明治神宮探鳥会レポート 〜2003年7月


7定例探鳥会:2003年7月20日(日)8:30〜11:50
天候:曇 風:弱 気温:24℃(11時) 湧水温:
参加者55名(うち18歳未満6名)+担当5名


 鳥の好きな人にとっては,夏の都会は,あまり見るべきものが無く,「お休み」の時期なんだそうですが,明治神宮はこの時期がとにかく,面白いんです。都心とは思えないほどの,圧倒的な生き物の種類数で,つい,観察時間が足りなくなってしまいます。
 子供たちは夏休み。身近な昆虫を始め,いろんな生き物と遊ぶには,ちょうど良い時期ですね。

 今年の7月の探鳥会は,梅雨明け前となりました。天気はちょっと不安定ですが,涼しくて快適です。セミの声があまり聞こえないのが,ちょっと寂しいですけど……。
 雨が多くてそこそこに気温が高いため,菌類が豊富です。この時期,特に目立つのは,虫に寄生するキノコ。オサムシタケ,クモタケが各所で発生しています。ノボリリュウタケも夏のキノコ。この時期限定のキノコも多いので,「キノコは秋のもの」と思っていると,見逃してしまいます。最近,変形菌にも注目しているのですが,今月は3種類,見つかりました。

 池の水面にはコシアキトンボ。もう成熟したオスが,水面で激しいなわばり争いをしています。水面と芝生の境い目では,シオカラトンボがなわばり争い中。おかげで,どちらのトンボもオスばかり目立っています。
 森の中も虫が豊富で,いろいろ見つかります。
 芝生ではもう,シバスズやマダラスズが鳴いています。かれらは6月頃から鳴くコオロギで,秋までにもう1世代,ライフサイクルが回ります。オンブバッタやウスイロササキリも見つけましたが,こちらはまだ幼虫。

 ウワミズザクラの実が落ちています。小さな小さなサクランボ,と言う雰囲気の赤い実。ふつうのサクランボと違って,房状に実がつきます。そう言えば,花も房状でした。

 さて,観察したものをまとめてみると,けっこう花を見ています。夏の花の咲く時期なんですね。ヤブカラシの花には,アゲハの仲間やハチの仲間,コガネムシの仲間など,さまざまな虫がやって来ます。「雑草」と言われて除草されてしまうことの多いヤブカラシですが,花が咲いていれば,いろいろな虫に出会える場所になります。あんまり徹底的に除草しないで,適当に残しておいてもらえると,自然が豊かになるんだけどなぁ……。


今月の1枚

ヤブカンゾウ。夏のはじめを飾る,オレンジの花。


【観察した野鳥】
キジバト1,コゲラ20,ツバメ5,ハクセキレイ1,ヒヨドリ10,ヤマガラ20,シジュウカラ15,メジロ30,スズメ20,ハシブトガラス30
(以上10種)


【観察した植物】
野草の花……ハルジオン,ヤブタビラコ,ハキダメギク,ニガナ,キツネノマゴ,ヤブカラシ,トキワハゼ,オオイヌノフグリ,シロツメクサ,コヒルガオ,ハエドクソウ,キカラスウリ,ヤブカラシ,ヨウシュヤマゴボウ,ヘクソカズラ,ミズヒキソウ,イヌタデ,ヘラオオバコ,ヒメヨツバムグラ,ツユクサ,ニワゼキショウ,ヤブカンゾウ,マヤラン,ヤブミョウガ,ネジバナ,カタバミ,ヤマノイモ

キノコ,変形菌……カワラタケ,ウチワタケ,シュタケ,スエヒロタケ,ハリガネオチバタケ,スジオチバタケ,ビョウタケ,シロハツモドキ,オサムシタケ,クモタケ,ヒメホコリタケ,イヌセンボンタケ,ニガクリタケ,マルミノヒガサタケ,ザラエノハラタケ,ムラサキヤマドリタケ,ツルタケ,チチタケ,シロヤリタケ,ノボリリュウタケ,シジミタケ,シロウツボホコリ,ウツボホコリ,ススホコリ

その他観察した植物……カツラ,クスノキ,ウワミズザクラ(実)



【観察した昆虫】
チョウ……モンシロチョウ,キチョウ,クロアゲハ,アオスジアゲハ,ナミアゲハ,サトキマダラヒカゲ,キタテハ,アカタテハ,ゴマダラチョウ,ヤマトシジミ,ムラサキシジミ,イチモンジセセリ

甲虫……オオヒラタシデムシ,アオオサムシ,キイロテントウ,トホシテントウ,エゴツルクビオトシブミ,ビロウドコガネ,コフキコガネ,マメコガネ,カブトムシ,トウキョウヒメハンミョウ,

トンボ……コシアキトンボ,シオカラトンボ,オオシオカラトンボ
直翅目……マダラスズ,シバスズ,クサヒバリ,ウスイロササキリ,オンブバッタ
半翅目……ニイニイゼミ,アブラゼミ,ミンミンゼミ,ヒグラシ(脱け殻のみ),アオバハゴロモ(幼虫,成虫),

【観察したクモ】
アリグモ,ギンメッキゴミグモ,ワカバグモ,ジョロウグモ,イオウイロハシリグモ,

【その他観察したもの】
ニホンヤモリの卵,オオミスジコウガイビル,アズマヒキガエル,ザトウムシ


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