大人の宿題・確定申告
 
 「確定申告」、堅い言葉だ・・・。
 「核」「停」「深刻」など、なぜかあまり好ましくなさげな単語も連想されてくる。

 「カツ定 新香(トンカツ定食お新香付)」「カキ定 新香(カキフライ定食お新香付)」くらいであれば、ぐっと僕のキャラクターに近寄ってくる。
 更にくずしてみると「かってえ(固い)ちん○こ」などともいえないこともない。ボキャブラ的センスの良い?読者なら○に何が入るかはすぐおわかりになるか・・・・・・いかん、話がそれそうでした。無駄なボキャブラはここでやめておくことにする。

 今回で確定申告に行くのは4回目である。
但し毎回状況が違っていて、今回は個人事業主として初めての申告になる。
1回目は学生時代のアルバイト収入で。2回目と3回目は、中途退職と中途入社のからんだ年調未済サラリーマンのケース。そして今回となる。

 今回は4回目と述べたが、それまでの3回は、指導員が手取り足取り1から10まで面倒見てくれた。言われるがままに記入し、提出していた。
今回は個人事業主用の「決算書」なるものも作成したり、自分でやらなければならない部分がでてきた。
納税の可能性もある。

 本当に確定申告がらみの処理は期日間際まで一切手をつけていなかったので、夏休み最後の日にたまった宿題を、涙にむせびつつ片づけるが如く、申告締め切りもあと数日とせまった、良く晴れた休日、憂鬱になりながらも事務処理に手をつけた。
まずはレシートを一枚一枚チェック。
ゴミのようにたまったレシートを日付順にならべて、経費帳に記載していく。
まあやればなんとかなるもんで、当初は徹夜も覚悟かと思われたが、3〜4時間くらいで、レシートの整理も済んだ。
ここまでくれば決算書も手引書が添付されていたので、それを見ながらなんとか体裁を整えることができた。
確定申告書も大方書き上げることができた。只数ヶ所税務署に聞かねばならぬ項目もあり、それは当日現地で聞いてから書類を仕上げることとする。
とりあえず一安心。

 ところで確定申告はもちろん税金を納めるために行うのであるが、サラリーマンは源泉徴収といって毎月あらかじめ給料から納税をしているので、確定申告は行わなくてもいいようになっている。その上毎月の徴収された額が本来の年間の納税額より多ければ税金が還付されることだってある。
かくいう私も年度の途中までは、それまで所属していた会社から源泉徴収してもらっていたので、今年も還付の可能性は大いにあった。
 納税と還付では天国と地獄である
「納税」という言葉は「No!」「ぜえ」、といかにも否定的なイメージだ。
片や「還付」というと語尾が「プッ」などど、いかにも女の子がうっかりこいてしまった屁のようでもあり、かわいげがある。・・・ちょっとこじつけちゃった気もしないでもない・・・
ともあれ、今回の確定申告では、自分で計算したところ還付になり、これはラッキーと素直に喜んでいた。
 

 明日が締め切りの3月14日、やっとのことで日野税務署に書類提出へと向かう。以前ここに来たときは京王線の高幡不動駅から来てちょっと遠かった記憶があった。
今回モノレールの万願寺駅ができ、噂では近くて便利になったとのことだったが、やっぱり遠かった。体感遠方度は高幡不動となんら変わりない。短調な開発途上新興住宅地の続く、万願寺からの風景を考慮すると、モノレールからの行程の方が遠く感じないでもない。只しモノレールはなんといっても空いているという利点があるので、私としては今後もモノレールを利用したい。

モノレール駅を降りた時点では、周りにほとんど人がいなかった。

 モノレール駅から僕の前を歩いていたご婦人は、駅を出た途端一目散に西の方角にむかって走り出す。
これは「申告の人」だと、すぐわかる。良い順番を取ろうと必死なのであろう。
会場付近に近づくとさすがに人や車が沢山見えてきた。

 明日が締め切りというので、僕は会場はもうさぞかし、人が人を押しのけ、人が人を食らわんばかりの勢いで場内を行ったり来たりしていて、指導員の「何度言ったらわかるんだ!」の怒号、順番を争うもの達の醜い争い・・・といったような、阿鼻叫喚の地獄絵さながらの状況を想像していたのであるが、プレハブの会場の中は、確かに混んではいたが、意外に静かでそんな殺気立った様子は無い。
座って思い思いの申告書を書く人からは、自分の申告書で手いっぱいの苦悩の様子が見て取れる。
年齢層の高い、ちょっと混んだ図書館という感じである。
様々な人種がいる。

 指導員に指導を受けるための机がズラっと並んでいる。
横に3つくらい指導を受けずに自力で記述のみする為の、言ってみれば「俺は一人でできるもんね席」がある。
そこも満席で、結構剛の者はいるもんである。

 書き上げた人は、提出受付の机の前に並んでいる。まだそんなに人数はいない。その人達の表情には地獄から脱出したかのような優越感、そういった人種のみが感ずることのできる一種のエリート感が見て取れる。

 僕もまずは指導を受けなければ作成できないので、指導要机の方の列に並んで待つ。10分くらいで空きができる。
以前地元で説明会をやった時、税務署の指導員はひっぱりだこで、休む間も無い感じであったが、こちらは人数も多いせいか、指導員にも暇な瞬間が何度もおきていた。

 書きながらわからない箇所を指導員を捕まえて質問する。もどろっかしいオバサンには多少冷たそうにしているむきもあったが、僕には幸い指導員はやさしかった。

 最後に印鑑を押し最終確認のため指導員に見せた時、指導員の表情が曇ってちょっと語気が荒くなった。
なんと収入の記載金額を間違えていた。還付になる場合は、さすがにチェックが厳しいようである。
申告書はこれでボタンのかけ違い現象が起き、一転して訂正印だらけの書面と化す。

 しかも恐れていたことが起こる。
再計算すると、税額がドキっとするような金額になる。なんと結局納税になってしまった!。
落胆!
年の途中まで雇われ人だったので、高をくくっていたのだがやはり甘かった!・・・
たまたま源泉徴収されていたので追徴額がそれ程で無かったので良かったものの、これは良い教訓になった。
税金をみくびるな!

 何はともあれ、ようやく申告書もできあがったので、作成してあった決算書と一緒に提出。受付印を押してもらったのを確認して終了。
肝心の納税は、振り込みが面倒くさかったので、銀行引き落としにする。その場でハガキ状の書類を貰って必要事項を記入、これは「俺は一人でできるもんね席」で記入、これで僕もエリート列の仲間入りじゃ!あとはそれをポストに投函するだけだ。

ほぼ40分くらいで、全ての作業を終えることができた。

 実は地元の市役所でも受付はしていたので、そちらへ行っても良かったのだが、今回は諸事情で税務署に直接行った。まあ、やはり近いところの方が心理的負担が軽くなりそうなので近場ですませるのが今度からはいいかもしれない。
あと納税用のお金は普段からこまめにプールしておいたほうが良さそうだ。確定申告時に納税金額を見て腰を抜かす事態は避けたい。

何はともあれ、宿題が片づいて一安心。
やれやれ、何歳になっても宿題ってつきまとうんだよね。
人間っていつになったら宿題から解放されるんでショ?。
 
 (2000.4.15)

    ●上記レポートを読む場合の推奨BGM
                  ベートーヴェン:「ピアノ協奏曲第五番 Eb op73(皇帝)」 (グルダ・ウイーンフィルハーモニー管弦楽団)


爆笑レポートindex