発行日:’92年 8月10日(月)
発行:守山リス研事務局

リス研通信 No.131


タイワンリスの音声

出典:
週刊 朝日百科「動物たちの地球」57 7/26号 pp. 9-278
田村 典子

リスが鳥やカエルのように鳴くというと驚く人が多い。実際、日本の山林にすむエゾリスやニホンリスの鳴き声を聞く機会はめったにないだろう。しかし東南アジアに分布するハイガシラリス属の仲間はよく鳴くにぎやかな樹上リスである。

タイワンリスの多様な音声

(1)「コキコキコキ」

配偶行動の時の雄の鳴き声。雌が発情すると十数頭もの雄が雌の行動圏に集まってきて、あちらこちらで、このように鳴きあう。笑い声のようにも聞こえるこの声は、雌を引き寄せる機能を有している。雌が発情した日には、早朝から昼すぎまで、ひっきりなしに雄は鳴きつづける。

(2)「チーチーチー」

ヘビ類は特に巣の中にいる子リスにとって強力な捕食者となる。ヘビに対してこの特有な声を出して威嚇攻撃を行う。この声を聞くと他のリスは集まってきて攻撃に加わる。複数の個体がヘビを囲んで行うこの行動をモビングという。モビングは長い時には、1時間にも及び、ヘビはその結果動き出して穴に潜ったり、木から落下する。最も熱心にモビングするのは、そこに行動圏を持つ雌であり、特に子育て中の個体は敏感に反応する。

(3)「ワンワン」

捕食者の接近を知らせあう警戒音。ネコ等が地上に潜みリスを狙っているような場合、それを見つけたリスは急いで木の上の安全な所に駆け登り、鳴く。他のリスたちも慌てて木の上に避難する。

(4)「キキッキキッ」

ワンワンからしばらくすると高く響く声に変化する。この警戒音はネコ類が視界から消えてもなおしばらく発せられ時には、20分間にも及ぶ。

(5)「ガッ、ガガガッ」

ワシやタカのような空から突然襲ってくる捕食者に対して発せられる。一声鳴いてさっと樹冠に身を潜める。この声を聞くと他のリスたちも即座に動きを止めてじっとする。視覚によって狩りをする猛禽類から逃れるために静止するという行動は理にかなったものである。

[図:ソナグラム]

タイワンリスの音声のソナグラム

  1. 配偶行動での雄の「コキコキコキ」という声
  2. ヘビ類に対するモビングの時の「チーチー」という声
  3. ネコ類に対する警戒音。前半部の「ワンワン」という声
  4. 同じく後半部の「キキッキキッ」という声
  5. ワシやタカ類に対する「ガッ」という警戒音

タイワンリスはこの他にもいくつかの音声を持つ。なぜ彼らはこのように発達した音声コミュニケーションをもったのだろう。鬱蒼とした見通しの悪い森林での暮らしでは、音声による情報伝達は、効果的である。またタイワンリスは行動圏を重複させ密集して暮らす社会構造を持つが、このことが音声コミュニケーションを発達させたことと大きく関わると思われる。


警戒音について

出典:
週刊 朝日百科「動物たちの地球」57 7/26号 pp. 9-288

捕食者を前にして声をあげることは、真先に補食され淘汰されるので、警戒音という行動は進化しないはずである。むしろ沈黙したまま隠れたほうが有利であろう。それにもかかわらず、自己犠牲的な警戒音が各種の動物で発達している。このような利他行動の進化は、遺伝子を共有している確率の高い近親者を助けることにより選択されるとする「血縁淘汰説」によって説明される事が多い。また社会的なまとまりが強く、互いに個体認知できる動物では、たがいに将来を見越して利他的にふるまうとする「相互利他主義」によって説明される事もある。なお捕食者の種類に応じて異なる警戒音を使い分ける例が知られるようになったのは、比較的最近の事であり、ジリスなどリス類とサバンナモンキーなど霊長類で報告されている。

寿命

性成熟に達するまでの期間の長い動物ほど寿命が長い傾向がある。哺乳類の生態的寿命は、一般に性成熟までの期間の5倍前後といわれている。


簡易自動撮影装置の詳細について

7/18岐阜県哺乳動物調査研究会のT殿に電話連絡、自動撮影装置の詳細をお伺いした。

総費用:
2万円〜2万5千円前後
機材:
中古の操作が簡易な自動巻きカメラ
4-5000円程度(フラッシュ、日付、時間付き)
センサー:
大須のアメ横で ドアのピンポンセンサー\9880
シャッタ:
自動車のカセットテープを押し出す部品を使用

フラッシュは、3-5mほどしか届かない。ASA400のフィルムで。カメラの乾電池は3Vのため、1日しかもたない。フジカメラで6Vで作動するものもあるが、これでも3日しかもたない。しかも\1800/1個もする。今VTR用のバッテリーが5Vなので、3Vに変圧してできないか検討している由。

更に詳細は、Eさんに連絡して問い合わせる。


瀬戸・尾張旭・長久手 中日ホームニュースを見て

7/17付けの上記新聞をご覧になった方々よりご連絡を頂きましたのでご紹介します。

7/17 D殿 平子町

森林公園におつとめしていたとの事。昔シマリスを増やして逃がしてやろうとした。ホンドリスは、ゴルフ場でよく見掛けた。尾張山草会で動いている。クルミの木は、バラ園の近くにも一本あり、奥の苗畑にもあるとの事。(新しい情報です) ぜひがんばって下さい。今後の活動にもできれば参加して行きたい。活動日連絡済

7/18 K殿 尾張旭市

新聞を見て、この尾張旭の森林公園にリスが米国のようにいたらと思っていた時、これはと思い、すぐ会員になりたいと思って連絡しました。資料をぜひ送ってくださいとの事で一式発送しました。8/2の夢いちばには参加できそうとの事です。活動予定連絡済。


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