KIRIN LAGER CLUB PRESENTS GET'S BOSSA NOVA'97 1997.8.9(土) 15:00〜 at よみうりランド内オープンシアターEAST |
(出演アーティスト) 1.アルセウ・マイア(g) 2.クララ・モレーノ(vo)&ジョイス(vo) 3.イヴァン・リンス(vo,key) 4.All Star レイラ・ピニュイロ(vo)&カルロス・リラ(g)&ロベルト・メネスカル(g)&ワンダ・サー(vo) 5.アストラッド・ジルベルト(vo) 6.パウロ・ジョビン(g)&ダニエル・ジョビン(key) |
●ボサノヴァ誕生40周年を記念して行われた野外コンサート。スター達の夢の共演。 何でもやはり、「生(なま)」の方が重宝されるもんである。 ボサノヴァだって、ビールの如く「生」がある。 今回僕は「生ボサノヴァ」の初体験である。 それまでCDや有線のボサノヴァチャンネル等、の非生ボサノヴァ体験はあったが、「生ボサノヴァ」とは、一体どんなだろう、温かいのか?固いのか?、長いのか?、大きいのか?、いろいろ期待で胸ワクワク・・・
今回は生ボサノヴァというだけではない。その生ボサノヴァを演奏するスター達が、それこそ本場のビッグスター達ばかりなのである。
ところで先程ボサノヴァの生は初めてと言ったが、もう一点非常にお恥ずかしい「初めてもの」があった。 そんなこんなで、初体験だらけの今回、恋人の部屋で勝負パンツを履きつつ、長いのか?固いのか?大きいのか?気持ち良いのか?と期待を胸に抱きつつ、じっと待っている処女のごとく(?何の話しだ?)当日を待ちわびていた。
●灯台下暗し。読売ランド侮るべからず。 当日、近いからいいや、と思って結構ギリギリの時間に家を出た。 僕の入場したよみうりランド京王線側は遊園地の所在する山の上に行くまで、まず「スカイロード」と称する歩く歩道というか、人間用ベルトコンベアのようなものにのっかって、上まで
行かねばならなかった(「スカイロード」は現在は無く、ゴンドラに変わっている)。 しかもこの「スカイロード」は搭乗に際して何と130円の搭乗料をとられる。 やっと乗る事ができたので、「せめて景色でもみるか・・・」と後ろを振り返ると眼前には、色白の太った青年の巨体が立ちはだかり、僕の景色鑑賞の野望はもろくも打ち砕かれてしまった。
「スカイロード」をようやく降りてから、次に僕の高揚した気分に水を 注してくれた事態は「遊園地入り口まで徒歩での距離結構ある」ということだった。
ようやく入園はしたものの、地図を見た時に「会場のEASTまではちとあるぞ」とわかり、次第にあせってくる。 ようやく、会場についた時は3時を若干まわっていた。 ところがまーた、ここで混んでおりました、ハイ。 ●音楽との一体感。ボサノヴァの魅力が堪能できた、素晴らしいパフォーマンス 終演は午後7時半位の予定らしくかなりの長丁場なので、「ここでもうイライラしててもしょうがねえな」、と思いつつビールを購入し、ようやく着席状態までこぎつける。 指定席とはいえ中段よりやや上方。舞台からはちょっと遠い。 飲み物売り場があれだけ激混みするなら、せっかくの野外コンサートなので休憩時間にでもカワイイ売り子のネエチャンでも出せばいいのにと思う。これはスポンサー等に一考を促したい点である。 それにしても観客にはなぜか結構奇麗な女性が多い。 さて、オープニングのアルセウ・マイア氏のインストロメンタルの演奏は既に始まっている。 次のクララモレーノ嬢は、その次に登場のジョイス女史の娘ということで若いせいもあってか、露出の多い服で目を楽しませてくれる。これでまた元がとれる。
「最近はみんなこんなんかな・・・こりゃ当方の聴きに来たサウンドとはちと違いますな。まさかこのノリでこのままずっと行くのでは・・・これだと、can't
get bosa nova ですな。」と若干不安になってはきた。 当初静かなアダルティなボサノヴァを期待していた僕は、それを見て次第にイライラしてきて思わず「テメ、ボサノヴァデガッツスンジャネエ!ハウンドドッグノコンサートジャネエンダヨ!」と叫びたくなる衝動にかられる。
いろいろと不安で始まったこのイベントであり、只でさえ回りに結構かわいい娘がいるので気が散りがちになっているようでもありなどしていたが、その不安も散漫も次のジョイスの登場で一発で消える。
ジョイス以降は期待通りのパフォーマンスが続く。 僕は最初サラボーンで知った「白い波(the island)」という題で彼女がカバーした、イヴァンリンスの「夜明け(Comecar
de Novo)」は、もちろん本人版が聞ける。 特に今回、女性陣のパフォーマンスには、本当にうっとりしてしまった。 長丁場で合間に30分位の休憩がある。 その時に飲み物などを購入しようとでも思ったら、また渋滞にはまってしまうので、舞台のパフォーマンスが間延びする感じがしたら、そこのタイミングで買いに行こうと思っていた。ところがそんな暇を与えない密度の濃いパフォーマンスだった。 女性陣が、うっとりする歌の後、日本語であいさつしてくれるのであるが、ラテン系で巻き舌なので「アリリッガットゴザマス!」というのが 活きのよいフィリピンバーのお姉さん的雰囲気を彷彿させ、密かに失笑してしまう。ま、それも一興か。 ●会場は自然な盛り上がりを見せ、印象的なフィナーレへ その後も、故アントニオカルロスジョビンのファミリー(息子・孫、といっても二人ともいい年)が出演したり, ジョビンのトリビュートコーナーもあり、ボサノヴァの名曲を生でたくさん聴くことができる。 そしてラストはやはり出演者全員で歌い、 ボサノヴァとはいえ、場内は総立ちの状態になる。 盛り上がったラストの「ディザフィナード」が終わってもアンコールの拍手が鳴りやまない。 ところが、いきなり「本日のコンサートはこれで終了致します・・・」のアナウンスが入ってしまい、会場はブーイング。 せっかく途中までは気持ち良かったのに、最後は「イケ」なかった(外国ではcomeというらしいが)というのに似ている。(?何の話しだ?)。 そういえばボサノヴァの生みの親の一人でもあるアントニオカルロスジョビンの、トリビュートコーナーまでしといて、彼の代表曲でもあり世界的にもヒットした「あの曲」が、まだ演奏されず残ってるではないか。アンコールはおそらく「あの曲」だ・・・ ブーイングの嵐がしばらく続いた中、それはすぐに歓声に変わった。 これで会場も画竜点睛という感じで満足のいく一日を終了することができた。 僕も「久々に生でエエモン見せてもろたで、やっぱつけずに生はエエナア、ネエチャン!」という感じであった。(?何の話しだ?)。 空はいつしかすっかり星空になっていた。 僕はと言うと、一人で「夕飯何にすっかな・・・やっぱここは生か!」と考えつつ、アンコールの「イパネマの娘」を口ずさみつつ 、スカイロードの終わってしまったよみうりランドの山をトボトボと下って行くのであった。 (1997.8.19 / 2000.6.1改訂) |