春を待つ「赤」


 多年生,二年生の草は,葉っぱを出した姿で冬を越します。
 冬の寒さに耐えるため,ロゼットと言う,地面にぺったり張り付いた形になっているのを見かけますが,葉っぱそのものにも寒さに耐える工夫があります。

 冬に収穫されたホウレンソウ。ちょっと肉厚で,甘味が強くて,おいしいですね。……それが,寒さに耐える秘密でもあるのです。葉っぱの厚みを増し,中に糖分を多く含むことで,葉っぱが凍りにくくなります。これは,水溶液の濃度が上がると,0℃より低い温度まで凍らなくなる「凝固点降下」を利用しているのですね。
 しかし,温度が下がると代謝量も下がる。……すると,紅葉と似たような反応が葉っぱの中で進み,糖分とアミノ酸を原料に,赤い色素……アントシアンが作られます。霜に当たった野菜が,赤味を帯びるのと同じですね。

 寒さに耐えている野草にも,葉っぱの赤いものがたくさん見つかります。これはそのまま枯れてゆくのではなく,春を待っている姿です。
 そこで,春を待つ,赤い葉っぱを集めてみました。

アレチマツヨイグサ セイヨウタンポポ オニタビラコ
ノゲシ ギシギシ ヤエムグラ
ホトケノザ ヒメオドリコソウ オオイヌノフグリ



(2002年2月22日記)

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