Monologue2002-14 (2002.3.19〜2002.3.24)
「2002.3.24(日)」晴時々曇・ラクカラチャ

 TVから痛く懐かしいメロディが聞こえてきた。CMのBGMのようだ。
 何の曲だったか、いつ聞いた曲なのか記憶を辿ろうとしたが、あまりの古さに曲名が出てこない。
 仕方ないのでテレビを消し、静かな状態でメロディを反芻すると「ラ・クカラチャ」という曲名がふっと浮かんだ。この曲名で、すぐ連想できた。”鼓笛隊の時に演奏した曲だ・・・”。

 小学校の4年から卒業まで鼓笛隊に属していた。モノグサだった僕が良く続いたものだと思う。
 この「ラ・クカラチャ」という曲名については、日本人だと5・7・5の感覚があるので、「ラ・ク・カ・ラ・チャ」と5音節に分けてしまい易い。それで更に「ラク・カラチャ」と切ってしまいがちだ。
 こうなると「楽辛茶」などという妙ちくりんなことになってきてしまう恐れもある。

 「ラ・クカラチャ」の意味など元より全くわからぬ僕等故、必ず誤解しているだろうと思ったのか、当時顧問だったT先生は「ラク・カラチャじゃなくて、ラ・クカラチャだからね」と僕等に言い聞かせていたような記憶がある。

 この顧問のT先生は女性で、当時20代だったと思うが、チャキチャキな感じの、元気が有り僕等にはちょっと恐いくらいのイメージの先生だった。
 鼓笛隊時代の話は、又別途機会があればお話ししたいが、今日はせっかくなので、このT先生に纏わる話をちょっとだけ書いておく。

 T先生は僕が4年の時から、ずっと顧問であった。
 5年の時だったか、いつだったかちょっと忘れてしまったのであるが、要するに遅れて、もう一人副顧問の先生が加わった。
 男性のS先生であった。S先生も若く、快活な僕等にはお兄さん的なイメージのある人であった。

 勘の良い方は、御想像がついたかもしれぬが、このT先生とS先生は後に結ばれ結婚した。
 当時の僕からしてみれば、表面は冷やかしたりもしたような記憶があるが、別に普通の成行きのように感じていた。
 これは子供として「そこに男性と女性がいたら結婚するのは当たり前」みたいな感覚を持っていたからという気もする。

 僕は何が言いたいのかと言うと、二人の結婚が自分の親達のように極自然のように思われていた為、その経過について全く気がついていなかった、気にも止めていなかった、ということなのである。
 つまりその頃の僕など恋愛に関しては、まだまだ未熟で無頓着だったのである(今もだよ、の声有)。

 良く同じ学校内で先生同士が結婚すると言う話を聞くが、そこに艶めかしいものを持ち込んで考えようとするのは、高校生、まあ早くてせいぜい中学になったくらいからであろう。
 小学生の僕等には、単純に理屈のみの理論しか無い。つまり「若いちょうど良い年頃の男女が一人づついる。だったら結婚しちゃえ」みたいな。
 だからその二人の間に、どんな距離があり、どんな会話が有り、どんな経過を経て今に至っているか、など微妙な機微については、全く意識すらしていないのである。

 よく考えてみれば、二人が結ばれたのは鼓笛隊が縁になったからのことなのである。
 だから僕等と先生達が一緒にいた場面でも、二人の間には、いわゆる男と女の秘めたヤリトリがあったはずなのである。
 中には早熟なやつがいて、先生達の異変に気づいていたのがいるかもしれないが、僕は全く気づかなかった。まさに親の夜の営みを気づかなかったのと同じように。

 もし当時ビデオカメラでも設置していて、鼓笛隊の練習を撮影していたなら、両先生のイチャイチャシーン、ラヴラヴシーンが必ずどこかにあったはずなのである。
 タイムマシーンがあったら是非見てみたい情景の一つである。
 もちろん当時の鼓笛隊自体も、とても見てみたいけどね。

「2002.3.22(金)」曇後雨・夢

 雨や嵐の日は人は落ち込んでしまうものだと思っていた。
 いやきっと、それが人として極当たり前のことなのだろう。
 雨や嵐の日は誰だって自然に気分が滅入ってくるものだろう。

 只雨や嵐の日にこそ人を勇気づけられるような、人に力を与えてやれるような歌を唄ってあげられること、そんなことができたら、それは最も価値のある行為となるだろう。
 今の僕には、とてもそんな力のいる芸当はできない。神懸かりにでもならなければできないだろう。

 しかし方向としてはそんな方向を目指したい。こんなことを言うのは些かこそばゆいものであるが、できればいつしか気がついたら自然に嵐の日には人に素敵な歌が歌ってあげられる人になっていたらいいなと思う。

「2002.3.21(木)」曇後晴・又も平凡な春の一日

 起きたら午後3時を過ぎていた。
 花粉症で鼻の詰まった顔の辺りが、酒の匂いでプーンとする。
 先程から窓を激しく風が叩きつけている。春一番というやつか。気持ちいい風というより、嵐が来る前の突風のようである。どんより曇り、二日酔いの日に、なんてピッタリなんだと嘆息する。
 空気はそれ程冷たくは無く、生暖かいようでいて、時折ちょっと肌寒くなるような、微妙な感じだが、完全に春の気ではある。

 しゃがんでいて急に立つと、軽くグラグラする。
 今朝は電車が動いていたにも関らず、敢えてタクシーで帰って来た。
 その理由をタクシーの運ちゃんに、酔いに任せて、この車から見る朝の甲州街道の感じが良いからだなどと、あることないこと得々と語りまくっていたことを思い出す。
 実際は気持ち悪かったのとカッタルかった以外の何ものでも無かったのであるが、車に乗る前に(お食事中の方は大変申し訳無い!)体内消化中物件自動排出が速やかに執り行われた為、意外とスッキリしてしまい、何か気分が良いままに車に乗り込んでしまい、そのままのノリで車内でも喋りまくっていた。
 運チャンも良く喋る方であった。
 しかし実際の所、僕は自分のことなので気づいていない、衣服に僅かだが付着していたかもしれない先程自動排出なすった体内消化中物件残骸の放つ甘酸っぱいような異臭が、運チャンに更なる悲劇の予感をさせ、無意識の防御策をとらせたのであろうか?。”この客を黙らせてはいけない”。

 ・・・そんなことを思い出しつつ、上着のポケットを整理していると、今朝方までいたオネエチャンの店の伝票が出てきた。ほとんど飲んでいただけなのでツマミは注文していないと思っていた。
 しかしオーダーの欄に、なぜか1行だけ「梅干し ¥800」と書かれていた。
 「梅干し ¥800て・・・」、そう言えば時間が来てラストオーダーと言われ、ウケねらいで”梅干しっ!!”などと叫んでいたことを思い出す。

 コンビニに買い出しに行こうと思った所、昨日自転車が壊れたのを思い出し、途端にブルーになってきた。
 この辺りは自転車が無いと、それこそ未開の秘境に逆戻ってしまうのである。
 自転車のペダルを踏むと、ペダルだけが時折り空回りしてしまい、車輪が動かないという厄介な病気になった。
 見た目には、どこが壊れているかサッパリわからない。
 実は先日ギアのワイヤーもバチンという大きな音を立て切れてしまった。
 今まで壊れては直しつつも騙し騙し乗って来たが、14年と言う歳月を経て、いよいよ寿命を迎えるのだろうか。
 とりあえず、昨日の壊れたのは突発的な出来事で、もしかしたら今日は直っているんじゃ無いか、などという全く根拠の無い希望を抱きつつ、突風の吹く山里を自転車に乗って外出してみることにした。

 これが乗ってみると最初は大丈夫なのであった。
 しかし、これが幻想であることに気づくのは、そんなに遅くは無かった。
 行きは下り坂で追い風、ペダルにそんなにチカラをいれなくても漕げたのが問題を包み隠すことになった。
 どこかの家から飛びだして来たのだろうか、風呂に敷くマットが突風に煽られ、僕の自転車と全く同じ速度で、バタンバタンと転げ回って併走してくる。

 コンビニからの帰りは、逆風で上り坂、ペダルに思い切り力を込めなくてはいけない。
 これで問題が噴出。時折どころか、ほとんど空回りである。
 しかもこんな時に限って、風に乗ってへんな砂ぼこりが舞い、僕の目を襲ってバランスを失わせるし、こんな時に限って、山里のいつもはほとんど車の通っていない 狭い田舎道に、休日のせいか車が我が物顔に走って、僕のバランスを失わせる。
 ”ナンダヨ、コンチクショ、クソッタレ”などと空しい罵詈雑言を風に向かってホゲホゲいいながら吐き捨てつつ前に全く進まない自転車の空回りのペダルを漕いでいる中年男性の様は、さながらうらぶれたピエロのようでもある。
 まさに「行きはよいよい、帰りは恐い」である。
 これで本日のイライラタイムを済ませた後、結局自転車を押して帰ることになった。

 気を取り直し買って来たモー娘のDVDを見る。モー娘が良いのは言うまでも無いが、松浦亜弥ちゃんが輝いていたのが結構収穫。
 少女達のキュートなパフォーマンスに鼻の下をデレデレとのばし、伸び切ったところで好きな音楽を流す。

 山下久美子のデビューアルバムに入っている「次の駅についたら」。
 これは恋に破れた女性が、男に未練を残しつつも今まで住んでいたとこを引き払って別の街で心機一転新しい生活を始めようとする歌。
 ”シュッシュ、シュガシュガー、レインー、トレイン”という、どこかホノボノとした響きの中にも、甘く切ない恋心のあるフレーズが印象的な曲。僕も合わせて東京に来た頃の、どこか不安と希望の入り交じった切ないような気持ちを思い出すのであった。

 山下久美子でちょっとキュンとなった後は、ワーグナーの楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」の第三幕で、騎士ヴァルターの歌う懸賞歌を聴き、しばしの陶酔感に浸る。このロマン派コッテリの楽曲は、二日酔いの朦朧とした頭に程良い心地よさを与えてくれるものだ。

 夜「恋のチカラ」と、ビデオに撮っていた昨日の「続・平成夫婦茶碗」を見終えると、もう遅い時間である。
 外は夜になって、すっかり星空が見えてきたようだ。
 今頃晴かよ・・・、もっと早く晴れてくれたら、街道散策できたのに・・・、ま、でも今日はどっちにしろ朝帰りで一日つぶれたのだけどね。

 こうして春の一日は平凡にこれといった何事も無く過ぎて行くのであった、とさ。

「2002.3.19(火)」晴・又部屋が・・・

 産休していた椎名林檎が活動を再開するそうだ。なんでもカヴァーアルバムを制作しているらしいが、ビートルズの「ヤー・ブルース」という曲などを録音するようだ。
 この「ヤー・ブルース」は、「ザ・ビートルズ」通称「ホワイトアルバム」という作品に入っている、ジョンレノンの曲である。
 ちょっとヘヴィーな絶叫系ナンバーで、詩も曲のイメージも、もしかしたら椎名林檎にピッタリかもしれない。ちょっとどんなになっているのか聴いてみたい。発売は5月らしいが(また遅れるのだろうか)。
 できればジョンのソロ時代の「マザー」とか「パワートゥーザピープル」とか歌ってくれたらないいのにな。
 それ、かなり聴いてみたい。

 「男女七人夏物語」のDVDも買いてえ・・・。
 明日はモー娘。のDVDも出るしな・・・。欲しいもん又増えて来ちゃったな。
 そう言えば、ヨッスイー(吉澤ひとみ)・チャーミー(石川梨華)の僕の中ではモー娘白眉のゴールデンコンビ主演の映画「とっかえっ娘」も間も無く全国で上映される。こちらは映画館では無く、市民ホールなどでの持込み上映らしく、チケットも上映劇場などで販売するらしい。
 ああー見たい。でも40前にしたオッサンが行ったら浮くだろーなー・・・。

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