明治神宮探鳥会レポート 〜2005年5月


5月定例探鳥会:2005年5月15日(日)8:30〜12:00
天候:晴 曇:弱 気温:16℃(11時) 湧水温:
参加者34名(うち18歳未満3名)+担当6名


 4月が暑いくらいの陽気だったのに,今月はやや肌寒い曇天。一応,「バードウイーク」の期間中なのですが,参加者がなかなか集まりません。最近では,バードウイークを機会に探鳥会に参加する,と言う人は,ほとんどいません。野鳥観察趣味の衰退を実感しつつ,出発。

 とは言うものの,明治神宮の自然に,流行り廃りなどは無く,晩春の花を楽しみつつ,渡り鳥の来訪を期待しつつ,と言う,非常に良い季節。人数的に余裕が出たので,あれこれ観察案内出来そうです。

 まずは,森の地面に注目。ギンリョウソウの花です。葉緑素を持たない,自分で栄養を作らない,「腐生植物」。不思議な純白の花。この花にも,虫が訪れます。しかも,ほぼトラマルハナバチ限定だそうで,知れば知るほど,不思議な生態。
 路上に目立つのは,木の花,特に雄花の枯れ落ちた花穂。ふと匂いがするのはスダジイ?この時期,花は目立たないけれど,匂いで虫を呼ぶ,ドングリの花が何種類か咲いているようです。もっと早い時期に咲くコナラなどは風媒花だったような……。風媒花は匂いません。匂いが虫を呼ぶ道具であることが,良く分かります。それから,風媒花のほうが,花粉の量が多いですね。
 トチノキの花も落ちていました,いくつか拾って手に載せて匂いをかぐと,ほのかに香ります。
 木の花と言えば,この時期は,エゴノキが見事。ミズキも花盛り。そして極めつけは,「なんじゃもんじゃの木」こと,ヒトツバタゴ。満開でした。「なんじゃもんじゃの木」と呼ばれる木は,地方によって違います。何の木だか良く分からないと言う意味で,その土地には滅多に見られない木に「なんじゃもんじゃ」と命名されているようです。ヒトツバタゴは愛知,岐阜あたりに多く自生する木で,関東には無かったために,こちらの地方に植樹されたときに,「なんじゃもんじゃ」の名前をもらったようです。例年,5月の連休の頃に咲くことが多いのですが,今年は少し遅め。

 森の中では,いつものシジュウカラやメジロのさえずりに混じって,キビタキの声が響いています。キビタキに会いに,わざわざ高原まで出かけるバードウォッチャーもいるほどの美声の持ち主。都内でキビタキのさえずりが楽しめるなんて,ちょっと得した気分。おそらく「渡り」の途中の個体なので,明治神宮では,晩春のわずかな時期だけしか,聞くことが出来ません。

 春の野草観察は終盤戦。今年は気温が低いのか,花が良く残っています。観察した花の種類数は野鳥の種類数の3倍以上。やはりこの時期,花の観察は外せないテーマです。

 虫は気温が低いせいもあり,低調。
 ゴマダラチョウが見られましたが,妙に白っぽい個体でした。ヨコヅナサシガメも確認。この外来種は,見た目も大きさも,国産のカメムシにはありえなかったものなので,なんとなく不気味な気がします。

 そのほか,アオダイショウを確認したり,南池でメダカを見たり。
 これだけ自然観察がいろいろ楽しめる時期ですから,あえて「バードウイーク」にこだわったりせず,季節の楽しみをゆっくり味わうのも,良いのではないでしょうか?


今月の1枚

これが噂の「なんじゃもんじゃの木」(ヒトツバタゴ。


【観察した野鳥】
アオサギ1,カルガモ1,キジバト4,コゲラ10,ツバメ10,ヒヨドリ10,キビタキ2,ヤマガラ10,シジュウカラ20,メジロ10,カワラヒワ3,スズメ5,ムクドリ10,オナガ2,ハシブトガラス50
(以上15種)
(番外ワカケホンセイインコ1)

【観察した植物】
野草の花……カントウタンポポ,セイヨウタンポポ,オオジシバリ,ハルジオン,ニガナ,ハナニガナ,ハハコグサ,ウラジロチチコグサ,チチコグサモドキ,チチコグサ,ノゲシ,ヤブタビラコ,オニタビラコ,オオイヌノフグリ,タチイヌノフグリ,ムラサキサギゴケ,キュウリグサ,ハナイバナ,ミミナグサ,オランダミミナグサ,シロツメクサ,ギンリョウソウ,ヘラオオバコ,ヤエムグラ,ヒメヨツバムグラ,ヘビイチゴ,オヘビイチゴ,カタバミ,トウバナ,キランソウ,コマツヨイグサ,スミレ,ツボスミレ,コナスビ,タネツケバナ,イヌガラシ,ニワゼキショウ,ノビル,ホウチャクソウ,スズメノカタビラ,

木の花……スダジイ,マユミ,トチノキ,ミズキ,エゴノキ,ヒトツバタゴ,クスノキ,ホオノキ,サアフタギ,

【観察した昆虫】
ゴマダラチョウ,クワゴ(幼虫),アオスジアゲハ(卵),エゴツルクビオトシブミ,オオスズメバチ,ヨコヅナサシガメ,アメンボ


【その他観察したもの】
メダカ,アオダイショウ


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