デジカメで星座めぐり
秋。
空の透明度も上がり,星が綺麗に見える季節。
東の空には「すばる」(M45)が昇ってきました。
こういうシーンを,デジカメで気軽に記録できたら……
さっそく,カシオQV-8000SXを三脚に載せ,出撃なのだ!
…とは言うものの,我が家の周囲では,肉眼で見える星は4等星がやっと。たまに透明度の良い明け方などには5等星も見えますが,ごくありふれた,街の中の星空です。しかし,カシオQV-8000SXには,「長時間露出」と言う武器がある。しかも,画像処理方法次第で,ある程度のことはできる。上の写真も,320mm相当で撮影した画像をトリミングし,コントラストを少々いじっただけです。けっこう綺麗でしょ。望遠にするとコントラストを稼ぎやすいですしね。
…でも,やっぱり,標準〜広角レンズで撮影する「星座写真」も捨てがたい。
で,撮影してみました。
カシオペヤ座。いちばん高く見える頃を狙ったので,「M」の形に星が並んでいます。
これで35mm判カメラの55mmぐらいのレンズに相当します。絞り開放,露出は16秒。「M」の形を構成する星は,2等星と3等星。これぐらい写れば,星座のスナップ写真としては合格ですね。
感度はISO80〜100ぐらいかな?
おうし座の顔の部分。ヒアデス星団です。やや望遠にしています。
いちばん明るい星はアルデバラン。オレンジ色の1等星ですが,ちょっと色が飛んでますね。
やや暗い星の色は良く出るのですが,CCDのラチチュードの狭さを感じさせます。
望遠にすると,それなりに暗い天体も写るようなので,今度は,無謀にも230万光年も離れた天体を狙います。
…がしかし,ここで問題発生!
暗い星がデジカメの液晶ファインダーで見えないのです。
仕方なく,撮影しては構図を修正する,と言う作業を何回か繰り返し,目標に近づいてゆきました。
……アンドロメダの大星雲(M31)です。上の写真で,ぼやっと写っているのがわかりますか?
さらにアップで撮影します。ズームの望遠側めいっぱいの320mm相当で撮影し,画像処理後,トリミングしました。固定撮影でも,なんとか星雲状の画像が得られました。もっと空の条件の良い場所で,赤道議を使って追尾撮影すれば,もっと綺麗に写るのでしょうけど,「お気楽撮影」では,この程度が限界かな。
冬の王者,オリオン座。32秒露出です。高解像度で撮影して縮小したら,暗い星が消えてしまいました。左上の明るい星はベテルギウス。これも赤い星なんですが……。
真ん中の「三ツ星」の下に,縦に連なる「小三ツ星」が見えます。
ここをアップで撮影すると……
ほら,真ん中の星が青いヴェールをかぶったように見えています。
これがオリオン大星雲(M42)です。
街の中での固定撮影ですから,あまり良く写っていません。この星雲を銀塩写真で撮影すると,水素ガスの赤い光……Hα線が良く写るので,赤く写るのですが,デジカメでは青系統の発色です。おそらく,水素ガスのの光のうち,Hβ線と言う,青みがかった光のほうを強く捉えているんでしょうね。
この色のほうが,肉眼で見たときの印象に近い色です。
………
さて,皆さんはこの撮影結果,どう思います?
私はかなり満足しました。
暗い天体を狙うときは,赤道議を用意したりして,もっと本腰入れて撮影しないと難しそうですが,星座のスナップ写真ぐらいなら,気楽に撮影できます。「気楽に星座が撮影できる」と言うのは,ちょっと魅力あります。
ただ,液晶ファインダーでは明るい星しか見えないのは,ちょっと困ります。
光学ファインダーやスポーツファインダーなどを自作して,もうちょっと使い勝手を良くしてみようかと思います。
(2000年10月25日記)