将棋タイトル戦情報(かつおの尾)

第51期王将戦(2002年1/16〜3/12)

 

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挑戦者 九段 佐藤康光

王将     羽生善治

第1局 1月16、17日 118手で後手佐藤九段の勝ち
第2局 1月25、26日  91手で先手佐藤九段の勝ち
第3局 2月12,13日  85手で先手羽生王将の勝ち
第4局 2月20,21日 151手で先手佐藤九段の勝ち
第5局 3月  4,5日 127手で先手羽生王将の勝ち
第6局 3月11,12日 125手で先手佐藤九段の勝ち

佐藤九段4勝2敗で奪取


第51期王将戦7番勝負第6局(3/11,12)

 挑戦者/王将  
九段  佐藤康光   4勝2敗
王将  羽生善治   2勝4敗

125手で先手佐藤九段の勝ち

挑戦者佐藤九段が勝ち、タイトル奪取、佐藤王将の誕生です。
羽生五冠は四冠に。
佐藤九段は出だしの連勝が大きかったですね。
ここで決めたかった佐藤九段、きっちり決めるのがすごい。
おめでとうございます。

・東風吹くや入れ替わりいく王将位

       A図                 投了図

後手番の羽生王将が四間に飛車を振り、先手佐藤九段は穴熊に組みました。
先手は角を8六に出て、後手の6四歩突きを牽制。しかし、後手は6四歩を突いて
先手に同角と取らせます。この先手の角がどうなるか焦点でしたが、先手は角を右
辺に転換、右辺での攻防で角交換となります。後手は交換した角を打ち、馬を作り
先手は飛車成りに成功、後手羽生も先手の穴熊の上部から攻めます。A図は先手が
角を3七に打ったところ。この前に6四の歩を6三歩成りと成り捨ててからのこの
角打ちが攻防の名角でした。いやあー素晴らしい。この忙しい局面で自陣角ですよ
ね〜。なかなか自陣に打ちにくいと思うのですがこの角打ちで後手は身動きが出来
なくなりました。▽8一玉と角筋を外すのに一手かけることになります。▲5七歩
▽4七馬と進み、馬がこちらに来ては先手玉へのプレッシャーがほとんどなくなり
ました。十数手進んで先手は5五銀と出て決めに出ます。後手3七馬と角を取りま
すが投了まで、その馬がそのまま3七に残ってしまいました。
佐藤九段の好手が目立ちました。先の3七角、5五銀もそうですが、守っても後手
の穴熊を崩そうという攻めにじっと7八金直ぐと金を上がった手が印象深いです。
棋王戦、王将戦と続いた二人のタイトル戦は面白かったです。いっぱい楽しませて
もらいました。佐藤新王将はおめでとうございます。
羽生五冠は四冠になりましたが、それでも四冠ですからね〜。
羽生のコメントに「また七番勝負に出られるよう気持ちを切り替えます。」とあり
ました。良いですね〜、さわやかで。
戦い済んで日が暮れて、さわやかさが残りました。


第51期王将戦7番勝負第5局(3/4,5)

 挑戦者/王将  
九段  佐藤康光     3勝2敗
王将  羽生善治     2勝3敗

127手で先手羽生王将の勝ち

羽生王将が角番を踏みとどまりました。
しかし、なんというか、ユニークな将棋でした。
長い中盤は陣取り合戦みたいでありました。

第6局は3月11,12日です。

・春泥や押しつ押されつせめぎ合い

       A図                 投了図

羽生王将の1勝3敗で向かえた第5局、ひょっとしてこれでタイトルの交代がある
かもしれないという大きな一局に、すごいですね〜、両者、がっちり固めてから戦
うという気はなかったようです。特に後手番佐藤九段の金銀はバラバラ、A図では
二枚の金は2三と8三、玉は3二から6三に移動させるし、1段目と2段目の駒は
飛車と2枚の香だけという異様さです。お互いに駒を中段に持ってきて敵を押さえ
込もう、圧迫しようというのでしょうか。この中段でのせめぎ合いは見応えありま
した。しかし、A図での佐藤の5五桂打ちが疑問だったらしい。先手の6六歩に▽
5五桂と打ったのですが、▲同歩、▽同銀に▲6七桂と進み、後手5五銀と出て攻
めて出ようというところにこの6七桂が巧い返し技となりました。
私なんぞはいつも勝手読みをしてあとでひどいことになりますが、この佐藤の5五
桂からの攻めの読みにも少し勝手読みが入っていたのかも知れませんね。歩頭に桂
を打つという決まれば格好良い手でしたが、格好良さに惚れたでしょうか。
羽生にとってはあとがないカド番でしたが、佐藤にとってはまだ余裕がある一番で
すから、後への影響はないでしょう。


第51期王将戦7番勝負第4局(2/20,21)

 挑戦者/王将  
九段  佐藤康光       3勝1敗
王将  羽生善治       1勝3敗

151手で先手佐藤九段の勝ち

激しい将棋でした。佐藤九段は3勝目を挙げてタイトル奪取におおきく近づきまし
た。ここでタイに持ち込まれていたら、追いつかれたというよりは追い越されたと
いう感じですからね〜。大きい1勝です。

第5局は3月4,5日です。

・勝ち負けの分かれてふたり春浅し

        A図                 B図

横歩取りで始まった将棋は後手羽生王将の強烈な8七角打ちで激しい攻防の将棋に
突入しました。A図が▽8七歩打ち、▲同銀、▽8六歩打ち、▲9六銀から▽8七
角と打ち込んだところ。すごいですね〜、激しいですね〜。▲8八金、▽9六角成
りと進むのですが、これで決まっているのならば良いのでしょうが、そう単純では
ないようです。A図から14手後、48手までは2週間前に行われたA級順位戦の
佐藤ー谷川戦と同じというのですから驚きです。トッププロでも結論が出ていない
変化なのでしょうね。B図は後手の8六歩打ちに先手▲6六歩としたところ。長手
数の将棋になったのですが、局後の羽生のコメントではこのB図の▲6六歩から後
は良くなかったとあります。B図の前、先手の2六飛車〜2三桂〜1一桂成りの攻
めは後手2四歩打ちで堅く受けたい気もします。が、ここで持ち駒の一歩を使わず
に▽8六歩に期待していたのでしょう。その羽生の期待、読みを狂わせたのが▲6
六歩だったということでしょう。

       C図                 投了図

B図のあと長い戦いになりました。先手は1筋、2筋から敵陣に食い込み、後手は
6八と2五金と先手玉に迫ります。C図で先手1三の角を▲3五角成りと後手の金
が効いているところに成ったのが最後の決め手か。先手は後手陣に龍を作り、1三
に打った角が遊ぼうかというところを、後手の要の金と巧く交換しました。C図の
あと▽3五同金、▲5三銀、▽7二玉、▲3五龍と進み、激しかった将棋も終局と
なりました。挑戦者佐藤九段にとってはこの1勝は大きい。タイトル奪取が見えて
きました。


第51期王将戦7番勝負第3局(2/12,13)

 挑戦者/王将  
九段  佐藤康光         2勝1敗
王将  羽生善治         1勝2敗

85手で先手羽生王将の勝ち

佐藤九段の中飛車は作戦だったようです。攻め合いの将棋を羽生王将が勝って、
1勝2敗としました。3連敗はなんとしても免れたかった羽生王将はほっと一息と
いうところでしょうか。これでこの先も面白くなってきました。

第4局は2月20,21日です。

・一勝にほつと一息春の空

       A図                  B図

後手番佐藤九段は中飛車の趣向でした。A図の飛車は8二から5二〜2二〜2一〜
4一〜4五と移動してます。仕掛けたのはまたしても佐藤九段でした。▽4五歩、
▲同歩、▽同飛車と動きますが、A図での先手羽生王将の2一角打ちが厳しい角打
ちでした。後手▽4一角と受けたのですが、すごい辛抱ですね〜。予定外という感
じです。先手の7筋の位についての両者のコメントが面白いです。羽生は「欲張り
すぎかも」、佐藤は「うまい指し方」と、う〜ん、どうなんでしょう。難しいです
ね〜。その7筋の位を生かしたのがB図の▲7四歩です。先手の3一の龍は1一に
居た龍で、後手▽3一香打から▲同龍と引きつけておいて▽4二銀打と龍馬両取り
の勝負手です。先手がその両取りにかまわず▲7四歩と突いたのがB図。
▽3一銀、▲7三歩成、▽同玉、▲3四馬と進みます。先手の7四歩が決まった感
じです。後手もA図のあと4一に打った辛抱の受けの角が1四〜4七角成りと上手
く生かすことが出来たのですがねえ。
羽生に切れ味が戻ってきたという印象の将棋でした。良い将棋、見て面白い将棋で
した。タイトルの行方もこれからという感じになってきたことですし、次も面白い
将棋を期待します。

       投了図


第51期王将戦7番勝負第2局(1/25,26)

 挑戦者/王将  
九段  佐藤康光           2勝0敗
王将  羽生善治           0勝2敗

91手で先手佐藤九段の勝ち

佐藤九段、連勝です。
羽生王将は早い投了でしたね〜。
終了の局面からもまだまだ指せそうな感じですが、内容は大差ということなので
しょうか。う〜ん、難しい。
これで佐藤九段はタイトル奪取に大きく近づきました。

第3局は2月12,13日です。

・早すぎる投了なりき山眠る

       A図                  投了図

相掛かり模様の出だしから先手は2七銀と出て、この銀がどうなるか、働くか、遊
ぶか焦点となりました。先手佐藤九段は左の銀も6六銀と出て積極的ですね〜。
A図は後手羽生王将が4五桂から▽3七歩、▲同桂としたところ。ここから5七桂
と成り捨てて▽3六角と銀を取ります。そこで▲2五桂と跳ねたのが上手い返し技
でした。後手4五桂跳ねからの攻めは案外効果が出なかったようです。
しかし投了図、先手2三に居た馬を5六馬と引いたところですが、ここで羽生投了
にはびっくりです。そんなに投了するほど差が開いているのでしょうか、わかりま
せんね〜。駒割りは金銀の交換と先手香得。それぞれ馬を作って、これから一山も
ふた山もありそうな局面に思えるのですが・・・ 見た目以上に差があるのでしょ
うね。私にはわかりません。


第51期王将戦7番勝負第1局(1/16,17)

 挑戦者/王将  
九段  佐藤康光             1勝0敗
王将  羽生善治             0勝1敗

118手で後手佐藤九段の勝ち

先手番羽生王将の穴熊を後手番の佐藤九段が9筋の端から攻め切りました。
後手番での1勝は挑戦者として幸先良いですね〜。

第2局は1月25、26日です。

・穴熊の逃げどころ無し小正月

       A図                  投了図

佐藤ー羽生の王将戦、棋王戦のダブルタイトル戦の幕開けの1戦です。先手番の羽生
王将は穴熊、後手番の佐藤九段は3間飛車でした。A図は先手3七の角を4六角と上
がったところ。後手佐藤は3筋の飛車を9二飛車として先手陣を上から総攻撃をかけ
ようという態勢です。このあと▽6四角から角交換となり後手は6九角打ちから馬を
作り、先手は▲3三歩成りから4三と、3一飛車成りとして龍を作り攻め合いです。
私にはどうもA図の4六角がわからないです。敵陣への睨みは3七でも4六でも変わ
らないし、飛車を引いて使おうというのでもないでしょうし、まさか3七桂から4五
桂と歩頭に跳ねようというのでしょうか。効果はありそうですがいかにも遅い感じで
す。角を交換したあとの後手▽6九角打ちに先手▲7九歩と受けます。この7九歩と
7八金が穴熊玉が右辺に逃げる道を塞いでしまったのですから、負ける時はこういう
ものなのでしょうか。後手の端からの殺到に先手玉は上部に誘い出されて即詰みとな
りました。後手は少し持ち駒不足かと思われたのですがきれいに収束させました。
挑戦者がまず先に1勝を挙げてこれからが面白くなりました。


第51期王将戦挑戦者に佐藤康光九段(12/14)

王将戦のリーグ戦最終戦が12月14日に行われ、佐藤九段が6戦全勝で挑戦を決
めました。佐藤九段は名人を失って以来のタイトル戦登場です。久しぶりですね。
羽生王将との七番勝負が楽しみです。

第1局は1月16,17日です。


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