将棋タイトル戦情報(かつおの尾)

第14期竜王戦(2001年10/16〜11/30)

表紙に戻る」「将棋トップページ」「終了棋戦


挑戦者 四冠 羽生善治 

竜王     藤井 猛

第1局 10月16,17日    113手で先手羽生四冠の勝ち
第2局 10月31日、11月1日 135手で先手藤井竜王の勝ち
第3局 11月  7,8日     81手で先手羽生四冠の勝ち
第4局 11月20,21日    110手で後手羽生四冠の勝ち
第5局 11月29,30日    109手で先手羽生四冠の勝ち

羽生四冠4勝1敗で奪取


第14期竜王戦七番勝負第5局(11/29,30)

 挑戦者/竜王   
四冠  羽生善治     4勝1敗
竜王  藤井 猛     1勝4敗

109手で先手羽生四冠の勝ち

挑戦者羽生四冠が4勝1敗で竜王復帰、五冠となりました。
四冠を保持しながらも、名人、竜王のビッグタイトルを持っていなかったのが
玉に瑕、画竜点睛を欠くという状態でしたが、これで名実共に第一人者という
ことでしょう。
藤井竜王、残念でした。振り飛車一筋の将棋はファンも多いです。これからの
将棋、活躍に期待します。

・竜王戦仕舞いとなりぬ冬日影

        A図                 投了図

先手羽生四冠は5七銀左から6六銀とあがり5五歩と5筋の位を取りました。後手
藤井竜王は左の銀を7四まで持って来て、3四金の構え。A図は先手の4五歩打ち
に後手▽3六歩と先手の3六の歩を取り込んだところ。4五歩の角取りにかまわず
に3六歩、すごいですね〜、へぼアマの私には指せません。当たり前ですが(^_^;
▲4四歩、▽3七歩成りと進み、角桂の交換となりました。後手はこの3七のと金
と3四の金で先手の飛車を攻めて、取った桂は8四桂と打って7六桂の両取りを見
せて、これで戦えるという藤井の決断でしょうか。結果は投了図にあるようにこの
金桂は残ってしまい、藤井の攻めの構想はどこかで狂わされたようです。投了図で
は先手の二枚の馬がいかにも強力ですね。96手目、先手の5三成桂を後手同飛車と
取った手で5三の成り香はそのままに5六香と攻めていると後手有望だったらしい
のですが。投了図、先手の5九、4九、3九の3枚の歩はすごいですね〜。羽生の
受けの確かさが現れているような気がします。私には53手目、6六の銀を5七銀と
じっと引いた手が印象深かったです。


第14期竜王戦七番勝負第4局(11/20,21)

 挑戦者/竜王   
四冠  羽生善治       3勝1敗
竜王  藤井 猛       1勝3敗

110手で後手羽生四冠の勝ち

熱く激しい将棋でしたね〜。後手番羽生四冠が先手藤井竜王の藤井システムを真正
面から受けて立った将棋。藤井もそれではと、攻めて行ったのですが、結果羽生勝
利で3勝目。竜王復帰にあと一番としました。藤井、頑張れ! 7局まで見せてほ
しい。

第5局は11月29,30日です。

・向き合ひて二人はふたり冬に入る

        A図                 投了図

先手番の藤井竜王は四間飛車ですが後手番の羽生四冠は1二香と上がり穴熊を見せ
て藤井システムを受けて立ち、「さあ、来い、来て見ろ」という感じ。藤井も「そ
れでは」と攻めかかります。良いですね〜。面白い。こういう将棋を見たかった。
藤井は藤井システム、四間飛車ひとつで将棋界のトップの一人になった棋士。対し
て?マーク付きながら棋界第一人者の羽生が藤井システムに対して答えを出してみ
ようかという戦い。しびれますね〜。私には内容、詳しい変化などわからないので
すが、それでも面白い。今回もはっきりとした答えは出なかったようで、勝敗は終
盤での手に依るようです。
A図は先手4三歩成りに後手4七歩成りとしたところ。お互い打った歩を成り合っ
たところですが後手は先手の4七の銀を取っての歩成りです。すごいですね〜。藤
井は4三歩成りに▽同金と見ていたようです。どっちが読み勝っているんだという
きりっきりっとした攻め合いです。このあと先手▲3一角成りから攻めますが、後
手玉を捉えきれずに4三玉〜5二玉と逃げられてしまいました。本局の羽生は勝っ
たからそう見えるのでしょうが指し手がピシッ、ピシッという感じで切れ味鋭い手
が何手も感じられました。52手目▽5五歩、62手目▽4七歩成り(A図)、66手目▽
2四銀、70手目▽2三銀などなど。第6局で後手番羽生の将棋を見ることができる
かどうか、とりあえず次局は竜王を応援します。


第14期竜王戦七番勝負第3局(11/7,8)

 挑戦者/竜王   
四冠  羽生善治         2勝1敗
竜王  藤井 猛         1勝2敗

81手で先手羽生四冠の勝ち

羽生四冠が2勝目をあげ、一歩リードしました。
後手番藤井竜王に角での王手龍取りが出たのですが、どうもこの王手龍取りがあま
り良くなかったらしい。難しいもんです。

第4局は11月20,21日です。

・王手飛車かけてかけさせ冬ざるる

       A図                  投了図

見た目、普通の四間飛車対急戦になりました。細かいところは違っているのでしょ
うけれど。私には参考にしたいような展開です。もっとも仕掛け方など自分で指す
時には覚えていないでしょうけど。ははっ、情け無い。
A図は後手藤井竜王が4七歩成りと銀を取った手に先手羽生四冠が5一龍と2一の
龍で後手の5一の金を取ったところ。A図から▽7六桂、▲同銀、▽3三角で王手
龍取りとなります。▲5五桂、▽5一角、▲6三桂成り、▽同銀と進みます。5一
の角が守りにも効いているところが良いと思ったらしい。しかし▲8五桂打ちから
後手わりあいあっさりと負けとなりました。A図から単に▽5一同金は▲7一銀打
ちから駄目なので、▽9六桂と玉を広くしてから▽5一金と龍を取るのが良かった
らしい。難しいもんです。後手は5八ととする余裕がありませんでした。最後は先
手ぴったりの即詰みに討ち取りました。第4局は後手番の羽生、どんな作戦か興味
深いですね。


第14期竜王戦七番勝負第2局(10/31,11/1)

 挑戦者/竜王   
四冠  羽生善治           1勝1敗
竜王  藤井 猛           1勝1敗

135手で先手藤井竜王の勝ち

藤井竜王が熱戦を勝ち、1勝1敗のタイにしました。
これで先が面白くなりました。
藤井システムはどうなのか。
対藤井システムはどうなのか。
全局、藤井システムで対局してほしいです。

第3局は11月7,8日です。

・秋澄むや竜王四冠並び立つ

        A図                 投了図


先手番の藤井竜王はもちろん四間飛車ですが玉を早めに2八まで移動させました。
もちろん後手羽生四冠の手を見てのことなのでしょう。後手は穴熊に組む余地もあ
ったと思うのですが、結局後手も左美濃に組みます。この辺の機微はわからないで
すね〜。A図は中盤の難しいところ。先手の7六の飛車は7八から7五〜7四〜5
四〜5六〜7六と回ってきた飛車です。その間に後手は7三歩打ちと歩を打って先
手の飛車を追い6二の銀を5四まで出て、飛車角銀で攻めようかというところ。
後手▽8八歩と桂取りに打ち、さあ先手どうするという感じですが、ここから先手
は▲7四歩、▽同歩に▲5五銀とぶつけます。▽6五銀に▲4六飛と回って、先手
の飛車角銀が4筋に集中してきました。こうなっては後手の8九歩成りはいかにも
遠いという感じになってしまいました。藤井は研究範囲なのでしょうか。すごいで
すね〜。最後は羽生の粘りで先手後手とも玉が1二、1八というめずらしい形にな
るまできわどい将棋でしたが、序盤の先手の1五歩と突き越していたのが勝ち負け
に直結してます。先手の9九の香が残ってますね〜。後手はと金で桂香を取って、
ゆっくりした展開に持っていければ違った結果になっていたかもしれません。


第14期竜王戦七番勝負第1局(10/16,17)

 挑戦者/竜王   
四冠  羽生善治             1勝0敗
竜王  藤井 猛             0勝1敗

113手で先手羽生四冠の勝ち

羽生四冠、竜王奪取に向けてまず初戦を取りました。
第2局は10月31日、11月1日です。

・角馬のぐるりとまわる秋の天

        A図                 投了図

先手番の羽生四冠は5五角と出て左美濃の布陣にしました。
藤井システムは相手の指し手によって対応するのでしょうが、私の棋力では変化が
どうなのか、どういう時にどういう変化をするのかさっぱりわかりません。まあ、
藤井システムに限ったことではなく、他の戦法もわからないのですが(^_^; 
藤井システムに対して角が7七のままで戦うのは、桂を跳ねられ、角ににらまれて
どうしてもまずいのでしょうか。角を8六にあがったり、6八に引いて戦ったり、
いろいろ工夫があるようですね。本局の羽生は5五角と出て、6六歩とふたをして
から左美濃に組みました。この5五に出た角がすごい。5五から〜4六〜3七〜2
六〜4四〜2六〜5九と動きまわって、7七に戻ります。4四で後手の角と交換に
なるのですが、結果、どうだったのでしょう。大戦果を挙げたとは思えないです。
それでも後手の戦い方を限定したいうことで、それなりの活躍をしたということな
んでしょうか。A図は先手▲2一角に後手藤井竜王が▽1二飛車と寄ったところ。
交換した角を両者相手陣に打ち込み、これから攻め合いという局面ですが、両者の
飛車が1筋に追われている妙な形になってますね。ここから馬を作り合って攻防が
続きます。先手の6四歩が効きました。先手の角は5四角成りから1八馬と引いた
のですが、この自陣深く引いた馬が後手陣を遠くにらんで、攻めに効いのですから
すごい。投了図の数手前、▲7七桂と跳ねて、▲8九金打と打ったのはすごいです
ね〜。後手の二枚飛車に対応したのでしょうが、ちょっと浮かばない手ですね。
まあ、私と一緒にしてはいけませんが。中味の濃い、面白い将棋でした。第2局は
どんな展開になるか、興味津々。


第14期竜王戦挑戦者に羽生四冠(9/17)

1勝1敗からの勝負の第3局は111手で羽生四冠が勝ち2勝1敗でタイトル挑戦を
決めました。
木村五段は残念でしたね〜。善戦、好局でチャンスも大いにあったようですが、 
羽生四冠はさすがに懐が広い。最後はきっちり勝ちました。

名人、竜王のビッグタイトルを失ってからずいぶん経つ気がします。
棋聖戦での失冠が無ければまた七冠制覇に向かってとなるところでしたが、そうは
いきませんでしたね。

藤井竜王とのタイトル戦、どんな戦いになるか楽しみです。
第1局は10月16,17日です。

 


表紙に戻る」「将棋トップページ」「終了棋戦