C.ドビュッシーの前奏曲集 第1巻:“Voiles” − 「ゆらぎ」の観点から −

大阪音楽大学 研究紀要 第36号 (1997)

C. Debussy, Preludes I: "Voiles" -- from the aspect of "fluctuation" --
Bulletin of Osaka College of Music Vol. 36 (1997)

村井晶子

アブストラクト

 本稿は、本紀要の第34号に投稿した「C.ドビュッシーの前奏曲集 第1巻“Voiles”における音楽の時間構造」の研究をさらに継続して深め、“ゆらぎ”の観点を導入することによって、とらえ直そうとしたものである。
 包括的かつ具体的に分析したところ、“Voiles”は、短い部分から成る4種の基本要素で構成されていることを確認した。そしてこれらの要素を詳細に検討すると、すべてがゆらいでいて、その“ゆらぎ”の動的な相互関係の上に作品が構成されていることが明らかになった。
 今後、同様の分析手法やメタ構造が、彼の前奏曲集第1巻の他の作品についても広く適用可能であることを、指摘していきたいと考えている。

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