Monologue2001-31 (2001.5.19〜2001.5.22)

「2001.5.22(火)」曇後雨・駄洒落衝動

 最近ふと「駄洒落でも一発ぶっこいてみるべか」などという衝動に駆られる時がある。
 駄洒落と言えばオヤジギャグ、オヤジギャグだから当然駄洒落はオヤジの特権というイメージがある。

 なぜオヤジの特権なのか・・・?
 僕は最近の駄洒落衝動に、その訳を垣間見たような気がした。

 僕などは、若い頃は駄洒落を言うようなタイプでは無かった。
 駄洒落はオヤジギャグであり、そんな枯れたギャグで若者は勝負すべきでは無い、などとさえ考えていた。

 かくして駄洒落を言わない、駄洒落氷河期を長いこと過ごした。
 そして近年、僕も遂に中年の域、すなわちオヤジ領域に突入することとなった。
 今、どうもかつての駄洒落氷河期の反動が出て来ているような気もする。
 長いこと言わずにいた駄洒落を、何となく「たまには言ってみよっかなあ」などという思いが芽生えつつある。

 もしかして世のオヤジ諸君も、このようにして堰を切ったように駄洒落を言い出すようになるのでは無いか?という気もしないでも無い。
 すなわち駄洒落など言わなかった若い頃の駄洒落氷河期の反動が、オヤジになると出て来てしまうのでは無いか。
 それ程駄洒落の持つ潜在的なパワーというものは侮れないものがある。
 今駄洒落など下らんと敬遠している若者諸君、君たちこそ未来のオヤジギャグ予備軍になる素養を秘めているのである。
 今敬遠し抑圧している駄洒落衝動は、オヤジになると一気に爆発するのですぞ。
 それが嫌なら今のうちから駄洒落は小出しに出して置くように。

「2001.5.21(月)」曇時々晴・サメ肌さん

 月曜の「笑っていいとも」のコーナーに「ザ定番ショー」というのがあって、あるテーマに関してその定番と思われるものをメンバーに回答させ、チーム毎に、なるべく同じ答えを多く出した方が勝ち、というルールのゲームである。

 今日の放送では「サザエさんのファミリーの定番は?」という問題が出ていた。
 番組ではほとんどのメンバーが「カツオ」と回答しており、それぞれのチーム共高得点を挙げていた。
 僕も「確かにカツオかもな」などと思って見ていた。
 僕は、ところでカツオ以外だったら誰かな?と思い、サザエファミリーの定番っぽい人物を挙げてみた。

 マスオさんもいるしなあ・・・タラちゃんだって結構有名だし・・・、それからカツオの妹だって有名だよな・・・、あのー、ほら、誰だっけ・・・?、えーと・・・あれっ・・・?
 おかしいぞ、名前が出こない・・・?。
 なんと、あろうことか、カツオの妹の名前が出てこないのである!。

 えーと、サクラちゃんじゃなくて、タマちゃんじゃなくて(それ、「ちびまるこ」の方じゃないの?。曜日と時間帯は大体は合ってるけど)・・・、あれー、いかんぞ、こりゃ・・・、誰だっけなー、カツオの妹・・・。

 全然想い出せないのである。
 焦れば焦るほど出てこない。
 あのアニメのオカッパ顔は浮かんでいるのであるが、名前が全く出てこないのである。

 その内少し冷静になり、そう言えばサザエさんは「海産物」系の名前で統一されていたことを思い出した。
 えーと、海産物類の中でも、魚介系や海藻系があって・・・、あっ、そうそう、海藻、海藻系・・・海藻といえばコンブで、それから・・・えーと
 ・・・あっ、ワカメちゃんだ・・・。

 やっと出てきたのである。
 海産物=>海草類、と想起して来て、やっとのことで「ワカメ」と出てきたのである。
 「サザエさん」と言えば今では誰でも知っているような国民的番組であるが、確かに僕個人的には「ちびまるこ」は見ても「サザエさん」は、大分長いことほとんど見ていなかった。
 このブランクの間に、どうやら脳の方で勝手に「ワカメ」をかなり奥の方にある記憶保存格納場所に移送してしまったようなのである。
 「サザエさん」を頻繁に見ていれば、脳の方は「常時使用記憶類」と判断し、比較的取り出し易い位置に保存して置いてくれたことであろう。
 少なくとも僕も頻繁に使用する「テレビ番組系記憶」の枠類の取り出し易い位置においといてくれて、「サザエさん」とキーワードを入力すれば、即座に「ワカメちゃん」と出してくれたことであろう。

 しかしながら「テレビ番組のサザエさん」という括りが、頻繁に使用されなかった為、脳の方で勝手に「場所取るから”ワカメ”は海藻系の括りの方へ戻して置くか、常時使用領域も足りねえことだしな」と記憶の整理格納を行なってしまったようである。
 そんな訳で海産物=>海草類などという、ある種学術的な系統を辿ることによってのみ「ワカメ」という単語を想起することができるという、原因不明の脳の機械化が起ってしまったかのようになってしまった。僕の脳もアナログから突然デジタル脳化してしまったかのようなのである。

 えっ?いろいろ理屈を付けてるが、結局老化じゃねえかって?
 なっ、なっ、何ををうっ!!
 えっ?、その内「サザエさん」も出てこなくなって、「サメ肌さん(サだけ合ってる、みたいな)」とか言い出すぞって?
 なっ、なっ、何ををうっ!!

「2001.5.20(日)」晴・言葉

 最近哀川翔が出した自伝のタイトルが「俺、不良品」というそうである。
 僕はまだ読んではいないが、このタイトルなかなか良いなあ、などと思ってしまった。

 僕は言葉で表現する時、どちらかというと言葉をドンドン継ぎ足していくようなタイプなので、この「俺、不良品」みたいな、短いフレーズで全体を言い表していて決まっているようなのが、なかなか思いつかない。
 もし僕が同じようにやると「オレ、モテナイ独身エトランゼ、それはなんとなれば、生い立ちがこうこうで、このようになるから、しかるに・・・」などと、エエカゲンニセエっ!!、と突っ込まれるまでダラダラ続きそうな理屈っぽいタイトルになりそうな恐れもある。

 普段文章にはなるべく気をつけるようにはしているが、言葉はやはり短ければ短いほど精度が高まり、言葉にかかるテンションも高くなるような気はする。
 勿論長いのがいけないという訳では全然無い。
 時には長い言葉の洪水に身を委ねるのも心地よい時もある。
 要するにいろいろ考えると、言葉ってなかなか不思議で面白いな、と思うのである。

「2001.5.19(土)」晴一時雷雨・NUDITY

 もう数年前のことになってしまったが、菅野美穂ちゃんが「NUDITY」というヘアヌード写真集を出した時は結構な衝撃であった。
 お恥ずかしながら僕も入手してあるが、今見るとそんなにヘアーの露出も多くは無く、それ程過激でも無い。
 しかしながら、そのアイドル性・話題性が加味され、宮沢りえ写真集などと同じく当時はこのモテナイ独身エトランゼ(僕のこと)のハートを大きく揺すぶったものであった。

 それで又々お恥ずかしい哀しい性であるが、そんな菅野美穂ちゃんが、今でもサタスマなどにテレビ出演しているのを見かけたりすると、すかさず「NUDITY」を引っ張り出して来て「そうかあ・・・、この子がねえ・・・、あらっ、こんなんなってたのね・・・成る程ねえ・・・」などと見比べている自分に気づく。
 おそらくこんなことは一人暮らしで無いとできないことであるという気もする。
 こんな時つくづく「一人で良かった・・・」などと思う。
 ん?、寂しいですか?こんな私は、あまりにも。

 ここで一句。
 アイドルの、ヌードと実物見比べる、男(をのこ)の背なの侘しかりけり。季語無し、みたいな。

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