将棋タイトル戦情報

第14期女流王位戦(2003年10/7〜10/27)

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挑戦者 女流名人、女流王将、倉敷藤花 中井広恵

女流王位               清水市代

第1局10月 7日  75手で先手中井女流三冠の勝ち
第2局10月16日 137手で先手清水女流王位の勝ち
第3局10月21日 132手で後手清水女流王位の勝ち
第4局10月27日  87手で先手清水女流王位の勝ち

清水女流王位、3勝1敗で防衛


第14期女流王位戦五番勝負第4局(10/27)

 挑戦者/女流王位  
女流三冠 中井広恵   1勝3敗
女流王位 清水市代   3勝1敗

87手で先手清水女流王位の勝ち

構想を逆手にとられ秋の雨

先手番の清水女流王位は横歩取りからひねり飛車でした。後手番の中井女流三
冠は金を7二に、二枚の銀を玉頭に持ってきてがっちり固めようという構え。
しかし、この日の中井の指し手は裏目裏目と出てしまったようです。A図は後
手が2六歩と打ったところ。先手の銀出を押さえて、3六歩の合わせから3六
歩と打つことになれば銀取りでと金を作って大成功というところですが、清水
にあっさりと2七歩と合わされて緩手にされてしまいました。B図では先手が
2七の歩を2六〜2五と伸ばして後手陣に迫っています。後手が打った2六の
歩を取りながらの進出ですからこれは気分良いでしょう。B図ではもう先手が
有利な局面でしょう。B図から先手は満を持して7四歩の突き出し。さあ、決
めに出ますよ、どうだという一手です。

B図から後手は5四歩で角を追い、6六桂で銀桂交換、そのあと8六飛車で飛
車交換してC図となります。このあたり後手はちょっとあっさりと指している
感じです。悪くしてしまったという気持ちが影響しているのでしょうか。C図
での2四歩から先手は後手玉を詰ましにいきます。2四歩、▽同銀、▲2三歩
とこうも2筋の歩に苦しめられては泣きたいところでしょう。後手は2六歩が
手にならなかったので9三桂と8一の桂を跳ねて行ったのですが、その桂が居
なくなった8一に先手から飛車を打ち込まれて▲2一飛車成りとなって勝負が
決しました。投了図からは後手が▲3三角成りを受けて、3二銀や2四銀と打っ
ても即詰みです。4四桂や5五銀も即詰みです。後手の金銀を取りながら王手
をして行けますからね。

中井は1勝のあと3連敗でしたが、この将棋も途中でポキッと折れてしまった
感じです。
清水は6連覇だそうですごいのですが、最強の挑戦者、女流三冠の中井を迎え
てのタイトル戦でこの女流王位のタイトルを守ることができてほっとしている
のではないのでしょうか。どうも若手が伸び悩んでいる様子の中で、清水、中
井の二人にはお互いに刺激しあって、女流棋界を引っ張っていってもらわなけ
ればいけないですからね。


第14期女流王位戦五番勝負第3局(10/21)

 挑戦者/女流王位  
女流三冠 中井広恵     1勝2敗
女流王位 清水市代     2勝1敗

132手で後手清水女流王位の勝ち

・飛び車勝利を乗せて秋深む

相居飛車の出だしから、お互いに角を2二と8八に置いたまま飛車を3筋に持っ
て来ました。A図は後手清水女流王位が3二飛車としたところ。先手中井女流
三冠が先に3八飛車から3五歩と突いて出たのに後手がなんと8二の飛車を3
二に転換して受けました。金銀3枚が3段目に上がっていての飛車の移動は驚
きです。普通に飛車を振ったというのではなくて大転換という感じがします。
後手は3四金〜3五歩で先手の速攻をがっちり受け止めました。先手は後手の
飛車角が並んでいる弱点をついて2四歩、2三歩と2筋から攻めます。さすが
の状況判断ですね〜。B図は先手が4四角と後手の金を取ったところ。取った
金を2二に打ち込んで行きますが、2二で清算して後手2二同飛車まで先手は
角を取り返したのですが、持ち駒はその角一枚です。先手は右銀が働いていま
せんね。後手の駒と交換出来ていたら厚みのある攻めができたのですが・・。

C図は後手7四金打ちに先手が8四の馬を8三に逃げたところ。3一から打っ
た角を7五に成ったのですが、清水が巧く先手の馬を働けないところに追いやっ
てしまいました。▽7四歩、▲同馬から▽6三金、さらに7四金打ちと投入し
ての指しまわしは素晴らしい。C図となって先手は飛車と馬がすぐにには働か
ない形で持ち駒は歩だけと、ちょっと差がついてしまいましたね〜。
A図での3二飛車は変な形での飛車転換ですが、先手の思わくを外して、成功
したようです。先手は立て直すことが出来なかったようです。清水、快心の一
局でしょう。


第14期女流王位戦五番勝負第2局(10/16)

 挑戦者/女流王位  
女流三冠 中井広恵       1勝1敗
女流王位 清水市代       1勝1敗

137手で先手清水女流王位の勝ち

紅葉して王位の端坐あるがまま

先手番の清水女流王位は横歩取りからひねり飛車にして攻めて出ます。自陣は
玉が4八に上がった一手と7八金と金に一手使っただけでほとんど手をかけず
に飛車角桂で先手速攻です。後手の中井女流三冠はしばらく先手の攻めの対応
に追われます。清水の気合いはすごいですね。それにしても相手は女流三冠で
すから一気に、大差で攻めつぶしてしまうというのは考えにくいところです。
反対に後手に巧く受けられてしまうと先手の指す手が無くなってしまうような
将棋になることもあり、危険を含んだ攻めですが、清水は敢然と仕掛けて行き
ました。▲9二歩〜▲9三歩と香を吊り上げて▲9三角成りと角切りの強攻で
す。さらに▲8四香で後手の飛車を捉えて、結局飛車角交換の形になりました。
その飛車を9一に打って、これで攻めて行こうという展開です。先手は龍を作
って一応攻めは成功ですが、後手も反撃に出ます。

A図は後手5五香打ちの飛車取りに先手が▲5三銀と、飛車取りは放置して後
手陣に迫ったところ。どちらも怖いところですね〜。先手は5七に香が成られ
たり、何か駒を打たれたら危ないし、後手も玉を守っている金と銀が取られる
格好ですから。どっちが勝っているのか、残しているのか分からないぎりぎり
の攻め合いです。さすがは女流棋界の二枚看板の将棋、面白い戦いが続きます。
A図から後手は▽7七角としてから5六香で飛車を取りその飛車を使って先手
玉を追い詰めます。その間、先手も6二龍から4四銀成りと後手玉に迫り、最
後まで力の入った指し手が続きました。先手が2六金と、後手からの桂打ちの
一手詰めを消して攻防に打ち込む余裕を得て、先手の勝ちとなりました。後手
はわずかに届かなかったですね。熱戦、好局、大激戦の一局でした。


第14期女流王位戦五番勝負第1局(10/7)

 挑戦者/女流王位  
女流三冠 中井広恵         1勝0敗
女流王位 清水市代         0勝1敗

75手で先手中井女流三冠の勝ち

飛車切りて流れとまらぬ秋の水

清水女流王位は後手番となりました。気合いが入っていたようです。かつては
女流四冠を独占していたのに今では女流王位の一冠だけ。対して挑戦者の中井
女流三冠はここで四冠を制覇しようという勢いです。清水はなんとしてもここ
は勝って防衛したいという思いが強いのでしょう。突っかかるように攻めて行
きました。
清水は飛車を6二から6四、7四とまわり、角交換してから▽7六飛車と先手
の銀と交換しました。角銀を手にして▽3九角と飛車銀両取りに打ち一気に優
位を築こうというのでしょう。が、後手玉の位置が悪かった。先手の7一飛車
打ち、6二歩打ちからのと金の攻めが厳しく、守りの駒をはがされて後手玉は
危うい形になってしまいました。先手は後手から取った二枚の金を守りに投入
して後手の攻めを受けて、A図はそれでも後手が4七の馬を4六に引いて王手
飛車をかけたところ。先手▲5七角と受けたのが最後の決め手、攻防の角打ち
でした。後手は飛車を取っても攻めの主役がそっぽに行ってしまっては勝ち難
くなってしまいました。先手は角の効きが後手玉の上部を押さえていて、その
まま勝ちとなりました。清水は攻め急いだ感じです。3一玉と寄っておく余裕
は無かったのでしょうか。中井のほうは受けるところはがっちりと受けて、攻
守のバランスが良いですね。充実ぶりがうかがえます。


第14期女流王位戦の挑戦者に中井女流三冠(9/11)

第14期女流王位戦の挑戦者決定戦が山田朱未女流初段と中井広恵女流三冠とで
行われ、中井が山田に勝ち挑戦を決めました。中井は女流の四冠全制覇を目指
して清水市代女流王位に挑戦します。一時は自身が四冠制覇していた清水がひ
とつだけ保持している女流王位のタイトルを守り、中井の四冠制覇を阻止する
ことができるかどうか注目です。
山田は残念でしたね〜。白組リーグを5戦全勝の抜群の成績で勝ちあがって、
勢いがあったのですがね〜。中井の壁に跳ね返されてしまいました。またすぐ
にチャンスが来るでしょう。期待してます。

女流王位戦第1局は10月7日です。


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