将棋タイトル戦情報
第53期王将戦(2004年1/14〜3/16)
挑戦者 竜王 森内俊之
王将、名人、王座 羽生善治
第1局 1月14,15日
65手で先手森内竜王の勝ち
第2局 1月29,30日 90手で千日手、指し直し局は92手で後手羽生王将の勝ち
第3局 2月18,19日 138手で後手森内竜王の勝ち
第4局 2月25,26日 93手で先手森内竜王の勝ち
第5局 3月 8,9日 119手で先手羽生王将の勝ち
第6局 3月15、16日 109手で先手森内竜王の勝ち
森内竜王、4勝2敗で奪取
森内、羽生、両者二冠に
挑戦者/王将 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | ||
竜王 森内俊之 | ○ | ● | ○ | ○ | ● | ○ | 4勝2敗 | ||
王将 羽生善治 | ● | ○ | ● | ● | ○ | ● | 2勝4敗 |
109手で先手森内竜王の勝ち
角換り腰掛銀の将棋になりました。先手番の森内竜王は2筋4筋に歩を巧みに
使って少しずつ有利にして行きます。A図は先手が6六の角を8四に出たとこ
ろ。後手羽生王将の5四桂打ちの角取りにたいして8四に捨てに出たところで
す。後手は陣形を崩されて駒損もしていますがこの角取りの桂打ちから先手玉
頭への反撃を見越しての駒損だったのでしょう。先手8四角が「羽生マジック」
のような手でした。後手はこれを取れずに▽3二銀と自陣に手を入れなければ
ならず、苦しくしてしまいました。先手は5一銀から絡んでいって投了図まで
押し切りました。森内王将の誕生です。これで森内は竜王、王将の二冠。羽生
は名人、王座の二冠となりタイトルの数では二冠で並びました。
挑戦者/王将 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | ||
竜王 森内俊之 | ○ | ● | ○ | ○ | ● | 3勝2敗 | |||
王将 羽生善治 | ● | ○ | ● | ● | ○ | 2勝3敗 |
119手で先手羽生王将の勝ち
前局に続いて相矢倉になりました。後手番の森内竜王が中央から積極的に攻め
て出ます。飛車を5二にまわして、5五での角銀交換から先手羽生王将陣を中
央突破、粉砕してしまおうという攻撃です。先手も機を見て反撃し攻め合いに
なりました。A図は後手が9六桂と歩頭に打ったところ。後手玉はもう助から
ない形です。あとは先手玉が詰んでいるのかどうかです。プロは分かっていて
指しているのか知りませんが私のような下手アマは、どうなっているのか、は
らはらどきどきするところ。面白いところでもあります。結果は投了図まで先
手玉はわずかに残していました。2勝目を挙げて羽生が防衛に期待をつないだ
一局でした。
挑戦者/王将 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | ||
竜王 森内俊之 | ○ | ● | ○ | ○ | 3勝1敗 | ||||
王将 羽生善治 | ● | ○ | ● | ● | 1勝3敗 |
93手で先手森内竜王の勝ち
相矢倉の将棋になり、お互いに棒銀で攻めます。A図は8六で銀交換があり、
後手が4二の角で8六の銀を取ったところ。先手の銀はまだ2六のままで取り
残されそう。A図から先手は4一銀でした。▽4二金寄り、▲5二銀不成、▽
同金としてから▲9三として飛車を手に入れて▲3二飛差車打ちと流れるよう
な手順ですね。結局A図の先手の8六角はそのままでした。この一瞬を捉えて
の攻めが見事ですね。投了図では先手は持ち駒無しで右銀も2六のままなのだ
けれど勝つ時はこういうものか。森内竜王はのびのび指している感じです。
挑戦者/王将 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | ||
竜王 森内俊之 | ○ | ● | ○ | 2勝1敗 | |||||
王将 羽生善治 | ● | ○ | ● | 1勝2敗 |
138手で後手森内竜王の勝ち
後手森内竜王の四間飛車に先手羽生王将は穴熊でした。A図は後手が4一に居
た飛車を6一に持ってきたところ。先手も後手も飛車角がくっついていたので
すが後手のほうが急に呼吸が楽になったという感じです。先手7五金から7五
で金交換、角交換となり後手7三の桂が6五に跳ねて後手が指しやすくなった
ようです。面白い攻防が続きましたが最後は投了図の▽8八金打ちで先手投了
でした。歩の頭に金を打つような手が出てきれいに決まりましたね。この後は
▲同金、▽8六桂、▲9九玉、▽9八銀、▲同金と先手の金をずらして▽8九
馬から並べ詰みです。
挑戦者/王将 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | ||
竜王 森内俊之 | ○ | ● | 1勝1敗 | ||||||
王将 羽生善治 | ● | ○ | 1勝1敗 |
90手で千日手、指し直し局は92手で後手羽生王将の勝ち
後手番森内竜王の中飛車に先手羽生王将は9八玉の珍しい囲いでした。千日手局
の図は先手が5三銀と打ち込んだところ。このあとは▽5三同歩、▲同歩成りに
▽4一金と引いて、▲4三と、▽4二銀、▲同と、▽同金となって▲5四歩に、
▽5二歩と歩を打ち合い先手が5三銀とまた打ち込んでの繰り返しで90手まで、
千日手となりました。先後が替わっての指し直し局は先手森内の横歩取りに後手
羽生は8五飛車でした。お互いに馬を作って、指し直し局の図から後手は3七飛
車成りの強攻でした。3七で駒の交換があり、先手の3九香の攻防の手にも後手
は2七馬から6九銀と厳しい攻めの手を繰り出して、攻めをつないで勝ち切りま
した。図では先手が9一の馬を9二から中央の良い位置に引いて、守りにも相当
効いている感じだったのですが、後手の踏み込みの良い攻めが決まりましたね。
挑戦者/王将 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | ||
竜王 森内俊之 | ○ | 1勝0敗 | |||||||
王将 羽生善治 | ● | 0勝1敗 |
65手で先手森内竜王の勝ち
・王将の銀捕らへられ松過ぎぬ
羽生王将は三冠ですが挑戦者の森内竜王は竜王に続いて王将、名人と羽生から奪い
そうな勢いです。先手の森内が後手羽生の銀を取りに行ってそのまま後手投了とい
うなんとも変な将棋になりました。A図は先手が▲5四歩と打ったところ。後手が
先手の7五の歩を角で取りその角を4二に引いたところで先手5四歩打ちでした。
後手の4四の銀が1五まで追われてからただで取られることになるのですが、A図
から▽6四歩、▲4五歩の銀の取り合いは先手有利の分かれでしょうがまだ傷は小
さく済んだようです。あるいは後手2二銀なら銀は助かりますが4四の銀も3三に
引くようになるのでは指す気がしないですかね〜。先手陣もばらばらでしたが8八
の銀を▲7七銀と良形にしたところで後手投了でした。大差なのでしょうね。
羽生は単純なうっかり、見落としだったのならこのあと影響が残るということは無
いと思いますがどうなのでしょうかね。自分では気力充実で臨んだつもりでも力が
出ないということがあるのかも、と感じさせられる一局でした。
第53期王将戦挑戦者に森内竜王(12/29)
第53期王将戦の挑戦者決定戦が12月29日に行われ、森内竜王が久保八段を下し挑戦
を決めました。リーグ戦は森内、久保と谷川王位の3人が4勝2敗で終えたのです
が王将戦は順位が上位2名の挑戦者決定戦となるのですね。順位が下位の谷川は残
念でした。決定戦は171手の熱い戦いでしたが最後は森内が勝ちました。森内はこの
ところの強さ、好調さを発揮して竜王戦に続いてのタイトル戦登場です。順位戦で
も首位を走っていて名人戦にも登場しそうですし昨期の名人戦での4連敗がうその
ような活躍ぶりです。むかえうつ羽生王将がどんな将棋を指すかも楽しみですね。
第1局は1月14,15日です。