Monologue2001-57 (2001.9.25〜2001.9.30)

「2001.9.30(日)」曇後雨・解決までに

 ここのところショッキングな事件が引き続いて起ったりして、そうしたくなくとも無意識に沈みがちになってしまうこともある今日この頃である。
 そんな中、今日の高橋尚子の女子マラソン世界記録の達成は、明るいニュースとして僕等に光明を与えてくれる。
 かつてビートルズなどもケネディ大統領暗殺で暗い冬に沈むアメリカに、熱狂と歓喜をもたらしたように概してスポーツ選手やアーティストは、僕等の心に光と希望を与えてくれるもんである。
 これは人間の行為の中でも最も価値のある行為の一つであろう。

 高橋選手の価値ある記録は一朝一夕にできあがったものでは無い。
 昨今絶望的な事態が頻出し眼前に繰り広げられているが、その解決として破壊的な行為に至ってしまうことは、解決までの繊細で緻密な努力を途中で放棄した、言わば怠惰で安易な道を選択するということになる。
 真の解決に至る為には忍耐と冷静さ、時には長い時間が必要かもしれないが、それは不可能では無く可能なことなのだと信じ祈っていきたい。

「2001.9.29(土)」晴・笑いとは

 「笑い」という行為はなぜ存在するのか?。
 笑うと緊張がほぐれる。
 しかしこの言い方だと笑いの本質は捉えていないような気もする。
 「笑うと緊張がほぐれる」のでは無く、「緊張という状態をほぐす手段として人は笑いと言う行動をとる」すなわち「緊張をほぐすため」に笑いがある、のでは無かろうか。
 だから笑えば緊張がほぐれるのは当たり前、ということになる。
 「食べると生きていける」という言い方は、あまりしないだろう。
 「生きていく為に食べる」という言い方をする。
 「笑うと緊張がほぐれる」は「食べると生きていける」という言い方と同じなのでは無かろうか。

「2001.9.28(金)」曇後晴・自分の曲が

 良くテレビ・ラジオその他映画でもクラシックの曲が使用されているが、良く考えるとこれは素晴らしいことだと思う。
 例えばモーツアルトが今、自分の曲が流れているのをテレビで聴いたらどんな気分だろう。
 自分が生きていた実に200年以上未来である現在でも、普通に巷に流布している自分の曲を聴いたら、どういう気分だろう。
 「あれ?、これ俺の曲じゃん!、まだ聴かれてるんだ!」などと思うのだろうか。

「2001.9.27(木)」晴・南武線・・・かよッ!

 僕が通勤で利用している川崎〜立川を結ぶJR南武線は女性客の絶対数も少なく以前は電車も遅れることがしばしばで、何かと泣かされていた。
 最近僕の乗る時間に電車が大幅に遅れることは無かったが、今日は久しぶりに憂き目に会った。

 朝家から自転車で駅に向かい、駅の横の踏切に差しかかるとホームの方から駅員の「えー、皆様には大変ご迷惑をおかけしておりますが・・・ムニャムニャムニャ・・・」と、何やら尋常で無い様子のアナウンスが聞えてきた。
 ちなみに「ムニャムニャムニャ」の部分は、ちょうど横を自動車が通りかかり、何を言ったかが聞き取れなかった。
 「え?、何々?皆様には大変ご迷惑をおかけして、その後何?何?」

 僕は嫌な予感に苛まれつつ駅に向かったが、案の定来るべき電車が来ていない。
 どうやら車両故障があったらしくダイヤが乱れ始めていたようである。

 15分ほど待ってようやく電車が来た。
 しかし電車は満杯で殺人的状況を呈している。とても乗れそうに無い。
 次第にイライラしてきた。
 これからしばらくこんな状況が続くかと思うとテンションも上がり切り、頭の中は完全に「さま〜ず三村氏」になってしまう。
 15分とは言え、この時間この15分でこの弱小駅のホームには、いつもは順調にはけているはずの乗客が一杯溜まってきてしまった。
 「お祭りかよッ!」

 仕方なく当駅始発の次の電車に乗ることにした。
 当駅始発の電車はいつもはスタートはガラガラなので、僕も良く利用しているが、さすがに今日は満員とまではいかないが、溜まった客がドッと乗って来て嫌な雰囲気を醸し出し始めた。
 「スタートからコレかよッ!」

 次の駅ではいつもチョコッと女性が乗ってくるのであるが今日は女性が全然いない。
 「どこ隠したんだよッ!」

 次の駅に至っては女性どころか男性の大軍がドッと雪崩れ込んで来た。
 「ここ野郎の惑星かよッ!」

 駅を通過するごとに女性も少しは乗って来たようであるが、僕の前には男性の夥しく厚〜い層が出来ていて僕と女性の接触を完全に断ち切っている。
 「万里の長城かよッ!」

 しばらくして登戸に着く。
 ここは小田急との乗り換えがあるので多少は人が降りて清々するかと期待していたら、その日はなぜかポロポロと数人が降りただけであった。
 「シカのフンかよッ!」
 更にあろうことか降りた数倍の数の乗客、それも大半が野郎、がドッと雪崩れ込んで来た。
 「返り討ちかよッ!」

 僕も又更に奥に押し込まれるが、僕の流れの前にいた野郎が、もっと奥に詰めればいいのに、その先に女性がいるのでそれに気兼ねしてるのか何なのか知らぬが、女性に接触しないようにとメチャクチャ踏んばっている。馬鹿じゃネエカと思う。
 「この期に及んでオレにブロックかよッ!」

 僕は後ろから押されるは、その野郎に引っつくわでムカツいたので、その野郎をかわし僕が女性のほうへ行ってやろうと思ったのだが、運悪く別な若者に先を越されてしまった。
 「漁夫の利かよッ!」

 車内は既に飽和状態。それにしても相変わらず女性がいない。遠くのドア付近と先程の野郎の向こう側などにポツポツいるだけである。
 「こんだけかよッ!」
 こんな満員の電車こそ合法的に女性に接触できるチャンスであるはずなのに、今日に限って全く恵まれない。僕の回りには強靭な男性包囲網が張り巡らされている。
 「鉄壁のディフェンスかよッ!」

 こんな満員時、男性と向き合うことなど死んでも避けるよう最大の努力をするが、どうしても後ろに男性がつくのは避けられない。
 チラッと後ろを振り返ると、すぐ間近に野郎の薄汚い顔がヌッと現れ、一瞬ゾッとする。
 「ホラー映画かよッ!」
 しかも時々鼻息か何かしらんが、生暖かい息のようなものが首筋をソヨソヨと撫で回す。
 「エアコンの弱風運転かよッ!」
 僕がブチキレ寸前でジタバタしている一方、信じられないことに男性同士向き合って、目を閉じながらお互いの肩に凭れあうように静かにしている者もいる。観念したのか。気持ち悪く無いのだろうか。
 「なんで、ウットリなんだよッ!」

 一刻も早くこの状況から逃れたいと切に願うのであるが、こんな時に限ってノロノロ運転で、しかも「停止信号」又「停止信号」、少し進んで又停まる。少し行っては又停まる。
 「365歩のマーチかよッ!」

 しばらく駅を通過して行くと、流れ流れてようやく女性が一人僕の前まで配給されて来た。
 6〜70代くらいの老婆であった。
 「使い古しかよッ!」
 老婆のパーマが伸び切ったような干からびた頭髪がちょうど僕の顔面の高さに有り、電車が揺れ動く度にパサパサと僕の鼻や口に入ってくる。
 「何サービスなんだよッ!」

 そうこうしている内にようやく目的駅に着き、何とか電車を降りることが出来た。
 しかし電車を降りても人人人・・・、改札まで人の波が続いている。
 「グレイのコンサートかよッ!」

 かくしてやっと南武線から解放されたが、その後に乗った他の線は至って普通であった。
 南武線だけが異常なのであった。
 「南武線だけ生き地獄かよッ!」

 結局同じ時刻に家を出たのに、いつもより20分遅れて会社に到着。
 20分と言えば10分番組の「キューピー3分クッキング」が2本も見られる時間である。
 「何で3分なのに、10分なんだよッ!」(そっち(に食いつく)かよッ!)。

「2001.9.26(水)」晴・伝説再び

 今シーズンのNBAにマイケルジョーダンが復帰することが決定した。
 ニューヨーク出身のジョーダンが今復帰することは、ニューヨーク市民にとっても大きな支えとなり光となることだろう。
 年齢のことを考えると僕などは正直かつてのようなプレイは無理なんじゃないかと危惧してしまうが、そこは今まで僕等を良い意味で裏切り続け、尚且つ僕等の期待以上のものを見せて来てくれたジョーダンのことであるから、又今回ももしかしたら驚くべきパフォーマンスを披露してくれるのかもしれない。
 ともかく楽しみが増えた。

「2001.9.25(火)」晴・今日のテレビより

 家に帰ってテレビをつけると、ちょうどフジテレビの「ものまね紅白歌合戦」でダチョウ倶楽部とさま〜ず三村氏が絡んでいて、いきなり大爆笑。

 その後「プロジェクトX」を見たら、何とドーバー海峡のトンネルは日本人の作った掘削機によって掘られたことを知り感銘を受ける。
 文明の利器が自然を加工することには異論もあるかもしれぬが、世界の人々が物的にも精神的にも距離を近づけることに日本人の力が役立ったことは意義のあることだと思う。
 人を殺めることに賛助することよりも、こうした人知れぬところで世界に貢献した人々の努力を、なぜもっと評価しないのであろうか。
 為政者達も反体制者も、復讐はいいが、人が死ぬことを一体どのように捉えているのだろうか。
 人を殺しても、その怨念は残り続け、それが復讐を呼び、奪われたら奪い返すパワーが発生し、その争い・カルマは永遠に終わることは無いだろう。このままだと永遠に問題を抱え続け、その問題の為に一生を使い続け、お互いを消耗しあって行き続けていくだけだろう。
 人が繋がっていくことに貢献した人達の努力の価値は、それ故偉大であると思う。

 ちょっと話がそれそうになったが、この番組で取り上げられるような、こうしたプロジェクトにおいては絶体絶命のピンチや、大ばくちみたいなことをしたりと、ヒヤヒヤの瞬間も多々あるようであるが最後はその難局を見事に切り抜けていく。ピンチのケースは様々であるが、この人達に共通しているのは、諦めないという不屈の精神と完成への情熱のようである。
 ちなみに来週の「プロジェクトX」は、僕にとっては「あの」の、スビャトスラフ・リヒテルのピアノを手がけた人達のプロジェクトの話だそうだ。必見。

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