手
も8六歩から先手陣に手を付け、反撃に機会を待つ態勢。先手3七の桂を足
掛かりに後手玉を追って行きC図の局面です。

C図で後手5二同玉でしたが、7一玉と逃げて先手4二龍と一手空いたとこ
ろで▽8六飛車と行くのが勝負手だったらしい。
5二で駒を清算して後手玉は裸だが相当広いし、先手の飛車角銀の持ち駒で
はつかまらないという判断だったのでしょうか。5二での清算のあとの先手
の7九歩の守りが頑強で後手の攻めは届きませんでした。
C図で▽7一玉、▲4二龍、▽8六飛車だとこの飛車を取っても取らなくて
も先手玉は詰むんですね。▲8六同歩には▽8七歩から詰みで、8六飛車を
取らなくても▽7九銀から詰みです。先手7九歩と受けても今度は▽6九銀
などで一手一手ですし、先手危うしという感じですが、C図から▽7一玉、
▲4二龍、▽8六飛のあと▲6一銀成、▽8一玉、▲7二銀、▽8二玉、▲
6三銀不成、▽9三玉、▲7四銀成りで後手の角を取ってしまうと先手玉に
詰みは無くなるらしい。そこで後手玉には▲8二角からの詰みがあるので、
うーん、難しいですが▽8三金くらいでまだ戦いが続いたかも知れませんね。
良い将棋、面白い将棋だったと思うのですが結果は名人が2連敗となってし
まいました。勝ち負けがはっきりと出る将棋の難しさで、面白いところでも
ありつらいところでもあります。


第61期名人戦七番勝負第1局(4/17,18)

 挑戦者/名人  
三冠  羽生善治             1勝0敗
名人  森内俊之             0勝1敗

92手で後手羽生三冠の勝ち

・半眼のみ仏御座す花の夜

後手番となった羽生三冠は8五飛車でした。この飛車を5五から5四へと移
動させて、さらに5五へと浮いたのがA図です。5四に飛車を構える将棋は
見かけることがあるのだけれど再度5五に浮くというのはめずらしいですね。
ここからの両者の長考での読み合いがすごかったです。▲3五歩、▽3六歩、
▲3四歩、▽3五角と続くのですが、もし自分の読みのほうが足りない所が
あったら一気にがたがたになってしまうところです。いろいろ変化もあるし、
先まで読まなければ指せないようなところでの決断の応酬はさすが名人戦と
いう感じです。先手森内名人が3六歩と歩を進めて、その空いたところに後
手が歩を打って、先手が3四歩と進めてその空いたところに角打ちですから
ね〜。これは森内も当然読みの内でしょうが、5七に後手の飛車か角を成り
こませて、さらに2六の飛車を後手に取らせても▲3三歩成りから後手玉に
迫って勝負ということだったのでしょうか。先手は▲3三歩成りで取った桂
と自陣の桂と二枚の桂を足場に攻めて行ったのですが後手に渡した桂を▽3
一桂と受けに使われて持ち駒を全てここに投入することになってしまいまし
た。7筋、8筋に一枚打って挟撃態勢と行きたかったところなのではなかっ
たでしょうか。後手玉に7二玉とされては先手の持ち駒も乏しく、後手玉は
安全になってしまいました。
しかし、長考の読み合いは、どこまでどんな手を読んでいるのか知りようも
ないのですが、一手一手読みと決断とがぶつかりあって火花が散っているみ
たいで将棋のすごさ、面白さを感じさせてくれる、名人戦らしい一局であり
ました。


第61期名人戦、挑戦者に羽生三冠(3/26)

プレーオフの第2局羽生ー佐藤戦がが行われ、羽生三冠が佐藤棋聖に勝ち挑
戦を決めました。羽生はプレーオフ第1局で藤井九段を破り、ここで佐藤に
勝ち久しぶりの名人戦登場となりました。他のタイトル戦では長期連覇も有
りで活躍している羽生もA級順位戦を勝ちぬくのは難しくなかなか挑戦とは
いかなかったのですが、ほんと久しぶりの名人戦挑戦となりました。
佐藤はA級順位戦の最終局を勝っていればすんなり挑戦だったのですが、負
けてプレーオフとなって、先の王将戦でも4連敗で羽生に王将を奪われて、
今回の負けと続いて、うーん、どうもいけませんね〜。
羽生はA級順位戦最終局で佐藤が負けるという幸運に恵まれましたが巡って
来たチャンスをしっかりと物にするあたり、さすがですね〜。
森内名人との第1局は4月17,18日です。


A級、9回戦(3/1)

最終局が行われて、単独トップだった佐藤棋聖が郷田九段に負け、すんなり
挑戦決定とはいきませんでしたねえ。6勝3敗で佐藤、羽生四冠、藤井九段
の3人が並んでプレーオフとなりました。
その佐藤を負かした郷田九段は4勝目をあげましたが、4勝五敗で並んだ5
人のうち順位の差で降級が決まりました。ううむ、無念でしょう。もう1人
の降級は2勝7敗の森下八段です。
その森下に勝って4勝目をあげた丸山九段はすれすれのところで降級を免れ
ました。あぶないところでした。前の名人で順位1でしたからね。なんとか
助かったというところか。あぶないリーグ戦でした。
5勝同士の対局で藤井に負けた谷川九段は残念でした。プレーオフに進めま
せんでした。谷川ファンとしてちょっとがっかりです。
3人のプレーオフは羽生ー藤井がまず対局、勝者が佐藤と対戦します。
ながいこと名人に挑戦できなかった羽生にチャンス到来ですね。佐藤が負け
たためですが、このチャンスを物にすることができるかどうか楽しみです。


A級、8回戦終了(2/5)

佐藤棋聖は勝って2敗をキープ。一人だけ2敗で最終9回戦に勝てばすんな
りと挑戦決定です。その最終局の相手は郷田九段です。郷田は負ければ降級
の可能性もありです。すごい将棋になりそう。

佐藤に続いているのは3敗の谷川王位、羽生三冠、藤井九段の3人です。挑
戦の可能性がるのは4人ですね。佐藤の結果しだいですが、勝たなければ挑
戦の目が無いのですから、こちらも濃い戦いになりそう。あるいは2〜3人
でプレーオフということもあるかも。そうなればなったで楽しみですね〜。

前期、名人戦で敗れて、今期順位1位の丸山九段が8回戦は勝ったのですが
ここまで3勝五敗と苦戦してます。他の対局の結果によりますが、最終局、
負ければ落ちる可能性もありです。厳しいですね〜。

最終局、9回戦は3月1日です。


A級順位戦、7回戦終了(1/12)

谷川、羽生二人とも負けてしまいましたね〜。佐藤、藤井の二人が5勝2敗
でトップです。4勝3敗が谷川、羽生と青野、三浦の4人。第8回戦では佐
藤、藤井の直接対決になってます。どちらかが負けるのでしょうが、どちら
かが2敗を守るということですから、勝ったほうが単独トップで最終戦とい
うことになりますねえ〜。どうなりますか。
しかし今回どうなるかわかりませんが、羽生もなかなか挑戦できませんね。
A級で勝つのはすごいのだということ、つくづく思います。


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