将棋タイトル戦情報

第54期王将戦(2004年1/11〜2/10)

 

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挑戦者 王位 王座 羽生善治   

王将 名人     森内俊之

第1局 1月11,12日 124手で後手羽生二冠の勝ち
第2局 1月18,19日  89手で先手羽生二冠の勝ち
第3局 1月27、28日  72手で後手羽生二冠の勝ち
第4局 2月 9,10日  85手で先手羽生二冠の勝ち

羽生二冠が4連勝で奪取、三冠に。
森内王将は1勝も出来ずに失冠、名人一冠に。


第54期王将戦七番勝負第4局(2/9,10)

 挑戦者/王将  
二冠  羽生善治       4勝0敗
王将  森内俊之       0勝4敗

85手で先手羽生二冠の勝ち

ここまで3連敗の後手番森内王将はまたしても飛車を振りました。飛車を振って3
局とも良い結果を出せなかったのにまた飛車を振って来たのは相当思うところがあ
るのでしょうか。先手羽生二冠も後手も穴熊となりA図へ。A図は後手が5八に歩
を打って先手陣を乱そうというところです。先手は交換した角を好位置に打ち据え
て好形を作り上げてもう指しやすいという局面です。後手はA図の歩打ちから先手
の飛車を動かして角を打ち馬を作りました。そして1九馬で香得としました。先手
の飛車が横に動いたので後手飛車は手数をかければ先手陣に入れる状況なのですが
その手数が間に合いませんでした。後手が馬を作っている間に先手は飛車を9九に
持って行き、後手玉の正面に戦力を集中。先手は右辺を明け渡して、香損なのです
が、9筋に一点集中攻撃を作り上げて、そのまま攻めかかりました。投了図まで後
手は先手の端攻めにギブアップとなりました。投了図から後手は8一の桂か8二の
銀が動けば玉の逃げ道が出来るのですが、先手に駒を取られながら攻めて来られて
もう駄目ということでしょう。
しかしなんでこんな4連勝4連敗という一方的な結果になるのか不思議です。そん
なに力に差があるわけではないでしょうに。少し前には反対に森内が4連勝という
こともあったのですから。波があるんですかね〜。
勢いに乗っているのは羽生のほうです。これで三冠。さらに今、棋王戦に挑戦中。
さらにさらに名人戦も挑戦にもう少しというところに来ています。五冠の可能性も
ありますね。


第54期王将戦七番勝負第3局(1/27,28)

 挑戦者/王将  
二冠  羽生善治         3勝0敗
王将  森内俊之         0勝3敗

72手で後手羽生二冠の勝ち

相振飛車の将棋になりました、先手森内王将は右の銀を2六から2五と出ました。
先手玉は居玉のまま金銀がばらばらで不安定なまま右の銀が出て行き、この銀の動
き、働きが焦点に。積極的に出て行ったと言えば言えるのですが、このまま取り残
されて負担になるかもしれない銀出でした。A図はその銀を3四に出たところ。2
五に出てから27手も経ってからの銀出です。一応銀の面目は立ったような手でした
が、もうここでは先手の指し手が苦しそうです。このあと後手羽生二冠は5五銀と
ぶつけて出ます。角の取り合いになって先手陣は陣形が悪いというか無いような形
で後手に角を有効に打たれて、ほどなく先手投了となりました。
出だし2連勝2連敗でしたがここで森内が勝てば1勝2敗。差はひとつですからま
だまだこれからの勝負というところに持ち込めたのですが3連勝3連敗となっては
もうこのシリーズの行方の興味は薄れてしまいました。
ひところ羽生から次々とタイトルを取って行った森内ですが、どうしたんでしょう
ね。もう立場、勢いが逆転してしまった感じですね。


第54期王将戦七番勝負第2局(1/18,19)

 挑戦者/王将  
二冠  羽生善治           2勝0敗
王将  森内俊之           0勝2敗

89手で先手羽生二冠の勝ち

後手番の森内王将は三間飛車でした。対して先手の羽生二冠は穴熊です。先手は右
の金が4一のままで仕掛けていきました。左の金は7八金ですが不安定な穴熊です
ね。後手も美濃にも囲っていないまま戦いになりました。A図は後手の3七歩成り
に先手が3五歩と打ったところです。先手の右の銀が中央に出て5四歩と共に後手
陣を圧迫していますね〜。後手もと金を作って、さあこれから一手一手が面白いと
いうところです。この後、後手4七とに先手6八角、そこで後手3二飛車と引きま
した。その後先手7五歩から攻めて行き投了図まで流れるような攻めが続きました。
後手3二飛車引きでは3一飛車もあったらしい。飛車を4筋に寄った時に4二なら
ば5一の角の効きが止まり先手に2四飛車と出られるが生じるが4一飛車ならばそ
んなことは無いということらしいが、うーん、どうなんでしょう。難しいですね。
先手が積極的に攻めて出て行った将棋でしたが、間違えば動き過ぎ、指す過ぎとも
なりかねないところでした。上手く攻めを繋いだ羽生が連勝で、早くも三冠、ある
いは四冠もぼんやりと見えてくるかという快勝の一局でしょう。


第54期王将戦七番勝負第1局(1/11,12)

 挑戦者/王将  
二冠  羽生善治             1勝0敗
王将  森内俊之             0勝1敗

124手で後手羽生二冠の勝ち

最強の挑戦者羽生二冠を迎えて森内王将が二冠を守ることが出来るかどうか、竜王
を失い三冠から二冠になったばかりで羽生と同じ二冠を守ることが出来るかどうか
も注目です。相振飛車の将棋になりました。後手羽生が1筋から先攻、成り駒二枚
作りましたが飛車角を使っての攻めにはちょっと時間がかかる展開になりました。
先手森内が7筋から後手陣を反撃して、模様は先手指しやすい流れだったようです。
そこで羽生の受けの好手がでました。A図は先手の7六飛車に後手が5一桂と打った
ところです。先手7六飛車は後手の7六の桂を飛車で取って先手が決めに出た手で
す。そこで後手が取れる飛車を取らずに5一に桂を打ったのが妙手でした。後手7
六歩と飛車を取れば、飛車を取ったために空いた7五に先手から桂を打たれてしま
い、先手の飛車切りの攻めが成功となるようです。後手5一桂打ちから先手の4三
の銀をはずす展開になると後手玉は安心、ゆっくり2八成香から飛車成りの攻めが
間に合うということでしょう。A図から先手は3二銀成りでした。後手玉に挟撃態
勢で迫っていた銀がいったん脇に逸れたのは大きかったですね。A図のあと、見ご
たえ十分の攻防の応酬がありましたが結果は挑戦者の羽生が先に1勝をあげました。
7一香や5一桂と、受けの手に羽生が印象に残る好手を出した一局でした。

 


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