将棋タイトル戦情報(かつおの尾)

第43期王位戦(2002年7/12〜8/29)

 

表紙に戻る」「将棋トップページ」「終了棋戦


挑戦者 九段 谷川浩司

王位  四冠 羽生善治

第1局 7月12,13日  68手で後手谷川九段の勝ち
第2局 7月23,24日 111手で先手谷川九段の勝ち
第3局 8月  6,7日 124手で後手谷川九段の勝ち
第4局 8月19,20日 114手で後手羽生王位の勝ち
第5局 8月28、29日  55手まで千日手成立
       指し直し局は135手で先手谷川九段の勝ち

谷川九段、4勝1敗で奪取
羽生は三冠に


 

第43期王位戦7番勝負第5局(8/28,29)

 挑戦者/王位  
九段  谷川浩司     4勝1敗
王位  羽生善治     1勝4敗

55手まで千日手成立
指し直し局は135で先手谷川九段の勝ち

相穴熊から玉頭の激しい攻防を谷川九段が制し4勝目、王位復帰を決めました。
久しぶりのタイトルですね〜。
一方、羽生四冠は三冠に。七つのタイトルを4人で分け持つことになりました。

・秋高し千日手をも辞さず行く

二日目の午前中に千日手となり、指し直し局は両者穴熊の戦いになりました。A図
は先後ともがっちりと穴熊の堅陣にしてこれから戦いというところですが、先手は
後手の2五の桂に一歩取られていて歩切れ、銀は二枚とも玉側だし、先手からはど
うも手が無いと思われるような局面です。でもここからすごいですね〜。8六歩〜
8七銀〜8八銀〜9六歩と端から攻めて行きました。9筋に先手が香を三枚並べる
という場面もあり、先手が銀桂香の攻めで後手玉に殺到、迫力ありましたね〜。 
後手は早めに先手陣に飛車を成り込んで使いたかったのでしょうが遅れてしまいま
した。遅らされたということでしょうか。
谷川九段は久しぶりのタイトルですね。まずは目出度い。もっと活躍してもらわな
いといけません。

こちらは千日手局

こちらは先手が羽生王位、後手が谷川九段です。A図は後手の▽4五歩に先手が4
六の銀を▲5五銀と出たところ。この銀の動きが焦点ですね。場合によっては6六
から玉側に引いて使うこともありかなと思っていたら、4四銀と出て行きました。
どうなるんだろうとぞくぞくするような展開です。結局後手の馬と先手の飛車が上
下して千日手になりました。千日手やむなしの決断にはこの一局にかける気概が伝
わって来ますね。


第43期王位戦7番勝負第4局(8/19,20)

 挑戦者/王位  
九段  谷川浩司       3勝1敗
王位  羽生善治       1勝3敗

114手で後手羽生王位の勝ち

羽生王位が1勝を挙げました。4連敗、勝ち星無しでの敗退は阻止しました。
谷川九段得意の角換わり腰掛け銀を後手番で受けとめての勝ちはさすがですね〜。
まだ負けられない一番が続きますが流れを変えることができるでしょうか。
第5局は8月28、29日です。

・夏逝くや七冠制覇夢の中

3連敗で後がない羽生王位が後手番なのに角換わり腰掛け銀の将棋に踏む込んで行
きました。先攻したのは先手の谷川九段。A図は先手▲4五桂と金取りに跳ねたの
に後手▽2四金と3三の金を上部に出たところ。この2四金が羽生の研究、用意し
ていた一手だということです。羽生「2四金は一度やってみたかった手」、谷川「
2四金は考えていませんでした」。ということでこの一手で勝負が決まった感じで
すね。このあと谷川は羽生陣の飛車に絡んでいくが投了図の7三の成銀と6三の桂
が後手玉に迫ることなく残ってしまいました。特に桂はしょうが無かったのでしょ
うがなんともぼけてしまいました。
しかし、羽生は負けられない一番で谷川得意の角換わりの将棋にするし、谷川は敢
然と攻めて行くし、良いですね〜。面白い。
次も面白い将棋を期待してしまいます。


第43期王位戦7番勝負第3局(8/6,7)

 挑戦者/王位  
九段  谷川浩司         3勝0敗
王位  羽生善治         0勝3敗

124手で後手谷川九段の勝ち

挑戦者の谷川九段が3連勝です。
「九段」の長かった谷川、「王位」にぐっと近くなりました。
しかし、3連勝3連敗は意外でした。
谷川ファンとしてはこのままの勢いで一気に決めて欲しいですね。
第4局は19,20日です。

・百日草咲いております四十歳

羽生王座は「中盤の構想がどうだったか」というコメントでしたが攻めに冴えが見
られなかったですね。 A図は先手6四歩と打ったところ。と金を作って後手陣に
せまろうかというのでしょう。これで決まっていればさすがという手なのですが。
このあたりで情勢判断はどうだったのでしょう。もう悪いと思っていたのでしょう
か。あるいは先手玉は大丈夫、と金攻めで勝てると判断していたのでしょうか。 
後手の飛車は攻めには全然効かず、守りだけですし、難しいですね〜。
結果として後手の攻めが決まるのですが、それならばここで先手からの早い攻めは
無さそうなので、6四歩ではなく、守りに回るという選択はなかったでしょうか。
プロはそういう手は指さないのかな。ううむ、難しい、分からない。
羽生の3連敗は意外でした。攻めの切っ先がちょっと鈍っている感じですね〜。


第43期王位戦7番勝負第2局(7/23,24)

 挑戦者/王位  
九段  谷川浩司           2勝0敗
王位  羽生善治           0勝2敗

111手で先手谷川九段の勝ち

谷川九段、連勝です。タイトル奪取に向けて好調な出だしですね〜。
谷川らしい踏み込む攻めも出て、良いですね〜、このまま行ってもらいたい。
第3局は8月6,7日です。

・連勝に梅酒一杯の夜となり 

先手番の谷川九段は横歩取りから3六飛と引かずに3六歩、3七桂を急ぎました。
飛車は3五から2五へ。後手番羽生王位は8四飛車です。この辺微妙ですね〜。 
中盤、先手の左の金を焦点にした攻防がすごい、ぎりぎりの攻防でしたね。後手は
金をうわずらせて角を打ち込みましたが、その金で後手の飛車が押さえ込まれた格
好になりました。A図は先手7四の金を▲6三金と王手に滑り込んだところ。この
辺ではもう先手が良いみたいですね。良くわかりませんが。後手が7八歩成りとし
たこの瞬間、今しかないといういうような6三金でした。後手は6三の銀を5四、
5五、4六と出てもう少しで先手陣に攻め込むところでしたがその余裕がなかった
ですね。活かすまで手が回らなかった。先手がその余裕を与えなかったということ
でしょうか。


第43期王位戦7番勝負第1局(7/12,13)

 挑戦者/王位  
九段  谷川浩司             1勝0敗
王位  羽生善治             0勝1敗

68手で後手谷川九段の勝ち

単手数の攻め合いの将棋を谷川九段が勝ち、まず1勝を挙げました。
谷川は1000勝目を羽生四冠相手に決めました。
タイトル奪取、「九段」返上に向けてはずみになるでしょう。
第2局は7月23,24日です。

・千勝を遠くに見てる暑さかな

後手番となった谷川九段は中飛車でした。作戦だったようです。A図は先手羽生王
位が▲2四歩と打ったところ。と金攻めですね。後手も馬を作ってますが単騎でま
だ先手玉に迫る態勢にはないですね。先手は龍、馬とと金二枚とさらに桂香も使っ
て後手陣を崩そうというところです。後手は少しでもスキを見せると一気につぶさ
れてしまいそう。先手が圧倒的に有利かと思うのですが、そうでもないんですね。
と金の遅早というけれどこの場合はと金が遅すぎたようです。後手が玉を早めに7
二、8二と移動させたのが好手だったようですね。A図から後手は▽6四歩と突き
出して、▽6五歩〜▽6六歩を間に合わせてしまいました。投了図からは即詰みは
無いみたいです。▲6九玉に▽6六香くらいで先手望み無しかなあ。
谷川は1000勝達成ですが1000勝目を羽生から挙げるところが、なんとも、
巡り合わせというか、劇的ですね。1000勝は大山、加藤(一)、中原、米長、内
藤、有吉が記録しているそうで、最多は大山の1433勝だそうです。


第43期王位戦挑戦者に谷川九段(6/20)

谷川九段が佐藤王将に勝ち、羽生王位への挑戦を決めました。
谷川九段、久しぶりのタイトル戦登場です。去年の丸山名人との名人戦以来ほぼ一
年ぶりですね。タイトルは2000年の棋聖戦で羽生四冠相手に失冠して以来獲得
していないので二年間くらいは「九段」だったのですねえ〜。今回は是非とも勝っ
てもらいたいです。
第1局は7月12,13日です。


表紙に戻る」「将棋トップページ」「終了棋戦