西興部猟区体験記

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 以前から興味のあった西興部の鹿猟区 に入猟する機会がありましたのでご紹介します。 2007年2月

1.入猟準備

 平成19年1月に時間が取れることになった為、西興部猟区にメールにて入猟日を相談。 日程が合わず(土日は早めに申し込まないと予約で一杯のようです)、2月某日にて 調整しました。
 必要書類を郵送で送って貰い、入猟申込書と狩猟者登録証のコピーを返送します。
 宿泊は村営ホテルの森夢に別途電話を入 れて予約しました。

 今回は夫婦で1日入猟としましたので2名で承認料6万円を事前に振り込んでおきます。

2.西興部へ移動

 今年は異常に雪が少ないため、西興部まで車で移動しましたが道路状況はよく、 夏タイヤでも何の問題もないぞという感じでした。高速では何故か50Km規制が 入っていてかつご丁寧にパトカー先導だったため逆に思いっきりストレスが溜まりました。

 移動途中に士別にて昼食をと思い、せっかくなので士別綿羊牧場に寄ってそこで食事としました。  流石に真冬に訪れる人は少ないようで閑散としていました。しかも途中の道は吹き溜ま りになっていて普通の人なら躊躇するような道になっていましたね。

綿羊牧場1綿羊牧場2  牧場にある建物です。2階がレストランで、1階がショップと体験館(冬場はスノーモ ービルに乗れるそう)となっています。2階レストランからの眺めは最高で、冬場は真っ白 な丘と遠くに士別の町並みという絵のようなものでした。
食事は、ジンギスカン定食と羊飼いのカレーというものを頼みました。ジンギスカンは既に 焼きあがった状態で出てきますが、伝統的な感じのものでした。羊飼いのカレーは意外にス パイシーでした。

 食事後は名寄経由で西興部に向かいます。どうもこの辺の方は法定速度を遵守される方が 多いらしく制限速度丁度で走られる車の後を走ってストレスが溜まる感じでした(たまたま かも)。しかし、パトカーも多く見たので案外助かっていたのかもしれません。

森夢  森夢には夕方早くに到着。まずはチェックインをします。事前予約で和室を頼んでいたので 2階でした。猟行の場合、結構荷物が多く店開きして装備の点検等を行うのでベットの部屋より も和室のほうが都合が良いので我家の猟行では出来るだけ和室を取るようにしています。

 とりあえず荷物を置いたら温泉へ。露天が無いのは残念ですが広くて気持ちの良い(なんと いっても空いていたし)お風呂でした。

3.事前打ち合わせ

 食後マッタリとしていると猟区のガイドさんがロビーにみえて翌日の打ち合わせを行います。 ダブルキャブのピックアップでガイドしていただけるとのことで、最低限の個人装備としてはテッポ・弾 と解体用ナイフがあれば良いみたいです。降雪時期なので回収には山スキーかスノーシューを 使うとのことでしたが、両方とも用意していただけるとのことでした。今回山スキーとスノーシュー を一組ずつ持って行きましたが、自分は持ち込みスノーシュー(買ったばかりで未使用)を、 かみさんには用意していただいたスノーシューを貸してもらうということにし、持参した山スキー は荷物になりそうなので使わないことにしました(この判断が後に・・・・)
 翌朝は、未降雪時期には夜明けと日没近辺に鹿が良く出没するが、降雪時期には逆に夜明けから 少し経った方が良く出ているとのことなので8時半にホテル出発となりました。

4.猟区体験

 ホテルの朝食は7時半からなので猟行としてはゆっくり起きて朝食を取り、ロビーで待つことしばし。 ガイドさんが時間少し前に見えられたので妻を紹介(昨夜の打合せ自分のみ)し、持参のスノーシューを 積み込んで出発します。

 朝一番は一番ホテルから近い猟場に案内していただきましたが空振り。残念ながら出ていませんでした。

 次の猟場に移動。100mオーバーの青木の下にオス2頭発見。車を降りて道路から出て銃カバーを外し弾を 装填(自分の銃は着脱弾倉なので弾を入れた弾倉を入れるだけ)。それでも鹿は逃げずにいます。これは 頂きという感じで発砲。が、鹿はゆっくりと移動して見えなくなる・・・・。つまり外れ!

 ガイドさんにまだまだチャンスはあるからと慰められ、流しを再開。

 少し移動したところでメス1頭を発見。これは準備に手間取っているうちに見えなくなりました。

 村境の近くまで流して、Uターン。少し走ったところでメスの親子連れを150mぐらいの距離で発見。 今回はかみさんメインでフォローに入ります。かみさんが発砲するも外れ、動き出したメスに発砲。 これまた外れで逃げられる。オイオイ何のためのフォローだよ。更に2発連続外しかよ!と一人突っ込 み。ちょっとしょげる。

 更に移動後、沢の中にメスを発見。少し先から戻るように道路から外れて近づくが、立木に絡みなかなか 撃てません。どんどん立木の濃いところに移動して行きこれを断念。早い段階で立木越しにでも撃てば良かったかも。

 更に移動した後、別の沢の中にオスばかりの群れを発見します。ちょっと距離はある(220mぐらい)が 手頃な角(実は刀掛け用に小ぶりの3叉4梢の角が欲しかった)のオスがいたので膝撃ちで発砲。 獲物はピョンと跳ねて見えなくなりました。たぶん当たったということで捜索へ。

オスジカ  ガイドさんは山スキー、自分たちはスノーシューを履いて捜索・回収に向かいます。
今回スノーシューは初めての体験でしたが、平坦なところでは山スキーの方が疲れないことを体感しました。
こんなことなら山スキーを持ってくるんだったと少し後悔しながら進んでいくと先行したガイドさんから○のサイン。

 どうやら獲物は仕留めたらしい。現金なもので足取りも軽く現場に到着します。当たった場所から10メー トルぐらい離れたところに獲物は倒れていました。弾は首の下から入り心臓を破壊して左わき腹から抜けてました (これは後から解体してわかったことで、射出口はありましたが、弾の入った場所は当初不明)。
この為、心臓と弾頭の回収は出来ませんでした。
 このシカは解体場で重量を測ったところ113Kgありました。

 直前2回連続で外しているのでスコープの狂いを(言い訳?)考えていましたが、今回はしっかり狙 い通りに当たったので腕のせいか・・・。負け惜しみでは有るが、今回使用したSAKOはクリーニン グ後の2発はバラける傾向がベンチレストで確認済みと名誉のため付け加えさせていただきたい(だから言い訳だって)。

 さて、どうやって回収しようかとなり、ガイドさんが持って来たロープで縛り、とりあえず人力で 車の近くまで引張ることとなりました。ショートカットで道路に近づこうとなり引張り始めます。まず、沢 から上げるのに一苦労。日頃ペンより重いものは持たず、歩くこともない生活のため(歳のせいもある?) 体力が極端に落ちていて全然引張れない・・・・。日常の体力づくりがハンティングにも重要と強烈に 再認識されられました。

 引張ることしばし。最後の難関の崖は人力では無理なため。車で引張りあげることとなりガイドさんは車に移動。車から延ばしたロープと 鹿に結び付けているロープを互いにもやい結び にして連結(する予定だったが自分が結び方を間違えてしまった)します。
 自分は崖下、ガイドさんは車で省電力トランシーバーで連絡を取りながら少しずつ引き上げます。途中鹿が木に何度か引っかかったり締まっ た雪の下に潜り込んだり、ロープが切れたりとすったもんだした挙句何とか回収成功。ちなみにかみさんはスノーシューを履いて崖を登れなかったため 往路を戻ることにしました。スノーシューは立木の込んだところでは小回りが利いて使いやすいですが、急な坂の登坂は難しいので 今回の猟場では山スキーの方が使いやすかったかもしれないですね。

 結局回収に2時間以上も掛かってしまいました。

 回収した鹿を車に積み、流しながら解体場へ向かいます。
 解体場は猟区占有のものではないとのことですが、使用料(3,000円/頭)を払えば使わせていただけるとのこと。

オスジカ1オスジカ2オスジカ3


 まずは解体場中央の溝に背骨を入れるように仰向けにし、腹を裂きます。 その後胸骨を切り離し頭を下にして吊り下げ、 食道・気管を切断。横隔膜も切り離し、最後に直腸を切断して内蔵一式を取り出します。

オスジカ4  内臓を抜いた後、左わき腹から抜けた弾痕を内側から見たもの。
338Lapuaのバーンズトリプルショックにしてはあまり派手ではない射出口でした。

 まだ終猟まで時間が有るとのことで、かみさんの獲物を探しに出発します。

 解体場から少し離れたところでメス発見。発砲するも残念ながら外れ。

 更に少し進んだところで180mぐらいの距離でメスの親子連れを発見。かみさんが発砲準備に入ります。立ったままなので 無理だろうから坐って撃てばと言おうとしたところいきなり発砲。あらっ?当たっちゃった!ガイドさんもお見事と 祝福。

メスジカ  弾は正面の首から入り、脊椎を傷つけそのまま抜けたため即倒したが即死ではありませんでした。今回は獲物までほぼ平坦な 地形だったのでソリを車から降ろし、山スキーとスノーシューを履いて回収に向かいます。推定体重も70Kg強とあまり大 物では無かったので、前回とは違い特に問題も無く(自分の体力は別)車まで引いてこられました。

 既に3時になりかかっていた為、急いで解体場に戻ります。先に腹を抜いていたオスが天井からぶら下がった ままになっていたのでこれを降ろしてスペースを空けます。

メスジカ  オスと同様に腹を抜き、その後、下に降ろして剥皮を行います。背中以外のあらかたを処理したら後ろ足のアキレス腱 にフックを掛けて再度頭を下にぶら下げで皮を完全に剥ぎます。

※皮を剥いだ鹿は見方によってはグロテスクかもしれないので写真はあえて載せませんので御理解下さい。

 前足、内ロース、背ロースの順に大バラシして行き、最後に後ろ足を切り離します。メスについてはガイドさんが教え てくれて実体験しながら進めて行きました。私は吊り下げての解体は初体験でしたので興味深かったです。 今回オスについては解体時間が短かったためにガイドさんが手際よく大バラシまで行ってくれました。

 今回、オス、メスを解体したわけですが、脂ののりがまったく違います。メスはたっぷり、オスはガリガリでオスの苦労が 偲ばれます。なのでオスの大物を撃ちたい場合は出来るだけ早い時期に入猟するのが良いかもしれません。

 大バラシした2頭分の肉を自分で持ち帰るために運搬容器(持参したもの)に移し、ホテルまで送って頂きました。

5.精算

 ホテルに到着し、ガイド車から必要な荷物を降ろしたところでホテルロビーにて精算を行います。
 今回は夫婦2人で1日入猟。各1頭づつ射穫し、2頭とも解体場を借りて大バラシまで行いました。
 ・ガイド料 20,000円
 ・解体場利用料 2頭×3,000円=6,000円

6.費用計

 夫婦2名で1日の入猟でした。実際には入猟日の1日前にホテルに移動し、入猟日は泊まり2頭確保で翌日 に帰宅というコースでした。

 費用の集計
  ホテル(森夢)代 2泊和室4,200円×2名×2泊=16,800円
  猟区承認料           30,000×2名=60,000円
  ガイド料                   20,000円
  解体場利用料           3,000×2頭= 6,000円
                      計  102,800円
  ※この他に食事代、西興部までの移動代が別途かかっています。

7.終わりに

 今回初めて猟区を利用してみました。基本的にはガイド付きの車による流し猟となっています。
 ガイド付きと言ってもハンターが外した獲物を撃ってくれるというものではありません。ガイドは  獲物の発見、回収、解体についてハンターを指導してくれるタイプとなります。

 実際に獲物は多く、一発勝負ということでは有りません。今回も撃てる距離で見たシカの数は多数 でした。流石に猟区という感じで、道東等では鹿の回避が早く、車を止めただけで飛ばれますので撃 つのは大変で時間的余裕も無いことが圧倒的です。一方西興部ではよほどモタモタしていない限りそ う簡単には逃げないので落ち着いて(時間的には)撃つことが出来ます。

 解体についても解体場での吊り下げ式を実行できるので確保した肉の汚れも少なく衛生的です。 今回私は自分で持ち帰りましたが、クール宅急便での発送も出来ます。

 西興部猟区は類似の施設が他に無く、今後多くのエゾシカハンターの技術向上に寄与していき続ける ことでしょう。最近のハンターの急速な高齢化を鑑みても新人ハンターの育成は非常に重要な課題と 思っています。

これで拙い西興部体験記を終わります。


使用銃 今回使用した銃は左の写真のものになります。
 ・上 SAKO TRG-S 338Lapua(自分)
    スコープ:ブッシュネルレジェンド5-15倍
    弾頭  :バーンズトリプリショック225gr
 ・下 Winchester M70 300WSM(妻)
    スコープ:リューポルドVX-T4-12倍
    弾頭  :バーンズトリプルショック168gr


(平成19年3月10日追記)

さて、このようにオス、メス2頭の獲物を手に入れたわけですが、オスの方は肉が硬いので肉を一部ソーセージに加工しました。 以前は自分でもチャレンジしていたのですが、あまり満足できるものが出来なかったので今回はcharryhouse さんにお願いしました。

ソーセージ 約1ヶ月の作成期間で出来上がってきたクラコウソーセージです。上の太いほうがクラコウBタイプ、下の3本セットになっているのがクラコウAタイプです。
クラコウBタイプで長さ約14cmとなっています。

ソーセージは加熱済みなのでそのままでも食べられますし、加熱(焼いても、茹でても)しても美味しいです。

添えてある装弾は、今回使用した338Lapuaと300WSMです。


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