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作品名 | 演奏 | 一言 |
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●弦楽四重奏曲第14番
op131 |
アルバンベルク四重奏団 | 以前、岡本太郎氏が「芸術は爆発だ」というようなことをおっしゃっておられたと記憶するが、クラシックの音楽家でこの言葉から思い付くのはやはりこのベートーベンである。
これは私の勝手な邪推編その1ではあるが、ベートーベンは幼少の頃、父君に非常に抑圧的な音楽教育を受けたため、そのころの鬱積されたストレスが、後年作品にはねっかえっていったのではないかと、とつい思ってしまいたくなる。ピアノ協奏曲第5番の「皇帝」の一番出だしなぞ、いかにも「ストレス発散!」てな具合であるように。 この後期弦楽四重奏の傑作は、舞曲のような7楽章の構成や、フーガのアダージョをトップの楽章にもってきたりとか、既成概念ではあきたらない、といった気持ちが作品からヒシヒシと窺えてくる。 7つの楽章とも個性的で、私はこの曲を聞きつつ、そういえば現代にも作り方にこんな精神を感じる作品があったなあと思いめぐらせていたが、それはビートルズの「サージェントペパーズロンリーハーツクラブバンド」という作品。こんなとこにビートルズとベートーヴェンの共通点をほじくり出してしまうが、ベートーヴェンも草葉の陰からさぞかし、苦笑いをしていることであろうと思われる。 |
ピアノソナタ30.31.32
op109〜111 |
ウイルヘルム・バックハウス | 音楽を軽薄か重厚かという区分けをもしすることが許されるとしたなら、ベートーベンの晩年の作品、特に弦楽四重奏、そしてこのピアノソナタなどはまさに重厚組の大関、横綱クラスではないか。
もし渋谷あたりのコギャルが「ドビュッシーとかもいいけどー、やっぱー、最後はベートーベン?、32番?」などというようになったら、私はコギャルも捨てたもんではないという気がするが(すみませんコギャルをだしに使って)。 とはいえさすがベートーベンといえるのは時代をかなり先取りした感があり、これは御確認いただきたいが、32番の2楽章では、どうもベートーベンがスィングしてジャズしているように聞こえる気がするが、いかがなもんか。 |
●交響曲9番
op125 |
ワルター
コロンビアSym |
私のようにどちらかというと室内楽曲の方に興味がいくようなタイプだと、この超有名曲について語るのはどこかこう照れ臭いというか、恐れ多いというか、堂々と正面きって「好きだ」と言いがたいものがある。
もしかすると少年時代好きなタイプの女の子には素直になれなくて、わざと冷たくふるまってみたり、なんてのと似たとこがあるのかもしれない(これはモーツアルトの交響曲第40番、41番についてもいえる)。 皆があまりにも、いいいい言うので「僕は彼女なんてタイプじゃないよ・・・」とついつい言ってしまったり・・・。 話がそれそうなのでこれくらいにしておくが、かつて落ち込んだ時など、大変にお世話になった、非常に愛着のある今でもクラシックにおいては5本の指に入るくらい好きな作品であることには、何ら変わりはないのである。 |