将棋タイトル戦情報

第28期棋王戦(2003年2/1〜3/20)

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挑戦者 九段   丸山忠久

棋王 竜王、王座 羽生善治

第1局 2月 1日  99手で先手羽生棋王の勝ち
第2局 2月 8日  86手で後手羽生棋王の勝ち
第3局 2月21日  96手で後手丸山九段の勝ち
第4局 3月 5日 117手で先手丸山九段の勝ち
第5局 3月20日  62手で後手丸山九段の勝ち

丸山九段、3勝2敗で奪取
羽生棋王は2月13日に王将を奪取四冠となるも、また三冠に


第28期棋王戦五番勝負第5局(3/20)

 挑戦者/棋王  
九段   丸山忠久 3勝2敗
棋王   羽生善治 2勝3敗

62手で後手丸山九段の勝ち

丸山九段、3勝2敗で奪取

戦いといえどこの世のさくらかな

決戦の最終第5局、後手丸山九段の8五飛に先手羽生棋王は8六飛車と飛車
をぶつけて飛車交換になりました。先手は8二飛車、8三角と打って、7二
歩からのと金をからめて後手陣を崩していこうというのですが、先手の40手
目、A図の8四飛車と打った手が羽生には見えていなかったようです。
▽8四飛車が丸山には研究の一手で羽生棋王には研究外の手ということらし
いですね〜。この将棋に関しては研究の差が出たということでしょう。先手
の飛車角が動きづらくなってしまいました。この一手で決まってしまった感
じです。羽生には対局過多の影響があったのかな。最初2連敗の丸山がこん
なに盛り返すとは思えませんでした。お見事ですね〜。局後、丸山が目をう
るませていたということですが、羽生を相手に苦しいところからタイトルを
勝ち取って、いつもの丸山と違ってあふれる思いがあったのでしょう。


第28期棋王戦五番勝負第4局(3/5)

 挑戦者/棋王  
九段   丸山忠久   2勝2敗
棋王   羽生善治   2勝2敗

117手で先手丸山九段の勝ち

ふらふこや戻りて来たる丸い山

角換わり腰掛銀の将棋になりました。同形から先手丸山九段は4筋、3筋2
筋の歩を突いて攻めます。後手羽生棋王も6筋、8筋、7筋の歩を突いて攻
め合いです。先手は端の1筋もからめてぐいぐいと攻めて、後手は7筋から
先手陣を崩して行きます。A図は後手▽2六香と打ったところ。出たか羽生
マジックというような手ですね〜。決まれば格好良い手だったのですが、決
まらなかったですね。羽生は決めるつもりで指した手でしょう。誤算、読み
違えがあったのでしょう。▲2六同飛に▽6九角と打って、この角打ちで後
手勝ちと読んでいたのでしょうか。しかし先手にしっかりと受けられて届き
ませんでした。決められなかったあとで後手は9五歩としましたが証文の出
し遅れのような手になってしまいました。先手後手の差がでたような9五歩
でした。羽生が決めそこなったという印象ですね。
これで2勝2敗のタイです。丸山が頑張ってタイトルの行方も面白くしてく
れました。


第28期棋王戦五番勝負第3局(2/21)

 挑戦者/棋王  
九段   丸山忠久     1勝2敗
棋王   羽生善治     2勝1敗

96手で後手丸山九段の勝ち

やれやれの白星一個春の山

後手番丸山九段は8五飛車でした。先手羽生棋王は早目に飛車を5六に移動
して9筋から手を付けて行きます。A図は交換した角をお互いに9八と9六
に打ったところです。角の使い方が面白い将棋になりましたね〜。交換する
ときにも8八と3三から7七と4四に動いてから▲4四角でした。A図から
それぞれの角は取り合うことになるのですが、丸山の積極的な指しまわしが
目立ちました。羽生は5六の飛車も生きなかったし、9筋の攻めも後手に反
撃の手がかりを与えた格好になってしまいました。ちょっと淡白でしたか。
挑戦者の丸山としては1勝をあげてほっとしていることでしょう。 


第28期棋王戦五番勝負第2局(2/8)

 挑戦者/棋王  
九段   丸山忠久       0勝2敗
棋王   羽生善治       2勝0敗

86手で後手羽生棋王の勝ち

春泥や出口の見えぬ迷い路

後手番羽生棋王の四間飛車の将棋になりました。先手丸山九段は穴熊でした
が、美濃から結局右の銀を5四で後手の銀と交換してその銀を8八に打って
穴熊を完成させました。右の銀を引き付けて穴熊にするのは良く見かけます
が、交換した銀を8八に打っているようでは構想に難有りか。A図は後手が
3四銀と打ったところ。手厚い銀打ちですね〜。これで先手の飛車は封じら
れてしまいました。ここに銀を打つ手は丸山の予想外だったのでしょうか。
まさかという思いがあったのかも。このあと丸山の指し手はふらふら乱れて
いる感じですし、羽生は64手目▽3三桂打、70手目7四銀打などと先手の攻
め筋を消して完封ねらいですね。そのねらいのまま完封してしまいました。
投了図の局面は大差なのでしょう。早い投了で私などにはまだまだこれから
とも思えるのですが、しょうがないのかな。


第28期棋王戦五番勝負第1局(2/1)

 挑戦者/棋王  
九段   丸山忠久         0勝1敗
棋王   羽生善治         1勝0敗

99手で先手羽生棋王の勝ち

8五の桂馬しばれる一局目

丸山九段は羽生棋王を倒してタイトルを奪いたいところでしょう。8五飛で
した。先手番の羽生は序盤の角交換から7筋、8筋の歩をどんどんと伸ばす
積極的な指しまわしです。A図は先手6五桂と後手の8五桂に桂を跳ね違え
たところ。後手は6四角と打って先手に飛車を引かせてから8五桂と跳ねて
先手の8五の歩を取ったのですが、この飛車角桂歩で先手陣陣に迫る早い手
が案外無いのですね〜。4二角といったん角を引かなければならないのは辛
いところです。羽生の攻めは鋭い。8三歩〜7三歩〜7二角から5四に馬を
作って後手陣を崩して行きます。後手は飛車角が使えない形でせっかく6四
に打った角も泣き出しそう。羽生の攻めに比べて丸山の攻めは遅い感じがし
ます。勝ったからでしょうけれども羽生の強さが印象に残った一局でした。


第28期棋王戦挑戦者に丸山九段

郷田九段と丸山九段とで争われていた棋王戦挑戦者決定戦は第1局に続いて第
2局も丸山九段が勝ち挑戦を決めました。敗者復活で勝って来た丸山は大事な
ところで連勝と見事でした。一方、郷田は残念でしたね〜。先日行われたばか
りの王将戦の挑戦者決定戦でも羽生三冠に敗れたばかりで、連続での敗退は残
念無念でしょう。うーむ、なんともしょうがありませんな。勝つ者がいれば、
負ける者もいるですから。次の機会に期待しましょう。
羽生棋王との第1局は2月1日です。


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