猫の耳掻き

見た本と読んだ映画




アフターダーク 村上春樹


出版社: 講談社 ; ISBN: 4062125366 ; (2004/09/07)

自分がいちばん読みたかった小説。
今まで読んだ日本語の物語の中でもっとも美しい文体。
最高の調理人がつくる料理のような、
熟練の整備工によって磨き上げられたモーターバイクのように
すべてを味わいたくなる作品。
お子様は大人になってから読んだほうがいい。




白川静文字講話 1−3  白川 静 (著)  平凡社




第1巻
目次
第1話 文字以前
第2話 人体に関する文字
第3話 身分と職掌
第4話 数について
第5話 自然と神話

漢字を読むほうはなんとかなるけど、書く方はほんとにひどいのでいつか
きちんと漢字の成り立ちや意味についてやり直したいなあと思っていたのが
最近やっとそのあたりの本を読むようになってきました。
最初に著者のことを知ったのは梅原猛との対談だったと思います。
その博学ぶりに圧倒されて、いつか読んでみようと思っているうちにすぐ
3年くらいたってしまいました。歳をとると時間のたつのが早い!

中味はとにかく目から鱗が落ち続けて、目がなくなるんじゃないかと思うくらい
面白いです。漢字の話だけではなく文字にまつわる古今東西あらゆる方面の話が
出てきます。

ダ・ヴィンチ・コード 角川書店

閉館後の静寂に包まれたルーブル美術館で起きた殺人事件をきっかけに、明るみに出た不吉な筋書き。それは、キリストの時代以来、ある秘密結社により守られてきたベールをはがすものだった。殺人の被害者は、古くから連綿と続くその秘密結社の総長。彼は死の直前、不気味な暗号を犯行現場に残していた。その暗号を解くことができるのは、被害者の孫娘で著名な暗号解読者でもあるソフィー・ヌヴーと、高名な象徴学者のロバート・ラングドンのみ。ふたりは事件の容疑者となる一方で、ヌヴーの祖父の殺人事件のみならず、彼が守り続けてきた、古くから伝わる驚くべき秘密の謎をも調べ始める。警察当局と危険な競争者の追跡を間一髪ですり抜けながら、ヌヴーとラングドンは謎に導かれるまま、息つく間もなくフランスとイギリスを、そして歴史そのものを駆けめぐる。

とにかくめちゃくちゃ面白かったです。最近読んだ本の中ではピカ1。キリスト教って・・一体・・・
お金が無いのでペーパーバックのほう読みましたが(1000円くらい)、
日本語で読んだほうが多分面白いだろうと思います;^^)

黒と茶の幻想 恩田 陸 著 講談社

華麗にして「美しい謎」、恩田陸の全てがつまった最高長編
――目の前に、こんなにも雄大な森がひろがっているというのに、
あたしは見えない森のことを考えていたのだ。どこか狭い場所で眠っている巨大な森のことを。
学生時代の同級生だった利枝子、彰彦、蒔生、節子。卒業から十数年を経て、4人はY島へ旅をする。
太古の森林の中で、心中に去来するのは閉ざされた「過去」の闇。旅の終わりまでに謎の織りなす綾は解けるのか……?


本は目に付いたものをいいかげんに読んでいくので、面白いものを読み逃すことも多いです。
名前の印象から何故か日中戦争のころの戦記物を書いている人と思いこんでいて、
はじめて作者の本を読んだのは半年くらい前。以来目につく毎に読みあさっています。
当然、最高作かどうかはわからないのですが、完成度は「麦の海に沈む果実」と同じくらい、
あるいは勝っているような気がします。
作者はまだ30代のはずなんですが、読んでいて才能に目がくらむ個所がいくつもありました。
魅惑的な屋久島の森とより深く蠱惑的な心の闇・・・・・・・。
  

「中東現代史」 藤村 信 著 岩波新書

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【著者紹介】
1924年生まれ。東京大学文学部卒業。中日新聞社パリ駐在客員。国際ジャーナリ
スト。著書に「砂漠に渇いたもの」「プラハの春モスクワの冬」「ユーラシア諸
民族群島」など。




そもそも「中東」とは何か・・・ということからはじまって、イラク戦争の本質
まで、戦後の中東のことだけではなく、ジャーナリズムとは何なのかということ
も合わせて教えてくれる絶対お奨めの一冊です。


 

 映画「殺人の追憶」・・・

映画の内容、レビューはここ。 殺人の追憶 暴力が社会の全てを浸していた二十年近く前の韓国。その濃密さが連続暴行殺人 という重苦しいテーマを軽く押し上げてしまう・・・・。「シュリ」以上の完成度。 金沢ではもうやっていませんが、DVDが出たら是非。ラストのシーンで??? となった人は「殺人の追憶」薄井ゆうじ の最後のほうを立ち読み!

「意識と本質―― 精神的東洋を索めて」  岩波文庫

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「意識の形而上学―『大乗起信論』の哲学」 中公文庫

井筒 俊彦 著 どちらも今更説明するまでもない名著。この二冊を読んで、自分の中の「東洋」が変わった。
[ASAI]