木星の撮影記録

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☆共通撮影データ
 望遠鏡:ビクセン ジオマ65EDフィールドスコープ
 カメラ:カシオQV-8000SX
 25倍アイピース+デジカメのズーム目一杯でコリメート。
 露出時間:1/8〜1/15秒

 特に断りのない限り,このページの画像は正立像です。

 2001.02.17

 観測シーズンも終盤。西空に傾く木星を捉えました。
 撮影枚数は多かったのですが,大気が安定せず,使えるフレームは4枚だけ。
 これをコンポジットして,カラー調整,コントラスト調整,アンシャープマスクをかけて仕上げたのが,上の画像。
 ザラついた感じもしますし,模様もハッキリしませんが,太い縞は見えます。
 色調は眼で見た感じに近いかな。
 地平高度が下がっているので,大気の影響で色がずれてます。


 2001.02.27

 前回よりは気流の状態は良いようです。
 10枚コンポジットし,大気による色ズレも修正してみました。
 縞模様が一直線でないのは,乱流が写っているのか,それとも撮影時の大気の乱れか?
 ……と思って調べたら,木星の縞そのものの乱れのようです。


 2001.04.08

 大赤斑を狙いました。
 15枚コンポジット。
 下(南側)の太い縞の,右よりの部分に赤い斑点があるの,わかりますか?
 近年,大赤斑は色が淡く,やや小さくなり,なかなか撮影しにくくなっています。
 それでも,大赤斑は地球がすっぽり入ってしまうほどの巨大な嵐。
 迫力のある撮影対象です。。


2001.08.19

 新シーズン突入。
 この数ヶ月,木星は太陽に近い方向にあったので,写真撮影も休業でした。
 明け方2時30分に起きて,土星,木星の順に撮影。
 まだ地平線に近いので,大気のゆらぎの影響を受け,あまりシャープには仕上がっていませんが,今シーズンの初画像です。中央やや右下寄りに大赤斑が見えている……はずなんだけど,わかりますか?……(^^ゞ


2001.09.24

望遠鏡をちょっと変えてみました。
BORG76ED鏡筒にLV15mmアイピースをつけて倍率は33.3倍。
これにQV-8000SXをつけて,目一杯ズーム。この状態で合成焦点距離は1600mmですが,これは35mm判カメラの10666mm相当。それを320×240ピクセルにトリミングすると42666mm相当のフレーミングになり,さらにそれを1.5倍に拡大したもの(約64000mm相当の拡大となります)が,下の写真です。

 露出は1/15秒,コントラスト=「高」,彩度=「標準」,シャープネス=「高」,ホワイトバランス=「蛍光灯」で撮影し,20枚コンポジット。これまでの画像と対比できるよう,正立像に直しています。したがって,上が北,右が東です。
 65mmEDフィールドスコープとBORG76mmEDレンズの差は歴然。コントラスト,解像度共に天体用にチューンされた望遠鏡の実力を見せつけてくれました。中央よりやや左下に大赤斑があります。
 もともと惑星写真は,極端に合成焦点距離を伸ばした超超望遠撮影で,レンズの理論上の能力いっぱいのところで撮影しますから,撮影機材の良し悪しは,明らかに結果に出ますね。もちろん,フィールドスコープが悪いわけじゃありません。地上用の観察の道具として,ジオマ65EDは,大変素晴らしい能力を持っています。それで天体を撮影するのは,異種格闘技に臨むようなものです。分厚い正立プリズムと,可搬性のためにやや無理をした短焦点レンズを抱えたジオマで,そこそこに良い惑星写真が撮れることは,「お気楽天体撮影」の世界を広げてくれることには間違いありません。もちろん私も,ジオマを見捨てるつもりはありません。でも,76mmと65mmの口径差以上に実力の差はありそうですね……。
 もう少し木星の地平高度が上がるようになり,撮影,画像処理の条件を煮詰めてゆけば,さらに良い画像が得られそうです。
 これからが楽しみです。


2001.10.12

夜半過ぎ,気流が安定したので,じっくり撮影。
BORG76ED+LV15mm+QV-8000SXで撮影。
露出をたっぷり目にして1/10秒。
20枚コンポジットしています。
9月24日の画像に較べて,細かい部分までよく写っているので,原画を200%拡大しています。

 木星の表面模様は淡いので,カメラのコントラスト設定とシャープネス設定を高くしています。
そうすると,模様は良く出てくるのですが,ちょっとでも露出アンダーになると,CCD特有のノイズが出たり,低照度の部分が真っ黒になったりします。そこで,露出時間を延ばして対応するわけですが,気流が安定しないと,露出中に乱気流で画像が乱れて使い物にならなくなる確率が高くなります。
 惑星撮影は,何は無くとも大気の安定度が第一,と言うことのようです。


2001.10.13

 大赤斑を狙ってみました。
 撮影条件は前日と同じ。15枚コンポジット。原画を150%拡大しています。
 正立像にしているので,大赤斑は南側(下のほう),やや左寄りに,淡く写っています。太い縞が乱れて細くなっている部分に,うす赤い,楕円形の斑点があります。

 ここ10数年,大赤斑の色が淡く,一時は白い空洞のようになって「大赤斑孔」などと呼ばれた時期もありました。現在は淡いながらも,わずかに赤みを帯びています。


2001.10.20

 大赤斑をしっかり表現するために,少し画像処理で強調してみました。
 今回は倒立像です。右上のほうに大赤斑があります。

 もともと木星の表面模様のコントラストは低いので,この画像はかなり誇張していることになります。しかし,ボイジャーによる撮影,あるいはハッブル宇宙望遠鏡や,「すばる望遠鏡」などの撮影でも,実際の色調やコントラストよりも,かなり強調された画像が公表されているので,私たちが普段,目にする木星の画像は,どちらかと言うとこういう雰囲気のものに慣れ親しんでいるのではないかと思います。
 望遠鏡で本物の木星を眺めると,この写真よりも模様はずっと淡いのですが,でも何故か,誇張された画像よりも瑞々しく,画像が安定してピタッと見えた瞬間など,背筋がぞくっとするほど感動するんです。


2001.10.28

 またまた大赤斑狙い(^_^;)。
 正立像なので,右下のほうにオレンジ色の大赤斑が見えています。
 よーく見ると,北側(真ん中よりやや上)の太い縞から赤道帯に向かって,ちょこちょこ影が伸びているのが見えているのですが(10月20日の画像にも写っています),フェストーンが写っているようです。


2001.11.11

00:35〜00:40にBORG76EDで撮影。LV15mm+QV-8000でコリメート。露出1/15秒,15枚コンポジット。倒立像です。
右端に大赤斑が見えています。もう少しいい位置に回ってくるまで待ってみました。

左が01:42〜01:47の撮影。17枚コンポジット。
右が01:52〜02:00の撮影。17枚コンポジット。
その他の撮影条件は1枚目と同じ。

たった10分で,こんなに動くんですね〜。
改めて木星の自転の早さ(1周約9時間50分)を認識させられました。


2001.11.28

 原画は同じですが,処理方法を変えてあります。

BORG76ED+LV15mm+QV-8000
撮影時刻:00:37-00:43
露出1/20秒,シャープネス=高,彩度=高,コントラスト=高,14枚コンポジット,200%拡大

 左のほうは肉眼で見たイメージを損なわないように意識して,仕上げています。
 右のほうは模様をハッキリ出すために,コントラストを上げ,アンシャープマスクを強めにかけています。
 画像を強調したほうが,模様がハッキリ目に飛び込んできますが,肉眼イメージに近いほうの画像でも,よく見れば模様の細部は見えています(元画像が同じですからね)。また,強調処理では画像がザラつきやすい,と言う難点があります。

 個人的には,肉眼で見たイメージを損なわない範囲,と言うのが好みですが,どう思いますか?


2001.12.17

 22:04-22:10に撮影した約30コマから12コマ選んでコンポジット。
 冬場は天気が良くてもシーイングが悪く,撮影チャンスが多くありません。
 この日もそれほど良い状態ではなく,たくさんシャッターを切って使える画像を選んで,やっとこ仕上げました。

 やや左上に大赤斑が見えますが,「赤」と言うよりは白い穴ボコですね。大赤斑のすぐ下に黒い点が見えていますが,これは木星の衛星イオの影です。木星の目玉に「泣きぼくろ」と言ったところでしょうか?


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