種子の表情


 実りの秋。
 さまざまな木や草が,実をつけ,種子を落とし,次世代に命を託します。
 そんな,大切な種子にも,さまざまな個性があります。
 身近な場所で拾った種子の中から,ちょっと個性的な形をしたものを集めてみました。




 コブシの種子。
 コブシの果実も,なかなか個性的な色と形ですが,その果実の中に出来る種子も,ちょっと変。
 微妙に非対称形。しかも,1つ1つ,微妙に形が違います。
 この写真のような形が基本形のようです。




 フウセンカズラの種子。
 真ん丸い種子はムクロジ科に共通した特徴のようです。
 いちばんの特徴は,このハート型のマーク。
 英語でもheart peaと呼ばれています。



 ハート型を正面からアップで。
 これで,黒い部分がピンクだったら,「モモレンジャー」だよねー……と言って笑ってしまったアナタは,35歳以上?



 カラスウリの種子。
 これも不思議な形をしています。
 観察会では,この種子が何の形に見えるのか,いろいろ聞いてみたりします。
 そのときの意見は……

「打出の小槌」
「やっこさん」(折り紙の奴さんを想像してください)
「カマキリの顔」
「昆布巻き」
「布袋様」(上下逆さまにして見てください)

……とまぁ,いろいろと想像を掻き立てる形なのです。



 え〜,これはアンモナイトの化石です。
 ……ではなくて,アオツヅラフジの種子です。
 実物は,直径4mmぐらいなので,アンモナイトと呼ぶには,ちょっと小さいのですが,面白い造形ですね。
 くるっと丸まった芋虫とかヤスデに見えた人もいますが……。



 たかが種子,されど種子。種子だって,花や葉や果実と同じくらい,個性的で,さまざまな形や色をしたものがあります。また,その形や大きさ,色にも,それぞれの生存戦略の秘密が隠れているのかもしれません。種子の造形を楽しみつつ,植物の生きざまについて,あれこれと想像を巡らせるのも,秋の自然観察の楽しみではないでしょうか。


(2005年11月27日記)

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