Monologue2001-42 (2001.7.10〜2001.7.13)

「2001.7.13(金)」晴・仮想現実でお目覚め

 私モテナイ独身エトランゼは普段モテナイので、駅などでカップルがイチャイチャと自分達の世界に浸っているのを見かけると「けっ、このクソ暑いのに地球温暖化に一役買ってくれて、ありがてえこった(ここは桂歌丸の口調でお願いします)。」などと横目で睨みつつ一瞥をくれていたのであるが、なんとこの僕がそのお暑いシーンを演じてしまったりすることが最近は発生しつつあるのである。但しかなりの限定条件つきで。

 毎日電車通勤をすると、さすがに今まで鄙びた田舎に引っ込んでいたモテナイ私目でも、カワイイ女性を見かける率が今までと比べて俄然多くなってきた。
 今まで電車内美女発見ラッキーは季節物だと思っていたが、ここに来て俄然ラッキー密度も濃くなり、そのサイクルが幸いなことに異常に回転を早めて来つつあるような気はする。
 こんな僕でもタナボタで、そんなラッキーにありつけるのが満員電車である。

 さて、仮想現実(ヴァーチャルリアリティ)という言葉が有り、子供がテレビゲームなどでこれを体感することなどが良く取沙汰される。
 仮想現実(ヴァーチャルリアリティ)は賛否両論あるようであるが、テレビゲームだけのお話しでは無いのである。
 満員電車などは、こんなモテナイ独身エトランゼオジサンに仮想現実(ヴァーチャルリアリティ)を味合わせてくれる、意外な特殊スポットなのである。

 先日朝なぞ、とある私鉄に乗りこむ際、やはりカワイイ女性が僕の後ろから乗り込んでくるのが見えた。
 もう、すぐテレビに出してもいいような、ショートカットの(内田有紀+稲森いづみ)÷2みたいな子であった。
 最初は僕との距離があり、間に老婆1が挟まっていたのであるが、駅をいくつか経過する内に、次第に人波に押されつ揉まれつして、いつしか僕の前に来て、なんととうとう最終的に僕と向かい合うような位置にまでやってきちゃったのである。
 僕はポーカーフェイスしていたが、心の中では「ワッ、なーにこれっ!、おーいおい、来ちゃったよ、みたいな(ここはとんねるずのタカさんの口調でお願いします)。」と盛り上がっていた。

 改めて見ると、かなりカワイイ。
 超タイプ!

 彼女の腕は前にあるので、幸か不幸かオッパイがくっつくというラッキーまでは無かったが、その腕と僕の腕が、夏場と言う実に幸運な状況に恵まれ、素肌同士が直に触れ合って、彼女の温もりが伝わってくる。
 前髪をいじったりしている彼女を至近距離で見ながら、どんどんボルテージが高まってきてしまった。
 良く、子供でも動物でも異性でも、あまりにカワイイものを見ると、ちょっと切れ気味になったりしないだろうか。
 僕もその時は「なーんじゃ、こりゃ。スッゲカワイイ。なんでそんなに、カワインダヨッ?!!コンチクショ!、みたいな。(ここはとんねるずのノリさんの口調でお願いします)」などと訳のわからんハイテンションになっていた。

 しばらくすると電車が揺れ、なんと、ややうつむき加減にしていたその子が、まるで僕の胸に飛び込んでくるかのように、柔らかな身体を僕に預け、しな垂れかかってきた。
 これ、見ようによっては敢えて言わせていただくけど、僕たち恋人同士に見えなく無ーい?(ここはコギャル風の口調でお願いします)。
 僕の頭の中では、すぐに小田さん(小田和正)の「ラヴストーリーは突然に」が流れ始めた。
 「これ、見方によっちゃあ、『抱いて!』みたいな。『抱いて!』みたいな。(なんでリピートなんだよ・・・)。そーゆーのと同じじゃんっ!、みたいな。(ここもノリさんの口調でお願いします)」
 前後の脈絡全く無いが、シーンだけ切り取れば見た目は、ま・さ・にーっー、ラヴストーリー。みたいな(ここはタカさんの、できれば「ねるとん紅鯨団」時代の口調でお願いします)。
 かくしてひょんなことから、このモテナイ独身エトランゼオジサンは、恋人達のワンシーンじみたものをワンカット限定で仮想現実体験してしまった。但し勿論内実は全く何も無いが。

 こうなってくると普段あまり元気の無かった、あまりこういう時に目覚めて欲しく無い御方が、股間に約一名いらっしゃるのであるが、その御方がどうやらお目覚めになってしまったようであった。
 冬場であればコートか何かで誤魔化せるかもしれないが、今は御方がお目覚めになってしまうと一発でバレテしまう。
 僕は慌てて、様々な悪いイメージを想起するようにした。
 「えーと、我が家の経済状態、我が家の経済状態・・・、それからオゾン層破壊、あと社会福祉問題・・・」
 しかし時折見え隠れする彼女の綺麗なピンクの唇が目に入ってくると、悪いイメージ軍団も全て跡形なく吹き飛ばされてしまう。

 本当に幸か不幸か、すぐ次が降りる駅だったので、密着状態もそこで解除され、何とか半立ち行くか行かないか・・・くらいのところで治まった。やれやれである。
 只彼女も同じ駅で降りたので、しばらくは彼女の後ろ姿を追って行く形になった。
 まだこの生活スタイルになって2週間、もしかしたら今後も又こんなラッキーに出会えてしまうのだろうか?
 しかしどっちにしろヴァーチャルリアリティであることには、何ら変わりは無い。

「2001.7.12(木)」晴・あなたのいない夜

 ブラジル音楽を聴くようになって、クラシックギターの音色がこれ程味わい深かったのかと改めて思った。
 実は僕が少年時代に初めて手にしたギターはクラシックギターだったのだが、当時はフォークギターの方がカッコヨク見え、しかもクラシックギターの太いネックが、それこそネックになって、やや抵抗感があったものだったが、今や断然クラシックギターの方がシックリくる。

 最近は昔聴いていたポップスを自分で音をとりながらクラシックギターで弾けるよう練習などしている。
 現在はバリーマニロウの「あなたのいない夜(I've Never Been So Low On Love)」という曲を練習している。
 これはバリーの「パラダイスカフェー2:00A.M」という全編ジャズバラードテイストのあまり知られていない名盤があるのだけど、その最後から2曲目の曲で、静かな哀愁の漂う名曲である。
 この曲ではピアノの伴奏がメインなのであるが、これをギターで弾き語りできたら結構かっこいいだろうな、などとやや不純な動機もありながらもチマチマと弾いている。
 出来も今一だし、本当に自己満足の世界であるが、やはりギターを持っていると何か癒されるのである。
 これこそ趣味、というものなんだろうな、などと一人ギターを抱えながら頷いているのである。

「2001.7.11(水)」晴・じゃ、まだ大丈夫っすね

 昨日に引き続き元ビートルズメンバーの話であるが、そのメンバーのポールマッカートニーがこの度婚約したそうである。
 ポールは1998年に前妻リンダを亡くしたばかりであったが、今回の婚約者ヘザー・ミルス嬢は33歳だそうである。
 ポールは59歳、実に26歳という年齢の隔絶がある。
 下手すれば娘くらいの年である。

 僕はこのニュースを知り、またしても安心してしまったことは言うまでも無い。
 このポール換算を僕に適応するなら、僕の相手は現在の小中高生くらいでもオーケーということになる。
 それにしても、僕の尊敬するアーチスト達は、なぜかくも芸術面のみならずライフスタイル面までも、僕を啓蒙するのか、全くもって感服の一言である。
 ん?ポールだからできるんであって、あんたじゃ無理だって?
 あれ?おかしいな、オレある意味ビートルズなのにな・・・(すんません!、昨日の「タモリのジャングルTV」見た人にしか意味がわからない志村けんの言ったギャグっす)。

「2001.7.10(火)」晴・少年のような・・・

 通勤電車で都心に向かう生活に戻ったが、電車の中で時折妙な人を見かける。
 毎日乗るのだから、これで当分ネタには困らぬかもしれない。

 今日は野球帽のような帽子と明るい色のTシャツやズボンを履いた、まるで少年のような格好をした老婆を見た。
 最初子供が電車に乗ってきたのかと思ったが、顔を見て、ちょっと絶句し思わず引いてしまった。
 良く老人になっても若者ぶった格好をして頑張っているような人がいるが、そうした類いの人のようでは無く、言っては申し訳ないが、明らかにちょっとイッチャッテル感じのような老婆であった。
 もしかしたらお孫さんの衣装を何か訳が合って着ている、というような訳あり老婆かもしれぬが、とにかくその佇まいは、どう見ても異様な感じであった。
 パッと見には「老婆化したミニモニ。」もしくは「ミニモニテイストの老婆」などといった趣も感じられないでは無かったが、なにせ朝の通勤電車の雰囲気の中では、どう見ても異様であった。

 僕はウッカリ「老婆」と言ってしまったが、もしかしたら男性かもしれないし、年ももっと若いのかもしれないが、見た目と声は老婆であった。

 東京辺りだと一日で通勤時も含め見かける人の総数は2〜3千人くらいいるだろうか。
 それで3日に1人くらい奇妙な人を見かけるとすると、9000人に1人の割合で「奇妙な人」がいることになる。
 しかし数字と言うのはおかしなもんで、3日に1人というと多いような気がするが、9000人に1人と言われれば、そんなもんか、と言う気もする。
 「1割」というのは普通、そんなに多い感じを与える値では無い。
 ところが、9000人の「1割」というと900人になる。
 3日で900人なら1日で300人。
 1日で「300人の奇妙な人」に出会うとしたら、これは大変な事態である。
 まさに世界は狂っていると感ずるであろう。
 これはすごく楽観的に考えれば、世の中に「奇妙な人」は1割も居ない、逆に言えば、ほとんどの人は「まとも」だということになる。
 さらに考えると、一生で1度しか会えないようなスゴイ人、というのは本当に凄まじい貴重な確率で存在している奇跡の人、ということになる。

 さて、話はガラっと変わるが、あのビートルズのジョージ・ハリソンが現在脳腫瘍で治療を受けているらしい。
 1ファンとしては心痛める事態であるが、何とか今後の展開に関しての吉報を聞きたいと願うばかりである。
 それでついでといっちゃなんだが、その記事が載っていた、さるスポーツ紙に対し、こんなところで述べても何の意味も無いが、とりあえず一言申して締めとしたい。
 このジョージの記事の欄に、彼の属していたグループであるビートルズの解説が掲載されていたのであるが、そこでビートルズの代表曲を「イエスタデイ、ヘイジュード、レットイットビー」としていた。
 普通の記事であれば、これでもいいだろう。
 しかしジョージがメインの記事なのであるから、せめて「イエスタデイ、ヘイジュード、レットイットビー、サムシング」と、おそらくビートルズ曲中でも屈指の名曲と言えるジョージの代表作「サムシング」を加えてくれてやれなかったか、と歯がゆいばかりであった。
 「サムシング」なら、そこに列挙されていても何ら遜色は無い曲だと思うのであるが。

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