将棋タイトル戦情報
第45期王位戦(2004年7/16〜9/8)
挑戦者 王座 羽生善治
王位 棋王 谷川浩司
第1局 7月16,17日 106手で後手谷川王位の勝ち
第2局 7月27,28日 84手で後手羽生王座の勝ち
第3局 8月 4,5日 87手で先手羽生王座の勝ち
第4局 8月25,26日 102手で後手羽生王座の勝ち
第5局 9月 7,8日 87手で先手羽生王座の勝ち
羽生王座4勝1敗で奪取、ニ冠に
挑戦者/王位 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | ||
王座 羽生善治 | ● | ○ | ○ | ○ | ○ | 4勝1敗 | |||
王位 谷川浩司 | ○ | ● | ● | ● | ● | 1勝4敗 |
87手で先手羽生王座の勝ち
角換わりから華々しい空中戦になりました。角を中段に打ち合いまた取り合っ
て再度打ち合ってA図です。先手羽生王座の4六角打ちに後手谷川王位が3六
角と打ち返したところです。ここから先手は6五飛車、7五飛車としてその間
後手は4七角成り、4六馬としてこの場面は角と銀二枚の交換になりました。
先手はその銀二枚を受けに投入、自陣に打って後手の攻めを遅らせている間に
5五角打ちから1一角成りとして後手3三桂に取った香を直ぐに3六香打ちか
ら3二香成りと、この辺は流れるような手の連続で素晴らしい。
羽生は初戦1敗のあと4連勝でタイトルを奪取、これで王位、王座の二冠とな
りました。反対に敗れた谷川は棋王の一冠となりました。第4局を勝てなかっ
たのが痛かったですね。
挑戦者/王位 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | ||
王座 羽生善治 | ● | ○ | ○ | ○ | 3勝1敗 | ||||
王位 谷川浩司 | ○ | ● | ● | ● | 1勝3敗 |
102手で後手羽生王座の勝ち
後手番の羽生王座が飛車を振りました。四間飛車です。先手谷川王位は右銀と
桂の交換から飛車の成り込みに成功。1一竜と香を手にしてから4一竜と寄り
ます。そして難しい局面に突入。A図は先手が4五の歩を4四歩と突き出した
手に後手が同銀としたところ。ここから4六で飛車角交換があり、後手の銀と
桂が浮き駒になります。先手は4四竜として銀を取ることができるのですが、
竜は後手玉を睨んでいるところに置いておきたいところ。先手5六香と桂を取
りました。すかさず後手は4三銀打ちと銀を打って守りました。すごいですね。
先手このあとも攻めましたが受け切られてしまいました。羽生の攻守のバラン
スの良さが印象的でした。まあでも相対的なもので、先手の攻めが成功してい
れば後手の動きはもったりして見えるんでしょうね。面白い将棋でしたが結果
は羽生勝ちで羽生は初戦負けのあと3連勝でタイトル獲得まであと1勝としま
した。
挑戦者/王位 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | ||
王座 羽生善治 | ● | ○ | ○ | 2勝1敗 | |||||
王位 谷川浩司 | ○ | ● | ● | 1勝2敗 |
87手で先手羽生王座の勝ち
1勝1敗のタイとなっての第3局、後手番の谷川王位は第2局に続いて中飛車
でした。第2局は先手中飛車で負けでしたが・・。後手飛車は5四から中段に
構えます。飛車角銀の交換があり先手は5三に馬を作り、後手が飛車を2八に
打ったのがA図です。後手は先手に馬を作られましたがこの飛車打ちに期待し
たのでしょう。先手は図から▲6二銀、▽同金、▲同馬、▽7一銀、▲同馬と
してから3九金と打ち付けました。後手の2八の飛車には仕事をさせないぞと
いう金打ちです。先手は角も打って後手飛車を攻める展開に持って行き後手飛
車を捕らえてしまいました。谷川王位は負け方の悪い将棋が続いています。
挑戦者/王位 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | ||
王座 羽生善治 | ● | ○ | 1勝1敗 | ||||||
王位 谷川浩司 | ○ | ● | 1勝1敗 |
84手で後手羽生王座の勝ち
谷川王位は先手中飛車の趣向でした。しかし構想に穴があったか。後手羽生王
座陣の右の銀があっという間に谷川陣に攻め入って来たのがA図です。6三か
ら7四、8五と出て、7六まで、本当にこんな攻めが成り立つのかと疑わせる
ような銀出ですがこれが勝負を決めてしまったのだから恐ろしい。この銀はこ
のあと、8七不成りから7六銀成りとして大いばりです。ここから後手が差を
広げていってそのまま勝ちました。谷川王位は不出来の一局でしょう。
挑戦者/王位 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | ||
王座 羽生善治 | ● | 0勝1敗 | |||||||
王位 谷川浩司 | ○ | 1勝0敗 |
106手で後手谷川王位の勝ち
谷川王位が端からの攻めを鮮やかに決めて、まず1勝を挙げました。
先手羽生王座の石田流からの戦いも新鮮味があって面白かったですね。
先手となった挑戦者羽生王座は石田流三間飛車の趣向、後手谷川王位は4一と
4ニに金を二枚縦に置く構えです。9筋から手を作っていったのが羽生でした。
香を交換して、先手は2六香として後手の2四の銀を狙い、後手は7一に香を
打って7六歩と先手の桂頭と狙います。後手の香打ちで先手は急がされている
感じです。A図は先手が9一で馬を作り、2四香で銀を取ってから5三の地点
に打ち込んで行ったところです。先手は飛車馬との繋がりの無い攻めであまり
後手陣に響いていないですね。後手1五歩から後手の端の攻めが鮮やかに決ま
りした。投了図に表れているとおりに後手は6四歩から先手の攻めの駒を清算
してしまい、▲9ニ龍にはがっちり7ニ銀と受けておいて、端の攻めを間に合
わせました。谷川快勝でしょう。王位防衛に向けて好発進の第1局となりまし
た。
第45期王位戦挑戦者に羽生王座(6/25)
第45期王位戦の挑戦者決定戦が山崎五段と羽生王座とで行われ、羽生王座が勝
ち挑戦を決めました。羽生王座はここのところ森内名人相手に苦戦しています
が他の棋士には相変わらず強いですね。王位戦も若手注目の山崎を退けて挑戦
者として出て来ました。羽生ー谷川のタイトル戦は楽しみですね〜。
王位戦での羽生ー谷川戦は3年連続になります。昨年、一昨年と谷川が4−1
で連勝しています。その前は羽生が王位戦9連覇していました。その9連覇の
間、谷川は2度挑戦して敗退しています。今回も熱い戦いを期待します。