将棋タイトル戦情報

第17期竜王戦(2004年10/19〜12/28)

 

表紙に戻る」「将棋トップページ」「終了棋戦


挑戦者 六段   渡辺 明

竜王 名人、王将 森内俊之

第1局 10月19,20日  89手で先手渡辺六段の勝ち
第2局 11月  4,5日  73手で先手森内竜王の勝ち
第3局 11月17,18日 124手で後手森内竜王の勝ち
第4局 11月24,25日  96手で後手渡辺六段の勝ち
第5局 12月  7,8日  77手で先手渡辺六段の勝ち
第6局 12月15,16日 133手で先手森内竜王の勝ち
第7局 12月27,28日  96手で後手渡辺六段の勝ち

渡辺六段4勝3敗で奪取、森内三冠は二冠に


第17期竜王戦七番勝負第7局(12/27,28)

 挑戦者/竜王  
六段  渡辺 明 4勝3敗
竜王  森内俊之 3勝4敗

96手で後手渡辺六段の勝ち

第6局と同じく先手森内竜王の横歩取り、後手渡辺六段の8五飛車となりました。
交換した角を先手は5六に据え、後手は2八に打って、どちらの角が働くかが注目
となりました。A図は駒があちこちぶつかって難しいところ、後手が3六歩と桂頭
に打ったところです。お互いの飛車が4四の後手銀を挟んで相対して居ます。その
後手銀は角取りになっているという複雑な局面です。しかし飛車は先手の飛車の方
が不自由の度合いが大きいみたいです。後手の5四に居た飛車に当てて先手が5六
の角を4五に出て後手が8四飛車と逃げて、先手1六に居た飛車が3六に回り、後
手3三の銀が4四銀に上がり、そして先手3四飛車でしたから、先手が踏み込んで
行った4四飛車になります。でもどうだったのでしょうね。難しくて分かりません
が思ったほど3四飛車は成果を上げなかったように思えます。A図のあと先手3六
同角でした。そのあと▽2三金で先手4四飛車を余儀なくされました。後手の3六
歩を先手同飛車と取れないようではちょっとつらいか。まあそれを見越しての歩打
ちでしょうが。先手も後手陣に攻めて行きますがどうしても薄い感じの攻めです。
最後は後手の馬が守りに効いていますね。先手はポキッと折れた感じの投了です。
これで新竜王の誕生となりました。若い竜王の誕生は将棋界にとっても嬉しいこと
でしょうが、ファンにとっても楽しみが増えました。今後の活躍も楽しみです。


第17期竜王戦七番勝負第6局(12/15,16)

 挑戦者/竜王  
六段  渡辺 明   3勝3敗
竜王  森内俊之   3勝3敗

133手で先手森内竜王の勝ち

先手森内竜王の横歩取りで後手渡辺六段は8五飛車でした。先手は巧みに馬を作っ
て中段に引いて存在感を示してします。後手は角切りで決断の攻めに出ます。先手
の金との交換でした。A図は後手3七歩成りに先手が同玉と応じたところです。先
手の玉は4八に居た玉でした。後手はA図から先手の玉に迫って行く3五銀でした。
先手は▽3五銀のあと▲3四歩、▽3二金と引かせてから▲5五銀で後手の飛車も
捕獲してしまいました。後手は飛車を先手の銀と交換することになるのですが、飛
車角二枚切っての攻撃はさすがに少し無理があったようです。盤上の銀と持ち駒の
銀そして飛車と交換した銀の銀三枚と桂で先手玉を追い詰めて行くのですがちょっ
と足りませんでした。最後は後手玉の頭に飛車を打ち付ける派手な手で投了となり
ました。森内が機敏に馬を作った手順が印象深いですね。これで3勝3敗となりま
した。タイトルの行方は最終第7局の勝ち負けに掛かってきました。


第17期竜王戦七番勝負第5局(12/7,8)

 挑戦者/竜王  
六段  渡辺 明     3勝2敗
竜王  森内俊之     2勝3敗

77手で先手渡辺六段の勝ち

2勝2敗のタイになり、改めての三番勝負の形になりました。後手番森内竜王は三
間飛車でした。先手渡辺六段から3三で角交換があり、両者共に相手陣に角を打ち
込み、先手は馬で後手の飛車を5一に追い、後手は先手の飛車と交換しました。A
図は先手が2三に居た馬を2二馬として後手の3一に居た飛車に当てた手に対して
後手が5一飛車と逃げたところです。A図から先手渡辺はなんと5九銀と引きまし
た。しぶい手が出ましたね〜。先手が怖いのは後手の4九飛車打ちで、それさえ防
いでおけば良しという判断でしょうか。後手の盤上の飛車は直ぐに働きそうには無
いし、5九銀で飛車打ちさえ消せば指せるとの大局感でしょう。それが正しかった
ということは投了図に出てますね。先手の馬の活躍が目立つ終了図となりました。
2勝2敗のタイから先に3勝目を挙げたのは挑戦者の渡辺でした。この1勝で一歩
も二歩もリードした格好になりました。次局で決着がつくのでしょうか。


第17期竜王戦七番勝負第4局(11/24,25)

 挑戦者/竜王  
六段  渡辺 明       2勝2敗
竜王  森内俊之       2勝2敗

96手で後手渡辺六段の勝ち

先手森内竜王の横歩取り、後手渡辺六段の8五飛車で始まりました。先手から角
交換があり後手は角を4四に打って8八に成り込んで行きました。A図は先手が
7六歩と飛車に当てて打ったところです。後手の角成りは先手の8八の歩を取っ
ての成り込みで勝負の手ですね。後手の7五に居た飛車に対して先手が7五、7
六と歩を連打して後手飛車を効きをとめたところがA図です。後手の角成りの強
襲が成功しているのか、先手の受けが上手く行ったのか緊張の一手一手が続きま
す。このあと後手は7八馬ですが、先手同銀、後手8六飛、先手8七歩で後手の
攻撃が止まったように見えます。しかしそこから後手が上手く手を作って行きま
した。いったん費者を引いてから8八歩と打ち、8九歩成り〜8七飛車成りとし
て先手9八角に後手8五龍と引いてから再度の8八歩打ちと見事に突破しました。
再度の8九歩成りから8八龍として勝負ありました。後手の指しまわしには巧いこ
と手を作って行くものだと思ってしまいます。


第17期竜王戦七番勝負第3局(11/17,18)

 挑戦者/竜王  
六段  渡辺 明         1勝2敗
竜王  森内俊之         2勝1敗

124手で後手森内竜王の勝ち

がっちりした矢倉から先手渡辺六段は穴熊に、後手森内竜王は2一玉、2二銀と組
替えて戦いに。先手4五歩から戦いになり、4五で桂の交換、後手はその交換した
桂を先手の玉頭で使って、巧みな手順で金を手に入れます。後手駒得のリードのま
まA図へ。今後手が7六銀と打ったところです。先手陣は守りの金銀をはがされて
薄い玉になっています。後手は8五の桂を足掛かりに7七歩と打ち、先手6七角打
ちの受けに7六銀とただ取られるところに銀を打ちました。格好良い銀打ちですね。
こういう手が出てはもう優劣がはっきりしているのしょう。先手は8五金と根元の
桂を取りましたが、後手6七銀成りから最後の9七香成りまできれいに決めました。
森内はすっきりした勝ち将棋で2勝1敗とリードしました。


第17期竜王戦七番勝負第2局(11/4,5)

 挑戦者/竜王  
六段  渡辺 明           1勝1敗
竜王  森内俊之           1勝1敗

73手で先手森内竜王の勝ち

先手番の森内竜王は横歩取りで後手番の渡辺六段は8五飛車。先手から角交換があ
り、後手は角を4四に打って9九の成り込みに成功しました。A図は後手の9九角
成りに先手が7七桂と跳ねたところ。後手は香を取って角を成り込みましたがこの
香を持ち駒にしたことと、馬がこれから有効に使いにくい状況で馬を上手く使える
かどうか焦点に。A図から後手は6六歩から6五香と強気の攻めに出ました。先手
に8五桂で飛車も取らせて後手同桂のあと、先手8八銀に馬も切って一気の攻勢で
す。先手の守りの金銀が二枚はがされて先手玉は危うい状態になりました。しかし
先手は読み切っていたか、投了図の2手前の9五角打ちで後手玉はあっという間に
詰めろで後手4九との飛車取りに先手7一飛車打ちで投了となりました。後手が果
敢に攻めで出たが一歩及ばず敗れてしまったという感じです。


第17期竜王戦七番勝負第1局(10/19,20)

 挑戦者/竜王  
六段  渡辺 明             1勝0敗
竜王  森内俊之             0勝1敗

89手で先手渡辺六段の勝ち

一回り以上年下の挑戦者渡辺六段を迎えて森内竜王は同世代の棋士とのタイトル戦
とはまたまた違った気持ちで第1局に向かったことでしょう。矢倉模様の出だしか
ら後手森内が積極的に攻めて出ました。A図は後手が2二の角を6六に出て先手の
銀と交換したところ。角を切っての強攻です。思い切った手ですね〜。第1局だか
ら思い切ったこともできるということもあるのでは。駒損の攻めですがA図のあと
後手は5七銀打ちで角を取り返してその角を4七に打って5六角成りとして先手の
上ずった金を取れるところまで追い込んだのですが、先手は2筋から反発。ぐいぐ
いという感じで後手陣に攻め入って行きました。折角作った馬を先手の攻めの対応
に使い、消してしまった後手は最後はポキッと折れたように投了となりました。
後手森内が積極的に決めて出ようとしたのに先手渡辺が冷静正確に対応したという
将棋でしょう。先手の右の銀を引き付けての守りが後々にすごく効いていたのが印
象深いですね〜。


表紙に戻る」「将棋トップページ」「終了棋戦