Monologue2001-33 (2001.5.28〜2001.5.31)

「2001.5.31(木)」雨のち晴れ・雨のち晴れ

 今日は朝方雨が降っていたが夕方には晴れ間も見えた。
 Mr.チルドレンの往年の大ヒットアルバム「Atomic Heart」に「雨のち晴れ」という歌があったのを急に想い出し久しぶりに聴き出した。
 その後明日が休みということもあり、堰を切ったように当時良く聴いていた他のミスチルの歌やオリジナルラヴの曲などを聴いてしまった。
 これらの歌は僕が会社勤めをしていた晩期の頃に良く聴いており、しかもカラオケ用に良く聴いていたので、そのイメージは夜の盛り場のイメージ、主として俗に言う「オネエチャンのいる店」の想い出などで彩られている。

 当時は今以上、今の何倍も自分の生きる道、自分の人生に悩んでいて、この会社の人間としての生活を続けるか否か毎日のように苦悩していた。
 それで会社では遅刻は当たり前、突発の欠勤もしばしば、そのくせ「オネエチャンのいる店」に行けば朝まで飲んでいるという、かなり人の迷惑を省みない、余裕の無い荒んだ被害者意識満載の生活を送っていた。

 僕の人生の中では本当に混迷の時代だったと思っていたのだが、「雨のち晴れ」などを聴いていると何か無性に切なくほろ苦くも懐かしい思いが込み上げるのを禁じ得なかった。
 もしかしたら、こういう時代も「有り」だったのかな、という思いが今はしている。

 朝まで飲んでいて、明け方の電車で帰る時にすっかり明るくなった駅の前で、皆と別れていく時の何とも言えない切ない気持ち。
 今となっては、たぶんもう二度と会えないだろうと思われる夜のオネエチャン達の顔。
 タクシーで朝帰りした時の、やけに晴れあがって美しかった都会の空・・・。

 音楽に彩られていたから想い出が奇麗に保存されたのかもしれない。
 只混迷の時代であっても、その時代があったことは僕の中ではのっぴきならない事実であり、今の僕には必要不可欠な精神の育成の場であって、それは何の間違いも無かったのかもしれない。

「2001.5.30(水)」曇後雨・難局と歴史

 今日のNHKの「その時歴史が動いた」では徳川吉宗の財政再建がテーマであった。
 吉宗は享保の飢饉や不景気など数々の難局にぶち当たり、政策も頓挫しかけるのであるが、最終的には見事に経済を再興させることができる。
 その影には大岡越前などの有能なサポートもあったが、やはり吉宗自らが倹約に励み、常に大衆の信頼を得ていたことが一番の鍵となったようである。
 それにしても実に、これ程政治家として理想的な近代的精神を持った人物が江戸期に現れているなど、日本も全然捨てたものでは無いし、むしろこれは世界的にも誇って良いことであるという気がする。

 ところで最近僕は「難局に直面した際の解決策」にどうも興味を持ち出しているようである。
 NHKの番組「プロジェクトX」や「アポロ13号の生還」の話などは、そうした難局に立ち向かって、それを切り抜けていった人達の話であり、かなり心動かされるものがある。
 そして「歴史」というのはある意味、そのような古の偉人達が直面した危機をいかにして乗り越えたかの集大成であるとも言える。
 それを知りたいが為に歴史を紐解く、それが歴史に興味が沸いた理由の一つなのだろう。

「2001.5.28(月)」晴・季節のラッキー

 私用で新宿に行き、帰りは京王線の明大前から特急に乗った。
 帰宅ラッシュ直前ということもあって、満員と言う程でも無かったが、座席・吊り革とも満席、ドア付近も人の通行はできないくらいの混み具合であった。

 発車寸前女性が乗って来て僕の前に位置した。
 僕とは垂直の角度で、僕には横顔を見せるようなポジションである。
 彼女との間には10cm位の間しかなく、かなりの接近遭遇状態であった。
 この子がかなりカワイかったのである。
 「ショムニ」にも出ていた京野ことみと、「オハスタ」や今は「笑う犬の冒険」などにも出ているベッキーを足して2で割ったような女の子であった。
 この京王線明大前〜調布間では、普段女性には恵まれぬ私モテナイ独身エトランゼも半期に一、二度程度の割合でかようなラッキーに遭遇する時がある。
 ちなみに、なぜか他の区間ではラッキー遭遇は滅多に無い。

 僕は女性のファッションに関しては全然音痴なので、描写が時折不明瞭になって申し訳ないが、ヘアスタイルはショートボブというのか、踊る大走査線の深津絵里のような短いショートヘアスタイルであった。
 水色のノースリーヴというのか、そういう袖の無いシャツを着ている。
 その袖のカットが何カットなのか分からぬが自分で切ったかのようなワイルドな感じのカットの仕方で、胸元や背中などがそのワイルドなカットの中をチラチラとチラツいているのである。
 そうなると中からベージュ色というのか肌色のチョット濃いようなブラジャーの肩ひも、並びにカップの周辺部がハッキリと確認できる。
 僕は思わず観音様に拝むが如く「ありがたや、ありがたや」と心の中で合掌する。

 ノースリーヴなので彼女の剥き出しになった上腕部が、僕のすぐ目の前にポジショニングされることとなった。
 僕は前を向くと彼女の顔をマジマジと見る位置になってしまうので、多少うつ向き加減にしていたのであるが、そうなると今度はこの上腕部とまともに向き合う形になる。
 やはり10〜20cm位の至近距離で、彼女の上腕部を目の前にすることになったのであるが、これも結構照れるものがある。
 至近距離なので毛穴等も克明に確認でき、更に上腕部から彼女の体臭なのか、何か甘酸っぱいような懐かしいような何とも言えないフェロモンの香が漂ってくる。かなり モテナイ独身エトランゼを惑わす香である。
 僕はこの肉塊を目の前にし、その香しい匂いを嗅いでいると、何かテレビのグルメ番組の焼肉特集を彷彿してしまう。
 ロース、生肉、牛刺し・・・、いかんいかん。
 なぜか「おいしい」という形容詞すら頭の中を去来してしまうのであった。

 時折背中もチラホラ見えるが、中心部の産毛が渦を巻いてる様子などが克明に見て取れるのであった。

 彼女と言えば、横で妄想に耽るモテナイ独身エトランゼには目もくれず一生懸命に何かレジュメのようなものを見ていた。至近距離なので中身は僕にもハッキリ読める状態であったが、なにせ書いてあることが超難解なのである。
 どうも法律用語らしかったが、どこかの大学の法学部の学生さんなのであろうか。

 彼女は時々、僕側の髪の毛を掻上げるので、髪に被われていた横顔がその度に露出する。
 ウナジも白く、ピンクの唇がやはり至近距離に現れ、またもモテナイ独身エトランゼを相当に惑わすのであった。

 上腕部から少し目をそらすと、彼女の小振りだが元気に突出した胸が視界に入ってしまう。
 僕は、そこで妙なものを発見した。
 水色の彼女の左側のオッパイの上に何か細いものが乗っかっている。
 髪の毛であった。誰のものか知らぬが10cmくらいの髪の毛が左オッパイ上部に付着していた。

 かなりの指摘衝動、除去衝動に揺らぐ。
 しかし場所が場所だからな・・・。
 下手に指摘して、ずっとそこを凝視してたのかと思われちゃ嫌だしな・・・。
 しっかし、尖がった胸してんなあ・・・、固そうだなあ・・・、いかんいかん、見つめてしまった、目をそらさなくちゃ・・・。
 それにしても、こんなに妄想していて良いものだろうか?、通常の男性はこの妄想問題を、どう対処しているのか?。あそこの済ましているオジサンは妄想していないのか?。そう言えば女性の方はどうなんだ?、妄想していないのか?・・・などと妄想が妄想を呼び、頭の中は妄想だらけになり、暴走特急ならず妄想特急と化してしまっているのであった。

 そうこう妄想している内に、幸か不幸か調布に到着。
 彼女は調布で降りていき、僕はまた次の各停に乗り換え、ここでラッキーは終了。

 次の妄想、いや、ラッキーは又半年後か、と季節物のラッキーの余韻を噛み締めつつ、モテナイ独身エトランゼは一人トボトボと各停に乗り換えていくのでありました、とさ。

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