「2001.5.27(日)」曇・乾燥剤
海苔を完食した。何の変哲も無い普通の家庭用の細切りタイプのものであった。
海苔のようなものだと大抵湿気予防の為に中に乾燥剤が入れてある。
袋から取り出して真っ先に目に飛び込んできたのは注意書の「食べられません」という、やけに断固たる意志を持ったようなフレーズであった。「まず言っとくけど、食べられないからね、オレ達は。そんじょそこらの自分じゃあ湿気も取れねえような未熟者の食べ物と一緒にしてもらっちゃ困るんだからね、オレ達は。」などと言っているような気もした。 それからそれと同じような断固たる枠組の中に「禁水」というちょっと見慣れぬ言葉が出てきた。
それからこの乾燥剤の意外な素性もわかった。
頑固一徹・乾燥一筋でも、少し話の分かる、言わば「良いオヤジ」的な乾燥剤であるが、そんな性格故、子供から良くからかわれるらしい。「子供のいたずらに注意して下さい」とある。
注意書を読み進めて来た僕は、最終行で遂に、僕に注意を呼びかけ、生石灰を牛耳っていた黒幕の正体を発見した。
その他、この注意書は日本語・英語・漢字(中国語)でも述べられ、日本語一ヶ国語しか駆使できない僕とは大違いの実に国際的な様相すら帯びていた乾燥剤だったことが判明した。
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「2001.5.26(土)」曇・非チェロ的環境
できることならチェロなどを趣味として弾きたかった、などと良く思う。
ところが、ここでいつも水を指すのは「現実問題」というヤツである。
まあ、まかり間違って運良くチェロが入手できたとしよう。
エロビデオの置き場に困っているような僕のような輩に、チェロの弾き場所など有る訳が無い。
「弾き場所に悩む前に、まず置く場所がねえだろ」問題もある。
このようにチェロを黄昏ながら弾く為には、少なくとも「チェロ本体」「チェロ本体が格納できる充分なスペース」「チェロを弾いても隣近所に迷惑がかからない程度のスペース」の3点は必ず用意しなければいけないのである。
まあ冗談はさておき、まかり間違って運良く上記3点セット全てが入手できたとしよう。
きっとチェロが心置きなく弾けるということは、自分も回りも全てがチェロに相応しい、それなりのチェロ的環境になっているということなのだろう。
長いチェロまでの道に至るまでには、様々な課題を解決していかなければならない。「エロ」を脱却し「チェロ」にまで至らなければいけない。
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「2001.5.25(金)」晴・興味
街道への興味というのは、ひょんなことから沸いて来る。
これが街道への興味の第一歩となる。 よくよく調べると縦横の道よりも、この斜めの道の方が先に存在していたものだということがわかる。
更に調べると、斜めの道は辿っていくと実は延々と別な街まで達していることがわかる。
どうやらこの斜めの道は、この街と別な街を結んでいた古い街道の名残らしいということがここでわかる。
と、まあこんなことに興味を抱く自分は、まだ少年の頃のような好奇心を失ってはいなそうだ、などと一安心したりするのである。 |
「2001.5.24(木)」雨・意義
少し前になるが、今年の1月31日の朝日新聞に朝日賞を授賞した作家井上ひさし氏のコメントが出ていた。
「この地球は涙の谷
僕は成る程な、と思った。
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「2001.5.23(水)」雨・台地
僕は学校時代の社会科教育で「平地には人が住み着き易いので平野部分に大都市が多い」などと習った気がした。
これは大間違いである。
僕の育った郷里は海沿いの街で純然たる平地だったので街の中に坂などは無かった。
こうして純平野部で育った僕は、東京の台地地形が物珍しく感じている。
僕が街道や街を散策する時は、こうした地形にもかなり目がいく。 |