将棋タイトル戦情報(かつおの尾)

第12期女流王位戦(2001年10/3〜11/5)

 

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挑戦者 女流五段 中井広恵

女流王位     清水市代

 挑戦者/女流王位  
女流五段 中井広恵 2勝3敗
女流王位 清水市代 3勝2敗

第1局 10月 3日 144手で後手中井女流五段の勝ち
第2局 10月10日  89手で先手中井女流五段の勝ち
第3局 10月18日  87手で先手清水女流王位の勝ち
第4局 10月25日  90手で後手清水女流王位の勝ち
第5局 11月 5日 143手で先手清水女流王位の勝ち

清水女流王位、3勝2敗で防衛


第12期女流王位戦五番勝負第5局(11/5)

 挑戦者/女流王位  
女流五段 中井広恵 2勝3敗
女流王位 清水市代 3勝2敗

143手で先手清水女流王位の勝ち

清水女流王位が勝ち、タイトル防衛しました。2連敗のあとの3連勝です。強いで
すね〜。逆に中井女流五段は2連勝のあと3連敗での敗退で残念無念。舞台は倉敷
藤花戦に移ります。

・たたかいの色鎮もれる秋の暮れ

       A図                  B図


タイトルを賭けた一局となった本局も横歩取りの将棋になりました。A図まで第3
局と同じ進行です。4六で飛車交換、8八で角交換のあと▽5五角打ちから▽8八
角成りで角銀交換、▽7九飛打ち、▲6九飛打ちで▽7五飛成りに▲6六角と打っ
たところです。第3局はここから▽6六同龍と交換して▽4七角打ち〜▽6九角成
り、▽6七銀打ちと後手中井女流五段は先手陣に迫りましたが先手清水女流王位に
きっちり受けられて負け。今回はA図から▽7四龍と引き、▲4七角打ち、▽8五
龍と進みます。このまま龍を盤上で使おうということでしょう。
B図は後手▽2五歩打ちに先手4七の角で▲同角と取り、後手▽3三桂と跳ねたと
ころ。後手は龍が自陣に押し戻されて狙った効果が上がっていないみたいですね。
先手陣は薄いけれど広い。ここから先手清水の踏み込みがするどい。▲4三角成り
と角を切り、▽同銀、▲4四歩、▽5四銀、▲2三歩成り、▽同銀、▲3四歩、▽
3五銀の後手の飛車取りに▲2三飛と飛車も切り殺到。押し切ってしまいました。
先手は6九に打った飛車を2九に展開して2筋で使えるようにしたのに対して後手
の龍は攻めに働かなかった。この差が大きかったんじゃないでしょうか。しかし、
2連敗のあとの3連勝でのタイトル防衛はすごかったですね。

       投了図


第12期女流王位戦五番勝負第4局(10/25)

 挑戦者/女流王位  
女流五段 中井広恵   2勝2敗
女流王位 清水市代   2勝2敗

90手で後手清水女流王位の勝ち

清水女流王位が連勝で2勝2敗のタイにしました。2連敗の出だしであれあれっと
いう感じだったのですが、さすがは清水!勝負は最終第5局に持ち越されました。
中井女流五段がタイトル獲得なるか、清水が三冠を守るか。
第5局は11月5日です。

・水澄みて最終局へと進みけり

        A図                 投了図

先手番中井女流五段の矢倉模様の出だしに後手番清水女流王位は右四間飛車からの
急戦模様。A図は先手▲1一角成りに後手▽6四桂と打ったところ。8八と4四で
角交換が2回あり先手はその角を2二に打ち1一角成りとして後手陣を食い破って
いますが、少し駒損しているのが痛いか。先手は4四に桂を打って後手玉にからん
だのですが、その桂を3二の金に4三〜4四と取られてしまったのも痛い。A図で
は後手玉は右翼が広いですね〜。挟撃したいところですが持ち駒不足で苦しい。
A図から先手中井は6七金寄りとします。ここから▽7六桂、▲同金、▽5八角、
と進み、飛車金両取りが決まり、程なく先手投了となりました。中井のコメントに
A図では6七金寄りではなく6七銀だったかとありましたが、後手の6四桂打ちに
金を寄って、わざわざ守ったところに後手が桂を跳ねてきたのが意外だったか。し
かし難しい変化では無いし、盲点になっていたのでしょうね。これで2勝2敗。最
終第5局はタイトルを左右する大一番になりますね。


第12期女流王位戦五番勝負第3局(10/18)

 挑戦者/女流王位  
女流五段 中井広恵     2勝1敗
女流王位 清水市代     1勝2敗

87手で先手清水女流王位の勝ち

横歩取りからの激しい乱戦を清水が勝ち、ようやく1勝あげました。
それにしても激しい将棋でした。
第4局は10月25日です。

・秋薊激しい攻めも届かざる

        A図                 B図

先手番となった清水女流王位は2連敗での第3局となりました。負けられません。
3連敗での敗退となれば女流棋界の第一人者というのはちょっと?となってしまい
ます。先手清水は横歩取りから3六飛車と引いて7五歩で飛車をぶつけます。ここ
を後手中井女流五段が3六飛と取って飛車交換。8八で角も交換して、▽5五角で
す。後手の5五角打ちに先手▲4六歩としたのがA図。ここからの中井が激しいで
すね〜。▽8八角成りと角を切って、▲同金に▽7九飛と打ち込みました。▲6九
飛に▽7五飛成り、▲6六角、▽同龍、▲同歩、▽4七角、▲3八角、▽6九角成
り、▲同玉、▽6七銀と進み、先手▲5九角の受けに▽7六銀成りです。いやあ〜
はげしい将棋です。▽8八角成りから▽7九飛はある将棋なのでしょうが、プロで
は有る程度の結論みたいなものが出ていないのでしょうかねえ〜。アマなら面白い
戦いだと思いますが。B図は後手8九のと金を▽7九とと王手したところ。後手は
8筋で2枚のと金を作り先手玉に迫っていますが、このあと▲5八玉から▽7八と
引きとして7八で駒を成算してしまったのが急ぎすぎだったらしい。後手の急な攻
めの合間をぬって、先手清水は8筋から反撃、最後は即詰みに討ち取り、貴重な1
勝となりました。清水が的確に受けた将棋ということなんでしょう。


第12期女流王位戦五番勝負第2局(10/10)

 挑戦者/女流王位  
女流五段 中井広恵       2勝0敗
女流王位 清水市代       0勝2敗

89手で先手中井女流五段の勝ち

挑戦者の中井女流五段が連勝でタイトル奪取にあと1勝としました。
第3局は10月18日です。

・きりきりと攻めあざやかに連勝譜

        A図                 投了図

矢倉模様の出だしから先手7九玉、後手3一玉のまま戦いになりました。激しいで
すね〜。A図、後手の3四銀は打った銀。先手の飛車をうまく押さえ込んだように
見えたのですが、先手は飛車を6六に逃げてから6五で後手の銀と交換。後手6五
同桂と先手の飛車を取ったのがA図。ここから先手2四桂。後手も桂ととで先手陣
に迫っているし、先手は攻めの手掛かりが無いようなところなのですが、先手の2
四桂に後手の持ち駒は大駒二枚。なんとも間の悪いことであります。先手2四桂の
あと、▽2三銀、▲3二桂成り、▽同銀、と進み▲2四歩。ここでも後手の持ち駒
は大駒二枚と桂です。先手の飛車を追った2五歩が指しすぎだったか。そこを突い
た先手の攻めがさすがだったか。2四の歩を拠点に先手の鋭い攻めが決まり、挑戦
者中井女流五段、連勝です。中井の好調ぶりが顕れた快勝譜でしょう。


第12期女流王位戦五番勝負第1局(10/3)

 挑戦者/女流王位  
女流五段 中井広恵         1勝0敗
女流王位 清水市代         0勝1敗

144手で後手中井女流五段の勝ち
第2局は10月10日です。

・5五の角打つ音の確かさよ

       A図                  投了図

30歳前後が棋士として一番力の出る年齢らしい。羽生世代がすでに将棋界の中心
になっているが、女流王位戦も若手を押しのけて実力者の中井女流五段が挑戦者に
名乗りを上げた。中井、清水両者共に32歳である。
第1局は横歩取りの将棋になった。飛車が中央を横に移動して角、桂を使っての攻
防、歩の打ち処など微妙で複雑、私には難しいです。桂を二枚とも交換して持ち駒
にしてA図。先手▲2五歩に後手が2四の飛車を4四にかわしたところ。ここから
▲3七桂と打ちますが、後手▽5五角が好位置。▲4五桂、▽8八角成りと銀を取
り合った後、▲3三銀と打ち込んで攻めたのが少し無理気味か。なんといっても、
後手玉は広い。先手の攻めに的確に対応した後手が差を少しずつ広げて、最後は見
事な即詰みでした。


第12期女流王位戦挑戦者に中井女流五段(9/4)

第12期女流王位戦の挑戦者決定戦が斎田晴子女流名人と中井広恵女流五段で行われ
中井女流五段が斎田女流名人に勝ちタイトル挑戦を決めました。

挑戦者決定戦は勝つと負けるとでは、まさに天国と地獄。中井女流五段は女流名人
位を奪われた斎田女流名人相手に気合いの一局だったでしょう。

清水女流王位とのタイトル戦でも良い将棋を見せてくれることでありましょう。
中井ー清水のタイトル戦は楽しみですね。

第1局は10月3日です。

 


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