明治神宮探鳥会レポート 〜2006年9月


9月定例探鳥会:2006年9月17日(日)8:30〜12:00
天候:曇 風:弱 気温:23℃(11時) 湧水温:
参加者28名(うち18歳未満0名)+担当4名

 暑さ寒さも彼岸まで……彼岸の入り(今年は9/20)を前に,すっかり秋の長雨の様相となり,涼しく暗い曇天。
 7月と9月は第3月曜が祝日となったため,明治神宮探鳥会の日が3連休の中日に当たる場合が多く,参加者数にも影響しているようです。

……それに,9月は干潟の渡り鳥を見に行く人も多いし……

 生き物たちの様子は,まだ,夏の雰囲気を強く残しています。気温も高く,蚊も多く,まだまだ,小さな生き物の観察には良いシーズン(鳥は観察しにくいけど)。観察リストを見れば分かるとおり,昆虫がどっさり……その中でも,特に注目したのは,コロギス。残念ながら死骸でしたが,明治神宮探鳥会初記録。 カラスザンショウにカラスアゲハの終齢幼虫(駄洒落ではありません)。
 トンボは赤トンボが目立ちます。一番多かった赤トンボは,アキアカネ。そして,ナツアカネ,コノシメトンボなど。成熟したオスは腹部が真っ赤になっていますが,ナツアカネは胸や顔まで赤くなります。アキアカネ,コノシメトンボ,リスアカネは腹部だけが赤く,双眼鏡で遠くから見ても,ナツアカネとの違いが見えます。ノシメトンボはあまり鮮やかな赤にならず,渋い赤と言うか,えび茶色と言う感じ。

 セミの声もあちこちで聞こえる中,コオロギ類の声もあれこれ。
 森の中はオカメコオロギが多く,低木ではカネタタキ,森の下草の上ではクサヒバリ,ササキリ。開けた場所に出ると,マダラスズ,シバスズ,エンマコオロギ。環境によって,すみ分けている様子が,声からも分かります。

 チョウはツマグロヒョウモンがたくさん飛んでいました。10年前には非常に珍しかったのに,今では普通種。分布域を着実に北へ広げています。幼虫や蛹も発見……これは繁殖の確実な証拠。ツマグロヒョウモンはスミレの仲間を食草にしていますが,都会地では花壇や植え込みのパンジー,ビオラなどで繁殖できます。明治神宮では,ちゃんと野生のスミレの仲間を利用しています。

 野鳥のほうは,ツバメがいなくなり,シジュウカラやヤマガラなどが家族単位の群れで行動し,親離れしたスズメの若鳥の集団がいたり,少しずつ秋らしい様子になっています。モズが見られましたが,明治神宮では,秋から冬の初め頃にかけて,よく見られます。


今月の1枚

死体で失礼。
明治神宮探鳥会では初記録のコロギス。


【観察した野鳥】
アオサギ1,コゲラ5,ヒヨドリ5,モズ1,ヤマガラ20,シジュウカラ20,メジロ20,カワラヒワ1,スズメ30,ハシブトガラス20
(以上10種)

【観察した植物】
花……オニタビラコ,タカサブロウ,セイヨウタンポポ,トキワハゼ,ウリクサ,ツルボ,コニシキソウ,ヒヨドリバナ,ノササゲ,メドハギ,キツネノマゴ,ツユクサ,キカラスウリ,カタバミ,オッタチカタバミ,ヤブカラシ,ヒヨドリジョウゴ,ハエドクソウ,ミズヒキソウ

木の実,草の実……トチノキ,アカガシ,イチイガシ,シラカシ,マテバシイ,エゴノキ,ムクノキ,サイカチ,シロダモ,イロハカエデ,チカラシバ,エノコログサ,カゼクサ

【観察した菌類】
 シュタケ,カワラタケ,ウチワタケ,シロハツモドキ,フクロツチガキ,シロハツモドキ?,ドクベニタケ,チチタケ,コフキサルノコシカケ……

【観察した昆虫】
直翅目……ササキリ,サトクダマキモドキ,オンブバッタ,エンマコオロギ,ツヅレサセコオロギ,オカメコロギ(モリオカメ),ミツカドコロギ,カネタタキ,アオマツムシ,マダラスズ,シバスズ,クサヒバリ,コロギス
半翅目……ミンミンゼミ,アブラゼミ,ツクツクボウシ
鱗翅目……クロアゲハ,ナミアゲハ,アオスジアゲハ,カラスアゲハ(幼虫),キチョウ,イチモンジセセリ,ツマグロヒョウモン(幼虫,蛹,成虫),サトキマダラヒカゲ,ゴマダラチョウ,ヤマトシジミ,
蜻蛉目……コシアキトンボ,ウスバキトンボ,アキアカネ,ナツアカネ,ノシメトンボ,コノシメトンボ,リスアカネ
甲虫目……ノコギリクワガタ,オオヒラタシデムシ,キマワリ,アオドウガネ
その他観察した昆虫……オオスズメバチ,キイロスズメバチ,フタモンアシナガバチ,ハサミムシの仲間


【その他観察したもの】
ニホンヤモリ(幼体&卵),ザトウムシ,オオミスジコウガイビル,ジョロウグモ,ギンメッキゴミグモ,ヨツデゴミグモ,オナガグモ


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