まちの化石の探しかた

1.大理石をさがそう

 化石が見つかりやすいのは,堆積岩や,堆積物が変成作用を受けて造られた変成岩。中でも大理石は,化石が入っている可能性がもっとも高く,建物の柱や壁,床などに幅広く使われている石材です。大理石にはさまざまな産地のものがあり,色や組成,中に含まれている化石の種類も,さまざまです。大理石に含まれている化石は,海の中の生き物がほとんど。それは,大理石が海の底に堆積した生き物の死がいが,地中で高音,高圧の変成作用を受け,固まって石になったためで,大理石のできた年代や場所によって,さまざまな種類の生き物の化石が見られるのです。しかし,街の中には,人造大理石が使われていたり,天然の大理石であっても,海のカルシウム分が化学的に結晶化して生物の死がいを含まないものもあります(このタイプの大理石は,石の模様がボケた感じになっているので,慣れればひと目で分かると思います)。

2.大理石のある場所って?

 大理石は雨に弱いために,おもに室内に使われています。装飾品として利用されることも多く,そのため,ビルの入口とかホテルのロビー,デパートの場合は1階の売り場や宝飾品売り場などに多く使われています。つまり,お客さんが入ってすぐに見える場所で,ちょっと豪華な雰囲気を出したい場所,と言うことになります。
 たとえば,建造年代の古いデパートなどでは,フロアのあちこちに,惜しみなく大理石が使われていたりしますので,化石探しのポイントになります。このほか,古くから発展した町では,古い公共施設が残っていたりしますが,こういう場所も,大理石が使われている可能性が高いと思います。化石の含まれる大理石は輸入品が多く,建築年代によっても,その産地が違ってきます。もし,調べることが出来るようであれば,大理石の産地などもチェックしてみると面白いでしょう。

3.どうやって観察するか

 まず,大理石のある建物を探します。
 見つかったら,建物の受付や管理者に,観察の許可をもらうようにします。最近は建物の安全管理の点から,見学を禁止したり,撮影を禁止している場合もあります。必ず管理者の許可をもらい,勝手に観察しないようにしましょう。老舗のデパートでは,受付に,化石のある場所を書いた見学マップを用意しているところもあったり,主要な化石にはテープで周囲を囲って,観察しやすくしているお店もありました。こういう建物は,特に観察しやすいので,おすすめです。
 あなたが観察している姿は,かなり「怪しい人」に見えますから,その点も覚悟しておいてください。出来れば個人ではなく,数名のグループで観察したり,親子で観察したりすると,多少は「怪しさ」が緩和されます。
 いずれにしても,ビルの利用者としてのマナーは必ず守ってください。

4.見えるのは断面

 当然ですが,街の大理石は切断され,磨き上げられています。ですから,そこに見つかる化石も,断面の標本を見ていることになります。縦断面もあれば横断面もありますし,中途半端に斜めに切れたものもたくさん見つかります。観察するときは,どんなふうに切れているのかを想像しながら,元の形を考えて観察すると,少しは分かりやすくなると思います。

5.観察するときに便利なもの

 街の化石を観察するときは,手ぶらでも大丈夫ですが,ルーペ,カメラ,図鑑などがあれば,より楽しむことが出来ます。

6.観察場所についての情報提供

 安全管理の関係で,ビルが特定できるような情報はWeb上には公開できません。宝探しのつもりで,御自分でいろいろと探してみるのも,化石探しの一つの楽しみだと思いますので,エリアだけ公表しますから,あとは頑張って探してみてください。
 それでも,どうしても化石が見つからないとか,小さな子ども連れなので,あまり行動範囲を広く取れない等の事情がある場合,個人的にメールでお問い合わせください。東京都心エリアに限り,多少の情報提供をいたします。


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