明治神宮探鳥会レポート 〜2003年3月


3月定例探鳥会:2003年3月16日(日)8:30〜11:40
天候:晴 風:弱 気温:11℃(11時) 湧水温:15.0℃
参加者68名(うち18歳未満3名)+担当5名


 昨年は異常に春が早かったのですが,今年はややゆっくりと,春がやってきました。晴れたものの,気温は低め。しかし,芝生の斜面に手を当ててみると,思いのほか暖かい。芝生の地面すれすれのところの気温は24℃!太陽の光は,間違いなく春の暖かさを運んでいます。 好天に誘われ,参加者も多め。マスメディアで情報を得て参加した人が少なく,大多数は支部報の案内を読んで参加した人。案内文が良かった?……いや,天気が良かったんですよ。ネットで情報を得て参加する人もちらほら。この1,2年,探鳥会参加者数の減少を食い止めているのは,何を隠そう,今,ネットでこれを読んで参加してくださる方。既存のメディアだけの集客力だったら,今頃「参加者数が前年比1割以上減った!」と悩んでいたところです。会員数がどんどん減っている昨今,せめて探鳥会だけでも,自然観察の魅力を失わないよう,頑張らなくては…。

 数年前,コスミレの大群落が形成されていた北参道の某所。今年は数株しかありません。目立つ場所のスミレは消える。その最大の原因は,盗掘らしい…。

 シジュウカラ,メジロ,ヤマガラが囀っています。真冬に見られたような大きな群れは見られず,もう,繁殖シーズンを迎えていることに気づきます。

 今月は,冬鳥の見納めの月。北池には,まだオシドリやマガモがいます。彼らの北帰行も,まもなく…。アトリの群れは,結局,ひと冬滞在していました。今シーズン,都内の各地でアトリの越冬が見られましたが,彼らもそろそろ,旅立つ時期です。このほか,ジョウビタキ,ルリビタキ,トラツグミ,シロハラ,ツグミ,アオジ,カシラダカなど,今月はいろいろな冬鳥を見かけました。まぁ,約70人で眺めているので,いろんな観察記録が出てきますが,そのうちの6,7割も見られれば,明治神宮探鳥会では「バードウォッチング上級者」と言えるのでは?

 北池のカルガモがアメリカザリガニを捕食!カルガモは植物食中心のカモですが,時々,こう言うことをするんですよね。まだ水は冷たく,ザリガニの動きも鈍いのですが,飲み込むのにかなり苦労していました。やはり,あまり食べ慣れていないのだろうか?

 春の花は,まだ咲いていないものが多く,つぼみや,膨らみ始めた冬芽などの観察が中心。ヤブカンゾウの新芽がみずみずしい黄緑色で,春らしい。アマナやシュンランは,今年も確認できました。この手の,野草マニアのターゲットになりやすい花は,観察案内をするときにも気を使います。この環境にあるからこそ,価値の高い花です。また,この花があるから,明治神宮の自然環境の価値も高いのです。掘り取ってしまうのは,環境破壊以外の何物でもありません。

 解散時刻近くなって,猛禽が飛びました。晴天時の上昇気流と関係している?


今月の1枚

カルガモがアメリカザリガニを捕食中!
かなり苦労してました……


【観察した野鳥】
オシドリ35(雌13雄22),マガモ8(雌3雄5),カルガモ2,オオタカ2,ノスリ1,キジバト4,ヒメアマツバメ4,コゲラ10,ハクセキレイ2,ヒヨドリ10,モズ雌1,ルリビタキ4,ジョウビタキ2(雌1雄1),トラツグミ2,シロハラ1,ツグミ5,ウグイス3,ヤマガラ20,シジュウカラ30,メジロ30,カシラダカ4,アオジ3,クロジ1,アトリ50,カワラヒワ10,シメ7,スズメ10,ムクドリ4,ハシブトガラス50
(以上29種)
番外 ドバト1,ワカケホンセイインコ1


【観察した植物】
花……タネツケバナ,スズメノヤリ,セントウソウ,コスミレ,アマナ,シュンラン,ヒサカキ,ニワトコ,イヌコリヤナギ
冬芽……サクラ,カラスザンショウ,ミズキ,イヌシデ,イロハカエデ,……
キノコ……カワラタケ,スエヒロタケ,

【その他観察したもの】
チャバネアオカメムシ


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