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更新日時2022年月2月8日 

 

 

使徒 25:13  アフリッパ → アグリッパ

使徒17:23   い♯もの → いるもの

使徒 17:24   “世界”とその中のもの“→ 世界“とその中のもの” 

ルカ2:34     倒されたり → 倒させたり

ルカ23:8     奇跡 → 奇蹟

 

 塚本虎二訳新約聖書・電子版03版(高橋照男・私家版)1.14MB      1999.5.30

底本 福音書(岩波文庫昭和38年発行) 使徒のはたらき(岩波文庫昭和52年発行)
   ローマ人へ(聖書知識社分冊昭和41年発行) 1,2コリント(聖書知識社別冊
   岩永恭整理 平成1年発行) ガラテヤ、ヘブル(聖書知識社第5分冊昭和50年
   発行 本文と敷衍の分割は「続・塚本虎二著作集第8卷」による) ピレモン、ヨ
   ハネの手紙((聖書知識社第5分冊昭和50年発行 本文と敷衍の分割は高橋照男
   の責任作業による) 上記以外(聖書知識社第6分冊昭和51年発行 昭和19年
   に完成した口語試訳の旧漢字旧カナを改めたもの)
初期入力作業(「バイブルリサーチセンター」大野キリスト教会内、代表中沢啓介牧師・
             
作業主務者 棚田真幸)
校正及再入力(高橋照男)
章節先頭コード マタイ40 マルコ41 ルカ42 ヨハネ43 使徒44 ローマ45
        1コリ46 2コリ47 ガラ48 エペソ49 ピリ50 コロサ51
        1テサ52 2テサ53 1テモ54 2テモ55 テト56 ピレ57
        ヘブル58 ヤコブ59 1ペテ60 2ペテ61 1ヨハ62
        2ヨハ63 3ヨハ64 ユダ65 モクシ66 

マタイ福音書
"400101","
アブラハムの末のダビデの末のイエス・キリストの系図──"
"400102","
アブラハムの子はイサク、イサクの子はヤコブ、ヤコブの子はユダとその兄弟
たち、"
"400103","
ユダの(その嫁)タマルによる(不倫の)子はパレスとザラ、パレスの子はエ
スロン、エスロンの子はアラム、"
"400104","
アラムの子はアミナダブ、アミナダブの子はナアソン、ナアソンの子はサルモ
ン、"
"400105","
サルモンの(遊女)ラハブによる子はボアズ、ボアズの(異教国モアブの女)
ルツによる子はオベデ、オベデの子はエッサイ、"
"400106","
エッサイの子はダビデ王である。ダビデの(将軍)ウリヤの妻による子はソロ
モン、"
"400107","
ソロモン(王)の子はレハベアム、レハベアム(王)の子はアビヤ、アビヤ(王)
の子はアサ、"
"400108","
アサ(王)の子はヨサパテ、ヨサパテ(王)の子はヨラム、ヨラム(王)の子
はウジヤ、"
"400109","
ウジヤ(王)の子はヨタム、ヨタム(王)の子はアハズ、アハズ(王)の子は
ヒゼキヤ、"
"400110","
ヒゼキヤ(王)の子はマナセ、マナセ(王)の子はアモン、アモン(王)の子
はヨシヤ、"
"400111","
ヨシヤ(王)の子は、バビロン追放の当時、エコニヤ(王)とその兄弟たちで
あった。"
"400112","
バビロン追放の後、エコニヤの子はサラテル、サラテルの子はゾロバベル、"
"400113","
ゾロバベルの子はアビウデ、アビウデの子はエリヤキム、エリヤキムの子はア
ゾル、"
"400114","
アゾルの子はサドク、サドクの子はアキム、アキムの子はエリウデ、"
"400115","
エリウデの子はエレアザル、エレアザルの子はマタン、マタンの子はヤコブ、"
"400116","
ヤコブの子はマリヤの夫ヨセフで、このマリヤから救世主と呼ばれるイエスが
お生まれになった。  "
"400117","
すなわち、アブラハムからダビデまで合計十四代、ダビデからバビロン追放ま
で十四代、バビロン追放から救世主まで十四代である。"
"400118","
さてイエス・キリストの誕生はこのようであった。──イエスの母マリヤがヨ
セフと婚約の間柄で、まだいっしょにならないうちに、聖霊によって身重となっているこ
とが知れた。"
"400119","
夫ヨセフはあわれみぶかい人であったので、(これを公沙汰にして)女を晒し者
にすることを好まず、内緒で離縁しようと決心した。"
"400120","
しかし(なおも)そのことを思案していると、主の使いが夢でヨセフに現われ
て言った、「ダビデの末なるヨセフよ、心配せずにあなたの妻マリヤを(家に)迎えよ。
胎内にやどっている者は、聖霊によるのである。"
"400121","
男の子が生まれるから、その名をイエス[訳すると、神はお救いになる]とつ
けよ。この方がその民を罪からお救いになるのだから。」"
"400122","
これはみな、主が預言者(イザヤ)をもって言われた言葉が成就するためにお
こったのである。──"
"400123","
“見よ、乙女が身重になって男の子を産み、人はその(子の)名をインマヌエ
ルと呼ぶであろう。”インマヌエルを訳すると“神はわれらと共なり”である。"
"400124","
ヨセフは眠りから覚めると、主の使いに命じられたとおりにして、その妻を(家
に)迎えた。"
"400125","
しかし、子が生まれるまでは、一緒にならなかった。そして(子が生まれると、)
その名をイエスとつけた。"
"400201","
さてイエスはヘロデ(大)王の代にユダヤのベツレヘムでお生まれになったが、
そのとき、東の国の博士たちがエルサレムに来て"
"400202","
言った、「(今度)お生まれになったユダヤ人の王[救世主]はどこにおられる
か。われわれはそのお方の星が出るのを見たので、おがみにまいった。」"
"400203","
(救世主が生まれたと)聞いて、ヘロデ王はもちろんエルサレム中の人々も王
と共にうろたえた。"
"400204","
そこで王は国の大祭司連、聖書学者たちを全部集めて、救世主はどこで生まれ
るべきであるかとたずねた。"
"400205","
彼らはこたえた、「ユダヤのベツレヘムで。預言者(ミカ)によって、こう書か
れているからです。"
"400206","
“お前、”ユダの地なる“ベツレヘムよ、お前はユダの町々の中で、最も劣って
いるものでは”決してない。“一人の偉大なる支配者がお前の中から出て、わが民イスラ
エルを牧するのだから。”」"
"400207","
そのあとヘロデは内証で博士たちを呼びよせ、(最初に)星の現われた時間を彼
らに確かめた上で、"
"400208","
こう言ってベツレヘムへやった、「行って幼児の居所を丹念に捜し、見つけ次第、
報告せよ。自分も言っておがみたいから。」"
"400209","
王の言葉を聞いて博士たちが出かけると、見よ、(前に東の国で)出るのを見た
星が彼らの先に立って、幼児のいる所の上まで行って止まった。"
"400210","
彼らはその星を見たとき、大喜びに喜んだ。"
"400211","
家に入って、幼児が母マリヤと共にいるのを見ると、ひれ伏しておがみ、宝箱
を開いて、“黄金、乳香、”没薬を“贈物として”捧げた。"
"400212","
それから夢で、ヘロデの所へ引き返すなとのお告げを受けたので、ほかの道か
ら国へ帰っていった。"
"400213","
博士たちが帰ってゆくと、見よ、主の使いが(また)夢でヨセフに現われて言
った、「起きて幼児とその母とを連れてエジプトに逃げ、わたしが言うまでそこにおれ。
ヘロデがその幼児をさがして殺そうともくろんでいるから。」"
"400214","
そこでヨセフは起きて、夜のあいだに幼児とその母とを連れてエジプトに立ち
のき、"
"400215","
ヘロデが死ぬまでそこにいた。主が預言者(ホセア)をもって“わたしはエジ
プトからわが子を呼び出した”と言われた言葉が成就するためであった。"
"400216","
あとでヘロデは、博士たちに出し抜かれたことを知って非常に怒り、ベツレヘ
ムをはじめ、その地方全体にいる男の子のうち、(前に)博士たちに確かめておいた時間
で計算して、二歳以下の者を、一人のこらず殺させた。"
"400217","
その時、預言者エレミヤをもって言われた言葉が成就したのである。──"
"400218","
“声がラマに聞えた、──(ラケルの)”はげしい“わめきと、なげきの声であ
る。ラケルはその子らのために泣くばかりで、慰められようとしない、子らがもういない
ので。”"
"400219","
ヘロデが死ぬと、主の使いが夢でエジプトのヨセフに現われて"
"400220","
言った、「起きて、幼児とその母とを連れて、イスラエル(の民)の地に行け。
その幼児の命をねらっていた者は死んだから。」"
"400221","
そこでヨセフは起きて、幼児とその母とを連れて、イスラエルの地にかえった。
"
"400222","
しかしアケラオが父ヘロデに代わってユダヤを治めていると聞き、恐ろしくな
ってユダヤへ行かずにいると、また夢でお告げを受けたので、(ユダやをやめて)ガリラ
ヤ地方に引っ込み、"
"400223","
ナザレという町に行って住んだ。「彼はナザレ人と言われる」と、預言者たちを
もって言われた言葉が成就するためであった。"
"400301","
そのころ、洗礼者ヨハネがあらわれて、ユダヤの荒野で教えを説いて、"
"400302","
言う、「悔改めよ、天の国は近づいた。」"
"400303","
この人は、預言者イザヤによってこう言われた人である。──“荒野に叫ぶ者
の声はひびく、「主の道を用意し、”その“道筋をまっすぐにせよ。」”"
"400304","
このヨハネは駱駝の毛の外套を着、腰のまわりに皮の腰衣をつけ、蝗と野蜜と
がその食べ物であった。"
"400305","
するとエルサレムをはじめとしてユダヤ全体、またヨルダン川沿岸の地全体の
人々がヨハネの所にでて来て、"
"400306","
自分の罪を告白し、ヨルダン川で彼から洗礼を受けた。"
"400307","
ヨハネは大勢のパリサイ人とサドカイ人とが洗礼を受けに来るのを見て言った、
「蝮の末ども、(わたしから洗礼を受けて)来るべき(神の)怒り(の裁き)を免れるよ
うにと、だれがおしえたのか。"
"400308","
(ほんとうに悔改めたのか。)それなら(洗礼を受けるだけでなく)、悔改めに
ふさわしい実を結べ。"
"400309","
『われわれの先祖はアブラハムである(から大丈夫だ)』などと考えてはならな
い。わたしは言う、神はそこらの石ころからでも、アブラハムの子供を造ることがお出来
になるのだ。"
"400310","
斧はすでに木の根に置いてある。だから、良い実を結ばない木はどんな木でも、
切られて火の中に投げ込まれる。"
"400311","
わたしは悔改めのために水で洗礼を授けているが、わたしのあとから来られる
方はわたしよりも力がある。わたしはその靴をぬがしてあげる値打もない者である。その
方は聖霊と(裁きの)火とで洗礼をお授けになる。"
"400312","
その手に箕をもっておられるので、(すぐ)脱穀場の掃除をされる。すなわち麦
は集めて倉にいれ、籾殻は消えぬ火で焼きすてられるであろう。(聖霊と火の洗礼とはこ
れである。)」"
"400313","
ほどなくイエスはガリラヤからヨルダン川のヨハネの所に来られる。彼から洗
礼を受けるためであった。"
"400314","
しかしヨハネは、「わたしこそあなたから洗礼を受けるべきであるのに、あなた
がわたしの所に来られるのか」と言って、しきりに辞退したが、"
"400315","
イエスは答えられた、「さあ、そう言わずに!こうして、せねばならぬことをな
んでも為遂げることは、われわれ(二人)にふさわしいのだから。」そこでヨハネが譲っ
た。"
"400316","
イエスは洗礼を受けて、すぐ水から上がられた。すると、みるみる天が開けて、
神の御霊が鳩のように自分の上に下って来るのを御覧になった。"
"400317","
するとその時、「これは(いま)わたしの“最愛の子、”“わたしの心にかなった”」
と言う声が天から出た。"
"400401","
間もなくイエスは悪魔の誘惑にあうため、御霊につれられて荒野に上られた。 "
"400402","
四十日四十夜断食をされると、ついに空腹を覚えられた。"
"400403","
すると誘惑する者[悪魔]が進み寄って言った、「神の子なら、(そんなにひも
じい思いをせずとも、)そこらの石ころに、パンになれと命令したらどうです。」"
"400404","
しかし答えられた「“パンがなくとも人は生きられる。(もしなければ、)神はそ
のお口から出る言葉のひとつびとつで(パンを造って、)人を生かしてくださる”と(聖
書に)書いてある。」"
"400405","
そこで悪魔はイエスを聖なる都(エルサレム)に連れてゆき、宮の屋根の上に
立たせて"
"400406","
言った、「神の子なら、下へ飛びおりたらどうです。“神は天使たちに命じて、
手にてあなたを支えさせ、足を石に打ち当てないようにしてくださる。”と(聖書に)書
いてあります。(人々はそれを見て信じ、たちどころにあなたの国が出来ます。)」"
"400407","
イエスは言われた、「ところが、“あなたの神なる主を試みてはならない”とも
書いてある。」"
"400408","
悪魔はまたイエスを非常に高い山に連れてゆき、世界中の国々と、栄華とを見
せて"
"400409","
言った、「あれを皆あげよう、もしひれ伏してわたしをおがむなら。」"
"400410","
そこでイエスは言われる、「引っ込んでいろ、悪魔!(聖書に)“あなたの神な
る主をおがめ、”“主に”のみ“奉仕せよ”と書いてあるのだ。」"
"400411","
そこで悪魔が離れると、たちまち天使たちが来てイエスに仕えた。"
"400412","
イエスは(洗礼者)ヨハネが牢に入れられたと聞くと、(郷里)ガリラヤ(のナ
ザレ)に引っ込まれた。"
"400413","
それから(間もなく)ナザレを去って、(昔)ゼブルン(族)とナフタリ(族)
との(領地であった)地方にある、(ガリラヤ)湖畔の(町)カペナウムに行って住まれ
た。"
"400414","
預言者イザヤをもって言われた言葉が成就するためであった。──"
"400415","
“(ガリラヤの)湖に向かった、ゼブルン(族)の地とナフタリ(族)の地、ヨ
ルダン川の向こう(のペレヤ)、異教人の(住む)ガリラヤ──"
"400416","
暗闇に住まう(これらの地方の)民は大いなる光を見、死の陰の地に住まうこ
の人々に光がのぼった、”"
"400417","
この時から、イエスは「悔改よ、天の国は近づいた」と言って、教えを説き始
められた。"
"400418","
ガリラヤ湖のほとりを歩いておられるとき、二人の兄弟、ペテロと言われたシ
モンとその兄弟アンデレとが、湖で網を打っているのを見られた。彼らは漁師であった。"
"400419","
「さあ、ついて来なさい。人間の(漁をする)漁師にしてあげよう」と言われ
ると、"
"400420","
彼らはすぐ網をすててイエスに従った。"
"400421","
またそこから進んでいって、ほかの二人の兄弟、ゼベダイの子ヤコブとその兄
弟のヨハネとが、父ゼベダイと一しょに舟で網を繕っているのを見て、お呼びになった。"
"400422","
彼らはすぐ舟と父とをのこして、イエスに従った。"
"400423","
それからガリラヤ中を回りながら、その礼拝堂で教え、御国の福音を説き、ま
た人々の中のありとあらゆる病気や煩いをなおされた。"
"400424","
そこでイエスの評判が全シリヤに広まり、人々がさまざまな病気や痛みに苦し
む病人、(中でも)悪鬼につかれた者、癲癇、中風の者を皆イエスのところにつれて来た
ので、それをなおされた。"
"400425","
ガリラヤ、デカポリス、エルサレム、ユダヤ、およびヨルダン川の向こう(の
ペレヤ)から来た大勢の群衆が、イエスについて回った。"
"400501","
イエスはこれらの群衆を見て、(近くの)山に上られた。お坐りになると、弟子
たちがそばに来たので、"
"400502","
口を開き、こう言って教えられた。(群衆も集まってきて聞いた。)──"
"400503","
ああ幸いだ、神に寄りすがる“貧しい人たち、”天の国はその人たちのものとな
るのだから。"
"400504","
ああ幸いだ、“悲しんでいる人たち、”(かの日に)“慰めていただく”のはその
人たちだから。"
"400505","
ああ幸いだ、“(踏みつけられて)じっと我慢している人たち、”“(約束の)地
(なる御国)を相続する”のはその人たちだから。"
"400506","
ああ幸いだ、(神の)義に飢え渇いている人たち、(かの日に)満足させられる
のはその人たちだから。"
"400507","
ああ幸いだ、憐れみ深い人たち、(かの日に)憐れんでいただくのはその人たち
だから。"
"400508","
ああ幸いだ、“心の清い人たち、”(御国に入って)神にまみえるのはその人たち
だから。"
"400509","
ああ幸いだ、平和を作る人たち、神の子にしていただくのはその人たちだから。
"
"400510","
ああ幸いだ、信仰のために迫害される人たち、天の国はその人たちのものとな
るのだから。"
"400511","
わたしゆえに罵られたり、迫害されたり、あらん限りの根も葉もない悪口を言
われたりする時、あなた達は幸いである。"
"400512","
小躍りして喜びなさい、褒美がどっさり天であなた達を待っているのだから。
あなた達より前の預言者たちも、同じように迫害されたのである。"
"400513","
(預言者と同じく)あなた達は地の塩である。(世の腐敗を防ぐのが役目であ
る。)しかしもし塩が馬鹿になったら、何で(もう一度)塩気をもどすか。外に捨てられ
て人に踏まれるほか、もはや何の役にも立たない。"
"400514","
あなた達は世の光である。山の上にある町は隠れていることは出来ない。"
"400515","
また、(せっかく)明りをともして枡をかぶせる者はない。かならず燭台の上に
置く。すると、家の中におる人を皆照らすのである。"
"400516","
そのようにあなた達も、その光を世の人の前に輝かし、人があなた達の良い行
ないを見て、あなた達の天の父上をあがめるようにせよ。"
"400517","
わたしが律法や預言書[聖書]を廃止するために来たと思ってはならない。廃
止するどころか、成就するために来たのである。"
"400518","
アーメン、わたしは言う、天地が消え失せても、(そこに書かれている)すべて
のことが実現するまでは、律法(と預言書)から、その一点一画といえども決して消え失
せない。"
"400519","
だから、これらの掟の中で一番小さいものを一つでも破り、またそのように人
に教える者は、天の国で一番小さい者となり、反対に、これを行ない、また(そのように
人に)教える者は、天の国で一番大きい者となろう。"
"400520","
わたしは言う、あなた達の行ないが聖書学者やパリサイ人以上にりっぱでなけ
れば、決して天の国に入ることはできない。"
"400521","
(だからわたしの戒めは彼らよりもきびしい。)──あなた達は昔の人が(モー
セから、)“(人を)殺してはならない、”殺した者は裁判所で罰せられる、と命じられたこと
を聞いたであろう。"
"400522","
しかしわたしはあなた達に言う、兄弟に腹をたてる者は皆、(ただそれだけの理
由で、天国の)裁判所で罰せられる。兄弟に馬鹿と言う者は、最高法院で罰せられる。畜
生と言う者は、火の地獄で罰せられる。"
"400523","
だからもし、あなたが祭壇に供え物を捧げるとき、そこで兄弟に恨まれている
ことを思い出したなら、"
"400524","
供え物をそこに、祭壇の前に置き、まず行ってその兄弟と仲直りをし、それか
らかえって来て供え物を捧げよ。"
"400525","
また告訴人とは、一しょに(裁判所へ)行く途中で、早く示談にするがよい。
そうでないと、告訴人は裁判官に、裁判官は下役にあなたを引き渡して、牢に入れられる
にちがいない。"
"400526","
アーメン、わたしは言う、最後の一コドラント[十円]を返すまでは、決して
そこから出ることはできない。"
"400527","
あなた達は(昔の人がモーセから、)“姦淫をしてはならない”と命じられたこ
とを聞いたであろう。"
"400528","
しかしわたしはあなた達に言う、情欲をもって人妻を見る者は皆、(見ただけ
で)すでに心の中でその女を姦淫したのである。"
"400529","
それで、もし右の目があなたを罪にいざなうなら、くじり出して捨てよ。体の
一部が無くなっても、全身が地獄に投げ込まれない方が得であるから。"
"400530","
もしまた右の手があなたを罪にいざなうなら、切り取って捨てよ。手足が一本
無くなっても、全身が地獄へ行かない方が得であるから。"
"400531","
また(昔の人は)、“妻を離縁する者は離縁状を渡せ”と命じられた。"
"400532","
しかしわたしはあなた達に言う、不品行以外の理由で妻を離縁する者は皆、そ
の女に姦淫を犯させるのである。離縁された女と結婚する者も、姦淫を犯すのである。"
"400533","
さらにあなた達は昔の人が(モーセから)、“偽りの誓いをしてはならない、”ま
た“誓ったことは主に対して果たさねばならない”と命じられたことを聞いたであろう。"
"400534","
しかしわたしはあなた達に言う、いっさい誓ってはならない。神の御名はもち
ろん、“天”にかけても(誓ってはならない)。(天は)“神の御座である”から。"
"400535","
“大地”にかけても。(大地は)“神の足台である”から。エルサレムにかけて
も。(エルサレムは)“大王(なる神)の都”であるから。"
"400536","
自分の頭にかけても誓ってはならない。(頭は神のもので、)あなたは髪の毛一
本を、白くも黒くも出来ないのであるから。"
"400537","
あなた達はただはっきり『はい』とか、『いいえ』とだけ言え。これ以上は悪魔
が言わせるのである。"
"400538","
あなた達は(昔の人がモーセから、)“目には目、歯には歯”──(人の目をつ
ぶした者は自分の目で、人の歯を折った者は自分の歯で、つぐなわなければならない)と
命じられたことを聞いたであろう。"
"400539","
しかしわたしはあなた達に言う、悪人に手向かってはならない。だれかがあな
たの右の頬を打ったら、左をも向けよ。"
"400540","
(裁判所に)訴えて下着を取ろうとする者には、上着をも取らせてやれ。"
"400541","
だれかが無理に一ミリオン[一キロ半]行かせようとするなら、一しょに二ミ
リオン行ってやれ。"
"400542","
求める者には与えよ、借りようとする者を断るな。"
"400543","
あなた達は(昔の人がモーセから、)“隣の人を愛し、”敵を憎まねばならない、
と命じられたことを聞いたであろう。"
"400544","
しかしわたしはあなた達に言う、敵を愛せよ。自分を迫害する者のために祈れ。
"
"400545","
あなた達が天の父上の子であることを示すためである。父上は悪人の上にも善
人の上にも日をのぼらせ、正しい人にも正しくない人にも、雨をお降らしになるのだから。
"
"400546","
自分を愛する者を愛したからとて、なんの褒美があろう。(人でなしと言われる
あの)税金取りでも同じことをするではないか。"
"400547","
また兄弟にだけ親しくしたからとて、なんの特別なことをしたのだろう。異教
人でも同じことをするではないか。"
"400548","
だからあなた達は、天の父上が完全であられるように“完全になれ。”"
"400601","
(しかし戒めだけでなく、行ないにおいても聖書学者、パリサイ人以上でなけ
ればならない。すなわち)見せびらかすために、人の見ている前で善行をしないように気
をつけよ。そうでないと、あなた達の天の父上の所で褒美をいただくことはできない。"
"400602","
だからあなたが施しをする時には、偽善者のように、自分の前にラッパを吹き
ならして(吹聴して)はならない。彼らは人に褒められようとして、礼拝堂や町の中でそ
うするのである。アーメン、わたしは言う、彼らは(褒められたとき、)すでに褒美をも
らっている。"
"400603","
あなたは施しをするときに、右の手のすることを左に悟られてはならない。"
"400604","
これは施しを隠しておくためである。そうすれば、隠れたことを見ておられる
あなたの父上は、褒美をくださるであろう。"
"400605","
また祈る時には、偽善者のようにしてはならない。彼らは人に見せようとして、
礼拝堂や大通りの角に立って祈ることを好むのである。アーメン、わたしは言う、彼らは
(褒められた時、)すでに褒美をもらっている。"
"400606","
あなたが祈る時には、“奥座敷に入り、部屋をしめきった上で、”隠れた所にお
いでになるあなたの父上に“祈れ。”そうすれば、隠れたことを見ておられるあなたの父
上は、褒美をくださるであろう。"
"400607","
また祈るとき、異教人のようにベラベラしゃべるな。彼らは口数が多ければ、
聞いてもらえるものと思っている。"
"400608","
彼らの真似をしてはならない。神はあなた達の父上である。求める前から、あ
なた達に必要なものをよく御承知である。"
"400609","
だからあなた達は、このように祈りなさい。──、わたしたちの天のお父様、
お名前がきよまりますように。"
"400610","
お国が来ますように。お心が行われますように、天と同じに、地の上でも。"
"400611","
その日の食べ物をきょうも、わたしたちに戴かせてください。"
"400612","
罪を赦してください、わたしたちも罪を犯した人を赦しましたから。"
"400613","
わたしたちを試みにあわせないで、悪から守ってください。"
"400614","
(祈る前に、まず人の罪を許さねばならない。)あなた達が人の過ちを赦してや
れば、天の父上もあなた達を赦してくださるが、"
"400615","
人を赦さないならば、父上もあなた達の過ちを赦してくださらないであろう。"
"400616","
また断食をしている時には、偽善者のように陰気な顔つきをしてはならない。
彼らは断食をしていることを人に見せようとして、(顔を洗わず、髭をそらず、わざと)
顔を見苦しくするのである。アーメン、わたしは言う、彼らは(褒められた時、)すでに
褒美をもらっている。"
"400617","
あなたが断食をするときは、頭に油をぬり、顔を洗いなさい。"
"400618","
これは断食をしていることを人に見せず、隠れた所においでになるあなたの父
上に、見ていただくためである。そうすれば、隠れたことを見ておられるあなたの父上は、
褒美をくださるであろう。"
"400619","
(このように、何事も天の父上相手でなければならない。たとえば)あなたた
ちは衣魚や虫が食い、また泥坊が忍び込んで盗むこの地上に宝を積まず、"
"400620","
衣魚も虫も食わない、また泥坊が忍び込むことも盗むこともない天に、宝を積
んでおきなさい。(そうでないと、心が天に向かないであろう。)"
"400621","
宝のある所に、あなたの心もあるのだから。"
"400622","
目は体の明りである。だからあなたの目が澄んでおれば、体全体が明るいが、"
"400623","
目が悪いと、体全体が暗い。だから(天に宝を積まないため、)もしあなたの内
の光(である目、すなわち心)が暗かったら、その暗さはどんなであろう。"
"400624","
(わたし達の心は天か地かに引かれる。)だれも(同時に)二人の主人に仕える
ことは出来ない。こちらを憎んであちらを愛するか、こちらに親しんであちらを疎んじる
か、どちらかである。あなた達は神と富とに仕えることは出来ない。"
"400625","
だから、わたしは言う、何を食べようかと命のことを心配したり、また何を着
ようかと体のことを心配したりするな。命は食べ物以上、体は着物以上(の賜物)ではな
いか。(命と体とを下さった天の父上が、それ以下のものを下さらないわけはない。)"
"400626","
空の鳥を見てごらん。まかず、刈らず、倉にしまいこむこともしないのに、天
の父上はそれを養ってくださるのである。あなた達は鳥よりも、はるかに大切ではないの
だろうか。"
"400627","
(だいいち、)あなた達のうちのだれが、心配して寿命を一寸でも延ばすこと
が出来るのか。"
"400628","
また、なぜ着物のことを心配するのか、野の花の育つのを、よく見てごらん、
苦労をせず、紡ぐこともしない。"
"400629","
しかし、わたしは言う、栄華を極めたソロモン(王)でさえも、この花の一つ
ほどに着飾ってはいなかった。"
"400630","
きょうは花咲き、あすは炉に投げ込まれる野の草でさえ、神はこんなに装って
くださるからには、ましてあなた達はなおさらのことではないか。信仰の小さい人たちよ!
"
"400631","
だから、『何を食べよう』とか、『何を飲もう』とか、『何を着よう』とか言って、
心配するな。"
"400632","
それは皆異教人のほしがるもの。あなた達の天の父上は、それが皆あなた達に
必要なことをよく御承知である。"
"400633","
あなた達は何よりも、御国と、神に義とされることとを求めよ。そうすれば(食
べ物や着物など)こんなものは皆、(求めずとも)つけたして与えられるであろう。"
"400634","
だから、あしたのことを心配するな。あしたはあしたが自分で心配する。一日
の苦労はその日の分で沢山である。"
"400701","
(人を)裁くな、自分が(神に)裁かれないためである。"
"400702","
(人を)裁く裁きで、あなた達も裁かれ、(人を)量る量りで、あなた達も量ら
れるからである。"
"400703","
なぜあなたは、兄弟の目にある塵が見えながら、自分の目に梁があるのに気付
かないのか。"
"400704","
また、どうして兄弟にむかって、『あなたの目の塵を取らせてくれ』と言うのか。
そら、自分の目に梁があるではないか。"
"400705","
偽善者!まず自分の目の梁を取ってのけよ。その上で、兄弟の目の塵を(取っ
てやれるなら、)取ってやったらよかろう。"
"400706","
(とはいえ、正しい判断は出来ねばならない。神に供えた肉など)神聖な物を
犬にやるな。また真珠を豚に投げてやるな。豚はそれを足で踏みつけ、向き直ってあなた
達を噛み裂くかも知れない。"
"400707","
(ほしいものはなんでも天の父上に)求めよ、きっと与えられる。さがせ、き
っと見つかる。戸をたたけ、きっとあけていただける。"
"400708","
だれであろうと、求める者は受け、さがす者は見つけ、戸をたたく者はあけて
いただけるのだから。"
"400709","
あなた達のうちには、自分の子がパンを求めるのに、石をやる者がだれかある
だろうか。"
"400710","
また魚を求めるのに、蛇をやる者があるだろうか。"
"400711","
してみると、あなた達は悪い人間でありながらも、自分の子に善い物をやるこ
とを知っている。ましてあなた達の天の父上が、求める者に善い物を下さらないことがあ
るだろうか。"
"400712","
だから、何事によらず自分にしてもらいたいと思うことを、あなた達もそのよ
うに人にしなさい。これが律法と預言書(と[聖書]の精神)である。"
"400713","
狭い門から入りなさい。滅びに至る道は大きく、かつ広く、ここから入る者が
多いのだから。"
"400714","
命にいたる門はなんと狭く、道は細く、それを見つける者の少ないことであろ
う!"
"400715","
偽預言者に用心せよ。(やさしい)羊の皮をかぶって来るが、内側は強盗の狼で
ある。"
"400716","
(結ぶ)実で偽預言者はわかる。茨から葡萄が、薊から無花果がとれようか。"
"400717","
(そのように、)善い木は皆良い実を結び、わるい木は悪い実を結ぶ。"
"400718","
善い木に悪い実がなることは出来ず、わるい木に良い実がなることも出来ない。
"
"400719","
良い実を結ばない木はどんな木でも、切られて火の中に投げ込まれる。"
"400720","
それだから、(結ぶ)実で、偽預言者はわかるのである。"
"400721","
わたしに『主よ、主よ』と言う者が皆、天の国に入るのではない。わたしの天
の父上の御心を行う者(だけ)が入るのである。"
"400722","
(最後の裁きの)かの日には、大勢の者がわたしに、『主よ、主よ、(入れてく
ださい。)“わたし達はあなたの名で伝道し、”あなたの名で悪鬼を追い出し、あなたの名
で奇蹟を沢山行ったではありませんか』と言うであろう。"
"400723","
その時わたしは、はっきり彼らに言おう、『かってお前たちを弟子にした覚えは
ない。“この不届者、わたしを離れよ!”』と。"
"400724","
だから、以上のわたしの話を聞いてそれを行う者は皆、岩の上に家を建てた賢
い人に似ている。"
"400725","
雨が降って、大水が出て、風が吹いて、その家に襲いかかったが、倒れなかっ
た。岩の上に土台があったからである。"
"400726","
また、わたしの話を聞くだけでそれを行わない者は皆、砂の上に家を建てた愚
かな人に似ている。"
"400727","
雨が降って、大水が出て、風が吹いて、その家にうちつけると、倒れてしまっ
た。ひどい倒れ方であった。」"
"400728","
イエスがこれらの話を終えられた時、一しょに聞いていた群衆はその教えに感
心してしまった。"
"400729","
自分たちの聖書学者のようでなく、権威を持つ者のように教えられたからであ
る。"
"400801","
イエスが山を下りてこられると、多くの群衆がついて来た。"
"400802","
すると一人の癩病人が近寄ってきて、しきりに願って言った、「主よ、(清めて
ください。)お心さえあれば、お清めになれるのだから。」"
"400803","
イエスは手をのばしてその人にさわり、「よろしい、清まれ」と言われると、た
ちまち癩病が清まった。"
"400804","
イエスはその人に言われる、「だれにも言わないように気をつけよ。ただ(全快
したことを)世間に証明するため、(エルサレムの宮に)行って体を“祭司に見せ、”モー
セが命じた供え者を捧げよ。」"
"400805","
カペナウムに帰られると、一人の百卒長がそばに来て願って"
"400806","
言った、「主よ、うちの下男が中風で家にねていて、ひどく苦しんでおります。
……」"
"400807","
彼に言われる、「(ユダヤ人の)このわたしが、(異教人のあなたの家に)行って
なおすのか。」"
"400808","
百卒長は答えた、「主よ、わたしはあなたを、うちの屋根の下にお迎えできるよ
うな者ではありません。(ここで)ただ一言、言ってください。そうすれば下男は直りま
す。"
"400809","
というのは、わたし自身も指揮権の下にある人間であるのに、わたしの下にも
兵卒がいて、これに『行け』と言えば行き、ほかのに『来い』と言えば来、また僕に『こ
れをしろ』と言えば(すぐ)するからです。(ましてあなたのお言葉で、病気が直らない
わけはありません。)」"
"400810","
イエスは聞いて驚き、ついて来た人たちに言われた、「アーメン、わたしは言う、
イスラエル人の中でも、こんなりっぱな信仰をもっている者を一人も見たことがない。"
"400811","
わたしは言う、(最後の日には、このような信仰のあつい)大勢の人が“東から
西から”来て、天の国でアブラハムやイサクやヤコブと共に宴会につらなり、"
"400812","
(かんじんのイスラエル人、すなわち)御国の子供たちは外の真暗闇に放り出
され、そこでわめき、歯ぎしりするであろう。」"
"400813","
それからイエスは百卒長に言われた、「お帰り。あなたの信じたとおりに成れ。」
するとちょうどその時に、下男は直った。"
"400814","
イエスはペテロの家に行って、その姑が熱病でねているのを御覧になった。"
"400815","
その手におさわりになると、熱が取れ、彼女は起き上がってイエスをもてなし
た。"
"400816","
夕方になると、人々は悪鬼につかれた者を大勢イエスのところにつれて来た。
イエスは言葉をもって霊どもを追い出し、また一人のこらず病人をなおされた。"
"400817","
“彼はわたし達の煩いを除き、病気を取り去るであろう”と、預言者イザヤを
もって言われた言葉が成就するためであった。"
"400818","
イエスは自分のまわりの群衆を見ると、向う岸に行くようにと(弟子たちに)
命じられた。"
"400819","
すると一人の聖書学者が進み出て言った、「先生、どこへでもおいでになる所へ
お供をします。」"
"400820","
イエスはその人に言われる、「狐には穴がある、空の鳥には巣がある。しかし人
の子(わたし)には枕する所がない。(その覚悟があるか。)」"
"400821","
またほかの一人の弟子が言った、「主よ、(お共をする)その前に、父の葬式を
しに行かせてください。」"
"400822","
イエスはその人に言われる、「(今すぐ)わたしについて来なさい。死んだ者の
葬式は、死んだ者にまかせよ。」"
"400823","
舟に乗られると、弟子たちも従った。"
"400824","
するとにわかに湖に激しい嵐がおこって、ついに舟は波をかぶった。しかしイ
エスは眠っておられた。"
"400825","
弟子たちがそばに来て、「主よ、お助けください、溺れます」と言って起した。
"
"400826","
彼らに言われる、「なんでそんなに臆病なのか、信仰の小さい人たちよ!」それ
から起き上がって風と湖とを叱りつけられると、(たちどころに)大凪になった。"
"400827","
人々は驚いて、「この方はどうした人だろう、風も湖も、その言うことを聞くの
だが」と言った。"
"400828","
かくて向う岸、ガダラ人の地にお着きになると、悪鬼につかれた者が二人、墓
場から出てきてイエスを迎えた。彼らは非常に狂暴で、だれもその道を通ることが出来な
かった。"
"400829","
彼らはいきなり叫んだ、「神のお子様、“放っておいてください。”まだ時でもな
いのに、わたしどもを苦しめるためにここに来られたのか。」"
"400830","
折から、はるかかなたに多くの豚の群が草を食っていた。"
"400831","
悪鬼どもは、「わたしどもを追い出されるなら、あの豚の中にやってください」
と願った。"
"400832","
イエスが「行ってよろしい」と言われると、悪鬼どもは(二人から)出ていっ
て豚に入った。すると群は皆(気がちがったように)けわしい坂をどっと湖へなだれこ
み、水の中で死んでしまった。"
"400833","
豚飼たちは逃げ出して町に行き、ことの一部始終、ことに悪鬼につかれていた
者に起ったことを知らせた。"
"400834","
すると町中(の者)がイエスに会いに出てきて、イエスに会うと、その土地を
去られるようにと頼んだ。"
"400901","
それから舟に乗って(湖を)渡り、自分の町(カペナウム)に来られた。"
"400902","
するとそこに、人々が寝床にねている一人の中風の者をつれて来た。イエスは
その人たちの信仰を見て(驚き)、中風の者に言われた、「子よ、安心せよ、いまあなたの
罪は赦された。」"
"400903","
すると数人の聖書学者がひそかに思った、「この人は神を冒涜している。」"
"400904","
イエスは彼らの考えを知って言われた、「なぜ悪いことを心の中で考えているの
か。"
"400905","
あなたの罪は赦された、と言うのと、起きて歩け、と言うのと、いったいどち
らがたやすい(と思う)か。"
"400906","
では、人の子(わたし)は地上で罪を赦す全権を持っていることを知らせてや
ろう」と言っておいて、中風の者に言われる、「起きて寝床をかついで、家に帰りなさい。」
"
"400907","
すると彼は起き上がって、家に帰って行った。"
"400908","
群衆はそれを見て恐ろしくなり、こんな全権を人に授けられた神を賛美した。"
"400909","
イエスはそこから出かけて、(湖のほとりで)マタイという人が税務所に坐って
いるのを見て、「わたしについて来なさい」と言われると、立って従った。"
"400910","
イエスが家で食卓についておられるたときのこと、大勢の税金取りや罪人も来
て、イエスや弟子たちと同席していた。"
"400911","
パリサイ人はこれを見て、弟子たちに言った、「なぜあなた達の先生は、税金取
りや罪人と一しょに食事をするのか。」"
"400912","
聞いて言われた、「丈夫な者に医者はいらない、医者のいるのは病人である。"
"400913","
“わたしは憐れみを好み、犠牲を好まない”という(神の言葉の)意味を、行
って、勉強したがよかろう。わたしは正しい人を招きに来たのではない、罪人を招きに来
たのである。」"
"400914","
そのあと、洗礼者ヨハネの弟子がイエスの所に来て言う、「わたし達とパリサイ
人とは断食をするのに、なぜあなたの弟子は断食をしないのか。」"
"400915","
イエスは言われた、「婚礼の客は花婿がまだ一しょにいる間に、(断食をして)
悲しむことが出来ようか。しかしいまに花嫁を奪いとられる時が来る。すると彼らは(い
やでも)断食をするであろう。"
"400916","
真新しい布切で古い着物に継ぎをする者はない。当て切は着物をひきさき、裂
け目はますますひどくなるからである。"
"400917","
新しい酒を古い皮袋に入れることもしない。そんなことをすれば、皮袋が破れ
て酒は流れ出し、皮袋もだめになる。新しい酒は新しい皮袋に入れる。そうすれば両方と
も安全である。」"
"400918","
こう話しておられると、そこに一人の(礼拝堂の)役人が進み出て、しきりに
願って言った、「わたしの娘がたったいま死にました。それでも、どうか行って、手をの
せてやってください。そうすれば生き返りますから。」"
"400919","
イエスは立ち上がって彼について行かれた、弟子たちも一しょに。"
"400920","
するとそこに、十二年も長血にかかっていた女が近寄ってきて、後ろからイエ
スの上着の裾にさわった。"
"400921","
「お召物にさわるだけでも、なおるにちがいない」と、ひそかに思ったのであ
る。"
"400922","
イエスは振り向いて、女を見ながら言われた、「娘よ、安心しなさい、あなたの
信仰がなおした。」するとちょうどその時から、女はなおった。"
"400923","
やがてイエスは役人の家に着いて、笛吹き男と騒いでいる群衆とを見ると、"
"400924","
言われた、「あちらに行っておれ。少女は死んだのではない、眠っているのだか
ら。」人々はあざ笑っていた。"
"400925","
群衆が外に出されると、イエスは(部屋に)入っていって少女の手をお取りに
なった。すると少女は起き上がった。"
"400926","
この評判がその土地全体に広まった。"
"400927","
そこから出かけられると、二人の盲人が「ダビデのお子様、どうぞお慈悲を」
と言って叫びながら、イエスについて来た。"
"400928","
そして家にかえられると、盲人たちがそばに来たので、イエスが言われる、「わ
たしにそれが出来ると信じるのか。」「はい、主よ」と二人がこたえる。"
"400929","
そこで彼らの目にさわり、「あなた達の信仰のとおりに成れ」と言われると、"
"400930","
二人の目があいた。するとイエスは(急に)いきり立ち、二人にむかって、「気
をつけて、だれにも知られないようにせよ」と言われた。"
"400931","
しかし彼らは出てゆくと、その土地全体にイエスのことをふれまわった。"
"400932","
ちょうど二人と入れ違いに、人々が悪鬼につかれた唖をつれて来た。"
"400933","
悪鬼が追い出されると、唖が物を言うようになった。群衆が驚いて、「こんなこ
とはかってイスラエル人の中で起ったためしがない」と言った。"
"400934","
しかしパリサイ人は、「あれは悪鬼どもの頭(である悪魔)を使って悪鬼を追い
出しているのだ」と言った。"
"400935","
それからイエスは町や村をのこらず回りながら、その礼拝堂で教え、御国の福
音を説き、またありとあらゆる病気や煩いをなおされた。"
"400936","
そして“羊飼いのいない羊が”疲れきって、(地に)倒れている“ような”群衆
を見られて、かわいそうに思われた。"
"400937","
そこで弟子たちに言われる、「刈入れは多いが、働き手は少ない。"
"400938","
だから刈入れの主人に、刈入れのため(多くの)働き手を送られるよう、お願
いしなさい。」"
"401001","
そこで十二人の弟子を呼びよせて、汚れた霊を追い出し、またあらゆる病気、
あらゆる煩いをなおす全権を授けられた。"
"401002","
十二使徒の名はこれである。──まず、ペテロと言われたシモンとその兄弟の
アンデレ、それからゼベダイの子ヤコブとその兄弟のヨハネ、"
"401003","
ピリポとバルトロマイ、トマスと税金取りマタイ、アルパヨの子ヤコブとタダ
イ、"
"401004","
熱心党のシモンと(あとで)イエスを売ったイスカリオテのユダ。"
"401005","
イエスはこの十二人に次のように命じて(伝道に)派遣された。──「(国を離
れてはいけない。)異教人の所へ行くな、またサマリヤ人の町に入るな。"
"401006","
ただ、イスラエルの家のいなくなった羊(だけ)に行け。"
"401007","
行って、『天の国は近づいた』と説け。"
"401008","
病人をなおし、死人を生きかえらせ、癩病人を清め、悪鬼を追い出せ。(福音も
病気もなおす力も、みな神から)ただで戴いたのだ、ただで与えよ。"
"401009","
(旅行に支度はいらない。)金貨も銀貨も銅貨も、帯の中に入れてゆくな。"
"401010","
旅行には旅行袋も、着替えの下着も、靴も、杖も(なんの用意も)いらない。
働く者が食べ物をいただくのは当然だから。"
"401011","
町なり村なりに入ったら、そこで然るべき人を捜して、(その土地を)立ってゆ
くまではその家に泊まっておれ。"
"401012","
家に入ったらば、まず平安を祈れ。"
"401013","
もしその家が(その祈りをうけるのに)ふさわしければ、あなた達の(祈った)
平安はかならずその家に臨み、もしふさわしくなければ、その平安はあなた達にもどって
くる。(そしてあなた達のものとなるのである。)"
"401014","
しかし人があなた達を歓迎せず、あなた達の言葉に耳をかたむけないなら、(す
ぐ)その家なり町なりを(出てゆけ。そして)出てゆくとき、(縁を切った証拠に)足の
埃を払いおとせ。"
"401015","
アーメン、わたしは言う、(最後の)裁きの日には、あの(堕落町)ソドムやゴ
モラの地の方が、まだその町よりも罰が軽いであろう。"
"401016","
いまわたしがあなた達を送り出すのは、羊を狼の中に入れるようなものだ。だ
から、蛇のように賢く、鳩のように純真であれ。"
"401017","
人々に気をゆるすな。あなた達を裁判所に引き渡し、礼拝堂で鞭打つからであ
る。"
"401018","
また、あなた達はわたし(の弟子であるが)ゆえに、総督や王の前に引き出さ
れるであろう。これは、その人たちと異教人とに(福音を)証しする(機会を与えられる)
ためである。"
"401019","
人々があなた達を(裁判所や役人に)引き渡した時には、いかに、何を言おう
かと心配するな。何を言うべきかは、その時に(神から)授かるのだから。"
"401020","
言うのはあなた達でなく、父上の霊があなた達によって言われるのである。"
"401021","
また兄弟は兄弟を、父は子を、殺すために(裁判所に)引き渡し、“子は親にさ
からい立って”これを殺すであろう。"
"401022","
あなた達はわたしの弟子であるために皆から憎まれる。しかし最後まで耐え忍
ぶ者は救われる。"
"401023","
この町で迫害された時には、次の町に逃げてゆけ。アーメン、わたしは言う、
人の子(わたし)は(すぐに)、あなた達がイスラエル人の町々を回りつくさぬうちに来
るのだから。"
"401024","
弟子は先生以上でなく、僕は主人以上ではない。(だからあなた達が迫害される
のは当り前である。)"
"401025","
弟子は先生のよう、僕は主人のようであれば、それで満足すべきである。家の
主人(たるわたし)が(悪鬼の頭)ベルゼブルと(悪口を)言われたのだから、その家族
(たるあなた達)はなおさらのことである。"
"401026","
だから彼らを恐れるな、(すべてはじきに明らかになるであろう。)覆われてい
るものであらわされないものはなく、隠れているもので(人に)知られないものはないか
らである。"
"401027","
わたしが暗闇で(こっそり)話すことを、(大胆に)明るみで言え。耳うちされ
たことを屋根の上で宣伝せよ。"
"401028","
体を殺しても、魂を殺すことの出来ない者を恐れることはない。ただ、魂も体
も地獄で滅ぼすことの出来るお方を恐れよ。"
"401029","
雀は二羽一アサリオン(三十円)で売っているではないか。しかしその一羽で
も、あなた達の父上のお許しなしには地に落ちないのである。"
"401030","
ことにあなた達は、髪の毛までも一本一本数えられている。"
"401031","
だから恐れることはない。多くの雀よりもあなた達は大切である。"
"401032","
それだから(恐れずに説け。)だれでも人の前で(公然)わたしを(主と)告白
するものを、わたしも(裁きの日に)、わたしの天の父上の前で(弟子として)認める。"
"401033","
しかしだれでも人の前でわたしを否定する者を、わたしも天の父上の前で否認
するであろう。"
"401034","
地上に平和をもたらすためにわたしが来た、などと考えてはならない。平和で
はない、剣を、(戦いを)もたらすために来たのである。"
"401035","
わたしは子を“その父と、娘を母と、嫁を姑と”仲違いさせるために来たのだ
から。"
"401036","
“家族が自分の敵となろう。”"
"401037","
わたしよりも父や母を愛する者は、わたし(の弟子たる)に適しない。わたし
よりも息子や娘を愛する者は、わたし(の弟子たる)に適しない。"
"401038","
また自分の十字架を取ってわたしのあとに従わない者は、わたし(の弟子たる)
に適しない。"
"401039","
(十字架を避けてこの世の)命を得る者は(永遠の)命を失い、わたしのため
に(この世の)命を失う者は、(永遠の)命を得るであろう。"
"401040","
あなた達を迎える者は、わたしを迎えてくれるのであり、わたしを迎える者は、
わたしを遣わされた方をお迎えするのである。"
"401041","
預言者を預言者として迎える者は、預言者と同じ褒美を戴き、義人を義人とし
て迎える者は、義人と同じ褒美を戴くであろう。"
"401042","
また(わたしの)弟子としてこの一人の小さな者に一杯の冷たい水でも飲ませ
る者は、アーメン、わたしは言う、(天にて)その褒美にもれることはない。」"
"401101","
イエスは十二人の弟子に指図を終えられると、町々で教えまた(福音を)説く
ために、そこを去られた。"
"401102","
さて(洗礼者)ヨハネは牢屋で、(イエスの)救世主としての働きを聞くと(心
が動揺し、)弟子たちをやって、"
"401103","
「来るべき方(救世主)はあなたですか、それともほかの人を待つべきでしょ
うか」とたずねさせた。  "
"401104","
イエスは答えられた、「行って、(今ここで)聞いていること見ていることをヨ
ハネに報告しなさい。"
"401105","
──“盲人は見えるようになり、”足なえは歩きまわり、癩病人は清まり、聾は
聞き、死人は生きかえり、“貧しい人は福音を聞かされている”と。"
"401106","
わたしにつまずかぬ者は幸いである。」"
"401107","
ヨハネの弟子たちがかえってゆくと、イエスは群衆にヨハネのことを話し出さ
れた。──「(さきごろ)あなた達は何を眺めようとして、荒野(のヨハネの所)に出か
けたのか。風にそよぐ葦だったのか。(まさかそうではあるまい。)"
"401108","
それでは、何を見ようとして出かけたのか。柔らかいものを着ている人か。見
よ、柔らかいものをまとった人ならば、王の御殿にいる。"
"401109","
それでは、何のために出かけたのか。預言者を見るためか。そうだ、わたしは
言う、(預言者だ。)預言者以上の者(を見たの)だ。"
"401110","
“(神は言われる、)『見よ、わたしは使いをやって、あなたの先駆けをさせ、”、
あなたの“前に道を準備させる』”、と(聖書に)書いてあるのは、この人のことである。"
"401111","
アーメン、わたしは言う、女の産んだ者の中に、洗礼者ヨハネより大きい者は
まだ出たことがない。しかし天の国で一番小さい者でも、彼より大きい。"
"401112","
とにかく、洗礼者ヨハネの(現れた)時からいままで、天の国は暴力で攻め立
てられ、暴力で攻めた者がそれを奪いとっている。"
"401113","
すべての預言書と律法と[聖書]が預言しているのは、ヨハネ(の現われる時)
まで(で、天の国はすでに来ているの)だから。"
"401114","
(今わたしが言ったことを)信ずる気があなた達にあるなら(わかることだが、)
ヨハネこそ、(救世主の先駆けとして)来るべき(預言者)エリヤである。"
"401115","
耳のある者は聞け。"
"401116","
だが、(気ままな)この時代(の人)を何にたとえようか。子供たちが市場に坐
って(嫁入りごっこや弔いごっこをしながら)、こう言って他の子供たちに呼びかけるの
に似ている。──"
"401117","
笛を吹いたのに、踊ってくれない。弔いの歌をうたったのに、悲しんでくれな
い。"
"401118","
なぜならその人たちは、ヨハネが来て飲み食いしないと『悪鬼につかれている』
と言い、"
"401119","
人の子(わたし)が来て飲み食いすると、『そら、大飯食いだ、飲兵衛だ、税金
取りと罪人の仲間だ』と言うのだから。しかし(神の)知恵の正しいことは、(ヨハネと
人の子とによる)その業が証明した。」"
"401120","
それから、数多くの奇蹟を行っていただいた町々が悔改めなかったので、これ
を叱り始められた、"
"401121","
「ああ禍だ、お前コラジン!ああ禍だ、お前ベツサイダ!わたしがお前たちの
所で行っただけの奇蹟をツロやシドンで行ったなら、(あの堕落町でも、)とうの昔に粗布
を着、灰の中で悔改めたにちがいないのだから。"
"401122","
ところでお前たちに言うが、裁きの日には、ツロやシドンの方が、まだお前た
ちよりも罰が軽いであろう。"
"401123","
それから、お前カペナウム、(わたしに特別に可愛がられたからとて、)まさか
“天にまで挙げられる”などとは思っていないだろうね。(天に挙げられるどころか、)“お
前は黄泉にまでたたき落されるであろう。”お前の所で行っただけの奇蹟をソドムで行っ
たなら、(あの堕落町でも、)きょうまで滅びずにいたにちがいないのだから。"
"401124","
ところでお前たちに言うが、裁きの日には、ソドムの地の方が、まだお前より
も罰が軽いであろう。」"
"401125","
その時イエスは声をはげまして言われた、「天地の主なるお父様、(神の国の秘
密に関する)これらのことを(この世の)賢い人、知恵者に隠して、幼児(のような人た
ち)にあらわされたことを、讃美いたします。"
"401126","
ほんとうに、お父様、そうなるのがあなたの御心でした。"
"401127","
──(知恵も力も、その他)一切のものが父上からわたしに任せられた。父上
のほかに、子(であるわたし)を知る者は一人もなく、また、子と、子が(父上を)あら
わしてやる者とのほかに、父上を知る者は一人もない。"
"401128","
さあ、疲れている者、重荷を負っている者はだれでも、わたしの所に来なさい、
休ませてあげよう。"
"401129","
わたしは心がやさしく、高ぶらないから、わたしの軛を負ってわたしの弟子に
なりなさい、そうすれば“魂の休息が得られよう。”"
"401130","
わたしの軛は甘く、わたしの荷は軽い。」"
"401201","
そのころ、ある安息日にイエスは麦畑の中を通られた。弟子たちは空腹を覚え
たので、穂を摘んで食べ始めた。"
"401202","
パリサイ人が見てイエスに言った、「あなたの弟子は、あんな、安息日にしては
ならぬことをしている。」"
"401203","
イエスが言われた、「あなた達は、ダビデ(王)と供の者とが空腹の時に何をし
たか、(聖書で)読んだことがないのか。"
"401204","
──彼が神の家に入って、ただ祭司のほかはだれも、自分も供の者も食べては
ならない“供えのパンを”(彼らと)食べたことを。"
"401205","
また、祭司は安息日に宮で(いろいろな務めをして)安息日を犯しても罪にな
らぬことを、律法で読んだことがないのか。"
"401206","
わたしは言う、(ダビデ王よりも、祭司よりも、)宮よりも大きい者が(今)こ
こにいる。"
"401207","
もしあなた達に、“わたしは憐れみを好み、犠牲を好まない”という(神の言葉
の)意味がわかっていたなら、罪もないこの人たちを(安息日違犯だと言って)咎め立て
しなかったであろうに。"
"401208","
(わたしの弟子たちに罪はない。)人の子(わたし)は安息日の主人であるから。」
"
"401209","
そこを去って、(ある安息日に)礼拝堂に入られた。"
"401210","
するとそこに、片手のなえた人がいた。(パリサイ派の)人々がイエスに、「安
息日に病気をなおすことは正しいだろうか」と尋ねた。イエスを訴え出る(口実を見つけ
る)ためであった。"
"401211","
彼らにこたえられた、「あなた達のうちには羊を一匹持っていて、もしそれが安
息日に穴に落ち込めば、引っぱり上げてやらない者がだれかあるだろうか。"
"401212","
ところで、人間は羊よりもどれだけ大切だか知れない。だから安息日に良いこ
とをするのは正しい。」"
"401213","
それからその人に言われる、「手をのばせ。」のばすと直って、片方の手のよう
によくなった。"
"401214","
パリサイ人たちは出ていって、イエスを殺すことを決議した。"
"401215","
イエスはそれと知って、そこを立ちのかれた。すると大勢の者がついて来たの
で、一人のこらずその病気をなおして、"
"401216","
自分のことを世間に知らせるなと戒められた。"
"401217","
預言者イザヤをもって言われた言葉が成就するためであった。──"
"401218","
“これがわたしの選んだ僕、心にかなったわたしの最愛の者。わたしは彼にわ
たしの霊を与え、彼は異教人に(わたしの)正義を告げる。"
"401219","
彼は争わず、叫ばず、大通りにその声を聞く者もあるまい。"
"401220","
傷ついた葦を彼は折らず、くすぶる燈心を消さない、(わたしの)正義に勝利を
得させるまでは。"
"401221","
異教人は彼に望みをかけるであろう。”"
"401222","
そこに、悪鬼につかれた盲の唖をつれて来られたので、それをなおされると、
唖が物を言い、目が見えるようになった。"
"401223","
群衆が皆呆気にとられて言った、「もしかしたらこの人は、ダビデの子ではなか
ろうか。」"
"401224","
しかしパリサイ人は聞いて、「悪鬼どもの頭ベルゼブル[悪魔]を使わなければ、
この人に悪鬼を追い出せるわけがない」と言った。"
"401225","
イエスは彼らの考えを知って言われた、「内輪割れをするいかなる国も荒れ果て、
内輪割れをするいかなる町も家も立ってゆかない。"
"401226","
(同じように)悪魔が悪魔を追い出しているとすれば、それは(悪魔の国が)
内輪で割れたのであるから、どうしてその国が立ってゆこう。(だからわたしが悪鬼ども
の頭を使うわけはないではないか。)"
"401227","
それから、(あなた達の言うように)わたしがベルゼブルを使って悪鬼を追い出
すとすれば、(同じことをしている)あなた達の弟子は、いったい何を使って(悪鬼を)
追い出しているのか。(まさかベルゼブルではあるまい。)だから(このことについては、)
あなた達の弟子に裁判官になってもらったがよかろう。"
"401228","
しかし、もし(そうでなく、)わたしが神の霊で悪鬼を追い出しているのであっ
たら、それこそ神の国はもうあなた達のところに来ているのである。"
"401229","
また、まず強い者を縛りあげずに、どうして強い者の家に入って家財道具を掠
め取ることが出来ようか。縛ったあとで、その家を掠めるのである。"
"401230","
(だからわたしは言う、ベルゼブルはすでに縛られている。神と悪魔との戦い
は始まっている。)わたしの側に立たない者は、わたしに反対する者、わたしと一しょに
集めない者は、散らす者である。"
"401231","
(あなた達はわたしをもって働く神の霊の働きをベルゼブルの働きと罵った。)
だからわたしは言う、人の(犯す)いかなる罪も冒涜も赦していただけるが、御霊の冒涜
は赦されない。"
"401232","
人の子(わたし)を冒涜する者ですら赦していただけるが、聖霊を冒涜する者
は、この世でも来るべき世でも(決して)赦されない。"
"401233","
木を良いとするなら、その実をも良いとせよ。また、木を悪いとするなら、そ
の実をも悪いとせよ。木(の良し悪し)は実で知られるのである。"
"401234","
蝮の末よ、あなた達(自身)が悪いのに、どうして善いことが言えよう。心に
あふれて口に出るのだから。"
"401235","
善人は(心の)善い倉から善い物を取り出し、悪人は(心の)悪い倉から悪い
物を取り出す。"
"401236","
わたしは言う、人の話すいかなる無駄言も、(最後の)裁きの日にかならずそれ
について責任を問われる。"
"401237","
なぜなら、あなたはあなたの言葉で義とされ、あなたの言葉で罪とされるのだ
から。」"
"401238","
すると数人の聖書学者とパリサイ人が口を出して、イエスに言った、「先生、(で
は、神の子である証拠に)あなたの(不思議な)徴を見せてください。」"
"401239","
彼らに答えられた、「この悪い、神を忘れた時代の人は、(信ずるのに)徴をほ
しがる。しかしこの人たちには、預言者ヨナの徴以外の徴は与えられない。"
"401240","
すなわち“ヨナが三日三晩大きな魚の腹の中にいた”ように、人の子(わたし)
も三日三晩地の中におるのである。"
"401241","
しかし人々は信じない。(だから)ニネベの人がこの時代の人と一しょに(最後
の)裁き(の法廷)にあらわれて、この人たちの罪が決まるであろう。というのは、ニネ
ベの人はヨナの説く言葉に従って悔改めたが、(この人たちは、)いまここにヨナよりも大
きい者がいる(のに、その言葉に従わない)からである。"
"401242","
また、南の国(シバ)の女王がこの時代の人と一しょに(最後の)裁きの(法
廷に)あらわれて、この人たちの罪が決まるであろう。というのは、彼女は地の果てから
ソロモン(王)の知恵を聞きに(エルサレムに)来たが、(この人たちは、)いまここにソ
ロモンよりも大きい者がいる(のに、それに耳を傾けない)からである。"
"401243","
汚れた霊が(追い出されて)人間から出てゆくと、砂漠をあるき回って休み場
所をさがすが見つからない。"
"401244","
そこで『出てきた自分の家にもどろう』と言って、かえって見ると、空家にな
っていて、掃除ができて、飾り付けがしてあった。"
"401245","
そこで行って、自分よりも悪い、ほかの七つの(汚れた)霊を一しょに連れて
きて入りこみ、そこに住む。するとその人のあとの有様は、(追い出す前よりも)もっと
ひどくなるのである。この悪い時代の人も、それと同様であろう。」"
"401246","
イエスがまだ群衆に話しておられると、そこにその母と兄弟たちがイエスに話
しがあって、外に立っていた。"
"401247","
〔無し〕"
"401248","
しかしイエスはそのことを知らせた者に、「わたしの母とはだれのことだ、わた
しの兄弟とはだれのことだ」と答えて、"
"401249","
弟子たちの上に手をのばして言われた、「ここにいるのが、わたしの母、わたし
の兄弟だ。"
"401250","
だれでもわたしの天の父上の御心を行う者、それがわたしの兄弟、姉妹、また
母であるから。」"
"401301","
その日イエスは家を出て、湖のほとりに坐って(教えて)おられたが、"
"401302","
大勢の群衆が集まってきたので、舟に乗って坐られた。群衆は皆岸に立ってい
た。"
"401303","
譬をもって多くのことを語られた。──「種まく人が種まきに出かけた。"
"401304","
まく時に、あるものは道ばたに落ちた。鳥が来て食ってしまった。"
"401305","
あるものは土の多くない岩地に落ちた。土が深くないため、すぐ芽を出したが、
"
"401306","
日が出ると焼けて、しっかりした根がないので枯れてしまった。"
"401307","
あるものは茨の(根が張っている)間に落ちた。茨が伸びてきて押えつけてし
まった。"
"401308","
しかしあるものは良い地に落ちた。そしてあるいは百倍、あるいは六十倍、あ
るいは三十倍の実がなった。"
"401309","
耳のある者は聞け。」"
"401310","
弟子たちが進み寄って、「あの人たちにはなぜ譬をもって話をされますか」とた
ずねると、"
"401311","
答えられた、「あなた達(内輪の者)には、天の国の秘密をさとる力が授けられ
ている(のでありのままに話す)が、あの(外の)人たちには授けられていないのだ。"
"401312","
だれでも持っている人は(さらに)与えられてあり余るが、持たぬ人は、持っ
ているものまでも取り上げられるのである。"
"401313","
だから、あの人たちには譬をもって話すのである。“見ても見えず、聞いても聞
えず、また悟らない”からだ。"
"401314","
こうしてイザヤの預言はあの人たちに成就した。──“あなた達は聞いても聞
いても、決して悟るまい、見ても見ても、決してわかるまい。"
"401315","
この民の心は鈍くなり、耳は遠くなり、その目は閉じてしまっているのだから。
そうでないと、彼らは目で見、耳で聞き、心で悟り、心を入れかえて(わたし[神]に帰
り)、わたしに直されるかも知れない。”"
"401316","
だが、あなた達の目は見、耳は聞くから幸いである。"
"401317","
アーメン、わたしは言う、多くの預言者と義人とは、あなた達が(いま)見て
いるものを見たい見たいと思ったが見られず、あなた達が(いま)聞いているものを聞き
たい聞きたいと思ったが、聞かれなかったのである。"
"401318","
だからあなた達には種まく人の譬を説明してあげよう。──"
"401319","
だれでも御国の言葉を聞いて悟らないと、悪者[悪魔]が来て、心の中にまか
れたものを奪ってゆく。これは道ばたにまかれた人である。"
"401320","
岩地にまかれたもの、これは御言葉を聞いてすぐ喜んで受けいれるが、"
"401321","
自分の中に(しっかりした信仰)の根がなく、ただその当座だけであるから、
御言葉のために苦難や迫害がおこると、すぐ信仰から離れおちる人である。"
"401322","
茨の中にまかれたもの、これは御言葉を聞くが、(しばらく信じているうちに、)
この世の心配や富の惑わしが御言葉を押えつけて、みのらない人である。"
"401323","
しかし良い地にまかれたもの、これは御言葉を聞いて悟る人で、きっと実を結
び、あるいは百倍、あるいは六十倍、あるいは三十倍になるのである。」"
"401324","
またほかの譬を群衆に示して言われた、「天の国は畑に良い種をまく人にたとえ
られる。"
"401325","
人々が(夜)眠っている間に敵が来て、麦の中に毒麦をまいて行った。"
"401326","
苗が芽生えて実を結ぶと、その時毒麦も現われた。"
"401327","
使用人たちが来て家の主人に言った、『ご主人、畑には良い種をまかれたのでは
ないですか。すると毒麦はどこから来たのでしょうか。』"
"401328","
主人がこたえた、『敵のしわざだ。』使用人たちが言う、『では、行って抜き取り
ましょうか。』"
"401329","
主人が言う、『いや、毒麦を抜き取ろうとして、麦まで一しょに引き抜くかも知
れない。"
"401330","
両方とも刈入れまで育つままにしておけ。刈入れの時、わたしが刈入れ人たち
に言いつける、まず毒麦を抜き取り、束にしばって焼きすてよ、麦の方は集めて倉に入れ
よ、と。』」"
"401331","
またほかの譬を彼らに示して言われた、「天の国は芥子粒に似ている。ある人が
それを畑にまいた。"
"401332","
これはあらゆる種の中で一番小さいが、育つと、野菜の中で一番大きくなり、(大
きな)木になって、“空の鳥が”来て“その枝に巣を作る”ようになるのである。」"
"401333","
またほかの譬を彼らに語られた、「天の国はパン種に似ている。女がそれを三サ
トン(二斗)の粉の中に混ぜたところ、ついに全体が発酵した。」"
"401334","
イエスはこれらのことを皆譬をもって群衆に語り、譬を使わずには何も語られ
なかった。"
"401335","
“わたしは口を開いて譬にて語り、世の始めから隠されていたことを打ち明け
よう。”と、預言者をもって言われた言葉が成就するためであった。"
"401336","
それから群衆を解散して家にかえられた。弟子たちが来て「畑の毒麦の譬を説
明してください」と言うと、"
"401337","
答えられた、「良い種をまく者は人の子(わたし)である。"
"401338","
畑は世界である。良い種、これは御国の子供たちである。毒麦は悪者[悪魔]
の子供たちであり、"
"401339","
それをまいた敵というのは悪魔である。また刈入れは世の終りであり、刈入れ
人は天使たちである。"
"401340","
だから世の終りには、ちょうど毒麦が抜き取られて火で焼きすてられるようで
あろう。"
"401341","
(すなわち)人の子(わたし)は自分の使たちをやり、“(人を)誘惑する者と
不法を働く者とを”皆御国から抜き取って、"
"401342","
火の燃える炉に投げ込み、彼らはそこでわめき、歯ぎしりするであろう。"
"401343","
その時、“義人たちは”彼らの父の国で、太陽のように“照りかがやくであろう。”
耳のある者は聞け。"
"401344","
天の国は畑に隠されていた宝に似ている。人がそれを見つけると、(またそこ
に)隠しておいて喜んで立ち去り、持っているものをみな売って、その畑を買うのである。
"
"401345","
さらに、天の国は良い真珠をさがしている商人に似ている。"
"401346","
高価な真珠を一つ見つけると、持っているものをことごとく売って、それを買
うのである。"
"401347","
さらに、天の国は地曳網を海におろしてあらゆる種類(の魚)を取るのに似て
いる。"
"401348","
網が一ぱいになると岸に引き上げ、坐って、良いのは集めて入れ物にいれ、わ
るいのは投げすてるのである。"
"401349","
世の終りもそれと同じであろう。すなわち天使たちがあらわれ、義人の中から
悪人どもを引き出して、"
"401350","
火の燃える炉に投げ込み、彼らはそこでわめき、歯ぎしりするであろう。"
"401351","
あなた達はこれが皆わかったか。」「はい」と弟子たちがこたえる。"
"401352","
イエスは言われた、「(これがわかれば、すべてがわかるのである。)だから天の
国のことに通じた学者は皆、自分の倉から新しいものと古いものとを(心のままに)取り
出す家の主人に似ている。(古い教えと新しい教えとを自由に使いこなすことが出来
る。)」"
"401353","
イエスはこれらの譬を終えると、そこを去り、"
"401354","
郷里(ナザレ)に行ってその礼拝堂で教えられた。すると人々が驚いて言った、
「この人はどこからこの知恵と、奇蹟とを覚えてきたのだろう。"
"401355","
これはあの大工の息子ではないか。母はマリヤで、兄弟はヤコブとヨセフとシ
モンとユダではないか。"
"401356","
女兄弟たちは、みんなわたし達の所に住んでいるではないか。するとこの人は、
こんなことを皆どこから覚えてきたのだろう。」"
"401357","
こうして人々はイエスにつまずいた。しかしイエスは彼らに言われた、「預言者
が尊敬されないのは、その郷里と家族のところだけである。」"
"401358","
彼らの不信仰のゆえに、そこではあまり奇蹟を行われなかった。(出来なかった
のである。)"
"401401","
そのころ、イエスの評判が領主ヘロデ・アンテパスの耳にはいった。"
"401402","
「これは洗礼者ヨハネにちがいない。あれが死人の中から生きかえったのだ、
それだからあんな(不思議な)力が彼の中に働いている」とヘロデは家来に言った。"
"401403","
それにはこういう訳がある。──ヘロデは(前に)その兄弟ピリポの妻ヘロデ
ヤのことから、ヨハネを捕らえ、しばって牢に入れたことがあった。"
"401404","
ヨハネがヘロデに、「あなたはあの婦人を妻にするのはよろしくない」と言った
からである。"
"401405","
ヘロデはヨハネを殺したいと考えたが、民衆はヨハネを預言者と思っていた
ので、彼ら(が騒ぎ出すの)を恐れた。"
"401406","
ところでヘロデの誕生祝いがあったとき、ヘロデヤの娘が満座の中で舞をま
い、ヘロデを喜ばせた。"
"401407","
そのためヘロデは娘に、願うものはなんでもやろう、と誓いまで立てて約束し
た。"
"401408","
娘は母の入り知恵で、「洗礼者ヨハネの首を盆にのせて、今ここに戴きます」と
言う。"
"401409","
王は悲しんだが、列座の人々の前で立てた誓いの手前、それを与えるように命
じ、"
"401410","
人をやって牢でヨハネの首をはねさせた。"
"401411","
首は盆にのせて持ってきて少女に渡され、少女は母に持っていった。"
"401412","
ヨハネの弟子たちは来てなきがらを引き取って葬り、行ってイエスに報告した。
"
"401413","
これを聞くと、イエスは自分(と弟子たち)だけ、そこから舟で人里はなれた
所へ立ちのかれた。すると群衆はそれと聞いて、町々から陸を歩いてついて行った。"
"401414","
イエスは(舟から)上がって多くの群衆を見ると、かわいそうになり、その中
の病人をなおされた。"
"401415","
夕方になると、弟子たちはイエスのそばに来て言った、「ここは人里はなれた所、
それにもう時間も過ぎました。だから群衆を解散させ、村々に行って自分で食べる物を買
わせてください。」"
"401416","
イエスは言われた、「買いに行くには及ばない。あなた達が自分で食べさせてや
ったらよかろう。」"
"401417","
彼らが言う、「ここにはパン五つと、魚二匹しか持ちあわせがありません。」"
"401418","
イエスは言われた、「それをここに持ってきなさい。」"
"401419","
それから群衆に命じて草の上に座らせ、(いつも家長がするように、)その五つ
のパンと二匹の魚を(手に)取り、天を仰いで(神を)讃美したのち、パンを裂いて弟子
たちに渡されると、弟子たちは群衆に渡した。"
"401420","
皆が食べて満腹した。そして余ったパンの屑を拾うと、十二の篭に一ぱいあっ
た。"
"401421","
食べた者は、女、子供ぬきで、男五千人ばかりであった。"
"401422","
それからすぐイエスは弟子たちを強いて舟に乗らせ、向う岸に先発させられた、
群衆を解散させる間に。"
"401423","
そして群衆を解散させると、祈りのため自分だけ山に上られた。暗くなっても
ひとりそこにおられた。"
"401424","
(弟子たちの)舟はすでに幾スタデオも(一スタデオは約五分の一キロ)陸を
離れていたが、向い風のため波になやまされていた。"
"401425","
第四夜回りのころ(すなわち夜明けの三時ごろ、)イエスは湖の上を歩いて彼ら
の所に来られた。"
"401426","
弟子たちはイエスが湖の上を歩いておられるのを見ると、幽霊だと思って肝を
つぶし、恐ろしさのあまり叫んだ。"
"401427","
しかしイエスはすぐ彼らに話しかけて言われた、「安心せよ、わたしだ。こわが
ることはない。」"
"401428","
ペテロが答えた、「主よ、あなたでしたら、どうかわたしに命令して、水の上を
歩いてあなたの所へ行かせてください。」"
"401429","
「こちらに来なさい」とイエスが言われた。ペテロは舟から下り、水の上を歩
いてイエスの所へ行った。"
"401430","
しかし(いま一足という所で)強い風を見たため、おじけがつき、沈みかけた
ので、「主よ、お助けください」と叫んだ。"
"401431","
イエスはすぐ手をのばし、ペテロをつかまえて言われる、「信仰の小さい人よ!
なぜ疑うのか。」"
"401432","
そして二人が舟に乗ると、風はやんだ。"
"401433","
舟にいた人たちは、「あなたは確かに神の子です」と言ってイエスをおがんだ。
"
"401434","
ついに(湖を)渡ってゲネサレの地に着いた。"
"401435","
所の人はイエスと知って、その付近に隅なく人をやっ(て知らせ)たので、人々
は病人を皆イエスのところにつれて来て、"
"401436","
せめて着物の裾にさわらせてほしいとイエスに願った。さわった者はみな直っ
た。"
"401501","
そのころパリサイ人と聖書学者たちがエルサレムからイエスの所に来て、"
"401502","
「あなたの弟子はなぜ先祖の言伝えをふみにじるのか。食事をする時に手を洗
わないではないか」と言った。"
"401503","
彼らに答えられた、「では(わたしも)一つ尋ねる、あなた達も自分の言伝えで
神の掟をふみにじっているが、あれはどうしたのか。"
"401504","
神は、“父と母を敬え、”また“父または母を罵る者は必ず死に処せられる”と
言われたのに、"
"401505","
あなた達はこう言うのだから。──『父または母にむかって、わたしがあなた
に差し上げるはずのものは(神への)供え物にする、と言う者は、"
"401506","
父または母を敬わなくてよろしい(、扶養の義務をまぬかれる)』と。こうして、
あなた達は自分の言伝えで神の言葉を反故にしている。"
"401507","
偽善者たち!イザヤはあなた達のことをこう言って預言しているが、うまいも
のである。──"
"401508","
“この民は口先でわたし[神]を敬いながら、その心は遠くわたしから離れて
いる。"
"401509","
彼らは(熱心に)わたしを拝むが無駄である、彼らが教えとして教えているの
は、人間の(作った)規則であるから。”」"
"401510","
それから群衆を呼びよせて言われた、「聞いて悟れ。"
"401511","
口に入るものは人をけがさない。口から出るもの、これが人をけがす。」"
"401512","
あとで弟子たちが来てイエスに言う、「パリサイ人がお話を聞いて腹を立てたこ
とを御存じですか。」"
"401513","
イエスは答えられた、「わたしの天の父上がお植えにならないものは皆、引き抜
かれる。"
"401514","
あの人たちを放っておけ。盲人の手引をする盲人だ。盲人が盲人の手引をすれ
ば、二人とも穴に落ちよう。」"
"401515","
ペテロが口を出して言った、「さっきの譬を説明してください。」"
"401516","
イエスは言われた、「あなた達までがまだ悟らないのか。"
"401517","
すべて口に入るものは、腹を通って便所に落ちる(から、人をけがさない)こ
とが解らないのか。"
"401518","
しかし口から出るものは心から出るので、そちらは人をけがす。"
"401519","
心から悪い考えが出るからである。人殺し、姦淫、不品行、盗み、偽証、悪口
(など)。"
"401520","
人をけがすのはこれで、洗わぬ手で食事をすることは人をけがさない。」"
"401521","
イエスはそこを出て、ツロとシドンとの地方に引っ込まれた。"
"401522","
すると、その地方生まれの一人のカナンの女が出てきて叫んだ、「主よ、ダビデ
のお子様よ、どうぞお慈悲を。娘がひどく悪鬼に苦しめられています。」"
"401523","
しかしイエスは一言も答えられなかった。弟子たちが来て、願って言った、「願
いをかなえてやって、(早く)この女を追い払ってください。どなりながらついて来ます
から。」"
"401524","
イエスは答えられた、「わたしはイスラエルの家のいなくなった羊だけにしか、
遣わされていない。」"
"401525","
するとその女が来て、しきりに願って言った、「主よ、お助けください。」"
"401526","
イエスは答えられた、「子供たちのパンを取り上げて、(異教の)小犬どもに投
げてやるのはよろしくない。」"
"401527","
しかし女は言った、「主よ、是非どうぞ!小犬どもも、御主人の食卓から落ちる
パン屑をいただくのですから。」"
"401528","
そこでイエスは答えられた、「ああ、女の人、りっぱな信仰だ。願いどおりに成
れ。」すると、ちょうどその時から、娘は直った。"
"401529","
それからイエスはそこを去って、ガリラヤ湖のほとりにかえり、山に上ってそ
こに坐られた。"
"401530","
大勢の群衆が足なえ、片輪、盲人、唖、そのほか多くの者をつれてイエスの所
に来て、足もとに置いたので、それをなおされた。"
"401531","
群衆は唖が物を言い、片輪が直り、足なえが歩きまわり、盲人が目が見えるよ
うになったのを見て驚き、イスラエルの神を讃美した。"
"401532","
イエスは弟子たちを呼び寄せて言われた、「群衆がかわいそうだ。もう三日もわ
たしをはなれずにいるので、何も食べるものを持っていない。空腹のままで帰したくない。
途中でへたばってしまうかも知れない。」"
"401533","
弟子たちが言う、「この荒野で、いったいどこから、こんなに大勢の人を満腹さ
せるほど沢山のパンを買って来ましょうか。」"
"401534","
イエスが言われる、「手許にいくつパンがあるか。」「七つ、それと小魚が少しで
す」とこたえた。"
"401535","
イエスは群衆に命じて地面にすわらせ、"
"401536","
その七つのパンと魚とを(手に)取り、(神に)感謝して(パンを)裂き、弟子
たちに渡されると、弟子たちは群衆に渡した。"
"401537","
皆が食べて満腹した。そして余った(パンの)屑を拾うと、七つの篭に一ぱい
あった。"
"401538","
食べた者は、女、子供ぬきで、男四千人であった。"
"401539","
イエスは群衆を解散させたのち、舟に乗ってマガダン地方に行かれた。"
"401601","
するとパリサイ人とサドカイ人とが来て、イエスを試そうとして、(神の子であ
る証拠に)天からの(不思議な)徴を示すようにと頼んだ。"
"401602","
彼らに答えられた、「あなた達は夕方には『(明日は)天気だ、空が焼けている
から』と言い、"
"401603","
また朝早く、『きょうは荒れだ、空が曇って焼けているから』と言う。あなた達
は空の模様を見分けることを知っていながら、時の(せまった)徴を見分けることが出来
ないのか。"
"401604","
この悪い、神を忘れた時代の人は、徴をほしがる。しかしこの人たちには、ヨ
ナの徴以外の徴は与えられない。」イエスは彼らをすてて立ち去られた。"
"401605","
向う岸に着いたとき、弟子たちはパンを持ってくるのを忘れていた。"
"401606","
するとイエスは弟子たちに、「パリサイ人(のパン種)とサドカイ人のパン種に
注意し、警戒せよ」と言われた。"
"401607","
弟子たちは(その意味がわからず、)「パンを持ってこなかったこと(を言われ
る)らしい」と言って、こそこそ評議をしていた。"
"401608","
イエスはそれと知って言われた、「なぜパンのないことをこそこそ評議するのか。
この信仰の小さい人たち!"
"401609","
まだ解らないのか、覚えていないのか、あの五千人の五つのパンのとき、いく
篭ひろったか。"
"401610","
また、四千人の七つのパンのとき、いく篭ひろったか。"
"401611","
パンのことを言ったのではないことが、どうして解らないのか。パリサイ人(の
パン種)とサドカイ人のパン種を警戒せよ。」"
"401612","
その時(やっと)弟子たちは、イエスがパン種でなく、パリサイ人とサドカイ
人との教えを警戒せよ、と言われたことを悟った。"
"401613","
ピリポ・カイザリヤ地方に行かれたとき、イエスはこう言って弟子たちに尋ね
られた、「世間の人は人の子(わたし)のことをなんと言っているか。」"
"401614","
彼らが言った、「あるいは洗礼者ヨハネ、あるいは預言者エリヤ、あるいはエレ
ミヤとか(昔の)普通の預言者とか言う者があります。」"
"401615","
彼らに言われる、「では、あなた達はわたしのことをなんと言うのか。」"
"401616","
シモン・ペテロが答えて言った、「あなたは救世主、生ける神の子であります!」
"
"401617","
するとイエスは(喜んで)ペテロに答えられた、「バルヨナ・シモン、あなたは
幸いだ。これをあなたに示したのは血肉([人間]の知恵)でなく、わたしの天の父上だ
から。"
"401618","
それでわたしもあなたに言おう。──あなたはペテロ[岩]、わたしはこの岩の
上に、わたしの集会を建てる。黄泉の門[死の力]もこれに勝つことはできない。"
"401619","
わたしはあなたに天の国の鍵をあずける。(だから)あなたが地上で結ぶことは
(そのまま)天でも結ばれ、地上で解くことは(そのまま)天でも解かれるであろう。」"
"401620","
それからイエスは、自分が救世主であることをだれにも言ってはならないと、
弟子たちを戒められた。"
"401621","
この時から、イエスは自分が(神の計画どおり)エルサレムに行って、長老、
大祭司連、聖書学者たちから多くの苦しみをうけ、殺され、そして三日目に復活せねばな
らないことを弟子たちに示し始められた。"
"401622","
するとペテロはイエスをわきへ引っ張っていって、「主よ、とんでもない。そん
なことは絶対にいけません!」と言って忠告を始めた。(救世主が死ぬなどとは考えられ
なかったのである。)"
"401623","
イエスは振り返って、ペテロに言われた、「引っ込んでろ、悪魔、この邪魔者!
お前は神様のことを考えずに、人間のことを考えている!」"
"401624","
あとでイエスは弟子たちに言われた、「だれでも、わたしについて来ようと思う
者は、(まず)己れをすてて、自分の十字架を負い、それからわたしに従え。"
"401625","
(十字架を避けてこの世の)命を救おうと思う者は(永遠の)命を失い、わた
しのために(この世の)命を失う者は、(永遠の)命を得るのだから。"
"401626","
たとい全世界をもうけても、命を損するならば、その人は何を得するのだろう。
それとも、人は(一度失った永遠の)命を受けもどす代価として、何か(神に)渡すこと
ができるのだろうか。"
"401627","
(永遠の命のために働け。)人の子(わたし)は父上の栄光に包まれ、自分の使
いたちを引き連れて(ふたたび地上に)来るが、その時、“ひとりびとりの行いに応じて
褒美を与えるのである”から。"
"401628","
アーメン、わたしは言う、(その時はじきに来る。今)ここに立っている者のう
ちには、死なずにいて、人の子(わたし)がその国と共に来るのを見る者がある。」"
"401701","
(それから)六日の後、イエスはペテロとヤコブとその兄弟のヨハネだけを連
れて、高い山にのぼられた。"
"401702","
すると彼らの見ている前でイエスの姿が変った。顔は太陽のように照りかがや
き、着物(まで)が光のように白くなった。"
"401703","
すると見よ、モーセとエリヤとが彼らに現われた。二人はイエスと話していた。
"
"401704","
ペテロが口を出してイエスに言った、「主よ、わたし達(三人)がここにいるの
は、とても良いと思います。もしよろしければ、わたしはここに小屋を三つ造りましょう。
あなたに一つ、モーセに一つ、エリヤに一つ。」"
"401705","
ペテロの言葉がまだ終らぬうちに、見よ、光る雲が彼ら(イエスとモーセとエ
リヤと)を掩い、そのとき、「これはわたしの“最愛の子、”“わたしの心にかなった。”“彼
の言うことを聞け”」と言う声が雲の中から出た。"
"401706","
これを聞くと弟子たちは地にひれ伏して、非常に恐ろしくなった。"
"401707","
イエスは近寄り、彼らにさわって言われた、「起きよ、恐れることはない。」"
"401708","
目を上げると(そこには)だれも見えず、ただイエスだけがおられた。"
"401709","
山を下りながら、イエスは、「人の子(わたし)が死人の中から復活する前には、
(いま)見たことをだれにも言うな」と彼らに命じられた。"
"401710","
すると弟子たちがこう言ってイエスに尋ねた、「では、なぜ聖書学者は、まずエ
リヤが(来てそのあとで人の子が)来るべきである、と言うのですか。(人の子は来られ
たのに、エリヤはまだ来ないではありませんか。)」(彼らは山の上のことを思い浮かべた
のである。)"
"401711","
答えられた、「たしかに“エリヤが”来て万事を“整頓するであろう。”"
"401712","
しかしわたしは言う、すでにエリヤは来た。ただ人々は彼を(それと)認めず、
したい放題のことを彼にし(て殺してしまっ)たのである。(だから)同じように、人の
子(わたし)も人々から苦しみをうけねばならない。」"
"401713","
その時弟子たちは、洗礼者ヨハネのことを指して(エリヤと)言われたのだと
悟った。"
"401714","
(山を下りて)群衆の所にかえると、ひとりの人がイエスに近寄り、ひざまず
いて"
"401715","
言った、「主よ、どうぞ伜にお慈悲を。癲癇で、ひどく苦しんでおります。幾た
びも幾たびも火の中、水の中に倒れるのです。"
"401716","
それでお弟子たちのところにつれて来ましたが、なおおしになれませんでし
た。」"
"401717","
イエスは答えられた、「ああ不信仰な、腐り果てた時代よ、わたしはいつまであ
なた達と一しょにおればよいのか。いつまであなた達に我慢しなければならないのか。そ
の子をここにつれて来なさい。」"
"401718","
そしてイエスが悪鬼を叱りつけられると、悪鬼が出ていって、その時から子は
なおった。"
"401719","
あとで弟子たちは人のいない時にイエスの所に来て言った、「なぜわたし達には
悪鬼を追い出せなかったのでしょうか。」"
"401720","
彼らに言われた、「信仰が無いからだ。アーメン、わたしは言う、もしあなた達
に芥子粒ほどでも信仰があれば、この山に向かい『ここからあそこに移れ』と言えば移り、
あなた達に出来ないことは一つもない。」"
"401721","
〔無し〕"
"401722","
一行がガリラヤを旅行しているとき、イエスは(また)弟子たちに言われた、「人
の子(わたし)は人々の手に引き渡されねばならない。"
"401723","
彼らに殺されるが、三日目に復活する。」弟子たちは非常に悲しんだ。"
"401724","
彼らがカペナウムに来たとき、宮の奉納金の取立て人がペテロの所に来て言っ
た、「あなた達の先生は奉納金を納めないのか。」"
"401725","
ペテロが「もちろん、納められる」と言う。そして(イエスの)家に行くと、
イエスの方から言い出された、「シモン、どう思うか、この世の王たちは官税や税をだれ
から取るだろうか。自分の子供たちだろうか、それとも余所の人からだろうか。」"
"401726","
「余所の人から」と答える。イエスは言われた、「それでは(神の)子供たちに
は(納める)義務はない。"
"401727","
しかし人々をつまずかせないため、湖に出かけていって釣針を垂れよ。最初に
釣れた魚を取って口をあけるとスタテル銀貨(二千円)が一つあるから、それを取って、
わたしとあなたの分として取立て人に渡しなさい。」"
"401801","
その時、弟子たちがイエスの所に来て、「ではいったい(われわれのうちの)だ
れが天の国で一番えらいのですか」とたずねた。"
"401802","
イエスはひとりの子供を呼びよせ、彼らの真中に立たせて"
"401803","
言われた、「アーメン、わたしは言う、あなた達は生まれかわって子供のように
(小さく)ならなければ、決して天の国に入ることはできない。"
"401804","
だから、この子供のように自分を低くする者、それが天の国では一番えらい人
である。"
"401805","
またわたしの名を信ずるこんな一人の子供を迎える者は、わたしを迎えてくれ
るのである。"
"401806","
しかしわたしを信ずるこの小さな者を一人でも罪にいざなう者は、大きな挽臼
を頚にかけられて深い海に沈められる方が得である。"
"401807","
この世は罪のいざないがあるから禍だ、罪のいざないの来るのを避けることが
できないからである。しかしいざないを来させる人は禍だ。"
"401808","
(だから)もし手か足があなたを罪にいざなうなら、切り取って捨てよ。両手
両足があって永遠の火の中に投げ込まれるよりも、片手片足で(永遠の)命に入る方が仕
合わせである。"
"401809","
もしまた目があなたを罪にいざなうなら、くじり出して捨てよ。両目があって
火の地獄に投げ込まれるよりも、片目で(永遠の)命に入る方が仕合わせである。"
"401810","
この小さな者を一人でも軽んじることのないように注意せよ。わたしは言う、
(わたしの父上は片時も彼らをお忘れにならない。)あの者たちの(守り)天使は、天で
いつもわたしの天の父上にお目にかかっているのだから。"
"401811","
〔無し〕"
"401812","
あなた達はどう思うか。ある人が羊を百匹もっていて、その一匹が道に迷った
とき、その人は九十九匹を山にのこしておいて、迷っている一匹をさがしに行かないだろ
うか。"
"401813","
そしてもし見つけようものなら、アーメン、わたしは言う、この一匹を、迷わ
なかった九十九匹以上に喜ぶにちがいない。  "
"401814","
このように、この小さな者たちが一人でも滅びることは、あなた達の天の父上
の御心ではない。"
"401815","
それで、もし兄弟が罪を犯し(て悔改めなかっ)たら、行って、あなたと二人
だけの間で忠告をしてやりなさい。もし言うことを聞けば、あなたは(天の国のために)
兄弟を一人もうけたのである。"
"401816","
しかし(どうしても)聞かないなら、ほかに一人か二人、一しょに連れてゆく
がよい。“すべてのことは、二人もしくは三人の証言によって定められる”(というモーセ
の掟に従う)ためである。"
"401817","
しかし彼らの言うことを聞かないなら、集会に申し出よ。集会の言うことも聞
かないなら、(その時は已むを得ないから、その人と交際をたって)異教人か税金取りの
ように思ってよろしい。"
"401818","
アーメン、わたしは言う、あなた達が地上で結ぶことはみな天でも結ばれ、地
上で解くことはみな天でも解かれるであろう。"
"401819","
なお、アーメン、わたしは言う、何事によらず、もしあなた達のうちの二人が
心を一つにして地上で祈るならば、わたしの天の父上は(きっとその願いを)かなえてく
ださるだろう。"
"401820","
二人、三人、わたしの名によって集まっている所には、わたしがいつもその真
中にいるのだから。」"
"401821","
その時ペテロが進み寄ってたずねた、「主よ、兄弟がわたしに対して罪を犯した
とき、何度赦してやらねばなりませんか。七度まででしょうか。」"
"401822","
イエスがこたえられた、「いや、あなたに言う、七度までどころか、七十七度ま
で!  "
"401823","
だから天の国は、王が家来たちとの貸し借りを清算しようとするのに似ている。
"
"401824","
清算を始めると、(王に対し)一万タラント[三百億円]の借りのある家来がつ
れて来られた。"
"401825","
返すことができないので、主人は(その家来に、)自分も妻も子も持ち物も全部
売って返すように命じた。"
"401826","
家来はひれ伏して、しきりに願った、『しばらく待ってください。全部お返しし
ますから。』"
"401827","
そこで主人は気の毒に思って、身柄をゆるした上、借金にまで棒を引いてやっ
た。"
"401828","
ところがその家来は出ていって、自分に百デナリ[五万円]を借りているひと
りの同僚に出合うと、これをつかまえ、喉頚をしめて、『借りているものを返せ』と言っ
た。"
"401829","
同僚はひれ伏して、『ちょっと待ってくれ。返すから』と頼んだ。"
"401830","
しかし承知せず、(裁判官につれて)行って、負債を返すまで牢に入れた。"
"401831","
その人の同僚たちはこの出来事を見て非常に悲しみ、行って、出来事の一部始
終を主人に報告した。"
"401832","
すると主人はその家来を呼び出して言う、『不埒な家来、あなたが頼んだから、
わたしはあの負債に全部、棒を引いてやったのだ。"
"401833","
だからあなたもわたしに情をかけてもらったように、同僚に情をかけてやるべ
きではなかったのか。』"
"401834","
そこで主人は怒って、負債を全部返すまでその男を獄吏に引き渡した、(という
話。)"
"401835","
わたしの天の父上も、もしあなた達ひとりびとりが心から兄弟を赦さないなら
ば、同じようにあなた達になさるであろう。」"
"401901","
イエスはこれらの話を終えると、ガリラヤを去り、ヨルダン川の向こうのユダ
ヤ(人の住むペレヤ)地方に行かれた。"
"401902","
すると大勢の群衆がついて来たので、そこで彼らの病気をなおされた。"
"401903","
そこにパリサイ人たちが近寄ってきて、イエスを試そうとして言った、「何か理
由があれば、妻を離縁してもよろしいか。」"
"401904","
答えて言われた、「造物者が始めから“彼らを男と女とに造られた”こと、"
"401905","
また、“それゆえに人は父と母とをすてて妻に結びつき、二人は一体となる”と
言われたことを、あなた達は読んだことがないのか。"
"401906","
従って、もはや二人ではない、一体である。だから夫婦は(皆)神が一つの軛
におつなぎになったものである。(どんな理由があっても)人間がこれを引き離してはな
らない。」"
"401907","
彼らが言う、「それでは、なぜモーセは“離縁状を渡して(妻を)離縁すること
を”命じているか。」"
"401908","
彼らに言われる、「モーセはあなた達の心が(神に対して)頑固なために、妻を
離縁することを許したので、始めからそうではなかった。"
"401909","
わたしは言う、不品行のゆえでなくて妻を離縁し、ほかの女と結婚する者は、
姦淫を犯すのである。」"
"401910","
弟子たちが言う、「夫婦の関係がそんな(面倒な)ものなら、結婚をしない方が
得だ。」"
"401911","
彼らに言われた、「そのことは(本当の意味がわかって実行すれば確かに得であ
るが、それは)だれにでも出来ることではない。(神から特別に力を)授けられる者だけ
に出来るのである。"
"401912","
というのは、(同じ独身でも、)母の胎内から結婚できないように生まれついた
者があり、また人から(無理に)結婚できないようにされた者があり、また天の国のため
に自分で(決心して)結婚しない者がある。(この最後のものが本当の独身である。)出来
る者はしたがよかろう。」"
"401913","
それから、イエスに手をのせて祈っていただこうとして、人々が子供たちをつ
れて来ると、弟子たちが咎めた。"
"401914","
イエスは言われた、「子供たちを放っておけ、わたしの所に来るのを邪魔するな。
天の国はこんな(小さな)人たちのものである。」"
"401915","
それから子供たち(の頭)に手をのせて祝福したのち、そこを去られた。"
"401916","
するとそこに、ひとりの人がイエスの所に来て言った、「先生、永遠の命を得る
には、どんな善いことをすればよいでしょうか。」"
"401917","
イエスは言われた、「なぜ善いことについってわたしに尋ねるのか。善いお方は
ただ一人(神)である。(永遠の)命に入りたければ、(神の)掟を守りなさい。」"
"401918","
「どの掟を」と彼が言う。イエスはこたえられた、「“殺してはならない、姦淫
をしてはならない、盗んではならない、偽りの証言をしてはならない、"
"401919","
父と母とを敬え、”また“隣の人を自分のように愛せよ。”」"
"401920","
青年が言う、「それならみんな守っております。まだ何か足りないでしょうか。」
"
"401921","
イエスは言われた、「完全になりたければ、家に帰って持ち物を売って、(その
金を)貧乏な人に施しなさい。そうすれば天に宝を積むことができる。それから来て、わ
たしの弟子になりなさい。」"
"401922","
青年はこの言葉を聞き、悲しそうにして立ち去った。大資産家であったのであ
る。"
"401923","
イエスは弟子たちに言われた、「アーメン、わたしは言う、金持が天の国に入る
ことはむずかしい。"
"401924","
かさねて言う、金持が天の国に入るよりは、駱駝が針のめどを通る方がたやす
い。」"
"401925","
これを聞いて、弟子たちは非常に驚いて言った、「ではいったい、だれが救われ
ることが出来るのだろう。」"
"401926","
イエスは彼らをじっと見て言われた、「これは人間には出来ないが、“神にはな
んでも出来る。”」"
"401927","
その時、ペテロが口を出してイエスに言った、「でも、わたし達は(あの金持と
ちがいます。)この通り何もかもすてて、あなたの弟子になりました。わたし達にはいっ
たいなんの褒美があるのでしょうか。」"
"401928","
イエスが彼らに言われた、「アーメン、わたしは言う、新しい世界が生まれて、
人の子(わたし)が栄光の座につく時には、わたしの弟子になったあなた達十二人も十二
の王座について、イスラエル(の民)の十二族を支配するのである。"
"401929","
そしてわたしのために家や兄弟や姉妹や父や母や畑をすてた者は一人のこらず、
(この世で)その幾倍を受け、また(来るべき世では)永遠の命をいただくのである。
""401930","
しかし(決して油断をしてはならない。)一番の者が最後になり、最後の者が
一番になることが多い。"
"402001","
(なぜであろう。)天の国は、家の主人が夜の引明けに出ていって、葡萄畑に労
働者を雇うのに似ているからである。"
"402002","
一日一デナリ[五百円]の約束で、労働者たちを葡萄畑にやった。"
"402003","
また九時ごろ出ていって、ほかの労働者が何もせずに市場に立っているのを見
て、"
"402004","
『あなた達も葡萄畑に行きなさい。やるだけのものはやるから』と言うと、"
"402005","
その人たちも行った。十二時ごろと三時ごろにまた出ていって、同じようにし
た。"
"402006","
(最後に)五時ごろ出ていって見ると、(まだ)ほかの労働者が立っていたので、
言う、『なぜ一日中何もせずに、ここに立っているのか。』"
"402007","
彼らがこたえる、『だれも雇ってくれないのです。』彼らに言う、『(まだ一時間
は働ける。)あなた達も葡萄畑に行きなさい。』"
"402008","
さて夕方になると、葡萄畑の主人が監督に言う、『労働者たちを呼んで、賃金を
払ってやりなさい、(逆に)最後の者から始めて最初の者まで。』"
"402009","
そこで(まず)五時ごろの者が来て、一デナリずつ貰った。"
"402010","
最初の者は来て、(あの連中が一デナリなら、)自分たちは余計に貰えるものと
思っていたところ、彼らも一デナリずつ貰った。"
"402011","
そこで貰ったとき、家の主人に向かって不平を"
"402012","
言った、『この最後の者は(たった)一時間しか働かなかった。われわれは一日
中、重労働と暑さを辛抱したのに、あなたは同じ扱いをされたではないか。』"
"402013","
主人がその一人に答えた、『君、わたしは何も間違ったことをあなたにした覚え
はない。一デナリの約束ではなかったのか。"
"402014","
自分の分を取って帰りたまえ。わたしはこの最後の人に、あなたと同じだけや
りたいのだ。"
"402015","
わたしのものを、わたしがしたいようにしてはいけないのか。それとも、わた
しが親切をしてやったのが羨ましいのか。』"
"402016","
このように、最後の者が一番になり、一番の者が最後になるであろう。」"
"402017","
いよいよエルサレムへ(の道を)上り出されるとき、イエスはまた十二人(の
弟子)だけをそばに呼んで、道々こう話された、"
"402018","
「さあ、いよいよわたし達はエルサレムへ上るのだ。そして人の子(わたし)
は(そこで)大祭司連と聖書学者たちとに引き渡される。彼らは死刑を宣告して"
"402019","
異教人に引き渡し、異教人はなぶり、鞭で打ち、ついに十字架につけるのであ
る。しかし三日目に復活する。」"
"402020","
その時、ゼベダイの子(ヤコブとヨハネと)の母がその(二人の)子をつれて
イエスの所に来て、ひざまずき、何かお願いしようとした。"
"402021","
彼女に言われた、「何の願いか。」彼女が言う、「(来ようとしている)あなたの
御国で、この二人の子が一人はあなたの右に、一人は左に坐るよう御命令ください。」"
"402022","
イエスが答えられた、「あなた達は自分で何を願っているのか、わからずにいる。
(ヤコブとヨハネに聞くが、)わたしが飲まねばならない(苦難の)杯を飲むことが出来
るのか。」「出来ます」と二人がこたえる。"
"402023","
イエスは言われる、「いかにも、あなた達はわたしの杯を飲むにちがいない。し
かしわたしの右と左の席、それはわたしが与えるのではなく、(あらかじめ)わたしの父
上から定められた人々に与えられるのである。」"
"402024","
(ほかの)十人(の弟子)はこれを聞いて、二人の兄弟のことを憤慨した。"
"402025","
するとイエスは彼らを呼びよせて言われた、「あなた達が知っているように、世
間では主権者が人民を支配し、また(いわゆる)えらい人が権力をふるうのである。"
"402026","
あなた達の間では、そうであってはならない。あなた達の間では、えらくなり
たい者は召使になれ。"
"402027","
一番上になりたい者は奴隷になれ。"
"402028","
人の子(わたし)が来たのも仕えさせるためではない。仕えるため、多くの人
のあがない金としてその命を与えるためである。」"
"402029","
一行がエリコ(の町)を出ると、大勢の群衆がイエスについて来た。"
"402030","
すると二人の盲人が道ばたに坐っていたが、イエスのお通りだと聞くと、「主よ、
ダビデのお子様よ、どうぞお慈悲を」と言って叫んだ。"
"402031","
群衆が叱りつけて黙らせようとしたが、二人はますます大声で、「主よ、ダビデ
のお子様よ、どうぞお慈悲を」と言って叫んだ。"
"402032","
イエスは立ち止まって、二人を呼んで言われた、「何をしてもらいたいのか。」"
"402033","
彼がこたえる、「主よ、目があくといい。」"
"402034","
イエスが不憫に思ってその目にさわられると、すぐ見えるようになって、イエ
スについて行った。"
"402101","
一同がエルサレムに近づき、オリーブ山の中腹のベテパゲに来ると、その時イ
エスはこう言って二人の弟子を使いにやられた、"
"402102","
「あの向かいの村まで行ってきなさい。(村に入ると)すぐ、子をつれた驢馬が
つないであるのが見える。解いてわたしのところに引いてきてもらいたい。"
"402103","
もしなんとか言う者があったら、『主がお入用です』と言えばよろしい。すぐ渡
してくれるから。」"
"402104","
これは、預言者(ゼカリヤ)をもって言われた言葉が成就するためにおこった
のである。──"
"402105","
“シオンの娘に告げよ、”“見よ、心のやさしいあなたの王が、来られる、驢馬
にのって、驢馬の子の子驢馬にのって”と。"
"402106","
弟子たちは行って、イエスが命じられたとおりにして、"
"402107","
驢馬と子驢馬とを引いてきた。そして自分たちの着物をその上にひろげると、
イエスはそれに乗られた。"
"402108","
おびただしい群衆がその着物を道に敷いた。木の枝を切ってきて道に敷く者も
あった。"
"402109","
群衆は、イエスの前を行く者もあとについて行く者も、叫んで言った。──ダ
ビデの子に“ホサナ!主の御名にて来られる方に祝福あれ。”いと高き所に“ホサナ!”"
"402110","
やがてエルサレムに着かれると、都中が「この人はだれだろう」と言って騒ぎ
たった。"
"402111","
「この人はガリラヤのナザレの預言者イエスだ」と群衆は言った。"
"402112","
イエスは宮に入って、宮(の庭)で物を売る者や買う者を皆追い出し、両替屋
の台や、鳩を売る者の腰掛けを倒された。"
"402113","
それからこう言われた、「“わたしの家は祈りの家と呼ばれるべきである”と(聖
書に)書いてあるのに、あなた達はそれを“強盗の巣”にしている。」"
"402114","
宮(の庭)で盲人や足なえが寄ってきたので、イエスはそれをなおしてやられ
た。"
"402115","
すると大祭司連や聖書学者たちは、イエスがされた不思議な業と、宮(の庭)
で子供たちが、「ダビデの子に“ホサナ!”」と言って叫んでいるのを見て憤り、"
"402116","
イエスに言った、「あの子供たちがなんと言っているのか、聞えているのか。」
イエスは言われた、「聞えている。あなた達は“(神よ、)あなたは幼児と乳飲み子との口
によって、(御自分のために)賛美をお備えになった”と詩篇にあるのを、まだ読んだこ
とがないのか。(大人が黙っているから、子供が叫ぶのだ。)」"
"402117","
イエスは彼らをすて置き、都を出てベタニヤにゆき、そこで夜を過ごされた。"
"402118","
(次の)朝早く都に帰られるとき、イエスは空腹であった。"
"402119","
それで道ばたに一本の無花果の木があるのを見て、そこに行かれた。が見ると、
ただ葉ばかりで何もなかった。イエスはその木に言われる、「もはやいつまでも、お前に
は実がなってはならない!」無花果の木は見る間に枯れてしまった。"
"402120","
これを見て弟子たちは驚いて言った、「なぜ無花果は見る間に枯れてしまったの
ですか。」"
"402121","
イエスは答えられた、「アーメン、わたしは言う、もしあなた達に信仰があって
疑わないならば、この無花果におこった(と同じ)ことをすることができるばかりか、こ
の山にむかい『立ち上がって海に飛び込め』と言っても、その通りになる。"
"402122","
信じて祈れば、求めるものはなんでも、戴くことができる。」"
"402123","
宮に来て教えておられると、大祭司連と国の長老たちが寄ってきて、言った、「な
んの権威で(きのうのような)あんなことを(宮で)するのか。だれがあの権威を授けた
のか。」"
"402124","
イエスは答えて言われた、「ではわたしも一つ尋ねる。それにこたえられたら、
わたしも何の権威でそれをするかを言おう。"
"402125","
──ヨハネの洗礼はどこから来たのか。天(の神)から(授かったの)か、そ
れとも人間からか。」彼らはひそかに考えた、「もし『天から』と言えば、『では、なぜヨ
ハネを信じなかったか』と言うであろうし、"
"402126","
もし『人間から』と言えば、民衆(の反対)がこわい。みんながヨハネを預言
者と思っているのだから。」"
"402127","
そこで「知らない」とイエスに答えた。イエスも言われた、「ではなんの権威で
あんなことをするのか、わたしも言わない。"
"402128","
いったいあなた達はどう思うか。──ある人に二人の息子があった。長男の所
に行って、『坊や、きょう葡萄畑に行って働いてくれ』と言うと、"
"402129","
長男は『いやです』と答えたが、あとで後悔して出かけた。"
"402130","
つぎに次男の所に行って同じように言うと、こちらは、『お父さん、承知しまし
た』と答えたが、行かなかった。"
"402131","
この二人のうち、どちらが父の心を行ったのだろうか。」「もちろん長男」と彼
らが答える。イエスが言われる、「アーメン、わたしは言う、税金取りや遊女たちは、あ
なた達よりも先に神の国に入るであろう。"
"402132","
そのわけは、(洗礼者)ヨハネが義の道を示しに来たのに、あなた達は彼を信ぜ
ず、税金取りや遊女の方がかえって信じたからだ。しかしあなた達は(あの人たちが悔改
めるのを)見たあとでも、後悔して彼を信じようとしなかった。"
"402133","
もう一つの譬を聞きなさい。ある家の主人があった。“葡萄畑をつくって、それ
に垣根をめぐらし、その中に搾り場をもうけ、(見張りの)櫓を建てた”上、小作人たち
に貸して旅行に出かけた。"
"402134","
収穫の時が近づくと、収穫を取り立てるために、使用人たちを小作人の所に使
いをやった。"
"402135","
すると小作人は使用人をつかまえて、一人をなぐりつけ、一人を石で打ち、一
人を殺した。"
"402136","
また前よりも多くのほかの使用人をやると、同じような目にあわせた。"
"402137","
最後に『わたしの独り息子なら恐れ入るにちがいない』と言って、その息子を
使いにやった。"
"402138","
すると小作人たちはこの息子を見て、『これは相続人だ。さあ、殺して、その財
産を取ってしまおう』と互に言いながら、"
"402139","
つかまえて葡萄畑の外に放り出した上、殺してしまった(と言う話。)"
"402140","
それで(尋ねるが、)葡萄畑の持ち主が来たら、この小作人たちをどうするだろ
うか。」"
"402141","
人々が答える、「そのひどい奴どもをひどい目にあわせて殺し、葡萄畑は、収穫
の時ごとにそれを納めるほかの小作人に貸すにちがいない。」"
"402142","
イエスは彼らに言われた、「あなた達は聖書で(この句を)まだ読んだことがな
いのか。──“大工たちが(役に立たぬと)捨てた石、それが隅の土台石になった。これ
は主のなされたことで、われわれの目には不思議である。”"
"402143","
だからわたしは言う、神の国はあなた達から取り上げられて、神の国の実を結
ぶ(ほかの)国民に与えられるであろう。"
"402144","
そして(救世主なる)この石の上に(つまずき)倒れる人は打ち砕かれ、(最後
の裁きの日に)この石が倒れかかる人は、粉微塵になるであろう。」"
"402145","
大祭司連とパリサイ人はこれらの譬を聞いて、イエスが自分達のことを言って
おられることを知り、"
"402146","
怒ってイエスを捕らえようと思ったが、民衆(が騒ぎ出すの)を恐れた。民衆
はイエスを預言者と思っていたからである。"
"402201","
イエスは言葉をつづけ、また譬をもって(パリサイ人たちに)話された、"
"402202","
「天の国は、王子のために結婚披露の宴会を催す王にたとえられる。"
"402203","
家来たちをやって宴会に招いた人たちを呼ばせたけれども、だれも来ようとは
しなかった。  "
"402204","
王は、招いた人たちにこう言え、と言って、重ねてほかの家来たちをやった、『い
よいよ食事の用意ができました。牛と肥し飼いの家畜とを屠って、すっかり用意ができて
います。さあ、宴会においでください。』"
"402205","
しかし彼らはそれに構わず、一人は畑に、一人は商売に出かけ、"
"402206","
ほかの者は家来たちを捕らえてひどい目にあわせた上、殺してしまった。"
"402207","
王は憤り、軍隊をやってその人殺しどもをうち滅ぼし、その町を焼き払った。"
"402208","
それから家来たちに言う、『宴会の用意はできているが、招いた人は(客たる)
資格のない者(ばかり)だ。"
"402209","
だから町の出口の所に行って、出会った者をだれでもよいから宴会に呼んでこ
い。』"
"402210","
家来たちは道に出ていって、出会った者を悪人でも善人でも皆集めてきたので、
宴会場は客で一ぱいになった。"
"402211","
王は客を見ようとして入ってきたが、そこに礼服を着ていない者が一人いる
のを見て"
"402212","
その人に言った、『君、礼服も着ずに、なんでここに入ってきたのか。』その人
が黙っていると、"
"402213","
王は家来たちに言った、『あの者の手足を縛って、外の真暗闇に放り出せ。そこ
でわめき、歯ぎしりするであろう。』"
"402214","
──招かれる者は多いが、選ばれる者は少ないのだから。」"
"402215","
するとパリサイ人は(そこから)出ていって、イエスを(彼自身の)言葉で罠
にかけることを決議し、"
"402216","
その弟子たちをヘロデ党の者と共にイエスのところにやって言わせた、「先生、
あなたは正直な方で、本当のことを言って神の道を教えられ、だれにも遠慮されないこと
をよく承知しております。人の顔色を見られないからです。"
"402217","
それで御意見を聞かせてください──(わたし達は異教人である)皇帝に、税
を納めてよろしいでしょうか、よろしくないでしょうか。」"
"402218","
イエスは彼らの悪意を知って言われた、「なぜわたしを試すのか、この偽善者た
ち、"
"402219","
税の貨幣を見せなさい。」デナリ銀貨を差し出すと、"
"402220","
言われる、「これはだれの肖像か、まただれの銘か。」"
"402221","
「皇帝のです」と彼らが言う。すると言われる、「では皇帝のものは皇帝に、神
のものは神に返せ。」"
"402222","
彼らは聞いて驚き、イエスをそのままにして立ち去った。"
"402223","
同じ日にサドカイ人たちが近寄って、復活なしと主張しながら、イエスにこう
言って質問した。"
"402224","
「先生、モーセは(その律法に)、“もし人が子がなくて死んだ場合には、弟に
兄嫁をめとり、兄の家をつぐべき子をもうけよ”と言っています。"
"402225","
ところがわたし達のところに七人の兄弟があって、長男が結婚して死に、子が
なかったので、その妻を弟にのこしました。"
"402226","
同じように、次男も三男も、ついに七人まで(子をのこさずに)死んで、"
"402227","
一番しまいにその女も死んでしまいました。"
"402228","
すると(もし復活があるなら、)復活の折には、この女は七人のうちのだれの妻
になるのでしょうか。皆その女を妻にしましたから。」"
"402229","
イエスは答えられた、「あなた達は聖書も神の力も知らないので、間違いをして
いる。"
"402230","
復活の折には、めとることもなく嫁ぐこともなく、ちょうど天の使いのようで
ある。"
"402231","
死人の復活については、(聖書にはっきり書いてある。)神があなた達に言われ
たこの言葉を読んだことがないのか。──"
"402232","
“わたしはアブラハムの神、またイサクの神、またヤコブの神である”と。(と
ころで)神は死人の神ではなく、生きている者の神である。(だからアブラハム、イサク
なども復活して、今生きているわけではないか。)」"
"402233","
民衆はこれを聞いて、その教えに感心してしまった。"
"402234","
イエスがサドカイ人を言いこめられたと聞くと、パリサイ人は一しょに(イエ
スの所に)集まった。"
"402235","
そしてそのうちの一人の律法学者がイエスを試そうとして尋ねた、"
"402236","
「先生、どの掟が律法の中で最大ですか。」"
"402237","
イエスは言われた、「“心のかぎり、精神のかぎり、”思いの“かぎり、あなたの
神なる主を愛せよ。”"
"402238","
これが最大、第一の掟である。"
"402239","
第二もこれと同じ(く大切である)。──“隣の人を自分のように愛せよ。”"
"402240","
律法全体と預言書と(聖書)は、この二つの掟に支えられている。」"
"402241","
イエスは(そこに)集まっているパリサイ人にお尋ねになった、"
"402242","
「あなた達は救世主のことをどう思うか。だれの子だろうか。」「ダビデの子」
と答えると、"
"402243","
彼らに言われる、「ではダビデが御霊に感じて、救世主を主と呼んでいるのはど
ういう訳だろう。彼はこう言っている。──"
"402244","
“(神なる)主はわが主(救世主)に仰せられた、『わたしの右に坐りなさい、
わたしがあなたの敵を(征服して)あなたの足の下に置くまで』と。”"
"402245","
だから、ダビデが(このように)救世主を主と呼んでいる以上、どういう訳で
(その救世主が)ダビデの子であろうか。」"
"402246","
これにはだれ一人、一言も答えることが出来ず、またその日以後、もう問おう
とする者もなかった。"
"402301","
それからイエスは群衆と弟子たちとにむかって語られた、"
"402302","
「聖書学者とパリサイ人はいまモーセの(後継ぎとしてその)椅子に坐ってい
る。(彼らにはモーセの権威がある。)"
"402303","
だからなんでも彼らがあなた達に言うことを行い、また守れ。しかし、そのす
ることを真似てはならない。あの人たちは言うだけで行わないのだから。"
"402304","
すなわち重い荷をたばねて人の肩にのせながら、自分では(担ってやるどころ
か、)指一本でこれを動かしてやろうともしない。"
"402305","
そのすること為すことがことごとく、人に見せびらかすためである。たとえば、
(人の目につくように)経箱の幅を広くしたり、上着の総を大きくしたりする。"
"402306","
また宴会の上座や礼拝堂の上席、"
"402307","
市場で挨拶されることや人から先生と呼ばれることを喜ぶ。"
"402308","
しかしあなた達は『先生』と呼ばれてはならない。あなた達の先生はただ一人
(救世主だけで)、あとは皆兄弟であるから。"
"402309","
また地上の者を『父』と呼んではならない。あなた達の父はただ一人、天の父
上(だけ)であるから。"
"402310","
『師』と呼ばれてもいけない。あなた達の師はただ一人、救世主である。"
"402311","
あなた達のうちで一番えらい者が召使になれ。"
"402312","
だれでも自分を高くする者は低くされ、自分を低くする者は高くされるであろ
う。"
"402313","
ああ禍だ、君たち聖書学者とパリサイ人、この偽善者!君たちは人々を天の国
から締め出して、自分が入らないばかりか、入ろうとする者をも入らせないからだ。"
"402314","
〔無し〕"
"402315","
ああ禍だ、君たち聖書学者とパリサイ人、この偽善者!君たちはたった一人の
改宗者を作るために海と陸とを飛びまわり、そして(改宗者が)できると、自分たちより
倍も悪い地獄の子にするからだ。"
"402316","
ああ禍だ、君たち目の見えない案内人!君たちは言う、『お宮にかけて誓う者は
なんでもないが、お宮の黄金(の器や飾り)にかけて誓う者は、(その誓いを果す)義務
がある』と。"
"402317","
愚かな人たちよ、目の見えない人たちよ、黄金と黄金を清くするお宮と、いっ
たいどちらが尊いのか。"
"402318","
また(君たちは言う)、『祭壇にかけて誓う者はなんでもないが、その上の供え
物にかけて誓う者は、(その誓いを果す)義務がある』と。"
"402319","
目の見えない人たちよ、供え物と供え物を清くする祭壇と、いったいどちらが
尊いのか。(お宮は黄金に、祭壇は供え物にまさってはいないのか。)"
"402320","
だから、祭壇にかけて誓う者は、祭壇と、その上の物一切にかけて誓うのであ
る。"
"402321","
またお宮にかけて誓う者は、お宮と、そこにお住みになっている方とにかけて
誓い、"
"402322","
天にかけて誓う者は、神の御座と、その上にお坐りになっている方とにかけて
誓うのである。"
"402323","
ああ禍だ、君たち聖書学者とパリサイ人、この偽善者!君たちは薄荷や蒔蘿や
クミンの(収穫の)一割税は(神妙に)納めるが、律法の中でもっと大切な正義と憐れみ
と忠実とをすてて顧みないからだ。しかしこれこそ行うべきである。だがあれもすてては
ならない。"
"402324","
目の見えない案内人よ、君たちは(律法を守るために、酒の中に落ちた)一匹
の蚋をこし出しながら、駱駝を飲みこんでいる。"
"402325","
ああ禍だ、君たち聖書学者とパリサイ人、この偽善者!君たちは杯や皿の外側
は清潔にするが、内側は掠め取った物と不節制とでいっぱいだからだ。"
"402326","
目の見えないパリサイ人よ、まず杯の内(の物)を清潔にせよ。そうすれば外
も(おのずと)清潔になるであろう。"
"402327","
ああ禍だ、君たち聖書学者とパリサイ人、この偽善者!君たちは白く塗った墓
に似ているからだ。外側はりっぱに見えるが、内側は死人の骨とあらゆる汚れとでいっぱ
いである。"
"402328","
そのように君たちも、外側はいかにも信心深そうに人に見えるが、内側は偽善
と不法とで一ぱいである。"
"402329","
ああ禍だ、君たち聖書学者とパリサイ人、この偽善者!君たちは(先祖が殺し
た)預言者の墓を建てたり、義人の記念碑を飾ったりして"
"402330","
こう言うからだ。──『わたし達は先祖の時代にいても、預言者の血を流す仲間
にはならなかっただろう』と。"
"402331","
だから君たちは、預言者殺しの子孫であることを自分で証明している。"
"402332","
では君たちも(ひと奮発して預言者の中の預言者を殺し、まだ一ぱいになって
いない)先祖たちの(罪の)枡を一ぱいにしたらどうだ。"
"402333","
蛇!蝮の末!どうして君たちは地獄の刑罰を免れることができようか。"
"402334","
だから、わたしが預言者や知者や聖書学者を派遣すると、君たちはそのある者
を殺し、また十字架につけ、ある者を礼拝堂で鞭打ち、また町から町へと(追いまわして)
迫害するであろう。"
"402335","
これは、(こうして君たちが迫害する預言者の血だけでなく、最初の殺人であっ
た)義人アベルの血から、聖所と祭壇との間で君たち(の先祖)が殺したバラキヤの子ザ
カリヤの血に至るまで、(今までに)地上で流されたすべての正義の血(に対する罰)が、
君たちに負わされるためである。"
"402336","
アーメン、わたしは言う、これら(に対する罰)は、ことごとくこの時代(の
君たち)に臨むであろう。"
"402337","
ああエルサレム、エルサレム、預言者を殺し、(神から)遣わされた者を石で打
ち殺して(ばかり)いる者よ、雌鳥がその雛を翼の下に集めるように、何度わたしはお前
の子供たちを(わたしの所に)集めようとしたことか。だがお前たち(エルサレムの者)
はそれを好まなかった。"
"402338","
そら、“お前たちの町は(宮もろとも神に)見捨てられ(て荒れ果て)るのだ。”
"
"402339","
お前たちに言っておく、お前たちが(わたしを迎えて)、“主の御名にて来られ
る方に祝福あれ。”と言う時まで、わたしを見ることは今後決してないであろう。」"
"402401","
イエスが宮を出て(オリブ山の方へ)歩いておられると、弟子たちが近寄って
きて、イエスに宮の(堂々たる)建築を指差した。(この宮が荒れ果てるなどとは考えら
れなかったのである。)"
"402402","
彼らに答えられた、「あれをすべてよく見ておけ。アーメン、わたしは言う、こ
こでそのまま重なっている石が一つもなくなるほど、くずれてしまうであろう。」"
"402403","
オリブ山に坐っておられると、弟子たちだけでそばに来て言った、「(宮がくず
れると言われますが、)そのことはいつ起るか、また、あなたの来臨と世の終りとには、
どんな前兆があるか、話してください。」"
"402404","
そこでイエスが答えてこう話された。──「人に迷わされないように気をつけ
よ。"
"402405","
いまに多くの人があらわれて、『救世主はわたしだ』と言ってわたしの名を騙り、
多くの人を迷わすにちがいないから。"
"402406","
戦争(を目のあたりに見たり、)また戦争の噂を聞くであろうが、あわてないよ
うに注意せよ。“それはおこらねばならないことである”が、しかしまだ最後ではない。"
"402407","
(世の終りが来る前に)“民族は民族に、国は国に向かって(敵となって)立ち
上がり、”またここかしこに飢饉や地震があるのだから。"
"402408","
しかしこれは皆(まだ、新しい世界が生まれるための)陣痛の始めである。"
"402409","
その時あなた達は苦しめられ、殺される。またわたしの弟子であるために、す
べての国の人から憎まれる。"
"402410","
するとその時、“多くの人が信仰から離れて、”互に裏切り、互に憎むであろう。
"
"402411","
また多くの偽預言者があらわれて、多くの人を迷わすにちがいない。"
"402412","
また(兄弟たちの間に)不法がふえるので、多くの人の愛が冷える。"
"402413","
しかし最後まで耐え忍ぶ者は救われる。"
"402414","
すなわち、あらゆる国々の人に(わたしとわたしの業を)証しするために、(ま
ず)この御国の福音が全世界に説かれ、それから最後(の裁きの日)が来るのである。"
"402415","
それで、預言者ダニエルをもって言われた“(聖なる所を)荒らす忌わしいもの
が聖なる所に”立つのを見たら[読者は(ここに隠された意味を)よく考えるがよい]、"
"402416","
その時ユダヤ(の平地)におる者は(急いで)山に逃げよ。"
"402417","
屋根の上におる者は、下におりて家にある物を取りだそうとするな。"
"402418","
畑におる者は上着を取りに“(家に)もどる”な。"
"402419","
それらの日には、身重の女と乳飲み子をもつ女とは、ああかわいそうだ!"
"402420","
逃げるのが冬や安息日にならないように祈れ。"
"402421","
その時、“世の始めから今日までになかった、”また(これからも)決してない
“ような、”大きな“苦難が”臨むのだから。"
"402422","
もしそれらの(苦難の)日が短くされなかったら、だれ一人助かる者はあるま
い。しかし選ばれた人々のために、それらの日が短くされるであろう。"
"402423","
その時『そら、ここに救世主が』とか、『ここに』とか言う者があっても、信ず
るな。"
"402424","
偽救世主たち、“偽預言者たちが”あらわれて、大がかりな“奇蹟や不思議なこ
とをして、”あわよくば、選ばれた人々までも迷わそうとするのだから。"
"402425","
この通り、あなた達には前もって言っておく。"
"402426","
だから、たとえ『そら、(救世主は)荒野にいる』と言う者があっても、出て行
くな。『そら、奥の部屋に』と言っても、信ずるな。"
"402427","
人の子(わたし)の来臨は、ちょうど稲妻が東から西に輝きわたるよう(に、
はっきりわかるの)であるから。"
"402428","
死骸のある所には、どこにでも鷲が集まる。"
"402429","
それらの苦難の日の後に、たちまち“日は暗く、月は光を放たず、”“星は”天
から“落ち、もろもろの天体が”震われるであろう。"
"402430","
するとその時、人の子(わたし)の徴が天に現われる。するとその時、“地上の
民族はことごとく(これを見て)悲しむであろう。”そして“人の子(わたし)が”大い
なる権力と栄光とをもって、“天の雲に乗って来るのを”見るであろう。"
"402431","
すると(その時、)人の子は“大いなるラッパの響きと共に”自分の使いたちを
やって、“天のこの果てからかの果てまで”“四方から、”選ばれた人々を“集めさせるで
あろう。”"
"402432","
無花果の木で(この天の国の)譬を学ぶがよい。──枝がすでに柔らかになっ
て葉が出ると、夏が近いと知るのである。"
"402433","
そのようにあなた達も、これら一切のことを見たら、人の子(わたし)が門
口近く来ていることを知れ。"
"402434","
アーメン、わたしは言う、これらのことが一つのこらずおこってしまうまでは、
この時代は決して消え失せない。"
"402435","
天地は消え失せる、しかし(いま言った)わたしの言葉は決して消え失せない。
"
"402436","
ただし(人の子の来る)その日と時間とは、ただ父上のほかだれも知らない。
天の使たちも知らない。"
"402437","
人の子の来臨は、ちょうどノアの(洪水の)時のようであるから。"
"402438","
すなわち洪水の前のあのころ、“ノアが箱船に入った”日まで、人々は飲んだり
食ったり、嫁にやったり取ったりしていて、"
"402439","
洪水が来て一人のこらずさらってゆくまで、それに気づかなかった。人の子の
来臨もこのようである。"
"402440","
その時、二人の男が畑にいると、一人は(天に)連れてゆかれ、一人は(地上
に)のこされる。"
"402441","
二人の女が臼をひいていると、一人は連れてゆかれ、一人はのこされる。"
"402442","
だから(たえず)目を覚ましておれ。あなた達は主がいつの日来られるか、知
らないのだから。"
"402443","
あなた達はこのことを知っているはずだ。──夜の何時に泥坊が来るとわかっ
ておれば、家の主人は目を覚ましていて、みすみす家に忍び込ませはしないであろう。"
"402444","
だから、あなた達も用意していなさい。人の子(わたし)は思いがけない時に
来るのだから。"
"402445","
(旅行に出かける)主人が一人の僕を(えらんで)奉公人たちの上に立て、時
間時間に食事を与えさせることにした場合に、いったいどんな僕が忠実で賢いのであろう
か。"
"402446","
それは主人がかえって来たとき、言いつけられたとおりにしているところを見
られる僕で、その僕こそ幸いである。
"402447","
アーメン、わたしは言う、主人は彼に全財産を管理させるにちがいない。"
"402448","
しかしそれが悪い僕で、主人はおそい、と心の中で考えて、"
"402449","
仲間をなぐり始め、酔っぱらいどもと一しょに飲んだり食ったりしていると、"
"402450","
予期せぬ日、思いもよらぬ時間に、その僕の主人がかえってきて、"
"402451","
僕を八つ裂きにし、偽善者と同じ目にあわせるにちがいない。そのとき彼はわ
めき、歯ぎしりするであろう。"
"402501","
(人の子が来る)その時、天の国は、十人の乙女がそれぞれランプを手に持っ
て花婿を迎えに出かけるのにたとえられる。"
"402502","
そのうちの五人は愚かで、五人は賢かった。"
"402503","
愚かな女たちはランプを持っていったが、(予備の)油を持ってゆかず、"
"402504","
賢い女たちは油を入れ物に入れて、ランプと一しょに持っていった。"
"402505","
ところが花婿がおそくなったので、皆眠気がさして眠っていた。"
"402506","
すると夜中に、『そら、花婿だ。迎えに出よ』と呼ぶ声がした。"
"402507","
そこで乙女たちは皆目をさました。それぞれランプを用意した。"
"402508","
愚かな女が賢い女に言った、『油を分けてくれませんか。わたし達のランプは(油
がなくなって)消えそうです。』"
"402509","
賢い女は答えた、『自分たちとあなた達の分には、とても足りそうにない。それ
よりも店に行って、自分でお買いなさい。』"
"402510","
しかし彼らが買いに行っているあいだに花婿が着いたので、用意のできていた
(賢い)女たちは花婿と一しょに宴会場に入り、戸はしめられた。"
"402511","
あとでほかの(愚かな)乙女たちも来て、『御主人さま、御主人さま、あけてく
ださい』と言った。"
"402512","
しかし主人は、『アーメン、わたしは言う。わたしはあなた達を知らない』と答
えた(という話)。"
"402513","
だから(たえず)目を覚ましておれ。あなた達は(人の子が来る)その日も時
間も知らないのだから。"
"402514","
(ほんとうに目を覚ましておれ。人の子が来る時、)天の国は、旅行に出かける
人が僕たちを呼んで財産を預けるようなものであるから。"
"402515","
それぞれの力に応じて、一人には五タラント[千五百万円]、一人には二タラン
ト[六百万円]、一人には一タラント[三百万円]を渡して旅行に出かけた。"
"402516","
五タラントあずかった者はさっそく行ってそれを働かせ、ほかに五タラントをも
うけた。"
"402517","
同じように、二タラントの者もほかに二タラントをもうけた。"
"402518","
しかし一タラントあずかった者は、行って地を掘り、主人の金を隠しておいた。
"
"402519","
かなり日がたってから主人がかえって来て、僕たちと貸し借りを清算した。"
"402520","
(まず)五タラントあずかった者が進み出て、ほかの五タラントを差し出して言っ
た、『御主人、五タラント預りましたが、御覧ください、ほかに五タラントをもうけまし
た。』"
"402521","
主人が言った、『感心々々、忠実な善い僕よ、少しのものに忠実であったから、
多くのものを管理させよう。主人と一しょに喜んでくれ。』"
"402522","
二タラントの者も進み出て言った、『御主人、二タラント預りましたが、御覧く
ださい、ほかに二タラントもうけました。』"
"402523","
主人が言った、『感心々々、忠実な善い僕よ、少しのものに忠実であったから、
多くのものを管理させよう。主人と一しょに喜んでくれ。』"
"402524","
(最後に)一タラントあずかっていた者も進み出て言った、『御主人、あなたは(種
を)まかない所で刈り取り、(金を)まき散らさない所で集める、きつい方と知っていた
ので、"
"402525","
(商売をするのが)恐ろしく、行って、あなたのタラントを地の中に隠してお
きました。そら、お返しします。』"
"402526","
主人が答えた、『怠け者の、悪い僕よ、わたしがまかない所で刈り取り、まき散
らさない所で集めることを知っていたのか。"
"402527","
それなら、わたしの金を銀行に入れておくべきであった。そうすればかえって
来たとき、(元金に)利子をつけてもどしてもらえたのに。"
"402528","
では、その一タラントをその男から取り上げて、十タラントを持っている者に渡
しなさい。"
"402529","
だれでも持っている人は(さらに)与えられてあり余るが、持たぬ人は、持っ
ているものまでも取り上げられるのである。"
"402530","
さあ、この役に立たない僕を外の真暗闇に放り出せ。そこでわめき、歯ぎしり
するであろう。』"
"402531","
(こんど)人の子(わたし)が栄光に包まれ、“すべての天使を引き連れて来る”
時には、栄光の(裁きの)座につくのである。"
"402532","
ありとあらゆる国の人がその前に集められ、人の子は羊飼が羊と山羊とを分け
るように彼らを互にえり分け、"
"402533","
羊(である正しい人)を右に、山羊(である悪い人)を左に立たせるであろう。
"
"402534","
それから王(なる人の子)は右側の者に言う、『さあ、わたしの父上に祝福され
た人たち、世の始めからあなた達のために用意された御国を相続しなさい。"
"402535","
あなた達はわたしが空腹のときに食べさせ、渇いたときに飲ませ、宿がなかっ
たときに宿をかし、"
"402536","
裸のときに着せ、病気のときに見舞い、牢に入っていたときに訪問してくれた
のだから。』"
"402537","
その時、正しい人たちは答える。『主よ、いつわたし達はあなたの空腹を見て食
事を差し上げ、渇かれているのを見てお飲ませしましたか。"
"402538","
また、いつお宿がないのを見てお宿をし、裸でおられるのを見てお着せしまし
たか。"
"402539","
また、いつ御病気であり、牢に入っておられるのを見て、おたずねしましたか。』
"
"402540","
すると王は答える、『アーメン、わたしは言う、わたしのいと小さいこの兄弟た
ちの一人にしたのは、わたしにしてくれたのと同じである。』"
"402541","
それから王は左側の者に言う、『わたしを離れよ、この罰当りども、悪魔とその
使いのために用意された永遠の火に入れ。"
"402542","
あなた達はわたしが空腹のときに食べさせず、渇いたときに飲ませず、"
"402543","
宿がなかったときに宿をかさず、裸のときに着せず、病気のとき、牢に入って
いたときに見舞ってくれなかったのだから。』"
"402544","
その時、彼らも答える、『主よ、いつわたし達は、あなたが空腹であったり、渇
いたり、お宿がなかったり、裸でおられ、御病気であり、牢に入っておられたりするのを
見て、お世話をしてあげませんでしたか。』"
"402545","
その時、王は答える、『アーメン、わたしは言う、このいと小さい者たちの一人
にしなかったのは、わたしにしてくれなかったのと同じである。』"
"402546","
こうして、“この(悪い)人たちは永遠の”刑罰に、正しい人たちは“永遠の命
に”入るであろう。」"
"402601","
イエスはこれらの話をことごとく終えた時、弟子たちに言われた、"
"402602","
「知っているとおり、あさっては過越の祭である。(その日)人の子(わたし)
は十字架につけられるために(敵の手に)引き渡される。」"
"402603","
折りしも大祭司連と国の長老たちは、カヤパという大祭司の官邸に集まり、"
"402604","
計略でイエスを捕えて殺そうと決議した。"
"402605","
しかし「(早く片付けよう。)祭の時(に手を下して)はいけない。人民どもの
間に騒動がおこると困る」と言っていた。"
"402606","
イエスがベタニヤで癩病人シモンの家におられるとき、"
"402607","
一人の女が非常に価の高い香油のはいった石膏の壷を持って近寄り、食卓につ
いておられるイエスの頭に(香油をすっかり)注ぎかけた。"
"402608","
弟子たちはこれを見て、憤慨して言った、「なぜこんなもったいないことをする
のだろう。"
"402609","
これは高く売れて、貧乏な人に施しが出来たのに。」"
"402610","
それと知ってイエスは言われた、「なぜこの婦人をいじめるのか。わたしに良い
ことをしてくれたではないか。"
"402611","
貧乏な人はいつもあなた達と一しょにいるが、わたしはいつも(一しょに)い
るわけではない。"
"402612","
この婦人がわたしの体に香油をかけてくれたのは、わたしを葬るためである。"
"402613","
アーメン、わたしは言う、世界中どこでも(今後)この福音の説かれる所では、
この婦人のしたことも、その記念のために一しょに語りつたえられるであろう。」"
"402614","
そのあと、イスカリオテのユダという十二人の(弟子の)一人が大祭司連の所
に行って、"
"402615","
「いくらくれますか、あの男をあなた達に売ってもいいが」と言った。“彼らは
(シケル)銀貨三十枚[六万円]を払い渡した。"
"402616","
この時からユダは、イエスを引き渡すよい機会をねらっていた。"
"402617","
種なしパンの祭の初めの日(の朝)、弟子たちがイエスの所に来て言った、「ど
こで過越のお食事の支度をしましょうか。」"
"402618","
イエスは言われた、「都のだれそれの所まで行って、『わたしの時は近づいた。
あなたの所で弟子たちと一しょに過越の食事をまもる、と先生が言われる』と言いなさ
い。」"
"402619","
弟子たちはイエスに命じられたとおりにして、過越の食事の支度をした。"
"402620","
夕方になると、イエスは十二人の弟子たちをつれて席につかれた。"
"402621","
彼らが食事をしているとき、言われた、「アーメン、わたしは言う、あなた達の
うちの一人が、わたしを(敵に)売ろうとしている!」"
"402622","
(これを聞くと)弟子たちはすっかり悲しくなって、「主よ、わたしではないで
しょう!」(「わたしではないでしょう!」)と、ひとりびとりイエスに言い始めた。"
"402623","
イエスは答えられた、「わたしと一しょに同じ鉢から食べている者、それがわた
しを売る。"
"402624","
人の子(わたし)は聖書に書いてあるとおりに死んでゆく。だが人の子を売る
その人は、ああかわいそうだ!生まれなかった方がよっぽど仕合わせであった。」"
"402625","
イエスを売るユダが口を出した、「先生、わたしではないでしょう。」彼に言わ
れる、「いや、そうかも知れない。」"
"402626","
(ユダが立ち去ったあと、)彼らが食事をしているとき、イエスは(いつものよ
うに)パンを(手に)取り、(神を)讃美して裂き、弟子たちに渡して言われた、「取って
食べなさい、これはわたしの体である。」"
"402627","
また杯を取り、(神に)感謝したのち、彼らに渡して言われた、「皆この杯から
飲みなさい。"
"402628","
これは多くの人の罪を赦されるために流す、わたしの“約束の血”であるから。
"
"402629","
しかしわたしは言う、わたしの父上の国で、あなた達と一しょに新しいのを飲
むその日まで、わたしは今後決して、この、葡萄の木から出来たものを飲まない。」"
"402630","
(食事がすむと、)みなで讃美歌をうたったのち、オリブ山へ出かけた。(もう
真夜中すぎであった。)"
"402631","
その時イエスは弟子たちに言われる、「今夜あなた達は一人のこらずわたしにつ
まずくであろう。(聖書に)“わたしは羊飼いを打つ、羊の群はちりぢりになるであろう”
と書いてあるからである。(羊飼はわたし、羊はあなた達である。)"
"402632","
しかしわたしは復活した後、あなた達より先にガリラヤに行く。(そこでまた会
おう。)」"
"402633","
するとペテロは答えた、「仰せのとおり皆があなたにつまずいても、このわたし
は断じてつまずきません。」"
"402634","
イエスはペテロに言われた、「アーメン、わたしは言う、今夜、鶏が鳴く前に、
三度、あなたはわたしを知らないと言う。」"
"402635","
ペテロが言う、「たとえご一しょに死なねばならなくても、あなたを知らないな
どとは、決して申しません。」(ほかの)弟子たちも皆、口をそろえてそう言った。"
"402636","
ほどなくイエスは弟子たちと一しょに(オリブ山の麓の)ゲッセマネという地
所に着くと、弟子たちに言われる、「わたしがあちらへ行って祈っている間、ここに坐っ
て(待って)おれ。」"
"402637","
そしてペテロとゼベダイの子二人(だけ)を連れて(奥の方へ)ゆかれると、(急
に)悲しみおののき始められた。"
"402638","
それから彼らに言われる、「“心がめいって”“死にたいくらいだ。”ここをはな
れずに、わたしと一しょに目を覚ましていてくれ。」"
"402639","
そしてなお少し(奥に)進んでいって、俯けに倒れ、祈って言われた、「お父様、
出来ることなら、どうかこの杯がわたしの前を通りすぎますように。しかし、わたしの願
いどおりでなく、お心のとおりになればよいのです。」"
"402640","
やがて弟子たちの所に来て、彼らが眠っているのを見ると、ペテロに言われる、
「あなた達、そんなに、たった一時間もわたしと一しょに目を覚ましておられないのか。"
"402641","
目を覚まして、誘惑に陥らないように祈っていなさい。心ははやっても、体が
弱いのだから。」"
"402642","
また二度目に向こうへ行って、祈られた、「お父様、どうしてもわたしが飲まね
ば通りすぎない杯ならば、どうかお心のままになさってください。」"
"402643","
また来て見られると、彼らはまたもや眠っていた。(悲しみのために疲れて、)
瞼が重かったのである。"
"402644","
イエスは彼らをのこして、もう一度向こうに行き、また同じ言葉で、三度目に
祈られた。"
"402645","
それから弟子たちの所に来て、(また眠っているのを見ると)言われる、「もっ
と眠りたいのか。休みたいのか。そら、人の子が罪人どもの手に渡される時が近づいた。"
"402646","
立て。行こう。見よ、わたしを売る者が近づいてきた!」"
"402647","
イエスの言葉がまだ終らぬうちに、見よ、十二人の一人のユダが来た。大祭司
連、国の長老から派遣された大勢の人の群が、剣や棍棒を持ってついて来た。"
"402648","
イエスを売る者は、「わたしが接吻するのがその人だ。それを捕えよ」と、(あ
らかじめ)合図をきめておいた。"
"402649","
そこでいきなりイエスに近寄って、「先生、御機嫌よう」と言って接吻した。"
"402650","
イエスはユダに言われた、「友よ、そのために来たのではあるまいが!」その時
人々が進み寄って、イエスに手をかけて捕えた。"
"402651","
すると、見よ、イエスと一しょにいた一人の人が手をのばして剣を抜き、大祭
司の下男に切りかかって片耳をそぎ落してしまった。"
"402652","
その時イエスが言われる、「剣を鞘におさめよ。剣による者は皆、剣によって滅
びる。"
"402653","
それとも、父上にお願いして十二軍団以上の天使を今すぐ送っていただくこと
が、わたしに出来ないと思うのか。"
"402654","
しかしそれでは、かならずこうなる、とある聖書の言葉は、どうして成就する
のか。」"
"402655","
その時イエスは群の人々に言われた、「強盗にでも向かうように、剣や棍棒を持
ってつかまえに来たのか。わたしは毎日宮で坐って教えていたのに、捕えずにおいて、(ど
うして今、こんな真夜中に来たのか。)"
"402656","
しかしこれはみな、(救世主は罪人のようにあつかわれるという)預言者たちの
聖書の言葉が成就するためにおこったのである。」その時弟子たちは皆イエスをすてて逃
げた。"
"402657","
人々はイエスを捕らえると、大祭司カヤパの所に引いていった。そこには(前
もって最高法院の役人、すなわち大祭司連、)聖書学者、長老たちが集まっていた。"
"402658","
ペテロは見えがくれにイエスについて大祭司の官邸まで行き、中(庭)へ入っ
て下役らと一しょに坐っていた、成り行きを見ようとしたのである。"
"402659","
大祭司連をはじめ全最高法院は、イエスを死刑にしようとしてしきりにイエス
に不利な偽証をさがした。"
"402660","
しかし偽証は多く出たが、(証拠は)見つからなかった。最後に二人の者が出て
"
"402661","
言った、「この人は『神のお宮をこわして、三日のうちに建てて見せる』と言っ
た。」"
"402662","
そこで大祭司は立ち上がってイエスに言った、「何も答えないのか。この人たち
は(あんなに)お前に不利益な証言をしているが、あれはどうだ。」"
"402663","
しかしイエスは黙っておられた。大祭司が言った、「生ける神に誓ってわれわれ
にこたえよ。お前が、神の子救世主か。」"
"402664","
イエスは(はじめて口を開いて)彼に言われる、「(そう言われるなら)御意見
にまかせる。だが、わたしは言う、あなた方は今後“人の子(わたし)が”“大能の(神
の)右に坐り、”“天の雲に乗って来るのを”見るであろう。」"
"402665","
そこで大祭司は自分の上着を引き裂いて言った、「冒涜だ!これ以上、なんで証
人の必要があろう。諸君は今ここに(おのれを神の子とする許しがたい)冒涜を聞かれた。
"
"402666","
(この者の処分について)お考えを承りたい。」「死罪を相当とする」と彼らが
答えた。"
"402667","
それから(法院の役人のある者は)イエスの顔に唾をかけ、拳でうち、ある者
は(目隠しをして)棒でたたきながら、"
"402668","
「おい救世主、だれがぶったか、当ててみろ」と言った。"
"402669","
ペテロは外で中庭に坐っていた。すると一人の女中が寄ってきて、「あなたもあ
のガリラヤ人イエスと一しょだった」と言った。"
"402670","
しかしペテロは皆の前で、「何をあなたが言っているのかわからない」と言って
打ち消した。"
"402671","
そして玄関に出てゆくと、ほかの女中がペテロを見て、そこにいる人たちに「こ
の人はあのナザレ人イエスと一しょだった」と言う。"
"402672","
ペテロは誓いまで立てて、「そんな男は知らない」と、また打ち消した。"
"402673","
しばらくすると、そこに立っていた人たちが寄ってきてペテロに言った、「確か
にあなたもあの仲間だ。あなたの国訛りでもそれがわかる。」"
"402674","
そこでペテロは、「そんな男は知らない。(これが嘘なら、呪われてもよい)」と、
幾たびも呪いをかけて誓った。するとすぐ鶏が鳴いた。"
"402675","
ペテロは、「鶏が鳴く前に、三度、わたしを知らないと言う」と言われたイエス
の言葉を思い出し、外に出ていって、さめざめと泣いた。"
"402701","
夜が明けると、大祭司連、国の長老たち(全最高法院)は満場一致でイエスを
死刑にする決議をした。"
"402702","
それから彼を縛り、引いていって総督ピラトに渡した。"
"402703","
その時イエスを売ったユダは、イエスの判決が決まったのを見て後悔し、(受け
取ったシケル)銀貨三十枚を大祭司連、長老たちに返して、"
"402704","
「罪もない(人の)血を売って、悪いことをした」と言った。彼らがこたえた、「わ
れわれの知ったことではない。お前が自分で始末しろ!」"
"402705","
ユダは銀貨を宮に投げ込んで去り、行って首をくくった。"
"402706","
大祭司連は銀貨を取りのけながら言った、「人殺しの代金だから、賽銭箱に入れ
るのはよろしくない。」"
"402707","
そこで決議の上、その金で「瀬戸物屋の畑」(と言われた土地)を買って無縁墓
地をつくった。"
"402708","
そのため、この畑は今日まで「血の畑」と呼ばれる。"
"402709","
その時、預言者エレミヤをもって言われた言葉が成就した。──“わたしは、
値ぶみされた人、すなわちイスラエルの子孫たちが値ぶみした人の代金、銀貨三十枚を取
って、"
"402710","
主が”わたしに“命じられたように、それを瀬戸物屋の畑の代金として渡した。”
"
"402711","
さて、イエスが総督の前に立たれると、総督はイエスに問うた、「お前が、ユダ
ヤ人の王か。(お前はその廉で訴えられているが。)」イエスは言われた、「(そう言われる
なら)御意見にまかせる。」"
"402712","
大祭司連、長老たちから(いろいろと)訴えられたが、何もお答えにならなか
った。"
"402713","
するとピラトが言った、「あんなにお前に不利益な証言をしているのが聞えない
のか。」"
"402714","
イエスはただの一言もお答えにならなかったので、総督は不思議でならなかっ
た。"
"402715","
さて総督は(過越の)祭の都度、民衆の望む囚人を一人だけ(特赦によって)
赦すことにしていた。"
"402716","
ところがその時、バラバ(・イエス)と言う評判の囚人がいたので、"
"402717","
ピラトは人々が集まってきたとき言った、「どちらを赦してもらいたいか、バラ
バ(・イエス)か、救世主と言われるイエスか。」"
"402718","
ピラトは人々が妬みからイエスを引き渡したことを知っていたのである。"
"402719","
ピラトが裁判席に着いているとき、その妻が彼の所に人をやって、「その正しい
人に関係しないでください。その人のおかげで、昨夜夢で散々な目にあいましたから」と
言わせた。"
"402720","
しかし大祭司連、長老たちは、バラバの命乞いをして、イエスを殺してもらえ
と群衆を説きつけた。"
"402721","
総督は彼らに言った、「二人のうち、どちらを赦してもらいたいのか。」「バラバ
を!」と彼らが言った。"
"402722","
ピラトが言う、「では、救世主と言われるイエスをどうしようか。」みんなが、「十
字架につけるのだ」と言う。"
"402723","
ピラトは言った、「いったいどんな悪事をはたらいたというのか。」しかし人々
はいよいよ激しく、「十字架につけるのだ」と叫びつづけた。"
"402724","
ピラトは(自分のすることが)なんの甲斐もないばかりか、かえって騒動が起
りそうなのを見て、水を取り寄せ、群衆の前で手を洗って言った、「わたしはこの人の血
(を流すこと)に責任をもたない。お前たちが自分で始末しろ。」"
"402725","
民衆全体が答えた、「その男の血のことなら、われわれが孫子の代まで引き受け
た。」"
"402726","
そこでピラトはバラバを赦してやり、イエスの方は鞭打ったのち、十字架につ
けるため(兵卒)に引き渡した。"
"402727","
それから総督の兵卒らはイエスを総督官舎(プライトリオン)に連れてゆき、(王
の茶番狂言を見せるために)全部隊を彼のまわりに集めた。"
"402728","
そしてイエスの着物をはいで(自分たちの)緋の外套をきせ、"
"402729","
茨で冠を編んで頭にかぶらせ、右手に葦(の棒)をもたせて(王に仕立てたの
ち、)その前にひざまずき、「ユダヤ人の王、万歳!」と言ってなぶった。"
"402730","
それから唾をかけ、葦(の棒)を取りあげて頭をたたいた。"
"402731","
こうしてなぶった後、外套を脱がせてもとの着物を着せ、十字架につけるため
に引いていった。"
"402732","
(都を)出ると、シモンと言うクレネ人に出くわしたので、兵卒らはこの人に
有無を言わせずイエスの十字架を負わせた。(イエスにはもう負う力がなかったのであ
る。)"
"402733","
ゴルゴダという所──すなわち「髑髏の所」──に着くと、"
"402734","
人々は(苦痛をやわらげるために)“苦艾”を混ぜた葡萄酒を“飲ませようとし
た”が、なめただけで、飲もうとされなかった。"
"402735","
兵卒らはイエスを十字架につけると、“籤を引いて”その“着物を自分たちで分
けた”のち、"
"402736","
そこに坐って見張りをしていた。"
"402737","
イエスの頭の上にはこれはユダヤ人の王イエスであると書いた罪状が掲げられ
た。"
"402738","
その時イエスと共に二人の強盗が、一人は右に、一人は左に十字架につけられ
た。"
"402739","
通りかかった人々が“頭をふりながら、”イエスを冒涜して"
"402740","
こう言った、「お宮をこわして三日で建てるという人、自分を救ってみろ。神の
子なら、十字架から下りてこい。」"
"402741","
同じように大祭司連も、聖書学者、長老と一しょに、こう言ってなぶった、"
"402742","
「あの男、人は救ったが、自分は救えない。イスラエルの王様じゃないか。今
すぐ十字架から下りてくるがよい。そうしたら信じてやるのに!"
"402743","
“彼は神にたよっている。神が可愛がっておられるなら、”今すぐ“救ってくだ
さろう”だ。『わたしは神の子だ』と言ったから。」"
"402744","
一しょに十字架につけられた強盗たちも、同じようにイエスを罵った。"
"402745","
昼の十二時から地の上が全部暗闇になってきて、三時までつづいた。"
"402746","
三時ごろ、イエスは大声を出して“エリ エリ レマ サバクタニ!”と叫ば
れた。これは“わたしの神様、わたしの神様、なぜ、わたしをお見捨てになりましたか!”
である。"
"402747","
そこに立っていた人たちのうちにはこれを聞いて、「あの人はエリヤを呼んでい
るのだ」と言った者が何人かあった。(エリをエリヤと聞きちがえたらしい。)"
"402748","
そのうちの一人がすぐ駆けていって、海綿をとり、“酸っぱい葡萄酒を”ふくま
せ、葦(の棒の先)につけて、イエスに“飲ませようとした。”(しかしお受けにならなか
った。)"
"402749","
「(もう少し生かしておいて、)エリヤが救いに来るかどうか、見ていよう」と
ほかの人々が言った。"
"402750","
しかしイエスはふたたび(何か)大声で叫ばれると共に、息が切れた。"
"402751","
その途端に、宮の(聖所の)幕が上から下まで真っ二つに裂けた。そして地が
震い、岩が裂け、"
"402752","
墓が開いて、眠っていた多くの聖者たちの体が生きかえり、"
"402753","
墓から出てきて、イエスの復活の後、聖なる都(エルサレム)に入って多くの
人に現われた。"
"402754","
百卒長および一しょにイエスの見張りをしていた兵卒らは、地震とこれらの出
来事とを見てすっかり恐ろしくなり、「この人は、確かに神の子であった」と言った。"
"402755","
またそこには、遠くの方から眺めていた女たちが沢山いた。これはガリラヤか
らイエスについて来て、仕えていた人たちである。"
"402756","
そのうちにはマグダラのマリヤ、ヤコブとヨセフとの母マリヤ、およびゼベダ
イの子らの母がいた。"
"402757","
夕方になると、アリマタヤ生まれの金持でヨセフという人が来た。彼もイエス
の弟子であった。"
"402758","
この人がピラトの所に行って、イエスの体(の下げ渡し)を乞うた。そこでピ
ラトはそれを渡すように命じた。"
"402759","
ヨセフは体を受け取り、清らかな亜麻布で包み、"
"402760","
岩に掘らせた自分の新しい墓にそれを納め、墓の入口に大きな石をころがして
おいて、立ち去った。"
"402761","
マグダラのマリヤともう一人のマリヤとはそこにのこって、墓の方を向いて坐
っていた。"
"402762","
あくる日、すなわち支度日[金曜日]の次の日[安息日]に、大祭司連とパリ
サイ人とはピラトの所に集まって"
"402763","
言った、「閣下、あの嘘つきがまだ生きている時、『自分は(死んで)三日の後
に復活する』と言ったことを思い出しました。"
"402764","
だから三日目まで墓を警備するように命令してください。そうでないと、弟子
たちが来て盗んでいって、人々に『イエスは死人の中から復活した』と言いふらさないと
はかぎりません。そうなると、このあとの方の嘘は、(自分は救世主だと言った)前の(嘘)
よりも始末が悪いでしょう。」"
"402765","
ピラトが言った、「番兵をかしてやる。行って、せいぜい(墓を)警備するがよ
かろう。」"
"402766","
そこで彼らは行って(入口の)石に封印し、番兵を置いて墓を警備した。"
"402801","
安息日の(すんだ)後、週の初めの日[日曜日]の明け方に、マグダラのマリ
ヤともう一人のマリヤとが墓を見に行った。"
"402802","
すると突然大地震がおこった。それは主の使が天からおりて来て(墓に)近寄
り、(入口の)石をわきにころがし、その上に坐ったのである。"
"402803","
その顔は稲妻のようにかがやき、着物は雪のように白かった。"
"402804","
見張りをしていた者たちは恐ろしさのあまり震え上がって、死人のようになっ
た。"
"402805","
天使は女たちに言った、「恐れることはない。あなた達は十字架につけられたイ
エスをさがしているようだが、"
"402806","
ここにはおられない。かねがね言われたとおり、もう復活されたのだから。来
て、お体が置いてあった場所を見なさい。"
"402807","
それから急いで行って弟子たちに、『イエスは死人の中から復活された。あなた
達より先にガリラヤに行かれる。そこでお目にかかれる』と言いなさい。これを言いにわ
たしは来たのだ。」"
"402808","
女たちは恐ろしいが、また嬉しくてたまらず、(中には入らずに)急いで墓を立
ち去り、弟子たちに知らせるために走っていった。"
"402809","
するとイエスがぱったり彼らに出合って、「お早う」と言われた。女たちは進み
寄り、その足を抱いておがんだ。"
"402810","
するとイエスは女たちに言われる、「恐れることはない。行ってわたしの兄弟た
ち[弟子たち]に、ガリラヤへ行くように言いなさい。そこでわたしに会えるのだから。」
"
"402811","
女たちが(まだ)歩いているあいだに、数人の番兵は都に行って、出来事の一
部始終を大祭司連に報告した。"
"402812","
大祭司連は長老たちと集まって決議し、(警備をしていた)兵卒らにたっぷり金
をやって、"
"402813","
言った、「『夜、弟子たちが来て、わたし達が寝入っているあいだにイエスを盗
んでいった』と言え。"
"402814","
もしこのことが総督の耳に入ったら、われわれが執成して、お前たちには心配
をかけないようにするから」と。"
"402815","
兵卒らは金を受け取って、教えられたとおりにした。こうしてこの話は、今日
までユダヤ人の間にひろまっている。"
"402816","
さて、十一人の弟子はガリラヤに行き、イエスに命じられた山にのぼり、
"402817","
お目にかかっておがんだ。しかし疑う者もあった。"
"402818","
イエスは近寄ってきて十一人に言われた、「(いまや)天上地上一切の権能が、
(父上から)わたしに授けられた。"
"402819","
それゆえに、行ってすべての国の人を(わたしの)弟子にせよ、父と子と聖霊
の名で洗礼を授け、"
"402820","
わたしがあなた達に命じたことを皆守るように教えながら。安心せよ、世の終
りまでいつもわたしがあなた達と一しょにいるのだから。」"

マルコ福音書
"410101","
マルコ 1:1","イエス・キリストの福音はこうして始まった。──"
"410102","
マルコ 1:2","預言書(マラキと)イザヤに、“(神は言われる、)「見よ、わたし
は使をやって、あなたの先駆けをさせ、”あなたの“道を準備させる」”"
"410103","
マルコ 1:3","“荒野に叫ぶ者の声はひびく、「主の道を用意し、”その“道筋を
まっすぐにせよ」”と書いてあるとおりに、"
"410104","
マルコ 1:4","洗礼者ヨハネが(主救世主の道を準備するため、ユダヤの)荒野
にあらわれて、罪を赦されるための悔改めの洗礼を説いた。"
"410105","
マルコ 1:5","ユダヤ全国の人々、ことにエルサレムの人が皆ヨハネの所にでて
来て、自分の罪を告白し、ヨルダン川で彼から洗礼を受けた。"
"410106","
マルコ 1:6","ヨハネは駱駝の毛(の外套)を着、腰のまわりに皮の腰衣をつけ、
蝗と野蜜とを食べていた。"
"410107","
マルコ 1:7","彼は説いて言った、「わたしよりも力のある方が、わたしのあとか
ら来られる。わたしは、かがんでその方の靴の紐をとく値打もない者である。"
"410108","
マルコ 1:8","わたしは水で洗礼を授けたが、その方は聖霊で洗礼をお授けにな
る。」"
"410109","
マルコ 1:9","そのころ、イエスはガリラヤのナザレから来て、ヨルダン川でヨ
ハネから洗礼をお受けになった。"
"410110","
マルコ 1:10","水から上がられると、たちまち天が裂けて、御霊が鳩のように自
分の上に下ってくるのを御覧になった。"
"410111","
マルコ 1:11","すると「あなたは(いま)わたしの“最愛の子、”“わたしの心に
かなった”」という声が天からきこえてきた。"
"410112","
マルコ 1:12","やがて御霊はイエスを荒野に追いやった。"
"410113","
マルコ 1:13","イエスは四十日のあいだ荒野にいて、悪魔の誘惑にあわれた。(そ
のあいだ)野獣の中におられたが、イエスには天使たちが仕えていた。"
"410114","
マルコ 1:14","(洗礼者)ヨハネが牢に入れられた後、イエスはガリラヤにかえ
り、神の福音を説いて"
"410115","
マルコ 1:15","言われた、「時は満ちた、神の国は近づいた。悔改めて福音を信
ぜよ」と。"
"410116","
マルコ 1:16","ガリラヤ湖のほとりを通られるとき、シモンとシモンの兄弟のア
ンデレとが、湖で網を打っているのを見られた。彼らは漁師であった。"
"410117","
マルコ 1:17","「さあ、ついて来なさい。人間の(漁をする)漁師にしてあげよ
う」とイエスが言われると、"
"410118","
マルコ 1:18","すぐ網をすてて従った。"
"410119","
マルコ 1:19","また少し進んでいって、ゼベダイの子ヤコブとその兄弟のヨハネ
とが、これも舟で網を繕っているのを見られた。"
"410120","
マルコ 1:20","すぐお呼びになると、父ゼベダイを雇人たちと共に舟にのこして、
イエスのあとについて行った。"
"410121","
マルコ 1:21","彼らは(湖畔の町)カペナウムに着いた。イエスはさっそく(次
の)安息日に礼拝堂に入って教えられた。"
"410122","
マルコ 1:22","人々はその教えに感心してしまった。聖書学者のようでなく、権
威を持つ者のように教えられたからである。"
"410123","
マルコ 1:23","そのとき、その礼拝堂に汚れた霊につかれた一人の人がいたが、
たちまち声をあげて叫んで"
"410124","
マルコ 1:24","言った、「ナザレのイエス様、“放っておいてください。”わたし
どもを滅ぼしに来られたにちがいない。あなたがだれだか、わたしにはわかっています。
神の聖者(救世主)です。」"
"410125","
マルコ 1:25","イエスは「黙れ、その人から出てゆけ」と言って叱りつけられた。
"
"410126","
マルコ 1:26","すると汚れた霊はその人をひきつけさせ、大声をあげて出ていっ
た。"
"410127","
マルコ 1:27","皆がびっくりして、評議して言った、「これはいったい何事だろ
う。権威のある新しい教えだ。この人が命令されると、汚れた霊までその言うことを聞く
のだ。」"
"410128","
マルコ 1:28","イエスの評判がたちまち(カペナウムの)周囲の、全ガリラヤ到
る所に広まった。"
"410129","
マルコ 1:29","イエスは礼拝堂を出ると、すぐヤコブとヨハネとをつれて、シモ
ンとアンデレとの家に行かれた。"
"410130","
マルコ 1:30","シモンの姑が熱病で寝ていた。人々がすぐ彼女のことをイエスに
言うと、"
"410131","
マルコ 1:31","進み寄り、手を取って起された。すると熱が取れ、彼女は彼らを
もてなした。"
"410132","
マルコ 1:32","夕方になって日が沈むと(安息日が終ったので)、人々は病人や
悪鬼につかれた者を皆イエスの所につれて来て、"
"410133","
マルコ 1:33","町中(の人)が門口に集まった。"
"410134","
マルコ 1:34","イエスはさまざまな病気にかかっている大勢の病人をなおし、多
くの悪鬼を追い出された。そして悪鬼どもがイエスを(救世主と)知っているので、口を
きくことをお許しにならなかった。"
"410135","
マルコ 1:35","朝早く、まだ真夜中にイエスは起きて、人のいない所に出て行き、
そこで祈っておられた。"
"410136","
マルコ 1:36","シモンとその仲間があとを追ってきて、"
"410137","
マルコ 1:37","見つけだして言う、「みんながあなたをさがしています。」"
"410138","
マルコ 1:38","彼らに言われる、「さあ、どこかほかの近くの町々にも行って、
そこで教えを説こうではないか。そのためにわたしは来たのだから。」"
"410139","
マルコ 1:39","それからガリラヤ中にあるその礼拝堂で教えを説き、悪鬼を追い
出しておられた。"
"410140","
マルコ 1:40","すると(ある日)一人の癩病人がイエスの所に来てひざまずき、
「清めてください。お心さえあれば、お清めになれるのだから」と言って願った。"
"410141","
マルコ 1:41","イエスは(そのあわれな姿を見て悪魔に対する)怒りに燃え、手
をのばしてその人にさわり、「よろしい、清まれ」と言われると、"
"410142","
マルコ 1:42","たちまち癩病が消えうせて、その人は清まった。"
"410143","
マルコ 1:43","イエスはいきり立ち、すぐその人を追い出して"
"410144","
マルコ 1:44","言われる、「だれにも何も言わないように気をつけよ。ただ全快
したことを世間に証明するため、(エルサレムの宮に)行って体を“祭司に見せ、”モーセ
が命じたものを清めのために捧げよ。」"
"410145","
マルコ 1:45","しかしその人は出てゆくと、(宮には行かず、)しきりにこの出来
事を言いふらし、ふれまわったので、イエスはもはや公然と町に入ることが出来ず、(町
の)外の人のいない所におられた。人々が四方から、イエスの所にあつまって来た。"
"410201","
マルコ 2:1","数日の後、カペナウムにかえられると、家におられることがすぐ
知れわたって、"
"410202","
マルコ 2:2","もはや門口にも場所がないほど、大勢の人が集まってきた。この
人たちに御言葉を語っておられると、"
"410203","
マルコ 2:3","人々が一人の中風の者を、四人にかつがせてつれて来る。"
"410204","
マルコ 2:4","群衆のためイエスのところにつれて行けないので、おいでになる
所の(上の)屋根をはがして穴をあけ、中風の者を担架に寝かせたまま(イエスの前に)
吊りおろす。"
"410205","
マルコ 2:5","イエスはその人たちの信仰を見て(驚き)、中風の者に言われる、
「子よ、いまあなたの罪は赦された。」"
"410206","
マルコ 2:6","数人の聖書学者がそこに坐っていたが、心の中で考えた、"
"410207","
マルコ 2:7","「この人はなぜあんなことを言うのだろう。冒涜だ。神お一人の
ほか、だれが罪を赦せよう。」"
"410208","
マルコ 2:8","イエスは彼らがひそかにこう考えているのを、すぐ霊で見抜いて、
「なんで、そんなことを心の中で考えているのか。"
"410209","
マルコ 2:9","この中風の者に、あなたの罪は赦された、と言うのと、起きて担
架をかついで歩け、と言うのと、どちらがたやすい(と思う)か。"
"410210","
マルコ 2:10","では、人の子(わたし)は地上で罪を赦す全権を持っていること
を知らせてやろう」と彼らに言いながら、中風の者に言われる、"
"410211","
マルコ 2:11","「あなたに命令する、起きて担架をかついで、家に帰りなさい。」
"
"410212","
マルコ 2:12","すると彼は起き上がり、すぐ担架をかついで、皆の見ている前を
出ていった。皆が呆気にとられ、「こんなことはかって見たことがない」と言って、神を
讃美した。"
"410213","
マルコ 2:13","また湖のほとりに出てゆかれた。群衆が皆あつまって来たので、
教えられた。"
"410214","
マルコ 2:14","それから通りがかりに、アルパヨの子レビが税務所に坐っている
のを見て、「わたしについて来なさい」と言われると、立って従った。"
"410215","
マルコ 2:15","イエスが(レビの)家で食卓についておられたとき、大勢の税金
取りや罪人も、イエスや弟子たちと同席していた。──(すでにこの時)多くの人がイエ
スに従っていたのである。──"
"410216","
マルコ 2:16","パリサイ派の聖書学者たちは、イエスが罪人や税金取りと一しょ
に食事をされるのを見て、弟子たちに言った、「なぜあの人は税金取りや罪人と一しょに
食事をするのか。」"
"410217","
マルコ 2:17","イエスは聞いてその人たちに言われる、「丈夫な者に医者はいら
ない、医者のいるのは病人である。わたしは正しい人を招きに来たのではない、罪人を招
きに来たのである。」"
"410218","
マルコ 2:18","(ある断食日に洗礼者)ヨハネの弟子とパリサイ人が断食をして
いると、人々が来てイエスに言う、「ヨハネの弟子とパリサイ人の弟子は断食をするのに、
なぜあなたの弟子は断食をしないのか。」"
"410219","
マルコ 2:19","イエスは言われた、「婚礼の客は花婿がまだ一しょにいるうちに、
断食(をして悲しむこと)が出来ようか。(もちろん)花婿と一しょにいる間に断食は出
来ない。"
"410220","
マルコ 2:20","しかしいまに花婿を奪いとられる時が来る。その時、彼らは(い
やでも)断食をするであろう。"
"410221","
マルコ 2:21","真新しい布切れで古い着物に継ぎをあてる者はない。そんなこと
をすれば、新しい当て切は古い着物をひきさき、裂け目はますますひどくなる。"
"410222","
マルコ 2:22","また新しい酒を古い皮袋に入れる者はない。そんなことをすれば、
酒は皮袋を破って、酒も皮袋もだめになる。」"
"410223","
マルコ 2:23","ある安息日に麦畑の中を通られたときのこと、弟子たちが(空腹
を覚えて)歩きながら穂を摘み始めた。"
"410224","
マルコ 2:24","パリサイ人がイエスに言った、「なぜあの人たちは、あんな、安
息日にしてはならぬことをするのか。」"
"410225","
マルコ 2:25","イエスが言われるには、「あなた達は、ダビデ(王)が自分も供
の者も食べるものがなくて空腹の時に何をしたか、(まだ聖書で)読んだことがないのか。
"
"410226","
マルコ 2:26","──彼が大祭司アビアタルの時、神の家に入って、祭司のほかだ
れも食べてはならない、“供えのパンを”食べ、供をしている者にもわけてやったことを。」
"
"410227","
マルコ 2:27","また彼らに言われた、「安息日は人のためで、人が安息日のため
にあるのではない。"
"410228","
マルコ 2:28","だから人の子(わたし)はまた安息日の主人である。」"
"410301","
マルコ 3:1","ふたたび(ある安息日に)礼拝堂に入られると、そこに片手のな
えている人がいた。"
"410302","
マルコ 3:2","(パリサイ派の)人々がイエスは安息日にこの人をなおされるか
どうかと、ひそかに様子をうかがっていた。訴え出る(口実を見つける)ためであった。"
"410303","
マルコ 3:3","イエスは(それと知って)、手のなえた人に「立って真中に出てこ
い」と言っておいて、"
"410304","
マルコ 3:4","彼らに言われる、「安息日には、善いことをするのと悪いことをす
るのと、命を救うのと殺すのと、どちらが正しいか。」彼らは黙っていた。"
"410305","
マルコ 3:5","するとイエスは怒気をふくんで人々を見まわし、彼らの心の頑な
なのをふかく悲しんで、その人に言われる、「手をのばせ。」のばすと手が直った。"
"410306","
マルコ 3:6","パリサイ人たちは出ていって、すぐヘロデ党の者と、イエスを殺
す相談をはじめた。"
"410307","
マルコ 3:7","イエスが弟子たちを連れて湖の方へ立ちのかれると、ガリラヤか
ら来た大勢の人の群がついて行った。またユダヤ、"
"410308","
マルコ 3:8","ことにエルサレムから、イドマヤや、ヨルダン川の向こう(のペ
レヤ)や、(遠く)ツロ、シドンあたりから(までも)、大勢の人の群が彼の所にあつまっ
て来た。しておられることをみな、聞いたからである。"
"410309","
マルコ 3:9","イエスは自分のために小舟を一艘用意しておくようにと、弟子た
ちに言いつけられた。群衆に押しつぶされないためであった。"
"410310","
マルコ 3:10","大勢の者をなおされたので、病気になやむ者がみな彼にさわろう
として、どっと押し寄せたのである。"
"410311","
マルコ 3:11","また汚れた霊どもはイエスを見ると、その前にひれ伏して、「あ
なたは神の子だ」と叫ぶのであった。"
"410312","
マルコ 3:12","イエスは自分のことを世間に知らせるなと、きびしく戒められた。
"
"410313","
マルコ 3:13","それから(近くの)山に上り、自分でこれぞと思う人たちを呼び
よせられると、あつまって来た。"
"410314","
マルコ 3:14","そこで十二人(の弟子)をお決めになった。そばに置くため、ま
たこれを派遣して、教えを説かせたり、"
"410315","
マルコ 3:15","全権をさずけて悪鬼を追い出させたりするためであった。"
"410316","
マルコ 3:16","すなわち十二人を決めて、シモンにペテロという名をつけ、"
"410317","
マルコ 3:17","ゼベダイの子ヤコブとヤコブの兄弟のヨハネと──この二人には
ボアネルゲ、すなわち「雷の子」という名をつけられた。──"
"410318","
マルコ 3:18","アンデレとピリポとバルトロマイとマタイとトマスとアルパヨの
子ヤコブとタダイと熱心党のシモンと"
"410319","
マルコ 3:19","イスカリオテのユダ。この人は(あとで)イエスを売った。"
"410320","
マルコ 3:20","家にかえられると、また群衆が集まってきて、みんなは食事すら
出来なかった。"
"410321","
マルコ 3:21","身内の者たちが(イエスの様子を)聞いて(ナザレからカペナウ
ムへ)取りおさえに出てきた。「気が狂っている」と思ったのである。"
"410322","
マルコ 3:22","またエルサレムから下ってきた聖書学者たちは、「あれはベルゼ
ブル[悪魔]につかれている」とか、「悪鬼どもの頭[悪魔]を使って悪鬼を追い出して
いる」とか言った。"
"410323","
マルコ 3:23","イエスは彼らを呼びよせ、譬をもって話された、「悪魔にどうし
て悪魔が追い出せるか。"
"410324","
マルコ 3:24","もし国が内輪で割れれば、その国は立ってゆけない。"
"410325","
マルコ 3:25","また、もし家が内輪で割れれば、その家は立ってゆけない。"
"410326","
マルコ 3:26","(同じように)悪魔(の国)が内輪もめで割れれば、立ってゆけ
ず、ほろびてしまう。(だからわたしが悪鬼どもの頭を使うわけはないではないか。)"
"410327","
マルコ 3:27","まず強い者を縛りあげずに、だれも強い者の家に入って家財道具
を掠め取ることは出来ない。縛ったあとで、その家を掠めるのである。(だから悪鬼が追
い出されるのは、悪魔がすでに縛られた証拠だ。)"
"410328","
マルコ 3:28","アーメン、わたしは言う、人の子らの(犯す)罪も、また、いか
なる冒涜の言葉でも、すべて赦していただける。」"
"410329","
マルコ 3:29","しかし聖霊を冒涜する者は永遠に赦されず、永遠の罪に処せられ
る。」"
"410330","
マルコ 3:30","こう言われたのは、彼らが(聖霊によるイエスの業を罵って)、「あ
れは汚れた霊につかれている」と言ったからである。"
"410331","
マルコ 3:31","そこにイエスの母と兄弟たちが来て、外に立っていてイエスを呼
ばせた。"
"410332","
マルコ 3:32","大勢の人がイエスのまわりに坐っていたが、彼に言う、「それ、
母上と兄弟姉妹方が、外であなたをたずねておられます。」"
"410333","
マルコ 3:33","イエスは「わたしの母、兄弟とはだれのことだ」と答えて、"
"410334","
マルコ 3:34","自分のまわりを取りまいて坐っている人々を見まわしながら、言
われる、「ここにいるのが、わたしの母、わたしの兄弟だ。"
"410335","
マルコ 3:35","神の御心を行う者、それがわたしの兄弟、姉妹、また母である。」
"
"410401","
マルコ 4:1","イエスはまた湖のほとりで教え始められた。おびただしい群衆が
集まってきたので、舟に乗り、湖の上で坐(って教え)られた。群衆は皆陸にいて湖の方
を向いていた。"
"410402","
マルコ 4:2","譬をもって多くのことを教えられたが、その教えの中でこう話さ
れた、"
"410403","
マルコ 4:3","「聞け、種まく人が種まきに出かけた。"
"410404","
マルコ 4:4","まく時に、あるものは道ばたに落ちた。鳥が来て食ってしまった。
"
"410405","
マルコ 4:5","またあるものは土の多くない岩地に落ちた。土が深くないため、
すぐ芽を出したが、"
"410406","
マルコ 4:6","日が出ると焼けて、(しっかりした)根がないので枯れてしまった。
"
"410407","
マルコ 4:7","またあるものは茨の(根が張っている)中に落ちた。茨が伸びて
きて押えつけたので、みのらなかった。"
"410408","
マルコ 4:8","またあるものは良い地に落ちた。伸びて育ってみのって、三十倍、
六十倍、百倍の実がなった。」"
"410409","
マルコ 4:9","そして「耳の聞える者は聞け」と言われた。"
"410410","
マルコ 4:10","ひとりでおられた時、弟子たちが十二人とともにこれらの譬(の
意味)を尋ねると、"
"410411","
マルコ 4:11","言われた、「あなた達(内輪の者)には、神の国の秘密が授けら
ている(のでありのままに話す)が、あの外の人たちには、すべてが譬をもって示され
る。"
"410412","
マルコ 4:12","これは(聖書にあるように)“彼らが見ても見てもわからず、聞
いても聞いても悟らないようにする”ためである。“そうでないと、心を入れかえて(わ
たし[神]に帰り、罪を)赦されるかも知れない。”」"
"410413","
マルコ 4:13","また彼らに言われる、「この(一番簡単な)譬がわからないのか。
それで、どうしてほかの譬がわかろう。(では説明しよう。)──"
"410414","
マルコ 4:14","種まく人は(神の)御言葉をまく。"
"410415","
マルコ 4:15","道ばたのものとは、御言葉がまかれて、それを聞く時、すぐ悪魔
が来て、その人たちにまかれた御言葉をさらってゆく人たちである。"
"410416","
マルコ 4:16","同じく岩地にまかれたものとは、御言葉を聞く時すぐ喜んで受け
いれるが、"
"410417","
マルコ 4:17","自分の中に(しっかりした信仰の)根がなく、ただその当座だけ
であるから、あとで御言葉のために苦難や迫害がおこると、すぐ信仰から離れおちる人た
ちである。"
"410418","
マルコ 4:18","また他のものは、茨の中にまかれたものである。これは御言葉を
聞くが、"
"410419","
マルコ 4:19","(しばらく信じているうちに、)この世の心配や富の惑わしやそ
の他の欲が入ってきて御言葉を押えつけて、みのらない人たちである。"
"410420","
マルコ 4:20","また良い地にまかれたものとはこれである、それは御言葉を受け
入れ、三十倍、六十倍、百倍の実を結ぶ人たちである。」"
"410421","
マルコ 4:21","また彼らに言われた、「(しかし外の人たちに神の国の秘密が隠さ
れるのは、ただしばらくである。)明りを持って来るのは、枡の下や寝台の下に置くため
であろうか。燭台の上に置くためではあるまいか。"
"410422","
マルコ 4:22","隠れているもので現わされるためでないものはなく、隠されてい
るもので現われるためでないものもないからである。"
"410423","
マルコ 4:23","耳の聞える者は聞け。」"
"410424","
マルコ 4:24","また彼らに言われた、「(わたしから)聞くことに気をつけよ。(わ
たしの言葉を)量る量りで、あなた達も(神に)量られる。そして(よく聞く人は、持っ
ている上になお)つけたして与えられる。"
"410425","
マルコ 4:25","持っている人には(さらに)与えられ、持たぬ人は、持っている
ものまで取り上げられるのである。」"
"410426","
マルコ 4:26","また言われた、「神の国はこんなものだ。──ある人が地に種を
蒔き、"
"410427","
マルコ 4:27","夜昼、寝起きしていると、種は芽生えて育ってゆくが、本人はそ
の訳を(すら)知らない。"
"410428","
マルコ 4:28","(すなわち)地はひとりでに実を結ぶので、初めに茎、次に穂、
次に穂の中に熟しきった粒ができる。"
"410429","
マルコ 4:29","実が熟すると、すぐに“鎌を入れる。刈入れ時が来たのである。”」
"
"410430","
マルコ 4:30","また言われた、「神の国を何にたとえようか。どんな譬で表わそ
うか。"
"410431","
マルコ 4:31","(神の国は)芥子粒のようである。地にまかれる時には、地上の
あらゆる種の中で一番小さいが、"
"410432","
マルコ 4:32","まかれると、伸びてきてすべての野菜の中で一番大きくなり、大
きな枝を出して、“その(葉の)陰に空の鳥が巣をつく”れるようになるのである。」"
"410433","
マルコ 4:33","イエスは聞く人々の力に応じて、このような多くの譬で御言葉を
語られた。"
"410434","
マルコ 4:34","譬を使わずに語られることはなかった。が弟子たちには、人のい
ない時に何もかも説明された。"
"410435","
マルコ 4:35","その日、夕方になると、「向う岸に渡ろう」と言われる。"
"410436","
マルコ 4:36","弟子たちは(岸に立っている)群衆を解散して、イエスが舟に乗
っておられるのを、そのままお連れする。幾艘かほかの舟もついて行った。"
"410437","
マルコ 4:37","すると激しい突風がおこり、波が舟に打ち込んできて、もう舟に
いっぱいになりそうになった。"
"410438","
マルコ 4:38","しかしイエスは艫の方で枕をして眠っておられた。弟子たちが「先
生、溺れます、構ってくださらないのですか」と言って起した。"
"410439","
マルコ 4:39","イエスは目をさまして風を叱りつけ、湖に言われた、「黙れ、静
かにしないか!」(たちどころに)風がやんで、大凪になった。"
"410440","
マルコ 4:40","彼らに言われた、「なんでそんなに臆病なのか。まだ信じないの
か。」"
"410441","
マルコ 4:41","弟子たちはすっかりおびえてしまって、「この方はいったいだれ
だろう、風も湖もその言うことを聞くのだが」と語り合った。"
"410501","
マルコ 5:1","かくて湖の向う岸、ゲラサ人の地に着いた。"
"410502","
マルコ 5:2","イエスが舟からあがられると、すぐ、汚れた霊につかれたひとり
の人が墓場から出てきて、イエスを迎えた。"
"410503","
マルコ 5:3","この人は墓場を住家としていたが、もはやだれも、鎖ですらつな
いでおくことが出来なかった。"
"410504","
マルコ 5:4","幾たびか足桎と鎖でつないだが、鎖を引きちぎり、足桎を打ちこ
わして、だれの手にもおえなかったのである。"
"410505","
マルコ 5:5","どなったり、体を石でなぐったりしながら、夜も昼も、いつも墓
場や山にいた。"
"410506","
マルコ 5:6","遠くの方でイエスを見ると、駆けてきてひざまずき、"
"410507","
マルコ 5:7","大声で叫んだ、「いと高き神の子のイエス様、“放っておいてくだ
さい。”後生だから、どうぞわたしを苦しめないでください。」"
"410508","
マルコ 5:8","これはイエスが「汚れた霊、その人から出てゆけ」と言われたか
らである。"
"410509","
マルコ 5:9","「あなたの名はなんというか」とお尋ねになると、「名は軍団です、
大勢だからです」とこたえる。"
"410510","
マルコ 5:10","また、この土地から追い出さないようにとしきりに願った。"
"410511","
マルコ 5:11","折から、そこの山の中腹で豚の大きな群が草を食っていた。"
"410512","
マルコ 5:12","霊どもは、「わたしどもをあの豚の中にやって、あれに乗り移ら
せてください」と願った。"
"410513","
マルコ 5:13","お許しになると、汚れた霊どもは(その人から)出ていって豚に
乗り移った。すると二千匹ばかりの群はけわしい坂をどっと湖へなだれこみ、湖で溺れて
死んだ。"
"410514","
マルコ 5:14","豚飼たちは逃げ出して、町や部落に知らせたので、何事がおこっ
たのかと人々が見に来た。"
"410515","
マルコ 5:15","彼らはイエスの所に来て、前に一軍団の悪鬼につかれていた者が
着物をき、正気にかえってじっと座っているのを見ると、恐ろしくなった。"
"410516","
マルコ 5:16","また(現場を)見ていた人たちは、悪鬼につかれていた者におこ
ったことや豚のことを、その人々に話してきかせた。"
"410517","
マルコ 5:17","人々は聞いて(気味わるくなり)、イエスにその土地からでて行
ってもらいたいと頼んだ。"
"410518","
マルコ 5:18","そこで舟に乗られると、悪鬼につかれていた者が、ついて行きた
いと願った。"
"410519","
マルコ 5:19","しかし許さずに言われた、「家に帰ってうちの者に、(神なる)主
があなたを憐れんで、どんなにえらいことをしてくださったかを、知らせてやりなさい。」
"
"410520","
マルコ 5:20","すると彼は行って、イエスがどんなにえらいことを自分にされた
かを、デカポリスに言いふらし始めた。皆が驚いた。"
"410521","
マルコ 5:21","イエスが舟でまた向う岸に渡られると、大勢の群衆が彼のところ
に集まってきた。彼は湖のほとりにおられた。"
"410522","
マルコ 5:22","するとヤイロという一人の礼拝堂監督が来て、イエスを見ると足
もとにひれ伏し、"
"410523","
マルコ 5:23","しきりに願って言う、「わたしの小さな娘が死にかかっています。
助かって命びろいをするように、どうか行って、手をのせてやってください。」"
"410524","
マルコ 5:24","イエスは彼と一しょに出かけられた。大勢の群衆がイエスについ
て行って押しまくった。"
"410525","
マルコ 5:25","すると十二年も長血をわずらって、"
"410526","
マルコ 5:26","大勢の医者からひどい目にあわされて、財産を皆使いはたして、
なんの甲斐もなくて、かえってますます悪くなって、"
"410527","
マルコ 5:27","イエスのことを聞いて、群衆にまじってついて来た女が、後ろか
らその着物にさわった。"
"410528","
マルコ 5:28","「お召物にでもさわれば、なおるにちがいない」と思ったのであ
る。"
"410529","
マルコ 5:29","はたしてすぐ血の源がかれて、病気が直ったのを身に感じた。"
"410530","
マルコ 5:30","イエスは自分の中から力が出ていったのにすぐ気がついて、群衆
の中で振り返ってたずねられた、「わたしの着物にさわったのはだれか。」"
"410531","
マルコ 5:31","弟子たちが言った、「御覧のとおり群衆が押しまくっているのに、
さわったのはだれか、とおしゃるのですか。」"
"410532","
マルコ 5:32","イエスはこのことをした女を見つけようとして、(黙って)見ま
わしておられた。"
"410533","
マルコ 5:33","女は自分(の身)におこったことを知っているので、恐ろしくな
って震えながら、進み出てイエスの前にひれ伏し、すべてをありのままに話した。"
"410534","
マルコ 5:34","イエスは言われた、「娘よ、あなたの信仰がなおしたのだ。さよ
なら、“平安あれ。”もう病気をせず、達者でいなさい。」"
"410535","
マルコ 5:35","イエスがまだ話しておられるところに、礼拝堂監督の家から人々
が来て(監督に)言った、「お嬢さんはもうなくなりました。どうしてこの上、先生にご
迷惑をかけられるのですか。」"
"410536","
マルコ 5:36","イエスはそう言っているのをそばで聞いて、監督に言われた、「こ
わがることはない。ただ信じておれ。」"
"410537","
マルコ 5:37","そしてペテロとヤコブの兄弟のヨハネとのほかには、だれもつい
て来ることを許されなかった。"
"410538","
マルコ 5:38","やがて監督の家に着いて、人々がひどく泣きわめいて騒いでいる
のを見ると、"
"410539","
マルコ 5:39","(家の)中に入って言われる、「なにを泣いたり騒いだりするの
か。子供は死んではいない、眠っているのだ。」"
"410540","
マルコ 5:40","人々はあざ笑っていた。しかしイエスは皆を外に出し、子供の父
と母と、一しょに来た者(三人だけ)を連れて、(死んだ)子供のいる所に入ってゆかれ
る。"
"410541","
マルコ 5:41","そして子供の手を取って、「タリタクミ!」と言われる。訳する
と「少女よ、あなたに言う。起きなさい!」である。"
"410542","
マルコ 5:42","ただちに少女は立ち上がって歩きまわった。十二歳になっていた
からである。見るなり、人々は気が遠くなるほど驚いた。"
"410543","
マルコ 5:43","イエスはだれにもこのことを知られるなときびしく人々に言いつ
け、また子供に(何か)食べさせるようにと言われた。"
"410601","
マルコ 6:1","そこを去って郷里(ナザレ)に行かれた。弟子たちもついて行っ
た。"
"410602","
マルコ 6:2","安息日になって礼拝堂で教え始められると、大勢の人がそれを聞
いて、驚いて言った、「この人はこんなことをどこから覚えてきたのだろう。この人の授
かったこの知恵はなんだろう。また、その手で行われるかずかずのこんな奇蹟はいったい
どうしたのだろう。  "
"410603","
マルコ 6:3","これはあの大工ではないか。マリヤの息子で、ヤコブとヨセとユ
ダとシモンとの兄弟ではないか。女兄弟たちは、ここで、わたし達の所に住んでいるでは
ないか。」こうして人々はイエスにつまずいた。(そのため彼の言葉に耳を傾ける者がなか
った。)"
"410604","
マルコ 6:4","イエスは彼らに言われた、「預言者が尊敬されないのは、その郷里
と親族と家族のところだけである。」"
"410605","
マルコ 6:5","(郷里の人々の不信仰のゆえに)そこでは何一つ奇蹟を行うこと
が出来ず、ただわずかの病人に手をのせて、なおされただけであった。"
"410606","
マルコ 6:6","イエスは人々の不信仰に驚かれた。それから村々をぐるぐる回り
ながら教えられた。"
"410607","
マルコ 6:7","また(前に選んだ)十二人(の弟子)を呼びよせ、二人ずつ(を
一組にして伝道に)派遣することを始められた。そして汚れた霊を支配する全権を授け、"
"410608","
マルコ 6:8","また旅行には杖一本のほかに、何も──パンも、旅行袋も、帯の
中に金も持ってゆかず、"
"410609","
マルコ 6:9","ただ草鞋をはくことを、また「下着を二枚着るな」と命じられた。
"
"410610","
マルコ 6:10","なお彼らに言われた、「どんな家でも一度入ったら、その土地を
立ってゆくまではその家に泊まっておれ。"
"410611","
マルコ 6:11","しかしある所で、あなた達を歓迎せず、言うことに耳をかたむけ
ないなら、(すぐその土地を出てゆけ。そして)そこを出てゆくとき、(縁を切ったことを)
そこの人々に証明するため、足の裏の埃を払いおとせ。」"
"410612","
マルコ 6:12","そこで十二人は出かけていって、(罪を赦されるための)悔改め
を説き、"
"410613","
マルコ 6:13","多くの悪鬼を追い出し、また油を塗って大勢の病人をなおした。
"
"410614","
マルコ 6:14","イエスの噂が高くなったので、ヘロデ(・アンテパス)王の耳に
はいった。──「洗礼者ヨハネが死人の中から生きかえったのだ。それだからあんな(不
思議な)力が彼の中に働いている」とある人々は言った。"
"410615","
マルコ 6:15","しかし、「預言者エリヤだ」言う者もあり、「(昔の)普通の預言
者のような預言者だ」と言う者もあった。"
"410616","
マルコ 6:16","しかしヘロデは聞いて、「わたしが首をはねたヨハネ、あれが生
きかえったのだ」と言った。"
"410617","
マルコ 6:17","それにはこういう訳がある。──このヘロデは(前に)その兄弟
ピリポの妻ヘロデヤと結婚したことから、ヨハネを捕えさせて牢につないだことがあった。
"
"410618","
マルコ 6:18","ヨハネがヘロデに、「あなたは自分の兄弟の妻を妻にするのはよ
ろしくない」と言ったからである。"
"410619","
マルコ 6:19","(そのため)ヘロデヤはヨハネを恨んで、殺したいと考えていた
が、出来なかった。"
"410620","
マルコ 6:20","それはヘロデがヨハネを正しい聖なる人と知って、これを恐れ、
保護を加えていたからである。ヘロデはヨハネに話を聞くと非常に当惑したが、それでも
喜んで聞いていたのである。"
"410621","
マルコ 6:21","すると(ヘロデヤにとり)好い機会がきた。ヘロデが自分の誕生
祝いに、大官、将軍、ガリラヤの名士たちを招待して宴会を催した時、"
"410622","
マルコ 6:22","ヘロデヤの娘が席に出て舞をまい、ヘロデと列座の人々とを喜ば
せたのである。王が少女に言った、「ほしいものがあったら言ってみよ。褒美にやろう。」"
"410623","
マルコ 6:23","また、「願いとあらば、“国の半分でも”やろう」と誓った。"
"410624","
マルコ 6:24","少女は出ていって母にきいた、「何を願いましょうか。」「洗礼者
ヨハネの首を」と母がこたえた。"
"410625","
マルコ 6:25","少女は大急ぎですぐ王の前に出て、「洗礼者ヨハネの首を盆にの
せてすぐに戴かせてください」と願った。"
"410626","
マルコ 6:26","王は非常に悲しんだが、客の前で立てた誓いの手前、拒みたくな
かった。"
"410627","
マルコ 6:27","そこで王はすぐヨハネの首を持ってくるように命令して、首斬役
をやった。首斬役は行って牢でヨハネの首をはね、"
"410628","
マルコ 6:28","その首を盆にのせて持ってきて少女に渡し、少女はそれを母に渡
した。"
"410629","
マルコ 6:29","ヨハネの弟子たちはこれを聞くと、来てなきがらを引き取り、墓
に納めた。"
"410630","
マルコ 6:30","(さて旅行から帰った十二人の)使徒たちはイエスの所に集まっ
て、したこと、教えたことをのこらず報告した。"
"410631","
マルコ 6:31","彼らに言われる、「さあ、あなた達だけどこか静かな所へ行って、
しばらく休んだがよかろう。」人の出入りが多く、食事する暇もなかったのである。"
"410632","
マルコ 6:32","そこで彼らだけ、舟で(イエスと一しょに)人里はなれた所へ行
った。"
"410633","
マルコ 6:33","しかしその出かけるのを見て、多くの人はそれと感づいた。それ
で方々の町から陸を走ってそこへ集まり、彼らよりも先に着いた。"
"410634","
マルコ 6:34","イエスは(舟から)あがって、多くの群衆が“羊飼のいない羊の
ように”しているのを見ると、かわいそうになり、多くのことを教え始められた。"
"410635","
マルコ 6:35","とかくするうち、もう時間もおそくなったので、弟子たちはイエ
スのそばに来て言った、「ここは人里はなれた所、それにもう時間もおそいので、"
"410636","
マルコ 6:36","人々を解散させ、まわりの部落や村に行って、自分で何か食べる
ものを買わせてください。」"
"410637","
マルコ 6:37","イエスは答えて言われた、「あなた達が自分で食べさせてやった
らよかろう。」彼らが言う、「わたし達が行って二百デナリ[十万円]のパンを買ってきて、
食べさせるのでしょうか。」"
"410638","
マルコ 6:38","彼らに言われる、「手許にいくつパンがあるか。見て来なさい。」
確かめて来て言う、「五つ。それと魚が二匹です。」"
"410639","
マルコ 6:39","そこで皆を一組一組、青い草の上に坐らせるよう弟子たちに命じ
られると、"
"410640","
マルコ 6:40","あるいは百人ずつ、あるいは五十人ずつ、一列一列になってすわ
った。"
"410641","
マルコ 6:41","イエスは(いつも家長がするように、)その五つのパンと二匹の
魚を(手に)取り、天を仰いで(神を)讃美したのち、パンを裂き、人々に配るため弟子
たちに渡された。二匹の魚も皆に分けられた。"
"410642","
マルコ 6:42","皆が食べて満腹した。"
"410643","
マルコ 6:43","そして(パンの)屑を拾うと、十二の篭に一杯あった。魚の残り
も拾った。"
"410644","
マルコ 6:44","パンを食べた者は、男五千人であった。"
"410645","
マルコ 6:45","それからすぐイエスは弟子たちを強いて舟に乗らせ、向う岸のベ
ッサイダに先発させられた、自分では群衆を解散させる間に。"
"410646","
マルコ 6:46","そして群衆に別れると、祈りのため山に行かれた。"
"410647","
マルコ 6:47","暗くなって、(弟子たちの)舟はもう湖の真中に出ていたが、イ
エスはひとり陸におられた。"
"410648","
マルコ 6:48","そして向い風のために弟子たちが漕ぎなやんでいるのを見ると、
第四夜回りのころ(すなわち夜明けの三時ごろ)、湖の上を歩いて彼らの所に来て、(舟の
わきを)通りすぎようとされた。"
"410649","
マルコ 6:49","弟子たちはイエスが湖の上を歩いておられるのを見ると、幽霊だ
と思って声をあげて叫んだ。"
"410650","
マルコ 6:50","イエスを見て、皆肝をつぶしたのである。しかしイエスはすぐ彼
らに話しかけ、「安心せよ、わたしだ。こわがることはない」と言われる。"
"410651","
マルコ 6:51","そして彼らの舟に乗られると、風はやんだ。弟子たちはすっかり
呆気にとられてしまった。"
"410652","
マルコ 6:52","彼らは(五千人の)パンのことによっても(神の子の力を)悟ら
ず、心が頑なになっていたのである。"
"410653","
マルコ 6:53","ついに(湖を)渡って、ゲネサレの地に着き、舟をつないだ。(風
でベツサイダに行けなかったのである。)"
"410654","
マルコ 6:54","彼らが舟からあがると、人々はすぐイエスと知って、"
"410655","
マルコ 6:55","そのあたりを隅なく駆けまわり、イエスがおられると聞く所に、
病人を担架で運び始めた。"
"410656","
マルコ 6:56","村でも町でも部落でも、その行かれる所にはどこでも、病人を広
場にねかし、着物の裾にでもさわらせてほしいとイエスに願った。さわったほどの者はみ
ななおった。"
"410701","
マルコ 7:1","パリサイ人とエルサレムから来た数人の聖書学者とがイエスの所
に集まったとき、"
"410702","
マルコ 7:2","イエスの弟子のうちにけがれた、すなわち洗わない手で食事をす
る者があるのを見た。"
"410703","
マルコ 7:3","──いったいパリサイ人はもとより、ユダヤ人というユダヤ人は、
先祖の言伝えをかたく守って、(きまった方式で)手を洗ってからでないと決して食事を
せず、"
"410704","
マルコ 7:4","市場から帰ったときは(身を)洗い浄めねば食事をせず、このほ
かにも杯や壷や銅の器をすすぐことなど、かたく守っている仕来たりが沢山あるのである。
──"
"410705","
マルコ 7:5","パリサイ人と聖書学者がイエスに尋ねた、「あなたの弟子はなぜ先
祖の言伝えに従って歩かずに、けがれた手で食事をするのか。」"
"410706","
マルコ 7:6","彼らに言われた、「イザヤはあなた達偽善者のことを預言して、こ
う書いているが、うまいものである。“この民は口先でわたし[神]を敬いながら、その
心は遠くわたしから離れている。"
"410707","
マルコ 7:7","彼らは(熱心に)わたしを拝むが無駄である、彼らが教えとして
教えているのは、人間の(作った)規則であるから。”"
"410708","
マルコ 7:8","あなた達は神の掟をすてて、人間の言伝えをかたく守っている。」
"
"410709","
マルコ 7:9","また話しつづけられた、「あなた達は自分の言伝えを守ろうとして、
神の掟をないがしろにしているが、うまいものだ!"
"410710","
マルコ 7:10","モーセは、“父と母とを敬え、”また“父または母を罵る者はかな
らず死に処せられる”と言ったのに、"
"410711","
マルコ 7:11","あなた達はこう言うのだから。──『もしある人が父または母に
むかって、わたしがあなたに差し上げるはずのものはコルバン[すなわち(神への)供え
物]にする、と言えば、"
"410712","
マルコ 7:12","(扶養の義務をまぬかれて、)もはや父または母に何一つするこ
とを許されない』と。"
"410713","
マルコ 7:13","こうして、あなた達は自分で伝えてきた言伝えによって神の言葉
を反故にしている。なお、これに似たことをあなた達は沢山している。」"
"410714","
マルコ 7:14","それからまた群衆を呼びよせて言われた、「皆、わたしの言うこ
とを聞いて悟れ。"
"410715","
マルコ 7:15","人の(体の)外から入って、人をけがし得るものは何もない。人
から出るものが、人をけがすのである。」"
"410716","
マルコ 7:16","(無し)"
"410717","
マルコ 7:17","群衆を離れて家にかえられた時、弟子たちがこの譬(の意味)を
尋ねた。"
"410718","
マルコ 7:18","彼らに言われる、「あなた達までそんなに悟りが悪いのか。すべ
て外から人(の体)に入るものは、人をけがし得ないことが解らないのか。"
"410719","
マルコ 7:19","心に入らず、腹に入って、便所に出てゆくからだ。」──イエス
は(これによって、人は何を食べてもけがれないことを教えて、)すべての食物を清めら
れたのである。"
"410720","
マルコ 7:20","また言われた、「人から出るもの、そちらが人をけがす。"
"410721","
マルコ 7:21","内から、つまり、人の心からは、邪念が出るからである。(すな
わち)不品行、盗み、人殺し、"
"410722","
マルコ 7:22","姦淫、欲張り、悪意、悪巧み、道楽、妬み、悪口、高ぶり、愚か
さ(など)。"
"410723","
マルコ 7:23","これらの悪は皆、内から出て人をけがすのである。」"
"410724","
マルコ 7:24","そこを立って、ツロ地方に行かれた。ある家に入って、だれにも
知られたくないと思っておられた。しかし隠れていることが出来ず、"
"410725","
マルコ 7:25","汚れた霊につかれた小さい娘を持つ一人の女が、すぐイエスのこ
とを聞きつけ、来て足下にひれ伏した。"
"410726","
マルコ 7:26","この女は異教人で、スロフェニキア生まれであったが、娘から悪
鬼を追い出してほしいとイエスに願った。"
"410727","
マルコ 7:27","女に言われた、「まず子供たち(イスラエル人)を満腹させなく
てはいけない。子供たちのパンを取り上げて、(異教の)小犬どもに投げてやるのはよろ
しくない。」"
"410728","
マルコ 7:28","しかし女は答えた、「主よ、是非どうぞ!食卓の下の小犬どもも、
子供さんたちのパン屑をいただきます。」"
"410729","
マルコ 7:29","イエスは言われた、「それほど言うなら、よろしい、帰りなさい。
悪鬼はもう娘から出ていった。」"
"410730","
マルコ 7:30","女が家にかえって見ると、子供は寝床にねており、悪鬼はもう出
ていた。"
"410731","
マルコ 7:31","それからイエスはツロ地方を出て、シドンを通り、またガリラヤ
湖の近く、デカポリス地方の真中に来られた。"
"410732","
マルコ 7:32","人々が聾で舌のまわらぬ人をつれて来て、手をのせて(直して)
ほしいと願う。"
"410733","
マルコ 7:33","イエスはその人をただ一人、群衆の中から連れ出して、指をその
両耳にさしこみ、次に(指に)唾をしてその舌にさわり、"
"410734","
マルコ 7:34","天を仰いで溜息をつき、その人に「エパタ!」[すなわち「開
け!」]と言われる。"
"410735","
マルコ 7:35","すると耳があき、すぐ舌のもつれが解けて、普通に物が言えるよ
うになった。"
"410736","
マルコ 7:36","イエスはだれにも言ってはならぬと人々に命じられたが、命ずれ
ば命ずるだけ、ますます言いふらした。"
"410737","
マルコ 7:37","そして驚きはてて言った、「あの方のされたことは、何もかも良
いことばかりだ。聾や唖に、聞かせたり、物を言わせたりされるのだから。」"
"410801","
マルコ 8:1","そのころ、また多くの群衆が(集まって)いて、何も食べるもの
を持っていなかったとき、弟子たちを呼びよせて言われる、"
"410802","
マルコ 8:2","「群衆がかわいそうだ。もう三日もわたしをはなれずにいるので、
何も食べるものを持っていない。"
"410803","
マルコ 8:3","空腹のままで家に帰したら、途中でへたばってしまうにちがいな
い。それに、中には遠くから来た者もある。」"
"410804","
マルコ 8:4","弟子たちが答えた、「こんな荒野で、いったいどこからパンを買っ
て来て、この人たちを満腹させることが出来ましょうか。」"
"410805","
マルコ 8:5","彼らに尋ねられた、「手許にいくつパンがあるか。」「七つ」とこた
えた。"
"410806","
マルコ 8:6","イエスは群衆に命じて地面にすわらせ、それからその七つのパン
を(手に)取り、(神に)感謝して裂き、群衆に配るため弟子たちに渡されると、それを
配った。"
"410807","
マルコ 8:7","また小魚が少しあったのをイエスは祝福して、これも配るように
言われた。"
"410808","
マルコ 8:8","人々は食べて満腹した。そして余った(パンの)屑を拾うと、七
篭あった。"
"410809","
マルコ 8:9","それは四千人ばかりであった。イエスは人々を解散させられた。"
"410810","
マルコ 8:10","それからすぐ弟子たちと一しょに舟に乗って、ダルマヌタ地方に
行かれた。"
"410811","
マルコ 8:11","するとパリサイ人たちが出てきて、イエスを試そうとして議論を
吹きかけ、(神の子である証拠に、)天からの(不思議な)徴を(示すようにと)彼に求め
た。"
"410812","
マルコ 8:12","イエスは心の中で大きく溜息をついて言われる、「この時代の人
はなぜ徴を求めるのだろうか。アーメン、わたしは言う、この時代の人に徴が与えられる
ものか。」"
"410813","
マルコ 8:13","イエスは彼らを(そこに)のこし、また(舟に)乗って向う岸へ
立ち去られた。"
"410814","
マルコ 8:14","ところがパンを持ってくるのを忘れたので、舟にはたった一つし
かパンがなかった。"
"410815","
マルコ 8:15","するとイエスは弟子たちに、「パリサイ人のパン種とヘロデのパ
ン種とに注意し、気をつけよ」と命じられた。"
"410816","
マルコ 8:16","弟子たちは(その意味がわからず)、パンのないことを互に評議
をしていた。"
"410817","
マルコ 8:17","イエスはそれと知って言われる、「なぜパンのないことを評議す
るのか。まだ解らないのか、悟らないのか。心が頑なになってしまったのか。"
"410818","
マルコ 8:18","“目があっても見えず、耳があっても聞えない”のか。覚えてい
ないのか、"
"410819","
マルコ 8:19","わたしが五つのパンを五千人に裂いた時に拾った(パンの)屑は、
篭に一ぱい、いくつあったか。」「十二」と弟子たちがこたえる。"
"410820","
マルコ 8:20","「七つを四千人の時には、拾った(パンの)屑は篭に一杯いくつ
あったか。」「七つ」とこたえると、"
"410821","
マルコ 8:21","「まだ悟らないのか」と言われた。"
"410822","
マルコ 8:22","彼らはベッサイダに来る。人々が一人の盲人をイエスのところに
つれて来て、さわって(直して)ほしいと願う。"
"410823","
マルコ 8:23","イエスは盲人の手を取って村の外につれ出し、その両方の目に唾
をかけ、両手を(その目に)あてて尋ねられた、「何か見えるか。」"
"410824","
マルコ 8:24","盲人は目をあげてこたえた、「人が見えます。木のようで、歩い
ているのがわかります。」"
"410825","
マルコ 8:25","それから、かさねて両手を目にあてられると、よく見えてきてす
っかり直り、なんでも遠くからはっきり見えるようになった。"
"410826","
マルコ 8:26","イエスは「村にも入るな(、まっすぐに帰りなさい)」と言って、
その人を家にかえされた。"
"410827","
マルコ 8:27","イエスは(そこから)弟子たちとピリポ・カイザリヤの(町に近
い)村々に出てゆかれた。道すがら弟子たちにこう言って尋ねられた、「世間の人はわた
しのことをなんと言っているか。」"
"410828","
マルコ 8:28","彼らが言った、「洗礼者ヨハネ。あるいはエリヤ、あるいは(昔
の)普通の預言者と言う者もあります。」  "
"410829","
マルコ 8:29","イエスは尋ねられた、「では、あなた達はわたしのことをなんと
言うのか。」ペテロが答えて言う、「あなたは救世主であります!」"
"410830","
マルコ 8:30","イエスは自分のことをだれにも言ってはならないと、弟子たちを
戒められた。"
"410831","
マルコ 8:31","(この時から、)イエスは、「人の子(わたし)は多くの苦しみを
うけ、長老、大祭司連、聖書学者たちから排斥され、殺され、そして三日の後に復活せね
ばならない。(神はこうお決めになっている)」と弟子たちに教え始められた。"
"410832","
マルコ 8:32","しかもおおぴっらにこのことを話された。するとペテロはイエス
をわきへ引っ張っていって、忠告を始めた。(救世主が死ぬなどとは考えられなかったの
である。)"
"410833","
マルコ 8:33","イエスは振り返って、弟子たちの見ている前でペテロを叱りつけ
られた、「引っ込んでろ、悪魔!お前は神様のことを考えずに、人間のことを考えてい
る!」"
"410834","
マルコ 8:34","それから、群衆を弟子と一しょに呼びよせて言われた、「だれで
も、わたしについて来ようと思う者は、(まず)己れをすてて、自分の十字架を負い、そ
れからわたしに従え。"
"410835","
マルコ 8:35","(十字架を避けてこの世の)命を救おうと思う者は(永遠の)命
を失い、わたしと福音とのために(この世の)命を失う者は、(永遠の)命を救うのだか
ら。"
"410836","
マルコ 8:36","全世界をもうけても、命を損するのでは、その人になんの得があ
ろう。"
"410837","
マルコ 8:37","また、人は(一度失った永遠の)命を受けもどす代価として、何
か(神に)渡すことができようか。"
"410838","
マルコ 8:38","(わたしを信ずると言いながら、)神を忘れた、罪のこの時代に
おいて、わたしとわたしの福音(を告白すること)とを恥じる者があれば、人の子(わた
し)も、父上の栄光に包まれ、聖なる天使たちを引き連れて(ふたたび地上に)来る時、
その(臆病)者を(弟子と認めることを)恥じるであろう。」"
"410901","
マルコ 9:1","また言葉をつづけられた、「アーメン、わたしは言う、(その時は
じきに来る。)今ここに立っている者のうちには、死なずにいて、力強い神の国が来るの
を見る者がある。」"
"410902","
マルコ 9:2","(それから)六日の後、イエスはただペテロとヤコブとヨハネだ
けを連れて、高い山にのぼられた。すると彼らの見ている前でイエスの姿が変った。"
"410903","
マルコ 9:3","着物(まで)が真っ白に輝きだし、この世のどんな晒し屋でも、
これほど白くは出来ないくらいであった。"
"410904","
マルコ 9:4","するとエリヤがモーセと共に彼らにあらわれ、二人はイエスと話
していた。"
"410905","
マルコ 9:5","ペテロが口を出してイエスに言う、「先生、わたし達(三人)がこ
こにいるのは、とても良いと思います。だから小屋を三つ造りましょう。あなたに一つ、
モーセに一つ、エリヤに一つ。」"
"410906","
マルコ 9:6","彼はなんと言ってよいかわからなかったのである。三人とも怯え
ていたから。"
"410907","
マルコ 9:7","すると雲がおこって彼ら(イエスとモーセとエリヤと)を掩い、「こ
れはわたしの“最愛の子、”“彼の言うことを聞け”」という声が雲の中からきこえてきた。
"
"410908","
マルコ 9:8","途端に(すべてが消えうせて、)見まわすと、もはやだれも見えず、
ただイエスだけが、自分たちと一しょにおられた。"
"410909","
マルコ 9:9","山を下りながら、イエスは、人の子(わたし)が死人の中から復
活する時でなければ、いま見たことをだれにも話してはならないと彼らに命じられた。"
"410910","
マルコ 9:10","彼らはこの言葉をかたく守ったが、互の間では(人の子が)死人
の中から復活するとは、いったい何事だろうと評議をしていた。"
"410911","
マルコ 9:11","彼らはこう言ってイエスに尋ねた、「なぜ聖書学者は、まずエリ
ヤが(来てそのあとで人の子が)来るべきである、と言うのですか。(人の子は来られた
のに、エリヤはまだ来ないではありませんか。)」(彼らは山の上のことを思い浮かべたの
である。)"

"410912","マルコ 9:12","彼らに言われた、「たしかにまず“エリヤが”来て、(人の子の道
を準備するために)万事を“整頓する。”ただ(もしそれならば)、どうして人の子が多く
の苦しみをうけて、軽蔑されることが(聖書に)書いてあるのだろうか。"
"410913","
マルコ 9:13","しかしわたしは言う、エリヤも(すでに)来た。(洗礼者ヨハネ
がそれであった。)ただ人々は、彼について書いてあるとおりに、したい放題のことを彼
にしたのである。(すなわち彼を殺し、人の子の道を準備させなかったので、人の子が苦
しみをうけねばならない。)」"
"410914","
マルコ 9:14","(山を下りて、ほかの)弟子たちの所にかえって見ると、大勢の
群衆が弟子たちを取り巻き、聖書学者たちがこれと議論をしていた。"
"410915","
マルコ 9:15","群衆はイエス(の姿)を見るが早いか、皆びっくりして、駆けて
きて歓迎した。"
"410916","
マルコ 9:16","イエスが群衆に尋ねられた、「弟子たちと何を議論しているの
か。」"
"410917","
マルコ 9:17","群衆のうちの一人が答えた、「先生、唖の霊につかれている伜を
あなたの所につれて来ました。"
"410918","
マルコ 9:18","この子は霊がつくと所かまわず投げ倒され、泡をふき、歯斬りし
て、体がこわばってしまいます。それで霊を追い出すことをお弟子たちに頼みましたが、
おできになりませんでした。」"
"410919","
マルコ 9:19","彼らに答えられる、「ああ不信仰な時代よ、わたしはいつまであ
なた達の所におればよいのか。いつまであなた達に我慢しなければならないのか。その子
をつれて来なさい。」(こう言って群衆のいない所に行かれた。)"
"410920","
マルコ 9:20","人々がイエスの所につれて来ると、霊はイエスを見るや否や、そ
の子をひどくひきつけさせたので、子は地に倒れ、泡をふきながらころげまわった。"
"410921","
マルコ 9:21","イエスが父親に尋ねられた、「こうなってから、どのくらいにな
るか。」父親がこたえた、「子供の時からです。"
"410922","
マルコ 9:22","霊はこの子を殺そうとして、幾たびか、火の中、水の中に投げ込
みました。それでも、もしなんとかお出来になるなら、わたしども(親子)を不憫と思っ
て、お助けください。」"
"410923","
マルコ 9:23","イエスは言われた、「もしお出来になるなら(と言うの)か。信
ずる者にはなんでも出来る。」"
"410924","
マルコ 9:24","即座にその子供の父親が叫んだ、「信じます。不信仰をお助けく
ださい。」"
"410925","
マルコ 9:25","イエスは群衆が駆けよってくるのを見ると、(急いで)汚れた霊
を叱りつけて言われた、「唖と聾の霊、わたしが命令するのだ、この子から出てゆけ、二
度と入るな!」"
"410926","
マルコ 9:26","霊はどなって、はげしくひきつけさせて、出ていった。子は死ん
だようになったので、多くの人が、「死んだ」と言った。"
"410927","
マルコ 9:27","イエスはその子の手をとって起された。すると立ち上がった。"
"410928","
マルコ 9:28","家にかえられると、弟子たちは人のいない時に尋ねた、「なぜわ
たし達には霊を追い出せなかったのでしょうか。」"
"410929","
マルコ 9:29","彼らに言われた、「この種類(の霊)は、祈り以外(の手段)で
は決して出てゆかせることは出来ない。」"
"410930","
マルコ 9:30","一行は(エルサレムに上るため)そこを去って、ガリラヤを通っ
た。しかしイエスは(この旅行が)人に知られることを好まれなかった。"
"410931","
マルコ 9:31","「人の子(わたし)は人々の手に引き渡され、彼らはこれを殺す。
殺されるが、三日の後に復活する」と言って、弟子たちに教えて(その覚悟を求めて)お
られたからである。"
"410932","
マルコ 9:32","彼らはこの言葉(の意味)がわからなかった。でもこわいので尋
ねなかった。"
"410933","
マルコ 9:33","カペナウムに来た。家につかれるとイエスは、弟子たちにお尋ね
になった、「道々何を評議していたのか。」"
"410934","
マルコ 9:34","彼らは黙っていた。(自分たちのうちで)だれが一番えらいかと、
道々論じ合っていたからである。"
"410935","
マルコ 9:35","イエスは坐って、十二人を呼んで言われる、「一番上になりたい
者は皆の一番下になれ、皆の召使になれ。」"
"410936","
マルコ 9:36","それから、一人の子供(の手)を取って彼らの真中に立たせ、そ
れを抱いて言われた、"
"410937","
マルコ 9:37","「わたしの名を信ずる一人のこんな子供を迎える者は、わたしを
迎えてくれるのである。わたしを迎える者は、わたしを迎えるのでなく、わたしを遣わさ
れた方をお迎えするのである。」"
"410938","
マルコ 9:38","ヨハネがイエスに言った、「先生、わたし達の仲間でない者が、
あなたの名を使って悪鬼を追い出しているのを見たので、止めるように言いました。仲間
にならないからです。(しかし言うことを聞きませんでした。)」"
"410939","
マルコ 9:39","イエスは言われた、「止めさせるに及ばない。わたしの名を使っ
て奇蹟を行ったすぐそのあとで、わたしの悪口の言える者はないのだから。"
"410940","
マルコ 9:40","反対しない者はわたし達の味方である。"
"410941","
マルコ 9:41","キリストの弟子だからとてあなた達に一杯の水を飲ませる者は、
アーメン、わたしは言う、(天にて)その褒美にもれることはない。"
"410942","
マルコ 9:42","しかし(わたしを)信ずるこの小さな者を一人でも罪にいざなう
者は、大きな 挽臼を頚にかけられて海に投げ込まれた方が、はるかにその人の仕合わせ
である。"
"410943","
マルコ 9:43","もし手があなたを罪にいざなうなら、切ってすてよ。両手があっ
て地獄の消えぬ火の中へ行くよりも、片手で(永遠の)命に入る方が仕合わせである。
"410944","
マルコ 9:44","[無し]
"410945","
マルコ 9:45","もし足があなたを罪にいざなうなら、切ってすてよ。両足があっ
て地獄に投げ込まれるよりも、片足で(永遠の)命に入るほうが仕合わせである。
"410946","
マルコ 9:46","[無し]
"410947","
マルコ 9:47","もしまた目があなたを罪にいざなうなら、えぐり出せ。両目があ
って地獄に投げ込まれるよりも、片目で神の国に入るほうが仕合わせである。
"410948","
マルコ 9:48","地獄では、“蛆は(永遠に)死なず、火は消えない”(で、その人
たちを責めさいなむからである。)
"410949","
マルコ 9:49","人は皆、火で塩味をつけられねばならない。(神のお喜びになる
供え物となるためである。)
"410950","
マルコ 9:50","塩は良いもの。しかしもし塩に塩気がなくなったら、何で(もう
一度)それに塩気をつけるか。(いつも)心に塩を保って、互に仲良くせよ。」
"411001","
マルコ 10:1","そこを立って、ユダヤ地方とヨルダン川の向こう(のペレヤ)と
に行かれる。すると群衆がまた彼の所に集まってきたので、またいつものように教えられ
た。"
"411002","
マルコ 10:2","そこにパリサイ人たちが進み出て、イエスを試そうとして尋ねた、
「夫は妻を離縁してもよろしいか。」"
"411003","
マルコ 10:3","彼らに答えられた、「モーセはあなた達になんと命じているか。」
"
"411004","
マルコ 10:4","彼らが言った、「モーセは、“離縁状を書いて(妻を)離縁するこ
とを”許した。」"
"411005","
マルコ 10:5","イエスは彼らに言われた、「モーセはあなた達の心が(神に対し
て)頑固なために、この掟を書いたのである。"
"411006","
マルコ 10:6","しかし(天地)創造の始めから、“神は彼らを男と女とに造られ
た。”"
"411007","
マルコ 10:7","“それゆえに人はその父と母とをすてて、"
"411008","
マルコ 10:8","二人は一体となる”(とモーセは書いている。)従って、もはや二
人ではない、一体である。"
"411009","
マルコ 10:9","だから夫婦は(皆)神が一つの軛におつなぎになったものである。
人間がこれを引き離してはならない。」"
"411010","
マルコ 10:10","家で弟子たちが、またこのことをお尋ねした。"
"411011","
マルコ 10:11","彼らに言われる、「妻を離縁してほかの女と結婚する者は、妻に
対して姦淫を犯すのである。"
"411012","
マルコ 10:12","もし妻が夫を離縁してほかの男と結婚すれば、(これも)姦淫を
犯すのである。」"
"411013","
マルコ 10:13","イエスにさわっていただこうとして、人々が子供たちをつれて
来ると、弟子たちが咎めた。"
"411014","
マルコ 10:14","イエスはこれを見て憤り、弟子たちに言われた、「子供たちをわ
たしの所に来させよ、邪魔をするな。神の国はこんな(小さな)人たちのものである。"
"411015","
マルコ 10:15","アーメン、わたしは言う、子供のように(すなおに)神の国(の
福音)を受け入れる者でなければ、決してそこに入ることはできない。」"
"411016","
マルコ 10:16","それから子供たちを抱き、(頭に)手をのせて祝福された。"
"411017","
マルコ 10:17","旅行に出ようとされると、ひとりの人が駆けてきて、ひざまず
いて尋ねた、「善い先生、永遠の命をいただくには、何をすればよいでしょうか。」"
"411018","
マルコ 10:18","イエスは言われた、「なぜわたしを『善い』と言うのか。神お一
人のほかに、だれも善い者はない。"
"411019","
マルコ 10:19","(するべきことは神の掟を守ることだけで、)掟はあなたが知っ
ている通り。──“殺してはならない、姦淫をしてはならない、盗んではならない、偽り
の証言をしてはならない、”奪い取ってはならない、“父と母とを敬え。”(ただこれだけで
ある。)」"
"411020","
マルコ 10:20","その人が言った、「先生、それならみんな若い時から守っており
ます。」"
"411021","
マルコ 10:21","イエスは彼をじっと見て、かわいく思って言われた、「(よく守
った。だが)一つ足りない。家に帰って、持っているものをみな売って、(その金を)貧
乏な人に施しなさい。そうすれば天に宝を積むことができる。それから来て、わたしの弟
子になりなさい。」"
"411022","
マルコ 10:22","彼はこの言葉に顔をくもらせ、悲しそうにして立ち去った。大
資産家であったのである。"
"411023","
マルコ 10:23","イエスは(うしろ姿を見送っておられたが、)やがて見まわして、
弟子たちに言われる、「物持ちが神の国に入るのは、なんとむずかしいことだろう。」"
"411024","
マルコ 10:24","弟子たちはその言葉にびっくりした。(彼らは富むことが、神に
特別に愛されているしるしと信じたのである。)イエスはかさねて言われる、「子供たちよ、
神の国に入ることは、なんとむずかしいのだろう。"
"411025","
マルコ 10:25","金持が神の国に入るよりは、駱駝が針の孔を通る方がたやす
い。」"
"411026","
マルコ 10:26","弟子たちはいよいよ驚いて互に言った、「それでは、だれが救わ
れることが出来るのだろう。」"
"411027","
マルコ 10:27","イエスは彼らをじっと見て言われる、「人間には出来ないが、神
には出来る。“神にはなんでも出来る。”」"
"411028","
マルコ 10:28","ペテロがイエスに、「でも、わたし達は(あの金持とちがいま
す。)この通り何もかもすてて、あなたの弟子になりました」と言い出した。"
"411029","
マルコ 10:29","イエスは言われた、「アーメン、あなた達に言う、わたしのため、
また福音のために、家や兄弟や姉妹や母や父や子や畑をすてた者で、"
"411030","
マルコ 10:30","今、この世で──迫害のうちにおいてではあるが──百倍の家
と兄弟と姉妹と母と子と畑とを、また来るべき世では永遠の命を受けない者は一人もない。
"
"411031","
マルコ 10:31","しかし(決して油断をしてはならない。)一番の者が最後になり、
最後の者が一番になることが多い。」"
"411032","
マルコ 10:32","一行はエルサレムへ(の道を)上る途中であった。イエスが(十
二人の)弟子たちの先頭に立って(どしどし)歩かれるので、彼らは薄気味わるく思い、
ついて行く(ほかの)人たちは恐ろしがっていた。イエスはまた十二人(だけ)をそばに
呼んで、自分の身に起ろうとしていることを話し出された、"
"411033","
マルコ 10:33","「さあ、いよいよわたし達はエルサレムへ上るのだ。そして人
の子(わたし)は(そこで)大祭司連と聖書学者たちとに引き渡される。彼らは死刑を宣
告して異教人に引き渡し、"
"411034","
マルコ 10:34","異教人はなぶり、唾をかけ、鞭で打って、ついに殺すのである。
しかし三日の後に復活する。」"
"411035","
マルコ 10:35","ここに、ゼベダイの子ヤコブとヨハネとが進み寄ってイエスに
言う、「先生、お願いがあります、きいていただきたいのです。」"
"411036","
マルコ 10:36","彼らに言われた、「何をしてほしいのか。」"
"411037","
マルコ 10:37","彼らが言った、「(来ようとしている)あなたの栄光の中で、わ
たし達の一人をあなたの右に、一人を左に坐らせてください。」"
"411038","
マルコ 10:38","イエスが言われた、「あなた達は自分で何を願っているのか、わ
からずにいる。わたしが飲む(苦難の)杯を飲み、わたしが受ける洗礼を受けることが出
来るのか。」"
"411039","
マルコ 10:39","「出来ます」と彼らがこたえた。イエスは言われた、「(いかに
も、)あなた達はわたしが飲む杯を飲み、わたしが受ける洗礼を受けるにちがいない。"
"411040","
マルコ 10:40","しかし、わたしの右と左の席は、わたしが与えるのではなく、(あ
らかじめ神に)定められた人々に与えられるのである。」"
"411041","
マルコ 10:41","(ほかの)十人(の弟子)はこれを聞いて、ヤコブとヨハネと
のことを憤慨し始めた。"
"411042","
マルコ 10:42","イエスは彼らを呼びよせて言われる、「あなた達が知っているよ
うに、世間ではいわゆる主権者が人民を支配し、また(いわゆる)えらい人が権力をふる
うのである。"
"411043","
マルコ 10:43","しかしあなた達の間では、そうであってはならない。あなた達
の間では、えらくなりたい者は召使になれ。"
"411044","
マルコ 10:44","一番上になりたい者は皆の奴隷になれ。"
"411045","
マルコ 10:45","人の子(わたし)が来たのも仕えさせるためではない。仕える
ため、多くの人のあがない金としてその命を与えるためである。」"
"411046","
マルコ 10:46","彼らはエリコ(の町)に来る。イエスが弟子たちや多くの群衆
と一しょにエリコを出られると、テマイの子のバルテマイという盲の乞食が道ばたに坐っ
ていた。"
"411047","
マルコ 10:47","ナザレのイエス(のお通り)だと聞くと、「ダビデの子イエス様、
どうぞお慈悲を」と言って叫び出した。"
"411048","
マルコ 10:48","多くの人が叱りつけて黙らせようとしたが、かえってますます
「ダビデのお子様、どうぞお慈悲を」と叫びつづけた。"
"411049","
マルコ 10:49","イエスは立ち止まって、「あれを呼べ」と言われた。人々が盲人
を呼んで言う、「安心せよ。起きよ。お呼びだ。」"
"411050","
マルコ 10:50","盲人は上着をぬぎ捨て、躍り上がってイエスの所に来た。"
"411051","
マルコ 10:51","イエスが彼に言われた、「何をしてもらいたいのか。」盲人がこ
たえた、「先生、見えるようになりたい。」"
"411052","
マルコ 10:52","そこでイエスが、「お帰り。あなたの信仰がなおした」と言われ
ると、すぐ見えるようになって、イエスの旅行について行った。"
"411101","
マルコ 11:1","一同がエルサレムの近く、(すなわち)オリブ山の中腹にあるベ
テパゲとベタニヤとに来ると、イエスはこう言って弟子を二人使にやられる、"
"411102","
マルコ 11:2","「あの向いの村まで行ってきなさい。村に入るとすぐ、まだだれ
も乗らない一匹の子驢馬がつないであるのが見える。それを解いて、引いてきてもらいた
い。"
"411103","
マルコ 11:3","もし『何をするのか』と言う者があったら、『主がお入用です。
すぐここにお返しになります』と言えばよろしい。」"
"411104","
マルコ 11:4","二人が行って見ると、はたして(ある家の)外の通りに向いた戸
に、子驢馬がつないであったので、それを解いた。"
"411105","
マルコ 11:5","するとそこに立っていた人たちが「子驢馬を解いて、何をするの
か」と言ったので、"
"411106","
マルコ 11:6","イエスに言われたとおりにこたえると、許してくれた。"
"411107","
マルコ 11:7","二人が子驢馬をイエスの所に引いてきて、自分たちの着物をその
上にかけると、イエスはそれに乗られた。"
"411108","
マルコ 11:8","大勢の者は着物を道に敷いた。野原から小枝を切ってき(て敷い)
た者もあった。"
"411109","
マルコ 11:9","(イエスの)前に行く者もあとについて行く者も、叫んだ。──
“ホサナ!、主の御名にて来られる方に祝福あれ。”"
"411110","
マルコ 11:10","来たるわれらの父ダビデの国に祝福あれ。いと高き所に“ホサ
ナ!”"
"411111","
マルコ 11:11","やがてエルサレムについって宮に入られた。隅なく見てまわれ
たのち、時間もはやおそくなったので、十二人を連れてベタニヤに出てゆかれた。"
"411112","
マルコ 11:12","あくる日、弟子たちとベタニヤから出てくるとき、イエスは空
腹であった。"
"411113","
マルコ 11:13","それで葉のしげった無花果の木を遠くから見て、何か(実が)
ありはしないかとそこに行かれた。が行って見ると、葉ばかりで何もなかった。(まだ)
無花果の季節でなかったのである。"
"411114","
マルコ 11:14","イエスはその木に言われた、「もはやいつまでも、だれもお前の
実を食べることのないように!」弟子たちは(この呪いの言葉を)聞いていた。"
"411115","
マルコ 11:15","エルサレムに来た。イエスは宮に入り、宮(の庭)で物を売る
者や買う者を追い出し始め、両替屋の台や、鳩を売る者の腰掛を倒された。"
"411116","
マルコ 11:16","(また近道をするために)器物を持って宮(の庭)を通り抜け
ることを許されなかった。"
"411117","
マルコ 11:17","それからこう言って教えられた、「“わたしの家は、すべての国
の人の祈りの家と呼ばれるべきである”と(聖書に)書いてあるではないか。ところがあ
なた達はそれを“強盗の巣”にしてしまっている。」"
"411118","
マルコ 11:18","大祭司連と聖書学者たちはこれを聞いて、どうしてイエスを殺
そうかと(その手段を)考えていた。民衆が皆その教えに感心しきっていたので、イエス
(の勢力)を恐れたのである。"
"411119","
マルコ 11:19","夕方になると、イエス達はいつも都を出て(ベタニヤに)いっ
た。"
"411120","
マルコ 11:20","(次の)朝早く、通るときに見ると、(きのうの)無花果の木は
根元から枯れていた。"
"411121","
マルコ 11:21","ペテロは思い出してイエスに言う、「先生、御覧なさい、お呪い
になった無花果は枯れています。」"
"411122","
マルコ 11:22","イエスが彼らに答えられる、「神(の力)を信ぜよ。"
"411123","
マルコ 11:23","アーメン、わたしは言う、だれでもこの山に向かい、『立ち上が
って海に飛び込め』と言って心に疑わず、自分の言うことは成ると信ずるならば、そのと
おりになる。"
"411124","
マルコ 11:24","だからわたしは言う、(神に)祈り求めるものはなんでも、すで
に戴いたと信ぜよ。そうすればそのとおりになる。"
"411125","
マルコ 11:25","なお立って祈っている時に、だれかに恨みがあったら赦してや
れ。これは天の父上からも、あなた達の過ちを赦していただくためである。」"
"411126","
マルコ 11:26","(無し)"
"411127","
マルコ 11:27","またエルサレムに来る。イエスが宮の中をぶらついておられる
と、大祭司連、聖書学者、長老たちがよって来て"
"411128","
マルコ 11:28","言った、「なんの権威で(きのうのような)あんなことを(宮で)
するのか。だれがそれをする権威を授けたのか。」"
"411129","
マルコ 11:29","イエスは言われた、「では一つ尋ねる。それに答えよ。その上で、
なんの権威でそれをするかを言おう。"
"411130","
マルコ 11:30","──ヨハネの洗礼は天(の神)から(授かったの)であったか、
それとも人間からか、それに答えよ。」"
"411131","
マルコ 11:31","彼らはひそかに考えた、「もし『天から』と言えば、『では、な
ぜヨハネを信じなかったか』と言うであろうし、"
"411132","
マルコ 11:32","それとも『人間から』と言おうか。」──(だが)民衆(の反対)
がこわかった。みんながヨハネをほんとうに預言者だと思っていたからである。"
"411133","
マルコ 11:33","そこで「知らない」とイエスに答える。彼らに言われる、「では
なんの権威であんなことをするか、わたしも言わない。」"
"411201","
マルコ 12:1","それから譬をもって彼らに話し出された、「ある人が“葡萄畑を
つくって、垣根をめぐらし、(その中に)搾り場をもうけ、(見張りの)櫓を建てた”上、
小作人たちに貸して旅行に出かけた。"
"411202","
マルコ 12:2","(収穫の)時が来たので、小作人から葡萄畑の収穫の分け前を取
り立てるために、一人の使用人を小作人の所に使にやった。"
"411203","
マルコ 12:3","すると、それをつかまえてなぐりつけ、手ぶらでかえした。"
"411204","
マルコ 12:4","またほかの使用人を一人やると、それをも頭をなぐり、かつ侮辱
した。"
"411205","
マルコ 12:5","そこで(また)ほかの一人をやっると、それも殺してしまった。
ほかの大勢(の使用人)を(やったが、)なぐったり、殺したりしてしまった。"
"411206","
マルコ 12:6","(最後に)まだ一人、最愛の(独り)息子があった。『わたしの
息子なら恐れ入るにちがいない』と言って、最後にこれを使にやった。"
"411207","
マルコ 12:7","するとその小作人たちは、『これは相続人だ。さあ、殺してしま
おう。そうすればその財産はおれ達のものになるのだ』と互に言いながら、"
"411208","
マルコ 12:8","つかまえて殺した上、葡萄畑の外に放り出してしまった(という
話)。"
"411209","
マルコ 12:9","(それで尋ねるが、)葡萄畑の持ち主はどうするだろうか。(もち
ろん)来て小作人たちを殺し、葡萄畑をほかの人に貸すにちがいない。"
"411210","
マルコ 12:10","あなた達はこの聖書の句をすら読んだことがないのか。──“大
工たちが(役に立たぬと)捨てた石、それが隅の土台石になった。"
"411211","
マルコ 12:11","これは主のなされたことで、われわれの目には不思議である。”」
"
"411212","
マルコ 12:12","彼らはイエスが自分たちに当て付けてこの譬を言われたことを
知ったので、(怒って)イエスを捕えようと思ったが、民衆(が騒ぎ出すの)を恐れた。
それで、イエスをそのままにして立ち去った。"
"411213","
マルコ 12:13","それから彼らは数人のパリサイ人とヘロデ党の者とを、イエス
の所にやった。その言葉尻をとらえ(て訴え出)ようとするのである。"
"411214","
マルコ 12:14","その人たちは来てイエスに言う、「先生、あなたは正直な方で、
だれにも遠慮されないことをよく承知しております。人の顔色を見ず、本当のことを言っ
て神の道を教えられるからです。(それでお尋ねしますが、わたし達は異教人である)皇
帝に、税を納めてよろしいでしょうか、よろしくないでしょうか。納めるべきでしょうか、
納めるべきでないでしょうか。」"
"411215","
マルコ 12:15","イエスは彼らの偽善を見抜いて言われた、「なぜわたしを試すか。
デナリ銀貨を持ってきて見せなさい。」"
"411216","
マルコ 12:16","持ってくると、言われる、「これはだれの肖像か、まただれの銘
か。」「皇帝のです」と彼らが言った。"
"411217","
マルコ 12:17","イエスは言われた、「皇帝のものは皇帝に、神のものは神に返
せ。」彼らはイエスに驚いてしまった。"
"411218","
マルコ 12:18","そこに、復活なしと主張するサドカイ人たちが来て、イエスに
こう言って質問した、"
"411219","
マルコ 12:19","「先生、モーセは(その律法に、)“もし死んだ兄が、”妻を残し
て“子をのこさない場合には、弟はその女をめとり、兄の家をつぐべき子をもうけよ”と
わたし達のために書いています。"
"411220","
マルコ 12:20","(ところでここに)七人の兄弟があって、長男が妻をめとった
が、子をのこさずに死に、"
"411221","
マルコ 12:21","次男が(この律法に従って)その女をめとったが、また子を残
さずに死に、三男も同様で、"
"411222","
マルコ 12:22","ついに七人とも子をのこさず、一番最後にその女も死んでしま
いました。"
"411223","
マルコ 12:23","(もし復活があるなら、)人が復活する復活の折には、この女は
その(七人の)うちのだれの妻になるのでしょうか。七人ともその女を妻にしましたから。」
"
"411224","
マルコ 12:24","イエスは言われた、「あなた達は聖書も神の力も知らないから、
そんな間違いをしているのではないか。"
"411225","
マルコ 12:25","死人の中から復活する時には、めとることもなく嫁ぐこともな
く、ちょうど天の使のようである。"
"411226","
マルコ 12:26","死人が復活することについては、(聖書にはっきり書いてあ
る。)モーセの書の茨の薮の(燃える話の)ところで、神がモーセにこう言われたのを読
んだことがないのか、──“わたしはアブラハムの神、またイサクの神、またヤコブの神
(である)”と。"
"411227","
マルコ 12:27","(ところで)神は死人の神ではなく、生きている者の神である。
(だからアブラハム、イサクなども皆復活して、今生きているわけではないか。)あなた
達は大間違いをしている。」"
"411228","
マルコ 12:28","一人の聖書学者がこの議論を聞いていたが、イエスがあざやか
に答えられたのを見ると、進み出て尋ねた、「どの掟がすべてのうちで第一ですか。」"
"411229","
マルコ 12:29","イエスは答えられた、「第一はこれである。──“聞け、イスラ
エルよ、われわれの神なる主はただ一人の主である。"
"411230","
マルコ 12:30","心のかぎり、精神のかぎり、”思いのかぎり、“力のかぎり、あ
なたの神なる主を愛せよ。”"
"411231","
マルコ 12:31","第二はこれ。──“隣の人を自分のように愛せよ。”これら(二
つ)よりも大事な掟はほかにはない。」"
"411232","
マルコ 12:32","聖書学者が言った、「先生、ごりっぱです。“神はただ一人であ
る、彼のほかに神はない”とは、本当のことを言われました。"
"411233","
マルコ 12:33","また“心のかぎり、知恵のかぎり、力のかぎり神を愛する”こ
とと、“隣の人を自分のように愛する”こととは、どんな“燔祭や犠牲”にも勝っており
ます。」"
"411234","
マルコ 12:34","イエスは彼がかしこく答えたのを見て、「あなたは神の国から遠
くない」と言われた。もうだれ一人、問おうとする者はなかった。"
"411235","
マルコ 12:35","イエスは宮で教えておられたとき、言い出された、「聖書学者は
どういう訳で『救世主はダビデの子である』と言うのであろうか。"
"411236","
マルコ 12:36","ダビデ自身が聖霊に感じてこう言った。──、“(神なる)主は
わが主(救世主)に仰せられた、『わたしの右に坐りなさい、わたしがあなたの敵を(征
服して)あなたの足の下に置くまで』と。”"
"411237","
マルコ 12:37","(このように)ダビデ自身が救世主を主と言っているのに、ど
うして(その救世主が)ダビデの子であろうか。」大勢の群衆は喜んでイエスの話を聞い
ていた。"
"411238","
マルコ 12:38","またその教えの中で(こんなことを)言われた、「聖書学者に気
をつけよ。あの人たちは(人の目につくように)長い衣を着て歩くことや、市場で挨拶さ
れることや、"
"411239","
マルコ 12:39","礼拝堂の上席、宴会の上座が好きである。"
"411240","
マルコ 12:40","また寡婦の家を食いつぶし、長く、見かけばかりの祈りをする。
あの人たちは人一倍きびしい裁きを受けるであろう。」"
"411241","
マルコ 12:41","それから賽銭箱の真向いに坐って、群衆が賽銭箱に金を入れる
のを見ておられた。大勢の金持が沢山入れているとき、"
"411242","
マルコ 12:42","ひとりの貧乏な寡婦が来て、レプタ銅貨[五円]二つ、すなわ
ち(ローマの金で)一コドラントを入れた。"
"411243","
マルコ 12:43","イエスは弟子たちを呼びよせて言われた、「アーメン、わたしは
言う、あの貧乏な寡婦は、賽銭箱に入れただれよりも多く入れた。"
"411244","
マルコ 12:44","皆はあり余る中から入れたのに、あの婦人は乏しい中から、持
っていたものを皆、生活費全部を入れたのだから。」"
"411301","
マルコ 13:1","イエスが宮を出てゆかれるとき、一人の弟子が言う、「先生、御
覧なさい、なんと大きな石、なんと堂々たる建築でしょう!」"
"411302","
マルコ 13:2","イエスは言われた、「この大きな建築を見ているのか。このまま
重なっている石が一つもなくなるほど、くずれてしまうであろう。」"
"411303","
マルコ 13:3","オリブ山で宮の方を向いて坐っておられると、ペテロとヤコブと
ヨハネとアンデレとだけでイエスに尋ねた、"
"411304","
マルコ 13:4","「(宮がくずれると言われますが、)そのことはいつ起るか、また、
(世の終りが来て)すべてこのことが実現しようとする時には、どんな前兆があるか、話し
てください。」"
"411305","
マルコ 13:5","そこでイエスが話し出された。──「人に迷わされないように気
をつけよ。"
"411306","
マルコ 13:6","いまに多くの人があらわれて、『(救世主は)わたしだ』と言って
わたしの名を騙り、多くの人を迷わすにちがいない。"
"411307","
マルコ 13:7","戦争(を目のあたりに見たり、)また戦争の噂を聞いた時に、あ
わてるな。“それはおこらねばならないことである”が、しかしまだ最後ではない。"
"411308","
マルコ 13:8","(世の終りが来る前に、)“民族は民族に、国は国に向かって(敵
となって)立ち上がる”のだから。(また)ここかしこに地震があり、飢饉がある。(だが)
これは(まだ、新しい世界が生まれるための)陣痛の始めである。"
"411309","
マルコ 13:9","しかしあなた達は(こんな外の出来事よりも)自分のことに気を
つけておれ。あなた達は裁判所に引き渡され、礼拝堂で打たれる。また、わたし(の弟子
であるが)ゆえに、総督や王の前に立たされるであろう。これは、その人たちに(福音を)
証しする(機会を与えられる)ためである。"
"411310","
マルコ 13:10","(終りの日が来る前に)福音はまずすべての国の人に説かれね
ばならないのだから。"
"411311","
マルコ 13:11","人々があなた達を引いていって(裁判所や役人に)引き渡した
時には、何を言おうかと取越し苦労をするな。なんでもその時に(神から)授かるもの、
それを言えばよろしい。言うのはあなた達でなく、聖霊だから。"
"411312","
マルコ 13:12","また兄弟は兄弟を、父は子を、殺すために(裁判所に)引き渡
し、“子は親にさからい立って”これを殺すであろう。"
"411313","
マルコ 13:13","あなた達はわたしの弟子であるために皆から憎まれる。しかし
最後まで耐え忍ぶ者は救われる。"
"411314","
マルコ 13:14","しかし“(聖なる所を)荒す忌わしい者が”立ってはならない(聖
なる)所に立つのを見たら[読者は(ここに隠された意味を)よく考えるがよい]、その
時ユダヤ(の平地)におる者は(急いで)山に逃げよ。"
"411315","
マルコ 13:15","屋根の上におる者は、下におりて家に入って何か取りだそうと
するな。"
"411316","
マルコ 13:16","畑におる者は上着を取りに“家にもどる”な。"
"411317","
マルコ 13:17","それらの日には、身重の女と乳飲み子をもつ女とは、ああかわ
いそうだ!"
"411318","
マルコ 13:18","このことが冬にならないように祈れ。"
"411319","
マルコ 13:19","それらの日には、神が(天地を)創造された“その創造の始め
から今日までになかった、”また(これからも)決してない“ような苦難が”臨むのだか
ら。"
"411320","
マルコ 13:20","もし主がこれらの(苦難の)日を短くされなかったら、だれ一
人助かる者はあるまい。しかし選びをうけた、選ばれた人々のために、これらの日を短く
してくださっているのである。"
"411321","
マルコ 13:21","またその時『ここに救世主が!』、『かしこに!』と言う者があ
っても、信ずるな。"
"411322","
マルコ 13:22","偽救世主たち、“偽預言者たちが”あらわれて、“奇蹟や不思議
なことを行い、”あわよくば、選ばれた人々を惑わそうとするのである。"
"411323","
マルコ 13:23","だからあなた達、気をつけておれ。あなた達には皆前もって言
っておく。"
"411324","
マルコ 13:24","しかしそれらの日には、こんな苦難の後に、“日は暗く、月は光
を放たず、”"
"411325","
マルコ 13:25","“星は”天から“落ち、もろもろの天体が”震われるであろう。
"
"411326","
マルコ 13:26","するとその時、人々は“人の子(わたし)が”大いなる権力と
栄光とをもって、“雲に乗って来るのを”見るであろう。"
"411327","
マルコ 13:27","するとその時、人の子は天使たちをやって、地の“果てから天
の果てまで”“四方から、”選ばれた人々を“集めるであろう。”"
"411328","
マルコ 13:28","無花果の木で(この神の国の)譬を学ぶがよい。──枝がすで
に柔らかになって葉が出ると、夏が近いと知るのである。"
"411329","
マルコ 13:29","そのようにあなた達も、これらのことがおこるのを見たら、人
の子(わたし)が門口近く来ていることを知れ。"
"411330","
マルコ 13:30","アーメン、わたしは言う、これらのことが一つのこらずおこっ
てしまうまでは、この時代は決して消え失せない。"
"411331","
マルコ 13:31","天地は消え失せる。しかし(いま言った)わたしの言葉は消え
失せない。"
"411332","
マルコ 13:32","ただし、(人の子の来る)その日また時間は、父上のほかだれも
知らない。天の使たちも、子(であるわたし自身)も知らない。"
"411333","
マルコ 13:33","気をつけよ、油断するな。あなた達はその時がいつであるか、
知らないのだから。"
"411334","
マルコ 13:34","それはちょうど、ある人が旅行に出かけようとして家を出ると
き、僕たちに全権をゆだねてひとりびとりに仕事をわりあて、また門番には目を覚まして
おれ、と言いつけるようなものである。"
"411335","
マルコ 13:35","だから(たえず)目を覚ましておれ。あなた達は家の主人がい
つかえって来るか、夕方か、夜中か、一番鶏か、それとも夜明けかを知らないのだから。"
"411336","
マルコ 13:36","だしぬけに主人がかえって来て、あなた達の眠っているのを見
ないとはかぎらない。"
"411337","
マルコ 13:37","わたしはあなた達に言うことをすべての人に言う、『目を覚まし
ておれ』と。」"
"411401","
マルコ 14:1","過越の祭と種なしパンの祭との二日前になった。大祭司連と聖書
学者たちは、どんな計略でイエスを捕えて殺そうかと考えていた。"
"411402","
マルコ 14:2","「(早く片付けよう。)祭の時(に手を下して)はいけない。人民
どもが騒動を起すかも知れない」と言っていたのである。"
"411403","
マルコ 14:3","ベタニヤで癩病人シモンの家におられるとき、食卓についておら
れると、一人の女が混ぜ物のない、非常に高価なナルドの香油のはいった石膏の壷を持っ
て来て、その壷をこわし、(香油をすっかり)イエスの頭に注ぎかけた。"
"411404","
マルコ 14:4","数人の者は(これを見て、こう言って)互に憤慨した、「香油を、
なぜこんなもったいないことをしたのだろう。"
"411405","
マルコ 14:5","この香油は三百デナリ[十五万円]以上にも売れて、貧乏な人に
施しが出来たのに。」そして女にむかっていきり立った。"
"411406","
マルコ 14:6","イエスは言われた、「構わずにおきなさい。なぜいじめるのか。
わたしに良いことをしてくれたのだ。"
"411407","
マルコ 14:7","貧乏な人はいつもあなた達と一しょにいるから、したい時に慈善
をすることが出来る。だがわたしはいつも一しょにいるわけではない。"
"411408","
マルコ 14:8","この婦人はできるかぎりのことをした。──前もってわたしの体
に油をぬって、葬る準備をしてくれたのである。"
"411409","
マルコ 14:9","アーメン、わたしは言う、世界中どこででも(今後)福音の説か
れる所では、この婦人のしたことも、その記念のために(一しょに)語りつたえられるで
あろう。」"
"411410","
マルコ 14:10","ここに十二人の(弟子の)一人であるイスカリオテのユダは、
イエスを売ろうとして大祭司連の所に出かけた。"
"411411","
マルコ 14:11","彼らは聞いて喜び、金をやる約束をした。ユダはどうしてイエ
スを引き渡そうかと、よい機会をねらっていた。"
"411412","
マルコ 14:12","種なしパンの祭の初めの日、すなわち過越の小羊を屠る日(の
朝)、弟子たちがイエスに言う、「どこへ行って過越のお食事の支度をしましょうか。」"
"411413","
マルコ 14:13","そこでイエスはこう言って二人の弟子を使にやられる、「都まで
行ってきなさい。水瓶をかついだ男に出合うから、そのあとについて行って、"
"411414","
マルコ 14:14","どこでもその人が入ってゆく(家に入って、)家の主人に、『わ
たしが弟子たちと一しょに過越の食事をする部屋はどこか、と先生が言われる』と言いな
さい。"
"411415","
マルコ 14:15","すると主人は敷物のしいてある、用意のできた大きな二階座敷
に案内してくれるから、そこでわたし達のために(食事の)支度をしなさい。」"
"411416","
マルコ 14:16","(二人の)弟子たちは出かけて都に行って見ると、はたしてイ
エスの言葉どおりだったので、(そこで)過越の食事の支度をした。"
"411417","
マルコ 14:17","夕方になると、イエスは十二人をつれて(そこに)来られる。"
"411418","
マルコ 14:18","彼らが席について食事をしているとき、イエスは言われた、「ア
ーメン、わたしは言う、あなた達のうちの一人、“わたしと一しょに食事をする者が、”わ
たしを(敵に)売ろうとしている!」"
"411419","
マルコ 14:19","(これを聞くと)弟子たちは悲しくなって、「(先生、)わたしで
はないでしょう!」(「わたしではないでしょう!」)と、ひとりびとりイエスに言い始め
た。  "
"411420","
マルコ 14:20","イエスは言われた、「十二人の一人、わたしと一しょにひとつ鉢
から食べる者だ。"
"411421","
マルコ 14:21","人の子(わたし)は(聖書に)書いてあるとおりに死んでゆく
のだから。だが人の子を売るその人は、ああかわいそうだ!生まれなかった方がよっぽど
仕合わせであった。」"
"411422","
マルコ 14:22","(ユダが立ち去ったあと、)彼らが食事をしているとき、イエス
は(いつものように)パンを(手に)取り、(神を)讃美して裂き、弟子たちに渡して言
われた、「取りなさい、これはわたしの体である。」(皆がそれを受け取って食べた。)"
"411423","
マルコ 14:23","また杯を取り、(神に)感謝したのち彼らに渡されると、皆がそ
の杯から飲んだ。"
"411424","
マルコ 14:24","彼らに言われた、「これは多くの人のために流す、わたしの“約
束の血”である。"
"411425","
マルコ 14:25","アーメン、わたしは言う、神の国で新しいのを飲むその日まで、
わたしはもう決して、葡萄の木に出来たものを飲まない。」"
"411426","
マルコ 14:26","(食事がすむと、)みなで讃美歌をうたったのち、オリブ山へ出
かけた。(もう真夜中すぎであった。)"
"411427","
マルコ 14:27","(道で)イエスは弟子たちに言われる、「(今夜)あなた達は、
一人のこらず(信仰に)つまずくであろう。(聖書に)“わたしは羊飼を打つ、羊はちりぢ
りになるであろう”と書いてあるからである。(羊飼はわたし、羊はあなた達である。)"
"411428","
マルコ 14:28","しかしわたしは復活した後、あなた達より先にガリラヤに行く。
(そこでまた会おう。)」"
"411429","
マルコ 14:29","するとペテロは言った、「仰せのとおり皆がつまずいても、この
わたしはつまずきません。」"
"411430","
マルコ 14:30","イエスはペテロに言われる、「アーメン、わたしは言う、きょう
今夜、鶏が二度鳴く前に、あなたは三度、わたしを知らないと言う。」"
"411431","
マルコ 14:31","するとペテロが躍起となって言った、「たとえご一しょに死なね
ばならなくても、あなたを知らないなどとは、決して申しません。」皆も異口同音にこた
えた。"
"411432","
マルコ 14:32","やがて(オリブ山の麓の)ゲッセマネと呼ばれる地所に着いた。
イエスは弟子たちに言われる、「わたしの祈りがすむまで、ここに坐って(待って)おれ。」
"
"411433","
マルコ 14:33","そしてペテロとヤコブとヨハネ(だけ)を連れて(奥の方へ)
ゆかれると、(急に)おびえ出し、おののきながら"
"411434","
マルコ 14:34","彼らに言われる、「“心がめいって、”“死にたいぐらいだ。”ここ
をはなれずに、目を覚ましていてくれ。」"
"411435","
マルコ 14:35","そしてなお少し(奥に)進んでいって、地にひれ伏し、出来る
ことなら、この時が自分の前を通りすぎるようにと祈って"
"411436","
マルコ 14:36","言われた、「アバ、お父様、あなたはなんでもお出来になります。
どうかこの杯をわたしに差さないでください。しかし、わたしの願いでなく、お心がなれ
ばよいのです。」"
"411437","
マルコ 14:37","やがて来て、彼らが眠っているのを見ると、ペテロに言われる、
「シモン、眠っているのか。たった一時間も目を覚ましておられないのか。"
"411438","
マルコ 14:38","あなた達、目を覚まして、誘惑に陥らないように祈っていなさ
い。心ははやっても、体が弱いのだから。」"
"411439","
マルコ 14:39","それからまた向こうへ行って、同じ言葉で祈り、"
"411440","
マルコ 14:40","また来て見られると、彼らはまたもや眠っていた。(悲しみのた
めに疲れて、)瞼が重かったのである。イエスになんと答えてよいかもわからなかった。"
"411441","
マルコ 14:41","三度目に来て、(また眠っているのを見ると)言われる、「もっ
と眠りたいのか。休みたいのか。もうそのくらいでよかろう。時が来た。そら、人の子は
罪人どもの手に渡されるのだ。"
"411442","
マルコ 14:42","立て。行こう。見よ、わたしを売る者が近づいてきた!」"
"411443","
マルコ 14:43","イエスの言葉がまだ終らぬうちに、早くも十二人の一人のユダ
があらわれる。大祭司連、聖書学者、長老のところから派遣された一群の人が、剣や棍棒
を持ってついて来た。"
"411444","
マルコ 14:44","イエスを売る者は、「わたしが接吻するのがその人だ。それを捕
えて、手ぬかりなく引いてゆけ」と、(あらかじめ)合図をきめておいた。"
"411445","
マルコ 14:45","そこで、来るや否やイエスに近寄って、「先生」と言って接吻し
た。"
"411446","
マルコ 14:46","人々がイエスに手をかけて捕えた。"
"411447","
マルコ 14:47","(イエスの)そばに立っていたひとりの人が剣を抜いて大祭司
の下男に切りつけ、片耳をそぎ落してしまった。"
"411448","
マルコ 14:48","イエスは人々に言われた、「強盗にでも向かうように、剣や棍棒
を持ってつかまえに来たのか。"
"411449","
マルコ 14:49","わたしは毎日宮にいてあなた達の所で教えていたのに、捕えず
において、(どうして今、こんな真夜中に来たのか。)しかしこれは、(救世主は罪人のよ
うにあつかわれるという)聖書の言葉が成就するためである。」"
"411450","
マルコ 14:50","一人のこらずイエスをすてて逃げた。"
"411451","
マルコ 14:51","ある青年が素肌に亜麻布をひっかけて、イエスについて来てい
た。人々が捕えようとすると、"
"411452","
マルコ 14:52","亜麻布を(人々の手に)残して裸で逃げていった。"
"411453","
マルコ 14:53","イエスを大祭司(カヤパ)の所に引いてゆくと、(最高法院の役
人、すなわち)大祭司連、長老、聖書学者たちが全部集まってきた。"
"411454","
マルコ 14:54","ペテロは見えがくれにイエスについて大祭司(官邸)の中庭ま
ではいって行き、下役らと一しょにすわって、火にあたっていた。"
"411455","
マルコ 14:55","大祭司連をはじめ全最高法院は、イエスを死刑にするためしき
りにイエスに不利な証言をさがしたが、見つからなかった。"
"411456","
マルコ 14:56","イエスに不利な偽証をする者は多かったが、その証言は合わな
かったのである。  "
"411457","
マルコ 14:57","すると数人の者があらわれ、イエスに不利な偽証をして言った、
"
"411458","
マルコ 14:58","「わたし達はこの人が、『自分は(人間の)手で造ったこのお宮
をこわして、手で造らない別のお宮を三日のうちに建てる』と言うのを聞いた。」"
"411459","
マルコ 14:59","しかし今度も証言が合わなかった。"
"411460","
マルコ 14:60","そこで大祭司は立ち上がり、真中に進み出てイエスに問うた、
「何も答えないのか。この人たちは(あんなに)お前に不利益な証言をしているが、あれ
はどうだ。」"
"411461","
マルコ 14:61","しかしイエスは黙っていて、何もお答えにならなかった。大祭
司がふたたび問うて言う、「お前が、讃美されるお方の子、救世主か。」"
"411462","
マルコ 14:62","するとイエスは(はじめて口を開いて)言われた、「そうだ、わ
たしだ。あなた方は“人の子(わたし)が”“大能の(神の)右に坐り、”“天の雲に囲ま
れて来るのを”見るであろう。」"
"411463","
マルコ 14:63","すると大祭司は自分の着物を引き裂いて言う、「これ以上、なん
で証人の必要があろう。"
"411464","
マルコ 14:64","諸君は(今、おのれを神の子とする許しがたい)冒涜を聞かれ
た。(この者の処分について)御意見を承りたい。」満場一致で、死罪を相当とすると決定
した。"
"411465","
マルコ 14:65","(法院の役人たちの)中にはイエスに唾をかけ、目隠しをして
拳でうちながら、「(だれだか)当ててみろ」と言った者もあった。下役らはイエスにいく
つも平手打ちをくらわせた。"
"411466","
マルコ 14:66","ペテロは下の中庭にいたが、大祭司の女中が一人来て、"
"411467","
マルコ 14:67","ペテロが火にあたっているのを見ると、じっと見つめながら、
「あなたもあのナザレ人と一しょだった、あのイエスと」と言う。"
"411468","
マルコ 14:68","しかしペテロは、「あなたが何を言っているのかわからない、見
当もつかない」と言って打ち消した。そして前庭に出てゆくと、鶏が鳴いた。(すると)"
"411469","
マルコ 14:69","その女中がペテロを見て、そばに立っていた人たちに、またも
「この人はあの仲間だ」と言い出した。"
"411470","
マルコ 14:70","ペテロはまた打ち消した。しばらくすると、そばに立っていた
人たちがまたペテロに言った、「確かにあの仲間だ。あなたもガリラヤ人だから。」"
"411471","
マルコ 14:71","しかしペテロは、「あなた達が言っているそんな男は知らない。
(これが嘘なら、呪われてもよい)」と、幾たびも呪いをかけて誓った。"
"411472","
マルコ 14:72","するとすぐ、二度目に鶏が鳴いた。ペテロは、「鶏が二度鳴く前
に、三度、わたしを知らないと言う」とイエスに言われた言葉を思い出して、わっと泣き
だした。(いつまでも涙が止まらなかった。)"
"411501","
マルコ 15:1","夜が明けるとすぐ、大祭司連は長老、聖書学者と共に、すなわち
全最高法院で決議をすませたのち、イエスを縛り、引いていって(総督ピラトに)渡した。
"
"411502","
マルコ 15:2","ピラトはイエスに問うた、「お前が、ユダヤ人の王か。(お前はそ
の廉で訴えられているが。)」答えて言われる、「(そう言われるならば)御意見にまかせ
る。」"
"411503","
マルコ 15:3","大祭司連が(いろいろ罪状をあげて、)しきりにイエスを訴えた。
"
"411504","
マルコ 15:4","そこで、またピラトが問うた、「何も答えないのか。そら、あん
なにお前を訴えているではないか。」"
"411505","
マルコ 15:5","しかしイエスはもはや何もお答えにならなかったので、ピラトは
不思議に思った。"
"411506","
マルコ 15:6","さてピラトは(過越の)祭の都度、人民から願い出る囚人を一人
だけ(特赦によって)赦していた。"
"411507","
マルコ 15:7","ところが暴動の折、人殺しをして繋がれていた暴徒の中に、バラ
バという者があった。"
"411508","
マルコ 15:8","群衆が(官邸に)上がってきて、いつもするように(してもらい
たい)と願い始めた。"
"411509","
マルコ 15:9","ピラトは答えて言った、「あのユダヤ人の王を赦してもらいたい
のか。」"
"411510","
マルコ 15:10","ピラトは大祭司連が妬みからイエスを引き渡したことを知って
いたのである。"
"411511","
マルコ 15:11","しかし大祭司連は、(彼よりは)バラバの方を赦してもらえと群
衆を煽動した。"
"411512","
マルコ 15:12","ピラトはまた彼らに言った、「では、お前たちがユダヤ人の王と
言っているあの人を、どうしようか。」"
"411513","
マルコ 15:13","「それを十字架につけろ」とまた人々が叫んだ。"
"411514","
マルコ 15:14","ピラトは言った、「いったいどんな悪事をはたらいたというの
か。」しかし人々はいよいよ激しく、「それを十字架につけろ」と叫んだ。"
"411515","
マルコ 15:15","ピラトは群衆の機嫌を取ろうと思ってバラバを赦してやり、イ
エスを鞭打ったのち、十字架につけるため(兵卒)に引き渡した。"
"411516","
マルコ 15:16","兵卒らは官邸、すなわち総督官舎、の中にイエスを引いてゆき、
(王の茶番狂言を見せるために)全部隊を呼びあつめた。"
"411517","
マルコ 15:17","彼らはイエスに紫の衣を着せ、茨の冠を編んでかぶらせて(王
に仕立てたのち、)"
"411518","
マルコ 15:18","「ユダヤ人の王、万歳!」と(叫んで)喝采した。"
"411519","
マルコ 15:19","それから葦(の棒)で頭をたたき、唾をかけ、ひざまずいてお
がんだ。"
"411520","
マルコ 15:20","こうしてなぶった後、紫の衣を脱がせてもとの着物を着せた。
兵卒らはイエスを十字架につけるために(都から)引き出した。"
"411521","
マルコ 15:21","するとアレキサンデルとルポスとの父であるシモンというクレ
ネ人が、野良から来て通りかかったので、有無を言わせずイエスの十字架を負わせる。(イ
エスにはもう負う力がなかったのである。)"
"411522","
マルコ 15:22","兵卒らはイエスをゴルゴダという所──訳すると「髑髏の所」
──につれて行く。"
"411523","
マルコ 15:23","人々は(苦痛をやわらげるために)没薬をまぜた葡萄酒をやろ
うとしたが、お受けにならなかった。"
"411524","
マルコ 15:24","兵卒らはイエスを十字架につける。それから、だれが何を取る
かと、“籤を引いて、”その“着物を自分たちで分ける、”"
"411525","
マルコ 15:25","十字架につけたのは朝の九時であった。"
"411526","
マルコ 15:26","罪状札には ユ ダ ヤ 人 の 王と書いてあった。"
"411527","
マルコ 15:27","またイエスと共に二人の強盗を、一人をその右に、一人を左に
十字架につけた。"
"411528","
マルコ 15:28","(無し)"
"411529","
マルコ 15:29","通りかかった人々が“頭をふりながら、”こう言ってイエスを冒
涜した、「へへえ、お宮をこわして三日で建てるという人、"
"411530","
マルコ 15:30","自分を救ってみろ、十字架から下りてきて!」"
"411531","
マルコ 15:31","同じように大祭司連も、聖書学者と一しょに、こう言って(イ
エスを)なぶり合った、「あの男、人は救ったが、自分は救えない。"
"411532","
マルコ 15:32","救世主、イスラエルの王様が!今すぐ十字架から下りてくるが
よい。見たら信じてやるのに!」一しょに十字架につけられた二人(の強盗)も、イエス
を罵った。"
"411533","
マルコ 15:33","昼の十二時になると、地の上が全部暗闇になってきて、三時ま
でつづいた。"
"411534","
マルコ 15:34","三時に、イエスは大声を出して“エロイ エロイ ラマ サバ
クタニ!”と叫ばれた。訳すると、“わたしの神様、わたしの神様、なぜ、わたしをお見
捨てになりましたか!”である。"
"411535","
マルコ 15:35","そばに立っていた人たちのうちにはこれを聞いて、「そら、エリ
ヤを呼んでいる」と言った者が何人かあった。(エロイをエリヤと聞きちがえたらしい。)"
"411536","
マルコ 15:36","ひとりが駆けていって、“酸っぱい葡萄主を”海綿に含ませ、葦
(の棒の先)につけて、「(もう少し生かしておいて、)エリヤが下ろしに来るかどうか、
見ていよう」と言いながら、イエスに“飲ませようとした。”"
"411537","
マルコ 15:37","しかしイエスは(それを受けず)大声を放たれるとともに、息
が絶えた。"
"411538","
マルコ 15:38","(その途端に、)宮の(聖所の)幕が上から下まで真っ二つに裂
けた。"
"411539","
マルコ 15:39","イエスと向かい合ってそばに立っていた百卒長は、こんなにし
て息が絶えたのを見て、「この方は確かに神の子であった」と言った。"
"411540","
マルコ 15:40","また遠くの方から眺めていた女たちもいた。そのうちにはマグ
ダラのマリヤ、小男ヤコブとヨセとの母マリヤ、およびサロメもいた。"
"411541","
マルコ 15:41","──この三人はイエスがまだガリラヤにおられた時に、ついて
回って仕えていた人たちである。──(そこには)このほかに、イエスと一しょにエルサ
レムに上ってきた多くの女たちもいた。"
"411542","
マルコ 15:42","もはや夕方になった。その日は支度日、すなわち安息日の前の
日[金曜日]であったので、(日が暮れると安息日になって、死体を十字架にかけておく
ことを許されなかった。そこで)"
"411543","
マルコ 15:43","名望の高い最高法院の議員であるアリマタヤ生まれのヨセフが
来て、臆することなくピラトの所に行き、イエスの体(の下げ渡し)を乞うた。彼も神の
国(の来るの)を待ち望んでいた一人であった。"
"411544","
マルコ 15:44","ピラトはイエスがもう死んでしまったのかと不思議に思い、百
卒長を呼んで、とうに死んだかどうかを尋ね、"
"411545","
マルコ 15:45","百卒長からそうと聞くと、なきがらをヨセフに下げ渡した。"
"411546","
マルコ 15:46","そこでヨセフは(日が暮れぬうちにと大急ぎで)亜麻布を買い、
イエスを(十字架から)下ろして亜麻布で巻き、岩に掘ってあった墓に横たえ、墓の入口
に石をころがしておいた。"
"411547","
マルコ 15:47","マグダラのマリヤとヨセの母マリヤとは、なきがらの納められ
た所を見ていた。"
"411601","
マルコ 16:1","(翌日、日が暮れて)安息日が終ると、マグダラのマリヤとヤコ
ブの母マリヤとサロメとは、イエス(の体)に油を塗りに行くために、(油にまぜる)香
料を買いととのえた。"
"411602","
マルコ 16:2","そして(あくる朝、すなわち)週の初めの日[日曜日]の朝、ご
く早く、日が出ると墓場に行く。"
"411603","
マルコ 16:3","「だれか墓の入口から石をころがしてくれる者があるだろうか」
と互に話しながら、"
"411604","
マルコ 16:4","(ふと)目をあげて見ると、石はもうころがしてあった。(彼ら
が心配したのは)石が非常に大きかったからである。"
"411605","
マルコ 16:5","墓に入ると、白い衣をきた一人の青年が右手の方に坐っているの
を見たので、ぎょっとした。"
"411606","
マルコ 16:6","青年は彼らに言う、「驚くに及ばない。あなた達は十字架につけ
られたナザレ人イエスをさがしているが、もう復活されて、ここにはおられない。そら、
ここがお納めした場所だ。"
"411607","
マルコ 16:7","さあ行って、弟子たち、とりわけペテロに、『イエスはあなた達
より先にガリラヤに行かれる。(前に)あなた達に言われたとおり、そこでお目にかかれ
る』と言いなさい。」"
"411608","
マルコ 16:8","女たちは墓から逃げ出した。びっくりして震えあがったのである。
そしてだれにも何も言わなかった、恐ろしかったので。……"
"411609","
マルコ 16:9","【さて週の第一日の朝早く復活して、まずマグダラのマリヤに自
分を現わされた。以前に七つの悪鬼を追い出していただいた女である。"
"411610","
マルコ 16:10","この女は、(御在世中)おそばにいた人たちが泣き悲しんでいる
ところに行って知らせたが、"
"411611","
マルコ 16:11","この人たちは、(今)生きておられること、彼女がそれを見たこ
とを聞いても、信じなかった。"
"411612","
マルコ 16:12","そのあとで、そのうちの二人が田舎の方へ歩いて行く途中、別
の姿で自分を現わされた。"
"411613","
マルコ 16:13","この人たちも、行って残りの人たちに知らせたが、この人たち
(の言うこと)も信じなかった。"
"411614","
マルコ 16:14","その後、十一人(の弟子)が食事をしているとき自分を現わし
て、彼らの不信仰と心の頑固とをお責めになった。復活されたのを見た人々(の言うこと)
を信じなかったからである。"
"411615","
マルコ 16:15","彼らに言われた、「行って、全世界のすべての人間に福音を説け。
"
"411616","
マルコ 16:16","信じて洗礼を受ける者は救われ、信じない者は罰せられる。"
"411617","
マルコ 16:17","そして信じた者(の伝道)には、次のような(不思議な)徴が
伴うであろう。──わたしの名を使って悪鬼を追い出し、新しい(霊の)言葉を話し、"
"411618","
マルコ 16:18"," 蛇をつかむことができ、たとえ毒を飲んでも決して害をうけず、
病人に手をのせれば(かならず)癒えるであろう。」
"411619","
マルコ 16:19"," 主は(このように)彼らに語った後、“天にあげられて”“神の
右にお座りになり、”
"411620","
マルコ 16:20"," 弟子たちは出ていって到る所で教えを説いた。すると主は彼ら
と共に働いて、(その伝道に)いろいろな(不思議な)徴をともなわせ、(彼らが説く)御言
葉(の正しいこと)を保証された。】

 別 の 附 録

【しかし女たちは(今)命じられたことの一切を、手短かにペテロたちに告げた。そのあ
とで、イエス自身も彼らをもって、東から西まで、永遠の救いの、聖なる朽ちざるおとず
れを、おくられた。】

 ルカ福音書
ルカ一章
"420101","
わたし達の間で(近ごろひとまず)完結しました出来事を、(すなわち、イエス・
キリストの福音の発端から、それがローマにまで伸びていったことの顛末を、)"
"420102","
最初から実際に見た人たちと御言葉の伝道にたずさわった人たちとが(語り)
伝えてくれたとおりに、一つの物語に編もうと企てた人が数多くありますので、"
"420103","
テオピロ閣下よ、わたしも一切の事の次第を始めから精密に取り調べましたか
ら、今順序を正して書き綴り、これを閣下に奉呈して、"
"420104","
閣下が(今日までこのことについて)聞かれた話が、決して間違いでなかった
ことを知っていただこうと思ったのであります。"
"420105","
ユダヤのヘロデ(大)王の代に、ザカリヤというアビヤ組の祭司があった。妻
は、(これも大祭司)アロンの末で、名をエリサベツといった。"
"420106","
二人とも主の掟と定めとを皆落度なく守って、神の目に(さえ)正しくあった。
"
"420107","
しかしエリサベツが石女であったので、子がなく、かつふたりとももう年を取
っていた。"
"420108","
さてザカリヤの組が当番で、宮にて祭司の務をしていた時のこと、"
"420109","
(ある日)彼が祭司職の習わしに従って籤を引いたところ、主の聖所に入って
香をたく役目にあたった。"
"420110","
(きょうザカリヤには一生にただ一度ゆるされる幸運がのぞんだのである。ザ
カリヤが)香をたいている時、一般の民衆は皆(いつものとおり)外で祈っていた。"
"420111","
(すると)突然一人の主の使がザカリヤに現われ、香壇の右、(ザカリヤの向か
って左)に立っていた。"
"420112","
それを見てザカリヤは胸さわぎがし、恐ろしさが彼をおそった。"
"420113","
天使が言った、「ザカリヤ、“恐れることはない。あなたの”(かねての)祈りは
“聞きいれられた。”妻エリサベツは男の子を産むであろう。その名をヨハネとつけよ。"
"420114","
この子はあなたの喜びであり、楽しみであり、多くの人もその誕生を喜ぶであ
ろう。"
"420115","
主の前に大いなる者となるからである。“彼は決して葡萄酒や強い酒を飲まな
い。”(そのかわり)母の胎内からすでに聖霊に満たされ、(それに)酔っている。"
"420116","
彼は多くのイスラエルの子孫を、彼らの神なる主に立ち返らせるであろう。"
"420117","
(そればかりか、)“(預言者)エリヤの”霊と力とをもって主(救世主)の先駆
けをし、“父の心を(ふたたび)子に”(向けさせて家をきよめ、)また不従順な者を義人
と同じ考えに“立ち返らせて、”準備のできた民を主のために用意するであろう。」"
"420118","
ザカリヤが天使に言った、「(子をさずかる)その”証拠は何でしょうか。”わた
しは老人で、妻ももう年を取っております。」"
"420119","
天使が答えた、「わたしは(もったいなくも)神の前に立つガブリエルである。
あなたにこの喜びのおとずれを伝えるために遣わされたのである。"
"420120","
だからいま、あなたは唖になり、このことが成るその日まで、ものを言うこと
が出来ないであろう。これは、時が来ればかならず成就するわたしの言葉を信じなかった
罰である。」"
"420121","
(外で)待っている人々は、ザカリヤが聖所の中で暇どるのを不思議に思った。
"
"420122","
やがて出てくるには出てきたが、(仕来りの)祝福を人々に与えることが出来な
かったので、人々は彼が聖所の中で幻を見たことを知った。ザカリヤは身振りで示すばか
りで、口がきけずにいた。"
"420123","
そして(その組の七日の)務の日が終ると、家にかえった。"
"420124","
数日の後、妻エリザベツはみごもって、五か月のあいだ(家に)引き篭ってい
たが、彼女はこう考えるのであった、"
"420125","
「主はわたしに目をかけ、人中で“(子供のない)わたしの恥をそそいで”やろ
うとて、いまこの時にこのようにしてくださった」と。"
"420126","
(エリサベツがみごもってから)六か月目に(同じ)天使ガブリエルが、神か
らガリラヤのナザレという町の一人の乙女に遣わされた。"
"420127","
この乙女はダビデ(王)家の出であるヨセフという人と婚約の間柄で、名をマ
リヤといった。"
"420128","
天使は乙女の所に来て言った、「おめでとう、恵まれた人よ、主があなたとご一
しょだ!」"
"420129","
マリヤはこの言葉にびっくりして、いったいこの挨拶は何事であろうと考えま
どうた。"
"420130","
天使が言った、「マリヤよ、恐れることはない。神からお恵みをいただいたのだ
から。"
"420131","
見よ、あなたは子をさずかり、男の子が生まれる。その名をイエスとつけよ。"
"420132","
その子は大いなる者となり、いと高きお方の子と呼ばれる。神なる主は先祖“ダ
ビデの王位を”彼に与え、"
"420133","
彼は“永遠に”ヤコブの家の“王となり、”その国は果しなく続くであろう。」"
"420134","
マリヤが天使に言った、「まだ夫を知らぬわたしに、どうしてそんなことがあり
ましょうか。」"                              
"420135","
天使が答えた、「聖霊があなたの上に臨み、いと高きお方の力があなたを掩いか
くすであろう。それゆえ(あなたから)生まれるものは、“聖”であり、神の子“と呼ば
れる。”"
"420136","
実はあなたの親類のエリサベツも、あの老年で、男の子をさずかったのだ。石
女と言われていた女が、今月はもう六月になっている。"
"420137","
“神には何一つ出来ないことはない”のだから。」"
"420138","
マリヤは言った、「かしこまりました。わたしは主の召使、お言葉のとおりに成
りますように。」天使はマリヤをはなれ去った。"
"420139","
その後間もなくマリヤは立って、大急ぎでユダの山地のある町に行き、"
"420140","
ザカリヤの家に入ってエリサベツに挨拶した。"
"420141","
エリザベツがマリヤの挨拶を聞いた時、児が胎内で躍った。エリサベツは聖霊
に満たされ、"
"420142","
声高らかにさけんだ、「あなたは女の中で、(一番)祝福された方、あなたの胎
内のお子さまも(だれより)祝福されたお方です。"
"420143","
主の母上がわたしの所に来てくださるとは、まあどうしたのでしょう。"
"420144","
そら、あなたの挨拶の声がわたしの耳に入ると、児が胎内で喜んで躍りました。
"
"420145","
主の仰せられたことはきっと成就すると信じたこの人は、なんと仕合わせでし
ょう。」"
"420146","
マリヤが(神を讃美して)言った。──“わたしの心は主を”あがめ、"
"420147","
わたしの霊は、“救い主なる神を喜びたたえる、”"
"420148","
この“卑しい召使にまで目をかけてくださった”からです。きっと今からのち
代々の人々は、“わたしを仕合わせ者と言いましょう。”"
"420149","
力の強いお方がわたしに大きなことをしてくださったのです。“そのお方の名は
聖で、”"
"420150","
“その憐れみは千代よろず代とかぎりなく、そのお方を恐れる者にのぞみまし
ょう。”"
"420151","
“御腕にて”逞しきことを行い、心の思いの“高ぶる者を”“おい散らし、”"
"420152","
“権力者を”位から“引き下ろし、”“低い者を高うし、”"
"420153","
“飢えた者を宝で満たし、”“富める者を”“空手で追いかえされましょう。”"
"420154","
永遠に“その憐れみを忘れず、”“その僕イスラエルの民を助けてくださるでし
ょう、”"
"420155","
“われらの先祖たち、すなわちアブラハム”とその“子孫に”仰せられた“と
おりに。”"
"420156","
マリヤは三か月ほどエリサベツと一しょにいて、家に帰った。"
"420157","
月満ちて、エリサベツは男の子を産んだ。"
"420158","
近所の者や親類は、主がエリサベツに大きな憐れみをほどこされたと聞いて、
自分のことのように喜んだ。"
"420159","
(誕生から)八日目に、この人々が幼児に割礼を施すためにあつまったときの
こと、(慣例もあり)父の名にちなんでザカリヤと名をつけようとすると、"
"420160","
母親が、「いけません、ヨハネとつけなくては」と言って反対した。"
"420161","
彼らは、「あなたの親類には、そんな名前の者は一人もいない」とエリサベツに
言って、"
"420162","
父親に、何と名をつけたいかと身振りでたずねた。"
"420163","
ザカリヤは石板を頼んで、「あれの名はヨハネ」と書いたので、皆が不思議に思
った。"
"420164","
するとたちどころにザカリヤの口が開け舌が動き出してものが言えるようにな
り、神をほめたたえた。"
"420165","
近所の者に皆恐れが臨んだ。そしてこのことがことごとくユダヤの山地全体の
評判になったので、"
"420166","
聞いた者は皆これを胸におさめ、「この幼児はいったい何になるのだろう」と考
えた。主の(恵みの)御手もまたたしかにこの幼児に働いていたのである。"
"420167","
父ザカリヤはその時聖霊に満たされてこう預言した。──"
"420168","
“讃美すべきかな、イスラエルの神なる主!”“その民(イスラエル)を”心に
かけて“あがないを”なし、"
"420169","
わたし達のために、僕“ダビデの”家に救いの(力強い)“角(なる救い主)を
お立てになる”からである、"
"420170","
遠い昔から、聖なる預言者たちの口をもって仰せられたとおりに。"
"420171","
その角こそ、われらの“敵から、”“また”すべてわたし達を“憎む者の手から、”
すくう救いである。"
"420172","
主はこうして、“われらの先祖に憐れみを”ほどこし、また“その”聖なる“契
約、”"
"420173","
(すなわち)先祖“アブラハムにお立てになった”誓いを“おぼえ、”"
"420174","
わたし達を敵の手から救いだし、不安なく、主に奉仕させてくださるのである、
"
"420175","
全生涯を主の前に清く、正しく。"
"420176","
お前、幼児よ、お前はいと高きお方の預言者と呼ばれる。“主の”先駆けをして
“その道を用意し、”"
"420177","
罪の赦しによる救いを民に知らせるのだから。"
"420178","
これは(みな)われらの神の(深き)憐れみの御心によるのである。またその
憐れみによって、高き所よりの光がわたし達を訪れ、"
"420179","
“暗やみと死の陰とに住まう人々を照らし、”われらの足を“平和の道”へと導
くであろう。"
"420180","
幼児は大きくなり霊も強くなって、(洗礼者として)イスラエルの民の前にあら
われる日まで、荒野に(かくれて)いた。"
ルカ二章
"420201","
そのころ、全(ローマ)帝国の人口調査の勅令が皇帝アウグストから出た。"
"420202","
これは(ローマ政府)第一回の人口調査で、クレニオがシリヤの総督であった
ときに行われたものである。"
"420203","
すべての人が登録を受けるために、それぞれ自分の(生まれた)町にかえった。
"
"420204","
ヨセフもガリラヤの町ナザレから、ユダヤのベツレヘムというダビデの町へ上
った。彼はダビデ家の出、またその血統であったからである。"
"420205","
すでに身重であった妻マリヤと共に、登録を受けるためであった。"
"420206","
するとそこにおる間に、マリヤは月満ちて、"
"420207","
初子を産み、産着にくるんで飼葉桶に寝かせた。宿屋には場所がなかったので
ある。"
"420208","
(その晩、)数人の羊飼がそのあたりで、野宿をしながら群の夜番をしていた。
"
"420209","
すると(突然)一人の主の使が(現われて)彼らに近づき、主の栄光が彼らの
まわりを照らしたので、羊飼たちはすっかりおびえてしまった。"
"420210","
天使が言った、「こわがることはない。いまわたしは、(イスラエルの)民全体
への大きな喜びのおとずれを、あなた達に伝えるのだから。"
"420211","
実は今夜ダビデの町に、あなた達のために一人の救い主がお生まれになった。
このお方が(かねて預言されていた)救世主なる主である。"
"420212","
あなた達はみどり児が産着にくるまれて飼葉桶に寝ているのを見る。それが(救
世主の)目印である。」"
"420213","
するとたちまち、おびただしい天使の群がその天使のところにあらわれて、神
を讃美して言った、──"
"420214","
いと高き所にては神に栄光、地上にては(いまや)平安、御心にかなう人々に
あり!"
"420215","
天使たちが彼らをはなれて天に去ると、羊飼たちは互に言った、「さあ、ベツレ
ヘムに行って、主が知らせてくださった出来事を見てこよう。」"
"420216","
そして急いで行って、マリヤとヨセフと、飼葉桶に寝ているみどり児とをさが
し出した。"
"420217","
彼らはそれを見ると、幼児について(天使に)告げられたことを(人々)に知
らせた。"
"420218","
聞く者は皆羊飼たちの話を不思議に思った。"
"420219","
しかしマリヤはこのことを皆胸にひめて、一人でじっと考えていた。"
"420220","
羊飼たちは、聞いたり見たりしたことがことごとく(天使の)話のとおりであ
ったので、神を崇め、讃美しながら引き返した。"
"420221","
八日過ぎて割礼の日が来ると、人々は、胎内に宿る前に天使からつけられたイ
エスという名を、幼児につけた。"
"420222","
両親はモーセ律法による彼らの“清めの日(四十日)が過ぎる”と、幼児をつ
れてエルサレムに上った。"
"420223","
これは主の律法に、“はじめて生まれた男の子は皆主に聖別しなければならな
い”と書いてあるとおりに、これを主に捧げるため、"
"420224","
また(母親の清めについて)主の律法に、“山鳩一番か雛鳩二羽(を捧げねばな
らない)”とある規定によって、犠牲を供えるためであった。"
"420225","
さて(そのころ)エルサレムに名をシメオンという人がいた。この人は正しい、
信心深い人で、イスラエルの慰め(である救世主)を待ち望み、聖霊が彼をはなれなかっ
た。"
"420226","
かつ主の救世主を見ないうちは決して死なないと、かねて聖霊からお告げを受
けていた。"
"420227","
(この日)御霊に感じて宮に行くと、ちょうど両親が、律法の仕来りどおり幼
児イエスに行おうとして彼をつれて入ってきたので、"
"420228","
シメオンは幼児を両腕に抱き、こう言って神を讃美した。──"
"420229","
今こそ、主よ、あなたはこの僕をしてお言葉のとおり安らかに(この世に)暇
乞いをさせてくださいます、"
"420230","
わたしの目が“もうあなたの救いを拝見しました”からです。"
"420231","
この救いこそ、あなたが“全人類の(ため、その)目の前で”用意されたもの、
"
"420232","
“異教人には啓示を、”あなたの民“イスラエルには栄光をあたえる”“光”で
あります。"
"420233","
幼児のことをこのように言うのを父と母とが不思議に思っていると、"
"420234","
シメオンは両親を祝福し、母マリヤに言った、「驚きなさるなよ、この幼児はイ
スラエルの多くの人を、(この方に対する態度によって)倒させたり立たせたりする、ま
た、一つの目印となって(この世の烈しい)反対をうける、使命を負わされているのです。
──"
"420235","
(母人よ、)あなたも剣で胸を刺しつらぬかれ(る苦しみをせ)ねばなりますま
い。──これは多くの人の心の(隠れた)考えを外に出させるためなのです。」"
"420236","
また、アセル族のパヌエルの娘に、アンナという女預言者があった。非常に年
を取っていて、娘時代の後、七年の結婚生活をおくり、"
"420237","
(その後)八十四歳(の今日)まで寡婦ぐらしをしていた。(片時も)宮を離れ
ず、夜も昼も断食と祈りとをもって(神に)奉仕していたが、"
"420238","
(シメオンが預言している)ちょうどその時、近寄ってきて(幼児について)
神に感謝をささげ、またエルサレムの人々のあがないを待ち望むみんなの人に、この幼児
のことを話した。"
"420239","
両親は主の律法のさだめをすべて果すと、ガリラヤの自分の町ナザレに帰った。
"
"420240","
幼児は大きくなり強くなって、知恵満ち、神の恵みが彼をはなれなかった。"
"420241","
さてイエスの両親は、過越の祭には毎年エルサレムに行った。"
"420242","
イエスが十二歳になった時、両親は(その)祭の習わしに従って、(彼を連れて
都へ)上った。"
"420243","
(祭の)日が終って帰る時、イエス少年はエルサレムにのこったのに、両親は
それを知らなかった。"
"420244","
道連れの中にいるとばかり思って、一日路を行ったのち、(はじめてそれに気づ
き、)親類、知人の中を捜したけれども、"
"420245","
見つからないので、捜しながらエルサレムに引き返した。"
"420246","
そして(都を出て)三日の後に、イエスが宮で教師たちの真中に坐って、話を
聞いたり尋ねたりしているのを見つけた。"
"420247","
彼の話を聞いている人々は皆、その賢いうけこたえぶりに舌をまいていた。"
"420248","
両親はこれを見て驚き、母が言った、「坊や、どうしてこんなことをしましたか。
ごらん、お父さまもわたしも(こんなに)心配して、あなたをさがしているではありませ
んか。」"
"420249","
彼らに答えられた、「なぜおさがしになったのです。わたしが(天の)お父さま
の家に居るのは当り前でしょう。御存知なかったのですか。」"
"420250","
両親にはこう言われた言葉(の意味)がわからなかった。"
"420251","
それからイエスは一しょに(エルサレムから)下ってナザレに帰り、両親につ
かえられた。母(マリヤ)はこのことを皆胸に秘めていた。"
"420252","
イエスは知恵も身の丈も、”また神と人との寵愛も、いやましに増していった。”
"
"420301","
(ローマの)皇帝テベリオの治世の十五年目、ポンテオ・ピラトはユダヤの総
督、ヘロデ・(アンテパス)はガリラヤの領主、その兄弟ピリポはイツリヤおよびテラコ
ニテ地方の領主、ルサニヤはアビレネの領主、"
"420302","
(そして)アンナスとカヤパとが大祭司であった時、神の(お召しの)言葉が、
(ユダヤの)荒野でザカリヤの子ヨハネにくだった。"
"420303","
そこでヨハネは(救世主の道を用意するため、)ヨルダン川沿岸の地全体へ行っ
て、罪を赦されるための悔改めの洗礼を説いた。"
"420304","
預言者イザヤの預言集に書いてあるとおりである。──“荒野に叫ぶ者の声は
ひびく、「主の道を用意し、“その”道筋をまっすぐにせよ。"
"420305","
すべての谷は埋められすべての山と丘とは低うされ、曲った道はまっすぐに、
でこぼこ道は平らになるであろう。"
"420306","
かくして全人類一人のこらず神の救いにあずかるであろう。」”"
"420307","
それでヨハネは、彼から洗礼を受けようとしてでて来た群衆に言った、「蝮の末
ども、(わたしから洗礼を受けて)来るべき(神の)怒り(の裁き)を免れるようにと、
だれがおしえたのか。"
"420308","
(ほんとうに悔改めたのか。)それなら(洗礼を受けるだけでなく、)悔改めに
ふさわしい実を結べ。『われわれの先祖はアブラハムである(から大丈夫だ)』などという
考えを起してはならない。わたしは言う、神はそこらの石ころからでも、アブラハムの子
供を造ることがお出来になるのだ。"
"420309","
斧はいますでに木の根に置いてある。だから、良い実を結ばない木はどんな木
でも、切られて火の中に投げ込まれる。」"
"420310","
群衆が尋ねた、「では、わたし達はどうすればよいのですか。」"
"420311","
ヨハネが答えた、「下着を二枚持っている者は、持たない者に分けてやれ。食べ
る物を持っている者も、同じようにせよ。」"
"420312","
税金取りも洗礼を受けに来たが、ヨハネに言った、「先生、わたし達はどうすれ
ばよいのですか。」"
"420313","
彼らに言った、「きまったもの以上、何も取り立てるな。」"
"420314","
兵卒も「このわたし達は、どうすればよいのですか」と尋ねると、言った、「だ
れをもゆすらず、しぼり取らず、給料で満足せよ。」"
"420315","
民衆は(救世主を)待ち望んでいたので皆心の中で、もしかしたらこのヨハネ
が救世主ではあるまいかと考えていると、"
"420316","
ヨハネがみんなに言った、「わたしは水で洗礼を授けているが、わたしよりも力
のある方が(あとから)来られる。わたしはその方の靴の紐をとく値打もない者である。
その方は聖霊と(裁きの)火とで洗礼をお授けになる。"
"420317","
その手に箕をもって、(すぐ)脱穀場の掃除をしようとしておられる。すなわち
麦は集めて倉に入れ、籾殻は消えぬ火で焼きすてられるのである。(聖霊と火の洗礼とは
これである。)」"
"420318","
ヨハネはそのほかなお多くの訓戒をあたえながら、民衆に福音を伝えた。"
"420319","
ところが領主ヘロデは、その兄弟(ピリポ)の妻ヘロデヤ(との結婚)のこ
とについて、また自分の行ったすべての悪事について、ヨハネから非難されたので、"
"420320","
ヨハネを牢に閉じこめ、(これまでの)ありとあらゆる悪事に、もう一つこの悪
事をつけたした。"
"420321","
さて民衆が皆(ヨハネから)洗礼を受けた時、イエスも洗礼を受けて祈ってお
られると、天が開けて、"
"420322","
聖霊が鳩のような形で彼の上に下ってきた。そして「あなたは(いま)わたし
の“最愛の子、”わたしの心にかなった”」という声が天からきこえてきた。"
"420323","
このイエスは(伝道を)始められたとき、三十歳ばかりであった。(聖霊による
子であったが、)世間ではヨセフの子と思われていた。ヨセフはヘリの子、"
"420324","
ヘリはマタテの、マタテはレビの、レビはメルキの、メルキはヤンナイの、ヤ
ンナイはヨセフの、"
"420325","
ヨセフはマタテヤの、マタテヤはアモスの、アモスはナホムの、ナホムはエリ
スの、エリスはナンガイの、"
"420326","
ナンガイはマハテの、マハテはマタテヤの、マタテヤはシメイの、シメイはヨ
セクの、ヨセクはヨダの、"
"420327","
ヨダはヨハナンの、ヨハナンはレサの、レサはゾロバベルの、ゾロバベルはサ
ラテルの、サラテルはネリの、"
"420328","
ネリはメルキの、メルキはアデイの、アデイはコサムの、コサムはエルマダム
の、エルマダムはエルの、"
"420329","
エルはヨシュアの、ヨシュアはエリエゼルの、エリエゼルはヨリムの、ヨリム
はマタテの、マタテはレビの、"
"420330","
レビはシメオンの、シメオンはユダの、ユダはヨセフの、ヨセフはヨナムの、
ヨナムはエリヤキムの、"
"420331","
エリヤキムはメレヤの、メレヤはメナの、メナはマタタの、マタタはナタンの、
ナタンはダビデの、"
"420332","
ダビデはエッサイの、エッサイはオベデの、オベデはボアズの、ボアズはサラ
の、サラはナアソンの、"
"420333","
ナアソンはアミナダブの、アミナダブはアデミンの、アデミンはアルニの、ア
ルニはエスロンの、エスロンはパレスの、パレスはユダの、"
"420334","
ユダはヤコブの、ヤコブはイサクの、イサクはアブラハムの、アブラハムはテ
ラの、テラはナホルの、"
"420335","
ナホルはセルグの、セルグはレウの、レウはペレグの、ペレグはエベルの、エ
ベルはサラの、"
"420336","
サラはカイナンの、カイナンはアルパクサデの、アルパクサデはセムの、セム
はノアの、ノアはラメクの、"
"420337","
ラメクはメトセラの、メトセラはエノクの、エノクはヤレデの、ヤレデはマハ
ラレルの、マハラレルはカイナンの、"
"420338","
カイナンはエノスの、エノスはセツの、セツはアダムの、アダムは神の子、で
ある。"
"420401","
さてイエスは聖霊に満たされ、ヨルダン川から(ガリラヤへ)帰られた。(その
途中)御霊によって四十日のあいだ荒野を引き回されながら、"
"420402","
悪魔の誘惑にあわれた。その間何も食べず、四十日が終ると、空腹を覚えられ
た。"
"420403","
すると悪魔が言った、「神の子なら、(そんなにひもじい思いをせずとも、)この
石ころに、パンになれと命令したらどうです。"
"420404","
イエスは答えられた、「“パンがなくとも人は生きられる”と(聖書に)書いて
ある。」"
"420405","
すると悪魔はイエスを高い所につれてゆき、瞬くまに世界中の国々を見せて、"
"420406","
言った、「あの(国々の)全支配権と栄華とをあげよう。あれは(神から)わた
しに任されていて、だれにでも好きな人にやってよいのだから。"
"420407","
それで、もしあなたがわたしをおがむなら、あれは皆あなたのものになります。」
"
"420408","
イエスは答えられた、「“あなたの神なる主をおがめ、“主に”のみ“奉仕せよ”
と(聖書に)書いてある。」"
"420409","
そこで悪魔はイエスをエルサレムにつれていって、宮の屋根の上に立たせて言
った、「神の子なら、ここから下へ飛びおりたらどうです。"
"420410","
“神は天使たちに命じて、あなたを守ってくださる、”"
"420411","
また“手にてあなたを支えさせ、足を石に打ち当てないようにしてくださる”
と(聖書に)書いてあります。(人々はそれを見て信じ、たちどころにあなたの国が出来
ます。)」"
"420412","
イエスは答えられた、「“あなたの神なる主を試みてはならない”と言ってあ
る。」"
"420413","
悪魔はあらん限りの誘惑を終ると、ひとまずイエスから手を引いた。"
"420414","
イエスは御霊の力にあふれて、ガリラヤに帰られた。評判がその周囲全体に広
まった。"
"420415","
イエスはあちらこちらの礼拝堂で教え、皆にあがめられた。"
"420416","
それからお育ちになったナザレに行って、安息の日にいつものとおり礼拝堂に
入り、(聖書を)朗読しようとして立たれた。"
"420417","
(係の者から)イザヤの預言書が手渡され、その巻物をお開けになると、こう
書いた所が出てきた。──"
"420418","
“主の御霊がわたしの上にある、油を注いで(聖別して)くださったからであ
る。主は貧しい人に福音を伝えるためにわたしを遣わされた。囚人に赦免を、盲人に視力
の回復を告げ、”“押えつけられている者に自由をあたえ、”"
"420419","
“主の恵みの年(の来たこと)を告げさせるために。”"
"420420","
イエスは(読み終ると、)聖書を巻き、係の者に返して坐られた。礼拝堂にいる
者の目が皆彼にそそがれた。"
"420421","
イエスは、「(今)あなた達が聞いたこの聖書の言葉は、今日(ここで)成就し
た」と言って話を始められた。"
"420422","
皆がイエスを誉めそやし、かつその口をついて出る言葉のうるわしさに驚いて、
「これはヨセフの息子ではないか」と言った。"
"420423","
彼らに言われた、「どの道あなた達は『自分をなおせ、お医者さん』という諺を
引いて、『いろいろなことをカペナウムでしたと聞いたが、郷里のここでもやってみろ』
とわたしに言うにちがいない。」"
"420424","
また言われた、「アーメン、わたしは言う、いかなる預言者も、その郷里では歓
迎されない。"
"420425","
本当にわたしは言う、(郷里でえらい働きをした預言者がどこにあるか。預言
者)エリヤの時代に、三年六か月、天が閉じて(雨が降らず、)国中に大飢饉があった際、
イスラエル人の中に多くの寡婦がいたのに、"
"420426","
そのだれの所にもエリヤは遣わされず、“(異教国)シドンのサレプタにいた一
人の寡婦の所に”だけつかわされた。"
"420427","
また預言者エリシャの時、イスラエル人の中に多くの癩病人がいたのに、その
だれも清まらず、(異教人である)シリヤ人ナアマンだけがきよまった。(神の恵みはかえ
って異教人に与えられる。)」"
"420428","
これを聞くと、礼拝堂にいた者が皆非常に憤慨し、"
"420429","
総立ちになってイエスを町の外に突き出し、町の建っている山の崖のところま
でつれていった。(そこから)突き落そうと思ったのである。"
"420430","
しかしイエスは人々の真中を通って、(目ざす所へ)進んでゆかれた。"
"420431","
ガリラヤの町カペナウムに下られた。安息日に教えられると、"
"420432","
人々はその教えに感心してしまった。話に権威があったからである。"
"420433","
そのとき、礼拝堂に汚れた悪鬼の霊につかれた一人の人がいたが、大声をあげ
て叫んだ、"
"420434","
「ああ、ナザレのイエス様、“放っておいてください。”わたしどもを滅ぼしに
来られたのか。あなたがだれだか、わたしにはわかっています。神の聖者(救世主)です。」
"
"420435","
イエスは「黙れ、その人から出てゆけ」と言って叱りつけられた。すると悪鬼
はその人をみなの真中に投げ倒して、出ていった。何も怪我はなかった。"
"420436","
皆がびっくりして、互いにこう語り合った、「この言葉はいったいどうしたのだ
ろう。権威と力があって、この人が命令されると、汚れた霊まで出てゆくのだが。」"
"420437","
イエスの噂がその周囲の地全体に広まっていった。"
"420438","
イエスは立って礼拝堂を出て、シモンの家に入られた。シモンの姑がひどい熱
病に苦しんでいた。人々が彼女のことを願うと、"
"420439","
近寄って身をかがめ、熱病を叱りつけられた。すると熱が取れ、彼女はすぐさ
ま起き上がって、彼らをもてなした。"
"420440","
日が沈むと、(安息日が終ったので、)さまざまな病人をかかえている人々は皆、
それをイエスの所につれてきた。イエスはひとりびとりに手をのせてなおされた。"
"420441","
悪鬼も、「あなたは神の子だ」と叫びながら多くの人から出ていった。イエスは
悪鬼どもが救世主だと知っているので、これを叱りつけ、口をきくことをお許しにならな
かった。"
"420442","
朝になると、人のいない所に出て行かれた。人々は捜しまわった末イエスのと
ころに来て、自分たちをはなれて行かれないようにと、しきりに引き留めた。"
"420443","
イエスは彼らに言われた、「わたしはほかの町々にも、神の国の福音を伝えねば
ならない。そのために遣わされたのだから。」"
"420444","
それからユダヤ(人の国のあちらこちら)の礼拝堂で教を説いておられた。
""420501","
(ある日)群衆がおしかけてきて神の言葉を聞いていた時のこと、イエスはゲ
ネサレ湖のほとりに立っておられて、"
"420502","
湖のほとりにある二艘の小舟がお目にとまった。漁師たちは舟から下りて網を
洗っていた。"
"420503","
イエスはその一艘のシモンの舟に乗り、彼に頼んで陸からすこし漕ぎ出させ、
坐って、舟の中から群衆を教えられた。"
"420504","
話がすむと、シモンに言われた、「沖に漕ぎ出し、網をおろして漁をしてみなさ
い。」"
"420505","
シモンが答えた、「先生、わたし達は(昨夜)一晩中働きましたが、何もとれま
せんでした。しかし先生のお言葉ですから、網をおろしてみます。」"
"420506","
そしてその通りにすると、沢山の魚の群が入って網が裂けかかった。"
"420507","
そこでもう一艘の舟にいる仲間に合図をして、加勢に来てもらった。彼らが来
て、二艘の舟いっぱい(魚を)つんだので、沈みそうになった。"
"420508","
シモン・ペテロはこれを見て、イエスの足もとにひれ伏して言った、「主よ、あ
ちらに行ってください。わたしは罪人です。」"
"420509","
彼も一しょにいた者も皆、とれた魚(の多いの)に、びっくりしたのである。"
"420510","
シモンの仲間であったゼベダイの子ヤコブとヨハネも同様であった。イエスが
シモンに言われた、「恐れることはない。今から後、あなたは人間を生け捕る(漁師にな
る)のだ。(きょうの漁は、あなたの大伝道の前ぶれである。)」"
"420511","
彼らは舟を陸に引き上げ、何もかもすててイエスに従った。"
"420512","
ある町におられた時のこと、そこに体中癩病の人がいた。イエスを見ると、頭
を地にすりつけ、「主よ、(清めてください。)お心さえあれば、お清めになれるのだから」
と言って願った。"
"420513","
イエスは手をのばしてその人にさわり、「よろしい、清まれ」と言われると、た
ちまち癩病が消えうせた。"
"420514","
イエスは、だれにも言ってはならない、「ただ、(全快したことを)世間に証明
するため、(エルサレムの宮に)行って体を“祭司に見せ、”モーセが命じたように清めの
ために(供え物を)捧げよ」と言いつけられた。"
"420515","
しかしイエスの噂はいよいよ広まってゆき、大勢の群衆が、(教えを)聞き、ま
た病気をなおしていただこうと集まってきた。"
"420516","
しかしイエスは人のいない所に引っ込んで、祈っておられた。"
"420517","
ある日のこと、イエスが(人々を)教えておられると、パリサイ人と律法学者
が坐って(聞いて)いた。この人々はガリラヤとユダヤのすべての村から、ことにエルサ
レムから来たのである。主の力がイエスに臨んで病気を直させた。"
"420518","
するとそこに、数人の人が一人の中風にかかった人を寝床にのせてつれて来た。
(家の中に)運び込んでイエスの前に置こうとしたが、"
"420519","
群衆のためどうしても運び込む方法がないので、屋根に上って瓦(をはがし、
そ)の間から、寝床ごと、人々の真中、イエスの前に吊りおろした。"
"420520","
イエスはその人たちの信仰を見て(驚き、中風の者に)言われた、「君、あなた
の罪は赦されている。」"
"420521","
聖書学者とパリサイ人は考え始めた、「冒涜を言うこの人はいったい何者だろう。
ただ神のほか、だれが罪を赦せよう。」"
"420522","
イエスは彼らの考えを見抜いて、「何を心の中で考えているのか。"
"420523","
あなたの罪は赦されている、と言うのと、起きて歩け、と言うのと、どちらが
たやすい(と思う)か。"
"420524","
では、人の子(わたし)は地上で罪を赦す全権を持っていることを知らせてや
ろう」と彼らに言いながら、中風の者に言われた、「あなたに命令する、起きて、寝床を
かついで家にかえりなさい。」"
"420525","
すると彼は即座に人々の目の前で立ち上がり、床をかついで、神を讃美しなが
ら家にかえって行った。"
"420526","
皆が感動して神を讃美し、恐れに満たされて、「きょうは不思議なことを見た」
と言った。"
"420527","
そのあとで、イエスは(湖のほとりに)出てゆき、レビという税金取りが税務
所に坐っているのを見て、「わたしについて来なさい」と言われると、"
"420528","
何もかも捨てて、立って従った。"
"420529","
レビがイエスのために家で大宴会を催すと、税金取り、その他の人々が大勢、(イ
エスや弟子たちと)共に食卓についていた。"
"420530","
パリサイ人とパリサイ派の聖書学者が弟子たちに向かってつぶやいた、「なぜあ
なた達は税金取りや罪人と一しょに飲み食いするのか。」"
"420531","
イエスはその人たちに答えられた、「健康な者に医者はいらない、医者のいるの
は病人である。"
"420532","
わたしは正しい人を招きに来たのではない、罪人を招いて悔改めさせるために
来たのである。」"
"420533","
彼らがイエスに言った、「(洗礼者)ヨハネの弟子はしばしば断食をし、祈りを
するのに、あなたの弟子は(平気で)飲み食いしている。」"
"420534","
イエスは言われた、「あなた達は花婿がまだ一しょにいるうちに、婚礼の客に(悲
しみの)断食をさせることが出来るのか。"
"420535","
しかしいまに(悲しみの)時が来て、花婿が奪いとられたら、その時、彼らは
(いやでも)断食をするであろう。」"
"420536","
なお一つの譬を彼らに話された、「新しい着物を切って、古い着物に継ぎをする
者はない。そんなことをすれば、新しい着物も疵ものになり、新しいのから切った継ぎも
古いのにあわない。"
"420537","
また新しい酒を古い皮袋に入れる者はない。そんなことをすれば、新しい酒は
皮袋を破って流れ出し、皮袋もだめになるであろう。"
"420538","
新しい酒は新しい皮袋に入れねばならない。"
"420539","
また、古い酒を飲んだ者は、新しいのをほしがらない。『古い方が甘い』と言っ
て。」"
"420601","
ある安息日に麦畑の中を通られたときのこと、弟子たちが(空腹を覚えて)穂
を摘み、手でもんで食べていた。"
"420602","
パリサイ人が言った、「なぜあなた達は、安息日にしてはならぬことをするの
か。」"
"420603","
イエスが答えて言われた、「あなた達は、ダビデ(王)が自分も供をしている者
も空腹の時にしたことを、(聖書で)読んだことすらないのか。"
"420604","
──彼が神の家に入って、ただ祭司のほかはだれも食べてはならない“供えの
パンを”取って食べ、供の者にわけてやったことを。」"
"420605","
また彼らに言われた、「人の子(わたし)は安息日の主人である。」"
"420606","
またほかの安息日に、礼拝堂に入って教えられた。するとそこに一人の人がい
て、右手がなえていた。"
"420607","
聖書学者とパリサイ人たちが、イエスは安息日になおされるかどうかと、ひそ
かに様子をうかがっていた。訴え出る口実を見つけるためであった。"
"420608","
イエスは彼らの考えを知って、手のなえた男に「立って真中に出てこい」と言
われると、立ち上がって出てきた。"
"420609","
イエスが彼らに言われた、「尋ねるが、安息日には、善いことをするのと悪いこ
とをするのと、命を救うのと、滅ぼすのと、どちらが正しいだろうか。」"
"420610","
そして一同を見まわして、その人に言われた、「手をのばせ。」その通りにする
と、手が直った。"
"420611","
彼らは狂わんばかりに怒って、イエスをどうしょうかと話し合った。"
"420612","
このころのこと、イエスは祈りのため山に行って、神に祈りながら夜をあかさ
れた。"
"420613","
朝になると弟子を呼びよせ、その中から十二人を選び、これをまた使徒と名づ
けられた。"
"420614","
すなわち、シモン──この人をまたペテロと名づけられた──と、その兄弟ア
ンデレと、ヤコブとヨハネと、ピリポとバルトロマイと、"
"420615","
マタイとトマスと、アルパヨの子ヤコブと熱心党と呼ばれたシモンと、"
"420616","
ヤコブの子ユダと、イスカリオテのユダ──この人は(あとで)裏切者になっ
た。"
"420617","
イエスはこの人々を連れて(山を)下り、平らな所にお立ちになった。大勢の
弟子の群と、ユダヤ全国、ことにエルサレム、また(遠く)ツロ、シドンの沿岸から来た
大勢の民衆の群も、"
"420618","
教えを聞き、また病気を直していただこうとして、そこにいた。汚れた霊にな
やまされていた者もなおされた。"
"420619","
群衆が皆、なんとかしてイエスにさわろうとした。彼から力が出て、一人のこ
らず直したからである。"
"420620","
イエスは目をあげ、(十二人の使徒その他の)弟子たちを見ながら話された。─
─「ああ幸いだ、“貧しい人たち、”神の国はあなた達のものとなるのだから。"
"420621","
ああ幸いだ、今飢えている人たち、(かの日に)満腹させられるのはあなた達だ
から。ああ幸いだ、今泣いている人たち、(かの日に)笑うのはあなた達だから。"
"420622","
人に憎まれる時、また、人の子(わたし)のゆえに除名されたり、罵られたり、
悪様に言われたりする時には、あなた達は幸いである。"
"420623","
その日には躍りあがって喜びなさい、どっさり褒美が、天であなた達を待って
いるのだから。あの人達の先祖も、同じことを預言者たちにしたのである。"
"420624","
だが、ああ禍だ、富んでいるあなた達、もう慰めを受けたのだから。"
"420625","
ああ禍だ、今食べあきているあなた達、(かの日に)飢えるのだから。ああ禍だ、
今笑っている人たち、(かの日に)泣き悲しむのはあなた達だから。"
"420626","
皆の人に良く言われる時、あなた達は禍である。あの人達の先祖も、同じこと
を偽預言者たちにしたのである。"
"420627","
しかし(今わたしの話を)聞いているあなた達に言う、敵を愛せよ。自分を憎
む者に親切をつくし、"
"420628","
呪う者に(神の)祝福を求め、いじめる者のために祈れ。"
"420629","
あなたの頬を打つ者には、ほかの頬をも差し出し、上着を奪おうとする者には、
下着をこばむな。"
"420630","
求める者にはだれにでも与えよ、あなたの物を奪った者から取り返すな。"
"420631","
あなた達は自分にしてもらいたいと思うとおり、人にしなさい。"
"420632","
自分を愛する者を愛すればとて、(神から)どんな恵みがいただけよう。不信者
でも自分を愛する者を愛するのだから。"
"420633","
親切にしてくれる者に親切にしたからとて、どんな恵みがいただけよう。不信
者でも同じことをするのだから。"
"420634","
また、取りもどすつもりで貸したからとて、どんな恵みがいただけよう。不信
者でも同じだけのものを取り戻そうとして、不信者に貸すのである。"
"420635","
しかし、あなた達は敵を愛せよ、親切をせよ、何も当てにせずに貸しなさい。
そうすれば褒美をどっさりいただき、かつ、いと高きお方の子となるであろう。いと高き
お方は恩知らずや悪人にも、憐れみ深くあられるのだから。"
"420636","
あなた達の(天の)父上が慈悲深くあられるように、慈悲深くあれ。"
"420637","
(人を)裁くな、そうすれば(神に)裁かれない。(人を)罪に落すな、そうす
れば罪に落されない。赦してやれ、きっと(神に)赦される。"
"420638","
与えよ、きっと与えられる。押しつけ、ゆすり込み、こぼれるほど量りを良く
して、懐に入れていただけるであろう。(人を)量る量りで、あなた達も量りかえされる
からである。」"
"420639","
なお譬を一つ話された、「盲人に盲人の手引が出来るか。二人とも穴に落ち込ま
ないだろうか。"
"420640","
(良い先生をえらべ。)弟子は先生以上になれない。りっぱに一人前になっても、
(たかだか)先生のようになるだけである。"
"420641","
なぜあなたは、兄弟の目にある塵が見えながら、自分の目に梁があるのに気付
かないのか。"
"420642","
自分の目にある梁が見えずに、どうして兄弟にむかって、『兄弟、あなたの目に
ある塵を取らせてくれ』と言うことが出来ようか。偽善者!まず自分の目の梁を取っての
けよ。その上で、兄弟の目にある塵を(取ってやれるなら、)取ってやったらよかろう。"
"420643","
わるい実を結ぶ良い木はなく、また良い実を結ぶ悪い木もない。"
"420644","
木(の良し悪し)はいずれもその実で知られるのである。茨から無花果をとら
ず、茨の薮から葡萄をつまない。"
"420645","
(同じように、)善人は心の善い倉から善い物を取り出し、悪人は(心の)悪い
倉から悪い物を取り出す。心にあふれて口に出るのだから。"
"420646","
(わたしを)『主よ、主よ』と呼びながら、なぜわたしの言うことを行わないの
か。"
"420647","
わたしの所に来て話を聞き、それを行う者が皆、だれに似ているか、おしえて
あげよう。"
"420648","
それは、(地を)深く掘り下げ、岩の上に土台をすえて家を建てた人に似ている。
洪水が出て、大水がその家にぶつかったが、丈夫に建ててあったので、びくともしなかっ
た。"
"420649","
しかし(これと反対に、わたしの話を)聞くだけで行わない者は、土の上に土
台なしで家を建てた人に似ている。大水がぶつかると、たちまち崩れてしまって、その家
のくずれ方はひどかった。」"
"420701","
イエスはこれら一切の話を人々に聞かせ終った後、カペナウムにかえられた。"
"420702","
すると、ある百卒長の大事な僕が病気で、もう危篤であった。"
"420703","
百卒長はイエスのことを聞くと、ユダヤ人の長老たちをイエスの所に使にやっ
て、是非僕を直しに来てほしいと頼ませた。"
"420704","
長老たちはイエスの所に来て、こう言って熱心に願った、「あの人はそうしてい
ただいてもよい人です。"
"420705","
(異教人でありながら)わが国民に好意をもち、自分でわたし達に礼拝堂を建
ててくれたのですから。」"
"420706","
イエスは彼らと連れ立って行かれた。しかし、すでにその家から程遠からずな
ったとき、百卒長は友人たちをやって言わせた、「主よ、ご足労くださらぬように。わた
しはあなたを、うちの屋根の下にお迎えできるような者ではありません。"
"420707","
だから自分でお願いに出る資格もないと考えたのです。(ここでただ)一言、言
ってください。そうすれば下男は直ります。"
"420708","
というのは、わたし自身も指揮権に服する人間であるのに、わたしの下にも兵
卒がいて、これに『行け』と言えば行き、ほかのに『来い』と言えば来、また僕に『これ
をしろ』と言えば(すぐ)するからです。(ましてあなたのお言葉で、病気が直らないわ
けはありません。)」"
"420709","
イエスはこれを聞いて驚き、ついて来た群衆の方に振り向いて言われた、「わた
しは言う、イスラエルの人の中でも、こんな(りっぱな)信仰を見たことがない。」"
"420710","
使の者が家に帰って見ると、僕は元気になっていた。"
"420711","
そのあとで、ナインという町に行かれた。弟子たちおよび多くの群衆も一しょ
に行った。"
"420712","
町の門の近くに来られると、ちょうど、ある独り息子が死んで、(棺が)舁き出
されるところであった。母は寡婦であった。町の人が大勢その母に付添っていた。"
"420713","
主は母を見て不憫に思い、「そんなに泣くでない」と言って、"
"420714","
近寄って棺に手をかけ──担いでいる者は立ち止まった──「若者よ、あなた
に言う、起きよ!」と言われた。"
"420715","
すると死人が起き上がって物を言い出した。イエスは“彼を母に渡された。”"
"420716","
皆が恐れをいだいて、「大預言者がわたし達の間にあらわれた」とか、「神はそ
の民を心にかけてくださった」とか言って、神を讃美した。"
"420717","
イエスについてのこの(二つの)言葉は、ユダヤ(人の国)全体とその周囲い
たる所に広まった。"
"420718","
洗礼者ヨハネの弟子たちがこれら一切のことをヨハネに報告すると、彼は弟子
を二人ほど呼びよせ、"
"420719","
主の所にやって、「来るべき方(救世主)はあなたですか、それともほかの人を
待つべきでしょうか」とたずねさせた。"
"420720","
その人たちはイエスの所に来て言った、「洗礼者ヨハネから来ました。『来るべ
き方はあなたですか、それともほかの人を待つべきでしょうか』とおたずねするよう申し
つけられました。」"
"420721","
その時、イエスは多くの人の病気と苦しみと悪霊につかれているのとをなおし、
多くの盲人を見えるようにしてやっておられたが、"
"420722","
答えられた、「行って、(今ここで)見たこと聞いたことをヨハネに報告しなさ
い。──“盲人は見えるようになり、”足なえは歩きまわり、癩病人は清まり、聾は聞き、
死人は生きかえり、“貧しい人は福音を聞かされている”と。"
"420723","
わたしにつまずかぬ者は幸いである。」"
"420724","
ヨハネの使が立ち去ると、群衆にヨハネのことを話し出された。──「(さきご
ろ)あなた達は何を眺めようとして、荒野(のヨハネの所)に出かけたのか。風にそよぐ
葦だったのか。(まさかそうではあるまい。)"
"420725","
それでは、何を見ようとして出かけたのか。柔らかい着物を着ている人か。見
よ、りっぱな着物をきて贅沢をしている人ならば、宮殿にいる。"
"420726","
それでは、何を見ようとして出かけたのか。預言者か。そうだ、わたしは言う、
(預言者だ。)預言者以上の者(を見たの)だ。"
"420727","
“(神は言われる、)『見よ、わたしは使をやって、あなたの先駆けをさせ、”あ
なたの“前に道を準備させる』”と(聖書に)書いてあるのは、この人のことである。"
"420728","
わたしは言う、女の産んだ者の中には、ヨハネより大きい者は一人もない。し
かし神の国で一番小さい者でも、彼より大きい。"
"420729","
(ヨハネの説教を)聞いた民衆は皆、税金取りまで、ヨハネの洗礼を受け(る
ことによっ)て神の正しいことを認めた。"
"420730","
しかしパリサイ人と律法学者とは、彼から洗礼を受けることをせず、彼らをも
救おうとされた(せっかくの)神の御心をないがしろにした。"
"420731","
だから、(気ままな)この時代の人々を何にたとえようか。彼らは何に似ている
だろうか。"
"420732","
子供達が市場に坐って(嫁入りごっこや弔いごっこをしながら)、こう言って互
に(相手の組と)呼びかわすのに似ている。──笛を吹いたのに、踊ってくれない。弔い
の歌をうたったのに、泣いてくれない。"
"420733","
なぜならあなた達は、洗礼者ヨハネが来てパンを食べず酒を飲まないと、『悪鬼
につかれている』と言い、"
"420734","
人の子(わたし)が来て飲み食いすると、『そら、大飯食いだ、飲兵衛だ、税金
取りと罪人の仲間だ』と言うのだから。"
"420735","
しかし(神の)知恵の正しいことは、(税金取り、罪人など、)その子供たちが
みんなで証明した。」"
"420736","
(シモンという)ひとりのパリサイ人が一しょにお食事をと願ったので、その
パリサイ人の家に入って食卓に着かれた。"
"420737","
すると、その町に一人の罪の女がいた。イエスがパリサイ人の家で食卓につい
ておられることを知ると、香油のはいった石膏の壷を持ってきて、"
"420738","
泣きながら後ろからイエスの足下に進み寄り、しばし涙で御足をぬらしていた
が、やがて髪の毛でそれをふき、御足に接吻して香油を塗った。"
"420739","
イエスを招待したパリサイ人が見て、ひそかに思った、「もしもこの人が(ほん
とうの)預言者だったら、自分にさわっている者がだれだか、どんな女だか、──罪の女
だと分るはずであるのに!」"
"420740","
イエスが言われた、「シモン、あなたに言わねばならぬことがある。」彼が言う、
「先生、言ってください。」イエスが言われる、"
"420741","
「ある金貸しに二人の債務者があった。一人は五百デナリ(二十五万円)、一人
は五十デナリ(二万五千円)を借りていた。"
"420742","
返すことができないので、金貸しは二人(の借金)をゆるしてやった。とする
と、二人のうち、どちらが余計に金貸しを愛するだろうか。」"
"420743","
シモンが答えた、「余計にゆるしてもらった方だと思います。」イエスは「あな
たの判断は正しい」と言って、"
"420744","
女の方に振り向き、シモンに言われた、「この婦人を見たか。わたしがこの家に
来たとき、あなたは足の水もくれないのに、この婦人は涙でわたしの足をぬらし、髪の毛
でふいてくれた。"
"420745","
あなたは接吻一つしてくれないのに、この婦人はわたしが(この家に)来たと
きから、わたしの足に接吻のしつづけである。"
"420746","
あなたは(普通の)油をすら頭に塗ってくれないのに、この婦人は(高価な)
香油を足に塗ってくれた。"
"420747","
だから、わたしは言う、この婦人の多くの罪は赦されている。(いま)多くわた
しを愛したのがその証拠である。赦され方の少ない者は、愛し方も少ない。」"
"420748","
そしてその女に言われた、「あなたの罪は赦されている。」"
"420749","
同席の者が(憤慨して)ひそかに考えた、「罪さえ赦す(という)この人はいっ
たい何人だろう。」"
"420750","
しかしイエスは女に言われた、「あなたの信仰があなたを救った。“さよなら、
平安あれ。”」"
"420801","
その後、イエスは町から町、村から村へと回りながら、神の国を説き、その福
音を伝えられた。十二人(の弟子)がお供をした。"
"420802","
また悪霊や病気をなおしていただいた数名の女たち、すなわち、七つの悪鬼を
追い出されたマグダラの女と呼ばれたマリヤと、"
"420803","
ヘロデ(・アンデパス王)の家令クーザの妻ヨハンナと、スザンナと、そのほ
か大勢の女たちも一しょであった。女たちは自分の財産を持ち出して、みなを賄った。"
"420804","
(ある時)大勢の群衆が集まり、また町々からも人々が押しよせてきたので、
イエスは譬を用いて話された、"
"420805","
「種まく人がその種をまきに出かけた。まく時に、あるものは道ばたに落ちた。
踏みつけられたり、空の鳥が食ったりした。"
"420806","
またほかのものは岩の上に落ちた。(生えるには)生えたが、湿り気がないので
枯れてしまった。"
"420807","
またほかのものは茨の(根が張っている)中に落ちた。茨が一しょに生えて押
えつけてしまった。"
"420808","
またほかのものは善い地に落ちた。生えて(育って)百倍の実を結んだ。」こう
言ったあとで、「耳の聞える者は聞け」と叫ばれた。"
"420809","
弟子たちがこの譬はどういう意味かと尋ねると、"
"420810","
言われた、「あなた達(内輪の者)には、神の国の秘密をさとる力が授けられて
いる(のでありのままに話す)が、ほかの人たちには譬をもって話すのである。これは(聖
書にあるように、)“彼らが見ても見えず、聞いても悟らない”ようにするためである。"
"420811","
譬(の意味)はこうである。──種は神の御言葉である。"
"420812","
道ばたのものとは、(御言葉を)聞くと、あとで悪魔が来て、彼らを信じて救わ
れることのないように、その心から御言葉をさらってゆく人たちである。"
"420813","
岩の上のものとは、御言葉を聞く時、喜んで受け入れるが、この人たちには(し
っかりした信仰の)根がないので、その当座は信じているが、試みの時に離れおちる人た
ちである。"
"420814","
茨の中に落ちたもの、これは(御言葉を)聞く(と、しばらくは信じている)
が、とかくするうちに人生の心配や富や快楽に押えつけられて、実の熟さない人たちであ
る。"
"420815","
しかし良い地のもの、これは御言葉を聞くと、りっぱな善い心でこれをしっか
り守り、忍耐をもって実を結ぶ人たちである。"
"420816","
(しかし外の人たちに神の国の秘密が隠されるのは、ただしばらくである。) 

だれも明りをつけて器でおおい隠したり、寝台の下に置いたりする者はない。(部屋に)

入ってくる者にその光が見えるように、かならず燭台の上に置くのである。"


"420817","
隠れているものであらわにならぬものはなく、隠されているもので(人に)知
られず、また現われないものもないからである。"
"420818","
だから、気をつけよ、聞き方が大切である。(よく聞いて守れ。)持っている人
は(さらに)与えられ、持たぬ人は、持っていると思うものまで取り上げられるのである。」
"
"420819","
(ある時)イエスの母と兄弟たちがイエスの所に来たが、人だかりのため、そ
ばへ行くことができなかった。"
"420820","
人々が「母上と兄弟がたが、お会いしたいと外に立っておられます」と知らせ
ると、"
"420821","
イエスは答えられた、「わたしの母、わたしの兄弟は、神の御言葉を聞いて行う
人たちである。」"
"420822","
ある日のこと、イエスは弟子たちと舟に乗って、「湖の向こう岸に渡ろう」と言
われるので、船出した。"
"420823","
渡ってゆくうちに、イエスは寝入ってしまわれた。すると突風が湖に吹きおろ
し、彼らは水をかぶって危険になった。"
"420824","
弟子たちがそばに来て、「先生、先生、わたし達は溺れます」と言ってイエスを
起した。イエスが目をさまして風と浪とを叱りつけられると、(たちどころに)静まって、
凪になった。"
"420825","
彼らに言われた、「あなた達の信仰はどこにあるのか。」弟子たちは驚き恐れて、
「この方はいったいだれだろう、この方が命令されると、風も水も、その言うことを聞く
のだが」と語り合った。"
"420826","
かくて一行はガリラヤの向い側にあるゲラサ人の地に渡った。"
"420827","
イエスが陸にあがられると、その町の者で、悪鬼につかれた一人の男が迎えた。
この男は長い間着物を着ず、また家にすまずに墓場にすんでいた。"
"420828","
イエスを見ると、叫びながらその前にひれ伏し、大声で言った、「いと高き神の
子のイエス様、“放っておいてください。”お願いです、わたしを苦しめないでください。」
"
"420829","
これはイエスが汚れた霊に、その人から出てゆけと命じたからである。汚れた
霊は何度も何度もその人をつかんだ。いかに鎖と足桎でつながれ監視されていても、その
繋ぎをひきちぎり、悪鬼に追われて荒野にいったのである。"
"420830","
「あなたの名はなんというか」とイエスがお尋ねになると、「軍団です」とこた
えた。悪鬼が大勢、(一軍団も)彼の中に入りこんでいたからである。"
"420831","
また、地の底に行くことをお命じにならぬようにと願った。"
"420832","
折から、そこの山で多くの豚の群が草を食っていた。悪鬼どもは、それに乗り
移ることを許されたいと願った。お許しになると、"
"420833","
悪鬼どもはその人から出ていって豚に乗り移った。すると群は(気がちがった
ように)けわしい坂をどっと湖へなだれこみ、溺れて死んだ。"
"420834","
豚飼たちはこの出来事を見て逃げ出し、町や部落に知らせた。"
"420835","
人々はこの出来事を見に出て来たが、イエスの所に来て、悪鬼を追い出された
人が着物をき、正気にかえって、イエスの足もとにじっと坐っているのを見ると、恐ろし
くなった。"
"420836","
また(現場を)見ていた人たちは、悪鬼につかれていた者がどんな風にして救
われたかを、その人々に知らせた。"
"420837","
ゲラサ地方の住民は皆すっかりおびえ切って、イエスに自分たち(の所)から
でて行ってもらいたいと頼んだ。そこでイエスは舟に乗って帰られた。"
"420838","
(帰ろうとされる時に、)悪鬼を追い出された男がお供をしたいと願ったが、(許
さず、)こう言ってお帰しになった、"
"420839","
「家に帰って、神がどんなにえらいことをしてくださったかを、(みんなに)話
してきかせなさい。」すると彼は行って、イエスがどんなにえらいことを自分にされたか
を、町中に言いふらした。"
"420840","
イエスが(カペナウムに)帰ってこられると、群衆は喜んで迎えた。皆待って
いたのである。"
"420841","
するとそこに名をヤイロという人が来た。この人は礼拝堂の役人であった。イ
エスの足もとにひれ伏し、家に来ていただきたいと願った。"
"420842","
十二歳ばかりの一人娘があって、それが死にかけていたのである。(ヤイロの家
に)行かれる途中、群衆はイエスを押しつぶしそうであった。"
"420843","
すると十二年このかた長血をわずらって、だれにもなおしてもらえなかった女
が、"
"420844","
近寄ってきて、後からイエスの上着の裾にさわった。すると、たちどころに血
の出るのがやんだ。"
"420845","
イエスが言われた、「わたしにさわったのはだれか。」皆が知らないとこたえる
と、ペテロが言った、「先生、(なにしろ)群衆が(こんなに)あなたを取り巻いて、もみ
合っているのですから。」"
"420846","
イエスが言われた、「(確かに)だれかがさわった。わたしの中から力が出てい
ったのを感じたから。」"
"420847","
女は隠しおおせないのを見て、震えながら、進み出てイエスの前にひれ伏し、
さわった訳と、たちどころに直ったこととを皆の前で話した。"
"420848","
イエスは言われた、「娘よ、あなたの信仰がなおしたのだ。“さよなら、平安あ
れ。”」"
"420849","
イエスがまだ話しておられるところに、礼拝堂監督の家からひとりの人が来て
(監督に)言った、「お嬢さんはもうなくなりました。先生にこれ以上御迷惑をかけられ
ないように。」"
"420850","
イエスは聞いて監督に言葉をかけられた、「こわがることはない。ただ信ぜよ。
そうすれば助かる。」"
"420851","
家に着かれると、ペテロとヨハネとヤコブと、女の子の父と母とのほかには、
だれも一しょに中に入ることを許されなかった。"
"420852","
(集まった)人々が皆泣いて、女の子のために悲しんでいた。イエスが言われ
た、「泣くな。死んだのではない、眠っているのだ。」"
"420853","
人々は死んだことを知っているので、あざ笑っていた。"
"420854","
しかしイエスは女の子の手を取り、声をあげて「子よ、起きなさい!」と呼ば
れると、"
"420855","
霊がもどって、即座に女の子は立ち上がった。イエスは(何か)食べさせるよ
うに言いつけられた。"
"420856","
両親が呆気にとられていると、イエスはこの出来事をだれにも言うなと命じら
れた。"
"420901","
それから(前に選んだ)十二人(の弟子)を呼びあつめて、すべての悪鬼を支
配し、また病気をなおす力と全権とを授けた上、"
"420902","
神の国(の福音)を説いたり、病気を直したりするために派遣された。"
"420903","
彼らに言われた、「旅行には何も──杖も、旅行袋も、パンも、金も持ってゆく
な。着替えの下着も持ってはならない。"
"420904","
ある家に入ったら、(その町を去るまでは)その家に泊まっていて、そこから(次
の町へ)立ってゆけ。"
"420905","
人があなた達を歓迎しないなら、(すぐ)その町を(出てゆけ。そして)出てゆ
くとき、(縁を切ったことを)そこの人々に証明するため、足の埃を払いおとせ。」"
"420906","
十二人は出かけていって、村から村へとあるき回りながら、到る所で福音を説
き、また病気をなおした。"
"420907","
これら一切の出来事が領主ヘロデの耳にはいると、彼はすっかり不安になった。
ある人は(イエスのことを洗礼者)ヨハネが死人の中から生きかえったのだと言い、"
"420908","
ある人は(預言者)エリヤが現われたと言い、またほかの人は、昔のある預言
者が生き返ったのだと言ったからである。"
"420909","
しかしヘロデは言った、「ヨハネは(確かに)わたしが首をはねた。だが、こん
な噂を聞くその男はそもそも何者だろう。」彼はイエスに会いたいと思った。"
"420910","
(さて十二人の)使徒たちは帰ってきて、(旅行中に)したことをみなイエスに話
した。イエスは彼らを連れて、自分たちだけベツサイダという町の方へ引っ込まれた。"
"420911","
しかし群衆がそれと知ってついて来たので、これを迎えて神の国のことを語り、
また治療を要する人々を直された。"
"420912","
日が傾きかけると、十二人は来てイエスに言った、「群衆を解散させ、まわりの
村や部落に行って宿を取らせ、食事をさせてください。わたし達はこんな人里はなれた所
にいるのですから。」"
"420913","
彼らに言われた、「あなた達が自分で食べさせてやったらよかろう。」彼らが言
った、「手許にはパン五つと魚二匹よりありません、わたし達が行って、このみんなの食
べる物を買ってこないことには。」"
"420914","
男五千人ばかりもいたからである。「五十人ぐらいずつ組にして坐らせなさい」
と弟子たちに言われた。"
"420915","
そのように、皆を坐らせた。"
"420916","
するとイエスは(いつも家長がするように、)その五つのパンと二匹の魚を(手
に)取り、天を仰いでそれを祝福したのち、(パンを)裂いて、群衆に配るように弟子た
ちに渡された。"
"420917","
皆が食べて満腹した。そして余った(パンの)屑を拾うと、十二篭あった。"
"420918","
イエスがひとりで祈っておられた時のこと、弟子たち(だけ)が一しょにいる
と、こう言って尋ねられた、「人々はわたしのことをなんと言っているのか。」"
"420919","
彼らが答えて言った、「洗礼者ヨハネ。あるいはエリヤ、あるいは昔のある預言
者が生き返ったのだ、と言う者があります。」"
"420920","
彼らに言われた、「では、あなた達はわたしのことをなんと言うのか。」ペテロ
が答えて言った、「神の(お約束の)救世主!」"
"420921","
イエスは弟子たちを戒めて、このことをだれにも言うなと命じられた。"
"420922","
そして、「人の子(わたし)は多くの苦しみをうけ、長老、大祭司連、聖書学者
たちから排斥され、殺され、そして三日目に復活せねばならない。(神はこうお決めにな
っている)」と言われた。"
"420923","
それから今度は皆に話された、「だれでも、わたしについて来ようと思う者は、
(まず)己れをすてて、毎日自分の十字架を負い、それからわたしに従え。"
"420924","
(十字架を避けてこの世の)命を救おうと思う者は(永遠の)命を失い、わた
しのために(この世の)命を失う者が、(永遠の)命を救うのだから。"
"420925","
全世界をもうけても、自分(の命)を失ったり損したりするのでは、その人は
何を得するのだろう。"
"420926","
(わたしを信ずると言いながら、)わたしとわたしの福音(を告白すること)と
を恥じる者があれば、人の子(わたし)も、自分と父上と聖なる天使たちとの栄光に包ま
れて(ふたたび地上に)来る時、そんな(臆病)者を(弟子と認めることを)恥じるであ
ろう。"
"420927","
本当にわたしは言う、(その時はじきに来る。)今ここに立っている者のうちに
は、死なずにいて、その神の国を見る者がある。」"
"420928","
これらの言葉を語られた後、八日ばかりして、ペテロとヨハネとヤコブとを連
れて、祈るために山に上られた。"
"420929","
祈っておられるうちに、お顔の様子がちがってきて、着物(まで)が白く光り
出した。"
"420930","
すると見よ、二人の人が(現われて、)イエスと話していた。それはモーセとエ
リヤで、"
"420931","
栄光に包まれて現われ、イエスがエルサレムで遂げねばならぬ最後について(彼
と)語っていたのである。"
"420932","
ペテロたちはぐっすり眠っていたが、(この時)目を覚まして、このイエスの栄
光(の姿)と、一しょに立っている二人の人とを見たのである。"
"420933","
いよいよ二人がイエスと別れようとした時、ペテロがイエスに言った、「先生、
わたし達(三人)がここにいるのは、とても良いと思います。だから小屋を三つ造りまし
ょう。一つをあなたに、一つをモーセに、一つをエリヤに。」──何を言っているのか、(自
分にも)わからなかった。"
"420934","
しかしペテロがこう言い終らないうちに、雲がおこって、彼ら(イエスとモー
セとエリヤと)を掩った。彼らが雲の中に入った時、弟子たちは恐ろしくなった。"
"420935","
すると「これはわたしの“選んだ子、”“彼の言うことを聞け”」と言う声が雲の
中から聞えてきた。"
"420936","
声がきこえた時、見ると(そこには)イエスだけがおられた。彼らはそのころ
口をつぐんで、見たことを一切、だれにも話さなかった。"
"420937","
次の日、山から下ってくると、大勢の群衆がイエスを出迎えた。"
"420938","
すると群衆の中のひとりの人がこう言って叫んだ、「先生、お願いです、伜に目
をかけてやってください。独り息子です。"
"420939","
かわいそうに霊がつくと、急にどなり出し、またひきつけさせて泡をふかせ、
なかなか離れないで、すっかり弱らせてしまいます。"
"420940","
それで、霊を追い出すことをお弟子たちに願いましたが、お出来になりません
でした。」"
"420941","
イエスが答えられた、「ああ不信仰な、腐り果てた時代よ、わたしはいつまであ
なた達の所にいてあなた達に我慢しなければならないのか。息子をここにつれてきなさ
い。」"
"420942","
しかし来るうちに、悪鬼がもうその子を投げ倒して、ひどくひきつけさせた。
イエスは汚れた霊を叱りつけて子をいやし、父親に返された。"
"420943","
皆が神の御威光に驚いてしまった。イエスのされたすべてのことに皆が驚いて
いると、(また)弟子たちに言われた、"
"420944","
「あなた達はこの言葉をよく耳にしまって置きなさい。──人の子(わたし)
は人々の手に引き渡されねばならない。」"
"420945","
しかし彼らはこの言葉がわからなかった。彼らに(意味が)隠されていたので、
会得できなかったのである。でもこわいので、この言葉について尋ねなかった。"
"420946","
ここに弟子たちの心に、自分たちのうちでだれが一番えらいだろうという考え
が起った。"
"420947","
イエスは彼らの心の考えを知って、一人の子供の手を取り、自分のわきに立た
せて、"
"420948","
言われた、「わたしの名を信ずるこの子供を迎える者は、わたしを迎えてくれる
のである。わたしを迎える者は、わたしを遣わされた方をお迎えするのである。あなた達
の間ではだれよりも一番小さい者が、一番えらい。」"
"420949","
ヨハネが言った、「先生、あなたの名を使って悪鬼を追い出している者を見たの
で、止めるように言いました。わたし達と一しょに(あなたに)従わないからです。(し
かし言うことを聞きませんでした。)」"
"420950","
イエスはヨハネに言われた、「止めさせるには及ばない。反対しない者はあなた
達の味方である。」"
"420951","
イエスは(いよいよ)昇天の日が迫ったので、決然としてその顔をエルサレム
へ向けて進み、"
"420952","
(まず行くさきざきに)使を先発させられた。ところが、彼らが行ってイエス
のために宿の用意をしようとしてサマリヤ人の村に入ると、"
"420953","
村人たちはイエスが顔をエルサレムへ向けて進んでおられるので、承知しなか
った。"
"420954","
弟子のヤコブとヨハネとはそれを見て(憤慨して)言った、「主よ、(エリヤの
ように)“天から火を”呼び“下して、”あの奴らを“焼き殺してしまい”ましょうか。」"
"420955","
イエスは振り返って二人を叱り、"
"420956","
みなとほかの村へ行かれた。"
"420957","
彼らが道を進んでいると、ある人がイエスに言った、「どこへでもおいでになる
所へお供をします。」"
"420958","
イエスはその人に言われた、「狐には穴がある、空の鳥には巣がある。しかし人
の子(わたし)には枕する所がない。(その覚悟があるか。)」"
"420959","
またほかの一人に言われた、「わたしについて来なさい。」その人が言った、「そ
の前に、父の葬式をしに行かせてください。」"
"420960","
その人に言われた、「死んだ者の葬式は死んだ者にまかせ、あなたは行って神の
国を伝えなさい。」"
"420961","
もう一人のほかの人も言った、「主よ、お供します。ただその前に、家の者に暇
乞いをさせてください。」"
"420962","
しかしイエスは言われた、「鋤に手をかけたあとで後を見る者は、神の国の役に
立たない。」"
"421001","
そのあとで、主は(十二人のほかに)別に七十二人を定め、自分で行こうとし
ておられる、あらゆる町や場所に二人ずつ先発された。"
"421002","
彼らに言われた、「刈入れは多いが、働き手が少ない。だから刈入れの主人に、
刈入れのため(多くの)働き手を送られるよう、お願いしなさい。"
"421003","
行け、いまわたしがあなた達を送り出すのは、羊を狼の中に入れるようなもの
だ。"
"421004","
(だからただ信仰で武装せよ。)財布も旅行袋も持ってゆかず、靴もはくな。だ
れにも道で挨拶をするな。"
"421005","
ある家に入ったら、まっ先に『平安この家にあれ』と言いなさい。"
"421006","
もしそこに一人でも平安を愛する者がおれば、あなた達の(祈った)平安はそ
の人に止り、もし一人もいなければ、あなた達に返ってくる(、そしてあなた達のものと
なる)であろう。"
"421007","
(どんな家でも一度入ったら、その土地を立ってゆくまでは)同じ家に泊まっ
ていて、家の人が出すものを(遠慮なく)飲み食いせよ。働く者が報酬をいただくのは当
然だから。家から家へと移ってはならない。"
"421008","
ある町に入ったとき、人があなた達を歓迎するなら、出されるものを食べて、"
"421009","
その町の病人をなおし、また(町の)人々に、『あなた達には神の国(の喜び)
が近づいた』と言え。"
"421010","
しかしある町に入ったとき、人が歓迎しないなら、大通りに出て言え、"
"421011","
『わたし達は足についたこの町の埃まで、あなた達に拭いてかえす。(縁を切っ
た証拠だ。)しかし(あなた達には、恐ろしい裁きである)神の国が近づいたことを知れ』
と。"
"421012","
わたしは言う、かの日には、(あの堕落町)ソドムの方が、まだその町よりも罰
が軽いであろう。"
"421013","
ああ禍だ、お前コラジン!ああ禍だ、お前ベツサイダ!わたしがお前たちの所
で行っただけの奇跡をツロやシドンで行ったなら、(あの堕落町でも、)とうの昔に粗布を
着、灰の中に坐って悔改めたにちがいないのだから。"
"421014","
ところで、裁きの時には、ツロやシドンの方が、まだお前たちよりも罰が軽い
であろう。"
"421015","
それから、お前カペナウム、(わたしに特別に可愛がられたからとて、)まさか
“天にまで挙げられる”などとは思っていないだろうね。(天に挙げられるどころか、)“お
前は黄泉にまでたたき落されるであろう。”"
"421016","
(七十二人の者に言っておく。──)あなた達の言うことを聞く者は、わたし
の言うことを聞くのであり、あなた達を排斥する者は、わたしを排斥するのである。わた
しを排斥する者は、わたしを遣わされた方を排斥するのである。」"
"421017","
七十二人が喜んで帰ってきてイエスに言った、「主よ、あなたの名を使うと、悪
鬼までがわたし達に服従します。」"
"421018","
彼らに言われた、「悪魔が稲妻のように天から落ちるのを、わたしは見ていた。
"
                 
"421019","
(悪魔の下働きをする)“蛇”や蝎“を踏みつけ、”また敵のあらゆる力に打ち
勝つ全権をあなた達に授けたではないか。だから、あなた達に害を加えるものは一つもな
い。"
"421020","
しかし(悪い)霊どもがあなた達に服従したことを喜ばず、自分の名が天(の
命の書)に書き込まれていることを喜ばなくてはいけない。」"
"421021","
この時イエスは聖霊にみたされ、感激にあふれて言われた、「天地の主なるお父
様、(神の国の秘密に関する)これらのことを(この世の)賢い人、知恵者に隠して、幼
児(のような人たち)にあらわされたことを、讃美いたします。ほんとうに、お父様、そ
うなるのがあなたの御心でした。"
"421022","
(──知恵も力も、その他)一切のものが父上からわたしに任せられた。父上
のほかに、子(であるわたし)が何であるかを知る者は一人もなく、また、子と、子が父
上をあらわしてやる者とのほかに、父上が何であるかを知る者はない。」"
"421023","
それから特に弟子の方へ振り向いて言われた、「あなた達が(いま)見ているも
のを見る目は幸いである。"
"421024","
わたしは言う、多くの預言者と王とは、あなた達が(いま)見ているものを見
たいと思ったが見られず、あなた達が(いま)聞いているものを聞きたいと思ったが、聞
かれなかったのである。」"
"421025","
するとそこに、ひとりの律法学者があらわれて、イエスを試そうとして言った、
「先生、何をすれば永遠の命がいただけるのでしょうか。」"
"421026","
イエスは言われた、「律法[聖書]に何と書いてあるか。解釈はいかに。」"
"421027","
学者が答えた、「“心のかぎり、精神のかぎり、力のかぎり、”思いのかぎり、“あ
なたの神なる主を愛せよ。”また”隣の人を自分のように愛せよ”です。」"
"421028","
彼に言われた、「その答は正しい。“それを実行しなさい。そうすれば(永遠に)
生きられる。”」"
"421029","
すると学者は照れかくしにイエスに言った、「では、わたしの隣り人とはいった
いだれのことですか。」"
"421030","
イエスが答えて言われた、「ある人が(──それはユダヤ人であった──)エル
サレムからエリコに下るとき、強盗に襲われた。強盗どもは例によって(着物を)はぎと
り、なぐりつけ、半殺しにして逃げて行った。"
"421031","
たまたま、ひとりの祭司がその道を下ってきたが、この人を見ながら、向こう
側を通っていった。"
"421032","
同じくレビ人もその場所に来たが、見ながら向こう側を通っていった。"
"421033","
ところが旅行をしていたひとりのサマリヤ人は、この人のところに来ると、見
て不憫に思い、"
"421034","
近寄って傷にオリブ油と葡萄酒を注いで包帯した上、自分の驢馬に乗せて旅籠
屋につれていって介抱した。"        
"421035","
そればかりか、次の日、デナリ銀貨[五百円]を二つ出して旅篭の主人に渡し、
『この方を介抱してくれ。費用がかさんだら、わたしが帰りに払うから』と言った(とい
う話)。"
"421036","
(それで尋ねるが、)この三人のうち、だれが強盗にあった人の隣の人であった
とあなたは考えるか。(同国人の祭司か、レビ人か、それとも異教のサマリヤ人か。)」"
"421037","
学者はこたえた、「その人に親切をした(サマリヤの)人です。」イエスが言わ
れた、「行って、あなたも同じようにしなさい。(そうすれば永遠の命をいただくことが出
来る。)」"
"421038","
さてみなが旅行をつづけるうち、イエスがある村に入られると、マルタという
女が家にお迎えした。"
"421039","
マルタにマリヤという姉妹があった。。マリヤは主の足もとに坐ってお話を聞い
ていた。"
"421040","
するといろいろな御馳走の準備で天手古舞をしていたマルタは、すすみ寄って
言った、「主よ、姉妹がわたしだけに御馳走のことをさせているのを、黙って御覧になっ
ているのですか。手伝うように言いつけてください。」"
"421041","
主が答えられた、「マルタ、マルタ、あなたはいろいろなことに気を配り、心を
つかっているが、"
"421042","
無くてならないものはただ一つである。マリヤは善い方を選んだ。それを取り
上げてはならない。」"
"421101","
ある所で祈っておられた時のこと、それがすむと、ひとりの弟子が言った、「主
よ、(洗礼者)ヨハネが弟子たちに教えたように、わたし達にも祈りを教えてください。」"
"421102","
彼らに言われた、「祈る時には、こう言いなさい。──お父様、お名前がきよま
りますように。お国が来ますように。"
"421103","
その日の食べ物を日ごとにわたしたちに戴かせてください。"
"421104","
罪を赦してください、わたしたちも罪を犯した人を皆赦しておりますから。わ
たしたちを試みにあわせないでください。」"
"421105","
また彼らに言われた、「あなた達のうちのだれかに友人があって、夜中にその友
人の所に行き、『友よ、パンを三つ貸してくれ。"
"421106","
旅先からわたしの友人が来たのに、何も出すものがないから』と言ったとき、"
"421107","
その友人は内から、『勘弁してくれ。もう戸締りをしてしまったし、子供たちも
わたしと一しょに寝ている。起きてかしてやるわけにはゆかない』と答えるにちがいない。
"
"421108","
しかしわたしは言う、(その人がなおもせがんで止まなければ、)友人だからと
いうのでは起きて(パンを)かしてやらなくても、その厚かましさにはかなわず、起き上
がって、必要なだけのものをかしてやるにちがいない。"
"421109","
それで、わたしもあなた達に言う、(ほしいものはなんでも神に)求めよ、きっ
と与えられる。さがせ、きっと見つかる。戸をたたけ、きっとあけていただける。"
"421110","
だれであろうと、求める者は受け、さがす者は見つけ、戸をたたく者はあけて
いただけるのだから。"
"421111","
あなた達のうちのどんなお父さんでも、子が魚を求めるのに、魚の代りに蛇を
やるだろうか。"
"421112","
また卵を求めるのに、蝎をやるだろうか。"
"421113","
してみると、あなた達は悪い人間でありながらも、自分の子に善い物をやるこ
とを知っている。まして天の父上が、求める者に聖霊(という善いもの)を下さらないこ
とがあるだろうか。」"
"421114","
(ある日)悪鬼を追い出しておられた。それは唖(の霊)であった。その悪鬼
が出てゆくと(すぐ)唖が物を言うようになったので、群衆が驚いた。"
"421115","
しかしそのうちには、「あれは悪鬼どもの頭ベルゼブル(悪魔)を使って悪鬼を
追い出している」と言った者もあり、"
"421116","
またある者は(イエスを)試そうとして、(神の子である証拠に)天からの(不
思議な)徴を彼に求めた。"
"421117","
イエスは彼らの思いを知って言われた、「内輪で割れるいかなる国も荒れ果てて、
家が重なり合って倒れる。"
"421118","
(同じように)悪魔(の国)も内輪で割れれば、どうしてその国が立ってゆこ
う。あなた達は、わたしがベルゼブルを使って悪鬼を追い出していると言うのだが。"
"421119","
またわたしがベルゼブルを使って悪鬼を追い出すとすれば、(同じことをしてい
る)あなた達の弟子は、いったい何を使って(悪鬼を)追い出しているのか。(まさかベ
ルゼブルではあるまい。だからこのことについては、)あなた達の弟子に裁判官になって
もらったがよかろう。"
"421120","
しかし、もし(そうでなく、)わたしが神の指で悪鬼を追い出しているのであっ
たら、それこそ神の国はもうあなた達のところに来ているのである。"
"421121","
強い者が武装して自分の城を守っている時には、その持ち物は安全であるが、"
"421122","
より強い者が襲ってきてこれに打ち勝つと、その頼みにしている武具を奪い、
分捕品を分けるのである。"
"421123","
(だからわたしは言う、神と悪魔との戦いはすでに始まっている。)わたしの側
に立たない者は、わたしに反対する者、わたしと一しょに集めない者は、散らす者である。
"
"421124","
汚れた霊が(追い出されて)人間から出て行くと、砂漠をあるき回って休み場
所をさがすが見つからないので、『出てきた自分の家にもどろう』と言って、"
"421125","
かえって見ると、(家は)掃除ができて、飾り付けがしてあった。"
"421126","
そこで行って、自分よりも悪い、ほかの(汚れた)霊を七つも連れてきて入り
こみ、そこに住む。するとその人のあとの有様は、(追い出す)前よりも、もっとひどく
なるのである。」"
"421127","
こう話しておられる時、群衆の中の一人の女が声を張り上げてイエスに言った、
「なんと仕合わせでしょう、あなたを宿したお腹、あなたがすった乳房は!」"
"421128","
しかしイエスは言われた、「いや、仕合わせなのは、神の言葉を聞いてそれを守
る人たちである。」"
"421129","
群衆がなおも押し寄せてきたとき、イエスは話し出された、「この時代は悪い時
代である。(だから信ずるのに)徴を求める。しかしこの時代には、(預言者)ヨナの徴以
外の徴は与えられない。"
"421130","
すなわちヨナが(大きな魚の腹から出てきて)ニネベの人に徴となったように、
人の子(わたしも地の中から出てきて)この時代の人に徴となるのである。"
"421131","
(しかし人々は信じない。だから)南の国(シバ)の女王がこの時代の人たち
と一しょに(最後の)裁き(の法廷)にあらわれて、この人たちの罪が決まるであろう。とい
うのは、彼女は地の果てからソロモン(王)の知恵を聞きに(エルサレムに)来たが、(こ
の人たちは、)いまここにソロモンよりも大きい者がいる(のに、それに耳を傾けない)
からである。"
"421132","
(また、)ニネベの人がこの時代の人と一しょに(最後の)裁き(の法廷)にあ
らわれて、この人たちの罪が決まるであろう。というのは、ニネベの人はヨナの説く言葉
に従って悔改めたが、(この人たちは、今)ここにヨナよりも大きい者がいる(のに、そ
の言葉に従わない)からである。"
"421133","
だれも明りをつけて片隅に置いたり、枡をかぶせたりする者はない。(部屋に)
入ってくる者にその光が見えるように、かならず燭台の上に置くのである。(そのように
人の子が来たのも世を照らすためである。それを見わけられないのは、見る人の心が暗い
からである。)"
"421134","
体の明りはあなたの目である。目が澄んでいる間は、体全体も明るいが、悪い
となると、体も暗い。"
"421135","
だから、あなたの内の光(である目、すなわち心)が暗くならぬように注意せ
よ。"
"421136","
もし体全体が明るくてすこしも暗い部分がなければ、明りがその輝きであなた
を照らしている時のように、すべてが明るいであろう。」"
"421137","
こう話しておられた時、一人のパリサイ人がその家でお食事をと願ったので、
(家に)入って食卓に着かれた。"
"421138","
するとそのパリサイ人は、イエスが(規則どおり)食事の前にまず(手を)す
すがれないのを見て不思議がった。"
"421139","
主は彼に言われた、「よろしい、では君たちパリサイ人、君たちは杯や盆の外側
は清潔にするが、(心の)内側は強欲と悪意とでいっぱいではないのか。"
"421140","
無知な人たちよ、外側を造った方が、内側もお造りになったのではないか。"
"421141","
とにかく、(杯や盆の)内のものを施してみよ。見る間に、君たちのもの一切が
清潔になるであろう。"
"421142","
ああ禍だ、君たちパリサイ人!君たちは薄荷や芸香やすべての野菜の(収穫の)
一割税は(神妙に)納めるが、(大切な)正義と神に対する愛とをゆるがせにしているか
らだ。しかしこれこそ行うべきである。だがあれもなおざりにしてはならない。"
"421143","
ああ禍だ、君たちパリサイ人!君たちは礼拝堂の上席や、市場で挨拶されるこ
とを好むからだ。"
"421144","
ああ禍だ、君たちは!君たちは見分けのつかない(汚れた)墓のようで、人は
(それと)知らずにその上を歩くからだ。(同じように、きたない君たちに接する人は皆
汚れる。)」"
"421145","
するとひとりの律法学者が口を出した、「先生、あなたはそう言って、わたし達
までも侮辱しておられます。」"
"421146","
イエスが言われた、「ああ禍だ、君たち律法学者も!君たちは人には負いきれな
い荷を負わせながら、自分では(担ってやるどころか、)ただの指一本、その荷にさわっ
てやらないからだ。"
"421147","
ああ禍だ、君たちは!君たちは預言者の記念碑を建てるが、その預言者を殺し
たのは君たちの先祖だからだ。"
"421148","
それゆえ君たちは先祖がした(預言者殺しの)業の証人であり、またその賛成
者である。先祖は殺し、君たちは(その記念碑を)建てるからだ。"
"421149","
だから神の知恵も(預言して)言っている、『わたしが預言者や使徒を派遣する
と、彼らはそのある者を殺し、また迫害するであろう。"
"421150","
これは、(こうして彼らが迫害する預言者の血だけでなく、)世の始めから流さ
れたすべての預言者の血に対して、この時代が勘定を取られるためである、"
"421151","
(すなわち、最初の殺人であった)アベルの血から、祭壇と神殿との間で殺さ
れたザカリヤの血に至るまで(の血に対して。)』ほんとうに、わたしは言う、この時代(の
君たち)は勘定を取られるであろう。"
"421152","
ああ禍だ、君たち律法学者!君たちは(神の国の)知識の鍵を取り上げて、自
分も入らず、また入ろうとする者の邪魔をするからだ。」"
"421153","
イエスがそこを出てゆかれると、聖書学者とパリサイ人とは(イエスに対して)
ひどく敵意をいだき、いろいろな質問をあびせ始めた。"
"421154","
あわよくば、その口から何か言葉質をとろうと狙っていたのである。"
"421201","
とにかくするうちに、(足を)踏み合うほど数かぎりない群衆が集まってきた。
イエスはまず弟子たちに言い出された、「パリサイ人のパン種──彼らの偽善──を警戒
せよ。"
"421202","
覆われているものであらわされないものはなく、隠れているもので(人に)知
られないものはない。"
"421203","
(伝道も同じである。)だからあなた達が暗闇で(こっそり)言ったことはみな、
明るみで聞かれ、奥の部屋で耳にささやいたことは、屋根の上で宣伝される(時が来る)
のである。"
"421204","
あなた達、わたしの友人に言う、体を殺しても、そのあと、それ以上には何も
できない者を恐れるな。"
"421205","
恐るべき者はだれか、おしえてあげよう。殺したあとで、地獄に投げ込む権力
を持っておられるお方を恐れよ。ほんとうに、わたしは言う、そのお方(だけ)を恐れよ。
"
"421206","
雀は五羽二アサリオン(六十円)で売っているではないか。しかしその一羽で
も、神に忘れられてはいないのである。"
"421207","
それどころかあなた達は、髪の毛までも一本一本数えられている。恐れること
はない、あなた達は多くの雀よりも大切である。"
"421208","
それで、わたしは言う、(恐れずに説け。)だれでも人の前で公然わたしを(主
と)告白する者を、人の子(わたし)も(裁きの日に、)神の使たちの前で(弟子として)
認める。"
"421209","
しかし人の前でわたしを否認する者は、神の使たちの前で(わたしから)否認
されるであろう。"
"421210","
また、人の子(わたし)を冒涜する者ですら、皆、赦していただけるが、聖霊
を冒涜する者は(決して)赦されない。"            
"421211","
人々があなた達を礼拝堂や役所や官庁に引っ張っていった時には、いかに、何
と弁明しようか、何を言おうかと、心配するな。"
"421212","
言うべきことは、その時に聖霊が教えてくださるのだから。」"
"421213","
すると群衆の中の一人がイエスに言った、「先生、遺産を分けてくれるように、
兄に言ってください。」"
"421214","
イエスは「君、だれがわたしを、あなた達の裁判官また遺産分配人に任命した
のか」とこたえておいて、"
"421215","
人々に言われた、「一切の貪欲に注意し、用心せよ。いかに物があり余っていて
も、財産は命の足しにはならないのだから。」"
"421216","
そこで一つの譬を人々に話された、「ある金持の畑が(ある年)豊作であった。
"
"421217","
『どうしよう、わたしの作物をしまいこむ場所がないのだが…』と金持ちはひ
そかに考えていたが、"
"421218","
やがて言った、『よし、こうしよう。倉をみなとりこわして大きいのを建て、そ
こに穀物と財産をみなしまいこんでおいて、"
"421219","
それからわたしの魂に言おう。──おい魂、お前には長年分の財産が沢山しま
ってある。(もう大丈夫。)さあ休んで、食べて、飲んで、楽しみなさい、と。』"
"421220","
しかし神はその人に、『愚か者、今夜お前の魂は取り上げられるのだ。するとお
前が準備したものは、だれのものになるのか』と言われた。"
"421221","
自分のために(地上に)宝を積んで、神のところで富んでいない者はみな、こ
のとおりである。」"
"421222","
それから(また)弟子たちに言われた、「だから、わたしは言う、何を食べよう
かと命のことを心配したり、また何を着ようかと体のことを心配したりするな。"
"421223","
命は食べ物以上、体は着物以上(の賜物)だから。(命と体とを下さった神が、
それ以下のものを下さらないわけはない。)"
"421224","
烏をよく見てごらん。まかず、刈らず、納屋も倉もないのに、神はそれを養っ
てくださるのである。ましてあなた達は、鳥よりもどれだけ大切だか知れない。"
"421225","
(だいいち、)あなた達のうちのだれが、心配して寿命を一寸でも延ばすことが
出来るのか。"
"421226","
それなら、こんな小さなことさえ出来ないのに、なぜほかのことを心配するの
か。"
"421227","
花は紡ぐことも、織ることもしないのに、よく見てごらん。しかし、わたしは
言う、栄華を極めたソロモン(王)でさえも、この花の一つほどに着飾ってはいなかった。
"
"421228","
きょうは野に花咲き、あすは炉に投げ込まれる草でさえ、神はこんなに装って
くださるからには、ましてあなた達はなおさらのことである。信仰の小さい人たちよ!"
"421229","
あなた達も、何を食べよう、何を飲もうと考えるな、また気をもむな。"
"421230","
それは皆この世の異教人の欲しがるもの。あなた達の父上は、それがあなた達
に必要なことを御承知である。"
"421231","
あなた達はむしろ御国を求めよ。そうすれば(食べ物や着物など)こんなもの
は、(求めずとも)つけたして与えられるであろう。"
"421232","
小さな群よ、恐れることはない。あなた達の父上は御国をあなた達に下さるつ
もりだから。"
"421233","
(ただ御国のために働けばよろしい。)持ち物を売って施しをしなさい。(すな
わちそれによって)自分のために古び(て破れ)ることのない財布をつくり、泥坊が近づ
くことも、衣魚が食うこともない天に、使いつくすことのない宝をつんでおきなさい。"
"421234","
宝のある所に、あなた達の心もあるのだから。"
"421235","
裾ひきからげ、明りをともしておれ。"
"421236","
あなた達は、主人が宴会からかえって来て戸をたたいたときすぐあけられるよ
うに、帰りいつかと待ちかまえている人のようであれ。"
"421237","
主人がかえって来たとき、目を覚ましているところを見られる僕たちは幸いで
ある。アーメン、わたしは言う、主人の方で裾をひきからげて、僕たちを食卓につかせ、
そばに来て給仕をしてくれるであろう。"
"421238","
第二夜回りのころにせよ、第三夜回りのころにせよ、主人がかえって来たとき、
こうして(目を覚まして)いるところを見られたら、その人たちは幸いである。"
"421239","
あなた達はこのことを知っているはずだ。──何時に泥坊が来るとわかってお
れば、家の主人は(目を覚ましていて、)みすみす家に忍び込ませはしないであろう。"
"421240","
あなた達も用意していなさい。人の子(わたし)は思いがけない時に来るのだ
から。」"
"421241","
するとペテロが言った、「主よ、この譬はわたし達(世話をしている者)のため
ですか、それとも皆の者のためにも話されたのですか。」"
"421242","
主が言われた、「(旅行に出かける)主人が一人の番頭を(えらんで)召使たち
の上に立て、時間時間にきまった食事を与えさせることにした場合に、いったいどんな番
頭が忠実で賢いのであろうか。"
"421243","
それは主人がかえって来たとき、言いつけられたとおりにしているところを見
られる僕で、その僕こそ幸いである。"
"421244","
本当にあなた達に言う、主人は彼に全財産を管理させるに違いない。"
"421245","
しかしその僕が、主人のかえりはおそい、と心の中で考えて、下男や下女をな
ぐったり、飲んだり食ったり酔っぱらったりし始めていると、                                                  

"421246","予期せぬ日、思いもよらぬ時間に、その僕の主人がかえってきて、僕を八つ裂
きにし、不信者と同じ目にあわせるにちがいない。"
"421247","
主人の心を知っていながら用意せず、あるいは主人の心に従って行動しなかっ
た僕は、(鞭で)打たれることが多い。"
"421248","
しかし(主人の心を)知らない者は、打たれるようなことをしても、打たれ方
が少ない。(神に)多く渡された者は皆多く請求され、(信頼して)多く任された者は一そ
う多く要求される。"
"421249","
火を地上に投げるために、わたしは来た。火がもう燃え出していたらと、どん
なに願っていることであろう!"
"421250","
しかしわたしには、受けねばならない洗礼がある。それがすむまで心配でたま
らないのだ。"
"421251","
あなた達は、地上に平和をもたらすためにわたしが来たと思うのか。そうでは
ない、わたしは言う、平和どころか、内輪割れ以外の何ものでもない。"
"421252","
今からのち、一軒の家で五人が割れて、三人対二人、二人対三人に"
"421253","
割れるからである。父対息子”息子対父、”母対娘”娘対母、”姑対嫁”嫁対姑”!」
"
"421254","
また群衆にも言われた、「あなた達は雲が西に出るのを見ると、即座に『俄雨が
来そうだ』と言うが、はたしてそのとおり。"
"421255","
また南風が吹きだすと、『暑くなりそうだ』と言うが、はたしてしかり。"
"421256","
この偽善者たち、天地の模様を見ることを心得ていながら、どうしてこの時(の
せまった様子)がわからないのか。"
"421257","
あなた達は(こんな時に)どうすればよいかを、なぜ自分で判断しないのか。"
"421258","
あなたは(いま、裁判所に訴えられているようなものである。)告訴人と一しょ
に役人の所に行く間に、途中でその人と話をつけるよう努力すべきである。そうでないと、
告訴人はあなたを裁判官の前に引きずってゆき、裁判官は執行人に引き渡し、執行人は牢
に入れるにちがいない。"
"421259","
わたしは言う、最後の一レプタ[五円]を返すまでは、決してそこから出るこ
とはできない。(早く悔改めよ。)」"
"421301","
ちょうどその時、人が来て、(総督ピラトが犠牲をささげている)ガリラヤ人た
ちを殺し、その血が彼らの犠牲(の血)にまじったことをイエスに報告した。"
"421302","
その人たちに言われた、「そのガリラヤ人たちはそんな目にあったので、(ほか
の)すべてのガリラヤ人よりも罪人だったと思うのか。"
"421303","
そうではない。わたしは言う、あなた達も悔改めなければ、皆同じように滅び
るであろう。"
"421304","
またシロアムの(池の)近くの櫓が倒れて(下敷になって)死んだあの十八人
は、(当時)エルサレムに住んでいた(ほかの)すべての人よりも罪人だったと思うのか。
"
"421305","
そうではない。わたしは言う、あなた達も悔改めなければ、皆同様に滅びるで
あろう。」"
"421306","
そこでこの譬を話された、「ある人が葡萄畑に一本の無花果の木を植えておいた。
(ある日)実をさがしに来たが、見つからないので、"
"421307","
葡萄畑の作男に言った、『もう三年この方、この無花果の木に実をさがしに来て
いるのに、まだ実がならない。切ってくれ。(ならないばかりか、)なんで土地までくたび
れさせることがあろう。』"
"421308","
答えて言う、『ご主人、今年もう一年だけ勘弁してやってください。今度は回り
を掘って、肥料をやってみますから。"
"421309","
それで来年実を結べばよし、それでもだめなら、切ってください。』」"
"421310","
安息日にある礼拝堂で教えておられた。"
"421311","
その時、そこに十八年も病気の霊につかれている女がいた。体が曲っていて、
真直ぐに伸ばすことが出来なかった。"
"421312","
イエスは女を見て呼びよせ、「女の人、病気は直っている」と言って"
"421313","
手をのせられると、女はたちどころに体がまっすぐに伸びて、神を讃美した。"
"421314","
すると礼拝堂監督は、イエスが安息日に病気をなおされたことを憤慨して、群
衆に言った、「働くべき日は六日ある。その間に来てなおしてもらったがよかろう。安息
日の日にはいけない。」"                          
"421315","
主が答えられた、「この偽善者たち、あなた達はだれも、安息日には牛や驢馬を
小屋から解いて、水を飲ませにつれてゆかないのか。"
"421316","
この女はアブラハムの末であるのに、十八年ものあいだ、悪魔が縛っていたの
だ。安息の日だからとて、その(悪魔の)縄目から解いてはならなかったのか。」"
"421317","
こう言われると、(監督はじめ)反対者は皆恥じ入り、群衆は一人のこらず、イ
エスが行われたあらゆる輝かしい御業を喜んだ。"
"421318","
すると言われた、「神の国は何に似ているか。何にたとえようか。"
"421319","
それは芥子粒に似ている。ある人がそれをその庭に蒔いたところ、育って(大
きな)木になり、”その枝に空の鳥が巣をつくった。”」"
"421320","
さらに言われた、「神の国を何にたとえようか。"
"421321","
それはパン種に似ている。女がそれを三サトン[二斗]の粉の中にまぜたとこ
ろ、ついに全体が醗酵した。」"
"421322","
イエスは町々村々を通って教えながら、エルサレムへの旅行をつづけておられ
た。"
"421323","
するとある人が「主よ、救われる者は少ないでしょうか」と尋ねた。人々に言
われた、"
"421324","
「全力を尽くして(今すぐ)狭い戸口から入りなさい。あなた達に言う、(あと
になって)入ろうとしても、入れない者が多いのだから。"
"421325","
家の主人が立ち上がって戸をしめたあとで、あなた達が外に立って、『ご主人、
あけてください』と言って戸をたたきつづけても、主人は、『わたしはあなた達がどこの
人だか知らない』と答えるであろう。"
"421326","
その時あなた達はこう言い出すにちがいない、『わたし達はご一しょに飲んだり
食べたりした者です。あなたはわたし達のところの大通りで教えてくださいました』と。"
"421327","
しかし主人は、『わたしはあなた達がどこの人だか知らない。“この悪者、みん
な、わたしをはなれよ!”』と言うであろう。"
"421328","
あなた達はアブラハムやイサクやヤコブや、またすべての預言者たちが神の国
におるのに、自分は外に放り出されるのを見て、そこでわめき、歯ぎしりするであろう。"
"421329","
また人々が“東から西から北から南から”来て、神の国で宴会につらなるであ
ろう。"
"421330","
たしかに、最後であって一番になる者があり、一番であって最後になる者があ
る。」"
"421331","
ちょうどその時、数人のパリサイ人が来てイエスに言った、「(すぐ)ここを逃
げ出しなさい。ヘロデ(王)があなたを殺そうと思っています。」"
"421332","
彼らに言われた、「(忠告はありがたいが、)行って、あの狐(のヘロデ)にこう
言ってもらいたい、『見よ、わたしはきょうとあしたは、(まだここにいて)悪鬼を追い出
し治療を行い、三日目に(仕事が終って)全うされる。"
"421333","
とはいえ、きょうもあしたもあさっても、わたしは(たえずエルサレムへ向か
って)進みゆかねばならない。預言者がエルサレム以外の所で死ぬことはあり得ないのだ
から』と。"
"421334","
ああエルサレム、エルサレム、預言者を殺し、(神から)遣わされた者を石で打
ち殺して(ばかり)いる者よ、雌鳥がその雛を翼の下に集めるように、何度わたしはお前
の子供たちを(わたしの所に)集めようとしたことか。だがお前たち(エルサレムの者)
はそれを好まなかった。"
"421335","
そら、“お前たちの町は(宮もろとも神に)見捨てられ(て荒れ果て)るのだ。”
お前たちに言っておく、お前たちが(わたしを迎えて)“主の御名にて来られる方に祝福
あれ。”と言う時の来るまで、わたしを見ることは決してないであろう。」"
"421401","
ある安息日に、パリサイ派に属する(最高法院の)ある役人の家に食事に(招
かれて)行かれた時のこと、人々はひそかにイエスの様子をうかがっていた。"
"421402","
すると、水気をわずらった人がイエスの前にあらわれた。"
"421403","
イエスは自分の方から律法学者やパリサイ人たちに向かって口を切られた。「安
息日に病気をなおすことは正しいか、正しくないか。」"
"421404","
彼らが黙っていると、その人(の手)をつかんで、病気を直してお帰しになっ
た。"
"421405","
そして彼らに言われた、「あなた達のうちには、息子か牛かが井戸に落ちたとき、
安息の日だからとてじきに引き上げてやらない者がだれかあるだろうか。」"
"421406","
彼らはこれに対して返答ができなかった。"
"421407","
またイエスは招かれた人たちが上座を選ぶのに目をとめて、彼らに一つの譬を
話された、"
"421408","
宴会に招かれた時には、上座についてはいけない。あなたよりもえらい人が招
かれていると、"
"421409","
あなた達を招いた人が来て、『この方に席を譲ってください』と言うかも知れな
い。その時あなたは恥ずかしい思いをして、下座に着かねばならない。"
"421410","
招かれた時には、むしろさっさと下座にすわりなさい。そうすればあなたを招
いた人が来て、『友よ、もっと上の方に進みください』と言う時に、満座の中で面目をほ
どこすであろう。"
"421411","
自分を高くする者は皆低くされ、自分を低くする者は高くされるのである。」"
"421412","
また自分を招いた人にも言われた、「朝飯や夕飯の会を催す時には、友人も、兄
弟も、親族も、近所の金持も呼ぶな。そうでないと、その人たちもあなたを招待してお返
しをするかも知れない。"
"421413","
御馳走をする時には、むしろ貧乏人、片輪、足なえ、盲人を招きなさい。"
"421414","
この人たちはお返しができないから、あなたは幸いである。(最後の日)義人の
復活の時に、あなたは(神から)お返しをうけるのだから。」"
"421415","
これを聞いて、ひとりの客がイエスに言った、「神の国で食事のできる者は、な
んと幸いでしょう。」"
"421416","
その人に言われた、「(そのとおり。しかしこの譬を聞きなさい。)ある人が大宴
会を催して大勢(の客)を招いた。"
"421417","
宴会の時刻になったので、一人の僕をやって招いた人たちに、『お出でください、
もう用意ができています』と言わせると、"
"421418","
皆が異口同音にことわり始めた。第一の人は言った、『畑を買ったので見に行か
ねばなりません。どうか失礼させてください。』"
"421419","
次の人は言った、『五対の牛を買ったので、いま改めに行くところです。どうか
失礼させてください。』"
"421420","
もう一人の人は言った、『家内をもらったばかりで、行かれません。』"
"421421","
僕がかえって来てそのことを主人に報告すると、主人は怒って僕に言った、『大
急ぎで町の大通りや路地へ行って、貧乏人や片輪や盲人や足なえをここにつれて来なさ
い。』"
"421422","
やがて僕が(かえって来て)言った、『御主人、仰せのとおりにしましたが、ま
だ席があります。』"
"421423","
主人が僕に言った、『田舎道や垣根のところに行き、(そこにいるひとたちに)
無理にも来てもらって、家をいっぱいにしなさい。』"
"421424","
──あなた達に言う、(神の国もこのとおり。最初に)招いた人たちで、わたし
の宴会に連なる者は一人もあるまい。」"
"421425","
大勢の群衆がイエスと一しょに旅行をしていると、振り向いて言われた、"
"421426","
わたしの所に来て、その父と母と妻と子と兄弟と姉妹と、なおその上に、自分
の命までも憎まない者は、だれもわたしの弟子になることは出来ない。"
"421427","
自分の十字架を負ってわたしについて来ない者は、わたしの弟子になることは
出来ない。"
"421428","
(このように、わたしの弟子になるには最初の覚悟が必要である。)なぜか。(次
の譬を聞きなさい。)あなた達のうちには櫓を建てようと思うとき、まず坐って、はたし
て造りあげるだけの金があるかと、その入費を計算しない者がだれかあるだろうか。"
"421429","
そうしないで、土台をすえただけで完成ができないと、見る人が皆、"
"421430","
『あの人は建てかけたが、完成できなかった』と言って笑うであろう。"
"421431","
また、ある王が他の王と戦いを交えようとする時には、まず坐って、(自分の)
一万(の兵)で、二万(の兵)を率いてすすんで来る敵をむかえ撃てるかどうかを考えな
いだろうか。"
"421432","
そして、もしかなわないと見たら、敵がまだ遠くにいるうちに、使者を派遣し
て講和を申し出るであろう。"
"421433","
だから同じように、(家族や財産など)一切合切、自分のものと別れなければ、
あなた達のだれ一人、わたしの弟子になることは出来ない。"
"421434","
だから、(それは塩に似ている。)塩はよいもの。しかし塩でももし馬鹿になっ
たら、何で(もう一度)塩気がつけられるか。"
"421435","
畑にも肥料にも役立たず、外に捨てられるばかりである。(わたしの弟子もその
とおり。)耳のきこえる者は聞け。」"
"421501","
さて、イエスの話を聞こうとして、(いつものとおり)税金取りや罪人が皆近寄
ってきた。"               
"421502","
パリサイ人と聖書学者たちがぶつぶつ呟いて言った、「この人は罪人を歓迎する
し、また(招かれていって)食事までも一しょにする。」"
"421503","
そこで彼らにつぎの譬を話された。"
"421504","
「あなた達のうちのだれかが羊を百匹持っていて、その一匹がいなくなったと
き、その人は九十九匹を野原に残しておいて、いなくなった一匹を、見つけ出すまではさ
がし歩くのではないだろうか。"
"421505","
そして見つけると、喜んで肩にのせて、"
"421506","
家にかえり、友人や近所の人たちを呼びあつめてこう言うにちがいない、『一し
ょに喜んでください。いなくなっていたわたしの羊が見つかったから』と。"
"421507","
わたしは言う、このように、一人の罪人が悔改めると、悔改める必要のない九
十九人の正しい人以上の喜びが、天にあるのである。"
"421508","
また、どんな女でも、ドラクマ銀貨[五百円]を十枚持っていて、もしその銀
貨を一枚無くしたとすれば、明りをつけて家(中)を掃き、それを見つけ出すまでは、丹
念にさがしつづけるのではないだろうか。"
"421509","
そして見つけると、友だちや近所の女たちを呼びあつめてこう言うにちがいな
い、『一しょに喜んでください。無くした銀貨が見つかりましたから』と。"
"421510","
わたしは言う、このように、一人の罪人が悔改めると、神の使たちに喜びがあ
るのである。」"
"421511","
また話された、「ある人に二人の息子があった。"
"421512","
『お父さん、財産の分け前を下さい』と弟が父に言った。父は身代を二人に分
けてやった。"
"421513","
幾日もたたないうちに、弟は(分け前)全部をまとめて(金にかえ、)遠い国に
行き、そこで放蕩に財産をまき散らした。"
"421514","
すべてを使いはたしたとき、その国にひどい飢饉があって、食べるにも困り果
てた。"
"421515","
そこでその国のある人のところに行ってすがりつくと、畑にやって、豚を飼わ
せた。"          
"421516","
彼はせめて豚の食う蝗豆で腹をふくらしたいと思ったが、(それすら)呉れよう
とする人はなかった。"
"421517","
ここで(はじめて)本心に立ち返って言った。──お父さんのところでは、あ
んなに大勢の雇人に食べ物があり余っているのに、(息子の)このわたしは、ここで飢え
死にしようとしている。……"
"421518","
よし、お父さんの所にかえろう、そしてこう言おう、『お父さん、わたしは天(の
神様)にも、あなたにも、罪を犯しました。"
"421519","
もうあなたの息子と言われる資格はありません。どうか雇人なみにしてくださ
い』と。"
"421520","
そして立ってその父の所へ出かけた。ところが、まだ遠く離れているのに、父
は見つけて不憫に思い、駈けよって首に抱きついて接吻した。"
"421521","
息子は父に言った、『お父さん、わたしは天(の神様)にも、あなたにも、罪を
犯しました。もうあなたの息子と言われる資格はありません。……』"
"421522","
しかし父は(皆まで聞かず)召使たちに言った、『急いで、一番上等の着物をも
って来て着せなさい。手に指輪を、足にお靴をはかせなさい。"
"421523","
それから肥えた小牛を引いてきて料理しなさい。みんなで食べてお祝いをしよ
うではないか。"
"421524","
このわたしの息子は死んでいたのに生き返り、いなくなっていたのに見つかっ
たのだから。』そこで祝賀会が始まった。"
"421525","
兄は畑にいたが、家の近くに来ると鳴り物や踊りの音が聞えるので、"
"421526","
ひとりの下男を呼んで、あれはいったい何ごとかとたずねた。"
"421527","
下男が言った、『弟さんがかえってこられました。無事に取り戻したというので、
お父様が肥えた小牛を御馳走されたのです。"
"421528","
兄はおこって、家に入ろうとしなかった。父が出てきていろいろ宥めると、
""421529","
父に答えた、『わたしは何年も何年もあなたに仕え、一度としてお言い付けに
そむいたことはないのに、わたしには友人と楽しむために、(小牛どころか)山羊一匹下
さったことがただの一度もないではありませんか。"
"421530","
ところがあのあなたの息子、きたない女どもと一しょに、あなたの身代をくら
いつぶしたあれがかえって来ると、肥えた小牛を御馳走されるのはどういうわけですか。』
"
"421531","
父が言った、『まあまあ、坊や、お前はいつもわたしと一しょにいるではないか。
わたしの物はみんなお前のものだ。"
"421532","
だが、喜び祝わずにはおられないではないか。このお前の弟は死んでいたのに
生きかえり、いなくなっていたのに見つかったのだから。』」"
"421601","
また弟子たちにも話された、「ある金持に一人の番頭があった。主人の財産を使
い込んでいると告げ口した者があったので、"
"421602","
主人は番頭を呼んで言った、『なんということをあなたについて聞くのだ!事務
の報告を出してもらおう、もう番頭にしておくわけにはいかないから。』"
"421603","
番頭は心ひそかに考えた、『どうしたものだろう、主人がわたしの仕事を取り上
げるのだが。(土を)掘るには力がないし、乞食をするには恥ずかしいし……"
"421604","
よし、わかった、こうしよう。こうしておけば仕事が首になった時、その人た
ちがわたしを自分の家に迎えてくれるにちがいない。』"
"421605","
そこで主人の債務者をひとりびとり呼びよせて、まず最初の人に言った、『うち
の主人にいくら借りがあるのか。』"
"421606","
『油百バテ[二十石]』とこたえた。番頭が言った、『そら、あなたの証文だ。坐
って、大急ぎで五十と書き直しなさい。』"
"421607","
それから他の一人に言った、『あなたはいくら借りがあるのか。』『小麦百コル
[二百石]』とこたえた。彼に言う、『そら、あなたの証文だ。八十と書き直しなさい。』"
"421608","
すると主人はこの不埒な番頭の利巧な遣り口を褒めた(という話)。この世の人
は自分たちの仲間のことにかけては、光の子(が神の国のことに利口である)よりも利巧
である。"
"421609","
それでわたしもあなた達に言う、あなた達も(この番頭に見習い、今のうちに
この世の)不正な富を利用して、(天に)友人[神]をつくっておけ。そうすれば富がな
くなる時、その友人が永遠の住居に迎えてくださるであろう。"
"421610","
ごく小さなことに忠実な者は、大きなことにも忠実である。ごく小さなことに
不忠実な者は、大きなことにも不忠実である。"
"421611","
だから、もし(この世の)不正な富に忠実でなかったならば、だれが(天の)
まことの富をあなた達にまかせようか。"
"421612","
もし他人のもの[この世のこと]に忠実でなかったならば、だれがあなた達の
もの[天のもの]をあなた達に与えようか。"
"421613","
しかし(この世のことはみな準備のためであるから、それに心を奪われてはな
らない。)いかなる僕も(同時に)二人の主人に仕えることは出来ない。こちらを憎んで
あちらを愛するか、こちらに親しんであちらを疎んじるか、どちらかである。あなた達は
神と富とに仕えることは出来ない。」"
"421614","
金の好きなパリサイ人の人々は一部始終を聞いて、イエスを鼻で笑った。(富は
信仰の褒美と考えていたのである。)"
"421615","
そこで彼らに言われた、「あなた達は人の前では信心深そうな顔をしているが、
神はあなた達の心を見抜いておられる。人の中で尊ばれるものは、神の前では嫌われるも
のである。"
"421616","
(あなた達は聖書を誇るが、時代はもう変っている。)律法と預言書と([聖書]
の時代)は(洗礼者)ヨハネ(の現われる時)までで、その時以来神の国の福音は伝えら
れ、だれもかれも暴力で攻め入っている。"
"421617","
しかし(神の言葉はすたったのではない。)律法(と預言書と)の一画がくずれ
落ちるよりは、天地の消え失せる方がたやすい。"
"421618","
(だから、)妻を離縁して別な女と結婚する者は皆、姦淫を犯すのであり、夫か
ら離縁された女と結婚する者も、姦淫を犯すのである。"
"421619","
(つぎに、利巧な番頭と反対に、神の国の準備をしなかった人の話を聞け。)一
人の金持があった。紫(の上着)と細糸の亜麻布(の下着)を着て、毎日華やかに楽しく
暮していた。"
"421620","
またその金持の門の前に、ラザロという出来物だらけの乞食がねていた。"
"421621","
せめて金持の食卓から落ちる物で満腹できたらと思った。それどころか、犬ま
で来て出来物をねぶっていた。"
"421622","
やがて乞食は死んで、天使たちからアブラハムの懐につれて行かれ、金持も死
んで葬られた。"
"421623","
金持は黄泉で苦しみながら、(ふと)目をあげると、はるか向こうにアブラハム
とその懐にいるラザロとが見えたので、"
"421624","
声をあげて言った、『父アブラハムよ、どうかわたしをあわれと思ってラザロを
よこし、指先を水にひたしてわたしの舌を冷やさせてください。わたしはこの焔の中でも
だえ苦しんでおります。』"
"421625","
しかしアブラハムは言った、『子よ、考えてごらん、あなたは生きていた時に善
いものを貰い、ラザロは反対に悪いものを貰ったではないか。だから今ここで、彼は慰め
られ、あなたはもだえ苦しむのだ。"
"421626","
そればかりではない、わたし達とあなた達との間には大きな(深い)裂け目が
あって、ここからあなた達の所へ渡ろうと思っても出来ず、そこからわたし達の所へ越え
てくることもない。』"
"421627","
金持が言った、『父よ、それではお願いですから、ラザロをわたしの父の家にや
ってください。"
"421628","
わたしに五人の兄弟があります。彼らまでがこの苦しみの場所に来ないように、
よく言って聞かせてください。』"
"421629","
しかしアブラハムは言う、『(その必要はない。)彼らにはモーセ(律法)と預言
書と[聖書]がある。その教えに従えばよろしい。』"
"421630","
彼が言った、『いいえ、父アブラハムよ、もしだれかが死人の中から行ってやれ
ば、きっと悔改めます。』"
"421631","
しかしアブラハムは答えた、『モーセと預言書との教えに従わないようでは、た
とえ死人の中から生き返る者があっても、その言うことを聞かないであろう。』」"
"421701","
それから弟子たちに言われた、「罪のいざないが来るのは致し方がない。だが、
それを来させる人は禍だ。"
"421702","
この小さな者を一人でも罪にいざなうよりは、挽臼を頚にかけられて海に放り
込まれる方が、その人の為である。"
"421703","
(人を罪にいざなわぬよう)注意せよ。(また)もし兄弟が(あなたに対して)
罪を犯したら、これを咎め、悔改めたら、赦してやりなさい。"
"421704","
あなたに対して一日に七度罪を犯しても、七度『すまなかった』と言って、あ
なたの所へもどってきたら、七度赦してやらねばならない。」"
"421705","
使徒たちが主に言った、「もっと信仰を下さい。」"
"421706","
主が言われた、「もしあなた達に芥子粒ほどでも信仰があれば、──(あなた達
にはそれがないが、もしあれば)──この桑の木にむかい『抜けて海に植われ』と言って
も、言うことを聞くであろう。"
"421707","
ただ(次の譬を聞け。)あなた達のうちに耕作、あるいは牧畜をする僕を持って
いる人があって、その僕が畑からかえって来たとき、『すぐここに来て食事をしなさい』
とその人は言うだろうか。"
"421708","
むしろ反対に、『夕食の用意をして、わたしが食事をすますまで裾をひきからげ
て給仕をし、そのあとで食事をしなさい』と言うのではあるまいか。"
"421709","
言いつけられたことをしたからとて、主人が僕に感謝するだろうか。"
"421710","
そのようにあなた達も、(神に)命じられたことを皆なしとげた時、『われわれ
は役に立たない僕だ、せねばならぬことをしたまでだ。(褒美をいただく資格はない)』と
言え。」"
"421711","
エルサレムへ進んでおられた時のこと、サマリヤとガリラヤとの間を通られた。
"
                  
"421712","
とある村に入ると、十人の癩病人に出合われた。彼らは(規則どおりに)遠く
の方で立ち止まったまま、"
"421713","
声をはりあげて、「イエス先生、どうぞお慈悲を」と言った。"
"421714","
イエスは見て言われた、「(全快したことを世間に証明してもらうため、エルサ
レムの宮に)行って体を“祭司たちに見せなさい。”」すると行く途中で、(皆いつとはな
しに体が)清まった。"
"421715","
ところでそのうちの一人は自分が直ったのを見ると、大声で神を讃美しながら
帰ってきて、"
"421716","
イエスの足下にひれ伏してお礼を言った。それはサマリヤ人であった。"
"421717","
イエスは言われた、「十人とも清められたのではなかったか。九人はどこにいる
か。"
"421718","
この外国人一人のほかには、(九人のユダヤ人のうちに)帰ってきて神に栄光を
帰する者はだれもないのか。」"
"421719","
そしてその人に言われた、「さあ立って行きなさい。あなたの信仰がなおしたの
だ。」"
"421720","
パリサイ人から神の国はいつ来るのかと尋ねられたとき、答えられた、「神の国
は、(いつ来るのかと計算や)観測のできるようにしては来ない。"
"421721","
また『そら、ここに(ある)』とか、『かしこに(ある)』とか言うことも出来な
い。神の国はあっと言う間に、あなた達の間にあらわれるのだから。」"
"421722","
それから弟子たちに言われた、「(いまに苦しい試みの)日が来て、あなた達は、
せめて一日でも人の子(わたし)の(栄光の)日に生きたいと願うけれども、許されない。
"
"421723","
(その試みの時に、)『そら、かしこに(人の子が)』『そら、ここに』と言う者
があるが、ついて行くな、追いまわすな。"
"421724","
その日に人の子(わたし)が来るのは、ちょうど稲妻がひらめいて、大空の下
をこの端からかの端まで照りかがやかすよう(に、はっきりわかるの)であるから。"
"421725","
しかし人の子はその前に多くの苦しみをうけ、この時代の人から排斥されねば
ならない。"
"421726","
ちょうどノアの(洪水の)時にあったようなことが、人の子の(来る)日にも
起るであろう。"
"421727","
“ノアが箱船に入った”日まで、人々が飲んだり食ったり、嫁にやったり取っ
たりしていると、洪水が来て、一人のこらず滅ぼしてしまった。"
"421728","
ロトの時にも、ちょうど同じようなことがあった。人々が飲んだり食ったり、
売ったり買ったり、植えたり建てたりしていると、"
"421729","
ロトがソドムから出た日に、“(神は)天から火と硫黄とを降らせて、“一人のこ
らず滅ぼしてしまわれた。"
"421730","
人の子があらわれる日にも同じことが起るであろう。"
"421731","
その日には、屋根の上におる者は、(何か大切な)家財道具が家の中にあっても
下におりて取り出そうとするな。畑におる者も同じく“(家に)もどる”な。"
"421732","
ロトの妻のことを思え。"
"421733","
(この世の)命を保とうとする者は(永遠の)命を失い、(この世の命を)失う
者は、(永遠に)生きながらえるであろう。"
"421734","
わたしは言う、その晩、二人の男が一つ寝床にねていると、一人は(天に)連
れてゆかれ、他の一人は(地上に)のこされる。"
"421735","
二人の女が一しょに臼をひいていると、一人は連れてゆかれるが、他の一人は
のこされる。」"
"421736"
[無し]
"421737","
弟子たちが尋ねる、(いつ)どこで(その裁きはありますか。)」彼らに言われた、
「(時が来れば、いつでも。)死体のある所に、鷲も集まる。」"
"421801","
なお、気を落さずに常に祈るべきことについて、一つの譬をひいて弟子たちに
話された、"
"421802","
「ある町に、神を恐れず、人を人とも思わない裁判官があった。"
"421803","
またその町に一人の寡婦がいた。いつもその裁判官の所に来ては、『(早く裁判
をして)わたしのため敵に仕返しをしてください』と言っていた。"
"421804","
裁判官はしばらくの間は取り合おうとしなかったが、あとでひそかに考えた、
『わたしは神を恐れず、人を人とも思わないが、"
"421805","
この寡婦はどうもうるさくて、やりきれないから、(裁判をして、)この女のた
めに仕返しをしてやろう。そうしないと最後にはやって来て、わたしをどんなひどい目に
あわせるか知れない。』」"
"421806","
それから主は言われた、「この不埒な裁判官の言うことを聞け。"
"421807","
(こんな男でもこのとおり。)まして神が、夜昼叫んでいるその選ばれた人々の
ために仕返し(の裁判)をせず、気長に放っておかれることがあろうか。"
"421808","
わたしは言う、間もなく彼らのために仕返しをされるであろう。しかし人の子
(わたし)が来るときに、はたして地上に信仰(をもつ人)が見当るだろうか!」"
"421809","
なお、自分(だけ)は信心深いとうぬぼれて人を軽蔑している者たちにも、こ
の譬を話された。"
"421810","
「二人の人が祈りのために(エルサレムの)宮に上った。一人はパリサイ人、
他の一人は税金取りであった。"
"421811","
パリサイ人は(得々と)ひとり進み出て、こう祈った、『神様、わたしはほかの
人たちのように泥棒、詐欺師、姦淫する者でなく、また、この税金取りのような人間でも
ないことを感謝します。"
"421812","
わたしは一週間に二度も断食し、(きまったものの一割税だけでなく、)一切の
収入の一割税を納めております。』"
"421813","
しかし税金取りは(罪に責められ、)遠く(うしろ)の方に立ったまま、目を天
に向け(て祈りをささげ)ようともせず、ただ胸をうって、『神様、どうぞこの罪人のわ
たしをお赦しください』と言った。"
"421814","
わたしは言う、あの人でなく、この人の方が(神から)信心深いとされて、家
にかえっていった。自分を高くする者は皆低くされるが、自分を低くする者は高くされる
のである。」"
"421815","
イエスにさわっていただこうとして、人々が幼児たちまでもつれて来ると、弟
子たちが見て咎めた。"
"421816","
イエスは幼児を呼びよせたのち、(弟子たちに)こう言われた、「子供たちをわ
たしの所に来させよ、邪魔をするな。神の国はこんな(小さな)人たちのものである。"
"421817","
アーメン、わたしは言う、子供のように(すなおに)神の国(の福音)を受け
入れる者でなければ、決してそこに入ることはできない。」"
"421818","
ひとりの(最高法院の)役人が尋ねた、「善い先生、何をすれば永遠の命がいた
だけるでしょうか。」"
"421819","
イエスは言われた、「なぜわたしを『善い』と言うのか。神お一人のほかに、だ
れも善い者はない。"                 
"421820","
(するべきことは神の掟を守ることだけで、)掟はあなたが知っている通り。─
─“姦淫をしてはならない、殺してはならない、盗んではならない、偽りの証言をしては
ならない、父と母とを敬え。”(ただこれだけである。)」"
"421821","
その人が言った、「それならみんな若い時から守っております。」"
"421822","
イエスは聞いて言われた、「もう一つ欠けている。持っているものをことごとく
売って、(その金を)貧乏な人に分けてやりなさい。そうすれば天に宝を積むことができ
る。それから来て、わたしの弟子になりなさい。」"
"421823","
彼はこれを聞き、しょげてしまった。非常な金持であったのである。"
"421824","
彼を見ると、イエスは言われた、「物持が神の国に入るのは、なんとむずかしい
ことだろう。"
"421825","
金持が神の国に入るよりは、駱駝が縫針のめどを通る方がたやすい。」"
"421826","
聞いている人たちが言った、「それでは、だれが救われることが出来るのだろ
う。」"
"421827","
イエスは言われた、「人間に出来ないことが、神には出来る。」"
"421828","
ペテロが(イエスに)言った、「でも、わたし達はこの通り、自分の持ち物をす
ててあなたの弟子になりました。」"
"421829","
彼らに言われた、「アーメン、わたしは言う、神の国のために家や妻や兄弟や親
や子を捨てた者で、"
"421830","
この世でその幾倍を、また来るべき世では永遠の命を受けない者は一人もな
い。」"
"421831","
イエスは(また)十二人(の弟子だけ)をそばに呼んで、こう話された、「さあ、
いよいよわたし達はエルサレムへ上るのだ。人の子(わたし)について預言者たちが(聖
書に)書いてあることは、ことごとく成就する。"
"421832","
──異教人に引き渡されて、なぶられ、いじめられ、唾をかけられ、"
"421833","
ついに鞭で打たれて殺されるのである。しかし三日目に復活する。」"
"421834","
弟子たちはこのことが全くわからなかった。この言葉(の意味)が彼らに隠さ
れていて、(イエスの)言われたことが呑み込めなかったのである。"
"421835","
エリコの(町の)近くに来られた時のこと、ひとりの盲人が道ばたに坐って物
乞いをしていた。"
"421836","
群衆が通り過ぎる音を聞くと、あれは何ごとかとたずねた。"
"421837","
人々がナザレ人イエスのお通りだとおしえてやると、"
"421838","
盲人は、「ダビデの子のイエス様、どうぞお慈悲を」と言って叫んだ。"
"421839","
先頭に立っていた人たちが叱りつけて黙らせようとしたが、かえってますます、
「ダビデのお子様、どうぞお慈悲を」と叫びつづけた。"
"421840","
イエスは立ち止まって、盲人をつれてくるように命じられた。盲人が近づいて
くると尋ねられた。"
"421841","
「何をしてもらいたいのか。」彼がこたえた、「主よ、見えるようになりたい。」
"
"421842","
そこでイエスが、「見えるようになれ。あなたの信仰がなおした」と言われると、
"
"421843","
たちどころに見えるようになって、神を讃美しながらイエスについて行った。
人々は皆これを見て、神に讃美をささげた。"
"421901","
エリコに入って、(そこを)通っておられた。"
"421902","
すると、(町に)名をザアカイという人がいた。この人は税金取りの頭で、金持
であった。"
"421903","
イエスがどんな人か見ようとしたが、背が低いので、群衆のため見ることが出
来なかった。"
"421904","
それで先の方に駈けていって、桑無花果の木に上った。そこを通られるところ
を見ようとしたのである。"
"421905","
イエスはその場所に来られると、ザアカイを見上げて言われた、「ザアカイ、急
いで下りておいで。きょうはあなたの家に泊まることになっているから。」"
"421906","
ザアカイは急いで下りてきて、喜んでお迎えした。"
"421907","
皆がこれを見て、イエスは(税金取りのような)罪人の所に入りこんで宿を取
った、と言ってぶつぶつ呟いた。"
"421908","
しかしザアカイは進み出て主に言った、「主よ、わたしは(誓って)財産の半分
を貧乏な人たちに施します。人からゆすり取ったものは四倍にして返します。」"
"421909","
イエスが(人々に)言われた、「救いは(きょう、)この家に入った。(人でなし
のように言われる)この人も、やはり(あなた達と同じ)アブラハムの末だから。"
"421910","
人の子(わたし)は“滅びうせた者をさがして”救うために来たのである。」"
"421911","
人々がこれを聞いているとき、さらに一つの譬を話された。それはイエスが(い
よいよ)エルサレムに近づかれたので、今にも神の国が現われるように人々が考えたから
である。"
"421912","
それで言われた、「ある高貴な人が王の位を授かって来るために、遠い国に行っ
た。"
"421913","
(出かける時、)彼は十人の僕を呼んで、一ミナ[五万円]ずつ十ミナを渡し、
『かえって来るまで(これで)商売をしておけ』と言った。"
"421914","
ところが国民は彼を憎んでいたので、あとから使者をやって、『われわれはこの
人を王に戴きたくない』と言わせた。"
"421915","
さて、その人は王の位を授かって帰ってくると、だれがどんな風に商売をした
か知ろうとして、金を渡しておいた僕たちを呼ばせた。"
"421916","
第一の者があらわれて言った、『御主人、あなたの一ミナは十ミナをかせぎまし
た。』"
"421917","
主人が言った、『感心々々、善い僕よ、ごく小さなことに忠実であったから、十
の町の支配権を持たせる。』"
"421918","
第二の者が来て言った、『御主人、あなたの一ミナは五ミナをこしらえました。』
"
"421919","
これにも言った、『あなたも五つの町を支配せよ。』"
"421920","
またほかの者が来て言った、『御主人、これがあなたの一ミナです。風呂敷に包
んでしまっておきました。"
"421921","
あなたは預けないものを取り立て、まかないものを刈り取られる厳しい方だか
ら、恐ろしかったのです。』"
"421922","
彼に言う、『悪い僕よ、あなたのその言葉で罰してやろう。このわたしが、預け
ないものを取り立て、まかないものを刈り取る厳しい人間だと知っていたのか。"
"421923","
では、なぜわたしの金を銀行に預けなかったか。そうすればかえって来たとき、
利子をつけて受け取ることができたのに。』"
"421924","
それからそばに立っていた人たちに言った、『その一ミナをその男から取り上げ
て、十ミナを持っている者に渡しなさい。"
"421925",""
"421926","
わたしは言う、だれでも持っている人は(さらに)与えられるが、持たぬ人は、
持っているものまでも取り上げられるであろう。"
"421927","
ところで、わたしを王に戴くことを好まなかったあの敵どもをここに引っ張っ
てきて、わたしの見ている前で斬り殺してしまえ。』」"
"421928","
このことを話したのち、イエスは進んでエルサレムへと上って行かれた。"
"421929","
いわゆるオリブ山の中腹にあるベテパゲとベタニヤとの近くに来られると、こ
う言って弟子を二人使いにやられた、"
"421930","
向いの村まで行ってきなさい。村に入ると、かつてだれも乗ったことのない一
匹の子驢馬がつないであるのが見える。それを解いて引いてきてもらいたい。"
"421931","
もし『なぜ解くか』と尋ねる者があったら、『主がお入用です』と、こう言えば
よろしい。」"
"421932","
使の者たちが行って見ると、はたしてイエスの言葉どおりであった。"
"421933","
子驢馬を解いているとき、持ち主たちが「なぜ子驢馬を解くか」と言ったので、
"
"421934","
「主がお入用です」とこたえた。"
"421935","
二人はそれをイエスの所に引いてきて、自分たちの着物を子驢馬の上に投げか
け、イエスをお乗せした。"
"421936","
イエスが進んでゆかれると、人々はその着物を道に敷いた。"
"421937","
すでにオリブ山の降り口近くに来られたとき、弟子の群は皆喜んで、彼らが見
た(イエスの)あらゆる奇跡の(すばらしさの)ゆえに、こう言って大声に神を讃美し始
めた。──"
"421938","
“主の御名にて来られる”王に、“祝福あれ。”天には平安、いと高き所には栄
光あれ!"
"421939","
群衆の中にいた数人のパリサイ人がイエスに言った、「先生、お弟子たちを叱っ
てください。」"
"421940","
答えて言われた、「わたしは言う、この人たちが黙ったら、石が叫ぶであろう。」
"
"421941","
いよいよ(エルサレムが)近くなって(はじめて)都が見えると、イエスは都
(に臨もうとしている裁き)を思い、声をあげて泣きだされた。"
"421942","
そして言われた、「(ああエルサレム、)お前ももし(「平安を見る」という自分
の名のように、)きょうでも平安への道が見えたなら(まだ遅くはないのに!)しかし今
それはお前の目に隠されている。"
"421943","
やがて時が来て、敵はお前のまわりに塁を築き、お前を取り巻いて四方から攻
め立て、"
"421944","
お前と、そこにいる“お前の子供たちを地べたに叩きつけ、”お前の中に、その
まま重なっている石が一つもないようにするであろう。恩恵の時を知らなかった罰であ
る。」"
"421945","
やがて(エルサレムに着いて)イエスは宮に入り、物を売る者を追い出し始め
て、"
"421946","
こう言われた、「“わたしの家は祈りの家であらねばならぬ”と(聖書に)書い
てあるのに、あなた達はそれを“強盗の巣”にしてしまった。」"
"421947","
イエスは毎日宮で教えておられた。大祭司連、聖書学者たち、それに国の名士
たちも、イエスを殺そうと思ったが、"
"421948","
どう仕様もなかった。だれもかれも皆イエスの話に聞きとれていたからである。
"
"422001","
ある日、イエスが宮で人々を教え、福音を説いておられた時のこと、大祭司連、
聖書学者が長老たちと共に進み寄って、"
"422002","
イエスに言った、「なんの権威であんなことを(宮で)するのか。あの権威を授
けた者はだれか、言ってもらいたい。」"
"422003","
答えて言われた、「ではわたしからも一つ尋ねる。それにこたえよ。"
"422004","
──ヨハネの洗礼は天(の神)から(授かったの)であったか、それとも人間
からか。」"
"422005","
彼はひそかに考えた、「もし『天から』と言えば、『なぜヨハネを信じなかった
か』と言うであろうし、"
"422006","
もし『人間から』と言えば、人民どもは(冒涜だと言って)皆でわたし達を石
で打ち殺すにちがいない。彼らはヨハネを預言者だと信じこんでいるのだから。」"
"422007","
そこで、どこからか知らない、と答えた。"
"422008","
イエスは言われた、「ではなんの権威であんなことをするか、わたしも言わな
い。」"
"422009","
そして人々にこの譬を話し出された、「ある人が“葡萄畑をつくり、”小作人た
ちに貸して長い旅行に出かけた。"
"422010","
(収穫の)時が来たので、葡萄畑の収穫の分け前を納めさせるために、一人の
使用人を小作人の所に使いにやった。しかし小作人はそれをなぐりつけ、手ぶらでおい返
した。"
"422011","
さらにほかの使用人を一人やると、それをもなぐりつけ、かつ侮辱した上、手
ぶらでおい返した。"
"422012","
かさねて第三の者をやると、これも怪我をさせて(葡萄畑から)放り出した。"
"422013","
そこで葡萄畑の持ち主が考えた、『どうしたものだろう。…よし、最愛の(独り)
息子を使にやろう。これなら多分恐れ入るにちがいない。』"
"422014","
すると小作人たちはそれを見て、互に相談して、『これは相続人だ。殺してしま
おう。そしてその財産をおれ達のものにしよう』と言いながら、"
"422015","
葡萄畑の外に放り出して殺してしまった(という話)。それで(尋ねるが、)葡
萄畑の持ち主は小作人たちをどうするだろうか。"
"422016","
(もちろん)来てこの小作人たちを殺し、葡萄畑をほかの人に貸すにちがいな
い。」人々はこれを聞いて(驚いて)言った、「とんでもない、そんなことが!」"
"422017","
イエスは彼らをじっと見て言われた、「では、こう(聖書に)書いてあるのはな
んの意味であるか。──”大工たちが(役に立たぬと)捨てた石、それが隅の土台石にな
った。”"
"422018","
(救世主なる)その石の上に(つまづき)倒れる人は一人のこらず打ち砕かれ、
(最後の裁きの日に)その石が倒れかかる人は、粉微塵になるであろう。」"
"422019","
この時聖書学者と大祭司連は、イエスが自分たちに当て付けてこの譬を言われ
たことを知ったので、(怒って)イエスに手をかけようと思ったが、人民(が騒ぎ出すの)
を恐れた。"
"422020","
そこで彼らはイエスをつけねらい、信心深そうな風をした回し者をやった。イ
エスの言葉質をとって、総督の役所や官庁に引き渡すためであった。"
"422021","
回し者がイエスに尋ねた、「先生、あなたは正直に物を言い、また教えられ、す
こしもわけ隔てをせず、本当のことを言って神の道を教えられることをよく承知しており
ます。"
"422022","
(それでお尋ねしますが、わたし達は異教人である)皇帝に、貢を納めてよろ
しいでしょうか、よろしくないでしょうか。」"
"422023","
彼らの悪賢い考えを見破って言われた、"
"422024","
「デナリ銀貨を見せなさい。そこにはだれの肖像と銘があるか。」「皇帝のがあ
ります」と彼らが言った。"
"422025","
イエスは彼らに言われた、「それなら皇帝のものは皇帝に、神のものは神に返
せ。」"
"422026","
彼らは民衆の前でイエスの言葉質をとることができず、そのうけこたえぶりに
驚きながら黙ってしまった。"
"422027","
復活の存在を否定するサドカイ人が数人近寄って、イエスにこう言って質問し
た、"
"422028","
「先生、モーセは(その律法に、)“もし死んだ兄に、”妻があって“子がない場
合には、弟はその女をめとり、兄の家をつぐべき子をもうけよ”とわたし達のために書い
ています。"
"422029","
ところで(ここに)七人の兄弟があって、長男が妻をめとったが、子がなくて
死に、"
"422030","
(この律法に従って、)次男、"
"422031","
三男と、(つぎつぎに)その女をめとり、ついに七人とも同様に子を残さず死ん
で、"
"422032","
しまいにはその女も死んでしまいました。"
"422033","
すると(もし復活があるなら、)復活の折には、この女はその(七人の)うちの
だれの妻になるのでしょうか。七人とも女を妻にしましたから。」"
"422034","
イエスは言われた、「この世の人はめとり嫁ぐけれども、"
"422035","
あの世にはいる資格を与えられて、死人の中から復活する者は、めとることも
なく嫁ぐこともない。"
"422036","
復活によって生まれる彼らは、天使と同じであり、神の子であるので、もはや
死ぬことが出来ない、(従って子を産む必要がない)からである。"
"422037","
死人が復活することは、(聖書にはっきり書いてある。)モーセも茨の薮の(燃
える話の)ところで、主を“アブラハムの神、またイサクの神、またヤコブの神(である)
”と言ってこれを示している。"
"422038","
ところで神は死人の神ではなく、生きている者の神である。神に対しては、す
べての者が生きているのだから。(してみるとアブラハム、イサクなども皆復活して、今
生きているわけではないか。)」"
"422039","
すると数人の聖書学者までが、「先生、りっぱなお答えです」と言った。"
"422040","
彼らはもう何一つ、問おうとしなかった。"
"422041","
イエスは人々に言われた、「人はどういう訳で、救世主はダビデの子である、と
言うのであろうか。"
"422042","
ダビデ自身が詩篇の中でこう言っているではないか。──“(神なる)主はわが
主(救世主)に仰せられた、『わたしの右に坐りなさい、"
"422043","
わたしがあなたの敵を(征服して)あなたの足台にしてやるまで』と。”"
"422044","
だから、ダビデが(このように)救世主を主と呼んでいるのに、どういう訳で
(その救世主が)ダビデの子であろうか。」"
"422045","
民衆が皆聞いているまえで、弟子たちに言われた。"
"422046","
「聖書学者に用心せよ。あの人たちは(人の目につくように)長い衣を着て歩
くことが好きで、市場で挨拶されることや、礼拝堂の上席、宴会の上座を喜び、"
"422047","
また寡婦の家を食いつぶし、長く、見かけばかりの祈りをする。あの人たちは
人一倍きびしい裁きを受けるであろう。」"
"422101","
それから目をあげて、金持たちが賽銭箱に賽銭を入れるのを見ておられた。
""422102","
またある貧しそうな寡婦がレプタ銅貨[五円]二つをそこに入れるのを見て、
"
"422103","
言われた、「本当にわたしは言う、あの貧乏な寡婦はだれよりも多く入れた。"
"422104","
この人たちは皆あり余る中から賽銭を入れたのに、あの婦人は乏しい中から、
持っていた生活費を皆入れたのだから。」"
"422105","
ある人たちが(イエスに)宮がりっぱな石と献納品とで飾られていることを話
すと、言われた、"
"422106","
「あなた達が(今)見ているこれらの物は、このまま重なっている石が一つも
なくなるほど、くずれてしまう日が来るであろう。」"
"422107","
彼らがイエスに尋ねた、「先生、では、そのことはいつ起りましょうか。また、
(世の終りが来て)このことがおころうとする時には、どんな前兆がありましょうか。」"
"422108","
そこでこう話された。──「迷わされないように気をつけよ。いまに多くの人
があらわれて、『(救世主は)わたしだ』とか、『(最後の)時は近づいた』とか言って、わ
たしの名を騙るにちがいないから。そんな人たちのあとを追うな。"
"422109","
戦争や暴動と聞いた時に、びっくりするな。それらのことはまず”おこらねば
ならないことである”が、しかし(まだ)すぐ最後ではないのだから。」"
"422110","
それから言われた、「(世の終りが来る前に、)“民族は民族に、国は国に向かっ
て(敵となって)立ち上がり、”"
"422111","
また大地震や、ここかしこに疫病や飢饉があり、いろいろな恐ろしいこと、ま
た天に驚くべき前兆があらわれるであろう。"
"422112","
しかしすべてこれらのことがある前に、人々はあなた達に手をかけて迫害する。
すなわち礼拝堂や牢屋に引き渡し、またわたしゆえに、王や総督の前に引き出すであろう。
"
"422113","
これは結局あなた達が(福音を)証しする結果となるのである。"
"422114","
だから(前もって)弁明の準備をしておかないことに、心を決めなさい。"
"422115","
いかなる反対者も、反抗し弁駁することの出来ない言葉の知恵を、わたしが授
けるから。"
"422116","
あなた達はまた親、兄弟、親族、友人からまで(裁判所に)引き渡される。殺
される者もあろう。"
"422117","
またわたしの弟子であるために皆から憎まれる。"
"422118","
しかしあなた達の髪の毛一本も決して無くならない。"
"422119","
あなた達は忍耐によって、自分の(まことの)命をかち取ることができる。"
"422120","
しかしエルサレムが(ローマの)軍勢に囲まれるのを見たら、その滅亡が近づ
いたと知れ。"
"422121","
その時ユダヤ(の平地)におる者は(急いで)山に逃げよ。都の中におる者は立ち
退け。田舎におる者は都に入るな。"
"422122","
これは(聖書に)書いてあることが皆成就する“(神の)刑罰の日”だからであ
る。"
"422123","
それらの日には、身重の女と乳飲み子をもつ女とは、ああかわいそうだ!この
(ユダヤの)地には大きな艱難が、この民には(神の)怒りが臨むのだから。"
"422124","
彼らは剣の刃にたおれ、あるいは捕虜となってあらゆる国々に散らされ、また
“エルサレムは”(いわゆる)異教人時代が終るまで、“異教人に踏みにじられる”であろ
う。"
"422125","
すると日と月と星とに(世の終りの不思議な)前兆があらわれ、地上では“海
がどよめき荒れ狂うため、国々の民は”周章てふためき怖じまどい、"
"422126","
全世界に臨もうとしていることを思って、恐ろしさのあまり悶え死にする者が
あろう。“もろもろの天体が”震われるからである。"
"422127","
するとその時、人々は“人の子(わたし)が”大いなる権力と栄光とをもって、
“雲に乗って来るのを”見るであろう。"
"422128","
それでこれらのことがおこり始めたら、体を伸ばし、頭をあげなさい。あなた
達のあがない(の時)が近づいたのだから。」"
"422129","
(こう言ったあと、)また一つの譬をひいて彼らに話された。──「無花果の木
をはじめ、すべての木を見なさい。"
"422130","
すでに芽が出ると、それを見て、ひとりでにはや夏が近いと知るのである。
""422131","
そのようにあなた達も、これらのことがおこるのを見たら、神の国が近くに来
ていることを知れ。"
"422132","
アーメン、わたしは言う、(これらのことが)一つのこらずおこってしまうまで
は、この時代は決して消え失せない。"
"422133","
天地は消え失せる、しかし(今言った)わたしの言葉は決して消え失せない。"
"422134","
注意せよ、大酒を呑み、二日酔いをし、またこの世のことを心配して、頭が鈍
くなっていると、“罠が”落ちるように、だしぬけにかの日があなた達に臨まないとはか
ぎらない。"
"422135","
その日は“地の”全面“に住んでいる者に”一人のこらず襲いかかるのだから。
"
"422136","
目を覚まして常に祈っておれ、すべてこれら将来の出来ごとからのがれて、人の
子(わたし)の前に立ち得るようにと。」"
"422137","
イエスは(毎日)昼のあいだは宮で教え、夜は(都を)出ていって、いわゆる
オリブ山で夜を過ごされた。"
"422138","
人々は皆宮で話を聞こうとして、早起きして彼の所にあつまった。"
"422201","
種無しパンの祭、すなわち、いわゆる過越の祭が近づいた。"
"422202","
大祭司連と聖書学者たちは、イエスを(そっと)無き者にする方法を考えてい
た。人民(が暴動を起すの)を恐れたのである。"
"422203","
すると(その時)悪魔が、十二人の(弟子の)数に入っていたイスカリオテと
呼ばれるユダに入った。"
"422204","
彼は出かけていって、大祭司連、宮の守衛長たちとイエスを売る方法について
話し合った。"
"422205","
彼らは喜んで、金をやることに話をきめた。"
"422206","
ユダは承諾し、群衆の目をぬすんで彼らにイエスを引き渡すよい機会をねらっ
ていた。"
"422207","
過越の小羊を屠るべき種無しパンの祭の日が来た。"
"422208","
イエスはこう言ってペテロとヨハネとを使いにやられた、「わたし達の過越の食
事の支度をして来なさい。」"
"422209","
二人が言った、「どこで支度をしましょうか。」"
"422210","
彼らに言われた、「都に入ると、水瓶をかついだ男に出合うから、そのあとにつ
いて行って、その人が入ってゆく家にはいって、"
"422211","
その家の主人に、『わたしが弟子たちと一しょに過越の食事をする部屋はどこか、
と先生があなたに言われる』と言いなさい。"
"422212","
するとその人は敷物のしいてある、大きな二階座敷に案内してくれるから、そ
こで(食事の)支度をしなさい。」"
"422213","
二人は行って見ると、はたしてイエスの言葉どおりだったので、(そこで)過越
の食事の支度をした。"
"422214","
(日が暮れて食事の)時間になると、イエスは席につかれた。使徒たちも一し
ょであった。"
"422215","
彼らに言われた、「わたしは苦しみをうける前に、あなた達と一しょにこの過越
の食事がしたくて、たまらなかった。"
"422216","
わたしは言う、神の国でほんとうの過越の食事──(罪のあがないの記念の食
事)──をする時まで、わたしはもう決して、この(エジプトからあがなわれた記念の)
食事をしないのだから。」"
"422217","
そして(いつものように)杯を受け取り、(神に)感謝したのち、(弟子たちに)
言われた、「これを取って、みなで回して飲みなさい。"
"422218","
わたしは言う、今からのち神の国が来るまで、わたしは決して葡萄の木から出
来たものを飲まないのだから。」"
"422219","
またパンを(手に)取り、感謝して裂き、彼らに渡して言われた、「これはわた
しの体である。[以下及び20無し

"422220",""
"422221","
しかし驚いてはいけない、わたしを(敵に)売る者が、わたしと一しょに手を
食事の上において食事をしている!"
"422222","
人の子(わたしはかねて神に)定められているとおりに死んでゆくのだから。
しかし(人の子を)売るその人は、ああかわいそうだ!」"
"422223","
(これを聞くと)弟子たちは、自分たちのうちでいったいだれがそんな(だい
それた)ことをしようとしているのかと、みなで言い合いを始めた。"
"422224","
また弟子たちの間に、自分たちのうちでだれが一番えらいと思われているかに
ついての争いもあった。"
"422225","
するとイエスが言われた、「世間では王が人民を支配し、また主権者は自分を恩
人と呼ばせる。"
"422226","
しかしあなた達はそれではいけない。あなた達の間では、一番えらい者が一番
若輩のように、支配する者が給仕をする者のようになれ。"
"422227","
食卓につく者と給仕をする者と、どちらがえらいか。食卓につく者ではないの
か。でもわたしはあなた達の間で、あたかも給仕をする者のようにしている。"
"422228","
しかしあなた達はわたしのかずかずの試みの時に、一しょに持ちこたえてくれ
た人たちだ。"
"422229","
だから父上がわたしに御国を委ねてくださったように、わたしもあなた達にわ
たしの国を委ね、"
"422230","
(そこで)わたしの食卓で飲み食いさせ、また王座につかせて、イスラエルの
(民の)十二族を支配させるであろう。」"
"422231","
(そしてペテロに向かって言われた、)「シモン、シモン、見なさい、悪魔はあ
なた達を麦のように篩にかけることを(神に)願って聞き届けられた。"
"422232","
しかしわたしはあなたのために、信仰がなくならないように祈っておいた。(だ
から一度信仰を失っても、またもどってくる。)もどってきたら、あなたが兄弟たちを強
めてやってほしい。」"
"422233","
するとペテロは言った、「主よ、ご一しょに、牢に入っても、死んでもよい覚悟
ができております。」"
"422234","
イエスは言われた、「ペテロ、わたしは言う、きょう(今夜、)三度、あなたが
わたしを知らないと言うまで、鶏は鳴かない。」"
"422235","
それから彼らに言われた、「(前に)財布も旅行袋も靴も持たせずに、あなた達
を(伝道に)やった時、何か足りない物があったか。」彼らが答えた、「いえ、何も。」"
"422236","
彼らに言われた、「しかし今は(もうそれではいけない。)財布を持っている者
は持ってゆけ。旅行袋も同様。剣を持たない者は、(もし金がなかったら、)上着を売って
でも買いなさい。"
"422237","
わたしは言う、“彼は咎人の一人に数えられた”と(聖書に)書いてあること、
をわたしは成就せねばならないのだから。そしてわたしの務は(いよいよこれで)果てる
のだ。(あなた達も戦いの準備をするがよい。)」"
"422238","
彼らが言った、「主よ、剣ならばここに二振あります。」イエスが(笑いながら)
言われた、「それで沢山々々。」"
"422239","
それから(都を)出て、例のとおり、オリブ山へ行かれた。弟子たち(十一人)
もついて行った。(もう真夜中すぎであった。)"
"422240","
いつもの場所につくと、彼らに言われた、「誘惑に陥らないように祈っていなさ
い。」"
"422241","
そして自分は石を投げれば届くほどの所に離れてゆき、ひざまずいて祈って"
"422242","
言われた、「お父様、お心ならば、どうかこの杯をわたしに差さないでください。
しかし、わたしの願いでなく、お心が成りますように!」"
"422243","
そのとき天から一人の天使がイエスに現われて、力づけた。"
"422244","
イエスはもだえながら、死に物狂いに祈られた。汗が血のしたたるように(ポ
タポタ)地上に落ちた。"
"422245","
やがて祈りから立ち上がって弟子たちの所に来て、彼らが悲しさのあまり寝入
っているのを見ると、"
"422246","
言われた、「なぜ眠るのか。誘惑に陥らないように、立ち上がって祈っていなさ
い。」"
"422247","
イエスの言葉がまだ終らぬうちに、そこに一群の人があらわれた。十二人の一
人である、前に言ったユダが先頭に立ち、イエスに接吻しようとして近寄ってきた。"
"422248","
イエスが言われた、「ユダ、接吻で人の子を売るのか。」"
"422249","
弟子たちはことの迫ったのを見て言った、「主よ、剣で切りまくりましょうか。」
"
"422250","
そのうちのひとりの人が大祭司の下男に切りかかり、右の耳をそぎ落してしま
った。"
"422251","
イエスは、「もうそれでよし」と言って、耳にさわってお直しになった。"
"422252","
それからイエスは、押しかけてきていた大祭司連、宮の守衛長、長老たちに言
われた、「強盗にでも向かうように、剣や棍棒を持ってやって来たのか。"
"422253","
わたしが毎日あなた達と一しょに宮にいたときには、手を下さずにおいて。(時
が来なかったのだ。)しかし今は、(この暗い夜こそ)あなた達の天下、闇の縄張り(、悪
魔の勢力範囲)である。」"
"422254","
彼らはイエスをつかまえると、引いていって、大祭司(カヤパ)の屋敷につれ
込んだ。ペテロは見えがくれについて行った。"
"422255","
そして彼らが中庭の真中であかあかと火を焚いて一しょにすわったので、ペテ
ロもその中に坐った。"
"422256","
ひとりの女中は彼が火の所に坐っているのを見ると、しげしげと眺めながら、
「この人もあの人と一しょだった」と言った。"
"422257","
しかしペテロは、「女中さん、あんな人は知らない」と言って打ち消した。"
"422258","
ほどなく、ほかの男がペテロを見て、「あなたもあの仲間だ」と言った。ペテロ
は言った、「君、人ちがいだ。」"
"422259","
一時間ばかりたつと、(また)ほかの男が、「実際この人もあの人と一しょだっ
た。この人もガリラヤ人だから」と主張した。"
"422260","
しかしペテロは言った、「君、あなたの言っていることはわからない。」すると
たちまち、まだその言葉の終らぬうちに、鶏が鳴いた。"
"422261","
主が振り向いて、じっとペテロを見つめられた。ペテロは、「きょう(今夜)、
鶏が鳴く前に、わたしを三度、知らないと言う」と言われた主の言葉を思い出し、"
"422262","
外に出ていって、さめざめと泣いた。"
"422263","
イエスの番をしていた者たちはイエスをなぶったり、なぐったりした。"
"422264","
また目隠しをして、「だれがぶったか、当ててみろ」と言って尋ねた。"
"422265","
そのほかなおさまざまのことを言って、イエスを冒涜した。"
"422266","
朝になると、国の元老院、すなわち大祭司連や、聖書学者たちが集まって、イ
エスを彼らの法院の議場に引いていって"
"422267","
言った、「お前が救世主なら、そうだとわれわれに言ってもらいたい。」彼らに
答えられた、「言っても、とても信じまいし、"
"422268","
尋ねても、なかなか返事ができまい。"
"422269","
しかし今からのち、“人の子(わたし)は大能の神の右に坐って”いる。」"
"422270","
皆が言った、「ではお前が、神の子か。」彼らに言われた、「そうだと言われるな
ら、御意見にまかせる。」"
"422271","
すると彼らが言った、「これ以上、なんで証言の必要があろう。われわれが(直
接)本人の口から聞いたのだから。」"
"422301","
そこで法院全体が立ち上がって、イエスを(総督)ピラトの前に引いていって、
"
"422302","
「われわれはこの男が国民を惑わし、皇帝に貢を納めることを禁じ、かつ、自
分が救世主、すなわち王だと言っていることを確かめた」と言って訴え始めた。"
"422303","
ピラトがイエスに問うた、「お前が、ユダヤ人の王か。」答えて言われた、「(そ
う言われるなら)御意見にまかせる。」"
"422304","
ピラトが大祭司連と群衆に向かって、「この人にはなんの罪も認められない」と
言うと、"
"422305","
彼らはますます強く言い張った、「この男はユダヤ人(の国)全体に(自分の)
教えを説いて民衆を煽動し、ガリラヤから始めてここまで来ている。」"
"422306","
これを聞くとピラトは、この人は(たしかに)ガリラヤ人かと尋ね、"
"422307","
ヘロデ(王)の領内(ガリラヤ)の者だと知ると、イエスをヘロデの所に送り
とどけた。ヘロデもそのころ、(祭のためピラトと)同様にエルサレムにきていたのであ
る。"
"422308","
ヘロデはイエスを見ると非常に喜んだ。というのは、イエスの噂を聞いて、だ
いぶ前から会ってみたいと思っており、また何か奇蹟をするのを見たいと望んでいたから
である。"
"422309","
それで言葉をつくして問いかけたが、イエスは何もお答えにならなかった。"
"422310","
大祭司連と聖書学者たちは(わきに)立って、必死になってイエスを訴えた。"
"422311","
(埒があかないのに業を煮やした)ヘロデは兵隊と一しょになって、イエスに
侮辱を加えたり、なぶったりしたあげく、派手な着物をきせてピラトに送りかえした。"
"422312","
ヘロデとピラトは以前には犬と猿の仲であったが、この日(この事件によって)
互に仲良しになった。"
"422313","
ピラトは大祭司連をはじめ、(最高法院の)役人たち、および民衆を呼びあつめ
て、"
"422314","
言った、「お前たちはこの人を民衆をあやまらせる者だと言って引いてきたので、
このわたしがお前たちの目の前で取り調べたが、訴えの廉では、この人に何の罪も認めら
れなかった。"
"422315","
ヘロデでもそうらしい。送りかえしたのだから。たしかにこの人は、何一つ死
罪に当ることをしていない。"
"422316","
だから鞭うった上、赦すことにする。」"
"422317"
[無シ]
"422318","
すると人々が一斉に声をあげて叫んだ、「その男を片付けろ。バラバの方を赦し
てくれ。」"
"422319","
バラバは都におこった暴動(に関係したの)と人殺しとの廉で、牢に入れられ
ていた者である。"
"422320","
ピラトはイエスを赦したいので、ふたたび人々に呼びかけたが、"
"422321","
人々は(ただ)、「十字架につけろ、それを十字架につけろ」とどなりつづけた。
"
"422322","
三度目にピラトは彼らに言った、「いったいどんな悪事をこの人がはたらいたと
いうのか。わたしはこの人に何一つ死罪にあたる罪を認められなかった。だから鞭うった
上、赦すことにする。」"
"422323","
しかし人々は十字架につけることを大声でせがみつづけ、とうとうその声が勝
った。"
"422324","
ピラトは彼らの願いをかなえることに決定して、"
"422325","
暴動と人殺しとの廉で牢に入れられていた者を願いどおりに赦し、イエスの方
は彼らの思うようにさせた。"
"422326","
(兵卒らが)イエスを(刑場へ)引いてゆく時、シモンというクレネ人が野良
から来(て通りかかっ)たので、つかまえて(イエスの)十字架を背負わせ、イエスの後
から担いでゆかせた。(イエスにはもう負う力がなかったのである。)"
"422327","
民衆と、イエスのために悲しみ嘆く女たちとの大勢の群が、あとにつづいた。"
"422328","
イエスは女たちの方に振り向いて言われた、「エルサレムの娘さんたち、わたし
のためには泣いてくれなくともよろしい。それよりは自分のため、自分の子供のために泣
きなさい。"
"422329","
いまに人々が、『石女と、(子を)産んだことのない胎と、飲ませたことのない
乳房とが羨ましい』と言う(恐ろしい)日が来るのだから。"
"422330","
その時人々は“山にむかっては、『われわれの上に倒れかかって(殺して)くれ』、
丘にむかっては、『われわれを埋めてくれ』と言い”続けるであろう。"
"422331","
(罪のない)生木(のわたし)でさえ、こんな目にあわされるのだ。まして(罪
にくされた)枯木は、どうなることであろうか!」"
"422332","
ほかに二人の罪人も、処刑されるためイエスと共に引かれていった。"
"422333","
髑髏という所に着くと、(兵卒らは)そこでイエスを十字架につけた。また罪人
も、一人を右に、一人を左に(十字架につけた)。"
"422334","
するとイエスは言われた、「お父様、あの人たちを赦してやってください、何を
しているか知らずにいるのです。」“彼らは籤を引いて、”イエスの“着物を自分たちで分
けた。”"
"422335","
民衆は立って“見物していた。”(最高法院の)役人たちは“鼻で笑って”言った、
「人を救ったのだ、(今度は)自分を救えばいいのに、神の救世主、(神に)選ばれた者な
ら!」"
"422336","
兵卒らも近寄って、”酸っぱい葡萄酒を”(その口許に)差し出しながら、イエ
スをなぶって"
"422337","
こう言った、「お前がユダヤ人の王様なら、自分を救ってみろ。」"
"422338","
イエスの(頭の)上には こ れ が ユ ダ ヤ 人 の 王と書いた札ま
でも(悪ふざけに)かけてあった。"
"422339","
磔にされている罪人の一人がイエスを冒涜した、「お前は救世主じゃないか。自
分とおれ達を救ってみろ。」"
"422340","
するともう一人の者が彼をたしなめて言った、「貴様は(このお方と)同じ(恐
ろしい)罰を受けていながら、それでも(まだ)神様がこわくないのか。"
"422341","
おれ達は自分でしたことの報いを受けるのだから当り前だが、このお方は何一
つ、道にはずれたことをなさらなかったのだ。」"
"422342","
それから(イエスに)言った、「イエス様、こんどあなたのお国と共にお出でに
なる時には、どうかわたしのことを思い出してください。」
"422343","
イエスが言われた、「アーメン、わたしは言う、(その時を待たずとも、)あな
たはきょう、わたしと一しょに極楽に入ることができる。」"
"422344","
すでに昼の十二時ごろであったが、地の上が全部暗闇になってきて、三時まで
つづいた。"
"422345","
日蝕だったのである。すると宮の(聖所の)幕が真中から(二つに)裂けた。"
"422346","
その時イエスは大声をあげて言われた、「お父様、”わたしの霊をあなたにおあ
ずけします。”」こう言われるとともに、息が絶えた。"
"422347","
百卒長はこの出来事を見て、「この方はほんとうに正しい人であった」と言って
神を讃美した。"
"422348","
見物に来た野次馬も皆、これらの出来事を見て(心を刺され、)胸を打ちながら
帰っていった。"
"422349","
またすべてのイエスの“知人”とガリラヤからついて来た女たちも、“遠くの方
に立って”これを見ていた。"
"422350","
さてここにヨセフという人があった。最高法院の議員で、りっぱな、信心深い
人であった。"
"422351","
──この人は(イエスの処分について、)同僚たちの(今度の)決議と行動とに
賛成しなかった。──ユダヤの町アリマタヤ生まれで、神の国(の来るの)を待ち望んで
いた。"
"422352","
この人がピラトの所に行ってイエスの体(の下げ渡し)を乞い、"
"422353","
これを(十字架から)下ろして亜麻布で包み、まだだれも葬られたことのない、
岩に穿った墓に納めた。"
"422354","
この日は支度日[金曜日]であったが、(もう夕方で、)安息日[土曜日]が始
まろうとしていた。"
"422355","
イエスと一しょにガリラヤから来た女たちは(ヨセフの)あとについて行って、
墓と、イエスの体が(そこに)納められる様子とを見とどけ、"
"422356","
帰って、香料と香油を用意した。女たちは掟に従って安息日を休み、"
"422401","
(翌日、すなわち)週の始めの日[日曜日]、夜の引明けに、用意しておいた香
料(をまぜた香油)を持って墓場に行った。"
"422402","
墓(の入口)から石がころがしてあるのを見て"
"422403","
中に入ったが、主イエスの体は見えなかった。"
"422404","
そのため途方にくれていると、見よ、かがやく着物をきた二人の人が(現われ
て)彼らに近づいた。"
"422405","
ぞっとして面を垂れると、彼らに言った、「なぜ死人の中に生きた者をさがすの
か。"
"422406","
ここにはおられない。もう復活されたのだ。まだガリラヤにおられたとき、あ
なた達に言われたことを思い出してみよ。"
"422407","
『人の子(わたし)は罪人どもの手に引き渡され、十字架につけられ、三日目
に復活せねばならない』と言われたではないか。」"
"422408","
女たちはイエスの言葉を思い出して、"
"422409","
墓から帰り、十一人(の使徒)とそのほかみんなの人に、一つのこらずこのこ
とを知らせた。"
"422410","
これを使徒たちに話したのは、マグダラのマリヤとヨハンナとヤコブの母マリ
ヤと、および、この女たちと一しょにいたほかの女たちとであった。"
"422411","
しかし使徒たちはこの話が冗談のように見えたので、女たちを信じなかった。"
"422412"
[無シ]
"422413","
するとちょうど同じ日に、二人の弟子がエルサレムから六十スタデオ[十一キ
ロ半]離れたエマオという村へ歩いてゆきながら、"
"422414","
これらの出来事をあれやこれやと話し合っていた。"
"422415","
二人が(こうして)話したり議論したりしていると、(いつの間にか)御本人の
イエスが近づいてきて、一しょに歩いておられたが、"
"422416","
二人は目をくらまされていたので、それと気がつかなかった。"
"422417","
二人に言われた、「歩きながら何をそんなに論じ合っているのです。」暗い顔を
して二人は立ち止まり、"
"422418","
一人のクレオパという方が答えた、「(見れば御巡礼のようだが、)エルサレムに
滞在していながら、あなただけは、この二三日の間にそこで起ったことを何も知らないの
ですか。」"
"422419","
彼らに言われた、「なんのことです。」彼らが言った、「ナザレ人イエスのことで
す。──この方はだれが見ても、神の目にさえも、業に言葉に力のある預言者であったの
に、"
"422420","
大祭司連をはじめ(最高法院の)役人たちが(ローマ人に)引き渡して死刑を
宣告し、十字架につけてしまったのです。"
"422421","
ほんとうにわたし達は、この方こそイスラエル(の民)をあがなってくださる
人だと望みをかけていたのに!そればかりか、かてて加えて、そのことがあってから、き
ょうはもう三日目になったのです。(もはや生き返られる望みもありません。)"
"422422","
ところがまた、仲間の女たちがわたし達をびっくりさせました。──この女た
ちは朝早く墓に行ったが、"
"422423","
お体が見つからずにかえって来て、天使たちがあらわれ、あの方は生きておら
れる、と告げたと言うのです。"
"422424","
そこで仲間の男が二三人墓に行って見ると、はたして女たちの言うとおり(墓
は空っぽ)だったが、(生きておられるという)その方は見えなかったのです。」"
"422425","
彼らに言われた、「ああ、預言者たちの言ったことを何一つ信じない、悟りの悪
い、心の鈍い人たちよ!"
"422426","
救世主は栄光に入るために、そのような苦しみを受けねばならなかったのでは
ないのですか。」"
"422427","
そして(預言者)モーセから始めて、すべての預言者が御自分につき聖書全体
において言っていることを説明された。"
"422428","
とかくするうちに目指す(エマオの)村に近づくと、なお先へ行くような様子
をされたので、"
"422429","
二人はこう言って無理に引き留めた、「わたし達のところにお泊まりなさい。間
もなく夕方で、日もはや傾いたから。」そこで彼らのところに泊まるために、(家に)入ら
れた。"
"422430","
一しょに食卓について、(いつものように)パンを(手に)取り、(神を)讃美
したのち、裂いて渡されると、"
"422431","
(その時)二人の目が開けて、その方とはっきりわかった。すると(また)そ
の姿が見えなくなった。"
"422432","
二人は語り合うのであった、「(そう言えば、)道々わたし達に話をされたり、聖
書を説き明かされたりした時に、胸の中が熱くなったではないか」と。"
"422433","
時を移さず二人は立ち上がってエルサレムに引き返して見ると、十一人とその
仲間とが集まっていて、"
"422434","
「ほんとうに主は復活して、シモン(・ペテロ)に御自分を現わされた」と話
してくれた。"
"422435","
それで二人も、(エマオへの)道であったことや、また、どうしてパンを裂かれ
たことで(主と)わかったかを物語った。"
"422436","
二人がこう話しているところに、(突然)御自身でみなの真中に出ておいでにな
った。"
"422437","
ぞっとして震えあがり、幽霊でも見ているように思っていると、"
"422438","
彼らに言われた、「なにをうろたえるのか。なぜ心に疑いを起すのか。"
"422439","
わたしの手と足とを見てごらん。だれでもない、わたしだよ!さわってごらん、
幽霊には肉も骨もないが、わたしには、それがあるのがわかるから。」"
"422440","
[無シ]
"422441","
喜びのあまり、彼らがまだ信じられずに怪しんでいると、「ここに何か食べるも
のがあるか」と言われた。"
"422442","
焼いた魚を一切差し上げると、"
"422443","
受け取ってみなの前で食べられた。"
"422444","
それから彼らに言われた、「(あなた達が見聞きした)これらのことは、わたし
がまだあなた達と一しょにいたとき、わたしについてモーセの律法と預言書と詩篇と[聖
書]に書いてあることは一つのこらずきっと成就する、と話したその言葉(が実現したの)
である。」"

"422445","それから聖書をわからせるために彼らの心を開いて"
"422446","
言われた、「救世主は苦しみをうけて、三日目に死人の中から復活する。"
"422447","
また罪を赦されるための悔改め(の福音)が、その名においてすべての国の人
に説かれる、エルサレムから始まって、と(聖書に)こう書いてある。"
"422448","
あなた達はこの(苦しみと復活との)証人である。"
"422449","
待っておいで、わたしが父上のお約束のもの[聖霊]をあなた達におくるから。
あなた達は(この)天よりの力を身につけるまで、都に止まっていなさい。」"
"422450","
それから、彼らを(オリブ山の頂上の)ベタニヤ道のところまでつれてゆき、
手を挙げて祝福された。"
"422451","
そして祝福しながら、(天へと)はなれてゆかれた。"
"422452","
彼らは大喜びでエルサレムに帰り、"
"422453","
いつも宮にいて、神をほめたたえていた。"

ヨハネ福音書
"430101","
(世の)始めに、(すでに)言葉はおられた。言葉は神とともにおられた。言葉
は神であった。"
"430102","
この方は(世の)始めに神とともにおられた。"
"430103","
一切のものはこの方によって出来た。出来たものでこの方によらずに出来たも
のは、ただの一つもない。"
"430104","
この方は命をもち、この命が人の光であった。"
"430105","
この光は(いつも)暗闇の中に輝いている。しかし暗闇(のこの世の人々)は、
これを理解しなかった。"
"430106","
(そこで)一人の人が(この世に)あらわれた。神から遣わされたのである。
その名はヨハネ。"
"430107","
この人は証しのため、すなわち、光について証しをし、彼の証しによってすべ
ての人を信仰にいれるために来たのであった。"
"430108","
彼は光ではなかった。ただ光について証しをするために来たのであった。"
"430109","
この方(言葉)は、この世にうまれて来るすべての人を照らすべきまことの光
であった。"
"430110","
この世に来ておられ、世はこの方によって出来たのに、世はこの方を認めなか
った。"
"430111","
いわば自分の家に来られたのに、家の者が受け入れなかったのである。"
"430112","
しかし受け入れた人々、すなわち、その名を(神の子であることを)信じた人
には一人のこらず、神の子となる資格をお授けになった。"
"430113","
この人たちは、人間の血や、肉の欲望や、男の欲望によらず、神(の力)によ
って生まれたのである。"
"430114","
この言葉は肉体となって、(しばらく)わたし達の間に住んでおられた。(これ
が主イエス・キリストである。)わたし達はその栄光を見た。いかにも父上の独り子らし
い栄光で、恩恵と真理とに満ちておられた。"
"430115","
ヨハネはこの方のことを証しして、叫んで言う、「『わたしのあとから来られる
方は、わたしよりも偉い方である。わたしよりも前から、(世の始めから)おられたのだ
から』とわたしが言ったのは、この方のことであった。」"
"430116","
わたし達は一人のこらず、この方に満ちみちているものの中から、恩恵また恩
恵を戴いた。"
"430117","
すなわち律法はモーセをもって与えられたが、恩恵と真理とはイエス・キリス
トをもって(はじめて)あらわれた。"
"430118","
神を見た者は、いまだかつて一人もない。ただ、いつも父上の胸に寄り添って
おられる独り子(のキリスト)だけが、(わたし達に神を)示してくださったのである。"
"430119","
さて、ヨハネの証しというのはこれである。──ユダヤ人がエルサレムから祭
司とレビ人とをヨハネの所に使いにやって、「あなたはだれですか」と尋ねさせた。"
"430120","
そのときヨハネは正直に言って隠さなかった。「わたしは救世主ではない」と正
直に言った。"
"430121","
「それではなんです。(預言者)エリヤ(の再来)ですか」と尋ねた。「そうで
はない」と言う。「(世の終りに来る)あの預言者ですか。」「ちがう」と答えた。"
"430122","
すると彼に言った、「ではだれですか。(言ってください。)わたし達をよこした
人たちに返事をしなければなりませんから。あなたは自分をなんだと言われるのです。」"
"430123","
彼が言った、「わたしは、預言者イザヤが〃荒野に叫ぶ者の声はひびく、『主の
道をまっすぐにせよ』〃と言ったあの声だ。」"
"430124","
──彼らを使にやったのはパリサイ人であった。──"
"430125","
彼らはしつこく尋ねた。「救世主でも、エリヤでも、あの預言者でもないなら、
なぜ、(なんの権威で)洗礼を授けるのです。」"
"430126","
ヨハネが答えた、「わたしは水で洗礼を授けているが、君たちの真中に君たちの
知らない人が立っておられる。"
"430127","
これがわたしのあとから来られる方で、わたしはその方の靴の紐をとく資格も
ない。」"
"430128","
これはヨルダン川の向こうのベタニヤでの出来事で、ヨハネはそこにいて、洗
礼を授けていたのである。"
"430129","
あくる日、ヨハネはイエスが自分の方に来られるのを見て言う、「そら、あれが
世の罪を取りのぞく神の小羊だ。"
"430130","
『わたしのあとからひとりの人が来られる。わたしよりも偉い方である。わた
しよりも前からおられたのだから』とわたしが言ったのは、この方のことだ。"
"430131","
(最初)わたしはあの方が(救世主だと)わからなかった。しかしわたしはあ
の方(がそれであること)をイスラエルの民に知らせるため、水で洗礼を授けに来たので
ある。」"
"430132","
ヨハネはまたこう言って証しをした、「洗礼を授けると、御霊が鳩のように天か
ら下ってきて、あの方の上に留るのをわたしは見た。"
"430133","
最初わたしはあの方がわからなかった。しかし水で洗礼を授けさせるためにわ
たしを遣わされた方(神)が、わたしに言われた、『御霊が下ってきて、ある人の上に留
るのを見たら、その人が聖霊で洗礼を授ける人である』と。"
"430134","
わたしはそれを見た。それで、その方が神の子であると証しをしているのであ
る。」"
"430135","
あくる日またヨハネは、二人の弟子と一しょに立っていた。"
"430136","
イエスが通りすぎられるのをじっと見て言う、「そら、あれが神の小羊だ。」"
"430137","
二人の弟子はその言葉を聞いて、イエスについて行った。"
"430138","
イエスは振り返って二人がついて来るのを見て、言われる、「なんの用か。」彼
らが言った、「ラビ(訳すると『先生』)、どこにお泊まりですか。」"
"430139","
彼らに言われる、「来なさい、そうすればわかる。」そこで一しょに行って、泊
まっておられる所を見て、その日はイエスのところに泊まった。(着いたのは)午後四時
ごろであった。"
"430140","
ヨハネから聞いてついて行った二人のうちの一人は、シモン・ペテロの兄弟ア
ンデレであった。"
"430141","
(あくる日)まずこの人が自分の兄弟のシモンに出会って、「メシヤを見つけた」
と言う。[メシヤは訳すると「救世主」である。]"
"430142","
シモンをイエスの所につれてゆくと、彼をじっと見て言われた、「あなたはヨハ
ネの子シモンだ。あなたの名はケパがよかろう。」[ケパは(ヘブライ語であって、ギリシ
ャ語に)訳するとペテロ(岩)。]"
"430143","
あくる日(そこを立って)ガリラヤに行こうとされたが、(道で)ピリポに出合
われた。イエスが言われる、「わたしについて来なさい。」"
"430144","
ピリポはアンデレとペテロの町であるベッサイダの人であった。"
"430145","
(すると今度は)ピリポがナタナエルに出合って言う、「わたし達はモーセが律
法に書き、預言者たちも書いている人を見つけた、ヨセフの子、ナザレ人イエスだ。」"
"430146","
ナタナエルが言った、「あのナザレから何か善いものが出るだろうか。」ピリポ
が言う、「来なさい、そうすればわかる。」"
"430147","
イエスはナタナエルが自分の方に来るのを見て、彼のことをこう言われる、「そ
ら、あれは生粋のイスラエル人だ。すこしもごまかしがない。」"
"430148","
ナタナエルが言う、「まあ、どうしてわたしを御存じですか。」イエスが答えて
言われた、「ピリポが呼ぶ前に、あなたが無花果の木の下にいるのを見た。」"
"430149","
ナタナエルが答えた、「先生、あなたは神の子であります。あなたはイスラエル
の王であります。」"
"430150","
イエスが答えて言われた、「あなたを無花果の木の下で見たと言ったので、信ず
るのか。信ずれば、あなたはもっと驚くべきことを見るであろう。」"
"430151","
そして(そこにいる人たちを見ながら)ナタナエルに言われる、「アーメン、ア
ーメン、あなた達に言う、あなた達は天が開けて、人の子(わたし)の上に神の使たちが
(たえず)上り下りするのを見るであろう。」"
"430201","
それから三日目に、ガリラヤのカナに婚礼があって、イエスの母がそこにいた。
"
"430202","
イエスも弟子たちと婚礼に招かれた。"
"430203","
すると宴会の最中に酒が足りなくなったので、母がイエスに言う、「お酒がなく
なりました。」"
"430204","
イエスが言われる、「女の方、〃放っておいてください。〃わたしの栄光(を示
す)時はまだ来ておりません。」"
"430205","
母は召使たちに言う、「〃なんでもこの方の言われるとおりにしてください。
〃」"
"430206","
そこに、ユダヤ人の清めの(儀式の)ために、石の水瓶が六つ置いてあった。
いずれも二、三メトレタ[八十から百二十リットル]入りであった。"
"430207","
イエスは召使たちに言われる、「水瓶に水をいっぱい入れよ。」口まで入れると、
"
"430208","
彼らに言われる、「さあ汲んで、宴会長に持ってゆきなさい。」彼らが持ってゆ
くと、"
"430209","
宴会長は酒になった水をなめてみて、──彼はその訳を知らなかったが、水を
汲んだ召使たちは知っていた。──宴会長は花婿を呼んで"
"430210","
言う、「だでれも初に良い酒を出し、酔がまわったところに悪いのを出すのに、
あなたは、よくもいままで良い酒をとっておいたものだ。」"
"430211","
イエスはこの最初の徴[奇蹟]をガリラヤのカナで行って、(神の子たる)その
栄光をお現わしになった。弟子たちが彼を信じた。"
"430212","
そののちイエスは、母、兄弟たちおよび弟子たちとカペナウムに下り、数日そ
こに一しょにおられた。"
"430213","
ユダヤ人の過越の祭が近くなると、イエスは(弟子たちと)エルサレムに上ら
れた。"
"430214","
宮の庭で牛や羊や鳩を売る者、また両替屋が坐っているのを見られると、"
"430215","
縄で鞭をつくって、何もかも、羊も牛も宮から追い出し、両替屋の銭をまき散
らし、その台をひっくり返し、"
"430216","
また鳩を売る者に言われた、「それをここから持ってゆけ。わたしの父上の家を
商店にするな。」"
"430217","
(これを見て)弟子たちは、〃(神よ、)あなたの家に対する熱心が、わたしを
焼きつくします〃と(詩篇に)書いてあるのを思い出した。"
"430218","
するとユダヤ人が口を出した、「あなたはこんなことをするが、(その権威を証
明するために、)どんな徴[奇蹟]をして見せることができるのか。」"
"430219","
イエスは答えられた、「このお宮をこわせ、三日で造ってみせるから。」"
"430220","
ユダヤ人が言った、「このお宮を建てるには四十六年もかかったのに、あなたは
三日で造るというのか。」"
"430221","
しかしイエスは自分の体のことを宮と言われたのであった。"
"430222","
だから死人の中から復活された時、弟子たちはこう言われたことを思い出して、
聖書とイエスの言われた言葉と(が本当であること)を信じた。"
"430223","
過越の祭の時エルサレムにおられる間に、多くの人がイエスの行われたかずか
ずの徴[奇蹟]を見て、その名を信じた。"
"430224","
しかしイエスの方では、彼ら(の信仰)を信頼されなかった。彼にはだれでも
わかり、"
"430225","
また人のことをだれからも教えてもらう必要がなかったのである。自分で人の
心の中がわかったからである。"
"430301","
ところでパリサイ人の中に名をニコデモという人があった。ユダヤの(最高法
院の)役人であった。"
"430302","
ある夜、イエスの所に来て言った、「先生、わたし達はあなたが神のところから
来られた先生であることを知っています。神がご一しょでなければ、あなたのされるあん
な徴[奇蹟]はだれもすることは出来ません。」"
"430303","
イエスが答えて言われた、「アーメン、アーメン、わたしは言う、(徴を見て信
じたのではいけない。)人は新しく生まれなおさなければ、神の国にはいることは出来な
い。」"
"430304","
ニコデモがイエスに言う、「(このように)年を取った者が、どうして生まれな
おすことが出来ましょう。まさかもう一度母の胎内に入って、生まれなおすわけにゆかな
いではありませんか。」"
"430305","
イエスは答えられた、「アーメン、アーメン、わたしは言う、人は霊によって生
まれなければ、神の国に入ることは出来ない。"
"430306","
肉によって生まれたものは肉であり、霊によって生まれたものだけが霊である
(から)。"
"430307","
『あなた達は新しく生まれなおさねばならない』と言ったからとて、すこしも
不思議がることはない。"
"430308","
風[プニューマ]は心のままに吹く。その音は聞えるが、どこから来てどこに
行くか、あなたは知らない。霊[プニューマ]によって生れる者も皆、そのとおりである。」
"
"430309","
ニコデモが言葉を返した、「(霊によって生まれるなどと、)そんなことがどうし
て出来ましょうか。」"
"430310","
イエスが答えて言われた。──「あなたはイスラエルの(名高い)先生であり
ながら、それくらいなことがわからないのか。"
"430311","
アーメン、アーメン、わたしは言う、わたし達(神の国を説く者)は知ってい
ることを話し、(自分で)見たことを証しするのである。しかしあなた達はその証しを受
けいれない。"
"430312","
わたしが(いま)地上のことを言うのに、それを信じないなら、天上のことを
言うとき、どうして信じることができよう。"
"430313","
しかも天から下ってきた者、すなわち人の子(わたし)のほかには、だれ一人
天に上った者はない。(また天上のことを知っている者はない。)"
"430314","
そして、ちょうどモーセが荒野で(銅の)蛇を(竿の先に)挙げたように、人
の子(わたしも十字架に)挙げられ(て天に上ら)ねばならない。"
"430315","
それは、(蛇にかまれた者がその銅の蛇を仰いで命を救われたように、)信ずる
者が皆(天に上った人の子を仰いで、)彼にあって永遠の命を持つためである。"
"430316","
そのゆえは、神はその独り子を賜わったほどにこの世を愛されたのである。こ
れはその独り子を信ずる者が一人も滅びず、永遠の命を持つことができるためである。"
"430317","
神は世を罰するためにその子を世に遣わされたのではなく、子によって世を救
うためである。"
"430318","
彼を信ずる者は罰されない。信じない者は(今)すでに罰されている。彼を神
の独り子として信じていないからである。"
"430319","
すなわち、光が世に来たのに、人々は自分たちの行いが悪いので、光よりも暗
さの方を愛したこと、それが罰である。"
"430320","
悪いことをしている者は皆、光を憎んで光に来ない。自分の行いが明るみに出
されたくないのである。"
"430321","
これと反対に、真理を行っている者は、光に来る。自分の行いが神にあってな
されたことを、現わしたいのである。」"
"430322","
そののち、イエスは弟子たちと(エルサレムを去って)ユダヤの地方に行き、
一しょにそこに滞在して、洗礼を授けておられた。"
"430323","
ところがヨハネも、サリムに近いアイノンにいて、洗礼を授けていた。そこに
は水が沢山あったからである。人々が来て、ヨハネから洗礼を受けた。"
"430324","
ヨハネはまだ牢に入れられていなかったのである。"
"430325","
すると、ヨハネの弟子たちと一人のユダヤ人とのあいだに、(二人のうち、どち
らの洗礼が)清めの(力をもっているかという)ことについて、議論がおこった。"
"430326","
弟子たちがヨハネの所に来て言った、「先生、あなたと一しょにヨルダン川の向
こうにいた、そしてあなたが世に紹介されたあの人が、どうでしょう、洗礼を授けており
ます。そして、みんなその方へ行きます。」"
"430327","
ヨハネが答えた、「人は天から与えられないかぎり、何も(自分で)取ることは
出来ない。"
"430328","
『わたしは救世主ではない。ただあの方の先駆けをするために遣わされた者
である』とわたしが言ったことについては、あなた達自身がわたしの証人ではないか。"
"430329","
花嫁を持つのは花婿である。花婿の友達は花婿のそばに立っていて耳を傾け、
花婿の(喜ぶ)声を聞いて喜びにあふれるのである。(花婿の友達である)わたしのこの
喜びは、いま絶頂に達した。"
"430330","
あの方は栄え、わたしは衰えねばならない。(それが神の御心である。)"
"430331","
上から来られる方は、すべての者の上におられる。地から出た者は地上の者で、
話すことも地上のことである。天から来られる方は、すべての者の上におられ、"
"430332","
天で見聞きしたことを証しされる。(だから遣わされた者のだれ一人、こう言う
わたし自身も、あの方に及ばない。)ところがだれもその証しを受けいれない。"
"430333","
(しかし)その証しを受けいれる者は、(受けいれることによって、)神が真実
であることを承認したのである。"
"430334","
神がお遣わしになった方は神の言葉を話される。神は(その方に)いくらでも
霊をお与えになるからである。"
"430335","
父上は御子を愛して、一切のもの(の支配権)をその手におまかせになった。"
"430336","
(だから従順に)御子を信ずる者は永遠の命を持つが、御子に不従順な者は命
にはいることができないばかりか、神の怒りがその人からはなれない。」"
"430401","
さて、ヨハネよりもイエスの方がよけいに弟子をつくり、洗礼を授けていると
いう噂が、パリサイ人の耳に入ったことを主が知られると、"
"430402","
──その実、洗礼を授けたのはイエス自身でなく弟子たちであったが──"
"430403","
(パリサイ人との衝突をさけるため)ユダヤを去って、またガリラヤへ行かれ
た。"
"430404","
しかし(ガリラヤへ行くのに)サマリヤを通らねばならなかった。"
"430405","
そして、サマリヤのスカルという町のそばまで来られた。ヤコブがその子ヨセ
フに与えた地所の近くで、"
"430406","
そこには(有名な)ヤコブの井戸があった。旅に疲れたイエスは、いきなり井
戸のわきに腰をおろされた。昼の十二時ごろであった。"
"430407","
一人のサマリヤの女が水を汲みに来る。「飲ませてくれないか」とイエスが女に
言われた。"
"430408","
弟子たちは食べ物を買いに、町に行っていたのである。"
"430409","
サマリヤの女が言う、「ユダヤ人のあなたが、どうしてサマリヤの女のわたしに、
飲み物をお求めになるのです。」(女が不審に思ったのは、)ユダヤ人はサマリヤ人と交際
をしないからである。"
"430410","
イエスは答えられた、「もし神の(賜わる最上の)賜物が何であるか、『飲ませ
てくれないか』と(今)あなたに言っている者がだれであるかがあなたにわかっていたら、
あなたの方からその人に頼み、その人があなたに清水[命の水]を与えたであろうに。」"
"430411","
女が言う、「主よ、あなたは釣瓶も持たれず、(この辺は)井戸も深いのに、ど
こからその清水を汲んで来られるのですか。"
"430412","
あなたはわたし達の先祖ヤコブよりもえらいのでしょうか。(まさかそうではあ
りますまい。)彼のおかげで、わたし達のこの井戸もあるのです。彼も、その子たちも、
家畜も、この井戸から飲みました。」"
"430413","
イエスは答えられた、「この(井戸の)水を飲む者はだれでもまた渇くが、"
"430414","
わたしが与える水を飲む者は永遠に渇かない。そればかりでなく、わたしが与
える水は、その人の中で(たえず)湧き出る水の泉となって、永遠の命に至らせるであろ
う。」"
"430415","
女が言う、「主よ、その水を下さい。(二度と)渇くことがないように、またこ
こに汲みに来なくてもよいように。」"
"430416","
イエスが言われる、「行って、あなたの夫をここに呼んで来なさい。」"
"430417","
女が答えた、「わたしには夫はありません。」イエスが言われる、「『わたしには
夫はありません』と言うのは、もっともだ。"
"430418","
五人の夫とは別れ、今のは、あなたの夫ではないのだから。あなたの言ったこ
とは本当だ。」"
"430419","
女が(びっくりして)言う、「主よ、わかりました、あなたは預言者です。"
"430420","
(それでお尋ねしたいのですが、)わたし達の先祖はこの(ゲリジム)山で(神
を)礼拝したのに、あなた達(ユダヤの人)は、礼拝すべき場所はエルサレムだと言われ
ます。(どういう訳でしょうか。)」"
"430421","
イエスが言われる、「女の人、わたし(の言葉)を信じなさい。(間もなく)あ
なた達が、この山でもエルサレムでもなく(どこででも、)父上を礼拝する時が来る。"
"430422","
ただ(同じ神を、)あなた達は知らずに礼拝し、わたし達は知って礼拝している。
救いはユダヤ人から出る(のでわたし達だけに神が示された)からである。"
"430423","
しかし(ユダヤ人もサマリヤ人もなく、)本当の礼拝者が霊と真理とをもって父
上を礼拝する時が来る。いや、今もうきている。父上もこんな礼拝者を求めておられるの
である。"
"430424","
神は霊である。だから礼拝者も霊と真理とをもって礼拝せねばならない。」"
"430425","
女が言う、「キリストと言われる救世主が来ることは知っています。救世主が来
れば、わたし達に何もかも知らせてくださるでしょう。」"
"430426","
イエスは言われる、「あなたと話しているわたしが、それだ。」"
"430427","
とかくするうちに弟子たちがかえって来て、イエスが女と、(しかもサマリヤの
女と)話しておられるのを(見て、)不思議に思った。それでも「何か御用で」とか、「何
を話しておられますか」とたずねる者はなかった。
"430428","
すると女は水瓶を置いたまま町に行って、人々に言う、"
"430429","
「さあ来て御覧なさい、わたしのしたことを何もかも言いあてた人がいる。も
しかしたら、この人は救世主ではないでしょうか。」"
"430430","
人々が町を出て、イエスの所に来た。"
"430431","
その間に弟子たちが、「先生、お食事を」と催促すると、"
"430432","
言われた、「わたしにはあなた達の知らない食べ物がある。」"
"430433","
すると弟子たちが互に言った、「だれも食べる物を持ってくるはずはないの
に。」"
"430434","
イエスが言われる、「わたしの食べ物は、わたしを遣わされた方の御心を行い、
(任せられた)お仕事を成しとげることだ。"
"430435","
あなた達のあいだでは『刈入れの時の来るにはまだ四月』と言うではないか。
しかしわたしは言う、目をあげて畑を見てごらん。(麦畑の間を押し寄せてくるあのスカ
ルの人たちを!)畑は黄ばんで刈入れを待っている。"
"430436","
すでに、刈る人は報酬を受けている。すなわち永遠の命にいたる実を集めてい
る。まく人も刈る人も、同時に喜ぶためである。"
"430437","
『まく人、刈る人、別の人』という諺は、そのままここに当てはまるからであ
る。"
"430438","
(すなわち)わたしはあなた達をやって、あなた達が自分で苦労しなかったも
のを刈り取らせる。ほかの人々が苦労し、あなた達はその苦労(の実)を取り入れるので
ある。(あなた達はわたしがまいたものを、ただ取り入れるだけでよいのだ。)」"
"430439","
さて、この町の大勢のサマリヤ人は、「あの人はわたしのしたことを何もかも言
いあてた」と証しするこの女の言葉によって、イエスを信じた。"
"430440","
それでサマリヤ人はイエスの所に来ると、自分たちのところに(しばらく)泊
まっていてほしいと頼んだ。イエスはそこに二日泊まられた。"
"430441","
すると、さらに多くの人がイエスの言葉によって信じた。"
"430442","
そして彼らは女に言った、「われわれはもうあなたの話しで信ずるのではない。
自分たちで(直接)聞いて、この方こそ確かに世の救い主だとわかったからである。」"
"430443","
二日ののち、そこを去ってガリラヤへ向かわれた。"
"430444","
(これは前に言ったように、パリサイ人との衝突をさけるためであった。)イエ
ス自身(かつて、)「預言者はその本国では尊敬を受けない」と、はっきり言われたことが
あったからである。"
"430445","
ところが、ガリラヤに行かれると、(予期に反して)ガリラヤ人は彼を歓迎した。
これは、彼らも(過越の)祭に行ったので、イエスが祭の時にエルサレムでされたこと[奇
蹟]を一つのこらず見たからである。"
"430446","
それから、またガリラヤのカナに行かれた。そこは(前に)水を酒にされた所
である。するとカペナウムに(ヘロデ・アンデパス)王の役人がいて、その息子が病気で
あった。"
"430447","
イエスがユダヤからガリラヤに来ておられると聞くと、イエスの所に行き、(カ
ペナウムに)下ってきて息子を直してほしいと頼んだ。息子が死にそうだったのである。"
"430448","
イエスは言われた、「あなた達は徴[奇蹟]と不思議なことを見なければ、決し
て信じない。」"
"430449","
王の役人が、「主よ、子供が死なないうちに(カペナウムに)下ってきてくださ
い」と言いつづけると、"
"430450","
イエスは言われる、「かえりなさい、息子さんはなおった。」その人はイエスの
言われた言葉を信じて、かえっていった。"
"430451","
しかしすでに途中で、僕たちが出迎えて、子供がなおったことを知らせた。"
"430452","
そこで僕たちに良くなった時間をたずねると、「きのう午後一時に熱が取れた」
とこたえた。"
"430453","
父は、それが「息子さんはなおった」とイエスが言われた時間であることを知
り、彼はもちろん、全家族が信じた。"
"430454","
イエスはこの第二の徴[奇蹟]を、ユダヤからガリラヤに行かれたときに行わ
れた。"
"430501","
そののちユダヤ人の祭があって、イエスはエルサレムに上られた。"
"430502","
エルサレムの羊門のわきに、ヘブライ語でベテスダという池があり、(これを取
り巻いて)五つの回り廊下があった。"
"430503","
廊下には大勢の病人──盲人、足なえ、やせ衰えた者などが寝ころがっていた。
【水の動くのを待っていたのである。"
"430504","
それは、主の使がときどき池に下りてきて水をかきまわすので、水がかきまわ
されたとき真先に(池に)はいった者は、どんな病気にかかっていても、(きっと)直る
からであった。】
"430505","
するとそこに三十八年病気の人がいた。"
"430506","
イエスはその人が横になっているのを見、すでに長い間わずらっていることを
知ると、「直りたいか」とたずねられた。"
"430507","
病人が答えた、「主よ、水がかきまわされた時に、わたしを池に入れてくれる者
がないのです。わたしが行くうちに、ほかの人が先に下りてゆきます。」"
"430508","
イエスが言われる、「起きて担架をかついて、歩きなさい。」"
"430509","
するとその人はすぐ直って、担架をかついで歩きまわった。あいにくその日は
安息日であった。"
"430510","
そこでユダヤ人(の役人たち)が病気のよくなった人に言った、「(きょうは)
安息日だ、担架をかつぐのは規則違反だ。」"
"430511","
彼は答えた、「わたしを直してくれた人が、『担架をかついで歩け』と言ったの
です。」"
"430512","
彼らが尋ねた、「『かついで歩け』と言った人はだれだ。」"
"430513","
しかしいやされた人は、それがだれか知らなかった。大勢の人がその場所にい
たので、イエスは(そっと)立ち去られたのであった。"
"430514","
そののちイエスは宮で彼に出合って言われた、「ほら、直ったではないか。もう
罪を犯すなよ。もっとひどい目にあうかもしれないから。」"
"430515","
その人は行って、直してくれた人はイエスであると、ユダヤ人(の役人たち)
に話した。"
"430516","
このためユダヤ人は、イエスを迫害しはじめた。安息日にたびたびそんなこと
をされたからである。"
"430517","
イエスは彼らに答えられた、「わたしの父上は、いまでもなお働いておられる。
だからわたしも働く。」"
"430518","
このためユダヤ人は、いよいよイエスを殺そうと思った。安息日を破るばかり
でなく、神を自分の父と言って、自分を神と等しくされたからである。"
"430519","
そのとき、イエスは彼らに答えて言われた、「アーメン、アーメン、わたしは言
う、子は父上のなさることを見て(それを真似るので)なければ、自分では何一つするこ
とが出来ない。父上のなさるのと同じことを、子もまたするのだから。"
"430520","
父上は子を愛して、御自分でなさることをことごとく子に示されるのである。
そればかりか、子がしたこれらのことよりもっと大きな業を子に示され、子がそれをする
と、あなた達はびっくりするであろう。"
"430521","
それは、父上が(心のままに)死人を生き返らせて命を与えられるように、子
も自分の欲する者に命を与えるからである。"
"430522","
父上は御自分ではだれも裁かれず、裁きはすべて子におまかせになったのであ
る。"
"430523","
これは皆の者をして、父上を敬うように子を敬わせるためである。子を敬わな
い者は、子を遣わされた父上をも敬わない。"
"430524","
アーメン、アーメン、わたしは言う、わたしの言葉を聞き、わたしを遣わされ
た方を信ずる者は、(今すでに)永遠の命を持っていて、(最後の日に)罰を受けない。そ
の人はもはや死から命に移っているのである。"
"430525","
アーメン、アーメン、わたしは言う、死人が(一人のこらず)神の子(わたし)
の声を聞く時が来る、いや、今もう来ている。しかし(ただ聞くばかりでなく、ほんとう
に)聞き従う者(だけ)が生きる。"
"430526","
父上は御自分で命を持っておられるように、子(たるわたし)にも命を持つこ
とを許し、"
"430527","
かつ、裁きをする全権を子にお授けになった。人の子である(わたしは、人間
の心がわかる)からである。"
"430528","
あなた達は(子が裁くという)このことを驚くに及ばない。時が来ると、墓の
中にいる者が皆子(たるわたし)の声を聞いて、"
"430529","
(墓から)出てくるからである。すなわち、善いことをした者は(永遠の)命
にはいるために復活し、悪いことをした者は(死の)罰を受けるために復活する。"
"430530","
わたしは自分では何一つすることが出来ない。(ただ父上から)聞いたとおりに
裁く。だからわたしがする裁きは正しい。自分の考えでなく、わたしを遣わされた方の考
えを行おうとするからである。"
"430531","
(今わたしの裁きは正しいと言ったが、)もしわたしが自分で自分のことを証明
するのであったら、わたしの証明は信用できない。"
"430532","
わたしのことを証明してくださるお方はほかにあるのである。そしてわたしは、
わたしのことを証明されるその(方の)証明が、信用すべきであることを知っている。"
"430533","
しかし(それは、あなた達が考えるように洗礼者ヨハネではない。)あなた達は
ヨハネに使をやり、彼は(わたしが)真理(であること)について証明したが、"
"430534","
わたしは人間(ヨハネ)から証明してもらう必要はない。わたしがヨハネのこ
とを言うのは、ただあなた達が(彼の証明によりわたしを信じて)救われるためである。"
"430535","
ヨハネは(光ではないが、まことの光に導く)燃えて輝く明りであった。しか
しあなた達は(彼の言葉に従おうとせずに、)しばし彼の光にうち興じただけであった。"
"430536","
わたしには、ヨハネの証明よりも有力な証明がある。父上がわたしに成しとげ
させようとして賜った仕事、すなわちわたしがしている仕事そのものが、わたしが父上に
遣わされたことを証明してくれるからである。"
"430537","
その上、わたしを遣わされた父上御自身が、わたしのことを(聖書で)証明し
てくれるからである。(ところがあんなにはっきり書いてあるのに、)あなた達はいまだか
って父上の声を聞いたことも、姿を見たこともなく、
"430538","
また御言葉があなた達の心に留まっていない。父上の遣わされた者を信じない
のがその証拠だ。"
"430539","
あなた達は聖書(旧約)をもっていることが永遠の命を持っていることのよう
に思って、それを研究している。ところがこの聖書は、(永遠の命である)このわたしの
ことを証明しているのに、"
"430540","
あなた達はその命を得るためわたしの所に来ようとしない。"
"430541","
(こう言うのは、自分を認めてもらいたいからではない。)わたしは人間の名誉
などほしくない。"
"430542","
しかし(それをほしがる)あなた達は、心の中に神に対する愛を持たない。わ
たしはそれを知っている。"
"430543","
(その証拠には、)わたしが父上の権威で来たのに、あなた達はわたしを受けい
れず、だれかほかの人[偽救世主]が自分の権威で来れば、その人を受け入れるのである。
"
"430544","
互に(この世の)名誉をやり取りして、ただひとりの神からの名誉を求めない
あなた達が、どうして(わたしに対する)信仰をもつことが出来ようか。"
"430545","
(しかし)わたしが(最後の日に)あなた達を父上に訴えるなどと考えてはな
らない。いつも訴えている者がいる。あなた達が頼みとしているあのモーセである。"
"430546","
もしもあなた達がモーセ(の言うこと)を信じたら、わたしを信じたはずであ
る。モーセはわたしのことを書いているのだから。"
"430547","
しかし彼の書いたものを信じないなら、どうしてこのわたしの言葉を信ずるこ
とができようか。」"
"430601","
そののち、イエスはガリラヤ湖すなわちテベリヤ湖の向こう岸に行かれた。"
"430602","
多くの群衆がついて行った。病人に行なわれたかずかずの徴[奇蹟]を見たか
らである。"
"430603","
イエスは山にのぼって、弟子たちとそこにお坐りになった。"
"430604","
ユダヤ人の祭りである過越の祭が間近であった。"
"430605","
イエスは目をあげて、多くの群衆があつまって来るのを見ると、ピリポに言わ
れる、「どこからパンを買ってきて、この人たちに食べさせようか。」"
"430606","
こう言われるのはピリポを試すためで、自分ではどうするか、わかっておられ
た。"
"430607","
ピリポが答えた、「二百デナリ[十万円]のパンでも、みんなに少しずつも行き
渡らないでしょう。」"
"430608","
弟子の一人で、シモン・ペテロの兄弟のアンデレがイエスに言う、"
"430609","
「ここに大麦パン五つと魚二匹持っている青年がいますが、こんな大勢の人に
何の役に立ちましょう。」"
"430610","
イエスが言われた、「人々をすわらせなさい。」その場所には草がたくさんあっ
た。そこで人々がすわった。その数、男五千人ばかり。"
"430611","
するとイエスは(いつも家長がするように、)そのパンを手に取り、(神に)感
謝したのち、(裂いて、)坐っている人々に分け、魚も同じようにして、ほしいだけ分けて
おやりになった。"
"430612","
人々が腹一ぱい食べると、弟子たちに言われる、「余った(パンの)屑を集めな
さい、すこしもむだにならないように。」"
"430613","
そこで集めると、人々が食べのこした五つの大麦パンの屑で、十二の篭がいっ
ぱいになった。"
"430614","
人々はイエスが行われた徴[奇蹟]を見て、「確かにこの人は、世(の終り)に
来るあの預言者だ」と言った。"
"430615","
イエスは人々が来て、自分を(エルサレムに)攫って王にしようと計画してい
るのを知り、自分ひとり、またも山に引っ込まれた。"
"430616","
夕方になると、弟子たちは湖の岸に下って、"
"430617","
自分たちだけ舟に乗り、湖の向こう岸のカペナウムへ出かけた。もう暗くなっ
てしまったのに、イエスはまだもどって来ておられなかったのである。"
"430618","
湖は大風が吹いて荒れていた。"
"430619","
彼らは二十五か三十スタデオ[五キロか六キロ]ばかり漕ぎ出したとき、イエ
スが(あとから)湖の上を歩いて舟に近づいてこられるのを見て、こわくなった。"
"430620","
イエスが言われる、「わたしだ、こわがることはない。」"
"430621","
そこで舟に迎えようと思っていると、その暇もなく、舟は目的地についた。"
"430622","
あくる日、なお湖の向こう岸(すなわち東の岸)にのこっていた群衆は、(きの
うの夕方)そこには一艘のほか小舟がなく、しかもイエスはその舟に弟子たちと一しょに
乗らず、弟子たちだけがのって行ったことを知っていた。"
"430623","
(すると折りよく、)ほかの数艘の小舟がテベリヤから、主が感謝して人々にパ
ンを食べさせられた場所の近くに来た。"
"430624","
ところで群衆は、イエスも弟子たちもそこにいないことを知ると、イエスをさ
がしに、その小舟に乗ってカペナウムへ行った。"
"430625","
そして湖の向こう岸(すなわち西の岸)でイエスを見つけると、言った、「先生、
いつここにこられたのですか。」"
"430626","
イエスが答えられた、「アーメン、アーメン、わたしは言う、あなた達がわたし
をさがすのは、(パンの奇蹟でわたしが救世主である)徴を見たからでなく、パンを食べ
て満腹したからである。"
"430627","
(食べれば)無くなる食べ物のためでなく、いつまでもなくならずに、永遠の
命に至らせる食べ物のために働きなさい。これは人の子(わたし)があなた達に与えるの
である。神なる父上が、(これを与える)全権を人の子に授けられたのだから。」"
"430628","
すると人々がたずねた、「(それをいただくために)神の(御心にかなう)業を
するには、何をすればよいのでしょうか。」"
"430629","
イエスは答えられた、「神がお遣わしになった者を信ずること、これが(御心に
かなうただ一つの)神の業である。」"
"430630","
そこで彼らが言った、「ではあなたは、どんな徴をわたし達にして見せて、自分
を信じさせようとされるのですか。どんなことをされますか。"
"430631","
わたし達の先祖は、(モーセが天から降らせた)マナを荒野で食べました。(聖
書に)〃神は天からのパンを彼らに食べさせられた〃と書いてあるとおりです。(あなた
もモーセのような徴を見せてください。)」"
"430632","
そこでイエスは言われた、「アーメン、アーメン、わたしは言う、モーセが天か
らのパンをあなた達に与えたのではない。わたしの父上が、天からの本当のパンを与えら
れたのである。"
"430633","
神の(与えられる)パンは天から下ってきて、世に命を与えられるものである
から。」"
"430634","
彼らが言った、「主よ、(もしそうなら、)いつもそのパンを戴かせてください。」
"
"430635","
イエスが言われた、「わたしが命のパンである。わたしの所に来る者は決して飢
えない。わたしを信ずる者は決して二度と渇かない。"
"430636","
しかしわたしは(前に)『あなた達はわたしを見たのに、信じない』と言った。
"
"430637","
(だが、信じないのは父上の御心である。)父上がわたしに下さるものは皆、わ
たしの所に来、わたしの所に来る者を、わたしは決して放り出さない。"
"430638","
(放り出すわけがない。)わたしは、自分のしたいことをするために天から下っ
てきたのではない。わたしを遣わされた方の御心を行うためである。"
"430639","
そして、わたしに下さったものを一つも無くさず、最後の日にそれを復活させ
ること、これがわたしを遣わされた方の御心である。"
"430640","
子(なるわたし)を見て信ずる者が皆永遠の命を持ち、わたしがその人を最後
の日に復活させること、これがわたしの父上の御心であるから。(だから信じない者は、
父上がわたしに下さらない人たちである。)」"
"430641","
ユダヤ人はイエスが「わたしが天から下ってきたパンである」と言われたので、
彼のことをつぶやいて"
"430642","
言った、「この人はヨセフの子イエスで、わたし達はその父も母も知っているで
はないか。どうして今「わたしは天から下ってきた』と言うのだろう、」"
"430643","
イエスが答えられた、「つぶやき合うのをやめよ。"
"430644","
(わたしを信じないのは、父上が引っ張ってくださらないからだ。)わたしを遣
わされた父上が引っ張ってくださらなければ、だれもわたしの所に来ることはできない。
(しかし来れば、)わたしはその人をきっと最後の日に復活させる。"
"430645","
預言書に、〃(最後の日に)人は皆神に教えを受けるであろう〃と書いてある。
(そして神に引っ張られる者、すなわち本当に)父上に聞き、また学ぶ者は皆、わたしの
所に来る。"
"430646","
(聞き、学ぶと言っても、)これはだれかが父上を見たというのではない。神の
ところから来た者、(すなわちわたし)だけが、父上を見たのである。"
"430647","
アーメン、アーメン、わたしは言う、(わたしを)信ずる者は永遠の命を持つ。
"
"430648","
わたしが命のパンであるから。"
"430649","
あなた達の先祖は荒野でマナを食べたけれども、死んだ。(天から降って来たが、
永遠の命がないからだ。)"
"430650","
それを食べれば死なないもの、これが(本当に)天から下ってくるパンである。
"
"430651","
わたしが天から下ってきた、生きているパンである。このパンを食べる者は永
遠に生きる。わたしが与えるパンとは、わたしの肉である。世を生かすために、わたしは
これを(世に)与える。」"
"430652","
するとユダヤ人は、「この人は、どうして自分の肉をわたし達に食べさせること
ができようか」と言って互に議論をはじめた。"
"430653","
イエスが言われた、「アーメン、アーメン、わたしは言う、人の子(わたし)の
肉を食べず、その血を飲まねば、あなた達の中に命はない。"
"430654","
わたしの肉を食い、わたしの血を飲む者は、永遠の命を持つ。わたしはその人
を最後の日に復活させる。"
"430655","
わたしの肉は本当の食べ物、わたしの血は本当の飲み物だから。"
"430656","
わたしの肉を食いわたしの血を飲む者は、わたしに留まっており、わたしも彼
に留まっている。"
"430657","
生きておられる父上から遣わされたわたしが父上によって生きているように、
わたしを食う者も、わたしによって生きる。"
"430658","
これが天から下ってきたパンであって、先祖が食べて死んだ(あのマナの)よ
うなものではない。このパンを食う者は永遠に生きるであろう。」"
"430659","
これはカペナウムの礼拝堂で教えておられたときに、話されたものである。"
"430660","
するとこれを聞いて、弟子のうちに、「(自分の肉を食えとは、)これはひどい言
葉だ。誰が聞いておられよう」と言う者が大勢あった。。"
"430661","
イエスは弟子たちがそのことについて不満を抱いているのを見抜いて彼らに言
われた、「このことがあなた達をつまずかせるのか。"
"430662","
それなら、もし人の子(わたし)が(地上に下りてくる)前にいた所に上るの
を見たら、どうであろう。(そのときあなた達は、肉を食い血を飲むのが、霊の意味であっ
たことに気づくであろう。)"
"430663","
霊が命を与える。肉はなんの役にも立たない。いまわたしがあなた達に話した
言葉は、霊である。だから、命である。"
"430664","
しかしあなた達のうちには、信じていない者がすこしある。」イエスには、だれ
だれは信じない、だれは自分を敵に売ると、始めからわかっていたのである。"
"430665","
そして言われた、「だから『父上に許された者でなければ、だれもわたしの所に
来ることは出来ない』と言ったのだ。」"
"430666","
(このはげしい言葉の)ために、多くの弟子がはなれていって、もはやイエス
と一しょに歩かなくなった。"
"430667","
するとイエスが十二人(の弟子)に言われた、「まさか、あなた達まで離れよう
と思っているのではあるまいね。」"
"430668","
シモン・ペテロが答えた、「主よ、(あなたを離れて)だれの所に行きましょう。
永遠の命の言葉はあなただけがお持ちですから。"
"430669","
あなたこそ神の聖者(救世主)であると、わたし達は信じております。また知
っております。」"
"430670","
イエスが彼らに答えられた、「あなた達十二人を選んだのは、このわたしではな
かったのか。ところが、そのうち一人は悪魔だ!」"
"430671","
イエスはイスカリオテのシモンの子ユダのことを思っておられたのである。こ
の人は(あとで)イエスを売るべき人であったから。──十二人のうちの一人でありなが
ら。"
"430701","
そののち、イエスはガリラヤを巡回しておられた。ユダヤ人が殺そうとしてい
たので、ユダヤは巡回したくなかったのである。"
"430702","
しかしユダヤ人の仮庵の祭が近くなると、"
"430703","
イエスの兄弟たちが言った、「ここから移ってユダヤに行き、(今ここで)して
いる業を(そこの)弟子たちにも見せたらどうです。"
"430704","
世に認められようとする者が、隠れた所で事をする法はあるまい。こんな(え
らい)ことをしているのだから、(都に行って、)自分を世間に現わしたらどうです。」"
"430705","
兄弟たちも彼を信じなかったからである。(彼らはイエスの国がこの世のもので
ないことを知らなかった。)"
"430706","
イエスは兄弟たちに言われる、「わたしの(世にあらわれる)時はまだ来ていな
い。あなた達の時はいつでも準備ができている。(いつでもしたいことができるのだか
ら。)"
"430707","
この世はあなた達を憎むことはできないが、わたしを憎む。(あなた達はこの世
のものだが、)わたしはこの世の(ものではなく、この世の人々の)することを悪いとは
っきり言うからだ。"
"430708","
あなた達は祭りに上ったがよかろう。わたしはこの祭りには上らない。わたし
の時はまだ満ちていないのだから。」"
"430709","
こう言ってガリラヤに留まっておられた。"
"430710","
しかし兄弟たちが祭に上ると、自分もあとから上られた。──だが公然とでは
なく、いわば微行で。"
"430711","
祭りの時に、ユダヤ人(の役人たち)は「あれはどこにいるだろう」と言って、
イエスをさがした。(でも見つからなかった。)"
"430712","
イエスについて群衆の中にひそひそ話が盛んであった。「善い人だ」と言う者が
あり、「いや、民衆をまどわす者だ」と言う者があった。"
"430713","
それでもユダヤ人を恐れて、だれ一人おおっぴらに彼のことを話す者はなかった。
"
"430714","
祭がすでに半ばになったとき、(すなわち祭の四日目に、)イエスが宮に上って
教えておられると、"
"430715","
ユダヤ人は驚いて言った、「この人は学校に行ったこともないのに、どうして聖
書を知っているのだろうか。」"
"430716","
イエスは答えて言われた、「わたしの教えはわたしの教えではない。わたしを遣
わされた方の教えである。"
"430717","
その方の御心を行おうと決心する者には、わたしの教えが神から出たものか、
それともわたしが自分で勝手に話しているかがわかるであろう。"
"430718","
自分で勝手に話す者は、自分の名誉を求める。(そしてその言うことが偽りであ
る。)しかし自分を遣わされた方の言葉を語って、その方の名誉を求める者は、真実であ
り、(すこしも)偽りがない。"
"430719","
(いったい)あなた達に律法を与えたのはモーセではないか。しかしあなた達
のうちにだれ一人、その律法を守る者がない。(モーセ、モーセと言いながら、)なぜわた
しを殺そうとするのか。(モーセは『殺してはならない』と言っているではないか。)」
"430720","
群衆が答えた、「あなたは悪鬼につかれている。いったいだれがあなたを殺そう
としているのか。」"
"430721","
イエスは答えて言われた、「わたしが(この間安息日に三十八年の足なえを直す
という)一つの業をしたので、あなた達は皆驚いている。"
"430722","
(しかし驚くことはない。)モーセがあなた達のために割礼の制度を設けたので
──これは(実は)モーセから始まったのではなく、(大昔の)先祖(の時代)からであ
るが──あなた達は安息日にも人に割礼をほどこしている。"
"430723","
(割礼についての)モーセの律法を破るまいとして、人は安息日にも割礼を受
ける以上、わたしが安息日に人の全身を直したからとて、なにも腹を立てることはないで
はないか。(ことに割礼は、ただ体の一部分を健康にするだけであるのに!)"
"430724","
うわべで裁くな、(律法の精神を見て、)正しい裁きをせよ。」"
"430725","
するとエルサレムの人の中に、こう言った人々があった、「これはあの人たちが
殺そうとしている人ではないか。"
"430726","
あんなにおおっぴらに話しているのに、なんとも言う人がない。もしかしたら
(最高法院の)役人たちは、この人が救世主だと本当にわかったのではなかろうか。"
"430727","
でも(そんなわけがない。)わたし達はこの人がどこから来たか知っている。救
世主が来る時には、だれもどこから来るか知らないはずだから。」"
"430728","
すると宮で教えていたイエスは、こう言って叫ばれた、「なるほどあなた達はわ
たしを知っている。どこから来たかも知っている。だが、わたしは自分で勝手に来たので
はない。わたしを遣わされた真実な方がある。あなた達はその方を知らないが、"
"430729","
わたしは知っている。わたしはその方のところから来、その方から遣わされた
のだから。」"
"430730","
そこで(最高法院の)人々はイエスを捕えようとしたが、手をかける者はなか
った。彼の時がまだ来ていなかったからである。"
"430731","
しかし群衆のうちにイエスを信じたものが大ぜいあって、言った、「救世主が来
ても、この人がしたより多くの徴[奇蹟]をすることはできまいと思うが、どうだろう。」
"
"430732","
イエスについて、群衆がこんなひそひそ話をしているのがパリサイ人の耳に入
ったので、大祭司連とパリサイ人とはイエスを捕えようとして、下役らをやった。"
"430733","
するとイエスは言われた、「わたしはもうしばらくの間あなた達と一しょにいて、
それから、わたしを遣わされた方の所に行く。"
"430734","
(その時)あなた達はわたしをさがすが、見つからない。わたしがおる所に、
あなた達は来ることが出来ない(からだ)。」"
"430735","
するとユダヤ人が互いに言った、「この人は私たちに見つからないように、いっ
たいどこに行くつもりだろう。まさか異教人の中に離散しているユダヤ人のところに行っ
て、異教人に教えるつもりではあるまい。"
"430736","
『あなた達はわたしをさがすが、見つからない。わたしがおる所に、あなたた
ちは来ることが出来ない』と言ったあの言葉は、いったいどういう意味だろう。」"
"430737","
祭の最後の大祭の日に、イエスは立って叫ばれた、「渇く者はわたしの所に来て飲みなさい。"
"430738","
わたしを信ずる者は、聖書が言っているように、『そのお腹から、清水が川とな
って流れ出るであろう。』」"
"430739","
これは、彼を信ずる者が受けるべき御霊のことを言われたのである。イエスは
(その時)まだ栄光を受けておられなかったため、御霊がまだ下っていなかったからであ
る。(「であろう」と言われたのはそのためである。)"
"430740","
すると群衆のうちにこの言葉を聞いて、「確かにこの人は(世の終りに来る)あ
の預言者だ」と言う者があり、"
"430741","
「この人は救世主だ」と言う者もあり、また(反対して、)こう言う者もあった、
「ガリラヤから救世主が出るとでも言うのか。"
"430742","
『救世主は〃ダビデの末〃から、ダビデの住んでいた村〃ベツレヘムから出る
〃』と聖書が言っているではないか。」"
"430743","
そこで群衆の間に、イエスのことで意見が分かれた。"
"430744","
なかには彼を捕えようと思う者もあったが、手をかける者はなかった。"
"430745","
やがて下役らが(手ぶらで)かえって来ると、大祭司連とパリサイ人とが言っ
た、「なぜあれを引いてこなかったか。」"
"430746","
下役らが答えた、「あの人が話すように話した人は、いまだかつてありません。」
"
"430747","
パリサイ人が答えた、「君たちまでが迷わされたのではあるまいね。"
"430748","
(最高法院の)役人かパリサイ人のうちに、あれを信じた者がひとりでもある
というのか。"
"430749","
(信じたのは民衆だけだ。)律法(聖書)を知らないあんな民衆は、呪われたが
いい!」"
"430750","
そのうちの一人で、前に(夜ひそかに)イエスの所に来たニコデモが、彼らに
言う、"
"430751","
「われわれの律法は、まずその人に(言い分を)聞き、そのしたことを知った
上でなければ、罰しないことになっているではないか。」"
"430752","
彼らは答えて言った、「あなたまでがガリラヤから出たわけではあるまいに。
(聖書をよく)調べてみなさい。ガリラヤからは預言者があらわれないことがわかろう。」
"
"430753","人々はそれぞれ家にかえったが、"
"430801","
イエスはオリブ山に行かれた。"
"430802","
次の朝早く、また宮に行かれると、人々が皆あつまってきたので、座って教え
ておられた。"
"430803","
すると聖書学者とパリサイ人とが、姦淫の現行犯を押えられた女をつれてきた。
みんなの真中に立たせて、"
"430804","
イエスに言う、「先生、この女は姦淫の現場を押えられたのです。"
"430805","
モーセは律法で、このような女を石で打ち殺すように命じていますが、あなた
はなんと言われますか。」"
"430806","
こう言ったのは、イエスを試して、訴え出る口実を見つけるためであった。イ
エスは身をかがめて、黙って指で地の上に何か書いておられた。"
"430807","
しかし彼らがしつこく尋ねていると、身を起こして言われた、「あなた達の中で
罪(をおかしたこと)のない者が、まずこの女に石を投げつけよ。」"
"430808","
そしてまた身をかがめて、地の上に何か書いておられた。"
"430809","
これを聞くと、彼らは皆(良心に責められ、)老人を始めとして、ひとりびとり
出ていって、(最後に)ただイエスと、真中に立ったままの女とが残った。"
"430810","
イエスは身を起こして女に言われた、「女の人、あの人たちはどこにいるのか。
だれもあなたを罰しなかったのか。」"
"430811","
「主よ、だれも」と女がこたえた。イエスが言われた、「わたしも罰しない。お
かえり。今からはもう罪を犯さないように。」"
"430812","
(同じ大祭の日に、)イエスはまた人々に語られた、「わたしが世の光である。
わたしに従う者は、決して暗やみを歩かない。そればかりか、命への光を持つことができ
る。」"
"430813","
パリサイ人が言った、「あなたは自分で自分のことを証明しているから、あなた
の証明は信用できない。」"
"430814","
イエスは答えて言われた、「たとえ自分で自分のことを証明しても、わたしの証
明は信用すべきである。わたしは自分がどこから来たか、どこに行くかを知っているのだ
から。(わたしは父上のところから来たので、父上がなんでも教えてくださるのである。)
しかしあなたたちはわたしがどこから来て、どこに行くか知らない。"
"430815","
あなた達は人間的に(目に見えるもので)裁くが、わたしはだれも裁かない。"
"430816","
しかしたとえ裁いても、わたしの裁きは真実である。わたしはひとりではなく、
わたしと、わたしを遣わされた方と(二人)であるから。"
"430817","
あなた達の律法にも、『二人の証言は信用すべきである』と書いてあるではない
か。"
"430818","
わたしがわたし自身の証明者である。その上、わたしを遣わされた父上がわた
しのことを証明してくださる。」"
"430819","
パリサイ人が言った、「あなたの父はどこにいるのか。」イエスは答えられた、
「あなた達にはわたしをも、わたしの父上もわかっていない。もしもわたしがわかれば、
わたしの父上もわかるはずである。」"
"430820","
これらの言葉を、イエスは宮で教えられるとき、宝物部屋のわきで話された。
しかし捕える者はなかった。彼の時がまだ来ていなかったからである。"
"430821","
するとまた(くりかえして)彼らに言われた、「わたしはわたしを遣わされた方
の所に行く。(その時)あなた達はわたしをさがすが、(もはや会うことができず、)自分
の罪のうちに死ぬであろう。わたしの行く所に、あなた達は来ることが出来ない(から
だ)。」"
"430822","
ユダヤ人たちが言った、「『わたしの行く所に、あなた達は来ることはできない』
と言うが、まさか自殺するつもりではあるまい。」"
"430823","
彼らに言われた、「あなた達は下から出た者であるが、わたしは上から出た者で
ある。あなた達は(罪の)この世から出た者であるが、わたしはこの世から出た者ではな
い。"
"430824","
だから『あなた達は自分の罪のうちに死ぬであろう』と言ったのだ。あなた達
は、わたしがそれ(救世主)であることを信じなければ、自分の罪のうちに死ぬからであ
る。」"
"430825","
すると彼らが言った、「あなたはだれですか。」イエスが言われた、「いったいい
まさらあなた達に何を言おうか、"
"430826","
あなた達について言うべきこと、裁くべきことが沢山あるにはあるが。(言って
もなんの役にも立つまい。)それでもわたしを遣わされた方は真実であるから、わたしも
その方から聞いたことを、この世に語らないわけにゆかない。(あなた達がわかってもわ
からなくても。)」"
"430827","
しかし彼らには、これが(神なる)父上のことをいっておられることがわから
なかった。"
"430828","
そこでイエスが言われた、「あなた達は人の子(わたし)を十字架に挙げた時に
はじめて、わたしがそれであること、また、わたしが自分では何もせず、ただ父上に教え
られたままを語っていたことを知るだろう。"
"430829","
わたしを遣わされた方は(いつも)一しょにいてくださって、わたしを独りぼ
っちにされたことはない。わたしはいつもその方のお気に召すことをするからだ。」"
"430830","
こう話されると、多くの人がイエスを信じた。"
"430831","
すると信じたユダヤ人に言われた、「もしわたしの言葉に留まっておれば、あな
た達は本当にわたしの弟子である。"
"430832","
真理を知り、その真理があなた達を自由にするであろう。」"
"430833","
しかし彼らは(その意味がわからずに)答えた、「わたし達はアブラハムの子孫
で(自由人で)ある。いまだかつてだれの奴隷にもなったことはない。どうして『あなた
達は自由になる』と言われるのか。」"
"430834","
イエスは答えられた、「アーメン、アーメン、わたしは言う、罪を犯す者は皆罪
の奴隷である。"
"430835","
奴隷はいつまでも家におるわけにゆかない。(いつでも追い出される。しかし)
子はいつまでも家におる。
"430836","
だから、もし子(たるわたし)が(罪から)自由にしてやれば、あなた達は本
当に自由になるのである。(そしていつまでも父上のところにおることができる。)"
"430837","
あなた達がアブラハムの子孫であることをわたしは知っている。ところがあな
た達は(わたしを信ずるには信じたが、)わたしを殺そうとしている。(それは当然だ。)
わたしの言葉が、あなた達の(心の)中で根を張らないのだから。"
"430838","
わたしは父上のところで見たことを語り、あなた達も同じく(自分の)父から
聞いたことをする。」"
"430839","
彼らが答えて言った、「われわれの父はアブラハムだ。」イエスが言われる、「も
しアブラハムの子供なら、アブラハムの(子供らしく、アブラハムと同じ)行いをするは
ずだ。"
"430840","
ところがあなた達は、今わたしを殺そうとしている。神から聞いた真理を語っ
ているこの人間を!アブラハムはそんなことはしなかった。"
"430841","
あなた達は自分の父の行いをしている。」彼らが言った、「われわれ(ユダヤ人)
は、(異教人のように)不品行(偶像礼拝)によって生まれたのではない。われわれの父
はただ一人、神である。」"
"430842","
イエスは言われた、「もしも神があなた達の父であったら、あなた達はわたしを
愛するはずである、わたしは神から出て、(ここに)来ているのだから。わたしは自分で
勝手に来たのではない、神がわたしを遣わされたのである。"
"430843","
なぜわたしの言葉が通じないのだろうか。(神から委ねられた)わたしの福音を
聞く耳がないからだ。"
"430844","
(そのはずである。)あなた達は悪魔なる父の子で、父と同じ欲望を遂げようと
思っているのだ。(人殺しをし、嘘をつくのは、そのためである。)悪魔は始めから人殺し
である。(また嘘つきで、)真理に立ってない。彼の中には真理がないからである。だから
彼は嘘をつく度ごとに、その本性を表しているのである。嘘つきで、嘘の父だからだ。"
"430845","
ところがわたしは真理を言うので、あなた達はわたし(の言うこと)を信じな
い。"
"430846","
あなた達のうち、だれがわたしに罪があることを立証できるか。真理を言って
いるのに、なぜわたし(の言うこと)を信じないか。"
"430847","
神から出た者は(わたしが話す)神の言葉に聞き従う。あなた達は神から出た
のでないから、(わたしの言葉に)従わないのである。」"
"430848","
ユダヤ人は答えて言った、「『君はサマリヤ人だ、悪鬼につかれている』とわれ
われが言うのは、ほんとうではないか。」"
"430849","
イエスが答えられた、「悪鬼につかれてはいない。その証拠に、わたしは父上を
敬っている。それであるのにあなた達は、(『悪鬼につかれている』と言って)わたしを侮
辱する。"
"430850","
しかしわたしは自分の名誉を求めない。(だからそんなことはなんでもない。た
だわたしのために)これを求め、(わたしを侮辱する者をかならず)裁く方である。"
"430851","
アーメン、アーメン、わたしは言う、わたしの言葉を守る者は(わたしに名誉
を帰する者で、決して裁かれない。だから)永遠に死なない。」"
"430852","
ユダヤ人が言った、「今こそ悪鬼につかれていることが(はっきり)わかった。
アブラハムも死に、預言者たちも死んだのに、君は『わたしの言葉を守る者は永遠に死な
ない』と言う。"
"430853","
君はまさか、われわれの父アブラハムよりもえらいというのではあるまい。ア
ブラハムは死んだではないか。また預言者たちも死んだのに、いったい君は、自分を何だ
と思っているのか。」"
"430854","
イエスが答えられた、「もしわたしが自分に栄光を帰するなら、そんな栄光はな
んにもならない。わたしに栄光を下さるのはわたしの父上で、あなた達が『われわれの神
だ』と言っている方である。"
"430855","
あなた達はその方を知らない。わたしは知っている。もしわたしが『知らない』
と言えば、あなた達と同じく嘘つきになろう。わたしはその方を知っており、またその言
葉を守っている(からだ)。"
"430856","
あなた達の父アブラハムは、生きてわたしの日、(わたしが来て神の契約を成就
するその日)を見ることを、楽しみにしていた。そして(実際)それを見て、喜んだ。」"
"430857","
するとユダヤ人がイエスに言った、「君はまだ五十にもならないのに、アブラハ
ムに会ったのか。」"
"430858","
イエスは言われた、「アーメン、アーメン、わたしは言う、アブラハムが生まれ
る前から、わたしはいたのだ。」"
"430859","
すると彼らは、(自分を神と同じにすると言って、)石を取ってイエスに投げつ
けようとしたが、イエスは身を隠して、宮から出てゆかれた。"
"430901","
イエスは通りがかりに、生まれつきの盲人を見られた。"
"430902","
弟子たちが尋ねた、「先生、この人が盲で生まれたのは、だれが罪を犯したから
ですか。この人ですか、両親ですか。」"
"430903","
イエスは答えられた、「この人が罪を犯したからでも、両親が罪を犯したからで
もない。ただ神の御業がこの人に現われるためである。"
"430904","
わたし達はわたしを遣わされた方の御業を昼の間にせねばならない。(すぐ)夜
が来る。するとだれも働けなくなる。"
"430905","
世におる間、わたしは世の光である。」"
"430906","
こう言って地に唾をはき、唾で泥をつくり、その泥を盲人の目に塗って、"
"430907","
言われた、「行って、シロアム池で洗いなさい。」(シロアムは訳すると「遣わさ
れた者」。)そこで盲人は行って、洗って、見えるようになって、かえって行った。"
"430908","
近所の人や、彼が乞食であったのを前に見ていた人たちは、「これは坐って乞食
をしていた男ではないか」と言った。"
"430909","
「あの男だ」と言う者もあれば、「いや、似ているだけだ」と言う者もあった。
本人は「たしかにわたしです」と言った。"
"430910","
すると人々がたずねた、「では、どうして目があいたのか。」"
"430911","
答えた、「あのイエスという方が、泥をつくってわたしの目に塗りつけ、『シロ
アムに行って洗いなさい』と言われた。そこで行って洗うと、見えるようになったのです。」
"
"430912","
人々が「その人はどこにおるか」とたずねた。「知りません」と言う。"
"430913","
人々がもと盲のその男を、(最高法院の)パリサイ人たちの所につれてゆく。"
"430914","
イエスが泥をつくって目をあけられた日は安息日(で、モーセ律法違反)だっ
たのである。"
"430915","
パリサイ人もふたたび、どうして見えるようになったかと尋ねた。彼がこたえ
た、「あの方が目に泥を塗ってくださったので、洗ったところ、こんなに見えるのです。」"
"430916","
するとパリサイ人の間に、「あれは神のところから来た人ではない、安息日を守
らないから」と言う者と、「(いや、神からだ。)罪の人間に、どうしてこんな徴[奇跡]
をすることが出来よう」と言う者があって、意見が分れた。"
"430917","
そこで、また盲人に言う、「君はいったいあの人を何と考える、君の目をあけた
のだが。」「預言者です」と彼が言った。"
"430918","
ユダヤ人は、彼が盲であったのに、見えるようになったことをまだ信ぜず、つ
いに、見えるようになった男の両親を呼んで"
"430919","
尋ねた、「これは確かにあなた達の息子で、あなた達が言うように盲で生まれた
のか。それなら、どうしていま見えるのか。」"
"430920","
両親が答えて言った、「これがわたし達の息子で、盲で生まれたことは知ってい
るが、"
"430921","
どうして今見えるのか、わかりません。また、だれが目をあけたのかも、わた
し達は知りません。あれに聞いてください。もう大人だから、自分のことは自分で話すで
しょう。」"
"430922","
両親がこう言ったのは、ユダヤ人を恐れたのである。ユダヤ人は、イエスを公
然救世主と認める者があれば、礼拝堂追放にすることを、すでに決議していたからである。
"
"430923","
両親が、「もう大人だから、あれに聞いてください」と言ったのは、このためで
ある。"
"430924","
そこでユダヤ人は、盲であった男をもう一度呼んで言った、「本当のことを言う
ように!あの人が罪人であることは、われわれにはよくわかっている(のだから。)」"
"430925","
彼が答えた、「罪人かどうか知りません。ただ、(もと)盲であったわたしが、
いまは見えるという、この一つのことだけ知っています。」"
"430926","
そこでユダヤ人が言った、「あの人は君に何をしたのか。どんなにして君の目を
あけたのか。」"
"430927","
彼らに答えた、「もう言いました。それを聞かずにおいて、何をもう一度聞こう
とされるのです。あなた達もあの方の弟子になりたいのですか。」"
"430928","
すると彼を罵って言った、「君はあれの弟子、われわれはモーセの弟子だ。"
"430929","
神がモーセと話をされたことは知っているが、あれはどこの馬の骨だか知らな
い。」"
"430930","
その男が答えて言った、「どこの馬の骨だか知らないとは、こいつは不思議だ。
(現に)このわたしの目をあけてくださったのに!"
"430931","
神は罪人の言うことはお聞きにならないが、信心深くて御心を行う者の言うこ
となら、(なんでも)聞いてくださることをわたし達は(皆)知っているではないですか。
"
"430932","
開闢以来、(ただの)人間で、盲で生まれた者の目をあけたなどと、聞いたこと
がない。"
"430933","
もしあの方が神のところから来たのでなかったら、なんにも出来なかったはず
です。」"
"430934","
彼らも負けずに言った、「罪だらけで生まれたお前が、このわれわれを教えるの
か。」そして彼を(礼拝堂)追放にした。"
"430935","
イエスは彼が追放されたと聞いて、出合ったときに言われた、「あなたは人の子
を信ずるか。」"
"430936","
彼が答えた、「主よ、人の子とはだれのことですか。(教えてください。)信じた
いのです。」"
"430937","
イエスが言われた、「あなたはもうその人に会った。いや、あなたと話している
のが、その人だ。」"
"430938","
すると「主よ、信じます」と言って、イエスをおがんだ。"
"430939","
イエスは言われた、「わたしは裁きのためにこの世に来たのだ。・・盲が目明き
に、目明きが盲になるために!」"
"430940","
イエスと一しょにいたパリサイ人たちがこれを聞いて、彼に言った、「まさか、
このわれわれも盲だというのではあるまい。」"
"430941","
イエスが言われた、「盲だったら、罪はなかった。たが今、『見える』と言うか
ら、あなた達の罪はいつまでもなくならない。(光に来ようとしないのだから。)"
"431001","
アーメン、アーメン、あなた達に言う、羊の檻に入るのに、門を通らず、ほか
の所を乗り越えてくる者は、泥坊である、強盗である。"
"431002","
門を通って入る者が、(ほんとうの)羊飼である。"
"431003","
羊飼には門番が(門を)あけてやり、羊はその声を聞き分ける。羊飼は一匹一
匹、自分の羊の名を呼んで(檻から)つれだし、"
"431004","
自分の羊を皆出すと、その先に立って歩く。羊はその声を知っているので、あ
とについて行く。"
"431005","
しかしほかの人には決してついて行かない、かえって逃げる。ほかの人たちの
声を知らないからである。」"
"431006","
イエスはこの譬をパリサイ人に話されたが、彼らは何を話されているのかわか
らなかった。"
"431007","
そこでイエスはまた話された、「アーメン、アーメン、わたしは言う、わたしが
羊への門である。(羊飼はわたしを通らずに、羊に近づくことはできない。)"
"431008","
(わたしより)前に来た者は皆(羊飼でなく、)泥坊であり、強盗である。羊は
彼らの言うことを聞かなかった。"
"431009","
(また、)わたしが(羊の出入りするための)門である。わたしを通って入る者
(羊)は救われる。(いつもこの門を)入ったり出たりして、牧草を得るであろう。"
"431010","
泥棒が来るのは、ただ(羊を)盗み、殺し、滅ぼすだけのためである。わたし
は(羊に)命を持たせるため、あり余るほど(の命を)持たせるために来たのである。"
"431011","
わたしが良い羊飼である。良い羊飼は羊のために命を捨てる。"
"431012","
(本当の)羊飼でない雇人(である羊飼)は、羊が自分のものでないので、狼
が来るのを見ると、羊をすてて逃げる。・・すると狼は羊を奪い、また追い散らすのであ
る。・・"
"431013","
雇人であって、羊のことなどどうでもよいからである。"
"431014","
わたしが良い羊飼である。わたしはわたしの羊を知っており、わたしの羊もわ
たしを知っている。"
"431015","
父上がわたしを知っておられ、わたしが父上を知っているのと同じである。そ
してわたしは羊のために命を捨てる。"
"431016","
・・なおわたしには、この檻のものでない、ほかの羊がある。(彼らはまだ野山
をさまよっている。)わたしはそれをも導いてやらねばならない。彼らはわたしの声を聞
きわけ、かくて群一つ、羊飼一人となるであろう。・・"
"431017","
だから父上はわたしを愛してくださる。(羊のために)命を捨てるからである。
しかしわたしが捨てるのは、(まことの命として)ふたたび取るためである。"
"431018","
だれもわたしから(力ずくで)命を取り上げることはできない。わたしが自分
で(自由に)捨てるのである。わたしにはこれを捨てる権利があり、ふたたびこれを取る
権利がある。(命を捨て、また取る)この命令を、わたしは父上から受けた。」"
"431019","
(イエスの)これらの言葉によって、ユダヤ人の間にまたもや意見が分れた。"
"431020","
そのうち多くの者は、「あの人は悪鬼につかれて、気が狂っている。どうしてあ
なた達はあんな人の話を聞くのか」と言い、"
"431021","
またこう言う者もあった、「悪鬼につかれた者にあんな話はできない。悪鬼に盲
人の目をあけることが出来ようか。」"
"431022","
そのあと・・(仮庵の祭の二か月後)・・エルサレムに宮清めの祭があった。時
は冬であった。"
"431023","
イエスが宮でソロモンの回廊を歩いておられると、"
"431024","
ユダヤ人が彼を取り囲んで言った、「いつまで気をもませるのです。救世主なら
(救世主だと、)はっきり言ってください。」"
"431025","
イエスは答えられた、「言ったが、信じないではないか。父上の言いつけでわた
しがしているその業が、わたしのことを証明している。"
"431026","
だが、あなた達は信じない。わたしの羊でないからだ。"
"431027","
わたしの羊はわたしの声を聞きわける。わたしは彼らを知っており、彼らはわ
たしについて来る。"
"431028","
するとわたしが永遠の命を与え、彼らは永遠に滅びない。また彼らをわたしの
手から奪い取る者はない。"
"431029","
(というのは、彼らを)わたしに下さった父上はすべての者より強いので、
(彼らを)父上の手から奪い取ることの出来る者はだれもなく、"
"431030","
しかもわたしと父上とは一つである(からだ)。」"
"431031","
これを聞くと、またもやユダヤ人は、イエスを石で打ち殺そうとして(外から)
石を持ってきた。"
"431032","
するとイエスは言われた、「わたしは父上の(命令による)善い業を沢山あなた
達にして見せたが、そのうちのどの業のために、わたしを石で打ち殺すのか。」"
"431033","
ユダヤ人が答えた、「善い業のために石で打ち殺すのではない、冒涜のためだ。
君が人間の分際で、神様気取りでいるからだ。」"              
"431034","
イエスが答えられた、「あなた達の律法[聖書]に、〃あなた達は神だ、とわた
しは言った〃と書いてあるではないか。"
"431035","
神はこの言葉をたまわった人たち(すなわち御自分に代って裁判をする者)を、
神と言われたのであるから・・聖書がすたれることはあり得ないので・・"
"431036","
(まして)父上が聖別して世に遣わされた者(であるわたし)が、『わたしは神
の子だ』と言ったからとて、どうしてあなた達はそれを『冒涜だ』と言うのか。"
"431037","
もしわたしが父上の業をしていないなら、わたしを信ぜずともよろしい。"
"431038","
しかしもし、しているなら、わたし(の言葉)を信ぜずとも、その業(が父上
の業であること)を信ぜよ。そうすれば(父上とわたしとが一つで、)父上がわたしの中
に、わたしが父上の中におることを、知りまた知るであろう。」"
"431039","
そこで彼らはまたイエスを捕えようとしたが、その手から抜け出された。"
"431040","
またヨルダン川の向こうの、最初ヨハネが洗礼を授けていた場所に行って、し
ばらくそこにおられた。"
"431041","
大勢の人があつまって来て、「ヨハネは何一つ徴[奇蹟]を行わなかったが、こ
の方についてヨハネの言ったことは全部本当だった」と言った。"
"431042","
そこで大勢の人がイエスを信じた。"
"431101","
さて、ラザロというひとりの病人があった。マリヤとその姉妹マルタとの村、
ベタニヤの人である。"
"431102","
このマリヤは主に香油を塗り、髪の毛で御足をふいた女であるが、病気であっ
たラザロはその兄弟であった。"
"431103","
マリヤとマルタとはイエスに使をやって、「主よ、大変です。あなたの可愛がっ
ておられる人が病気です」と言わせた。"
"431104","
イエスは聞いて言われた、「これは死ぬための病気ではない。神の栄光のためで
ある。すなわち(神の栄光をあらわすために、)神の子(わたし)がこれによって栄光を
受けるためである。」"
"431105","
イエスはマルタとその姉妹ラザロとを愛しておられた。"
"431106","
ところでイエスはラザロが病気と聞かれると、おられたところに(なお)二日
留っていて、"
"431107","
そのあとで弟子たちに、「もう一度ユダヤに行こう」と言われた。"
"431108","
弟子たちが言う、「先生、ついこの間もユダヤ人があなたを石で打ち殺そうとし
たのに、またそこに行かれるのですか。」"
"431109","
イエスが答えられた、「(心配するな。わたしが神に命ぜられた務を果す時まで
は、だれもわたしに手を下すことはできない。)昼間は十二時間あるではないか。人は昼
間歩けば、つまづくことはない。この世の光(太陽)が照らしているからだ。"
"431110","
しかし夜歩けば、つまづく。その人の中に(心を照らす)光がないからである。
"
"431111","
こう話して、またそのあとで言われる、「わたし達の友人ラザロが眠った。目を
さましに行ってやろう。」"
"431112","
弟子たちが言った、「主よ、眠ったなら(きっと)助かりましょう。(眠る病人
はなおると言います。起さない方がよいでしょう。)」"
"431113","
イエスはラザロが死んだことを言われたのに、弟子たちは安眠していることを
言われるものと思ったのである。"
"431114","
そこでイエスが今度ははっきり言われた、「ラザロは死んだのだ。"
"431115","
わたしがそこにいなかったことを、あなた達のために喜ぶ。あなた達の信仰を
強めることができるからだ。さあ、ラザロの所に行こう。」"
"431116","
するとトマスすなわち(ギリシヤ語で)デドモ(二子)が相弟子たちに言った、
「(主の命があぶない。)わたし達も行って、主と一しょに死のう。」"
"431117","
さてイエスが(ベタニヤに)行って見られると、ラザロはもう四日も墓の中に
あった。"
"431118","
ベタニヤはエルサレムの近くで、十五スタデオ(三キロ)ばかり離れていた。"
"431119","
マルタとマリヤの所には、大勢のユダヤ人がラザロの悔やみに来ていた。"
"431120","
マルタは、イエスが来られると聞くと出迎えにいったが、マリヤは家に坐って
いた。"
"431121","
マルタがイエスに言った、「主よ、あなたがここにいてくださったら、わたしの
兄弟は死ななかったでしょうに。"
"431122","
しかしあなたがお願いになることなら、神様は何でもかなえてくださることを、
わたしは今でも知っています。」"
"431123","
イエスは言われる、「あなたの兄弟は生き返る。」"
"431124","
マルタが言う、「最後の日の復活の時に生き返ることは、知っています。」"
"431125","
イエスがマルタに言われた、「わたしが復活だ、命だ。(だから)わたしを信じてい
る者は、死んでも生きている。"
"431126","
また、だれでも生きてわたしを信じている者は、永遠に死なない。このことが
信じられるか。」"
"431127","
イエスに言う、「はい、主よ、(信じます。)あなたが救世主で、神の子で、世に
来るべき方であると、私は信じています。」"
"431128","
こう言ったのち、マルタは行って姉妹のマリヤを呼び、「先生が来て、あなたを
呼んでおられる」とささやいた。"
"431129","
これを聞くとマリヤは、急いで立ち上がってイエスの所に行った。"
"431130","
イエスはまだ村に入らず、マルタが出迎えたさっきの場所におられた。"
"431131","
マリヤと一しょに家にいて慰めていたユダヤ人たちは、マリヤが急に立って出
て行くのを見ると、墓に泣きに行くものと思って、あとについて行った。"
"431132","
マリヤはイエスのおられる所に来ると、イエスを見るなり、足もとにひれ伏し
て言った、「主よ、あなたがここにいてくださったら、わたしの・・わたしの兄弟は死な
なかったでしょうに。」"
"431133","
イエスはマリヤが泣き、一しょに来たユダヤ人たちも泣くのを見ると、(その不
信仰を)心に憤り、かつ興奮して、"
"431134","
(マルタとマリヤに)言われた、「どこにラザロを納めたか。」二人が言う、「主
よ、来て、御覧ください。」"
"431135","
イエスが涙を流された。"
"431136","
するとユダヤ人たちが言った、「まあ、なんとラザロを可愛がっておられること
だろう!」"
"431137","
しかし中には、「盲人の目をあけたこの人にも、このラザロが死なないように出
来なかったのか」と言う者もあった。"
"431138","
そこでイエスはまたも心に憤りながら、(ラザロの)墓に来られる。墓は洞穴で、
入口に石を置いて(ふさいで)あった。"
"431139","
「石をのけなさい」とイエスが言われる。死んだ人の姉妹のマルタが言う、
「主よ、もう臭くなっています。四日目ですから。」"
"431140","
イエスがマルタに言われる、「信ずれば神の栄光が見られると、(さきほども)
あなたに言ったではないか。」"
"431141","
人々が石をのけた。するとイエスは目を天に向けて言われた、「お父様、(まだ
お願いしないのに、もう)わたしの願いを聞いてくださったことを感謝します。"
"431142","
(願わずとも)あなたはいつもわたしの願いを聞いてくださることを、わたし
はよく知っております。しかしまわりに立っている人たちのために、(今わざと声を出し
て感謝を)申したのであります。(わたしの願いはなんでもきかれることを彼らに示し
て、)あなたがわたしを遣わされたことを信じさせるためであります。」"
"431143","
こう言ったのち、大声で、「ラザロ、出て来い」と叫ばれた。"
"431144","
死人が手足を包帯で巻かれたまま、(墓から)出てきた。顔は手拭で包まれてい
た。イエスは「解いてやって(家に)帰らせなさい」と人々に言われた。"
"431145","
すると、マリヤの所に来てイエスのされたことを見たユダヤ人のうち、多くの
者は彼を信じた。"
"431146","
しかし中には(彼を信ぜず、)パリサイ人の所に行って、イエスのされたことを
あれこれと報告した者もすこしあった。"
"431147","
そこで大祭司連とパリサイ人は最高法院を召集して言った、「どうすればよいだ
ろう、あの男はたくさん徴[奇蹟]をしているのだが。"
"431148","
もしこのまま放っておけば、皆があれを信じ(て王に祭り上げ)るであろう。
すると騒動が起り、ローマ人が来て、われわれから(エルサレムの)都も国民も、取って
しまうにちがいない。」"
"431149","
するとそのうちのひとりで、その年の大祭司であったカヤパが言った、「諸君は
何もお解りにならない。"
"431150","
また、一人の人が民(全体)に代って死んで全国民が滅びない方が、諸君にと
って得であることも考えておられない。」"
"431151","
しかしこれは、カヤパが自分から言ったのではない。その年の大祭司であった
彼は、イエスが国民のために死なねばならぬことを、(自分ではそれと気付かずに、神の
預言者として)預言したのである。"
"431152","
──ただ、(ユダヤ)国民のためだけでなく、(世界中に)散らばっている(今
はまだ異教人である)神の子たちを、一つに集めるために。"
"431153","
そこで彼らはその日以来、イエスを殺す決意をしていた。"
"431154","
それでイエスは、もはや公然とユダヤ人の中を歩きまわることをせず、そこを
去って荒野に近い地方のエフライムという町に行き、弟子たちと一しょにそこにおられた。
"
"431155","
ユダヤ人の過越の祭が近づいた。多くの人が(律法に従って)身を清めるため、
過越の祭の前(すこし早目)に、地方からエルサレムに上ってきた。"
"431156","
彼らはイエスをさがし、(いつものように宮に姿が見えないので、)宮(の庭)
に立って語り合った、「どう思うか、あの人はとてもこの祭には来ないだろう。」"
"431157","
大祭司連とパリサイ人たちは、イエスの居所を知っている者は届け出るように
と、命令を出していた。イエスを捕えるためであった。"
"431201","
イエスは過越の祭の六日前に(また)ベタニヤに行かれた。ここにはイエスが
死人の中から生きかえらせたラザロがいた。"
"431202","
するとそこでイエスのために宴会が催され、マルタは給仕をし、ラザロは相伴
客の一人であった。"
"431203","
そのときマリヤは混ぜ物のない、非常に高価なナルドの香油一リトラ(三百二
十八グラム)をイエスの足に塗り、髪の毛でそれをふいた。香油の薫が家に満ちた。"
"431204","
弟子の一人で、イエスを売るイスカリオテのユダが言う、"
"431205","
「なぜこの香油を三百デナリ(十五万円)に売って、貧乏な人に施さないのだ
ろうか。」"
"431206","
ユダがこう言ったのは、貧乏な人のためを考えたのではなく、(会計係であっ
た)彼は泥坊で、あずかっている金箱の中に入るものをごまかしていたからであった。"
"431207","
イエスは言われた、「構わずに、わたしの埋葬の日のためにそうさせておきなさ
い。"
"431208","
貧乏な人はいつもあなた達と一しょにいるが、わたしはいつも一しょにいるわ
けではないのだから。」"
"431209","
するとイエスがそこに来ておられることを知って、大勢のユダヤ人があつまっ
て来た。それはイエスのためばかりでなく、イエスが死人の中から生きかえらせたラザロ
をも見ようとしたのであった。"
"431210","
そこで大祭司連はラザロをも殺す決意をした。"
"431211","
彼のことで多くのユダヤ人がだんだん離れていって、イエスを信じたからであ
る。"
"431212","
あくる日、祭に来ていた大勢の群衆は、イエスがエルサレムに来られると聞く
と、"
"431213","
(手に手に)棗椰子の枝を持って、(町から)迎えに出てきた。彼らは叫んだ。
──〃ホサナ!、主の御名にて来られる方に祝福あれ、〃イスラエルの王に!、"
"431214","
イエスは小さな驢馬を見つけて、それに乗られた。(預言書に)書いてあるとお
りである。──"
"431215","
〃恐れるな、〃〃シオンの娘よ、見よ、あなたの王が来られる、驢馬の子に乗
って。〃"
"431216","
弟子たちは初めこのことがわからなかったが、イエスが(復活して)栄光を受
けられた時にはじめてこれはイエスのことを書いたもので、人々がこれを(預言どおり)
彼にしたのであることに気づいた。"
"431217","
また、イエスがラザロを墓から呼び出して死人の中から生きかえらせた時に居
合わせた人々は、そのことを証しした。"
"431218","
(今)群衆が出迎えたのは、イエスがこんな徴[奇蹟]をされたことを(その
人たちに)聞いたからである。"
"431219","
そこでパリサイ人が互に言った、「見ろ、何もかもだめだ。世界中があんなに、
あの男のあとについて行ってしまった。」"
"431220","
この祭にお参りするため上ってきた人たちの中に、数人の(改宗した)異教人
があった。"
"431221","
ガリラヤのベッサイダの人ピリポの所に来て、こう言って頼んだ、「君、イエス
にお会いしたいのですが。」"
"431222","
ピリポは行ってアンデレに話し、アンデレはピリポと行ってイエスに話した。"
"431223","
するとイエスは(非常に感動して)二人に答えられる、「人の子(わたし)が栄
光を受ける時がついに来た。"
"431224","
アーメン、アーメン、わたしは言う、一粒の麦は、地に落ちて死なねば、いつ
までもただの一粒である。しかし死ねば、多くの実を結ぶ。(だからわたしは命をすてる。)
"
"431225","(この世の)命をかわいがる者は(永遠の)命を失い、この世で命を憎む者
は、命を守って永遠の命にはいるであろう。"
"431226","
わたしに仕えようとする者は、わたしに従い(わたしと同じ道を歩き)なさい。
そうすれば、わたしに仕える者もわたしがおる所におることができる。父上はわたしに仕
える者に、(そんな)栄誉をくださるのである。]"
"431227","
今、わたしは胸がどきどきしてならない。ああ、なんと言っ(て祈っ)たらよ
いだろう。『お父様、この(試みの)時からわたしを救ってください』(と祈ろうか。)い
やいや、わたしはこのため、この時のために(この世に)来たのだ。"
"431228","
『お父様、(どうかわたしを御心のままになさって、)あなたの御名の栄光をあ
らわしてください!』」すると天から声がひびいた、「わたしは(あなたの業で)すでに(わ
たしの)栄光をあらわした。(今)また(あなたの苦しみによって)栄光をあらわすであ
ろう。」"

"431229","そこに立っていてこれを聞いた群衆は、雷が鳴ったと言った。「天使がイエスと
話した」と言う者もあった。"
"431230","
イエスは答えて言われた、「あの声がきこえてきたのは、わたしのためではない。
あなた達のため(あなた達の信仰を強くするため)である。"
"431231","
今こそ、この世の裁きがおこなわれる。今こそ、この世の支配者([悪魔])が
(この世から)放り出される。(今わたしが天に挙げられるからである。)"
"431232","
(しかし)わたしは地から挙げられた時、みんなをわたしの所に引き寄せるで
あろう。」"
"431233","
このように(「挙げられる」と)言われたのは、自分がどんな死に方で死なねば
ならぬかを、(すなわち十字架による死を)暗示されたのである。"
"431234","
すると群衆が答えた、「われわれは律法[聖書]で、救世主は〃永遠に〃(地上
に)生きながらえると聞いていたのに、あなたはどういう訳で、人の子は(死んで天に)
挙げられねばならぬと言われるのですか。その人のことはいったいだれのことです。」"
"431235","
するとイエスは(それには答えず、)彼らに言われた、「もうしばらくの間、光
はあなた達のところにある。光のある間に(早く)歩いて、暗闇に追い付かれないように
せよ。暗闇を歩く者は、自分がどこへ行くのか知らない。"
"431236","
光のある間に光を信じて、光の子になりなさい。」、こう話すと、イエスは(そ
こを)立ち去って、彼らから姿をお隠しになった。(イエスの伝道はこれで終ったのであ
る。)"
"431237","
(以上のように、)イエスはこんなに多くの徴[奇蹟]を人の見ている前で行わ
れたが、人々は彼を信じなかった。"
"431238","
預言者イザヤの言葉が成就するためであった。──〃主よ、だれがわたし達に
聞いたことを信じましたか。だれが主の御腕(の偉大な力)を認めましたか。〃"
"431239","
(そして)人々が信じ得なかったのは、イザヤがさらにこう言っているからで
ある。──"
"431240","
〃主は彼らの目を見えなくし、その心を頑なにされた。これは彼らが目で見、
心で解り、心を入れかえて、わたし(主キリスト)に直されないようにするためである。
"
"431241","
イザヤがこう言ったのは、(ウジヤ王の死んだ年に)彼[主キリスト]の栄光を
見たからである。すなわちイザヤはキリストのことを言ったのである。"
"431242","
とは言え、(最高法院の)役人たちのうちにも、彼を信じた者が多かった。ただ
パリサイ人をはばかって、(公然)それを告白しなかった。礼拝堂追放にされるのをおそ
れたのである。"
"431243","
彼らは神からの名誉よりも、人間からの名誉の方を愛したのである。"
"431244","
(つまり)イエスはこう言って叫ばれた、「わたしを信ずる者は、わたしを信ず
るのではない、わたしを遣わされた方を信ずるのである。"
"431245","
また、わたしを見る者は、わたしを遣わされた方を見るのである。"
"431246","
わたしが光として世に来たのは、わたしを信ずる者はだれも、暗闇の中に留っ
ていないようにするためである。"
"431247","
しかしわたしの言葉を聞いて守らぬものがあっても、わたしはその人を罰しな
い。なぜなら、わたしは世を罰するために来たのでなく、世を救うために来たのだから。"
"431248","
(だが、)わたしを排斥し、わたしの言葉を受け入れない者を罰する者が(ほか
に)ある。わたしが話した言葉、それが最後の日にその人を罰するのである。"
"431249","
わたしは自分勝手に話したのではない。わたしを遣わされた父上が、何を言い、
何を話すべきかを命じられたのである。"
"431250","
わたしは父上のこの命令が永遠の命であることを知っている。だからわたしが
話していることは、父上の言われたことと寸分ちがわないのである。」"
"431301","
過越の祭の前、イエスはこの世から父上の所に移ってゆく時が(ついに)来た
ことを知って、この世で愛された弟子たちを、最後の瞬間まで愛しぬかれた。──"
"431302","
(祭の前日の)夕食のとき、すでに悪魔はシモンの子イスカリオテのユダの心
に、イエスを売ろうとする考えを吹き込んだ。"
"431303","
イエスは、父上が一切のものを自分の手におまかせになっていること、また自
分が神のところから出てきて、(今また)神に帰ってゆく(身の上である)ことを知りな
がら、"
"431304","
夕食の席から立って、上着をぬぎ、手拭を取って腰に巻かれた。"
"431305","
それから盥に水を入れて、ひとりびとり弟子たちの足を洗っては、(腰に)巻い
た手拭で拭き始められた。"
"431306","
こうしてシモン・ペテロの所まで来られると、ペテロが(こばんで)言う、「主
よ、わたしの足を、あなたが洗われるのですか。」"
"431307","
イエスが答えて言われた、「わたしが何をしているのか、いまはあなたにわから
ない。(わたしがいなくなった)あとでさとるだろう。」"
"431308","
ペテロが言う、「わたしの足は、いつまでも絶対に洗わないでください。」イエ
スは答えられた、「わたしが(足を)洗ってやらないなら、あなたはわたしとなんの関係
もない人だ。」"
"431309","
シモン・ペテロがうろたえて言う、「主よ、(それでは、)足だけでなく、手も、
頭も。」"
"431310","
イエスが言われる、「(一度)湯浴みした者は、(あとでよごれた)足のほかは洗
う必要はない、全身が清いのだから。(もう)あなた達は清い。だが、(あなた達)みんな
がそうではない。」"
"431311","
イエスは自分を売る者(がだれであるか)を知っておられた。それで、「みんな
が清いのではない」と言われたのである。"
"431312","
さて、みんなの足を洗い終ると、上着を着てふたたび席について、言われた、「い
まわたしは何をあなた達にしたか、(そのわけ)がわかるか。"
"431313","
あなた達はわたしを『先生』とか『主』とか呼んでいるが、そう言うのは正し
い。その通りだから。"
"431314","
してみると、主であり先生であるこのわたしが足を洗ってやったのだから、あ
なた達も互に足を洗う義務がある。"
"431315","
わたしがしてやったとおりあなた達もするようにと、手本を示したのである。"
"431316","
アーメン、アーメン、わたしは言う、僕はその主人よりもえらくはない。
また使は本人よりもえらくはない。(だからわたしを真似るがよい。)"
"431317","
このことがわかったなら、そのとおりにすれば、幸いである。"
"431318","
(幸いであると言っても、)あなた達みんながそうだと言うのではない。どんな
人を(弟子に)選んだか、わたしは(始めから)知っている。(中には不心得な者もある
ようだ。)しかしそれは、〃(いつも一しょに)わたしのパンを食べる(親しい)者が、
踵をあげてわたしを蹴飛ばした〃という聖書の言葉が成就するためである。"
"431319","
事のおこらない先に、いまから言っておく。事がおこった時に、わたしがそれ
(救世主)であることをあなた達が信ずるためである。"
"431320","
アーメン、アーメン、わたしは言う、わたしが遣わす者を受けいれる者は、わ
たしを受けいれるのであり、わたしを受けいれる者は、わたしを遣わされた方を受けいれ
るのである。」"
"431321","
こう言ったあと、イエスはひどく興奮して、(弟子たちに)はっきりこう言われ
た、「アーメン、アーメン、わたしは言う、あなた達のうちの一人が、わたしを(敵に)
売ろうとしている!」"
"431322","
弟子たちはだれのことを言われるのか見当がつかず、顔を見合わせていた。"
"431323","
一人の弟子がイエスの胸に寄り添って席についていた。イエスはこの弟子を(特
別に)愛しておられた。"
"431324","
シモン・ペテロがその弟子に首で合図をして(ささやいて)言う、「だれのこと
を言っておられるのか、おしえてくれ。」"
"431325","
それでその弟子は(うしろの)イエスの胸にもたれかかって、たずねる、「主よ、
だれですか。」"
"431326","
イエスが(彼に)答えられる、「わたしが一きれのパンをひたして渡すその人が、
それだ。」それからパンを(汁に)ひたし、イスカリオテのシモンの子ユダに渡される。"
"431327","
ユダがそのパンを受け取(って食べ)ると、その時、悪魔がユダに入った。そ
こでイエスがユダに言われる、「しようとしていることをさっさとしたがよかろう。」"
"431328","
しかしなんのためにこう言われたのか、食卓につく者のだれにもわからなかっ
た。"
"431329","
中には、ユダは金箱をあずかっているので、イエスは「祭に必要な物を買って
おけ」とか、貧乏な人たちに何かやるように、とか言われるのだと思った者があった。"
"431330","
ユダはパンを食べると、すぐ出て行った。夜であった。(──そとは丸い月が
かがやいていたが、ユダの心は真暗であった。)"
"431331","
ユダが出てゆくと、イエスは(顔をかがやかせながら、別れの言葉を弟子たち
に)言われる、「今、人の子は(神に命じられた仕事を成しとげて、神から)栄光を与え
られた。神も人の子(が仕事を成しとげたこと)によって、栄光をお受けになった。"
"431332","
彼によって栄光をお受けになった以上は、神も(彼を天に挙げることによって、)
彼に御自分の栄光を与えられるであろう。いますぐにも栄光を与えられるであろう。"
"431333","
子供たちよ、わたしはもう少しのあいだあなた達と一しょにいる。(いなくなっ
たあとで)あなた達はわたしをさがすが、(前に)ユダヤ人に、『わたしが行く所に、あな
た達は来ることが出来ない』と言ったのと同じことを、いまあなた達にも言う。"
"431334","
(別れにのぞんで)新しい掟を与える、──互に愛せよ。わたしがあなた達を
愛したのだから、そのようにあなた達も互に愛せよ。"
"431335","
互に愛を持つならば、皆がそれによって、あなた達がわたしの弟子であること
を知るであろう。」"
"431336","
シモン・ペテロが言う、「主よ、どこへ行かれますか。」イエスは答えられた、「あ
なたは今わたしの行く所について来ることは出来ないが、あとでついて来る。(いやでも、
ついて来ねばならない時が来る。)」"
"431337","
ペテロが言う、「主よ、なぜいますぐついて行くことが出来ないのですか。あな
たのためなら、命でも捨てます。」"
"431338","
イエスが答えられる、「わたしのためなら、命でも捨てると言うのか。アーメン、
アーメン、わたしは言う、あなたが三度わたしを知らないと言うまで、鶏は決して鳴かな
いであろう。"
"431401","
(あなた達の来られない所にわたしが行くからとて、)心を騒がせるな。神を信
ぜよ、またわたしを信ぜよ。"
"431402","
父上のお家には、沢山住居がある。(あなた達は一人のこらず、そこに住むこと
が出来る。)もしそうでなかったら、『あなた達のために場所の準備に行く』と言うわけが
ないではないか。"
"431403","
(間もなく出かけるが、)行って場所の準備ができたら、もどって来て、あなた
達をわたしの所に連れてゆく。わたしのおる所にあなた達もおるためである。"
"431404","
(今)あなた達はわたしがどこへ行くか、その道がわかったはずだ。」"
"431405","
トマスが言う、「主よ、どこへ行かれるのか、わたし達にはわかりません。どう
すればその道がわかるでしょうか。」"
"431406","
イエスは言われる、「わたしが道である。また真理であり、命である。(手段で
あると同時に目的であるから。)わたしを通らずには、だれも父上の所に行くことはでき
ない。"
"431407","
しかしあなた達はわたしがわかったのだから、わたしの父上もわかるにちがい
ない。いや、いますでに父上がわかっており、また父上を見たのである。」"
"431408","
ピリポが言う、「主よ、どうかわたし達に父上を見せてください。それでたくさ
んです。」"
"431409","
イエスは言われる、「ピリポ、こんなに長い間一しょにいるのに、あなたはまだ
わたしがわからなかったのか。(父上とわたしとは一つである。)わたしを見た者は父上を
見たのだ。どうして『父上を見せてください』と言うのか。"
"431410","
わたしが父上の中に、父上がわたしの中におられることを、あなたは信じない
のか。わたしがあなた達に言う言葉は、自分で勝手に話すのではない。(またわたしがす
る業は、)いつもわたしの中におられる父上が御業をされるのである。"
"431411","
(だから)あなた達は、わたしが父上の中に、父上がわたしの中におられるこ
とを信ぜよ。しかしもしそれができないなら、(わたしがする)業そのものによって信ぜ
よ。"
"431412","
アーメン、アーメン、わたしは言う、わたしを信ずる者は、わたしがするのと
同じ業をすることができる。いや、それよりももっと大きな業をすることができる。わた
しが父上の所に行って、"
"431413","
あなた達がわたしの名で願えば、なんでもかなえてあげるからだ。これは父上
が子によって栄光をお受けになるためである。"
"431414","
(繰返して言う、)わたしの名でわたしに何か求めれば、(かならず)それをか
なえてあげる。"
"431415","
あなた達は(皆別れを悲しんでいるが、本当に)わたしを愛するなら、わたし
の掟を守り(互に愛し)なさい。"
"431416","
そうすればわたしも父上に願って、(わたしに代わる)ほかの弁護者をおくって
いただき、いつまでもあなた達と一しょにおるようにしてあげる。"
"431417","
これは真理の霊である。この世(の人)には見えもせず、わかりもしないから、
これを受けいれることが出来ない。(しかし)あなた達にはこの霊がわかる。いつもあな
た達のところをはなれず、また、あなた達の中におるのだから。"
"431418","
わたしは父上の所に行くけれども、あなた達を孤児にはしておかない。(すぐ)
かえって来る。"
"431419","
もう少しするとこの世(の人)はもはやわたしを見ることができなくなるが、
あなた達は(間もなく)わたしを見ることができる。わたしは(死んでまた)生き、(そ
れによって)あなた達も生きるからである。"
"431420","
その時あなた達は、わたしが父上の中に(おるように)、あなた達がわたしの中
に、わたしがあなた達の中におることを知るであろう。"
"431421","
わたしの掟をたもち、これを守る者、それがわたしを愛する者である。わたし
を愛する者はわたしの父上に愛され、わたしもその人を愛して、その人に自分を現わすで
あろう。(だからわたしを愛する者だけが、わたしを見ることができるのだ。)」"
"431422","
イスカリオテでない方のユダが言う、「主よ、いったいどういうわけで、わたし
達だけに御自分を現わし、この世(の人)にはそうしようとされないのですか。」"
"431423","
イエスは答えられた、「わたしを愛する者は、わたしの言葉を守る。するとわた
しの父上はその人を愛され、わたし達は(父上もわたしも)、その人のところに行って、
同居するであろう。"
"431424","
(しかし)わたしを愛しない者は、わたしの言葉を守らない。(だからわたしを
見ることができない。)あなた達が(わたしから)聞く言葉はわたしの言葉ではない、わ
たしを遣わされた父上の言葉である。"
"431425","
わたしはこれだけのことを、(まだ)あなた達と一しょにおるあいだに話した。
(これ以上のことは話してもわからないからだ。)"
"431426","
(わたしが去ったあとで、)父上がわたしの名で遣わされる弁護者、すなわち聖
霊が、あなた達にすべてのことを教え、またわたしが言ったことをすべて思い出させるで
あろう。"
"431427","
(今別れにのぞんで)平安をあなた達にのこしておく。わたしの平安をあなた
達に与える。わたしが与える平安は、この世の人が『平安あれ』といのるような(言葉だ
けの)ものではない。(だから)心騒がせるな、気を落すな。"
"431428","
『わたしは離れてゆくが、すぐかえって来る』と言ったのを、あなた達は聞い
たであろう。(もし本当に)あなた達がわたしを愛しているなら、わたしが父上の所に行
くのを喜ぶはずである。父上はわたしよりもえらい(ので、行けば栄光をいただける)か
らである。"
"431429","
今事のおこらぬさきにこれを言うのは、事がおこった時、あなた達がそのこと
を信じ得るためである。"
"431430","
もはやあなた達と多く話さない。(間もなく)この世の支配者(悪魔)が来るか
らだ。あれはわたしに指一本触れることはできない。"
"431431","
だが、わたしが父上を愛し、父上の命令のとおり行うことをこの世に知らせる
ために(わたしはあれに身をまかせる。)──立て。さあ出かけよう!"
"431501","
わたしがまことの葡萄の木、父上は栽培人である。"
"431502","
わたしについている蔓で実を結ばないものは、父上が皆それを切り取ってしま
われる。また実を結ぶものは、より多く実を結ぶように、皆それを奇麗に刈り込まれる。"
"431503","
あなた達はわたしが語った言葉(を受け入れること)によって(汚れを除かれ)、
すでに奇麗になっている。"
"431504","
わたしに留っておれ。そうすればわたしもあなた達に留っている。ちょうど蔓
が葡萄の木に留っていなければ、自分で実を結ぶことが出来ないように、あなた達もわた
しに留っていなければ、実を結ぶことは出来ない。"
"431505","
わたしが葡萄の木、あなた達は蔓である。わたしに留っており、わたしもその
人に留っている人だけが、多くの実を結ぶのである。あなた達はわたしを離れては、何一
つすることは出来ないのだから。"
"431506","
人はわたしに留っていなければ、蔓のように投げ出されて枯れる。すると集め
られ、火の中に投げ込まれて焼かれる。"
"431507","
もしあなた達がわたしに留まっており、わたしの言葉があなた達に留まってお
れば、なんでもほしいものを願いなさい。かならずかなえられる。"
"431508","
あなた達が多くの実を結んで、わたしの弟子たることを示すならば、父上はこ
れによって、栄光を受けられるであろう。"
"431509","
父上がわたしを愛されたように、わたしもあなた達を愛した。わたしの愛に留
っておれ。"
"431510","
わたしの掟を守っておれば、わたしの愛に留っているであろう。わたしが父上
の命令を守って、その愛に留っているのと同じである。"
"431511","
このことを話したのは、わたしのもっている喜びが(また)あなた達のものと
なり、あなた達のその喜びが完全なものとなるためである。"
"431512","
わたしがあなた達を愛したように、互に愛せよ。──これがわたしの掟である。
"
"431513","
(わたしはあなた達のために命を捨てる。)友人のために命を捨てる以上の愛は
ないのだ。"
"431514","
あなた達はわたしの命ずることを行ってさえおれば、わたしの友人である。"
"431515","
わたしはもはやあなた達を僕と言わない。僕は(命じられたことをするだけで、)
主人が何をしようとしているか知らないのだから。わたしはあなた達を友人と言ったが、
これは父上から聞いたことを何もかも知らせたからだ。"
"431516","
(しかも)あなた達がわたしを選んだのではなく、わたしがあなた達を(使徒
に)選んで、あなた達が出かけていって(善い)実を結び、その実がいつまでものこるよ
うに、また(その必要のために)あなた達がわたしの名で父上にお願いすれば、なんでも
かなえてくださるようにしてやったのである。"
"431517","
(つまるところ、)わたしの命令はこれである、──互に愛せよ!"
"431518","
(しかしわたしに愛される時、あなた達はこの世から憎まれる。だが)もしこ
の世があなた達を憎んだら、あなた達よりも先にわたしを憎んだと思え。"
"431519","
もしあなた達がこの世のものであったら、この世は自分のもの(であるあなた
達を)愛するはずである。しかしあなた達は(もはや)この世のものではなく、わたしが
この世から選び出したのだから、この世はあなた達を憎むのである。"
"431520","
『僕はその主人よりもえらくはない』と言ったわたしの言葉を忘れないように。
人々は(わたしにしたと同じことをあなた達にするであろう。)わたしを迫害したなら、
あなた達をも迫害し、わたしの言葉を守ったなら、あなた達の言葉をも守るであろう。"
"431521","
ところが、彼らはあなた達がわたしの弟子であるために、(憎み、迫害など)す
べてこれらのことを、あなた達にするであろう。わたしを遣わされた方を知らないからで
ある。"
"431522","
もしわたしが(この世に)来て(何も)語らなかったら、(父上を知らぬことに
ついて)彼らに罪はなかったが、(すでにわたしからそれを聞いた)今は、(父上に対し)
その罪の弁解はできない。"
"431523","
わたしを憎む者は父上をも憎むのであるから。"
"431524","
もしわたしがほかのだれもしたことのない業を彼らの間でしなかったら、彼ら
に罪はなかった。しかし今彼らは(わたしの言葉と業とによって)わたしをも父上をも見
て、しかも憎んだのである。"
"431525","
しかしこれは、彼らの律法[聖書]に〃彼らはゆえなくわたしを憎んだ〃と書
いてある言葉が成就するためである。"
"431526","
(また)わたしが父上のところからあなた達に遣わす弁護者、すなわち父上の
ところから出てくる真理の霊が来る時、それがわたしのことを(すべて)証明するであろ
う。"
"431527","
またあなた達も、始めからわたしと一しょにいたのだから、わたしの証人であ
る。"
"431601","
このことを話したのは、(わたしがいなくなったあとで、)あなた達が(信仰に)
つまずかないためである。"
"431602","
彼らはあなた達を礼拝堂追放にするにちがいない。それどころか、あなた達を
殺す者が皆、神に奉仕しているかのように思う時が来るであろう。
"431603","
彼らがそんなことをするのは、父上をもわたしをも知らないからである。"
"431604","
それにもかかわらずこのことを話したのは、その(迫害の)時が来た時、わた
しがこう言ったことをあなた達に思い出させるためである。このことを始めから言わなか
ったのは、一しょにいた(ので、必要がなかった)からである。"
"431605","
しかし今、わたしを遣わされた方の所に行くのに、あなた達はだれも、『どこへ
行くのか』と尋ねない。"
"431606","
それどころか、(父上の所に行くと言った)このわたしの言葉が、あなた達の胸
を悲しみで一ぱいにしている。"
"431607","
しかし本当のことを言うが、わたしが(父上の所に)行くことは、あなた達の
ために利益である。行かねば、弁護者はあなた達の所に来ないが、行けば、わたしが彼を
遣わすからである。"
"431608","
そして彼は来ると、罪について、義について、罰について、この世に(その考
えの)誤りを認めさせるであろう。"
"431609","
すなわち、罪についてとは、人々がわたしを信じないこと(が罪であること。)
"
"431610","
義についてとは、わたしが父上の所に行って、あなた達がもはやわたしを見る
ことができなくなること(が、わたしの父上に義とされた証拠であること。)"
"431611","
また罰についてとは、この世の支配者[悪魔]が(わたしを殺したのは、わた
しが罰されたのでなく、自分が)罰されたのであること。──(この三つのことを認めさ
せるのである。)"
"431612","
まだ沢山言うことがあるが、(今は言わない。)あなた達にはいまそれを理解す
る力がない。"
"431613","
真理の霊が来る時、彼があなた達を導いていっさいの真理を悟らせるであろう。
(いっさいの真理というのは、わたしと同じく、)彼は自分勝手に話すのではなく、(父上
から)聞いたことを話すからである。また将来起るべき(世の終りの)ことをあなた達に
知らせるであろう。"
"431614","
彼は(こうして)わたしの栄光をあらわすのである。というのは、彼はわたし
のものの中から取ってあなた達に知らせる(ので、結局わたしに代って仕事をつづける)
のだから。"
"431615","
父上のものはことごとく、わたしのものである。だから(いま)、わたしのもの
の中から取ってあなた達に知らせる、と言ったのである。"
"431616","
しばらくするとあなた達はもはやわたしを見ることができない。またしばらく
するとわたしに会うことができる。」"
"431617","
するとある弟子たちは互にこう言った、「『しばらくするとあなた達はわたしを
見ることができない。またしばらくするとわたしに会うことができる』とか、『わたしは
父上の所に行く』とか言われるが、あれはいったい何事だろう。」"
"431618","
彼らはつまりこう言ったのである、「『しばらく』と言われるが、あれはいった
い何事だろう。何を思っておられるのかわからない』と。"
"431619","
イエスは自分に尋ねたがっているのを知って言われた、「『しばらくするとあな
た達はわたしを見ることができない。またしばらくするとわたしに会うことができる』と
言ったことを話し合っているのか。"
"431620","
アーメン、アーメン、わたしは言う、(わたしがいなくなると)あなた達は泣い
て悲嘆にくれるが、この世は喜ぶであろう。あなた達は悲しむが、その悲しみは(やがて)
喜びにかわるであろう。"
"431621","
女が子を産む時には、女の(宿命の)時が到来したので悲しみがあるけれども、
子が生まれると、一人の人間が世に生まれ出た喜びのために、もはや(お産の)苦しみを
覚えていない。"
"431622","
だから、(同じく)あなた達にも今は悲しみがあるが、わたしはもう一度あなた
達に会うのだから、(その時)あなた達の心は喜ぶであろう。そしてあなた達からその喜
びを奪う者はだれもない。"
"431623","
その時には、(もはや)何事もわたしに尋ねる必要はない。アーメン、アーメン、
わたしは言う、(その時)あなた達が父上に何かお願いすれば、わたしの名でそれをかな
えてくださるであろう。"
"431624","
いままであなた達は何一つわたしの名で(父上に)お願いしなかった。(わたし
がまだ父上の所に行かなかったからである。しかし今は)お願いせよ、そうすれば戴ける。
あなた達の喜びが完全なものとなるためである。"
"431625","
以上わたしは(天のことを地上の事柄になぞらえて)謎のように話したが、(間
もなく)もはや謎のように話さず、そのものずばりに父上のことを知らせる時が来る。"
"431626","
その時あなた達は、(前に言ったように)わたしの名で(父上に)お願いするの
である。しかし(わたしの名で、と言っても、)それはわたしがあなた達のために父上に
願ってあげると言うのではない。(その必要はない。)"
"431627","
なぜなら、あなた達がわたしを愛し、またわたしが神のところから出てきたこ
とを信じたので、父上御自身で(直接)あなた達を愛しておられるからである。"
"431628","
(くりかえして言う、)わたしは父上のところから出てこの世に来たが、またこ
の世を去って父上の所にかえるのである。」"
"431629","
弟子たちは(イエスの言葉の意味を取りちがえて)言う、「まあ、今あなたははっき
りお話になって、ちっとも謎を言われません。"
"431630","
あなたはなんでも御承知で、だれもお尋ねする必要がない(ほど人の心を見抜
かれる)ことが、今わかりました。これでわたし達は、あなたが神のところから出てこら
れたことを信じます。」"
"431631","
イエスは(いとおしげに彼らを見やりながら)答えられた、「いま信ずるという
のか。"
"431632","
見ていなさい、みなちりぢりになって自分の家にかえり、わたしを独りぼっち
にする時が来るから、いや、もう来ている。しかしわたしは独りぼっちではない、父上が
いつも一しょにいてくださるのだから。"
"431633","
これらのことを話したのは、あなた達がわたしに(しっかり)結びついていて、
平安を保つことができるためである。この世ではあなた達に苦しみがある。しかし安心し
ていなさい。わたしがすでに世に勝っている。」"
"431701","
イエスはこれらのことを話されると、目を天に向けて(祈って)言われた、「お
父様、いよいよ時が来ました。子があなたの栄光をあらわすために、どうか(子を十字架
につけて、)子に栄光を与えてください。"
"431702","
あなたは、子に下さいました者に一人のこらず永遠の命を与えさせるため、全
人類を支配する全権を子に与えられたのですから。"
"431703","
永遠の命とは、ただひとりのまことの神なるあなたと、あなたが遣わされた(子)
イエス・キリストとを知ることであります。"
"431704","
わたしは、わたしにさせようとして賜わりました仕事を成しとげて、地上にあ
なたの栄光をあらわしました。"
"431705","
だからお父様、(今度は)あなたが、わたしの栄光を──世界が出来る前にあな
たのところで持っていたあの栄光を──今、あなたのところで持たせてください。"
"431706","
わたしは、あなたがこの世から(選び出して)わたしに下さったこの人たち[
子たち]に、あなたの名を──(あなたについての一切のことを)──知らせてやりま
した。彼らはもとあなたのものであったのに、わたしに下さったのです。彼らは(わたし
が教えた)あなたの言葉を守りました。"
"431707","
今彼らは、あなたがわたしに下さったものは、(言葉も業も)何もかも皆、(人
間からでなく)あなたから来たことを知りました。"
"431708","
すなわち、わたしは賜わりました言葉を(そのまま)彼らに伝え、彼らはそれ
を受けいれて、わたしがあなたのところから出てきたことを本当に知り、あなたがわたし
を遣わされたことを信じたのであります。"
"431709","
わたしがお願いするのは、この人たちのためであります。この世の(一般の人々
の)ためでなく、わたしに下さった人たちのために、お願いするのです。というのは、(第
一には、)あの人たちはあなたのもの、"
"431710","
──わたしのものは皆あなたのもの、あなたのものは(皆)わたしのものであり
ます。──また、わたしは彼らによって(あなたの子と信じられ)栄光を受けたからであ
ります。"
"431711","
また第二には、わたしはもうこの世にいなくなります。彼らはこの世にのこっ
ており、わたしはあなたの所に行ってしまいます。(だから)聖なるお父様、どうか(彼
らに知らせるため)わたしに下さいましたあなたの名で、(あとにのこっている)彼らを
お守りください。わたし達(あなたとわたし)のように、彼らが一つとなるためでありま
す。"
"431712","
わたしが一しょにいた間は、わたしに下さいましたあなたの名で彼らを守り、
また保護していました。だから彼らのうちだれ一人滅びた者はありません。ただ聖書が成
就するために、あの滅びの子(ユダ)が滅びただけです。"
"431713","
しかしわたしは今あなたの所に行きます。(だから彼らのことをお願いしま
す。)そして(まだ)この世にいる間にこれを申し上げるのは、(彼らがこの祈りをきいて、
自分たちがあなたに守られていることを信じ、)わたしのもっている喜びを、彼らも自分
で完全にもつことが出来るためであります。"
"431714","
第三には、わたしは彼らにあなたの言葉を伝えました。(彼らはそれを受け入れ
ました。)するとこの世は彼らを憎みました。わたしがこの世のものでないように、彼ら
も(もはや)この世のものでないからであります。(だから彼らのことをお願いします。)"
"431715","
(しかし)わたしの願いは、彼らを(早く)この世から(安全な所に)移して
いただくことでなく──(彼らには果たすべき務めがあります)──悪い者(悪魔)から
守っていただくことです。"
"431716","
わたしがこの世のものでないように、彼らもこの世のものではありません。"
"431717","
どうか彼らを(その務めのために)真理で聖別してください。──あなたの言
葉が真理であります。"
"431718","
あなたがわたしをこの世に遣わされたように、わたしも彼らをこの世に遣わし
ました。"
"431719","
わたしは彼らのために自分を(清い供え物として)ささげます。彼らも本当に
聖別されるため、(そしてあなたの御用に立つ者となるため)であります。"
"431720","
しかし(すでに信じている)この人たち(弟子たち)のためだけでなく、(これ
からさき)その言葉によって、わたしを信ずる人たちのためにもお願いします。"
"431721","
──どうか、みんなの者が一つとなりますように。どうか、お父様、あなたが
わたしにおられ、わたしがあなたにおると同じく、彼らもみなわたし達[あなたとわたし]
におりますように。これはあなたがわたしを遣わされたことを、この世に信じさせるため
であります。"

"431722","またわたしは、あなたがわたしに下さいました栄光(──この世にあなたの栄
光を現わす力──)を、彼らに与えました。わたし達が一つであるように、彼らも一つと
なるため、"
"431723","
すなわち、わたしが彼らにおり、あなたがわたしにおられて、彼らが完全に一
つとなるためであります。また(それによって、)あなたがわたしを(この世に)遣わさ
れたこと、すなわちあなたはわたしを愛されたように彼らを愛されたことを、世の人に知
らせるためであります。"
"431724","
お父様、あなたがわたしに下さいました者もわたしがおる所に一しょにいて、
わたしの栄光を見るようにしてやりたいのです。あなたは世の始まる前に(すでに)わた
しを愛して、この栄光をわたしに下さいました。"
"431725","
正しいお父様、この世はあなたを知りませんでした。しかし、わたしはあなた
を知っており、(ここにいる)この人たち(弟子たち)も、あなたがわたしを遣わされた
ことを知りました。"
"431726","
わたしはこの人たちにあなたの名を知らせました。また(これから先も)知ら
せます。これは、わたしを愛してくださったと同じ愛が彼らにおり、わたしも彼らにおる
ためであります。(こうしてあなたと、わたしと、彼らとが、愛によって一つとなりたい
のであります。)」"
"431801","
こう言ったあとイエスは、弟子たちと供に(都から)ケデロンの谷の向こうに
出てゆき、そこにある園に入られた。弟子たちも一しょであった。"
"431802","
イエスはそこでたびたび弟子たちと集まられたので、イエスを売るユダもこの
場所を知っていた。"
"431803","
ユダは一部隊の兵と、大祭司連およびパリサイ人すなわち最高法院から派遣さ
れた下役らとを引き連れ、ランタンや松明や武器を持って、そこに来た。"
"431804","
イエスはその身に起ろうとしていることを何もかも知っておられたので、園か
ら出てきて彼らに言われる、「だれをさがしているのか。」"
"431805","
「ナザレ人イエスを」と答えた。彼らに言われる、「それはわたしだ。」イエス
を売るユダも彼らと一しょに立っていた。"
"431806","
彼らはイエスが「それはわたしだ」と言われた時、後ずさりして地に倒れた。"
"431807","
そこで「だれをさがしているのか」とかさねてお尋ねになると、「ナザレ人イエ
スを」と言った。"
"431808","
イエスが答えられた、「『それはわたしだ』と言ったではないか。だから、もし
わたしをさがしているのなら、この人たちに手をつけるな。」"
"431809","
これは(神)がわたしに下さった者のうち、だれ一人滅ぼしませんでした」と、
イエスの言われた言葉が成就するためであった。"
"431810","
するとシモン・ペテロは、持っていた剣を抜いて大祭司の下男に切りつけ、右
の耳を切り落としてしまった。下男の名はマルコスといった。"
"431811","
イエスはペテロに言われた、「剣を鞘におさめよ。父上が下さった杯、それを飲
みほさないでよかろうか!」"
"431812","
そこで一部隊の兵と千卒長とユダヤ人の(最高法院の)下役らとは、イエスを
つかまえて縛り、"
"431813","
まずアンナスの所に引いていった。アンナスはその年の大祭司であったカヤパ
の舅だったからである。"
"431814","
(さきに、)「一人の人が民(全体)に代わって死ぬ方が得である」とユダヤ人
に入れ知恵したのは、このカヤパであった。"
"431815","
さてシモン・ペテロともう一人の弟子とが、イエスについて行った。この弟子
は大祭司(アンナス)と知合いだったので、イエスと一しょに大祭司の(官邸の)中庭に
入っていったが、"
"431816","
ペテロは門の外に立っていた。大祭司と知合いの(さきの)もう一人の弟子が
出てきて、門番の女に話して、ペテロをつれて入った。"
"431817","
するとこの門番の女中がペテロに言う、「まさかあなたも(イエスとかいう)あ
の人の弟子ではあるまいね。」「もちろん」と彼が言う。"
"431818","
寒かったので、下男や下役らが炭火をおこして、たってあたっていた。ペテロ
も一しょに立ってあたっていた。"
"431819","
大祭司(アンナス)はイエスに、その弟子のことや、その教義のことを尋ねた。
"
"431820","
イエスは答えられた、「わたしは世間にむかって公然と話した。わたしはいつも、
ユダヤ人が皆集まる礼拝堂や宮で教えて、何一つ隠れて話したことはない。"
"431821","
(今ごろ)わたしに何を尋ねるのか。何をわたしが話したかは、聞いた人たち
に尋ねたがよかろう。そら、この人たちはわたしの言ったことを知っているはずだ。」"
"431822","
こう言われたとき、(大祭司の)そばに立っていた下役の一人が、「大祭司殿に
むかって何という口のきき方だ」と言いながら、イエスに平手打をくらわせた。"
"431823","
イエスが答えられた、「もしわたしが(大祭司に対して)無礼なことを言ったの
なら、その無礼を証明せよ。しかし間違っていないなら、なぜ打つか。」"
"431824","
そこで、アンナスはイエスを縛ったまま、大祭司カヤパの所に送った。"
"431825","
シモン・ペテロは(そこに)立って火に当っていた。すると人々は言った、「あ
なたもあれの弟子ではあるまいね。」「もちろん」と言ってペテロが打ち消した。"
"431826","
大祭司の下男で、ペテロに耳を切り落された人の親族の者が言う、「たしかにわ
たしは、あなたがあの人と一しょに園にいるのを見たようだが。」"
"431827","
ペテロはまた打ち消した。するとすぐ鶏が鳴いた。"
"431828","
人々はイエスをカヤパのところから、総督官舎に引いていった。夜明けであっ
た。しかし総督官舎には入らなかった。(異教人の家に入って身に)不浄をうけると、(そ
の晩の)過越の食事をすることができなくなるからであった。"
"431829","
そこで、(総督)ピラトが彼らの所に出ていって言う、「いかなる廉でこの男を
訴えるのか。」"
"431830","
彼らが答えて言った、「これが悪事をはたらいた男でなかったら、あなたに引き
渡しはしません。(調べてください。)」"
"431831","
ピラトが言った、「(はっきりした罪名のないところを見ると、わたしが手を下
すほどの事件ではなさそうだ。)お前たちがあれを引き取って、自分の法律で裁判するが
よい。」ユダヤ人が(とうとう本音を吐いて)言った、「われわれには人を死刑に処する権
限がありません。」"
"431832","
これはイエスが(かねて、)自分はどんな死に方で死なねばならぬかを、暗示し
て言われた言葉が成就するためであった。(ユダヤ人は十字架でなく、石打ちで、死刑を
行ったからである。)"
"431833","
そこでピラトはまた総督官舎に入り、イエスを呼びよせて言った、「お前が、ユ
ダヤ人の王か。」"
"431834","
イエスが答えられた、「あなたは自分の考えでそう言われるのか、それともだれ
かほかの人たちが、わたしのことをそうあなたに言ったのか。」"
"431835","
ピラトが答えた、「このわたしを、ユダヤ人とでも思っているのか。お前の国の
人たち、ことに(その代表者の)大祭司連が、(その廉で)お前をわたしに引き渡したの
だ。いったい何をしでかしたのか。」"
"431836","
イエスが答えられた、「わたしの国はこの世のものではない。もしわたしの国が
この世のものであったら、わたしの手下の者たちが、わたしをユダヤ人に渡すまいとして
戦ったはずである。しかし実際のところ、わたしの国はこの世のものではない。」"
"431837","
そこでピラトが言った、「では、やっぱりお前は王ではないか。」イエスが答え
られた、「王だと言われるなら、御意見にまかせる。わたしは真理について証明するため
に生まれ、またそのためにこの世に来たのである。真理から出た者はだれでも、わたしの
声に耳をかたむける。」"
"431838","
ピラトがたずねる、「真理とは何か。」、ピラトはこう言ったのち、またユダヤ人
の所に出ていって言う、「あの人にはなんらの罪も認められない。"
"431839","
しかし、過越の祭の時にわたしが囚人を一人だけ(特赦によって)赦してやる
のが、お前たちの慣例になっている。だから(この慣例によって、)あのユダヤ人の王を
赦してやろうか。」"
"431840","
彼らはまたもや「その男ではない、あのバラバを!」と叫んだ。バラバは強盗
であった。
"431901","
そこでピラトは、(何とかしてイエスを赦してやろうと思い、ユダヤ人を納得さ
せるために、)今度はイエスを鞭で打たせた。"
"431902","
また兵卒らは茨で冠を編んで頭にかぶらせ、紫の上着をきせて(王に仕立てた
のち、)"
"431903","
進み出て「ユダヤ人の王、万歳!」と言った。そしていくつも平手打ちをくら
わせた。"
"431904","
ピラトはまた外に出ていって、ユダヤ人に言う、「見よ、あの人をお前たちの前
に引き出す。あの人にはなんらの罪も認められない訳がわかろう。」"
"431905","
イエスが茨の冠をかぶり紫の上着をまとって、(しずかに)出てこられた。ピラ
トが言う、「見よ、この人だ。」"
"431906","
すると大祭司連や下役らはイエスを見て、「十字架につけろ、十字架につけろ」
と叫んだ。(イエスのみじめな滑稽な姿を見ては、さすがのユダヤ人も心をやわらげるで
あろうという、ピラトの当てははずれた。)ピラトが言う、「(もし、そうしたければ、)お
前たちがこの人を引き取って、十字架につけたらよかろう。この人には罪を認められな
い。」"
"431907","
ユダヤ人が答えた、「われわれには律法があって、その律法によると、当然死刑
です。神の子気取りでいるのだから。」"
"431908","
ピラトはこの(神の子という)言葉を聞くと、いよいよ薄気味悪くなり、"
"431909","
また総督官舎に入ってイエスにたずねる、「お前はいったいどこから来たのか。
(本当に天から来たのか。)」イエスは返事をされなかった。"
"431910","
するとピラトが言う、「このわたしに口をきかないのか。わたしはお前を赦す権
力があり、お前を十字架につける権力があることを、知らないのか。」"
"431911","
イエスは答えられた、「あなたは上[神]から授けられないかぎり、わたしに対
してなんの権力もない。だから(あなたの罪はまだ軽いが、)わたしをあなたに売った者
[ユダ]の罪は、あなたよりも重い。(あなたは官憲として神の命令を行なうだけだが、
彼は自分の発意でやったのだから。)」"
"431912","
このためにピラトは(ますます恐ろしくなり、なんとかして)彼を赦そうと思
ったが、ユダヤ人が叫んだ、「この男を赦せば、あなたは皇帝の忠臣ではない。自分を王
とする者はだれであろうと、皇帝の敵である。(それを助けるのだから。)」"
"431913","
ピラトはこの言葉を聞くと(心を決し、)イエスを引き出して、「敷石」──ヘ
ブライ語でガバタ──という所で裁判席に着いた。"
"431914","
それは過越の祭の支度日で、昼の十二時ごろであった。ピラトがイエスを指さ
しながら、ユダヤ人に言う、「見よ、お前たちの王様だ。」"
"431915","
すると彼等が、「片付けろ、片付けろ、それを十字架につけろ」と叫んだ。ピラ
トが言う、「お前たちの王様を、わたしが十字架につけてよいのか。」大祭司連が答えた、
「われわれには皇帝のほかに王はない。」"
"431916","
ここにおいてピラトは、十字架につけるためにイエスを彼らに引き渡した。さ
て彼ら[兵卒ら]はイエスを受け取り、"
"431917","
イエスは自分で十字架をかついで、いわゆる「髑髏の所」──ヘブライ語でゴ
ルゴタ──へと(都を)出てゆかれた。"
"431918","
そこで彼らはイエスを十字架につけた。またほかに二人(の囚人)が、イエス
を中にしてあちらとこちらで、一しょに十字架につけられた。"
"431919","
ピラトはまた捨札を書いて十字架の上に掲げさせた。ナザレ人イエス、ユダヤ
人の王と書いてあった。"
"431920","
多くのユダヤ人がこの捨札を読んだ。イエスが十字架につけられた場所は、都
に近かったからである。かつ捨札は、ヘブライ語、ラテン語、ギリシャ語で書いてあった
(ので、だれにでも読むことが出来た。こうしてピラトは、イエスが救世主であることを
全世界に証ししたのであった。)"
"431921","
するとユダヤ人の大祭司連がピラトに抗議して言った、「『ユダヤ人の王』と書
かず、『この者は、ユダヤ人の王と自称した』と書き直してください。」"
"431922","
ピラトが答えた、「わたしが書いたものは、わたしが書いた通り。」"
"431923","
兵卒はイエスを十字架につけると、イエスの上着を四つに分け、四人の兵卒が
めいめいその一つを取った。下着もそうしようとしたが、下着には縫い目がなく、上から
(下まで)全くの一枚織りであった。"
"431924","
それで、「これは裂くまい。だれが取るか、籤できめよう」と話し合った。これ
は、〃彼等は互いにわたしの着物を自分たちで分け、わたしの着るものに籤を引いた。〃
という聖書の言葉が成就するためであった。兵卒どもはこんなことをしたのである。"
"431925","
ところが一方、イエスの十字架のわきには、その母(マリヤ)と母の姉妹、ク
ロパの妻マリヤとマグダラのマリヤが立っていた。"
"431926","
するとイエスは母上と、そのそばに立っている自分の愛する弟子とを見て、母
上に言われる、「女の方、これがあなたの息子さんです。」"
"431927","
それからその弟子に言われる、「これがあなたのお母さんだ。」この時以来、
その弟子はイエスの母を自分の家に引き取った。"
"431928","
こうしたあと、イエスは(自分のなすべきことが)何もかもすんだことを知っ
て、(最後に)聖書の言葉を成就させるために、「〃渇く〃」と言われた。"
"431929","
酸っぱい葡萄酒の一ぱい入った器がそこに置いてあった。人々はその[酸っぱ
い葡萄酒を]一ぱい含ませた海綿をヒソプの(茎の先)につけて、イエス(の口許)に差
し出した。"
"431930","
イエスは酸っぱい葡萄酒を受けると、「(すべて)すんだ」と言って、首を垂れ
て霊を(神に)渡された。"
"431931","
ところで、その日は支度日、(すなわち安息日の前の日(金曜日))であったの
で──(ことに)その安息の日は(過越の祭りの第一日で)大切な日であったから──ユ
ダヤ人は安息日に(三人の)体を十字架の上にのこしておかないために、脛を折って(体
を)取りおろしてくれとピラトに願い出た。"
"431932","
そこで兵卒らが来て、イエスと一しょに十字架につけられた第一の者と、もう
一人の者との脛を折った。"
"431933","
しかしイエスのところに来て、すでに死んでおられるのを見ると、脛を折らず
に、"
"431934","
(死をたしかめるため、)一人の兵卒が槍でその脇腹を突いた。すぐ血と水がな
がれ出た。"
"431935","
(実際)目で見た者[主の愛しておられた弟子]がこのことを証明している。
──その証明は信用すべきである。彼らは自分の言うことが真実であることを知っている。
──(これを書くのは、イエスが神の子であることを)あなた達にも信じさせるためであ
る。  "
"431936","
このことがおこったのは、〃彼の骨は砕かれない〃という聖書の言葉が成就す
るためであるからである。"
"431937","
さらに、〃彼らは自分の突き刺した者を見るであろう〃と言うほかの聖書の言
葉もある。"
"431938","
そのあとで、アリマタヤ生まれのヨセフが、──この人はユダヤ人(の役人た
ち)を恐れて、隠れてイエスの弟子になっていた人である──ピラトに、イエスの体を取
りおろしたいと願い出た。ピラトが許すと、彼は行って体を取りおろした。"
"431939","
すると以前に、夜、イエスの所に来たニコデモも、没薬と沈香とを混ぜた物を
百リトラ(三十二キロ八百グラム)ばかり持って来た。"
"431940","
彼らはイエスの体を受け取り、ユダヤ人の埋葬の習慣に従って、香料をふりか
けた亜麻布でこれを巻いた。"
"431941","
ところがイエスが十字架につけられた場所(の近く)に園があって、園の中に、
まだだれも納められたことのない、新しい墓があった。"
"431942","
その日はユダヤ人の支度日であったので、その墓が近いのをさいわい、(安息日
が始まらないうちにと、急いで)そこにイエスを納めた。"
"432001","
(翌々日、すなわち)週の初めの日(日曜日)の朝早く、まだ暗いうちに、マ
グダラのマリヤが墓に来てみると、墓(の入口)から石がのけてあった。"
"432002","
そこでシモン・ペテロと、イエスが可愛がっておられたもう一人の弟子との所
に走って行って言う、「主を墓から取っていった者があります。どこに置いたのかわかり
ません。」"
"432003","
そこでペテロはもう一人の弟子と飛び出して、墓へと急いだ。"
"432004","
二人とも(始めのほどは)一しょに走っていたが、もう一人の弟子の方が(年
が若かったので、)ペテロより早く走っていって、先に墓に着いた。"
"432005","
身をかがめると、(墓の中に)亜麻布があるのが見えたが、それでも中には入ら
なかった。"
"432006","
続いてシモン・ペテロも来た。彼は墓に入り、亜麻布が(そのままそこに)あ
るのを見た。"
"432007","
また頭をつつんだ手拭は亜麻布と一しょになく、これだけ別の所に、包んだま
ま(の形)になっていた。"
"432008","
すると先に墓に着いたもう一人の弟子も入ってきて、見て、信じた。"
"432009","
イエスは死人の中から復活されねばならないという聖書の言葉が、(この時ま
で)まだ彼らにわかっていなかったのである。"
"432010","
それから二人の弟子は家にかえった。"
"432011","
(二人について来ていた)マリヤは(ひとり)墓の外に立って泣いていた。(二
人が去ったあと、)泣きながらかがんで墓の中をのぞくと、"
"432012","
白い衣をきた二人の天使が、一人はイエスの体が置いてあった所の頭の方に、
一人は足の方に坐っているのが見えた。"
"432013","
天使がマリヤに言う、「女の人、なぜ泣くのか。」マリヤが言う、「わたしの主を
取っていった者があります。どこに置いたのかわかりません。」"
"432014","
こう言って後を振り向くと、イエスがそこに立っておられるのが見えた。しか
しイエスだとは気づかなかった。"
"432015","
イエスが言われる、「女の人、なぜ泣くのか。だれをさがしているのか。」マリ
ヤはそれを園丁だと思って言う、「あなた、もしあなたがあの方を持っていったのだった
ら、どこに置いたか教えてください。わたしが引き取りますから。」"
"432016","
(こう言って、また墓の方を向いていると、)イエスが「マリヤ!」と言われる。
マリヤが振り向いて彼に、ヘブライ語で「ラボニ!(すなわち「先生!」)と言う。(そし
てイエスに抱きつこうとした。)"
"432017","
イエスが言われる、「わたしにすがりつくな。まだ父上の所に上っていないのだ
から。わたしの兄弟たち(弟子たち)の所に行って、『わたしは、わたしの父上、すなわ
ちあなた達の父上、わたしの神、すなわちあなた達の神の所に上る』と言いなさい。」"
"432018","
マグダラのマリヤは行って弟子たちに、「わたしは主にお目にかかった」、また、
主がこのことを彼女に言われた、と報告した。"
"432019","
その日すなわち週の初めの日の晩であった。ユダヤ人を恐れて、弟子たちのお
る部屋の戸には(皆)鍵がかけてあったのに、イエスが(どこからともなく)はいって来
て(彼らの)真中に進み出て、「平安あれ」と言われた。"
"432020","
そしてそう言いながら、手と脇腹とをお見せになった。弟子たちは主を見て喜
んだ。"
"432021","
すると主はかさねて言われた、「平安あれ。父上がわたしを遣わされたように、
わたしも(全権を授けて)あなた達を遣わす。」"
"432022","
こう言いながら彼らに息を吹きかけて、言われる、「聖霊を受けよ。"
"432023","
人の罪は、あなた達が赦してやれば赦されて消え、赦してやらねば赦されずに
残る。」"
"432024","
十二人の一人で、トマスすなわちギリシャ語でデドモ(二子)は、イエスが来
られた時、みんなと一しょにいなかった。"
"432025","
そこでほかの弟子達が、「わたし達は主にお目にかかった」と言うと、彼らに言
った、「わたしはその手に釘の跡を見なければ、わたしの指をその釘の場所に差し込まな
ければ、手をその脇腹に差し込まなければ、決して信じない。」"
"432026","
八日ののち、弟子たちはまた家の中に(集まって)いた。今度はトマスも一し
ょであった。戸には(皆)鍵がかけてあったのに、イエスがはいって来て(彼らの)真中
に進み出て、「平安あれ」と言われた。"
"432027","
それから(すぐ)トマスに言われる、「指をここに持ってきて、わたしの手(の
釘の跡)をよく見てごらん。手を持ってきて、わたしの脇腹に差し込んでみなさい。不信
仰をやめて、信ずる者らしくしなさい。」"
"432028","
トマスがイエスに答えて言った、「わたしの主よ!わたしの神よ!」"
"432029","
イエスは言われる、「わたしを見たので、信じたのか。幸いなのは、見ないで信
ずる人たちである。」"
"432030","
このほか、この本に書いてない、多くの徴[奇蹟]を、イエスは弟子たちの前
で行われた。"
"432031","
しかし(ほんの一部分であるが、いま)これらのことを書いたのは、あなた達
に、イエスは救世主で、神の子であることを信じさせるため、また、それを信じて、イエ
スの名によって(永遠の)命を持たせるためである。"
"432101","
そのあとで、イエスはテベリヤ湖のほとりで、かさねて弟子たちに現わされた。
現わされ方はこうであった。──"
"432102","
シモン・ペテロと、トマスすなわちデドモと、ガリラヤのカナ生まれのナタナ
エルとゼベダイの子たち二人と、ほかの二人の弟子とが一緒にいた。"
"432103","
シモン・ペテロが「わたしは漁にゆく」と言うと、「わたし達も一しょに行く」
と彼らが言う。みんなが出ていって舟に乗った。しかしその晩は何も捕れなかった。"
"432104","
もう夜も明けたころに、イエスが(どこからともなく)岸に出てこられた。そ
れでも、弟子たちはイエスだと気づかなかった。"
"432105","
イエスが彼らに言われる、「子どもたち、何も肴があるまい。」「ありません」と
彼らが答えた。"
"432106","
イエスが言われた、「舟の右側に網を打って御覧、獲物があるから。」網を打つ
と、(はたして捕れた)魚が多く、もはや網を引き上げることが出来なかった。"
"432107","
するとイエスの愛しておられた弟子が気づいて、ペテロに「主だ!」と言う。
主だと聞くと、シモン・ペテロは裸だったので(急いで)上っ張をひっかけ、湖に飛び込
んだ。"
"432108","
ほかの弟子たちは、魚の(はいっている)網を引っ張りながら舟で来た。陸か
ら遠くなく、二百ペキュン(百メートル)ばかりしか離れていなかった。"
"432109","
彼らが陸に上がって見ると、炭火がおこしてあって、上に魚が一匹のっており、
またパンがあった。"
"432110","
イエスが彼らに言われる、「今捕った魚をすこし持ってきなさい。」"
"432111","
シモン・ペテロが(舟の)上にあがって網を陸へ引き上げると、百五十三匹も
の大きな魚で一ぱいであった。こんなに大漁であったが、網は裂けなかった。"
"432112","
イエスが彼らに言われる、「さあ、朝の食事をしなさい。」弟子のうちだれ一人、
「あなたはどなたですか」と敢えて尋ねる者はなかった。主だと気づいた(が、何となく
変だった)からである。"
"432113","
イエスは来て、パンを(手に)取って彼らに渡された。魚も同じようにされた。
"
"432114","
イエスは死人の中から復活されたのち、弟子たちに自分を現わされたのは、こ
れですでに三度目である。"
"432115","
やがて食事がおわると、イエスはシモン・ペテロに言われる、「ヨハネの子シモ
ン、(今でも)あなたは、この人たち(が愛する)以上に、わたしを愛しているのか。」イ
エスに言う、「はい、主よ、わたしがあなたを愛していることは、あなたが御存じです。」
彼に言われる、「わたしの小羊を飼いなさい。」"
"432116","
二度目にまた言われる、「ヨハネの子シモン、あなたはわたしを愛しているの
か。」イエスに言う、「はい、主よ、わたしがあなたを愛していることは、あなたが御存じ
です。」彼に言われる、「わたしの羊の番をしなさい。」"
"432117","
三度目に言われる、「ヨハネの子シモン、あなたはわたしを愛しているのか。」
ペテロは、イエスが三度も「あなたはわたしを愛しているのか」と言われたので悲しくな
って、言った、「主よ、あなたはなんでも御存じです。わたしがあなたを愛していること
はあなたが御存じです。」イエスが言われる、「わたしの羊を飼いなさい。"
"432118","
アーメン、アーメン、わたしは言う、あなたは若い時分には、自分で帯をしめ
て、行きたい所へ行ったが、年を取ると、両手をのばして、ほかの人に帯をしめられ、行
きたくない所へ連れてゆかれるであろう。」"
"432119","
このように言われたのは、ペテロがどんな死に方をして[十字架について]、神
の栄光をあらわさねばならぬかを暗示されたのである。こう言ったあと、ペテロに、「わ
たしについて来なさい」と言われる。"
"432120","
ペテロが(ついて行きながら)振り返ると、イエスの愛しておられた弟子が(あ
とから)ついて来るのが見えた。この弟子は(最後の)夕食の時に、イエスの胸にもたれ
かかって、「主よ、あなたを売る者はだれですか」と言った者である。"
"432121","
ペテロはその人を見て、イエスに言う、「主よ、あの人はどうなるのでしょう
か。」"
"432122","
イエスが言われる、「たといわたしが今度来るまで、あの人を生かしておきたい
と思っても、それはあなたの知ったことではない。あなたは(ただ)わたしについて来れ
ばよろしい。」"
"432123","
このために、この(イエスの愛)弟子は死なないという噂が兄弟たちの間に広
まった。しかし、イエスは「死なない」と言われたのではない。ただ、「たといわたしが
来るまで、あの人を生かしておきたいと思っても、それはあなたの知ったことではない」
と言われたまでである。"
"432124","
これらのこと([ヨハネ福音書全体]が真実であること)を証明し、かつこれら
のことを書いたのは、この(イエスの愛)弟子である。わたし達はこの弟子の証明が信用
すべきであることを知っている。"
"432125","
しかし、イエスのなさったことはこのほかにまだ山ほどあって、もしそれをひ
とつびとつ書きつけるならば、全世界にも、書いた書物の置場があるまいと思う。"

使徒のはたらき
"440101","
使徒 1:1","テオピロよ、(さきに)わたしは(本書の)第一巻[ルカ福音書]を
著わして(あなたにささげた。それには)イエスが行われたことまた教えられたことを、
ことの始めからことごとく書きしるし、" 
"440102","
使徒 1:2","お選びになった使徒たちに、聖霊によって(全世界への伝道を)命
令されたのち、(天に)あげられた日に及んだ。(わたしは今ここに、その第二巻をあなた
にささげようと思う。)"
"440103","
使徒 1:3","イエスは(十字架の)苦しみを受けて(死なれ)た後も、多くの証
拠をもって使徒たちに御自分が生きていることを示し、四十日の間彼らに現われて、神の
国のことをお話になった。"
"440104","
使徒 1:4","そして一緒に食事をしておられたとき、彼らに命じられた、──エ
ルサレムを離れずにいて、「あなた達がわたしから聞いた」父上のお約束のものを待つよ
うに。"
"440105","
使徒 1:5","「ヨハネは水で洗礼を授けたが、あなた達は幾日もたたぬうちに、
聖霊で洗礼を授けられるであろうから」と。"
"440106","
使徒 1:6","さて彼らは集まっていたとき、こう言ってイエスに尋ねた、「主よ、
(聖霊で洗礼を授けられる)その時に、あなたはイスラエルのために(約束の)国を回復
されるのですか。」"
"440107","
使徒 1:7","彼らに言われた、「(その時ではない。回復の)時と、(それまでの)
期間とは、父上が御自分の権力で決めておられるのであって、あなた達の知るべきことで
はない。"
"440108","
使徒 1:8","ただ聖霊があなた達にくだるとき、あなた達は力を戴いて、エルサ
レムをはじめユダヤ全体、またサマリヤ、さては世界の果てまでも、わたしの証人になる
であろう。」"
"440109","
使徒 1:9","イエスはこう言って、彼らの見ている前で(天に)上げられ、雲が
彼を迎えて見えなくなった。"
"440110","
使徒 1:10","イエスがのぼって行かれる時、彼らが天をじっと見つめていると、
突然、白い着物を着た二人の人が彼らのそばに立って"
"440111","
使徒 1:11","言った、「ガリラヤ人たちよ、なぜ(ぼんやり)立って天を見てい
るのか。あなた達の所から天にあげられたあのイエスは、(いま)天にのぼって行かれる
のを見たと同じようにして、(また下って)来られるであろう。」"
"440112","
使徒 1:12","それから彼らは、(このことのあった)いわゆるオリブ山からエル
サレムに帰った。この山はエルサレムに近く、安息日の旅行距離[八百八十メートル](ほ
ど)であった。"
"440113","
使徒 1:13","(都に)入ると、彼らはいつも泊まっている二階の部屋に上がった。
それはペテロとヨハネとヤコブとアンデレ、ピリポとトマス、バルトロマイとマタイ、ア
ルパヨの子ヤコブと熱心党のシモンとヤコブの子ユダ(の十一人)であった。"
"440114","
使徒 1:14","この人々は皆、女たち、とりわけイエスの母マリヤや、イエスの兄
弟たちと、心を一つにして祈りに余念がなかった。"
"440115","
使徒 1:15","そのころのこと、ペテロは兄弟たちの中に立って言った。──これ
は百二十名ばかりの人々が集まっている一団であった。──"
"440116","
使徒 1:16","「兄弟の方々、イエスを捕らえる者たちを手引したユダについては、
聖霊がダビデ(王)の口をもって預言された聖書の言葉が成就しなければならなかった。"
"440117","
使徒 1:17","というのは、彼はわたし達(と共に使徒)の一人に数えられ、この
職務を授かっていたからである。──"
"440118","
使徒 1:18","ところでこの人は、(主を売って得た)不道徳の報酬で地所を手に
入れたところ、(高い所から)さかさまに落ちて腹が真中から裂け、はらわたがすっかり
流れ出てしまった。"
"440119","
使徒 1:19","するとこのことがエルサレムに住む人全体に知れわたって、その地
所を国語[ヘブライ語]でアケルダマ、すなわち『血の地所』と呼ぶようになった。──"
"440120","
使徒 1:20","詩篇に“彼の屋敷は荒れ果てよ、そこに住む人はなかれかし。”ま
た、“彼の務めはほかの人に得させよ。”と書いてあるから(この言葉が成就しなければな
らなかったの)である。"
"440121","
使徒 1:21","だから、主イエスがわたし達と行き来された全期間を通して、"
"440122","
使徒 1:22","すなわち、ヨハネの洗礼(の時)以来イエスがわたし達の所から(天
に)あげられた日までの間、いつもわたし達と一緒にいた者の一人が、わたし達と共に主
の復活の証拠にならねばならない。」"
"440123","
使徒 1:23","そこで(この提案によって、)人々は、バルサバと呼ばれたユスト
とも言ったヨセフと、マッテヤとの二人を(候補者に)立て、"
"440124","
使徒 1:24","こう言って祈った、「主よ、あなたはすべての人の心を御存じであ
ります。この二人のうちのどちらを選んでおられるか、示してください。"
"440125","
使徒 1:25","ユダが自分の行くべき所に行くために捨ててしまったこの使徒職を
継ぐものとして。」"
"440126","
使徒 1:26","そして人々が二人のために籤を引いたところ、籤はマッテヤに当た
って、十一人の使徒に加えられた。"
"440201","
使徒 2:1","五旬節の祭の日(すなわち五旬節最後の日)になって、(使徒たちが)
皆一緒に集まっていると、"
"440202","
使徒 2:2","突然、天から激しい風が吹いてきたようなざわめきがしてきて、座
っていた家中にひびきわたった。"
"440203","
使徒 2:3","そして火のようなかずかずの舌が、分れ分れに自分たちひとりびと
りの上に留まるのが彼らに見えた。"
"440204","
使徒 2:4","すると彼らは皆聖霊に満たされ、御霊に言わせられるままに、いろ
いろな外国語で話し出した。"
"440205","
使徒 2:5","そのときエルサレムには、天下のあらゆる国々から来た、信心深い
ユダヤ人が住んでいたが、"
"440206","
使徒 2:6","この(大きな)物音がすると、大勢の者が集まってきた。彼らはそ
れぞれ、自分の国語で使徒たちが話しているのを聞くと、びっくりした。"
"440207","
使徒 2:7","そして驚きあきれて言った、「見よ、話しているあの人たちはみんな、
ガリラヤ人ではないか。"
"440208","
使徒 2:8","それだのにどうしてわたし達は、それぞれ自分の生まれ故郷の国語
(でこの人たちが話しているの)を、聞くのだろうか。"
"440209","
使徒 2:9","わたし達は(世界中から来ている。)パルテヤ人とメジヤ人とエラム
人とがあり、メソポタミヤ、ユダヤとカパトキヤ、ポントとアジヤ、"
"440210","
使徒 2:10","フルギヤとパンフリヤ、エジプトとクレネ(の町)に近いリビヤの
部分とに住んでいる者、またここに来て仮住いしているローマ人があって、"
"440211","
使徒 2:11","ユダヤ人と(異教からの)改宗者、クレテ人とアラビヤ人であるの
に、そのわたし達が、(いま)自分の言葉で、あの人たちが神の大きな御業を話している
のを聞くというのは、どうしたことだろう。」"
"440212","
使徒 2:12","皆が呆気にとられ、すっかり不安になって互に言った、「これはい
ったいどうしたというのだ。」"
"440213","
使徒 2:13","しかし「あの人たちは新酒に酔っぱらっている」と言って、嘲弄す
る者もあった。"
"440214","
使徒 2:14","するとペテロは十一人(の使徒)と共に進み出て、声高らかに雄弁
をふるった。──「ユダヤ人諸君、ならびにエルサレムに住む皆さん、このことを知って
ください。わたしの言葉に耳を傾けてください。"
"440215","
使徒 2:15","今は(まだ)朝の九時であるから、あなた達が想像するように、、
この人たちは酒に酔っているのではありません。"
"440216","
使徒 2:16","これは(神が)預言者ヨエルをもって言われたこと(が成就して、
神の霊に酔っているの)です。"
"440217","
使徒 2:17","神が仰せられる、──最後の日に、“わたしはすべての人にわたし
の霊を注ごう。するとあなた達の息子と娘とは預言し、青年は幻を見、老人は夢をゆめみ
る。"
"440218","
使徒 2:18","またその日には、わたしの僕と婢とにわたしの霊を注ごう、”する
と彼らは預言する。"
"440219","
使徒 2:19","“また”上は“天に不思議なことを、”下は“地に”徴を、“わたし
は示そう、すなわち血と火と立ちのぼる煙とを。"
"440220","
使徒 2:20","主の(恐ろしい)大いなる、輝きの日が来る前に、日は暗闇に月は
血にかわるであろう。"
"440221","
使徒 2:21","そして主の名を呼ぶ者はすべて救われる。”"
"440222","
使徒 2:22","イスラエル人諸君、(わたしの)この言葉をお聞きなさい。──あ
のナザレ人イエスは、神が彼によってあなた達の中でかずかずの奇蹟や不思議なことや徴
を行い、(救世主であることを)あなた達に証明された人であります。このことはあなた
達自身が知っているとおり。"
"440223","
使徒 2:23","このイエスを、神は一定の御計画と予見とによってくれてやられた
ところ、あなた達は律法を知らぬ(異教の)人々の手で磔にして殺してしまった。"
"440224","
使徒 2:24","しかし神は彼を死の苦痛から解いて復活させられた。死に捕らえら
れていることが出来なかったからです。"
"440225","
使徒 2:25","現にダビデは彼についてこう言っています。“わたしは絶えず目の
前に(神なる)主を見あげた、わたしがぐらつかないように、わたしの右側にいてくださ
るから。"
"440226","
使徒 2:26","それゆえにわたしの心は楽しく、舌は(歌をうたって)喜んだ、そ
ればかりか肉体も、(墓にあって)希望のゆえに安らうであろう、"
"440227","
使徒 2:27","あなたはわたしの魂を黄泉に捨ておくことはなく、あなたの聖者(救
世主)を朽ち果てさせることもないから。"
"440228","
使徒 2:28","(朽ち果てさせぬばかりか、死から)命(への復活)の道をわたし
に知らせてくださった、あなたのそばでわたしの楽しみを満たしてくださるであろう。”"
"440229","
使徒 2:29","兄弟の方々、(この預言をした)祖先ダビデについては、彼は死ん
で葬られて、その墓は今日までわたし達の間にあると、あなた達にざっくばらんに言って
もよかろう。(彼はすべての人と同じように朽ち果てた。)──"
"440230","
使徒 2:30","だから(この言葉はダビデ自身に関するものでなく、救世主に関す
るものであることは明らかです。すなわち)彼は預言者であって、神が“彼に、その子孫
の一人を王位につかせようと”誓いを“立てられた”のを見て、"
"440231","
使徒 2:31","これは救世主の復活のことであると前から知っていて、こう語った
のです、“彼は黄泉に捨ておかれもせず、”彼の肉体の“朽ち果てることもない”と。"
"440232","
使徒 2:32","神は(救世主である)このイエスを(預言どおりに)復活させられ
ました。わたし達は皆このことの証人です。(イエスの復活を目の当り見たのだから。)"
"440233","
使徒 2:33","こうして彼は神の右に挙げられ、父上から約束の聖霊を受けて、(い
ま)あなた達が見もし聞きもするこの聖霊を、(わたし達に)注いでくださったのです。
──"
"440234","
使徒 2:34","なぜなら、ダビデ(自身)は天に上ったのではなく、自分でこう言
っているからです。“(神なる)主はわが主(救世主)に仰せられた、『わたしの右に坐り
なさい、"
"440235","
使徒 2:35","わたしがあなたの敵を(征服して)あなたの足台にしてやるまで』
と。”"
"440236","
使徒 2:36","だからイスラエルの家全体ははっきり知らねばならない、神はイエ
スを(立てて)主とし、救世主とされたのに、(人もあろうに)この方を、あなた達は十
字架につけてしまったことを!」"
"440237","
使徒 2:37","人々はこれを聞いて心をえぐられ、ペテロとほかの使徒たちとに言
った、「兄弟の方々、わたし達は(大変なことをしたわけです。)いったいどうすればよい
のですか。」"
"440238","
使徒 2:38","ペテロがこたえた、「悔改めなさい。そしてあなた達ひとりびとり、
罪を赦されるために、イエス・キリストの名において洗礼を受けなさい。そうすれば(わ
たし達と同じ)聖霊の賜物を戴くことができる。"
"440239","
使徒 2:39","この(聖霊の賜物の)約束は、わたし達の神なる“主が御許に召さ
れるほどの人、”すなわちあなた達と、あなた達の子孫と、”遠くの国々に住む”すべての
人とに対するものであるから。」"
"440240","
使徒 2:40","なお多くのほかの言葉をもって(その確かなことの)証しをし、「曲
ったこの時代から救われよ」と言って警告した。"
"440241","
使徒 2:41","ここに神の話を受け入れた者は(その場で)洗礼を受け、三千人ば
かりの者がその日(集まりに)加えられた。"
"440242","
使徒 2:42","彼らは使徒たちの教えを固く守り、(信者の)交わりと、(一緒に)
パンを裂くことと、祈りとに余念がなかった。"
"440243","
使徒 2:43","恐れをいだかぬ者とてはなかった。使徒たちによって、多くの不思
議なことや徴が行われたのである。"
"440244","
使徒 2:44","そして信者になった者は皆一緒に集まっていて、一切の物を共有し、
"
"440245","
使徒 2:45","土地や持ち物を売っては、必要に応じてそれを皆に分配した。"
"440246","
使徒 2:46","また毎日、心を一つにして(熱心に)宮に詣で、家々で(一緒に)
パンを裂き、喜びと純な心とで食事をして、"
"440247","
使徒 2:47","神を讃美し、世間の人全体に好意を持たれていた。主は救われた者
を日ごとに(増し)加えて一つにされた。"
"440301","
使徒 3:1","さて昼の三時の祈りの時間に、ペテロとヨハネとが宮に上ろうとす
ると、"
"440302","
使徒 3:2","(ちょうどその時、)母の胎内からの足なえの男がかつがれて来た。
彼は宮に入る人たちに施しを乞うため、宮の、いわゆる「美しい門」に毎日置かれたが、"
"440303","
使徒 3:3","(いま)ペテロとヨハネとが宮に入って行くところを見て、しきり
に施しをもらいたいと頼んだ。"
"440304","
使徒 3:4","ペテロは、ヨハネと一緒に、その人に目をとめて言った、「わたし達
(の顔)を見なさい。」"
"440305","
使徒 3:5","彼が何かもらうことを予期して二人を見つめていると、"
"440306","
使徒 3:6","ペテロが言った、「金銀は持っていない。わたしの持っているもの、
それをやろう。──ナザレ人イエス・キリストの名で歩きなさい!」"
"440307","
使徒 3:7","そして右手でつかんで起こすと、たちどころに足と踝とが強くなり、
"
"440308","
使徒 3:8","踊り上がって立って、歩きまわった。そして彼らと一緒に宮に入っ
ていった、歩きまわりながら、踊りながら、神を讃美しながら。"
"440309","
使徒 3:9","民衆はことごとく、その人が歩きまわったり、神を讃美したりする
のを見て、"
"440310","
使徒 3:10","これが宮の美しい門のわきに坐っていて、施しを乞うていた者だと
気がつくと、その身に起こったことに、ただ驚き呆れるばかりであった。"
"440311","
使徒 3:11","(喜びのあまり)その人がペテロとヨハネとにすがりついているの
で、人々が皆びっくりして、いわゆるソロモンの回廊にいた二人の所へかけ集まってきた。
"
"440312","
使徒 3:12","ペテロが見て、人々に話しはじめた。「イスラエル人諸君、なぜこ
のことをそんなに驚くのですか、また、なぜそんなにわたし達を見つめるのですか、わた
し達が自分の力か信心で、この人を歩かせでもしたかのように。"                                       "440313","使徒 3:13","(わたし達の力ではありません。)“アブラハム、イサク、ヤコブの神、すなわちわた
し達の先祖の神が、”“その僕”イエス“に(こんな力のあることを示して、彼に)栄光を
お与えになったのです。”ところがあなた達は、このイエスを(総督ピラトに)引き渡し、
ピラトは赦そうと決心したのに、ピラトに面と向かって、あなた達は彼を否認しました。"
"440314","
使徒 3:14","ほんとうにあなた達はあの聖なる人、正しい人を否認し、人殺し(の
バラバの方)をゆるしてもらうようにと(総督に)願って、"
"440315","
使徒 3:15","(とうとう)命の先達(であるイエス)を殺してしまった。しかし
神はその方を、死人の中から復活させられました。わたし達はそのことの証人です。"
"440316","
使徒 3:16","そしてあなた達が現に見ており知っているこの人は、イエスの名を
信じたので、その名が彼(の足)を強くしたのであり、またその名によって働いた信仰が、
あなた達みんなの目の前で、彼を全快させたのです。"
"440317","
使徒 3:17","こんな次第だから、兄弟たちよ、あなた達は、(最高法院の)役人
たちも同様、知らないで、(命の先達を殺すようなあんなことを)したのだと、わたしは
知っています。"
"440318","
使徒 3:18","しかし神はすべての預言者の口をもって、その救世主が苦しみをう
けることを予告しておられたのであって、それをこんな風に成就されたのです。"
"440319","
使徒 3:19","だから(今すぐ)悔改めて、心を入れかえ(て主に帰り)なさい。
そうすればあなた達の罪が拭い去られる。"
"440320","
使徒 3:20","これは(また)主の御前から休息の時が来て、主があなた達のため
救世主として選ばれたイエスをお遣わしになるためです。"
"440321","
使徒 3:21","イエスは、神が遠い昔から聖なる預言者たちの口をもって仰せられ
た(とおりに、)万物が新しくなる時まで天が受け入れておかねばならないのです。"
"440322","
使徒 3:22","モーセは言いました、『“神なる主はあなた達の兄弟の中から、わた
しのような一人の預言者をあなた達のために起こされる。”あなた達に“語ることは何ご
とによらず、その言うことを聞け。”"
"440323","
使徒 3:23","”この預言者の言うことを聞かない者はだれでも、民の中から絶ち
ほろぼされる”』と。"
"440324","
使徒 3:24","また(モーセだけでなく)、サムエルとそれに続くすべての預言者
も、神の言葉を)語った者はみな、その(休息の)日のことを告げ知らせました。"
"440325","
使徒 3:25","あなた達はこれらの預言者の子であり、神がアブラハムに、“また
あなたの末(なる救世主)によって地上のすべての民族が祝福をうける”と仰せられて、
あなた達の先祖と結ばれた契約は、当然あなた達に適用があるのです。"
"440326","
使徒 3:26","そこで神はまずあなた達のためにその僕(イエス)を(モーセのよ
うな預言者として)起こして、お遣わしになりました。これはあなた達がひとりびとりそ
の悪から離れた時に、彼があなた達を祝福するようにというのです。」"
"440401","
使徒 4:1","二人が(なお)人々に話していると、祭司たちと宮の守衛長とサド
カイ人たちとが近寄ってきた。"
"440402","
使徒 4:2","二人が人々に教え、イエスを例に引いて死人の中から復活を宣言し
ているので、腹を立てたのである。"
"440403","
使徒 4:3","彼らは二人に手をかけて(捕え、)次の日まで留置した。もう夕方だ
ったからである。"
"440404","
使徒 4:4","しかし話を聞いた者の多数は信じたので、男の(信者の)数が五千
人ばかりになった。"
"440405","
使徒 4:5","次の日、(最高法院の)役人、長老、聖書学者たちがエルサレムに集
まって(会議が開かれ、)"
"440406","
使徒 4:6","大祭司アンナスとカヤパとヨハネとアレキサンデルと大祭司一族の
者すべても一緒に集まった。"
"440407","
使徒 4:7","そして二人を真中に立たせてたずねた、「お前たちはそもそも何の力、
また、だれの名で、あんな(病気を直すような)ことをしたのか。」"
"440408","
使徒 4:8","そこでペテロは聖霊に満たされて彼らにこたえた、「国の役人と長老
の方々、"
"440409","
使徒 4:9","わたし達がきょうお取り調べを受けるのが、あの病人に対する(わ
たし達の)善行のゆえ、(また、)何でこの人が直ったかということであるからには、"
"440410","
使徒 4:10","あなた方御一同はもとより、イスラエル国民全体も、このことを知
ってほしい。ナザレ人イエス・キリスト──あなた方が十字架につけ、神が死人の中から
復活させられた方──その名で、この人がよくなって、あなた方の前に立っているのです。
"
"440411","
使徒 4:11","この方は、(聖書にある)“大工の”あなた方から”投げ捨てられ、
隅の土台石になった石”です。"
"440412","
使徒 4:12","この方のほかのだれによっても救いはない。天下ひろしといえども、
わたし達が救われるべき名はこれ以外、人間に与えられていないからです。」"
"440413","
使徒 4:13","人々はペテロとヨハネとの大胆不敵な態度を見て、しかもそれが無
学な人間で、全くの素人であることがわかると、不思議でたまらなかった。そして彼らが
もとイエスの弟子であると知り、"
"440414","
使徒 4:14","また(足を)なおされた男が彼らと一緒に(そこに)立っているの
を見ると、なんの返事も出来なかった。"
"440415","
使徒 4:15","そこで彼らに命じて(しばらく)法院の議場から退場させたのち、
互に評議して"
"440416","
使徒 4:16","言った、「あの人たちをどうしよう。彼らが著しい(不思議な)徴
を行ったことは、エルサレムに住んでいる人全体に知れわたっていて、(いまさら)もみ
消しようもないから。"
"440417","
使徒 4:17","今はただ、このことがこのうえ民衆のあいだに噂にならぬよう、も
うこれ以上、だれにも、この(イエスの)名を使って話をしてはならぬとおどかそうでは
ないか。」"
"440418","
使徒 4:18","そこで二人を(また議場に)呼び出して、(今後)イエスの名を使
っては、絶対に口をきいても教えてもいけないと言い渡した。"
"440419","
使徒 4:19","ペテロとヨハネとが答えた、「神よりもあなた方の言うことを聞く
方が、神の前に正しいかどうか、判断してください。"
"440420","
使徒 4:20","わたし達は自分で見たり聞いたりしたことを、話さないわけにはゆ
かない。」"
"440421","
使徒 4:21","しかしながら彼らは二人を更におどかした上で赦した。罰する方法
が見つからなかったのであり、民衆の手前もあった。皆の者がこの出来事のために神を讃
美していたからである。"
"440422","
使徒 4:22","ことにこの癒しの徴が行われた人は、四十歳を越していた。"
"440423","
使徒 4:23","赦された二人は仲間の所に行って、(最高法院の)大祭司連や長老
たちが言ったことを報告した。"
"440424","
使徒 4:24","聞くと彼らはいっせいに、神に向かって声をはりあげて祈った、「主
よ、”あなたは、天と地と海とそれらの中の一切の物とをお造りになりました。”"
"440425","
使徒 4:25","あなたはわたし達の先祖、あなたの僕ダビデの口をもって、聖霊に
より、こう言われました。“なにゆえ異教人らは騒ぎたち民どもは空しいことをたくらむ
のか。"
"440426","
使徒 4:26","地上の王たちは勢ぞろいをし主権者たちは一緒に集まって主とその
(油注がれた)救世主とに反抗する。”"
"440427","
使徒 4:27","(そして、この預言は成就しました。)実際ヘロデ[アンテパス](王)
と(総督)ポンテオ・ピラトとは”異教人らや”イスラエル人の“民ども”と共に、“あ
なたに油を注がれて(救世主として聖別され)た、”あなたの聖なる僕イエスに敵対して
この(エルサレムの)都に“集まり、”"
"440428","
使徒 4:28","あなたの力強い御心をもって実現しようとあらかじめ定められてい
たことを、なしとげたからであります。"
"440429","
使徒 4:29","だから、今、主よ、彼らの(わたし達に対する)おどかしをよく御
覧ください。そして出来るかぎり大胆に御言葉を語る力を、(わたし達)あなたの僕ども
にさずけてください。"
"440430","
使徒 4:30","御手をのばして、あなたの聖なる僕イエスの名のゆえに、癒しや徴
や不思議なことを行わせてください。」"
"440431","
使徒 4:31","こう彼らが祈りおわると、(たちまち)集まっていた所が揺れ、だ
れもかれも聖霊に満たされて、大胆に神の言葉を語った。"
"440432","
使徒 4:32","信者の団体は一つ心一つ思いで、一人として持ち物を自分のものと
言わず、一切の物が共有であった。"
"440433","
使徒 4:33","また使徒たちは大なる力をもって主イエスの復活を証明し、(神
の)大きな恵みが彼ら一同の上にあった。"
"440434","
使徒 4:34","実際、彼らの中にはだれ一人乏しい者がなかった。なぜなら、地所
や家を持っている者はみな、それを売っては、売れた物の代金を持ってきて、"
"440435","
使徒 4:35","使徒たちの足元に置いたからである。それがひとりびとりの必要に
応じて分けあたえられた。"
"440436","
使徒 4:36","ヨセフは使徒たちからバルナバ[訳すれば「慰めの子」]とも言わ
れた、クプロ(島)生まれのレビ人であったが、"
"440437","
使徒 4:37","畑を持っていたので、売って、その金を持ってきて使徒たちの足元
に置いた。"
"440501","
使徒 5:1","ここにアナニヤというひとりの男は妻のサッピラと共に、地所を売
り、"
"440502","
使徒 5:2","その代金をごまかして、一部分(だけ)を持ってきて使徒たちの足
元に置いた。妻も承知の上であった。"
"440503","
使徒 5:3","するとペテロが言った、「アナニヤ、悪魔に心を占領され、聖霊に嘘
をついて地所の代金をごまかすとは、なんということだ。"
"440504","
使徒 5:4","(売らずに)のこしておけばあなたのもの、売れても、代金はあな
たの自由ではないか。なんでこんな(恐ろしい)ことを考えたのか。これは人間に嘘をつ
いたというよりは、神に嘘をついたのだ。」"
"440505","
使徒 5:5","アナニヤはこの言葉を聞くと、(その場に)倒れて息が絶えた。聞い
た者すべてに、大きな恐れが臨んだ。"
"440506","
使徒 5:6","若者たちは立って彼(の死体)を包み、かついでいって葬った。
"440507","
使徒 5:7","三時間ばかりたって、その妻がこんなことがあったとは知らずに入
ってきた。"
"440508","
使徒 5:8","ペテロが自分の方から彼女に向かって口を切った、「たずねるが、あ
なた達は(たしかに)これだけ(の値段)であの地所を売ったのか。」「そうです、それだ
けで」と彼女は答えた。"
"440509","
使徒 5:9","そこでペテロが彼女に、「なんであなた達はぐるになって主の御霊を
試したのか。そら、あなたの夫を葬りに行った者の足が(いま)門口に(帰って来て)い
る。あなたも(墓に)かついでゆかれるであろう。」"
"440510","
使徒 5:10","彼女はたちどころにペテロの足元に倒れて、息が絶えた。青年たち
は入ってきて彼女が死んでいるのを見ると、かついでいって夫のそばに葬った。"
"440511","
使徒 5:11","集会全体とこれを聞いた者すべてとに、大きな恐れが臨んだ。"
"440512","
使徒 5:12","また使徒たちの手で多くの徴や不思議なことが民衆の間におこなわ
れた。そして(使徒たちも信じた者も)皆が心を一つにしてソロモンの回廊に(集まって)
いた。"
"440513","
使徒 5:13","ほかの者は(なんとなく近寄りがたくて、)だれ一人敢えて彼ら(の
仲間)に加わろうとしなかったが、それでも民衆は彼らを尊敬していたので、──"
"440514","
使徒 5:14","ますます主を信ずる男女の群が(増し)加えられた──"
"440515","
使徒 5:15","その結果、人々は病人を大通りまでかついで来て寝床や担架の上に
ねかし、ペテロが(そこを)通るとき、そのうちのだれかが、せめて彼の陰にでもおおわ
れ(て病気を直され)るようにした。"
"440516","
使徒 5:16","またエルサレムの周囲の町々の住民が、病人や汚れた霊に苦しめら
れている者をつれて集まってきたが、一人のこらずなおされた。"
"440517","
使徒 5:17","すると大祭司と、その一派の者すなわちサドカイ派の者全体とは、
(これを見て烈しい)嫉妬にかられて立ち上がり、"
"440518","
使徒 5:18","使徒たちに手をかけて(捕え、)国の牢屋に入れた。"
"440519","
使徒 5:19","しかし主の使が夜、牢の戸をあけ、使徒たちをつれだして言った、
"
"440520","
使徒 5:20","「行け、そして宮に出ていって、この命の言葉をのこらず民衆に語
れ。」"
"440521","
使徒 5:21","彼らはこれを聞き、夜の明けるのを待って宮に入って教えはじめた。
その時、大祭司とその一派の者とは集まってきて、最高法院とイスラエルの子孫の全長老
会議とを召集した。そして使徒たちを引き出すために、牢屋に人をやった。"
"440522","
使徒 5:22","下役らが行って見ると、彼らは牢の中にいないので、引き返してき
て報告した、"
"440523","
使徒 5:23","「牢屋はとてもしっかり錠がかかっていて、戸の前にはそれぞれ牢
番が立っていました。しかしあけて見ると、中にはだれもいませんでした。」"
"440524","
使徒 5:24","宮の守衛長も大祭司連もこの言葉を聞くと、これはいったいどうな
ることかと、彼らのことですっかり不安になっていた。"
"440525","
使徒 5:25","ところへ人が来て、「御覧なさい、あなた方が牢に入れた人たちは、
(いま)宮に立って民衆を教えています」と報告した。"
"440526","
使徒 5:26","そこで守衛長は下役を連れて行って、彼らを(宮から)引いてきた。
しかし手荒いことはしなかった。(民衆が同情を寄せているので、)自分たち(の方)が石
で打ち殺されはしないかと、民衆を恐れたのである。"
"440527","
使徒 5:27","彼らを引いてくると、法院(の真中)に立たせた。大祭司が問うた、
"
"440528","
使徒 5:28","「あの(男の)名を使って教えてはならぬと(あれほど)堅く申し
付けておいたのに、こんなにエルサレム(中)をお前たちの教義で一ぱいにしてしまった。
お前たちはあの男の(流した)血(に対する罰)をわれわれに負わせようと思っているの
だろう。」"

"440529","使徒 5:29","ペテロを始め使徒たちが答えて言った、「人は人間(の命令)より
も神(の命令)の方に従うべきであります(から、神の命令にわたし達は従っているので
す)。"
"440530","
使徒 5:30","わたし達の先祖の神は、あなた方が(十字架の)“木にかけて”殺
害したイエスを復活させられました。"
"440531","
使徒 5:31","この方を神は、イスラエルに悔改めと罪の赦しとを与えるために、
(命の)先達また救い主として御自分の右に挙げられたのです。"
"440532","
使徒 5:32","わたし達はこれらの事柄の証人であります。神が御命令に従う者に
お与えになる聖霊も、同じくその証人であります。」"
"440533","
使徒 5:33","これを聞いた者たちは真赤になっておこり、彼らを殺そうと思った。
"
"440534","
使徒 5:34","そのとき、ガマリエルという、パリサイ人で、全国民に尊敬されて
いる律法学者である人が法院に立ち、その人たちを少しのあいだ外に出すようにと命じて、
"
"440535","
使徒 5:35","それから言った、「イスラエル人諸君、諸君はあの人たちに何をし
ようとしているのか、よく考えてみるがよかろう。"
"440536","
使徒 5:36","なぜなら、(御承知のとおり)さきごろチゥダが立って、自分を何
か(えらい者)のように言いふらしたので、彼に付いた男の数が四百人ばかりもあったが、
(間もなく)チゥダは殺され、その口車に乗った者は皆、散って跡形もなくなったからで
ある。"
"440537","
使徒 5:37","彼のあとで、人口調査の時にガリラヤ人ユダが立って、民衆を自分
の方におびき寄せて(謀反させ)た。しかし彼(自身)も滅び、その口車に乗った者は皆、
(蜘蛛の子のように)ちりぢりになってしまった。"
"440538","
使徒 5:38","だから今のところ、わたしは諸君に言う。あの人たちから手を引い
て、(そっと)放っておきなさい。それは、もしあの企てやすることが人間(の考え)か
ら出たものならば、(手を下すまでもなくひとりでに)ほろびるであろうし、"
"440539","
使徒 5:39","神から出たものなら、(どんなにしても)彼らをほろぼすことは出
来ないのだから。そうでないと、諸君は神に手向かう者にならぬとはかぎらない。」そこ
で彼らはその勧告に従って、"
"440540","
使徒 5:40","使徒たちを呼びいれて(鞭で)打ち、(今後決して)イエスの名を
使って話をしてはならないと命令して、釈放した。"
"440541","
使徒 5:41","さて、彼らは御名のために恥を受けるに足る者とされたことを喜び
ながら、法院から出ていった。"
"440542","
使徒 5:42","そして毎日、宮や家々で教えること、すなわち救世主イエスの福音
を伝えることを、やめなかった。"
"440601","
使徒 6:1","そのころ、(主の)弟子たち(の数)が次第にふえてきたため、ギリ
シヤ語を話す(外国そだちの)ユダヤ人からヘブライ語を話す(はえぬきの)ユダヤ人に
対して、自分の方の寡婦たちは、毎日の援助においてないがしろにされているという苦情
が出た。"
"440602","
使徒 6:2","そこで十二人(の使徒)は弟子の団体を呼びあつめて言った、「わた
し達(伝道を命ぜられた者)が、神の言葉を(伝える仕事を)放っておいて食卓の世話を
するのは適当でない。"
"440603","
使徒 6:3","それで兄弟たちよ、あなた達の中から御霊と知恵とに満ちた評判の
よい者を七人だけ、さがしてもらいたい。その人たちをこの役に任じよう。"
"440604","
使徒 6:4","わたし達は祈りと御言葉を伝えることに専念する。」"
"440605","
使徒 6:5","この言葉は会衆一同の賛成を得、信仰と聖霊とに満ちた人ステパノ
をはじめ、ピリポ、プロコロ、ニカノル、テモン、パルメナ、およびアンテオケの改宗者
ニコラオ(の七人)を選んで、"
"440606","
使徒 6:6","使徒たちの前に立たせた。使徒たちが祈って彼らに手をのせた。"
"440607","
使徒 6:7","こうして神の言葉は成長し、エルサレムにおける(主の)弟子の数
は猛烈にふえていった。また(ユダヤ教の)祭司までが大勢、従順に信仰を受けいれた。"
"440608","
使徒 6:8","さてステパノは恩恵と力とに満たされて、民衆の間で驚くべき不思
議なことや徴を行っていた。"
"440609","
使徒 6:9","すると解放奴隷、クレネ人、アレキサンドリヤ人の礼拝堂と言われ
る礼拝堂の人々や、キリキヤ(州)、(小)アジヤの人々があらわれてステパノと議論をし
たが、"
"440610","
使徒 6:10","知恵と御霊とによって語るステパノに太刀打ち出来なかった。"
"440611","
使徒 6:11","そこで彼らは人々をそそのかして、「わたし達はステパノが、モー
セと神とに冒涜の言葉を語るのを聞いた」と言わせた。"
"440612","
使徒 6:12","また民衆や、(最高法院の役人すなわち大祭司連、)長老、聖書学者
たちを煽動して、彼を襲ってとらえ、最高法院に引いてゆかせた。"
"440613","
使徒 6:13","そして偽りの証人を立ててこう言わせた、「この人はこの神聖な場
所[宮]と律法とをけがす言葉を語って、どうしてもやめない。"
"440614","
使徒 6:14","『あのナザレ人イエスはこの場所をこわし、モーセがわたし達に言
い伝えた慣例を変えるだろう』と彼が言うのを、わたし達は(この耳で)聞いたのだから。」
"
"440615","
使徒 6:15","法院に坐っていた者が皆ステパノに目をとめた。彼の顔がちょうど
天使の顔のように(輝いて)見えた。"
"440701","
使徒 7:1","大祭司がたずねた、「はたして事実その通りか。」"
"440702","
使徒 7:2","ステパノが言った。──「兄弟の方々、お父さん方、聞いてくださ
い。(御承知のように、)“栄光の神は、”わたし達の先祖アブラハムがカランに住む前、ま
だメソポタミヤにいるとき、現われて"
"440703","
使徒 7:3","“言われた、『あなたの国、あなたの親類から出て、わたしが示す地
に来い』と。”"
"440704","
使徒 7:4","そこでカルデヤ人の地(ウル)を出て、カランに住んだ。そしてそ
の父の死んだ後、そこから、今あなた方が住んでいるこの(カナンの)地に、神は彼を移
住させられた。"
"440705","
使徒 7:5","しかしそこには(何一つ)財産を、“一歩の幅の土地をすら、与えず、”
ただ“彼と彼の後の子孫とに、その地を所有として与えようと”約束されただけであった、
(その時まだ)彼には子が無かったのに。"
"440706","
使徒 7:6","すなわち神はこう語られた、“彼の子孫は他国に身を寄せ、人々は四
百年の間これを奴隷にし、虐待するであろう”と。"
"440707","
使徒 7:7","神は(また)言われた、“しかし彼らを奴隷にする国の人を、わたし
はかならず罰する。そしてその後、彼らはそこを出て、”この所(カナン)でわたしを礼
拝するであろう”と。"
"440708","
使徒 7:8","それから彼に“割礼の(規則の)契約を”お与えになった。こうし
てアブラハムは、イサクが生まれると(契約に従って)“八日目に割礼を施した。”イサク
の子はヤコブ、ヤコブの子は十二人の族長であった。"
"440709","
使徒 7:9","族長たちは“ヨセフをねたんで、エジプトに(奴隷に)売った。””
しかし“神は(いつも)ヨセフと一緒にいて、”"
"440710","
使徒 7:10","あらゆる苦難から救い出し、“エジプト王パロの前で”知恵をあら
わさせて“寵愛を得させられたので、”パロは彼をエジプトと王家全体とをつかさどる宰
相に任命した。”
"440711","
使徒 7:11 “するとエジプトとカナンとの全体に飢饉が来て、”大きな苦難が
臨み、わたし達の先祖たちは食糧が得られなかった。"
"440712","
使徒 7:12"“ヤコブはエジプトに穀類があると聞いて、”まず先祖たちをやった。
"
"440713","
使徒 7:13","二度目の時に、“ヨセフは自分のことを兄弟たちに打ちあけた。”そ
こでヨセフの素性がパロに知れた。"
"440714","
使徒 7:14","ヨセフは父ヤコブと親類全部、“合計七十五人を”(エジプトに)呼
びよせた。"
"440715","
使徒 7:15","ヤコブは“エジプトに下り、”“彼自身も”先祖たちも“(そこで)
死に、”"
"440716","
使徒 7:16","”(なきがらは)シケムに移され、”(前に)銀いくらかをもって、”
アブラハムがシケムでハモルの子らから買い取っておいた墓場に”納められた。"
"440717","
使徒 7:17","さて、神がアブラハムに約束された約束の時が近づくと、(イスラ
エルの)民はエジプトで、“増しかつふえた。”"
"440718","
使徒 7:18","ついに、“ヨセフのことを知らない、(新しい)ほかの王がエジプト
に出た。”"
"440719","
使徒 7:19","この王はわたし達の”同族に向かって悪巧みをし、”先祖たちにみ
どり児を捨てさせ、これを”生かしておか”ないような“ひどいことをした。”"
"440720","
使徒 7:20","ちょうどこの時にモーセが生まれた。神の目にさえ“美しい”子で
あった。“三月のあいだ”父の家で育てられたが、"
"440721","
使徒 7:21","(隠しきれなくなって)捨てられたとき、“パロの王女が(見つけ
て)拾いあげ、自分の子として”育てた。"
"440722","
使徒 7:22","モーセはエジプト人の知恵を残るところなく教えこまれ、その言葉
にも行いにも力があった。"
"440723","
使徒 7:23","四十歳になった時、“同胞イスラエルの子孫を”思う心がモーセに
起こった。"
"440724","
使徒 7:24","それで(ある日、同胞の)一人が(エジプト人に)いじめられてい
るのを見ると、その味方をし、“エジプト人を打ち殺して”虐待された者のために仕返し
をした。"
"440725","
使徒 7:25","モーセは(この出来事によって、)神が彼の手で同胞を救おうとし
ておられることを、みなが悟るものと考えた。しかし彼らは悟らなかった。"
"440726","
使徒 7:26","翌日、二人の人が喧嘩をしているところにモーセが現われて、仲直
りをさせようとして言った、『君たち、兄弟同士ではないか。なんで、なぐり合いをする
のか。』"
"440727","
使徒 7:27","“隣の人をなぐっていた方の者が”モーセを突きのけて言った、”『だ
れが君をわれわれの司令官や裁判官にしたのか。"
"440728","
使徒 7:28","君はきのうあのエジプト人をやっつけたように、わたしをやっつけ
ようと思っているのではあるまいね。』"
"440729","
使徒 7:29","この言葉を聞くとモーセは(恐ろしくなり、エジプトを)逃げ出し
て、ミデアンの地に身を寄せる者となり、”そこで(妻をめとって、)二人の男の子が生ま
れた。"
"440730","
使徒 7:30","それから四十年たったとき、シナイ“山の荒野で、燃える茨の薮の
焔の中で天使がモーセに現われた。”"
"440731","
使徒 7:31","モーセは見て、自分の目をうたがった。近寄ってよく見ようとする
と、主の御声が聞こえてきた、"
"440732","
使徒 7:32","『“わたしはあなたの先祖の神、アブラハム、イサク、ヤコブの神
(である)。”』モーセは震えて、よく見る勇気がなかった。"
"440733","
使徒 7:33","“すると主が彼に言われた、『足の靴をぬぎなさい。あなたが立っ
ている場所は聖なる地である。"
"440734","
使徒 7:34","エジプトにおるわたしの民が虐待されるのをわたしは見きわめた。
またその呻きを聞いた。そこで彼らを救い出すために(天から)下ってきたのだ。さあ、
今すぐエジプトに行きなさい。』”"
"440735","
使徒 7:35","このモーセこそは、“だれが君を司令官や裁判官にしたのか”と言
って拒絶された人であったが、この人を、神は茨の薮の中で彼に現われて天使の手をもっ
て、(イスラエルの)司令官また解放者として(エジプトに)遣わされたのである。"
"440736","
使徒 7:36","この人が、“エジプトの地で、”紅海で、また“四十年のあいだ荒野
で、”“不思議なことや徴を”行いながら、彼らをつれだしたのである。"
"440737","
使徒 7:37","この人が、イスラエルの子孫に、“神はあなた達の兄弟の中から、
わたしのような一人の預言者をあなた達のために起こされる”と言ったモーセである。"
"440738","
使徒 7:38","この人が、荒野の集会において、シナイ山で彼に語った天使とわた
し達の先祖との間の仲介者であり、(そこで)あなた達に伝えるべき生ける御言葉を(神
から)授かった人である。"
"440739","
使徒 7:39","しかし先祖たちは彼の言うことを聞こうとせず、かえって彼をはね
つけ、心は“エジプト(の偶像)にもどって、”
"440740","
使徒 7:40"“アロンに言った、『どうかわたし達を導いてゆく神々を造ってくだ
さい。エジプトの地からつれだしてくれたあのモーセは、(山にのぼって以来)消息がわ
からないから。』”
"440741","
使徒 7:41","その時“彼らは(金の)子牛を造って”その偶像に“犠牲をささげ、”
自分の手で造ったものを(おがんで)楽しんだ。"
"440742","
使徒 7:42","しかし神は彼らを見捨て、彼らが(まことの神の代りに)“天の星々
を”おがむに任せられた。預言書に書いてあるとおりである。“イスラエルの人たちよ、
あなた達が荒野の四十年のあいだに捧げた供え物や犠牲は、わたしにであっただろうか。
(それは星々にではなかったか。)
"440743","
使徒 7:43","あなた達はモロク(神)の幕屋や、ロンパ神の星など、自分で造っ
た(神々の)像をかつぎまわって”おがんだではないか。“だからわたしは(罰として)
あなた達を”バビロンの“向こうに移すであろう。”"
"440744","
使徒 7:44","わたし達の先祖は荒野において“証しの幕屋”をもっていた。これ
は“モーセに、(シナイ山で)見た型をまねて造るようにと語ったお方が”言いつけられ
たとおり(のもので、ここでこのお方はイスラエルの民に語られるの)であった。"
"440745","
使徒 7:45","この幕屋を先祖は受け継ぎ、神が異教人を先祖の前から追い払って
くださったので、その“領土(カナン)を占領した時には、”ヨシュアと共にそれを持ち
込み、ダビデ(王)の時代に至った。"
"440746","
使徒 7:46","ダビデは神の寵愛を受けたので、“ヤコブの神のために住いを造る
ことを”神に願ったが、"
"440747","
使徒 7:47","(実際に)“その家を建てたのは(子の)ソロモン(王)であった。
"
"440748","
使徒 7:48","しかし(それは御心にそむいたことで、)いと高きお方は(偶像と
ちがい、人間の)手で造ったものの中にはお住みにならない。預言者(イザヤ)が言うと
おりである。"
"440749","
使徒 7:49","“主は言われる、『天はわたしの御座、地はわたしの足台であるの
に、どんな家をわたしに建ててくれるのか、どこがわたしの憩いの場所か。"
"440750","
使徒 7:50","これらは何もかもわたしの手で造ったもの”ではないのか。』
""440751","
使徒 7:51"“頑固な、”心も耳も割礼も受けていない人たち!”あなた達はい
つも“聖霊に逆らってばかりいる、”先祖と同じにあなた達も。"
"440752","
使徒 7:52","先祖が迫害しなかった預言者が、一人でもあったというのか。先祖
は正しい人(イエス)の来ることを予告した人たちを殺し、今(その正しい人が来ると、)
あなた達は彼を裏切り、殺す者となった。"
"440753","
使徒 7:53","(不思議はない。)天使たちの命令(でモーセ)によって定められ
た律法を戴きながら、それを守らなかったあなた達のことだから!」"
"440754","
使徒 7:54","これを聞いて(法院にいた)人々は怒り心頭に発し、ステパノに向
かって歯ぎしりした。"
"440755","
使徒 7:55","しかしステパノは聖霊に満ちて天をじっと見つめ、神の栄光と神の
右に立っておられるイエスとを見ると、"
"440756","
使徒 7:56","「おお、天が開けた、人の子が見える、神の右に立っておられる!」
と言った。"
"440757","
使徒 7:57","すると彼らは大声で叫び、(冒涜の言葉を聞くまいとして)耳をふ
さぎ、一せいに襲いかかって、"
"440758","
使徒 7:58","彼を町の外に突き出し、石で打ち殺した。証人たちはぬいだ上着を
サウロという青年の足下に置い(て、番をさせ)た。"
"440759","
使徒 7:59","ステパノは打ち殺されながら、イエスの名を呼んで、「主イエス様、
わたしの霊をお受けください」と祈り、"
"440760","
使徒 7:60","それからひざまずいて、大声で叫んだ、「主よ、どうぞこの罪をこ
の人たちに負わせないでください!」こう言って、彼は眠りについた。"
"440801","
使徒 8:1","サウロは(石は投げなかったが、)ステパノを殺すことに賛成であっ
た。その日エルサレムの集会に対して大迫害がおこり、使徒たち以外(の信者)は皆、ユ
ダヤとサマリヤとの田舎に散らばった。"
"440802","
使徒 8:2","しかし信心深い人たちが(集まって)ステパノを埋葬し、彼のため
に盛大な哀悼の式を行った。"
"440803","
使徒 8:3","サウロは、しかし、集会をたたきつぶそうとして、(信者の)家とい
う家に押し入り、男女の別なく引っ張っていって牢に入れた。"
"440804","
使徒 8:4","さて(この迫害で各地に)散らばった者は、あるき回りながら御言
葉を伝えた。"
"440805","
使徒 8:5","一方、(世話役の一人であった)ピリポはサマリヤの町に下り、(そ
この)人々に救世主のことを説いた。"
"440806","
使徒 8:6","群衆全体が一人のようになって、ピリポの言葉に耳を傾けた。彼の
行った(不思議な)徴を聞いたり見たりしたからである。"
"440807","
使徒 8:7","実際、汚れた霊につかれている多くの人があったが、それが大声を
出して叫びながら飛び出したのである。多くの中風の者や足なえもなおされた。"
"440808","
使徒 8:8","その町は大喜びであった。"
"440809","
使徒 8:9","すると前からこの(サマリヤの)町にシモンという男がいて魔術を
行っていたが、自分を何か(神通力でもある)えらい者のように言いふらし、サマリヤの
住民をびっくりさせていた。"
"440810","
使徒 8:10","彼らは子供から年寄りに至るまで皆、シモン信者になり、「これこ
そいわゆる大能の(生き)神様だ」と言った。"
"440811","
使徒 8:11","彼らが(このように)シモン信者になったのは、かなり長い間魔術
でびっくりさせられていたからである。"
"440812","
使徒 8:12","しかしピリポが(来て)神の国とイエス・キリストの名とについて
福音を伝えると、男も女も(今度は)ピリポ(の言葉)を信じて(信仰に入り、)洗礼を
受けた。"
"440813","
使徒 8:13","ついにシモン自身も信じて洗礼を受け、いつもピリポにくっついて
いて、  いろいろな(不思議な)徴や大がかりな奇跡が行われるのを見て、呆気にとられ
ていた。"
"440814","
使徒 8:14","エルサレムにいた使徒たちは(ピリポによって)サマリヤ(の人々)
が神の言葉を受け入れたと聞くと、(さっそく)ペテロとヨハネとをそこにやった。"
"440815","
使徒 8:15","二人は下っていって、サマリヤの人々が聖霊を受けるようにと祈っ
た。"
"440816","
使徒 8:16","彼らには、まだだれにも聖霊が下っていなかったからである。ただ
主イエスの名で洗礼を受けていただけであった。"
"440817","
使徒 8:17","そこで二人が彼らに手をのせると、聖霊を受けた。"
"440818","
使徒 8:18","使徒たちが手をのせることによって御霊が授けられるのを見たシモ
ンは、二人に金を差し出して"
"440819","
使徒 8:19","言った、「手をのせれば、人が聖霊を戴くことのできるその力を、
わたしにも授けてください。」"
"440820","
使徒 8:20","ペテロがシモンに言った、「金もお前も地獄行きだ!神の(恩恵の)
賜物を金で手に入れようと考えたのだから。"
"440821","
使徒 8:21","お前はこの事の分け前にも相続にも、あずかれない。“心が”神の
目に“真直ぐでない”からだ。"
"440822","
使徒 8:22","だからこの悪いことを悔改めて、主に祈ったがよかろう。あるいは
お前の(曲った)出来心を赦していただけるかも知れない。"
"440823","
使徒 8:23","お前が“胆汁のような苦い心”また“不道徳の虜”になっているの
が、わたしに見えるからだ。」"
"440824","
使徒 8:24","シモンが答えて言った、「あなた方が、わたしのために主に祈って
ください、いま言われたことが決してわたしに起こらないように。」"
"440825","
使徒 8:25","さて使徒たちは証しをし、また主の言葉を語ったのち、エルサレム
に帰った。(道すがら、)多くのサマリヤ人の村々でも福音を伝えた。"
"440826","
使徒 8:26","時に主の使がピリポに言った、「立って、南の方に向かって行き、
エルサレムからガザ(の町)へ下る道に出よ。それは人通りの少ない道である。」"
"440827","
使徒 8:27","彼は立って出かけた。ちょうどそこに一人のエチオピヤ人が通りか
かった。この人はエチオピヤの女王カンダケの宮内官で、女王の全財産を監理している宦
官であったが、礼拝のためエルサレムに行って、"
"440828","
使徒 8:28","今はその帰り道であった。車の上に坐り、(声を出して)イザヤ預
言書を読んでいた。"
"440829","
使徒 8:29","御霊がピリポに、「行って、あの車にぴったりついて歩け」と言っ
た。"
"440830","
使徒 8:30","ピリポが駈けよってゆくと、その人がイザヤ預言書を読んでいるの
が聞こえたので、たずねた、「どうです、読んでおられるところが読めていますか。」"
"440831","
使徒 8:31","彼がこたえた、「だれかに手引をしてもらわねば、とてもわたしに
は読めません。」そして(車に)乗って一緒に坐ってもらいたいとピリポに頼んだ。"
"440832","
使徒 8:32","読んでいた聖書の文句はこれであった。“屠り場に引いてゆかれる
羊のように、毛を切る者の前に黙っている小羊のように、彼は口を開かない。"
"440833","
使徒 8:33","(しかし)謙遜によって裁きをまぬかれ(て死に勝っ)たのである。
だれが(地上にあふれるであろう)彼の子孫[信者]のことを語り得ようか。彼は(神の
右に坐るために)その命を地上から取り去られるのだから。”"
"440834","
使徒 8:34","宦官がピリポに答えた、「お願いです、この預言者はだれのことを
言っているのでしょうか。自分のことですか、それともだれかほかの人のことですか。(教
えてください。)」"
"440835","
使徒 8:35","そこでピリポは口を開いて、この聖書の句から始めて、イエスの福
音を伝えた。"
"440836","
使徒 8:36","そして道を進んでゆきながら、とある水辺に来ると、宦官が言う、
「水がある!洗礼を受けてはいけないでしょうか。」"
"440837","
使徒 8:37"[無シ]
"440838","
使徒 8:38","そこで車を止めさせ、ピリポと宦官は、二人とも水の中に下りて、
ピリポが宦官に洗礼を授けた。"
"440839","
使徒 8:39","しかし二人が水から上がると、主の御霊がピリポをさらっていった
ので、宦官はもう二度とピリポを見ることはなかった。彼は(救われたことを)喜びなが
ら、旅行をつづけたからである。"
"440840","
使徒 8:40","しかしピリポは(ガザの北)アゾトにあらわれ、(海岸の)町々を
のこらずあるき回って福音を伝えた末、カイザリヤに来た。(そしてそこに住んだ。)"
"440901","
使徒 9:1","(エルサレムの迫害はおわったが、)サウロはなおも主の弟子たちを
脅迫し殺害しようと息巻き、大祭司の所に行って、"
"440902","
使徒 9:2","ダマスコの多くの礼拝堂あての(全権委任の)添書を乞い求めた。
それは(ダマスコでキリストの)道(キリスト教)の者を見つけ次第、男女の別なく、縛っ
てエルサレムに引いてくるためであった。"
"440903","
使徒 9:3","ところが進んでいってダマスコに近づくと、突然、天から光がさし
て彼のまわりを照らした。"
"440904","
使徒 9:4","彼は地上に倒れ、「サウロ、サウロ、なぜわたしを迫害するのか」と
言う声を聞いた。"
"440905","
使徒 9:5","サウロが言った、「主よ、あなたはどなたですか。」彼がいわれた、「わ
たしだ、あなたが迫害しているイエスだ。"
"440906","
使徒 9:6","さあ起きて、町に入れ。そうすれば、せねばならぬことが告げられ
る。」"
"440907","
使徒 9:7","一緒に来た者たちは唖然としてそこに立っていた。声は聞いたが、
だれも見えなかったのである。"
"440908","
使徒 9:8","サウロは地から起きあがって目をあけたが、何も見えなかった。人々
が手を引いて、ダマスコにつれて行った。"
"440909","
使徒 9:9","三日のあいだ目が見えず、また食べも飲みもしなかった。"
"440910","
使徒 9:10","さて、ダマスコにアナニヤというひとりの(主の)弟子があった。
幻で主が彼に「アナニヤ」と言われた。アナニヤが言った、「はい、主よ。」"
"440911","
使徒 9:11","主が彼に、「立って『直線通り』に行き、ユダ(という人)の家に
いるサウロというタルソ人をさがせ。彼はいま祈っている。"
"440912","
使徒 9:12","幻で、アナニヤという人が入ってきて、自分に手をのせて目が見え
るようにしてくれるところを見たのだ。」"
"440913","
使徒 9:13","アナニヤが答えた、「(しかし)主よ、わたしは沢山の人から、その
人のことを聞きました。彼がエルサレムであなたの聖徒たちにした非道なことを一つのこ
らず。"
"440914","
使徒 9:14","そしてここでも彼は、あなたのお名前を呼ぶ者をだれかれの別なく
縛る全権を、大祭司連からもらっているのです。」"
"440915","
使徒 9:15","主が彼に言われた、「(恐れることはない。)行け。あの人は、異教
人と王たちとイスラエルの子孫との前に、わたしの名を運んでゆく(ために選んだ)わた
しの選びの器であるから。"
"440916","
使徒 9:16","その証拠として、わたしの名のためにどんなに多くの苦しみをうけ
ねばならぬかを、彼におしえてやる。」"
"440917","
使徒 9:17","そこでアナニヤは行って(ユダの)家に入り、サウロに手をのせて
言った、「兄弟サウロよ、主がわたしをお遣わしになったのです。あなたが(ここに)来
る途中、御自分を現わしてくださったあのイエスが!あなたの目が見えるようになるため、
また聖霊に満たされるためです。」"
"440918","
使徒 9:18","するとすぐ鱗のようなものがサウロの目から落ちて、見えるように
なり、立って洗礼を受けた。"
"440919","
使徒 9:19","そして食事を取って元気づいた。サウロは数日ダマスコの(主の)
弟子たちと一緒にいたが、"
"440920","
使徒 9:20","すぐあちこちの礼拝堂で、イエスのことを、この方こそ神の子であ
ると説きはじめた。"
"440921","
使徒 9:21","聞いた人が皆呆気にとられて言った、「この人は(前に)エルサレ
ムで、この(イエスの)名を呼ぶ者を撲滅しようとした人ではないか。またここに来たの
も、彼らを縛って、大祭司連に引いてゆくためだったではないか。」"
"440922","
使徒 9:22","しかしサウロはますます(その言葉に)力が加わり、この方こそ救
世主であると論証して、ダマスコに住んでいるユダヤ人をうろたえさせた。"
"440923","
使徒 9:23","だいぶ日数がたってから、ユダヤ人はサウロを殺そうと決議した。
"
"440924","
使徒 9:24","彼らの陰謀がサウロに知れた。しかし彼らはサウロを殺そうとして、
夜も昼も(町の)門を見張っていたので、"
"440925","
使徒 9:25","(主の)弟子たちは夜のあいだに彼を篭で吊りおろし、城壁づたい
に(門の外に)おろした。"
"440926","
使徒 9:26","サウロはエルサレムに来て、(そこの主の)弟子たち(の仲間)に
加わろうとしてみたけれども、みんなが彼をこわがった。(ほんとうに主の)弟子と信じ
なかったのである。"
"440927","
使徒 9:27","しかしバルナバは彼を受けいれて使徒たちの所につれて行き、彼が
(ダマスコへ行く)途中で主を見たこと、主が語られたこと、また(その後)ダマスコで
イエスの名で大胆に語ったことを彼らに話してきかせた。"
"440928","
使徒 9:28","そこで彼は(仲間に加えられ、)エルサレムで使徒たちと行き来を
し、主の名で大胆に語りつづけた。"
"440929","
使徒 9:29","またギリシヤ語を話す(外国そだちの)ユダヤ人とたえず語り、議
論をしていた。すると彼らは彼を殺そうと計画した。"
"440930","
使徒 9:30","兄弟たちはこれに気づいて、カイザリヤにつれて行き、(郷里キリ
キヤ州の)タルソへ送った。"
"440931","
使徒 9:31","さて、集会は(サウロの回心と共に)ユダヤ、ガリラヤ、サマリヤ
全体を通じて平和を得、基礎が固まり、主を恐れて日を過ごし、(迫害の後に)聖霊の慰
めをうけて信者の数がふえていった。"        
"440932","
使徒 9:32","ペテロは(それらの地方の)到る所をあるき回って(信者を訪問し
て)いたが、ルダに住む聖徒達の所にも下ってきた。"
"440933","
使徒 9:33","そこで、アイネヤという人が八年このかた床についているのを見た。
この人は中風にかかっていた。"
"440934","
使徒 9:34","ペテロが言った、「アイネヤよ、いまイエス・キリストがあなたを
お直しになった。立って、自分で床を敷きかえてみなさい。」彼はすぐ起きあがった。"
"440935","
使徒 9:35","ルダ(の町)とサロン(の野)との住民全体が彼(の直ったの)を
見た。この人たちは(みな)主(キリスト)に帰依した。"
"440936","
使徒 9:36","またヨッパ(の町)にタビタ、(ギリシヤ語に)訳するとドルカス
(羚羊)というひとりの女信者がいた。この人は山のような善行と慈善とをした人であっ
た。"
"440937","
使徒 9:37","そのころ病気になって死んだので、人々は(その体を)洗って二階
の部屋に置いた。"
"440938","
使徒 9:38","ところでルダはヨッパに近いので、(ヨッパの主の)弟子たちはペ
テロがそこにいると聞き、使を二人やって、「恐れ入りますがこちらにお出でいただきた
い」と願わせた。"
"440939","
使徒 9:39","ペテロは立って二人と一緒に行った。(ヨッパに)着くと、人々は
ペテロを二階の部屋に案内した。寡婦たちが皆彼のそばによって来て、ドルカスがまだ一
緒にいたとき作ってくれたかずかずの下着や上着を、泣きながら見せた。"
"440940","
使徒 9:40","ペテロはみんなを外に出し、ひざまずいて祈った。そして死体の方
を向いて、「タビタ、立ちなさい!」と言った。すると彼女は目をあけ、ペテロを見て起
きあがった。"
"440941","
使徒 9:41","彼は手をかして立たせ、聖徒や寡婦たちを呼んで、彼女が生きてい
ることを示した。"
"440942","
使徒 9:42","このことがヨッパ中に知れわたったので、大勢の人が主を信じた。
"
"440943","
使徒 9:43","ペテロは相当の日数、ヨッパでシモンという皮なめしのところに泊
まった。"
"441001","
使徒 10:1","さて、カイザリヤにコルネリオという人がいた。いわゆるイタリヤ
部隊の百卒隊の百卒長で、"
"441002","
使徒 10:2","家族一同と共に、敬虔であり敬神家[なかばユダヤ教に帰依した者]
であって、(ユダヤ)国民に多くの施しをし、また絶えず神に祈りをささげていた。"
"441003","
使徒 10:3","ある日の昼の三時ごろ、幻で、神の使が自分の所に来て「コルネリ
オ!」と言うのを、はっきり見た。"
"441004","
使徒 10:4","彼は天使を見つめたが、こわくなって言った、「主よ、何の御用で
しょう。」天使が言った、「あなたのかずかずの祈りと施しとは神のところまで上っていっ
て、(受けいれられ)記念されている。"
"441005","
使徒 10:5","さあすぐヨッパに人をやって、通り名をペテロというシモンを招け。
"
"441006","
使徒 10:6","その人はシモンという皮なめしのところに泊まっている。家は海岸
にある。」"
"441007","
使徒 10:7","天使がこう言って立ち去ると、コルネリオは僕二人と、従卒のうち
の敬虔な兵卒一人とを呼び、"
"441008","
使徒 10:8","(今あったことの)一部始終を話してきかせて、ヨッパにやった。
"
"441009","
使徒 10:9","翌日、彼らが旅行をつづけて(ヨッパの)町に近づいた昼の十二時
ごろ、ペテロは(いつもの通りに)祈りをしようとして、(平たい)屋根に上がった。"
"441010","
使徒 10:10","空腹をおぼえ、(何か)食べたいと思っていた。そして人々が(食
事の)支度をしているあいだに、ペテロは我を忘れた心地がして、"
"441011","
使徒 10:11","天が開け、大きな布のような器物が下ってきて、四隅で地上に吊
りおろされるのを見る。"
"441012","
使徒 10:12","その中にはすべての地の四足と爬虫類と、空の鳥とが入っていた。
"
"441013","
使徒 10:13","すると、「ペテロ、立って、これを殺して食べよ」という声がきこ
えてきた。"
"441014","
使徒 10:14","ペテロが言った、「主よ、決して!わたしは今までただの一度も、
不浄なものと汚れたものとを何一つ食べたことがありませんから。」"
"441015","
使徒 10:15","声がまた二度目にきこえてきた、「神がお清めになったものを、あ
なたが不浄なものとしてはならない。」"
"441016","
使徒 10:16","こんなことが三度あって、すぐ器物は天にあげられた。"
"441017","
使徒 10:17","ペテロがいま見た幻はいったい何(の意味)であろうかとひそか
に思いとどまっていると、その時、コルネリオからの使がシモンの家を尋ねだして玄関に
近寄り、"
"441018","
使徒 10:18","案内を乞うて、通り名をペテロというシモンがここに泊まっては
いないかとたずねた。"
"441019","
使徒 10:19","ペテロが(なおも)幻について考えこんでいると、御霊が言われ
た、「そら、二人の人があなたをたずねている。"
"441020","
使徒 10:20","さあ立って下りていって、すこしもためらわずその人たちと一緒
に行け。彼らはわたしが、よこしたのだから。」"
"441021","
使徒 10:21","そこでペテロはその人たちの所に下りていって、言った、「このわ
たしがおたずねのペテロです。お出での御用向きは。」"
"441022","
使徒 10:22","彼らが言った、「百卒長コルネリオは正しい人で敬神家で、ユダヤ
国民全体に評判のよい人ですが、聖なる天使から、あなたを家に招いて御言葉を聞けとの
お告げを受けたのです。」"
"441023","
使徒 10:23","そこでペテロは彼らを内に入れて、泊めた。翌日立って、彼らと
一緒に出かけた。ヨッパの数人の兄弟も一緒に行った。"
"441024","
使徒 10:24","翌日カイザリヤに着いた。コルネリオは親類や親しい友人たちを
呼びあつめて、待っていた。"
"441025","
使徒 10:25","ペテロが玄関に入ってくると、コルネリオは出迎え、足元にひれ
伏しておがんだ。"
"441026","
使徒 10:26","ペテロが起こして言った、「立ちなさい、このわたしも同じ人間で
す。」"
"441027","
使徒 10:27","そしてコルネリオと語り合いながら(部屋に)入り、多くの人が
集まってきているのを見ると、"
"441028","
使徒 10:28","彼らに言った、「御承知のとおり、(わたし達)ユダヤ人は他国人
と交際すること(はおろか、その家に)立ち寄ることを(すら)律法上許されない。しか
し神は(こんど)わたしに、どんな人をも不浄とか汚れているとか言ってはならぬとお示
しになった。"
"441029","
使徒 10:29","それゆえ(あなた達他国人から)呼ばれたとき、とやかく言わず
に来たのです。それでたずねるが、どういう理由でわたしを呼んだのですか。」"
"441030","
使徒 10:30","コルネリオが言った、「今から四日前のこの時刻、昼の三時に、わ
たしが家で祈りをしていると、突然、輝く着物を着た一人の人が前に立って、"
"441031","
使徒 10:31","言う、『コルネリオ、あなたの祈りは聞きいれられ、かずかずの施
しは神に記念されている。"
"441032","
使徒 10:32","ヨッパに使をやって、通り名をペテロというシモンを呼びよせよ。
その人は海岸の皮なめしシモンの家に泊まっている』と。"
"441033","
使徒 10:33","そこでさっそく迎えにあげたのです。お出でくださってありがた
い。それで今わたし達は皆神の前に出て、主があなたに命じられたことを残らずうかがお
うとしているのです。」"
"441034","
使徒 10:34","口を開いてペテロが言った、「本当に”神はえこ贔屓をするお方で
なく、”"
"441035","
使徒 10:35","神を恐れ、正しいことを行う人でさえあれば、どんな民族であろ
うと歓迎されることが、わたしにはよくわかっています。"
"441036","
使徒 10:36","“神は御言葉をイスラエルの”子孫に“おくり、”イエス・キリス
トをもって、“(御自分との間の)平和の福音を伝えられました。”──イエスは万人の主
であります。──"
"441037","
使徒 10:37","あなた達は(洗礼者)ヨハネが洗礼を説いた後、ガリラヤから始
まってユダヤ中にゆきわたった出来事を知っておられる。"
"441038","
使徒 10:38","すなわち、“神が”いかに聖“霊”と(大いなる)力と“をもって”
ナザレのイエスに“油を注がれ(て聖別され)た”か、このイエスが(あちらこちらを)
巡回しながら、恩愛を施し、悪魔におさえつけられている者を皆直されたかを。神がご一
緒におられたからです。"
"441039","
使徒 10:39","──(使徒たる)わたし達は、イエスがユダヤ人の地、ことにエ
ルサレムでされた一切のことの証人です。──このイエスを人々は“(十字架の)木にか
けて”処刑した。"
"441040","
使徒 10:40","(しかし)神はこの方を三日目に復活させ、(人の目にも)見える
ようにされた。"
"441041","
使徒 10:41","(ただし)国民全体でなく、神からあらかじめ選ばれていた証人
であるわたし達、すなわちイエスが死人の中から復活されたあとで、一緒に飲み食いした
者(だけ)に見えたのです。"
"441042","
使徒 10:42","そして神はわたし達に命じて、この方こそ神に定められた、生き
ている者と死んだ者との審判者であると、国民に説きまた証しさせられるのです。"
"441043","
使徒 10:43","預言者たちは皆、彼を信ずる者はことごとく、その名のゆえに罪
の赦しを受けることを、彼について証明しています。」"
"441044","
使徒 10:44","ペテロがまだこれらの言葉を話しおわらぬうちに、聖霊が全聴衆
に下った。"
"441045","
使徒 10:45","ペテロと一緒に来た割礼のある信者たちは、(割礼のない)異教人
にも聖霊の賜物が注がれたのに、あきれかえった。"
"441046","
使徒 10:46","彼らが霊言を語り、神をあがめているのを聞いたからである。そ
こでペテロが言った、"
"441047","
使徒 10:47","「わたし達と同じく聖霊を受けたこの人たちに、だれが洗礼の水
をこばむことが出来よう。」"
"441048","
使徒 10:48","そしてイエス・キリストの名で洗礼を受けるようにと彼らに命じ
た。それから彼らはペテロに頼んで、(なお)数日(そこに)泊まってもらった。"
"441101","
使徒 11:1","すると(割礼のない)異教人も神の言葉を受け入れたことが、使徒
たちとユダヤにいる兄弟たちとの耳に入った。"
"441102","
使徒 11:2","そこでペテロがエルサレムに上ってきた時、割礼のある者たちが詰
問して"
"441103","
使徒 11:3","言った、「あなたは割礼のない人たちの所に行って、一緒に食事を
したというではないか。」"
"441104","
使徒 11:4","ペテロは順序ただしく(次のように)説明をはじめた。"
"441105","
使徒 11:5","「(ある日)わたしがヨッパの町で祈りをしていると、(いつしか)
我を忘れた心地で幻を見た。大きな布のよう器物が四隅で天から吊られて下ってきて、つ
いにわたしの所まで来た。"
"441106","
使徒 11:6","(驚いて)それに目をとめ、よく見ていると、地の四足と野獣と爬
虫類と空の鳥とが見えた。"
"441107","
使徒 11:7","またこう言う声が聞こえた、『ペテロ、立って、これを殺して食べ
よ。』"
"441108","
使徒 11:8","わたしは言った、『主よ、決して!不浄なものや汚れたものを、わ
たしは今までただの一度も口に入れたことがありませんから。』"
"441109","
使徒 11:9","二度目に声が天から答えた、『神がお清めになったものを、あなた
が不浄なものとしてはならない。』"
"441110","
使徒 11:10","こんなことが三度あって、また一つのこらず天に引き上げられた。
"
"441111","
使徒 11:11","するとその時、さっそくカイザリヤ(の異教人コルネリオ)から
来た三人の使が、わたし達がいた家に近寄った。"
"441112","
使徒 11:12","御霊がわたしに、すこしもためらわずその人たちと一緒に行けと
言われた。この六人の兄弟もわたしと一緒に行って、わたし達はその人の家に入った。"
"441113","
使徒 11:13","するとその人は、天使がその家にあらわれ、『ヨッパに使をやって、
通り名をペテロというシモンを呼べ。"
"441114","
使徒 11:14","彼はあなたも家族一同も救われる御言葉を語ってくれる』と言う
のを見たことを、わたし達に報告した。"
"441115","
使徒 11:15","わたしが話を始めると、聖霊が彼らの上に下った、最初(あのペ
ンテコステの時)にわたし達に下ったように。"       
"441116","
使徒 11:16","わたしは主の言葉を思い出した──『ヨハネは水で洗礼を授けた
が、あなた達は聖霊で洗礼を授けられるであろう』と主は言われた。"
"441117","
使徒 11:17","だから主イエス・キリストを信じた彼らに、わたし達と同じ賜物
を神がお与えになった以上、何者なればわたしは神の邪魔をすることが出来よう。」"
"441118","
使徒 11:18","これを聞いて人々は沈黙し、「それでは異教人にも、神は(永遠の)
命を得させる悔改めをお与えになったのだ」と言って、神を讃美した。"
"441119","
使徒 11:19","さて、ステパノ(殉教)のためにおこった苦難の結果(エルサレ
ムから四方に)散らばった者たちは(あちらこちら巡回しながら)ピニケ(地方)、クプ
ロ(島)、(シリヤの都)アンテオケまでも行ったが、ただユダヤ人のほか、だれにも御言
葉を語らなかった。"
"441120","
使徒 11:20","しかしそのうちに数人のクプロ人とクレネ人とがいて、アンテオ
ケに行ったとき異教人にも語り、主イエスの福音を伝えた。"
"441121","
使徒 11:21","(神なる)主の御手が彼らに働き、多数の者が信じて主(イエス)
に帰依した。"
"441122","
使徒 11:22","この噂がエルサレムにある集会の耳に入ったので、彼らは(事を
確かめるため)バルナバをアンテオケに送った。"
"441123","
使徒 11:23","彼は行って神の恩恵(が注がれている有様)を見て喜び、決して
その決心を動かさず主を離れずにいるようにと、皆に勧めた。"
"441124","
使徒 11:24","バルナバという人はりっぱな、聖霊と信仰とに満ちた人であった
からである。そして大勢の人が主に導かれた。"
"441125","
使徒 11:25","彼はまたサウロを捜しにタルソに出かけ、"
"441126","
使徒 11:26","見つけると、アンテオケにつれてきた。そして二人は丸一年もの
あいだ(アンテオケ)集会に一緒にいて、大勢の人を教えた。このアンテオケではじめて
(主の)弟子たちをクリスチャンと呼んだ。"
"441127","
使徒 11:27","このころ預言者たちがエルサレムからアンテオケに下ってきたが、
"
"441128","
使徒 11:28","そのうちの一人のアガボという者が立って、全世界に大飢饉が来
ようとしていると御霊によって予言していたところ、はたして(皇帝)クラウデオの時に
あった。"
"441129","
使徒 11:29","そこで(主の)弟子たちはめいめい分相応、ユダヤに住んでいる
(気の毒な)兄弟たちに援助を送ることに決めた。"
"441130","
使徒 11:30","それを(すぐに)実行し、バルナバとサウロとの手で、(エルサレ
ムの)長老たちに送った。"
"441201","
使徒 12:1","そのころにヘロデ(・アグリッパ[一世])王は(エルサレム)集
会の者数人の迫害に手をつけ、"
"441202","
使徒 12:2","剣をもって(ゼベダイの子)ヨハネの兄弟のヤコブの首をはねた。
"
"441203","
使徒 12:3","これがユダヤ人の気に入ったのを見ると、なお続けてペテロをもつ
かまえさせ、──それは種なしパンの祭の時であった(ので)──"
"441204","
使徒 12:4","彼を捕らえたのち牢に入れ、四人組の(夜警の)兵卒四組に渡して
番をさせた。過越の祭のあとで、(裁判をする時)民衆の前に引き出すつもりであった。"
"441205","
使徒 12:5","それでペテロは(厳粛に)見張りをされて牢におり、集会からは彼
のため祈りが熱心に神にささげられていた。"
"441206","
使徒 12:6","(祭がすんだ夜、すなわち)ヘロデがペテロを引き出そうとしてい
た日の前夜、ペテロは二人の兵卒の間に二つの鎖につながれて眠っていた。また牢番らは
戸の前で牢を見張っていた。"
"441207","
使徒 12:7","するとそこに主の使があらわれて、光が部屋の中に輝いた。天使は
脇をつついてペテロを起こし、「早く立て」と言った。すると鎖が両手からはずれ落ちた。
"
"441208","
使徒 12:8","天使が言った、「裾をひきからげ、草鞋をはけ。」そのとおりにした。
また言う、「外套を着てついて来い。」"
"441209","
使徒 12:9","ペテロは(命じられるままに部屋を)出て、ついて行った。彼は天
使のしたことが現実のこととわからずに、ただ幻を見ていると思っていた。"
"441210","
使徒 12:10","第一、第二の見張り所を(無事に)通りすぎて、都に通ずる鉄の
門のところに来ると、それがひとりでにあいた。そこを出て、なお一つだけ通りを行くと、
たちまち天使は彼を離れた。"
"441211","
使徒 12:11","ペテロは我にかえって言った、「今はじめて事の真相がわかった。
主は天使を送って、ヘロデの手から、またユダヤ人たちが(危害を加えようと)待ち構え
ていたあらゆることから、救い出してくださったのだ」と。"
"441212","
使徒 12:12","こうだと解ったので、ペテロは通り名をマルコというヨハネの母
マリヤの家に行った。そこには大勢が集まって、(ペテロのために)祈っていた。"
"441213","
使徒 12:13","玄関の戸をたたくと、ロダという女中が取次に出てきたが、"
"441214","
使徒 12:14","ペテロの声と気づくや、あまりの嬉しさに玄関もあけずに(奥に)
駈けこんで、ペテロが玄関の前に立っていると知らせた。"
"441215","
使徒 12:15","人々は「あなたは頭が変だ」と言ったが、そうだと頑張るので、「(で
は)ペテロの(守り)天使だろう」と言った。"
"441216","
使徒 12:16","しかしペテロは戸をたたきつづけた。人々があけてペテロを見、
呆気にとられた。"
"441217","
使徒 12:17","ペテロは声を出さぬようにと手で合図をして、主が牢からつれだ
してくださったことを話してきかせ、また、「このことを(主の兄弟の)ヤコブと(集会
の)兄弟たちとに知らせてくれ」と言った。そしてそこを出て、別の所に行った。"
"441218","
使徒 12:18","朝になると、ペテロはいったいどうしたのだろうと、(見張りの)
兵卒のあいだに一方ならぬ騒ぎがあった。"
"441219","
使徒 12:19","ヘロデはペテロを捜したけれども見つからないので、(非常に怒っ
て自分で)牢番らを尋問したのち死刑に処するようにと命じ、ユダヤからカイザリヤに下
って滞在していた。"
"441220","
使徒 12:20","さて(このころ、)ツロ人とシドン人とはヘロデの烈しい怒りに触
れていたので、心を一つにして彼の所に来て、王の侍従ブラストに取り入って和解(のと
りなし)を乞うた。彼らの国は王の領地から食糧を得ていた(のに、それが出来なくなっ
た)からである。"
"441221","
使徒 12:21","そこでヘロデは定めの日に(銀の)王服をまとって王座に着き、
彼らに演説をした。"
"441222","
使徒 12:22","民衆が「(今のは)神様のお声だ、人間のではない」とどなった。
"
"441223","
使徒 12:23","(王はそれを喜んだ。)たちどころに主の使が彼を打った。神に栄
光を帰することをしなかった罰である。彼は(生きながら)蛆に食われて(とうとう)息
が絶えた。"
"441224","
使徒 12:24","こうして主の御言葉は成長し、信者の数はふえていった。"
"441225","
使徒 12:25","バルナバとサウロとは援助を終えると、通り名をマルコというヨ
ハネを連れて、エルサレムから(アンテオケに)帰った。"
"441301","
使徒 13:1","アンテオケにはそこの集会に、バルナバとニゲルと言われたシメオ
ン、クレネ人ルキオ、および領主ヘロデ(・アンテパス王)の幼な友達マナエンとサウロ
らの、預言者や教師がいた。"
"441302","
使徒 13:2","(ある日)彼らが主に祈りをし、断食をしていると、聖霊が言われ
た、「さあ、わたしがバルナバとサウロとを呼び出してさせようとしている仕事(異教人
の伝道)に、二人を聖別せよ。」"
"441303","
使徒 13:3","そこで人々は断食をし、祈りをしたのち、彼らに手をのせて旅立た
せた。"
"441304","
使徒 13:4","ところで二人は聖霊に遣わされて(アンテオケから)セルキヤに下
り、そこから(バルナバの郷里)クプロ(島)に船で渡った。"
"441305","
使徒 13:5","そしてサラミス(の町)につくと、あちこちのユダヤ人の礼拝堂で
神の言葉を宣べ伝えた。(通り名をマルコという)ヨハネが助手であった。"
"441306","
使徒 13:6","彼らは島中を巡回してパポスまで行き、(そこで)ひとりの魔術師
に出会った。ユダヤ人の偽預言者で、バルイエスといい、"
"441307","
使徒 13:7","地方総督セルギオ・パウロと親しかった。総督は物わかりのよい人
であった。バルナバとサウロとを招いて、神の言葉を聞きたいと願った。"
"441308","
使徒 13:8","しかし魔術師エルマは──エルマを訳すると「魔術師」──総督を
信仰に入れまいとして、しきりに二人に反対した。"
"441309","
使徒 13:9","するとサウロは──またパウロともいう──聖霊に満たされ、彼を
じっと見つめて"
"441310","
使徒 13:10","言った、「ああ、あらゆる悪巧み、あらゆるごまかしで一ぱいの、
この悪魔の子よ、あらゆる正しいことの敵よ、“主の真直ぐな道を”曲げることをやめな
いのか。"
"441311","
使徒 13:11","さあ、主の御手がお前の上にくだるのだ。お前は盲になって、時
が来るまで日の光が見えなくなる。」たちどころに暗い霞が彼の目にかかった。彼は手を
引いてくれる人を手さぐりでさがしまわった。"
"441312","
使徒 13:12","すると総督はこの出来事を見て、信者になった。主の教え(の力)
に驚いてしまったのである。"
"441313","
使徒 13:13","さてパウロの一行はパポスから船出して、パンフリヤ(州)のペ
ルガに着た。しかし(通り名をマルコという)ヨハネは(一緒に旅行することを喜ばず、)
二人を離れてエルサレムに帰った。"
"441314","
使徒 13:14","二人はペルガからさらに巡回をつづけて、ピシデヤ(地方)のア
ンテオケに来た。そして安息の日に(ユダヤ人の)礼拝堂に入って坐った。"
"441315","
使徒 13:15","律法と預言書との朗読がすんだ後、礼拝堂監督たちは二人に言わ
せた、「兄弟の方々、人々へ何か奨励の言葉をお持ちの方は、話してください。」"
"441316","
使徒 13:16","そこでパウロが立ち上がり、手で合図をして、それから言った。「イ
スラエル人諸君、ならびに敬神家の方々、聞いてください。"
"441317","
使徒 13:17","この民イスラエルの神はわたし達の先祖(アブラハム、イサク、
ヤコブ)を(約束の担い手として)選ばれた。そしてエジプトの地に身を寄せている間に、
この民(の数と力と)を大きくし、“強い御腕をもってそこからつれだし、”"
"441318","
使徒 13:18","およそ四十年の間“荒野で彼らを抱きかかえて育て、”"
"441319","
使徒 13:19",“カナンの地で七つの(異教の)民族を滅ぼし、”その地を“(彼ら
に)相続財産として与えて、”"
"441320","
使徒 13:20","およそ四百五十年たった。そののち、預言者サムエル(の現われ
る時)まで士師たちを与え(て治めさせ)られた。"
"441321","
使徒 13:21","それから彼らが王を求めたので、神はベニヤミン族の人、キスの
子サウルを四十年(王として)彼らに与えられた。"
"441322","
使徒 13:22","彼を退けたのちに、ダビデを立てて王にし、こう言って賞賛され
た、『エッサイの子“ダビデを見つけた。”“この人はわたしの気に入った。””なんでもわ
たしの思うことをするにちがいない”』と。"
"441323","
使徒 13:23","このダビデの子孫から、神は約束によりイエスを救い主としてイ
スラエルに来させられたが、"
"441324","
使徒 13:24","(洗礼者)ヨハネがその登場の先駆けをして、イスラエルの民全
体に悔改めの洗礼を前もって説いた。"
"441325","
使徒 13:25","そしてヨハネは(務めを果たして)走るべき道を終ろうとする時
に、『あなた達がそれだと考えている者は、わたしではない。今すぐわたしのあとから来
られる。わたしはその足の靴をぬがしてあげる資格もない者である』と言った。"
"441326","
使徒 13:26","兄弟の方々──アブラハムの子孫の方々と、あなた達の中の敬神
家の方々よ、(神から)わたし達に、この(イエスの)救いを知らせる“言葉は送られた
のです。”"
"441327","
使徒 13:27","なぜなら、エルサレムに住んでいる人と彼らの(最高法院の)役
人たちとは、この方がわからず、安息日のたびごとに朗読される預言者たちの言葉もわか
らずに、判決を下してそれを成就し、"
"441328","
使徒 13:28","死罪にあたるなんの罪も認められないにもかかわらず、ピラトに
願って彼を死刑にしてしまったのだから。"
"441329","
使徒 13:29","そして彼について(聖書に)書いてあることを一つのこらず完了
すると、(十字架の)木から(死体を)下ろして墓に納めた。"
"441330","
使徒 13:30","しかし神は彼を死人の中から復活させられ、"
"441331","
使徒 13:31","彼はガリラヤからエルサレムに一緒に上ってきた人たちに、幾日
もの間御自分をお現わしになったので、(この復活の主を目のあたり見た)この人たちが、
今(イスラエルの)民に対して彼の証人になっています。"
"441332","
使徒 13:32","わたし達も、先祖に与えられたこの約束の福音を、(こうして)あ
なた達に伝えているのです。"
"441333","
使徒 13:33","すなわち、『“あなたこそわたしの子、わたしがきょうあなたを生
んだ”』と詩篇第二にも書いてあるように、神はイエスを復活させて、子孫たるわたし達
にその約束を果たしてくださったことを。"
"441334","
使徒 13:34","なお、神がイエスをもう二度と朽ち果ててしまうことのない者と
して、死人の中から復活させられたことについては、『わたしは“ダビデに約束した永遠
不動の聖なる賜物[永遠の命]をあなた達に”与えよう』とこう言われた。"
"441335","
使徒 13:35","だから、(詩篇の)ほかの所でも『“(神よ、)あなたはあなたの聖
者(救世主)を朽ち果てさせられないであろう”』と言っている。"
"441336","
使徒 13:36","というのは、“ダビデは”彼の時代の人々に奉仕したのち神の御心
によって“眠り、先祖たち(の中)に”加えられて朽ち果てたのであるが、"
"441337","
使徒 13:37","神が復活させられたイエスは、朽ち果てられなかった。"
"441338","
使徒 13:38","だから兄弟の方々、このイエスによる罪の赦しがいまあなた達に
宣べ伝えられていることを、知ってください。モーセ律法では義とされることが出来なか
ったどんなことからでも、"
"441339","
使徒 13:39","信ずる者は一人のこらず、このイエスによって義とされるのです。
"
"441340","
使徒 13:40","だから預言書に言われていることが(あなた達に)起こらないよ
うに、気をつけなくてはいけない。"
"441341","
使徒 13:41","“(わたしの言葉を)軽んずる者たち、見ておれ、そして、たまげ
て、消えてなくなれ、私はあなた達の時に一つの事をする、どんなに話してきかせる者が
あってもあなた達が決して信じない”(恐ろしい裁きの)事である!(と神が言われたで
はないか。)」"
"441342","
使徒 13:42","二人が(礼拝堂を)出るとき、人々は次の安息日にこのことを話
してくれるようにと頼んだ。"
"441343","
使徒 13:43","集会がすむと、多数のユダヤ人と敬虔な改宗者とがパウロとバル
ナバについて来たので、二人は彼らと語って、(いつまでも)神のこの恩恵(の福音)を
はなれずにいるようにと熱心に説きすすめた。"
"441344","
使徒 13:44","その次の安息日には、ほとんど町中が神の言葉を聞きに集まって
きた。"
"441345","
使徒 13:45","すると(神の言葉は自分たちだけのものと思っていた)ユダヤ人
たちは、(異教人の)群衆を見て嫉妬にかられ、(イエスを)冒涜しながら、パウロの話す
ことに反対した。"
"441346","
使徒 13:46","そこでパウロとバルナバとは公然こう宣言した、「神の言葉は(お
約束どおり)まず第一に、君たち(ユダヤ人)に語られねばならなかった。(だから、そ
うしたのだ。)しかし君たちがそれをはねつけ、自分で自分を永遠の命にふさわしからぬ
者とするので、それでは、よし、異教人(の伝道)へ方向をかえる。"
"441347","
使徒 13:47","主はこのようにわたし達(伝道者)にお命じになっているから。“わ
たしはあなたを立てて異教人の光にした、あなたが地の果てまで救いを伝えるために。”」"
"441348","
使徒 13:48","これを聞いて異教人は喜び、主の言葉を讃美し、永遠の命へあら
かじめ定められていた者はみな信者になった。"
"441349","
使徒 13:49","こうして主の言葉がこの地全体に広まった。"
"441350","
使徒 13:50","しかしユダヤ人は敬神家の上流婦人や町の有力者をそそのかし、
パウロとバルナバとに向かって迫害を起こさせ、二人をその土地から追い出した。"
"441351","
使徒 13:51","二人は彼らに対し(縁を切った証拠に)足の埃を払いおとして(そ
こを去り、)イコニオムへ行った。"
"441352","
使徒 13:52","しかし(アンテオケの主の)弟子たちは(失望どころか、かえっ
て)歓喜と聖霊とに満たされていた。"
"441401","
使徒 14:1","イコニオムでも、二人は同じようにユダヤ人の礼拝堂に入って(御
言葉を)語ったところ、ユダヤ人とギリシヤ人との大勢の群が信者になった。"
"441402","
使徒 14:2","しかし信じようとしなかったユダヤ人は、(パウロ、バルナバだけ
でなく、)兄弟たち(全体)に対し、異教人の心を刺激して敵意を抱かせた。"
"441403","
使徒 14:3","それでも二人はかなり長い間(そこに)滞在していて、主を信じて
堂々と語り、主は彼らの手で徴や不思議なことをおこなわせながら、(彼らが説く)主の
(救いの)恩恵の言葉の正しいことを証明された。"
"441404","
使徒 14:4","すると町の住民が(二つに)割れ、ある者はユダヤ人に組し、ある
者は使徒たちに組した。"
"441405","
使徒 14:5","そして(とうとう)異教人とユダヤ人とが役人と一緒になって、彼
らをひどい目にあわせて石で打とうとする動きが起こると、"
"441406","
使徒 14:6","彼らはそれと気づき、ルカオニヤ(地方)の町であるルステラ、デ
ルベ、およびその周囲にのがれ、"
"441407","
使徒 14:7","そこで福音を説いていた。"
"441408","
使徒 14:8","当時ルステラに、足のきかない一人の男が坐っていた。母の胎内か
ら足なえで、まだ一度も歩いたことがなかった。"
"441409","
使徒 14:9","この人がパウロの話を聞いていると、パウロはじっと見つめ、(足
が)直るに必要な信仰があるのを見て、"
"441410","
使徒 14:10","大声で、「“自分の足で”まっすぐに“たちなさい!”」と言った。
すると(たちまち)躍って歩きまわった。"
"441411","
使徒 14:11","群衆はパウロがしたことを見て、声を張り上げ、ルカオニヤ弁で
「神様たちが人間の姿をして下ってこられた!」と言って、"
"441412","
使徒 14:12","バルナバをゼウス(の神)、パウロは重な話し手なのでヘルメス(の
神)と呼んだ。"
"441413","
使徒 14:13","また町の(門の)前にあるゼウス(神殿)の神主は、数匹の雄牛
と花輪とを門のところに持ってきて、群衆と共に犠牲を捧げようとした。"
"441414","
使徒 14:14","使徒たち、バルナバとパウロとはこれを聞いて、自分の上着を引
き裂き、群衆の中に飛び出していって、叫んだ、"
"441415","
使徒 14:15","「諸君、何をするのか。わたし達(二人)もあなた達と同じ人間
です。あなた達に福音を説いて、こんな(ゼウスなどのような命のない空な)偶像から離
れ、”天と地と海とそれらの中の一切の物とをお造りになった、”生ける(まことの)神に
転ずるようにしているのです。"
"441416","
使徒 14:16","過ぎた時代には、神はすべての異教人に自分の(好きな)道を歩
かせておられたが、"
"441417","
使徒 14:17","それでも、天から雨を振らせて実りの季節を与え、(豊かな)食べ
物の楽しみであなた達の心を満たすなど、かずかずの恩恵を施されたのであって、御自分
のことを証明せずにおられたわけではない。」"
"441418","
使徒 14:18","こう言って、やっと群衆をおし静め、自分たちに犠牲を捧げない
ようにした。"
"441419","
使徒 14:19","するとアンテオケとイコニオムとからユダヤ人がおしかけて来て、
群衆を説いて味方にし、パウロを石で打って町の外に引きずり出した。死んでしまったと
思ったのである。"
"441420","
使徒 14:20","(主の)弟子たちが(来て)彼を取り囲んで(見守って)いると、
(やがて)立ち上がり、町に入った。翌日バルナバと一緒にデベルへ向かって出発した。"
"441421","
使徒 14:21","二人は(しばらく)その町で福音を説き、だいぶ大勢弟子にした
ので、(来た道をもどり、)ルステラ、イコニオムを経て(ピシデヤの)アンテオケに引き
返した。"
"441422","
使徒 14:22","(道々主の)弟子たちの心を力づけ、いつまでも信仰に留まって
いるように、「神の国に入るには、わたし達は多くの苦難を通らねばならない」といまし
めた。"
"441423","
使徒 14:23","また(今度の伝道で生まれた)集会にはどこでも長老を選び、断
食をして祈って、(主の)弟子たちを彼らの信じている主にお任せした。"
"441424","
使徒 14:24","それからピシデヤを通ってパンフリヤ(州)に来、"
"441425","
使徒 14:25","ペルガで御言葉を語ったのち、アタリヤ(の港)に下り、"
"441426","
使徒 14:26","そこから(シリヤの)アンテオケに船で渡った。このアンテオケ
から、二人は神の恩恵にゆだねられて(伝道の)仕事に出発したのであったが、(いま見
事に)それを終え(て帰ってき)たのである。"
"441427","
使徒 14:27","彼らは(アンテオケに)着くと、集会の人々を集めて、神が自分
たちと一緒にいてしてくださったことをのこらず、また異教人に信仰への門を開いてくだ
さったことを、報告した。"
"441428","
使徒 14:28","そして相当長い間(そこの主の)弟子たちと一緒に過ごした。"
"441501","
使徒 15:1","すると(そのころ、)ユダヤ[エルサレム]から(アンテオケに)
下ってきて(そこの)兄弟に、「あなた達(異教人)も(わたし達と同じに、)モーセの慣
例に従って割礼を受けなければ、救われない」と教えた者があった。"
"441502","
使徒 15:2","そのためパウロ、バルナバとその人たちとの間に、相当大きく意見
が対立し争論がおこったので、この問題の(解決の)ため、パウロ、バルナバ、そのほか
の数人の者がエルサレムに上り、使徒、長老たちをたずねることに決まった。"
"441503","
使徒 15:3","さて一行は集会の人々に見送られて、ピニケ、サマリヤを通り、異
教人の改信(の様子)を詳しく話したので、(各地の)兄弟たちは皆大喜びであった。"
"441504","
使徒 15:4","エルサレムに着くと、集会の人々、使徒、長老たちの歓迎を受け、
神が自分たちと一緒にいてしてくださったことをのこらず報告した。"
"441505","
使徒 15:5","ところが信仰に入ったパリサイ派の者数人が立って、彼ら(異教人)
にも割礼を施すべきであり、モーセ律法を守るようにと命ずべきである、と言った。"
"441506","
使徒 15:6","使徒たちと長老たちとがこの事を解決するために集まった。(集会
の人々も一緒であった。)"
"441507","
使徒 15:7","長らく争論があったのち、ペテロが立ち上がって言った、「兄弟の
方々、(集会が出来た)始めの時から、神は異教人がわたしの口によって福音の言葉を聞
いて信ずるようにと、あなた達の間でわたしを選ばれたことは御承知のとおりである。"
"441508","
使徒 15:8","また、(人の)心を御存じの神は、(ユダヤ人たる)わたし達と同じ
く彼ら(異教人)にも、(信仰で救われる)証拠として聖霊を与え、"
"441509","
使徒 15:9","信仰によって彼らの心を清めて、わたし達と彼らとの間になんの差
別をもつけられなかった。"
"441510","
使徒 15:10","だからあなた達が、わたし達の先祖にもわたし達にも負いきれな
い(重い)軛を(異教人の主の)弟子たちの首にかけるのは、(信仰だけでよいと示され
る)神を試すことである。なぜそんなことをするのか。"
"441511","
使徒 15:11","わたし達は信ずる、主イエスの恩恵(だけ)でわたし達は救われ
る。彼らも同様である。」"
"441512","
使徒 15:12","すると会衆一同が黙った。そしてバルナバとパウロとが、自分た
ちをもって神がどんな徴や不思議なことを異教人の間で行われたかを話してきかせるのを、
(静かに)聞いていた。"
"441513","
使徒 15:13","二人の話が終った後、(主の兄弟の)ヤコブが発言した。"
"441514","
使徒 15:14","「兄弟の方々、聞いてもらいたい。シメオン[ペテロ]は(集会
が出来た)始めに、神がいかに御心にかけて、異教人のうちから御自分のために一つの民
を得られたかを話してくれたが、"
"441515","
使徒 15:15","預言者たちの言葉はそれと一致している。(ある所に)こう書いて
ある。"
"441516","
使徒 15:16","“そのあとで[最後の日に]わたしは(イスラエルの民を)顧み
て”“倒れたダビデの幕屋[王国]を建てなおす、その崩れた所を建てなおして幕屋を再
建する、"
"441517","
使徒 15:17","これは残りの人々、すなわちわたしの名をもって呼ばれるすべて
の異教人にも、主をさがし出させるためである。このことをされる主はこう言われる、"
"441518","
使徒 15:18","“遠い昔から知っておられて。”"
"441519","
使徒 15:19","(このように、主は世の初めから、最後の日の御国に異教人を招
こうとしておられるのである。)だからわたしはこういう意見である。異教人の中から(わ
れわれの)神に転ずる人たちを、(面倒なモーセ律法で)困らせてはならない。"
"441520","
使徒 15:20","ただ偶像に(供えて)穢された物と、(近親との)不品行と、締め
殺した動物(を食べること)と、血とを避けるべきであると書き送ったがよかろう。"
"441521","
使徒 15:21","なぜならば、モーセ(律法)は古い時代から町ごとにこれを説く
者たちがあって、安息日のたびごとに礼拝堂で朗読されているからである。」"
"441522","
使徒 15:22","そこで、使徒と長老とは集会全体と共に、自分たちのうちから人
を選んで、パウロ、バルナバと一緒に、アンテオケに派遣することに決した。そして兄弟
たちの間で重んじられていた二人、バルサバと言われたユダとシラスとが選ばれ、"
"441523","
使徒 15:23","こう書いて彼らに託された。「あなた達の兄弟である使徒と長老と
から、アンテオケをはじめシリヤとキリキヤとにある異教人出の兄弟たちに敬意を表する。
"
"441524","
使徒 15:24","聞くところによると、当方の者たちが(御地に行き、)われわれの
指図なしにいろいろなことを言ってあなた達を騒がせ、あなた達の心を乱したそうである
から、"
"441525","
使徒 15:25","われわれは衆議一決、人を選んで(書面を持たせ、)愛するバルナ
バとパウロとの供をさせて、あなた達の所に派遣することにした。──"
"441526","
使徒 15:26","この両人は(御承知のように)われわれの主イエス・キリストの
御名のために命を捧げている人である。──"
"441527","
使徒 15:27","それでいまユダとシラスとを派遣するが、彼らも口頭で(この書
面と)同じことを伝えるであろう。"
"441528","
使徒 15:28","聖霊とわれわれとは、必要欠くべからざる次のもののほか、それ
以上のいかなる重荷をもあなた達に負わせないことに決した。"
"441529","
使徒 15:29","すなわち偶像に供えた物と、血と、締め殺した動物(を食べるこ
と)と、(近親との)不品行とを避けること。これらのことによって身を汚されずにおれ
ば、よろしい。敬具。」"
"441530","
使徒 15:30","さて彼ら(四人)は別れを告げてアンテオケに下り、(集会の全)
会衆を集めて手紙を渡した。"
"441531","
使徒 15:31","人々はこれを読み、励ましを得て喜んだ。"
"441532","
使徒 15:32","ユダとシラス自身も預言者であったから、さまざまの話をして兄
弟たちを励まし力づけた。"
"441533","
使徒 15:33","二人は(ここでしばらく)時を過ごしたのち、兄弟たちに(旅路
の)平安を祈られて別れを告げ、彼らを派遣した(エルサレムの)人たちの所に帰ってい
った。"
"441534","
使徒[15:34無シ]
"441535","
使徒 15:35","しかしパウロとバルナバとはアンテオケに滞在して、ほかの多く
の人たちと共に、主の御言葉を教えまた伝えていた。"
"441536","
使徒 15:36","数日の後、パウロはバルナバに言った、「さあ、もう一度行って、
前に主の御言葉を伝えておいたすべての町の兄弟たちがどうしているか、見てこようでは
ないか。」"
"441537","
使徒 15:37","ところで、バルナバは(今度も)マルコというヨハネを連れてゆ
こうと思ったのに、"
"441538","
使徒 15:38","パウロは、(前の旅行の時)パンフリヤから自分たちを離れて、一
緒に仕事に行かなかったような者を、連れてゆくべきでないと頑張った。"
"441539","
使徒 15:39","それで烈しい仲違いになり、そのため二人は別れ別れになって、
バルナバはマルコを連れ、(前回と同じく郷里)クプロへ船で出発した。"
"441540","
使徒 15:40","パウロはパウロでシラスを選び、兄弟たちから主の恩恵にゆだね
られて出発し、"
"441541","
使徒 15:41","シリヤ、キリキヤを通りながら、あちこちの集会を力づけた。"
"441601","
使徒 16:1","それからパウロはデルベとルステラとに行った。すると、そこ[ル
ステラ]にテモテという(主の)弟子がいた。信者であるユダヤ婦人と異教人の父とのあ
いだの子で、"
"441602","
使徒 16:2","ルステラやイコニオムの兄弟たちの間に評判がよかった。"
"441603","
使徒 16:3","パウロはこの人を連れて行きたいと思ったので、そのあたりにいる
ユダヤ人に気兼ねして、彼に割礼を施した。父が異教人であることをだれもが知っていた
からである。"
"441604","
使徒 16:4","パウロの一行はこれらの町々を通る時、(その地の異教人出の)信
者たちに、エルサレムの使徒と長老とがさきに取り決めた規則を守るようにと言い渡した。
"
"441605","
使徒 16:5","さてもろもろの集会は信仰を強められ、日ごとに(信者の)数を増
していった。"
"441606","
使徒 16:6","それから彼ら[パウロ一行]は(始め西海岸の各地に向かおうと計
画したが、)アジヤで御言葉を語ることを聖霊に禁じられたので、(北に行くことにして、)
フルギヤ(地方)とガラテヤ地方とを通った。"
"441607","
使徒 16:7","ムシヤ(地方)の境まで来たとき、(さらに北の)ビテニヤ(州)
に進もうとしてみたけれども、(これも)イエスの御霊が許されなかったので、"
"441608","
使徒 16:8","(急いで)ムシヤを横切り、トロアス(の港)に下った。"
"441609","
使徒 16:9","すると(そこである)夜、パウロに幻が見えた。それはひとりのマ
ケドニヤ人で、(わきに)立ち、こう言って頼んだ、「(すぐ)マケドニヤに渡ってきてわ
たし達を助けてください。」"
"441610","
使徒 16:10","パウロがこの幻を見た時、わたし達(一七節マデノ「ワタシ達記
録」ノ記者ヲ含ムパウロ一行)はさっそくマケドニヤ州に出かけることにした。マケドニ
ナの人に福音を説くために、神はわたし達を呼び出されたのだという結論に達したからで
ある。"
"441611","
使徒 16:11","そこでわたし達はトロアスから船出してサモトラケ(島)に直航
し、翌日ネアポリス(の港)についた。"
"441612","
使徒 16:12","そこから(歩いて、)マケドニヤ第一区の町で(ローマの)植民地
であるピリピに行った。わたし達は数日この町に滞在していた。"
"441613","
使徒 16:13","安息の日に、わたし達は(町の)門を出て川ばたにいった。祈り
場がありそうに思ったのである。そして(そこに)坐って、集まってきた婦人たちに話を
した。"
"441614","
使徒 16:14","するとテアテラ町の紫毛織物の商人で、敬信家のルデヤという婦
人が聞いていたが、主はその心を開いてパウロの話に耳を傾けさせられた。"
"441615","
使徒 16:15","彼女が家族と共に洗礼を受けた時、「あなた達がもしわたしを(ほ
んとうに)主を信ずる者とお考えなら、家に来て泊まってください」と言って願い、わた
し達を無理に連れていった。"
"441616","
使徒 16:16","また(ある安息日に、)わたし達は祈り場に行く途中、占いの霊に
つかれたひとりの女奴隷に出合った。この女は占いをして、主人たちに多くの収益を得さ
せていた。"
"441617","
使徒 16:17","パウロとわたし達とのあとについて来て、叫んで言った、「この人
たちはいと高き神の僕です。あなた達に救いの道を伝えられるのです。」"
"441618","
使徒 16:18","幾日も幾日もこうして止めなかったので、ついにパウロは腹を立
て、振り向いてその霊に言った、「イエス・キリストの名で、女から出てゆくことをお前
に命ずる。」するとその瞬間に霊は出ていった。"
"441619","
使徒 16:19","女の主人たちは収益の望みが無くなったのを見て(憤り、)パウロ
とシラスとをつかまえて広場に引っ張ってゆき、役人のところに来て"
"441620","
使徒 16:20","長官たちの前に引き出して言った、「この人たちは(新しい教えを
持って来て)わたし達の町をかき乱しています。ユダヤ人であって、"
"441621","
使徒 16:21","ローマ人たるわたし達が採用しても実行してもよくない習慣を宣
伝しています。」"
"441622","
使徒 16:22","群衆も一緒に立って二人に迫ったので、(あわてた)長官たちは(取
り調べもせずに、)二人の上着をはぎ取って笞で打つようにと命じ、"
"441623","
使徒 16:23","ひどく打たせたのち、牢に入れて、牢番に手抜かりなく見張りを
するようにと命令した。"
"441624","
使徒 16:24","こんな(きびしい)命令を受けたので、牢番は二人を一番奥の牢
に入れ、足に足枷をはめた。"
"441625","
使徒 16:25","パウロとシラスとは夜中ごろ、祈りながら神の讃美の歌をうたっ
ていた。囚人どもは聞き入っていた。"
"441626","
使徒 16:26","すると突然大地震がおこり、牢屋の土台が揺れた。あっと言う間
に戸が皆あいて、すべての囚人の繋ぎが解けてしまった。"
"441627","
使徒 16:27","牢番は目を覚まし、牢の戸があいているのを見ると、囚人どもが
逃げたものと思い、剣を抜いて自決しようとした。"
"441628","
使徒 16:28","するとパウロが大声を出して言った、「早まったことをしなさるな。
みんなここにいるのだから。」"
"441629","
使徒 16:29","牢番は明りを持って来させて(牢の中に)駈けこみ、震えながら
パウロとシラスとの前にひれ伏した。"
"441630","
使徒 16:30","そして二人を外につれだして言った、「先生方、救われるにはどう
しなければならないのですか。」"
"441631","
使徒 16:31","二人が言った、「主イエスを信じなさい。そうすればあなたも家族
も救われる。」"
"441632","
使徒 16:32","そして彼に、家中の者も一緒にして、神の言葉を語った。"
"441633","
使徒 16:33","すると夜のそんな時刻であったが、牢番は二人を(井戸端に)連
れていって打ち傷を洗い、一家こぞってその場で洗礼を受けた。"
"441634","
使徒 16:34","なお二人を(二階にあった)その家に案内してご馳走をし、自分
が神を信ずる者となったことを全家族と共に大いに喜んだ。"
"441635","
使徒 16:35","朝になると、長官たちは警官らを使にやって、「あの人々を釈放せ
よ」と言わせた。"
"441636","
使徒 16:36","牢番はこの言葉をパウロに報告した、「長官たちがあなた方を釈放
するようにと使をよこしました。だからすぐお出なさい、”さよなら、平安あれ。”」"
"441637","
使徒 16:37","しかしパウロは警官らに言った、「長官たちは(いやしくも)ロー
マ市民たるわたし達を、(正式の)裁判もせず公然となぐって、牢に放り込んでおきなが
ら、今になってこっそり出そうとするのか。いけない、実に!自分が来て、わたし達をつ
れだしたらよかろう。」"
"441638","
使徒 16:38","警官らがこの言葉を長官たちに報告すると、ローマ市民であると
聞いて恐れをなし、"
"441639","
使徒 16:39","来て二人を宥め、(牢から)つれだした上、町を立ち去ってもらい
たいと頼んだ。"
"441640","
使徒 16:40","二人は牢を出ると、ルデヤの所に行き、兄弟たちに会って励まし
たのち、(町を)出ていった。"
"441701","
使徒 17:1","彼らはアムポリスとアポロニヤ(の町々)を通過してテサロニケに
行った。そこにはユダヤ人の礼拝堂があった。"
"441702","
使徒 17:2","パウロはいつものとおり入っていって、三度の安息日に聖書に由っ
て彼らに話をした。"
"441703","
使徒 17:3","すなわち救世主は苦しみを受けて(十字架の上に死に、)死人の中
から復活せねばならなかったこと、また、「わたしがあなた達に宣べ伝えているイエス、
この人こそ救世主である」と説き明かし、論証した。"
"441704","
使徒 17:4","すると、中には信じて、パウロとシラスとに従った者もあった。な
お敬神家の異教人の大勢の群と、少なからぬ有力な婦人たちも従った。"
"441705","
使徒 17:5","しかしユダヤ人は嫉妬のあまり、下層社会の無頼漢らと語らって野
次馬を集め、町(中)を騒がせた。そしてヤソンの家に押しかけて、二人を民衆の前に引
き出そうとした。(ヤソンがかくまっていると思ったのである。)"
"441706","
使徒 17:6","しかし見つからないので、ヤソンと(主の)兄弟数人とを町役人た
ちの前に引っ張っていって、叫んだ、「帝国中をひっかき回したあの人たちがここにも来
ているのを、"
"441707","
使徒 17:7","このヤソンが(家に)かくまっています。あの人たちは皆(ローマ
の皇帝のほかに)イエスという別の王があると言って、帝国の勅令にそむいた行動をして
いるのです。」"
"441708","
使徒 17:8","これを聞いて群衆と町役人とは動揺し、"
"441709","
使徒 17:9","町役人はヤソンとほかの人たち[主の兄弟]から保証金を取った上
で、彼らを釈放した。"
"441710","
使徒 17:10","(テサロニケの)兄弟たちはすぐ夜の間に、パウロとシラスとを
ベレヤへ送り出した。二人はそこに着くと、ユダヤ人の礼拝堂に行った。"
"441711","
使徒 17:11","ここの人たちはテサロニケの者よりもりっぱであり、非常な熱心
をもって御言葉を受け入れ、はたしてその通りであるかどうかと、毎日聖書を調べた。"
"441712","
使徒 17:12","だから彼らのうちの多くの者が信じた。異教人の上流婦人や男子
で、信じた者も少なくなかった。"
"441713","
使徒 17:13","しかしテサロニケのユダヤ人たちは、ベレヤでもパウロによって
神の言葉が宣べ伝えられていることを知ると、やって来て、ここでも群衆をそそのかし、
動揺させた。"
"441714","
使徒 17:14","そこですぐ、(危険を感じた)兄弟たちはパウロを送り出して海の
方へ行かせた。シラスとテモテとはベレヤにのこった。"
"441715","
使徒 17:15","パウロの供をした人たちはアテネに送りとどけると、シラスとテ
モテとに出来るだけ早く来るようにとの言付けを受けて、帰った。"
"441716","
使徒 17:16","パウロはアテネで二人を待っているあいだに、都が偶像だらけで
あるのを見て、その心が怒りに燃えた。"
"441717","
使徒 17:17","それで、礼拝堂ではユダヤ人や敬神家たち、また広場では毎日毎
日そこに居合わせた人たちに、話をした。"
"441718","
使徒 17:18","数人のエピクロス派やストア派の哲学者も彼と会談したが、「この
お喋りはいったい何が言いたいのだろう」と言う者もあれば、「どうも外国の神々の宣伝
者らしい」と言う者もあった。パウロがイエスと復活のこととを伝えていたからである。"
"441719","
使徒 17:19","そこで彼を引っ張ってアレオパゴス[アレスの丘]法院につれて
ゆき、こう言った、「あなたが語っているその新しい教義はいったい何か、教えてもらう
訳にゆくまいか。"
"441720","
使徒 17:20","なんだか妙なことをわたし達の耳に入れるのだから。それで、そ
れはどういうことか知りたいと思う。」――
"441721","
使徒 17:21","アテネ人は皆、またそこに来て仮住いしている外国人も、何か新
しいことを言ったり聞いたりすることばかりに、時間をつぶしていたのである。──"
"441722","
使徒 17:22","パウロはアレオパゴス法院の真中に進み出て言った。「アテネ人諸
君、あなた達はどの点からしても、最高に信心深いようにわたしには見えます。"
"441723","
使徒 17:23","その証拠には、町を通りながらあなた達の聖殿を注意して見てい
たところ、知らぬ神に(献ずる)という銘のある祭壇すらありました。だからあなた達が
(こうして)知らずに敬っているもの、それをわたしは伝えよう。"
"441724","
使徒 17:24",世界“とその中のもの”すべて“とをお造りになった神は天地の”
主であられるので、(人間の)手で造った宮などにお住みにならない。"
"441725","
使徒 17:25","また何か不自由があるかのように、人間の手によって奉仕される
ことはない。(むしろ反対に、)彼みずからすべての者に命と“息”と(その他)すべての
ものとを“お与えになる”のだから。"
"441726","
使徒 17:26","また一人の人(アダム)から万国民を造り、一定の時期[四季]
と住いの限界とを定めて、彼らを地の全面に住まわせられた。"
"441727","
使徒 17:27","これは神をさがし求めさせるためであって、こうしてあるいは手
探りで彼を発見することもあろうかとの大御心である。また実際のところ、神はわたし達
一人一人から遠く離れてはおられない。"
"441728","
使徒 17:28","わたし達は彼の中に生き、動き、また存在するのだから。あなた
達の詩人たちも言っているとおりです。われわれもそのお方[神]の子孫であるから。"
"441729","
使徒 17:29","だから、わたし達は神の子孫、(すなわち神に造られた者)である
以上、神性を金や銀や石など、(わたし達)人間の技巧や考えで刻んだものに似ていると
考えてはならない。"
"441730","
使徒 17:30","ところで神は(こんな)無知な時代を大目に見ておられるが、今
や人類に対し、どこの者でも皆、悔改めねばならないことをお告げになっています。"
"441731","
使徒 17:31","神は一つの日を決め、その日に御自分の定めた一人の人(イエス)
を使って“正しく(全)世界を裁こうと”計画しておられるからです。そして彼を死人の
中から復活させて、すべての人に(彼が世界を裁くべき人であるという)その保証をお与
えになったのであります。」"
"441732","
使徒 17:32","死人の復活と聞くと、嘲る者もあり、「そのことはまたいつかあな
たに聞こう」と言う者もあった。"
"441733","
使徒 17:33","こんなことで、パウロは彼らの中から出ていった。"
"441734","
使徒 17:34","しかし数人の者は、弟子になって信仰に入った。その中にはアレ
オパゴス法院の裁判官デオヌシオと、ダマリスという婦人と、なおその他の人がいた。"
"441801","
使徒 18:1","その後パウロはアテネを去って、コリントに行った。"
"441802","
使徒 18:2","そこで、偶然アクラというポント生まれのユダヤ人、およびその妻
プリスキラと知合いになった。二人は(皇帝)クラウデオがユダヤ人全体にローマ退去の
命令を出したため、最近イタリヤから来ていたのであった。パウロが彼らを訪ねると、"
"441803","
使徒 18:3","同業であったので、その家に泊まって一緒に仕事をした。職業は天
幕造りであった。"
"441804","
使徒 18:4","パウロは安息日のたびごとに礼拝堂で話をして、ユダヤ人、異教人
の別なく、説得しようとした。"
"441805","
使徒 18:5","しかしシラスとテモテとがマケドニアから下ってきてからは、パウ
ロは(生活の心配がなくなったので)ただ御言葉(を伝えること)に身をゆだね、ユダヤ
人にイエスが(彼らの待ち望んでいる)救世主であることを証しした。"
"441806","
使徒 18:6","しかしユダヤ人にはこれに反対して(イエスを)冒涜するので、パ
ウロは(絶縁のしるしに)上着の塵を払いおとして彼らに言った、「(最後の裁きの日に流
す)あなた達の血の責任は、あなた達自身に負わされる!わたしは良心の咎めなく(あな
た達をすてて、)今からのち異教人へ(伝道に)行く。」"
"441807","
使徒 18:7","そしてそこ[礼拝堂]を去り、テテオ・ユストという敬神家の家に
行っ(て伝道を始め)た。その家は礼拝堂の隣にあった。"
"441808","
使徒 18:8","しかし礼拝堂監督のクリスポは全家族そろって主を信じた。また多
くのコリント人もパウロの話を聞き、つぎつぎに信じて洗礼を受けた。"
"441809","
使徒 18:9","するとある夜主が幻でパウロに言われた、「“恐れることはない。”
語りつづけよ、沈黙するな。"
"441810","
使徒 18:10","“わたしはいつもあなたと一緒にいて、”だれもあなたを襲って害
を加える者はない“のだから。”またこの町にはわたしの民が沢山いるのだから。」"
"441811","
使徒 18:11","そこでパウロは一年六か月の(長い)あいだ(コリントに)とど
まっていて、人々の間で神の言葉を教えた。"
"441812","
使徒 18:12","(その間にこんな事件があった。)ガリオがアカヤ(州)の地方総
督であったとき、(ここの)ユダヤ人はパウロに向かって一せいに立ち上がり、彼を裁判
席に引き出して"
"441813","
使徒 18:13","こう言っ(て訴え)た、「この者は人々を説き伏せて、(われわれ
ユダヤ人の)律法にそむいて神を拝ませようとしています。」"
"441814","
使徒 18:14","そこでパウロが(弁明のため)口を開こうとすると、ガリオがユ
ダヤ人に言った、「ユダヤ人諸君、もしこれが何か不正をしたとか、悪事をはたらいたと
かいうのであったら、わたしはあなた達の希望どおりに訴えを認めるが、"
"441815","
使徒 18:15","問題が(宗教の)教義や、(救世主という)人物や、あなた達の律
法に関するものなら、自分で始末したがよかろう。わたしはそんなことの裁判官になりた
くない。」"
"441816","
使徒 18:16","そして彼らを裁判席から追い出した。"
"441817","
使徒 18:17","するとみんなが礼拝堂監督のソステネをつかまえて、裁判席の前
で袋叩きにした。ガリオは知らぬ顔をしていた。"
"441818","
使徒 18:18","パウロはなお相当の日数引きつづき(コリントに)留まったのち、
(いよいよ)兄弟たちに別れを告げ、船でシリヤへ向けて出発した。プリスキラとアクラ
も一緒であった。(途中)彼はケンクレヤ(の港)で頭を刈った。かねて(ナジル人の)
誓願を立てていた(のが満ちた)からである。"
"441819","
使徒 18:19","一行が(アジヤ州の)エペソに着くと、パウロは(一人で旅行を
続けることにして)二人をそこに残し、自分だけ礼拝堂に入ってユダヤ人に話をした。"
"441820","
使徒 18:20","人々はもっと長く留まっていてもらいたいと頼んだが、承知せず、
"
"441821","
使徒 18:21","「神の御心ならばあなた達の所に引き返してこよう」と言って別
れを告げ、エペソから船出して、"
"441822","
使徒 18:22","カイザリヤに上陸し、(エルサレムに)上って集会(の人々)に挨
拶し、アンテオケに下った。"
"441823","
使徒 18:23","そして(ここで)しばらく時を過ごしたのち、(また旅行に)出か
け、ガラテヤ地方とフルギヤ(地方)とをつぎつぎに通りながら、すべての(主の)弟子
たち(の信仰)を強めた。"
"441824","
使徒 18:24","さて、(パウロがエペソを去ったあとで、エジプトの)アレキサン
ドリヤ生まれのアポロというユダヤ人がエペソに来た。能弁な人で、聖書に精通していた。
"
"441825","
使徒 18:25","この人は主の道[キリスト教]について手ほどきを受けていたが、
情熱をもって語り、またイエスのことを精密に教えていた。ただし、ヨハネの洗礼だけし
か知らなかった。"
"441826","
使徒 18:26","この人が礼拝堂で大胆に話を始めた。プリスキラとアクラとが彼
の話を聞くと、(家に)迎え、なお一層精密に神の道[キリスト教]を説明した。"
"441827","
使徒 18:27","そして彼がアカヤに渡りたいと言ったとき、(エペソの)兄弟達は
(コリントの主の)弟子たちに、彼を歓迎するようにと手紙を書いて勧め励ました。アポ
ロは(コリントに)着くと、(与えられた)恩恵(の福音)によって(そこの)信者に大
いに役だった。"
"441828","
使徒 18:28","彼は聖書によって公然とイエスが救世主であることを示し、痛烈
にユダヤ人を論破したからである。"
"441901","
使徒 19:1","アポロがコリントにいた時、パウロは(小アジヤの)奥地(ガラテ
ヤ、フルギヤ)を通ってエペソに来たが、数人の(主の)弟子に出会って、"
"441902","
使徒 19:2","「あなた達は信仰に入ったとき、聖霊を受けたか」とたずねると、
「それどころか聖霊があることを聞いたことすらありません」とこたえた。"
"441903","
使徒 19:3","「ではいったい何で洗礼を受けたのか」と言うと、彼らが言った、
「ヨハネの洗礼で。」"
"441904","
使徒 19:4","パウロが言った、「ヨハネは(水で)悔改めの洗礼を授けて、自分
のあとに来られる方、すなわちイエスを信ずるように、(そしてその聖霊の洗礼を受ける
ように)と民に言ったのである。」"
"441905","
使徒 19:5","彼らはこれを聞いて、主イエスの名で洗礼を受けた。"
"441906","
使徒 19:6","そしてパウロが彼ら(の頭)に手をのせると、(たちまち)聖霊が
くだって、彼らは霊言を語りまた預言しはじめた。"
"441907","
使徒 19:7","その人たちは皆で十二人ばかりであった。"
"441908","
使徒 19:8","それからパウロは礼拝堂に入って、(ユダヤ人に)三か月の間大胆
に話をし、神の国について説得しようとした。"
"441909","
使徒 19:9","しかし(その中の)数人が頑なで信じようとせず、会衆の前で(キ
リストの)道[キリスト教]の悪口を言った時、彼はその人たちを離れて、(主の)弟子
たちをも引き離し、ツラノの講堂で毎日話をした。"
"441910","
使徒 19:10","これが二年つづいたので、アジヤ(のこの地方)に住んでいる者
は皆、ユダヤ人も異教人も、主の言葉を聞いた。"
"441911","
使徒 19:11","また神はパウロの手で、ただならぬかずかずの奇跡を行われた。"
"441912","
使徒 19:12","彼の肌についた手拭や前掛を取って病人につけると、病気が去り、
悪霊が出てゆくほどであった。"
"441913","
使徒 19:13","そこでユダヤ人である数人の巡回呪師も、試みに悪霊どもにつか
れている者たちに向かって主イエスの名を唱えながら、「パウロが説いているイエスによ
ってお前たちに命令する、(出て行け)」と言った。──"
"441914","
使徒 19:14","このことをしたのは、スケワというユダヤ人の大祭司の七人の息
子たちであった。──"
"441915","
使徒 19:15","ところが一つの悪霊が彼らに答えた、「自分はイエスも知っておれ
ば、パウロもわかっているが、お前たちはいったい何者だ!」"
"441916","
使徒 19:16","そしてその悪霊のついた者は彼らに飛びかかって皆を押えつけ、
打ち負かした。彼らは裸で、怪我をさせられて、その家から逃げだしたほどであった。"
"441917","
使徒 19:17","するとこのことがエペソに住んでいる者全体、ユダヤ人にも異教
人にも知れわたったので、恐れが彼らすべてをおそい、主イエスの名があがめられた。"
"441918","
使徒 19:18","すでに信者になっていた者も沢山来て罪を告白し、自分の(使っ
ていた)魔術の呪文を打ち明けた。"
"441919","
使徒 19:19","また魔術を使っていたかなり多くの人が(魔術の)書物を持ち寄
って、皆の目の前で焼きすてた。その値段を総計すると、銀五万(ドラクマ[二、五00
万円])であった。"
"441920","
使徒 19:20","こうして主の言葉は勢いよく成長し、また力を増した。"
"441921","
使徒 19:21","(エペソで)これらのことが終ると、パウロは(アジヤでの仕事
が一応完成したことを知り、)マケドニヤ、アカヤを通ってエルサレムに行く決心をした。
彼はこう言うのであった、「そこに行ったあとで、わたしはローマをも見なければ成らな
い」と。"
"441922","
使徒 19:22","そこで彼は自分の手助けをしている者の中からテモテとエラスト
との二人を(さきに)マケドニアにやり、自分は(なお)しばらくアジヤに留まった。"
"441923","
使徒 19:23","そのころに、(キリストの)道のことで由々しい騒ぎがおこった。
(それはこういう事件である。)"
"441924","
使徒 19:24","(エペソで)デメテリオという銀細工人が、アルテミス神の(像
の入っている小さな)銀の厨子を造って(売り出し、多くの)職人達に少なからぬ収益を
得させていた。"
"441925","
使徒 19:25","彼は(一日)職人たちと、同じ仕事に関係している者たちとを集
めて言った、「諸君、この商売がわたし達の福の神であることは御承知のとおりだが、"
"441926","
使徒 19:26","あなた達が見もし聞きもするように、あのパウロという奴は、(人
間の)手で出来たものは神ではないと言って、エペソだけでなく、ほとんどアジヤ全体の
大勢の人々を説きつけて、背かせてしまった。"
"441927","
使徒 19:27","これではお互の仕事が信用を失う恐れがあるばかりか、(第一)偉
大なる女神アルテミスのお宮も馬鹿にされ、アジヤ全体はもちろん、世界(中)で拝んで
いるこのお方の御威光までなくなりそうな恐れがある。」"
"441928","
使徒 19:28","これを聞いて彼らは非常に憤慨して、「エペソ人のアルテミス神、
万歳!」と叫んだ。"
"441929","
使徒 19:29","それで町中が上を下への混乱におちいり、一せいに(青天井の)
劇場になだれ込んだ。──パウロの道連れであるマケドニア人のガイオとアリスタルコを
も一緒に引いていった。"
"441930","
使徒 19:30","パウロも民衆の中にわけ入ろうと思ったが、(主の)弟子たちが承
知しなかった。"
"441931","
使徒 19:31","またアジヤ州会の議員で、パウロに好意をもっていた人たちも、
彼の所に使をやって、彼自身は劇場に入らないようにと頼ませた。──"
"441932","
使徒 19:32","さて(劇場では)めいめいがそれぞれ違ったことを叫んでいた。
集会はすっかり混乱し、大部分の者はなんのために集まっているか知らなかったのである。
"
"441933","
使徒 19:33","すると、(事情を聞くため)ユダヤ人たちから前の方に押し出され
たアレキサンデルに、群衆の中のある者が訳を話したので、アレキサンデルは手を振って、
民衆に(ユダヤ人のことを)弁明しようとした。"
"441934","
使徒 19:34","しかしそれがユダヤ人だとわかると、人々は声をそろえて、「エペ
ソ人のアルテミス神、ばんざい!」と二時間ばかりも叫んでいた。"
"441935","
使徒 19:35","そこで(町の)書記が群衆をおし静めて言う、「エペソ人諸君、こ
のエペソ人の町が、偉大なるアルテミス神と天から下ってきた御身体との番人であること
を、知らない人がいったいあるのだろうか。"
"441936","
使徒 19:36","これは争われない事実だから、諸君は静かにしていて、決して軽
はずみなことをしてはならない。"
"441937","
使徒 19:37","諸君は、宮荒しでもなく、われわれの女神を冒涜する者でもない
この人たちを、(ここに)引いてきたではないか。"
"441938","
使徒 19:38","だから、もしデメテリオとその仲間の職人たちとが、だれかを相
手取って請求することがあるなら、(そのために)裁判は開かれ、地方総督もおられるこ
とだから、互に訴訟をやったらよかろう。"
"441939","
使徒 19:39","しかしもし何かそれ以上の(裁判所の扱えない)要求を持ってい
るなら、正式の議会で決定してもらうがよい。"
"441940","
使徒 19:40","今日のことは、この騒擾について申開きの出来るような理由が一
つもないので、暴動の罪に問われる恐れがあるのだから。」彼はこう言って、集会を解散
させた。"
"442001","
使徒 20:1","(デメテリオ)騒動がやんだ後、パウロは(主の)弟子たちを呼ん
で励ました上、別れの挨拶をしてマケドニアへ出かけた。"
"442002","
使徒 20:2","そしてその地方を巡回しながら、言葉をつくして信者たちを励まし
て、ギリシア[アカヤ州]に行った。"
"442003","
使徒 20:3","(そこで)三か月を過ごしたのち、(エルサレムに上るため)シリ
ヤに向かって船出するつもりであったが、彼に対してユダヤ人の陰謀がおこったので、(急
に計画を変え、陸路)マケドニヤを通って帰ることに決心した。"
"442004","
使徒 20:4","彼に付いてゆくのは、プロの子であるベレヤ人ソパテロ、テサロニ
ケ人アリスタルコとセクンド、デルベ人ガイオと(それから)テモテ、アジヤ(州)人テ
キコとトロピモであった。"
"442005","
使徒 20:5","この人たちは先発してトロアスでわたし達(一五節マデノ「ワタシ
達記録」ノ記者ヲ含ムパウロ一行)を待っていた。"
"442006","
使徒 20:6","わたし達の方は種なしパンの祭の日の(終った)後ピリピから船出
して、五日でトロアスの先発隊の所に着き、そこに七日滞在した。"
"442007","
使徒 20:7","週の始めの日[日曜日]に、わたし達はパンを裂くために集まった。
パウロは人々に話をしたが、翌日出発するつもりであったので、夜中まで話が続いた。"
"442008","
使徒 20:8","集まっていた階上の部屋にはランプが沢山ともしてあった。"
"442009","
使徒 20:9","ユテコという一人の青年が窓に腰をかけていたところ、パウロがな
がながと話をするので、深い眠りに落ち、(とうとう)眠りに負けて三階から下に落ちた。
だき起こすと、もう事切れていた。"
"442010","
使徒 20:10","パウロが下りてきて青年の上にのしかかり、抱きしめて(人々に)
言った、「騒ぐことはない。命はあるのだから。」"
"442011","
使徒 20:11","そして(階上に)上がっていって、(一同と)パンを裂いて食べ、
ゆっくり明け方まで話して、それから出かけた。"
"442012","
使徒 20:12","人々は生きかえった少年を(家に)つれて行った。みんなが一方
ならず喜んだ。"
"442013","
使徒 20:13","さてわたし達は(パウロより)先に立って船に乗り、アソス(の
町)に向けて船出した。そこからパウロを船に迎えるつもりであった。彼自身は(アソス
まで)歩いてゆこうとしていたので、そのように言いつけていたからである。"
"442014","
使徒 20:14","アソスで落ち合うと、わたし達は彼を船に迎えてミテレネ(の町)
に行き、"
"442015","
使徒 20:15","そこを出て翌日キヨス(島)の沖合に着き、次の日サモス(島)
に渡り、その次の日に(ミレトの町)に来た。"
"442016","
使徒 20:16","これはパウロがアジヤで暇取らないように、エペソに寄らずに行
くことにきめていたからである。彼は出来ることなら五旬節の祭の日にエルサレムについ
ていたいと、(旅行を)急いだのである。"
"442017","
使徒 20:17","パウロはミレトからエペソに使をやって、そこの集会の長老たち
を呼びよせた。"
"442018","
使徒 20:18","そしてあつまって来ると、こう言った。「あなた達にはこのことが
よくわかっているはずだ、このアジヤの地を踏んだ最初の日から、わたしはいつもあなた
達と一緒にいて、"
"442019","
使徒 20:19","謙遜のかぎりを尽くし、多くの涙を流し、ユダヤ人の陰謀でわた
しに起こったかずかずの試みの間にあって、主に仕えたことが。"
"442020","
使徒 20:20","またあなた達(の救い)に役立つことを、公にでも家庭(の集会)
ででも、人をはばかって知らせなかったり教えなかったりしたことは、何一つないこと
が(あなた達にはわかっているはずだ。)"
"442021","
使徒 20:21","わたしはユダヤ人にも異教人にも、神に帰る悔改めと、わたし達
の主イエスに対する信仰とを、証ししたのであった。"
"442022","
使徒 20:22","(だがいよいよお別れだ。)さあ、わたしは御霊に縛られて、エル
サレムにのぼって行く。そこでどんな目に会うか、わたしは知らない、"
"442023","
使徒 20:23","ただ、聖霊は(預言者たちをもって)到る所の町で、縄目と苦難
とが(あそこで)わたしを待っていると証しをしてくださったことのほかは。"
"442024","
使徒 20:24","しかしわたしは、自分の走るべき道を走りおえて、主イエスから
託された、神の恩恵をつたえる福音を証しする役目をはたすためなら、自分の命のことな
ど口にする値打もないと思う。"
"442025","
使徒 20:25","さあ、もう二度と、あなた達みんなはわたしの顔を見ることはあ
るまい。わたしにはそれがわかっているのだ!ほんとうにわたしはあなた達の間を、御国
(の福音)を説きながら回ったのだ。"
"442026","
使徒 20:26","だから(わたしの福音を聞いた)何人が滅びようとも、わたしは
良心のとがめがないことを、今日はっきりあなた達に言っておく。"
"442027","
使徒 20:27","わたしは人をはばかって、神の御心を全部あなた達に知らせない
ようなことは、しなかったのだから。"
"442028","
使徒 20:28","自分自身に、また(信者の)群全体にも気をつけなさい。聖霊が
あなた達を群の監督にされたのは、神が御自分の(御子の)血で“かち取られた神の”集
会を牧させるためである。"
"442029","
使徒 20:29","わたしが立ち去った後、獰猛な狼どもがあなた達の間に入ってき
て、群を(荒して)容赦しないことが、わたしにわかっている。"
"442030","
使徒 20:30","またあなた達の中からさえ、異端邪説をとなえて、(主の)弟子た
ちを自分の方に引きずりこもうとする者どもがあらわれるであろう。"
"442031","
使徒 20:31","だから目を覚ましていなさい。この三年のあいだ夜昼涙を流しな
がら、たえずあなた達それぞれに注意を与えたことを忘れないように。"
"442032","
使徒 20:32","今わたしは(神なる)主とその恩恵の御言葉とに、あなた達をお
任せする。この御言葉にはあなた達を造りあげ、“すべてのきよめられた人たち”の仲間
に入れ、“(御国の)相続財産を”与える力がある。"
"442033","
使徒 20:33","わたしはだれに対しても、金銀や、(高価な)衣服を欲しがったこ
とはない。"
"442034","
使徒 20:34","この二つの手が、わたしの必要のためにも、わたしと一緒にいる
者たちのためにも働いたことは、あなた達自身が知っている。"
"442035","
使徒 20:35","わたしはあらゆる機会にあなた達に例を示したのだから、あなた
達も同じように一生懸命に働いて、経済的に恵まれない者たちを助けなさい。主イエス御
自身が言われた、『与えるのは貰うより幸いである』という御言葉を忘れずに!」"
"442036","
使徒 20:36","こう言ったあと、ひざまずいて、皆と一緒に祈りはじめた。"
"442037","
使徒 20:37","すると皆が大声で泣き出し、パウロの首に抱きついて接吻してや
まなかった。"
"442038","
使徒 20:38","もう二度と顔を見ることはあるまいと言ったパウロの言葉が、わ
けても悲しかったのである。一同は彼を船まで見送った。"
"442101","
使徒 21:1","わたし達(一八節マデノ「ワタシ達記録」ノ記者ヲ含ムパウロ一行)
は(やっと)彼らを振り切って船出して、まっすぐに進んでコスに、次の日ロドスに、そ
こからパタラ(港)に着いた。"
"442102","
使徒 21:2","そこで(折よく)ピニケへ直航の船を見つけたので、それに乗って
船出した。"
"442103","
使徒 21:3","クプロ(島)が見えたが、それを左手にしたままシリヤへの船路を
つづけ、ツロで上陸した。その船はそこへ積荷をおろすことになっていた。"
"442104","
使徒 21:4","わたし達は(その間に主の)弟子たちをさがし出し、そこに七日滞
在した。彼らは御霊に示されてパウロに、エルサレムに上ってはいけないとくりかえし言
った。"
"442105","
使徒 21:5","しかし(忠告に従わず、七日の)日が過ぎてわたし達が旅立つと、
皆が妻子をつれて町外れまで見送りに来た。わたし達は海岸にひざまずいて祈り、"
"442106","
使徒 21:6","互に別れを惜しんだ。それからわたし達は船に乗り、その人たちは
家に帰った。"
"442107","
使徒 21:7","さてわたし達はツロを出、トレマイに着いて(無事に長い)航海を
終り、(トレマイの)兄弟たちに挨拶して、一日だけ彼らのところに泊まった。"
"442108","
使徒 21:8","翌日立って(陸路)カイザリヤに行き、七人の(世話役の)一人で
ある伝道者ピリポの家に入って、泊まった。"
"442109","
使徒 21:9","ピリポに預言をする未婚の娘が四人あった。"
"442110","
使徒 21:10","幾日も滞在しているうちに、ユダヤからアガボという預言者が下
ってきたが、"
"442111","
使徒 21:11","わたし達の所に来てパウロの帯を取り、(それで)自分の手と足と
を縛って言った、「聖霊がこう言われる、『この帯の持ち主は、エルサレムでこのようにユ
ダヤ人から縛られ、異教人の手に引き渡される』と。」"
"442112","
使徒 21:12","これを聞くと、わたし達も土地の人も、エルサレムに上らないよ
うにと懇願した。"
"442113","
使徒 21:13","その時パウロは答えた、「あなた達は泣いて、わたしの心をくじい
て、どうしようというのか。わたしは主イエスの御名のためなら、エルサレムで縛られる
ことはもちろん、死ぬことさえも覚悟しているのだ。」"
"442114","
使徒 21:14","彼が一向に聞き入れようとしないので、わたし達は、「主の御心が
成りますように!」と言って、口をつぐんだ。"
"442115","
使徒 21:15","(カイザリヤ滞在)数日の後、わたし達は旅支度をしてエルサレ
ムへと上っていった。"
"442116","
使徒 21:16","カイザリヤの(主の)弟子たち数人も一緒に来て、クプロ人マナ
ソンという古い弟子の家に案内した。わたし達は彼のところに泊めてもらった。"
"442117","
使徒 21:17","エルサレムにつくと、兄弟たちが喜んで迎えてくれた。"
"442118","
使徒 21:18","翌日パウロはわたし達と一緒に(主の兄弟の)ヤコブの所に行っ
た。長老たちも皆集まっていた。"
"442119","
使徒 21:19","パウロは彼らに挨拶したあと、神が自分の伝道によって異教人の
間でされたことを、詳しく話してきかせた。"
"442120","
使徒 21:20","彼らはこれを聞いてしばし神を讃美していたが、やがて言った、
「兄弟よ、ユダヤ人ですでに信者になった者が実に何万とあるが、みんな(モーセ)律法
に熱心であることは、あなたも認めている。"
"442121","
使徒 21:21","ところが彼らは、あなたが異教人の中にいるすべてのユダヤ人に、
子供に割礼を施してはならない、(ユダヤ人の)習慣にしたがって歩いてもいけないと言
って、モーセ(律法)に背くように教えているという噂を聞いている。"
"442122","
使徒 21:22","ついては、どうしたらよいだろうか。どの道、あなたが(ここに)
来ていることは彼らの耳にはいるにちがいない。──"
"442123","
使徒 21:23","だからわれわれの言うとおりにしないか。われわれのあいだに(ナ
ジル人の)誓願を立てた者(で、金がなくて願果たしのできない者)が四人ほどいる。"
"442124","
使徒 21:24","あなたはその人たちを引き受け、一緒に清めをして、彼らのため
に(願果たしの)費用を立て替えて頭を剃らせてやったらどうだろう。そうすれば、みん
ながあなたについて噂を聞いたことが根も葉もないことで、あなた自身は律法を守って歩
いていることがわかるだろう。"
"442125","
使徒 21:25","しかし(これはユダヤ人の信者だけのことで、)信者になった異教
人については、(あなたも知っているように、)偶像に供えた物と、血と、絞め殺した動物
と、不品行とを遠ざけるべきことを取り決めて、すでに書き送った。」"
"442126","
使徒 21:26","そこでパウロはその人たちを引き受け、次の日一緒に清めをして
宮に入ってゆき、“清めの日数が”満ちてひとりびとりの(願果たしの)ために捧げ物を
捧げる日のことを、(祭司に)告げた。"
"442127","
使徒 21:27","そして(パウロのための)七日(の清めの日)が終ろうとしてい
る時、アジヤ(のエペソ)から来たユダヤ人たちはパウロを宮で見かけると、群衆をこと
ごとく騒ぎ立たせ、彼に手をかけて、"
"442128","
使徒 21:28","叫んだ、「イスラエル人諸君、手を貸してくれ!これはだれにでも、
どこででも、(イスラエルの)民と律法とこの場所[宮]とを軽蔑することを教える男だ。
なおその上に、(規則にそむいて)異教人までも宮につれ込んで、この神聖な場所はけが
されてしまった。」"
"442129","
使徒 21:29","前にエペソ人トロピモが都で彼と一緒にいるのを彼らは見たので、
その人をパウロが宮につれ込んだと思ったのである。"
"442130","
使徒 21:30","そこで都中が騒ぎ出し、民衆が駈けあつまって来て、パウロをつ
かまえて宮の外に引きずり出した。そしてすぐ(宮の)門はとざされた。"
"442131","
使徒 21:31","人々がパウロを殺そうとしていたとき、エルサレム中が混乱して
いるという報告が(守備)部隊の千卒長に届いた。"
"442132","
使徒 21:32","千卒長はさっそく兵卒と百卒長らとを率いて、(アントニヤの兵営
から)彼らのところに駈けくだった。千卒長と兵卒らとを見ると、彼らはパウロを打つこ
とをやめた。"
"442133","
使徒 21:33","千卒長は近づいてパウロをつかまえ、鎖二つでつなぐようにと命
令したのち、これはいったい何者であるか、何をしたのかと問うた。"
"442134","
使徒 21:34","しかし群衆のめいめいがそれぞれ違ったことをどなり、騒々しく
て確かなことを知ることが出来ないので、パウロを兵営につれて行くようにと命令した。"
"442135","
使徒 21:35","しかし彼が(宮の庭から兵営へ上る)階段にさしかかった時には、
群衆の暴動のために、とうとう兵卒らにかつがれた。"
"442136","
使徒 21:36","民衆の群が「あれを片付けろ」と叫びながら、あとについて来た
からである。"
"442137","
使徒 21:37","兵営につれ込まれようとしたとき、パウロが(ギリシヤ語で)千
卒長に、「よろしかったら一言申し上げたいのですが」と言うと、千卒長が言った、「ギリ
シヤ語がわかるのか。"
"442138","
使徒 21:38","ではお前は、この間一揆を起こして刺客を四千人も荒野に連れだ
した(あの)エジプト人ではないのか。」"
"442139","
使徒 21:39","パウロが言った、「わたしはユダヤ人です。キリキヤの名もない町
ではないタルソの市民です。お願いします、あの民衆に話をすることを許してください。」
"
"442140","
使徒 21:40","許されると、パウロは階段の上に立ち、民衆に向かって手で合図
をし、すっかり静かになったとき、ヘブライ語[アラミ語]で話しかけた。──"
"442201","
使徒 22:1","「兄弟の方々、お父さん方、聞いてください、今弁明します。」─
"
"442202","
使徒 22:2","ヘブライ語で話しかけるのを聞くと、人々はますます静かになった。
パウロは言う。──"
"442203","
使徒 22:3","「わたしはキリキヤのタルソで生まれたユダヤ人ですが、この(エ
ルサレムの)都で育てられ、ガマリエル(先生)の膝下で先祖の律法によって厳格な教育
をうけ、今日の皆さんと同様、神に対して熱心家でありました。"
"442204","
使徒 22:4","わたしはこの(キリストの)道を迫害し、男女の別なく(信者を)
しばって牢に入れ、殺すことをも辞さなかったのであります。"
"442205","
使徒 22:5","このことは大祭司をはじめ元老院全体も、わたしのために証人にな
られるにちがいない。わたしはその方々からダマスコに居る(ユダヤ教の)兄弟たちあて
の添書までもらって、出かけて行ったのです。そこにいる(この道の)者をも縛ってエル
サレムに引いてきて、罰するためでありました。"
"442206","
使徒 22:6","ところが進んでいってダマスコに近づくと、昼ごろ、突然、天から
強い光がさしてわたしのまわりに輝いた。"
"442207","
使徒 22:7","わたしは地べたに倒れて、『サウロ、サウロ、なぜわたしを迫害す
るのか』と言う声を聞いた。"
"442208","
使徒 22:8","わたしは答えた、『主よ、あなたはどなたですか。』わたしに言われ
た、『わたしだ、君が迫害しているナザレ人イエスだ。』"
"442209","
使徒 22:9","連れの者たちは光は見えたが、わたしにお話になる方の声は聞こえ
なかった。"
"442210","
使徒 22:10","わたしは言った、『主よ、何をしたらよいのでしょうか。』主は言
われた、『起きてダマスコ(の町)まで行け。そうすればそこで一切は告げられる。君の
することは決めてある。』"
"442211","
使徒 22:11","わたしはその光のまばゆさのために目が見えないので、連れの者
たちに手を引かれてダマスコに行きました。"
"442212","
使徒 22:12","すると(ダマスコに)アナニヤという人がいた。律法的に信心深
く、そこに住むユダヤ人全体に評判がよかったが、"
"442213","
使徒 22:13","わたしの所に来て近寄り、『兄弟サウロよ、見えるようになれ!』
と言った。するとその瞬間に(見えるようになって、)わたしは彼を見上げた。"
"442214","
使徒 22:14","アナニヤは言った、『わたし達の先祖の神はあなたを選んで御心を
知らせ、また正しい人(である主イエス)を見せ、その口から声をお聞かせになったが、"
"442215","
使徒 22:15","それはあなたがいま見たこと聞いたことにつき、全人類に対して
その方のために証人になるからだ。"
"442216","
使徒 22:16","さあ、何をためらっているのか。(すぐ)立って、主の名を呼んで
洗礼を受け、罪を洗いおとしなさい。』"
"442217","
使徒 22:17","それからわたしはエルサレムに帰って宮で祈っていると、我を忘
れた心地になって"
"442218","
使徒 22:18","主にお目にかかった。主は言われた、『急いで、すぐさまエルサレ
ムを出てゆけ。ここの人々は君がわたしの証しをしても、受け入れないのだから。』"
"442219","
使徒 22:19","しかしわたしはこたえた、『主よ、このわたしは、(今まで)あな
たを信ずる者を牢に入れたり礼拝堂で打たせたりしていたことが、あの人たちにはわかっ
ております。"
"442220","
使徒 22:20","またあなたの殉教者ステパノの血が流された時、わたしもそばに
立っていてそれに賛成し、ステパノをやっつける人たちの上着の番をしていました。』"
"442221","
使徒 22:21","主はわたしに言われた、『行け、わたしが君を遠く異教人につかわ
すのだから。』」"
"442222","
使徒 22:22","(静かに聞いていた)人々は、(主から異教人につかわされたのだ
という)パウロのこの言葉まで聞くと、声を張りあげて言った、「こんな奴は地の上から
片付けろ。生かしておいてはならない!」"
"442223","
使徒 22:23","こう叫んで、(石打ちをしようと)上着を脱ぎすてたり、砂を空中
にまき散らしたりしたので、"
"442224","
使徒 22:24","千卒長はパウロを兵営につれ込み、拷問にかけて取り調べるよう
にと命令した。どういう訳で人々が彼に向かってこんなにどなっているのかを、調査しよ
うとしたのであった。"
"442225","
使徒 22:25","(兵卒らが)鞭で打つため(拷問柱に)しばりつけた時、パウロ
はそこに立っていた百卒長に言った、「あなたたちはローマ市民たる者を、しかも(正式
の)裁判もせずに、鞭打ってもよろしいのか。」"
"442226","
使徒 22:26","百卒長はこれを聞くと、(驚いて)千卒長のところに行って報告し
た、「なんということを、しようとされているのです。あの男はローマ市民です。」"
"442227","
使徒 22:27","そこで千卒長が来てパウロに言った、「聞かせてくれ、ほんとうに
君はローマ市民なのか。」「そうです」とパウロが言った。"
"442228","
使徒 22:28","千卒長が答えた、「わたしはかなりの金を出してこの市民権を手に
入れた。」パウロは言った、「いや、わたしは生まれながら(の市民)です。」"
"442229","
使徒 22:29","すると取り調べようとしていた者たちは即座に彼から手を引き、
千卒長も、パウロがローマ市民であると知ると、彼を(不法に)縛らせたので恐ろしくな
った。"
"442230","
使徒 22:30","翌日千卒長は、なぜパウロがユダヤ人に訴えられたのか確かな理
由を知ろうと思い、彼(の鎖)を解いて、大祭司連をはじめ全最高法院に命令して集まら
せた。そしてパウロを(兵営から宮の庭に)つれ下り、彼らの前に立たせた。"
"442301","
使徒 23:1","パウロは最高法院(の役人たち)を見つめて言った、「兄弟の方々、
わたしは今日まで、神の前において良心に少しのやましい所なく歩いてきたのです。」"
"442302","
使徒 23:2","(これを聞いて)大祭司アナニヤは、自分のそばに立っていた者た
ちに命じてパウロの口を打たせた。"
"442303","
使徒 23:3","するとパウロが言った、「白く塗った壁!こんどはあなたが神に打
たれる番だ。律法に従ってわたしを裁判するために(そこに)坐っているそのあなたが、
律法に背いてわたしを打つことを命令するのか。」"
"442304","
使徒 23:4","そばに立っていた者たちが言った、「神の大祭司殿を罵るのか!」"
"442305","
使徒 23:5","パウロがこたえた、「兄弟たち、大祭司殿とは思わなかったのだ。
(悪かった。)”人民を納める者に無礼なことを言ってはならない”と(聖書に)書いてあ
るのだから。」"
"442306","
使徒 23:6","そのときパウロは(役人の)一派はサドカイ人、一派はパリサイ人
であるのを見て取り、法院で叫んだ、「兄弟の方々、わたしはパリサイ人で、しかもパリ
サイ人の子です。いま死人の復活の希望のために裁判されているのです。(わたしは復活
のキリストを見たと言いますから。)」"
"442307","
使徒 23:7","彼がこう言うと、パリサイ人とサドカイ人とのあいだに意見の対立
がおこり、法院が分裂した。"
"442308","
使徒 23:8","なぜならサドカイ人は復活も天使も霊もないと主張するのに対して、
パリサイ人はこれを認めるからである。"
"442309","
使徒 23:9","とうとう大騒ぎになった。数人のパリサイ派の聖書学者は立ち上が
り、こう言ってはげしく論争した、「この人には何の悪いことも認められない。それに、
もし彼に(ダマスコで)霊か天使かが語ったのだったら──(それこそ大変だ!)」"
"442310","
使徒 23:10","こうして意見の対立が激しくなったので、千卒長はパウロが引き
裂かれはしないかと心配し、(守備)部隊に命令して法院に下りてゆかせ、パウロを彼ら
の中から奪い取って兵営につれて来させた。"
"442311","
使徒 23:11","その夜、主が(現われ、)パウロに近づいて言われた、「安心せよ、
あなたは(きっとローマに行くことができる。)エルサレムでわたしのことを証ししたと
同じように、ローマでも証しをせねばならないのだから。」"
"442312","
使徒 23:12","朝になると、ユダヤ人は互に結託して、パウロを殺すまでは食べ
もしない飲みもしないと、呪いをかけて誓った。"
"442313","
使徒 23:13","この盟約に加わった者は四十人以上であった。"
"442314","
使徒 23:14","彼らは大祭司連、長老たちのところに行って言った、「わたし達は
パウロを殺すまでは何も口にしないことを、呪いをかけて固く誓いました。"
"442315","
使徒 23:15","だから、すぐあなた方は最高法院の方々と一緒に(行って)千卒
長に、パウロのことをもっと詳しく取り調べたいという口実で、彼をあなた方のところに
つれ下ってもらうように申し出ていただきたい。(決して迷惑はかけません。)わたし達は
パウロが(法院に)近づく前に、彼を無き者にする手筈をしておきますから。」"
"442316","
使徒 23:16","するとパウロの姉妹の息子がこのたくらみを聞きこみ、兵営に入
ってパウロに報告した。"
"442317","
使徒 23:17","パウロは百卒長を一人呼びよせて言った、「この青年を千卒長の所
につれて行ってもらいたい。何か報告することがあるようだから。」"
"442318","
使徒 23:18","そこで百卒長は青年を連れて千卒長の所に出て言う、「囚人のパウ
ロがわたしを呼んで、この青年をあなたの所につれて出るよう願い出ました。青年は何か
申し上げることがあるようです。」"
"442319","
使徒 23:19","千卒長は青年の手を取り、自分(たち)だけ引っ込んでたずねた、
「わたしに報告することがあるというのは何か。」"
"442320","
使徒 23:20","青年が言った、「ユダヤ人たちは、法院がパウロについて何かもっ
と詳しくたずねたいという口実で、明日(もう一度)彼を法院につれ下ってもらうように
あなたに願い出ることを申し合わせています。"
"442321","
使徒 23:21","だからどうか彼の言葉に耳を傾けないでください。なにしろ彼ら
の中で四十人以上の者がパウロを待ち伏せており、彼を無き者にするまでは食べもしない
飲みもしないと呪いをかけて誓って、いまは手筈ができて、ただあなたのお許しを待って
いるのですから。」"
"442322","
使徒 23:22","そこで千卒長は、「このことをわたしに申し出た」ことは、だれに
も口外しないようにと固く言いつけて、青年を帰した。"
"442323","
使徒 23:23","それから彼は百卒長を二人呼んで言いつけた、「今夜九時に出発し
てカイザリヤまで行くため、歩兵二百を準備せよ。それと騎兵七十、槍兵二百」と。"
"442324","
使徒 23:24","なおパウロを乗せて総督ペリクスの所に安全に送りとどけるため、
馬の用意をするようにと。"
"442325","
使徒 23:25","(総督には)次のような趣意の手紙を書いた。"
"442326","
使徒 23:26","「クラウデオ・ルシヤから総督ペリクス閣下に敬意を表します。"
"442327","
使徒 23:27","この者がユダヤ人に捕えられ、処刑されようとしているのを、ロ
ーマ市民であると聞いたので、手勢を率いて行って救い出しました。"
"442328","
使徒 23:28","そしてユダヤ人が彼を訴える罪状を調査しようと思い、彼らの最
高法院につれて行きましたところ、"
"442329","
使徒 23:29","彼らの律法の問題について訴えられたことがわかり、死罪または
監禁に当るいかなる犯罪もなく、"
"442330","
使徒 23:30","かえって、この者に対して(ユダヤ人による暗殺の)陰謀がある
と通告されましたので、とりあえず閣下のもとに送ることにしました。告発人にも(直接)
閣下の前で彼に対して供述するようにと、命じておきました。」"
"442331","
使徒 23:31","さて歩兵らは命令されたとおり夜の間にパウロをアンテパトリス
に連れて行ったが、"
"442332","
使徒 23:32","翌日は騎兵(だけ)をパウロと共に行かせ、自分らは(エルサレ
ムの)兵営に帰った。"
"442333","
使徒 23:33","騎兵はカイザリヤに着いて手紙を総督に手渡し、パウロをもその
前に引き出した。"
"442334","
使徒 23:34","総督はこれを一読ののち、彼に何州の者であるかを尋ね、キリキ
ヤの者と知ると、"
"442335","
使徒 23:35","「告発人が来た上で(改めて)審問する」と言って、ヘロデ(大
王)の(建てた)総督官舎に監禁することを命令した。"
"442401","
使徒 24:1","五日の後に、大祭司アナニヤは(最高法院の)長老数人とテルトロ
という弁護士とをつれて(カイザリヤに)下り、皆で総督に対しパウロに不利な申し出を
した。"
"442402","
使徒 24:2","パウロが呼び出されると、テルトロは次のように告発の理由を述べ
始めた。「ペリクス閣下、お蔭でわれわれは大なる泰平を楽しみ、また御高配によってこ
の国民のために改善が、"
"442403","
使徒 24:3","あらゆる方面、あらゆる所で行われていることを見て、われわれは
あらゆる感謝を捧げる者であります。"
"442404","
使徒 24:4","しかし長くお耳をけがさないように、手短かに申し上げます。どう
か(世に知られた)御寛容をもってお聞きくださるよう願います。"
"442405","
使徒 24:5","つまりこういうことです。この男は疫病のように、世界中のユダヤ
人の間に紛争をひきおこし、またあのナザレ人の異端の首魁であることを、われわれは確
かめました。"
"442406","
使徒 24:6","そればかりか(異教人をつれ込んでエルサレムの)宮を犯そうとし
ましたので、彼を捕縛したのであります。"
"442407","
使徒 24:7"[以下及び七、八前半無シ]
"442408","
使徒 24:8","お取り調べになれば、われわれが告発しているこの一切のことを、
御自身で彼(の口)からお聞きになることが出来ます。」"
"442409","
使徒 24:9","ユダヤ人たちも事実その通りだと言って、一緒になって攻撃した。
"
"442410","
使徒 24:10","そこでパウロが答えた、総督が話すようにと合図をしたのである。
「あなたが長年この国民の裁判官であ(り、よく下情に通じておられ)ることを承知して
おりますので、安心して自分のことを弁明いたします。"
"442411","
使徒 24:11","(この人たちはわたしがエルサレムを騒がせたように言います
が、)わたしが礼拝のためエルサレムに上ってから十二日以上はたっていないことを、あ
なたは(容易に)お聞きになることが出来ます。(そんな短かい間に、どうして騒動など
起こすことが出来ましょうか。)"
"442412","
使徒 24:12","またこの人たちは、わたしがだれかと議論したり、民衆を煽動し
たりするのを、宮でも、礼拝堂でも、都の中でも見たことはないし、"
"442413","
使徒 24:13","今わたしを告発していることについて、あなたに証拠を提出する
こともで来ません。"
"442414","
使徒 24:14","しかしわたしは次のことは正直に認めます。わたしは(キリスト
の)道に従って、(この人たちと同じ)祖先の神を礼拝しております、この人たちはこれ
を異端と言って(そしって)おりますが。すなわちわたしは(モーセ)律法と預言書[聖
書]とに書いてあることを全部信じ、"
"442415","
使徒 24:15","(また)この人たち自身もいだいている(復活の希望、)正しい人
と正しくない人との復活が来ようとしているという希望を、神に対して持っているのであ
ります。"
"442416","
使徒 24:16","それでわたし自身も(裁きの日の近いことを思って、)神と人とに
対しやましくない良心を持つように、絶えず努力しているのであります。"
"442417","
使徒 24:17","さて、(わたしが捕えられたのはこういう訳です。)わたしは同胞
(である兄弟たち)に寄付金を持って来るため、また(宮で)献げ物をするため、幾年ぶ
りかに(エルサレムに)来たのですが、"
"442418","
使徒 24:18","宮で清めをして献げ物をしている時に──別に人だかりもなく騒
ぎもなかった──人々はわたしを見たのであります。"
"442419","
使徒 24:19","見たのはアジヤから来た数人のユダヤ人ですが、あの人たちはわ
たしに対して何か告発することがあるのなら、(自分で)あなたの前に出て(堂々と)告
発すべきであったのです。"
"442420","
使徒 24:20","あるいはまた(ここにいる)この(エルサレムの)人たち自身も、
わたしが最高法院の前に立ったとき、どんな不正が(わたしに)認められたか、言ってみ
たまえ!"
"442421","
使徒 24:21","『わたしは死人の復活のためにきょうあなた達の前で裁判されて
いるのです』と、みんなの中に立って叫んだその一言のほかに!」"
"442422","
使徒 24:22","するとペリクスは(キリストの)道のことに非常に精通していた
ので、「千卒長ルシヤが(エルサレムから)下ってきた上で、(改めて)お前たちの事件の
判決を下すことにする」と言って、裁判の延期を言い渡した。"
"442423","
使徒 24:23","そして百卒長に命令して(引きつづき)パウロを監禁させたが、
寛大に取り扱わせ、彼の仲間のだれでもが自由に奉仕できるようにした。"
"442424","
使徒 24:24","数日の後ペリクスは、ユダヤ人であるその妻ドルシラと一緒に(監
禁の場所に)来て、パウロを呼び、キリスト・イエスに対する信仰の話を聞いた。"
"442425","
使徒 24:25","ところがパウロの話は、義と、節制と、来るべき(最後の)裁き
とについてだったので、ペリクスは恐ろしくなって、「本日はこれで帰ってよろしい。よ
い折があったら、また呼びにやるから」と言った。"
"442426","
使徒 24:26","彼はまた同時に、パウロから(釈放願いの)金がもらえると望み
をかけていた。そのため何度も何度もパウロを呼んで、話をした。"
"442427","
使徒 24:27","(パウロが監禁されてから)二年たつと、ポルキオ・フェストが
ペリクスの後任になった。ペリクスはユダヤ人の機嫌を取ろうと思って、パウロをつない
だままにしておいた。"
"442501","
使徒 25:1","フェストは任地[ユダヤ州首都カイザリヤ]に着いて三日の後、カ
イザリヤからエルサレムに上った。"
"442502","
使徒 25:2","大祭司連とユダヤの名士たちとはパウロに不利な申し出をして頼み、
"
"442503","
使徒 25:3","自分たちのため特別の計らいをもって、パウロをエルサレムに呼ん
でもらいたいと願うのであった。途中で無き者にしようと、たくらんでいたのである。"
"442504","
使徒 25:4","するとフェストは、パウロはカイザリヤに監禁されている、彼自身
が大急ぎで出かけようと思っていると答え、"
"442505","
使徒 25:5","「だから、もしあの男に何か不都合なことがあるなら、あなた方の
うちの然るべき者が一緒に下っていって、訴えたらよかろう」と言う。"
"442506","
使徒 25:6","フェストは彼らの間にせいぜい八日か十日滞在して、カイザリヤに
下ってゆき、翌日裁判席に着いて、パウロを引き出すようにと命令した。"
"442507","
使徒 25:7","パウロがあらわれると、エルサレムから下ってきていたユダヤ人た
ちは彼のまわりに立ち、多くの重い罪状を並べ立てたが、証明することが出来なかった。"
"442508","
使徒 25:8","パウロの方では、「わたしはユダヤ人の律法に対しても、宮に対し
ても、皇帝に対しても、何も罪を犯したことはありません」と弁明した。"
"442509","
使徒 25:9","しかしフェストはユダヤ人の機嫌を取ろうと思って、パウロに答え
て言った、「お前はエルサレムに上って、そこでこのことにつきわたしの前で裁判された
いと思わないか。」"
"442510","
使徒 25:10","パウロが言った、「いまわたしは皇帝の裁判席の前に立っておりま
す。ここで裁判されるべきです。あなたも十分御承知のように、わたしはユダヤ人に対し
て、何も不正をした覚えはありません。"
"442511","
使徒 25:11","だから、もしわたしに不正が在り、何か死罪に当ることをしたの
なら、わたしは(決して)死を免れようとする者ではありません。しかしもしこの人たち
がわたしを告発することに何一つ根拠がなければ、何人もわたしを彼らに引き渡すことは
出来ません。わたしは皇帝に上訴します。」"
"442512","
使徒 25:12","そこでフェストは評議員会に諮問の上、(パウロに)答えた、「お
前は皇帝に上訴した。皇帝の前に出頭しろ。」"
"442513","
使徒 25:13","数日たったのち、アグリッパ王[二世]と(妹の)ベルニケとが
カイザリヤに来て、(信任の)フェストに敬意を表した。"
"442514","
使徒 25:14","そして幾日かそこに滞在している間に、フェストは王にパウロの
事件を説明して言った、「ペリクスが(未決)囚人として残しているひとりの男がある。"
"442515","
使徒 25:15","(さきごろ)わたしがエルサレムに行った折、大祭司連とユダヤ
人の長老たちとがその男について申し出て、有罪の判決を求めた。"
"442516","
使徒 25:16","わたしは、『いかなる被告人も、告発人と対決してその犯罪につき
弁明の機会を得ないうちにこれを引き渡すのは、ローマ人の習慣でない』と答えて拒絶し
た。"
"442517","
使徒 25:17","それで彼らはここに(わたしと)一緒に来たので、わたしは一刻
の猶予もなく次の日裁判席について、その男を引き出すように命令した。"
"442518","
使徒 25:18","告発人たちは彼のまわりに立ったが、わたしが想像していたよう
な(政治上の)悪事についていかなる罪状も申し立てなかった。"
"442519","
使徒 25:19","この男に対しての問題は、何か彼らの宗教に関してと、死んだイ
エスとかいう者を、パウロ(というその囚人)が、(今も)生きていると主張したことに
関してであった。"
"442520","
使徒 25:20","それでわたしとしてもこんな(勝手のわからぬ)ことの審理は閉
口なので、エルサレムに行ってそこでこのことについて裁判されたくないかとたずねた。"
"442521","
使徒 25:21","しかしパウロは、このまま保護されていて(ローマで皇帝)陛下
の裁決を受けたいと上訴したので、彼を皇帝の所へ送りとどけるまで保護しておくように
と命令しておいた。」"
"442522","
使徒 25:22","アグリッパがフェストにいった、「わたしもその人の話を聞いてみ
たい。」フェストが言う、「あした聞かれるがよかろう。」"
"442523","
使徒 25:23","翌日アグリッパとベルニケは威風堂々と乗りこんで来て、千卒長
やこの町の重立った人たちと共に謁見室に入り、パウロはフェストの命令によって引き出
された。"
"442524","
使徒 25:24","そこでフェストは言う、「アグリッパ王ならびに臨席の諸君御一同、
この人を見てください。エルサレムでもここでも、ユダヤ人全体が、もうこれ以上生かし
ておいてはならないと叫んで、わたしにせがんでいる人物である。"
"442525","
使徒 25:25","しかしわたしには、彼が何一つ死罪に当ることをしていないこと
がわかった。かつこの人自身が、(皇帝)陛下に上訴したので、わたしは(ローマに)送
ることに決定した。"
"442526","
使徒 25:26","ただ(困ることには、)主(陛下)になんの確かな事実も上書でき
ない。だから(いま)彼をあなた方の前に、特に、アグリッパ王よ、あなたの前に引き出
し、尋問したあとで、何か上書する資料を得ようと思う。"
"442527","
使徒 25:27","(上官に)囚人を送る者が起訴の理由をも示さないのは、非常識
と信ずるからである。」"
"442601","
使徒 26:1","アグリッパがパウロに、「自分のために陳述しても差し支えない」
と言うと、パウロは(演説家のように)手をのばした姿勢で弁明した。──"
"442602","
使徒 26:2","「アグリッパ王よ、わたしはユダヤ人に起訴されている一切のこと
について、きょう王の前に弁明できる自分を仕合わせと思います。"
"442603","
使徒 26:3","あなたはユダヤ人のあらゆる慣例や、(面倒な)問題を、最もよく
知っておられる方だからです。ついては、どうかしばらく御清聴を願います。"
"442604","
使徒 26:4","若い時からのわたしの生活は、初めから(ユダヤ)国民の中で、し
かもエルサレムですごしましたので、ユダヤ人は皆知っております。"
"442605","
使徒 26:5","以前からわたしを知っている彼らは、証人になる気さえあれば、わ
たしが国の宗教の最も厳格な派に従って、(すなわち)バリサイ人として生活したことを、
知っているのです。"
"442606","
使徒 26:6","それで、今わたしが(こうして)ここに立って裁判を受けているの
は、神がわたし達の先祖に与えられた(救世主の)約束に対して希望を持っているからで
す。"
"442607","
使徒 26:7","わたし達十二族(全ユダヤ民族)は(今なお)この約束を実現して
いただきたいと望んで、夜昼熱心に(神に)奉仕しております。(ところが不思議なこと
に、)王よ、この約束の希望について、わたしは(同族の)ユダヤ人に訴えられたのです。
"
"442608","
使徒 26:8","(あなた方はイエスの復活を信ぜず、従って彼が約束の救世主であ
ることを信じようとされませんけれども、)神が死人を生きかえらせるということが、あ
なた方にはなぜそんなに信じ難いことと思われるのでしょうか。"
"442609","
使徒 26:9","ところで実はこう言うわたしも、(かつては)ナザレ人のイエスの
(救世主という)名に対して大いに反抗すべきであると考え、"
"442610","
使徒 26:10","エルサレムで実際それをやったのです。すなわち大祭司連から全
権を受けて多くの聖徒を牢に閉じこめ、また彼らが処刑されるときそれに賛成したのは、
だれあろうこのわたしでありました。"
"442611","
使徒 26:11","わたしはまたあらゆる礼拝堂でしばしば罰をもって彼らを強要し
て、(イエスを)冒涜させようとしました。そして彼にむかい猛り狂って、(ユダヤの)国
の外の町々にまで行って、迫害をつづけたのであります。"
"442612","
使徒 26:12","こんな次第で、わたしは大祭司連から全権と委任とを受け、(迫害
のため)ダマスコに進んでゆくと、"
"442613","
使徒 26:13","王よ、昼に、途中で、天から輝く太陽にもまさる光がさして、わ
たしと、同行の者たちとのまわりを照らすのを見ました。"
"442614","
使徒 26:14","わたし達が皆地上に倒れると、ヘブライ語で、『サウロ、サウロ、
なぜわたしを迫害するのか。刺の棒は蹴っても無駄だ』とわたしに言う声を聞きました。"
"442615","
使徒 26:15","わたしは言った、『主よ、あなたはどなたですか。』主が言われた、
『わたしだ、君が迫害しているイエスだ。"
"442616","
使徒 26:16","さあ、起きて、“自分の足で立て。”わたしが(今)現われたのは、
君を選んで、わたしを見たことと、(今からも)君に現われて示すこととの証人として、
わたしに仕えさせるためである。"
"442617","
使徒 26:17","(かずかずの迫害や危険がのぞむが心配するな。)わたしは君をこ
の(イスラエルの)民(の手)から、また”異教人(の手)から”“(かならず)救い出し
てやる。”“彼らの中にわたしが君を遣わすのは、”"
"442618","
使徒 26:18","彼らの “目をあけて”彼らが“暗闇から光に、”悪魔の権力から神
に帰るため、そうして彼らがわたしに対する信仰によって罪の赦しを得、きよめられた人
たちの仲間に入れていただくためである』と。"
"442619","
使徒 26:19","アグリッパ王よ、(こんな栄光ある職を受けたのです。)それゆえ、
わたしはこの天からの示しにそむかず、"
"442620","
使徒 26:20","まずダマスコとエルサレムとの人たちに、ユダヤ全国に、それか
ら異教人に、悔改めて神に帰り、悔改めにふさわしいわざをするようにと告げました。"
"442621","
使徒 26:21","そのためユダヤ人はわたしを宮でつかまえて、殺害しようと企て
たのです。"
"442622","
使徒 26:22","しかし神の助けをこうむり、今日まで(こうして)立って、小さ
い者にも大きい者にも証しをしているのです。それも預言書とモーセ[聖書]とが、将来
必ずおこると語った以外のことは、何も言いません。"
"442623","
使徒 26:23","すなわち、救世主は死なねばならないこと、彼は死人の中から最
初に復活して、(イスラエルの)民にも異教人にも光を伝えねばならないことを…」"
"442624","
使徒 26:24","彼がこのように弁明したとき、フェストが大声で(それをさえぎ
って)言う、「パウロ、お前は気が狂っている。博学がお前を狂わせたのだ。」"
"442625","
使徒 26:25","パウロが言う、「フェスト閣下、気は狂っておりません。わたしは
正気で真理の言葉を話しています。"
"442626","
使徒 26:26","(いま言った)これらのことは(アグリッパ)王がよく御承知だ
から、わたしも王に率直に話をしているのです。これらのことが何か王に隠れているとは
信じ得ないからです。これは(公然エルサレムで行われ、決してこそこそと)片隅で行わ
れたのではありません。"
"442627","
使徒 26:27","アグリッパ王よ、王は預言者たち(の言葉)を信じておられます
か。(ユダヤ人たるあなたは、もちろん)信じておられると思いますが。」"
"442628","
使徒 26:28","するとアグリッパがパウロに、「お前はいとも簡単にわたしを説き
伏せてクリスチャンにしようとしている。」"
"442629","
使徒 26:29","パウロがいった、「簡単にせよ面倒にせよ、わたしが神に祈りたい
のは、王だけでなく、きょうわたしの話を聞いておられる方々が皆、このわたしのような
者になられることであります。もっともこの鎖だけは別として!」"
"442630","
使徒 26:30","王が、つづいて総督とベルニケおよび列席の者が立ち上がった。"
"442631","
使徒 26:31","そして退場しながら話し合って言った、「あの男は何一つ死罪や監
禁に当ることをしていない。」"
"442632","
使徒 26:32","そしてアグリッパはフェストに言った、「あの男はもし皇帝に上訴
していなかったら、(今でも)釈放が出来るのに。」"
"442701","
使徒 27:1","さて、(パウロが皇帝の裁きをうけるため)わたし達(二八・一六
マデ「ワタシ達記録」)がイタリヤに渡ることに決定すると、パウロと他の数人の囚人と
は近衛部隊のユリアスという百卒長に引き渡された。"
"442702","
使徒 27:2","わたし達は(小)アジヤの各地に寄港する(ムシヤ地方の)アドラ
ミテオ(港)の船に乗って船出した。テサロニケ生まれのマケドニヤ人アリスタルコもわ
たし達と一緒であった。"
"442703","
使徒 27:3","次の日、わたし達はシドンに入港したが、ユリアスはパウロを親切
に取り扱い、(その地の)教友たちの所に行ってもてなしを受けることを許した。"
"442704","
使徒 27:4","そこを船出して、向い風であったためクプロ(島)の陰を行き、"
"442705","
使徒 27:5","キリキヤ、パンフリヤ沿岸の沖を過ぎてルキヤのミラに着いた。"
"442706","
使徒 27:6","ここで百卒長はイタリヤ行きのアレキサンドリヤの船を見つけて、
それにわたし達を乗り込ませた。"
"442707","
使徒 27:7","しかしかなりの日数の間船足がおそく、やっとクニド(の町)の沖
に来たけれども、風で寄りつけないので、クレテ(島)の陰をサルモネ(岬)の方に行き、
"
"442708","
使徒 27:8","やっとその島に沿って航行して、美しい港という所に着いた。ラサ
ヤの町はその近くであった。"
"442709","
使徒 27:9","しかし(出発してから)かなりの時がたち、すでに(チシュリ[九
−十月]十日の)断食(の日)も過ぎているため、航海はすでに危険であったので、パウ
ロは忠告して、"
"442710","
使徒 27:10","言った、「諸君、この航海は積荷や船ばかりでなく、わたし達の命
にまで、危険と大きな損害とがありそうにわたしには見える。」"
"442711","
使徒 27:11","しかし百卒長はパウロの言ったことよりも、むしろ船長と船主と
の勧告にしたがった。"
"442712","
使徒 27:12","なおこの港は冬を越すには不適当であったので、大部分の者は、
ピクニスまで行けば冬が越せはしないかと、そこから船出することに心を決めた。ピクニ
スはクレテの港で、南西(の風)と北西(の風)とに開いていた。"
"442713","
使徒 27:13","すると南風が静かに吹きはじめたので、彼らは計画を達し得たか
のように思って、錨をあげ、クレテ(島)にできるだけ近く沿って航行した。"
"442714","
使徒 27:14","しかし間もなく、北東風という暴風がその島から吹きつけてきた。
"
"442715","
使徒 27:15","船がさらわれ、船首を風に向けることが出来ないので、わたし達
は(風に)流されるに任せた。"
"442716","
使徒 27:16","クラウダという小島の陰を進むようになって、わたし達はやっと
(引いていた)小舟を支配することが出来た。"
"442717","
使徒 27:17","彼らはそれを(甲板に)引きあげ、綱を用いて船(の胴体)を縛
った。また砂州に乗り上げはしないかと心配し、(出来るだけ船足をおそくするため)海
錨をおろし、こうして流されていた。"
"442718","
使徒 27:18","しかしわたし達があまりひどく嵐に悩まされたので、次の日彼ら
は投荷を行い、"
"442719","
使徒 27:19","三日目には手ずから船具をすら投げ捨てた。"
"442720","
使徒 27:20","幾日もの間太陽も星も陰さえ見えず、はげしい嵐が荒れ狂ったの
で、わたし達の助かるあらゆる望みがついに消えた。"
"442721","
使徒 27:21","一同は食欲をすっかりなくしていたので、その時パウロは彼らの
真中に進み出て言った、「諸君、(やはり)わたしの言葉に従って、クレテ(のあの美しい
港)から船出せずにおくべきであった。そうすればこの危険と損害とをまぬかれたのだ。"
"442722","
使徒 27:22","それで今あなた達に忠告する、元気を出しなさい。船の(なくな
る)ほかは、だれ一人命を失う者はないのだから。"
"442723","
使徒 27:23","なぜなら、わたしの主でありまたわたしが礼拝している神の使が、
昨夜わたしのそばに来て、"
"442724","
使徒 27:24","言われた、『恐れることはない、パウロ。あなたは(ローマに行っ
て)皇帝(ネロ)の前に出なければならない。そら、神はあなたと一緒に乗ってゆく者を
皆、あなたに賜ったではないか』と。"
"442725","
使徒 27:25","だから諸君、元気を出しなさい。わたしは神を信ずる、わたしに
語られたとおりになるにちがいないと。"
"442726","
使徒 27:26","わたし達はどこかにある島に乗り上げねばなるまい。」"
"442727","
使徒 27:27","(美しい港を出て)十四日目の夜、わたし達がアドリヤ海を漂っ
ている時、夜中ごろ、水夫らはどこか陸地に近づいたように考えた。"
"442728","
使徒 27:28","それで測鉛ではかってみると、二十オルグイヤ(三十六メートル)
あった。少し進んでふたたびはかって見ると、十五オルグイヤ(二十七メートル)あった。
"
"442729","
使徒 27:29","そこでわたし達がどこか暗礁に乗り上げはしないかと心配し、彼
らは艫から錨を四つ投げ込んで(船をとめ、)朝になるのを願っていた。"
"442730","
使徒 27:30","すると水夫らは船から逃げようと思い、舳からも錨を下げようと
している振りをして、小舟をおろしたので、"
"442731","
使徒 27:31","パウロは百卒長と兵卒らとに言った、「この水夫らが船に留まって
いなければ、あなた達は助かることが出来ない。」"
"442732","
使徒 27:32","それで兵卒らは小舟の曳綱を切断して、その流れゆくにまかせた。
"
"442733","
使徒 27:33","朝になる少し前に、パウロは皆に食事をするようにと勧めて言っ
た、「あなた達はきょうで十四日目、待ちあぐんで、食事をせず、何も取らずにいる。"
"442734","
使徒 27:34","だから勧めるが、食事をしなさい。それはあなた達の命を救うの
に役立つから。(今度の航海で)あなた達のだれ一人、髪の毛一本も無くすことはあるま
い。」"
"442735","
使徒 27:35","彼はこう言ってパンを手に取り、皆の前で神に感謝を捧げ、裂い
て食べ始めた。"
"442736","
使徒 27:36","皆も元気づいて食事を取った。"
"442737","
使徒 27:37","わたし達船にいた者は皆で二百七十六人であった。"
"442738","
使徒 27:38","人々は腹いっぱい食べたのち、穀物を海に投げ捨てて船を軽くし
た。"
"442739","
使徒 27:39","朝になると、人々は陸地はわからなかったが、(良い)浜のある入
江に気付いたので、出来ることならその浜に船を乗りつけようと思った。"
"442740","
使徒 27:40","そこで錨(綱)を切って海に沈め、同時に舵の綱を解き、吹く風
に前の帆を揚げながら浜に向かって進んだ。"
"442741","
使徒 27:41","しかし浅瀬に来たとき船は坐礁し、舳はめり込んで動かなくなり、
艫は(波の)力でこわれはじめた。"
"442742","
使徒 27:42","兵卒らは囚人を殺してしまおうという意向であった。泳いで逃げ
る者がないようにというのである。"
"442743","
使徒 27:43","しかし百卒長はパウロを救おうと思ってその計画をとめ、泳ぎの
出来る者はまず飛び込んで上陸するようにと命令し、"
"442744","
使徒 27:44","そのほかの者は、あるいは板、あるいは船の破片に乗って上陸さ
せた。こうして、皆陸に救い上げられた。"
"442801","
使徒 28:1","救われた時、わたし達はこの島がマルタと呼ばれることを知った。
"
"442802","
使徒 28:2","土民たちはただならぬ歓待を示してくれた。降り出した雨と寒さと
のために、焚火をしてわたし達を皆(そこに)迎えてくれたのである。"
"442803","
使徒 28:3","さてパウロが柴を一束かき集めて火にくべたところ、一匹の蛇が熱
のために(柴の中から)出てきて、手にかみついた。"
"442804","
使徒 28:4","土民たちはこの(恐ろしい)動物がパウロの手にぶら下がっている
のを見た時、互に言った、「この人はどうしても人殺しだ。海からは(やっと)救われた
が、天道様が生かしておかないのだ。」"
"442805","
使徒 28:5","ところがパウロはその動物を火の中にふるい落して、なんの害も受
けなかった。"
"442806","
使徒 28:6","しかし人々は、はれあがるか、たちまち死んで倒れるのを待ってい
た。長い間待っていたが、何も異常がおこらないのを見て、意見がかわり、彼を神様だと
言い出した。"
"442807","
使徒 28:7","さて、その付近に、ポプリオという島の長官が地所を持っていたが、
わたし達を三日家に泊めて、丁寧にもてなしてくれた。"
"442808","
使徒 28:8","たまたまポプリオの父が熱病と下痢とに苦しんで寝ていたので、パ
ウロは彼の所に行って祈りをし、手をのせて直した。"
"442809","
使徒 28:9","このことがあったので、島のほかの病人たちも(パウロの所に)来
てなおしてもらった。"
"442810","
使徒 28:10","彼らはわたし達に非常な尊敬を払い、船出のときには必要な品々
をくれた。"
"442811","
使徒 28:11","三月の後に、わたし達はこの島で冬を越していたアレキサンドリ
ヤの船で船出した。それには(航海者の守り神)デオスクリの船首像があった。"
"442812","
使徒 28:12","わたし達は(シチリヤ島の)シラクサに入港して三日泊まり、"
"442813","
使徒 28:13","そこから(島の東海岸を)まわってレギオンに行った。(イタリヤ
である。)一日の後に南風が吹き出したので(北に進んで、)二日目に(港町)ポテオリに
着いた。"
"442814","
使徒 28:14","そこで兄弟たちに出会い、招待されて彼らのところに七日泊まっ
た。こうして、(ついに)ローマに、わたし達は着いた。"
"442815","
使徒 28:15","(ローマの)兄弟たちはわたし達のことを聞き、そこから(はる
ばる)アピオ・ポロやトレス・タベルネ(の町々)まで迎えに来てくれた。パウロはその
人たちに会って神に感謝し、勇気づけられた。"
"442816","
使徒 28:16","わたし達がローマに入った時、パウロは(家を借り)監視の一兵
卒と共にひとり住まいを許されていた。"
"442817","
使徒 28:17","三日の後にパウロは(その地の)ユダヤ人の名士たちを呼びあつ
め、集まったとき彼らに言った、「わたしは、兄弟の方々よ、(イスラエルの)民あるいは
先祖の習慣に逆らうことを何一つしなかったのに、エルサレムから囚人としてローマ人の
手に引き渡されました。"
"442818","
使徒 28:18","彼らはわたしを取り調べたが、死罪にあたるなんの罪もなかった
ので、赦そうと思ったのでした。"
"442819","
使徒 28:19","しかしユダヤ人が反対したため(赦されず、)わたしは余儀なく皇
帝に上訴しました。だが何もわたしの国の人を訴えようなどというのではありません。"
"442820","
使徒 28:20","こんな訳で、わたしはあなた達に会って話したいと願ったのです。
わたしは(神のお約束による)イスラエル人の希望のために、この鎖につながれているの
ですから。」"
"442821","
使徒 28:21","すると彼らが言った、「わたし達はユダヤからあなたのことについ
て書面も受け取っておらず、まただれか兄弟が(ここに)来て、何かあなたについての悪
口を報告したことも話したこともない。"
"442822","
使徒 28:22","しかし(そのイスラエル人の希望に関する)あなたの考えを、直
接あなたに聞くのがよいと思う。この異端については、到る所で反対されていることがわ
たし達に知れているのだから。」"
"442823","
使徒 28:23","そこで彼らは日を決め、もっと大勢でパウロの宿に来た。彼は早
朝から夕方まで、神の国のことを彼らに証しして説明し、モーセ律法と預言書[聖書]と
から、イエスの(救世主である)ことについて彼らを説得しようとした。"
"442824","
使徒 28:24","すると、ある者は彼の言ったことで説得されたが、ある者は信じ
なかった。"
"442825","
使徒 28:25","彼らは互いに一致しないので、立ち去ろうとしたとき、パウロは
一言こう言った、「聖霊は預言者イザヤ(の口)をもってあなた達先祖に語っておられる
が、うまいものである。"
"442826","
使徒 28:26","──“この民に行って言え、『あなた達は聞いても聞いても決して
悟るまい、見ても見ても決してわかるまい。"
"442827","
使徒 28:27","この民の心は鈍くなり、耳は遠くなり、その目は閉じてしまって
いるからだ。そうでないと、彼らは目で見、耳で聞き、心で悟り心を入れかえて(わたし
[神に]帰り、)わたしに直されるかも知れない』と。"
"442828","
使徒 28:28","だから、この“神の救いは”(あなた達を去って)“異教人に”お
くられたことを、あなた達はよく知ってもらいたい。彼らならば聞くであろう。」"
2829無シ]
"442830","
使徒 28:30","パウロは丸二年自分の借りた家に滞在した。彼の所にたずねて来
る者を皆迎えて、"
"442831","
使徒 28:31","全く公然と何の妨げもなく、神の国(の福音)を説き、主イエス・
キリストのことを教えた。"

ローマ人へ
"450101","
ローマ 1:1","キリスト・イエスの奴隷であり、(また)神に召され、その福音の
ために選ばれた使徒であるパウロから、──"
"450102","
ローマ 1:2","この福音は、神がその預言者たちにより、聖書においてかねて約
束されたもので、"
"450103","
ローマ 1:3","その御子、すなわち、人間としてはダビデの末から生まれ、"
"450104","
ローマ 1:4","聖なる霊としては死人の中から復活して力ある神の子と定められ
た方、わたし達の主イエス・キリストに関するものである。"
"450105","
ローマ 1:5","わたし達はこの方によって恩恵の使徒職を戴き、御名を広めるた
めに、すべての異教人をして従順に、この信仰を受けいれさせようとしている。"
"450106","
ローマ 1:6","あなた達もその中にあり、イエス・キリストのものになるように
と(神に)召された者である。──"
"450107","
ローマ 1:7","それでわたしは、神に愛される人、(また)召された聖徒であるロ
ーマ(集会)のあなた達一同に、この手紙をおくる。わたし達の父なる神と主イエス・キ
リストから、恩恵と平安、あなた達にあらんことを。"
"450108","
ローマ 1:8","まずもってあなた達の信仰が世界中で評判になっていることを、
イエス・キリストにより、あなた達一同のために、わたしの神に感謝したい。"
"450109","
ローマ 1:9","わたしはこの神を霊をもって、すなわち、その御子の福音を伝え
ることをもって、礼拝しているのであるが、神がわたしの証人として、"
"450110","
ローマ 1:10","わたしが祈りのたびごとに絶えずあなた達を思い、いつか一度は、
神の御心によって都合よくあなた達の所に行けるようにとお願いしていることを、証明し
てくださるであろう。"
"450111","
ローマ 1:11","わたしはほんとうにあなた達に会いたくてたまらない。あなた達
(の信仰)が強められるために、何か霊の賜物を分けあたえたい、"
"450112","
ローマ 1:12","いや、あなた達のところで、お互の信仰によってあなた達もわた
しも、元気づけられたいのである。"
"450113","
ローマ 1:13","兄弟たちよ、このことを知らずにいてもらいたくない。──ほか
の異教人の中でと同様あなた達の中でも、何か(福音の)実を刈り取るため、わたしは幾
たびもあなた達の所に行こうと思い立った。ただし今まで妨げられている。"
"450114","
ローマ 1:14","わたしはギリシャ人にも野蛮人にも、教養のある者にも教養のな
い者にも、(福音を伝える)義務がある。"
"450115","
ローマ 1:15","だからローマのあなた達にも福音を伝えることが、わたしの願い
である。"
"450116","
ローマ 1:16","わたしは(決して)福音を恥じない。福音は神の力で、これを信
ずる者を一人のこらず、すなわち、まずユダヤ人、次に異教人を、救いに入れるからであ
る。"
"450117","
ローマ 1:17","信仰から出て信仰に終る、(徹頭徹尾信仰本意の)神の義が、こ
の福音において現わされているからである。“信仰による義人は生きる”と(聖書に)書い
てあるとおりである。"
"450118","
ローマ 1:18","なぜ(この福音が必要であった)か。人々が不道徳をもって真理
を押えつけているので、神の怒りが彼らのあらゆる不信と不道徳とに対して、天から現わ
されているからである。"
"450119","
ローマ 1:19","というのは、神について知り得るほどのことは、彼らに明らかな
のである。神が現わしてくださったから。"
"450120","
ローマ 1:20","すなわち神の性質は、永遠の能力も神性も、人の目には見えない
ものであるが、世界創造の時から、理性の目をもって造られた物の中に見ることができる
のである。従って(全然)言い訳は立たない。"
"450121","
ローマ 1:21","彼らは神を知っていながら、神として賛美せず、感謝をささげず、
かえってその考えは空虚になり、その愚かな心は(ますます)暗くなったからである。"
"450122","
ローマ 1:22","自分では賢いと言っているが、馬鹿になっている。"
"450123","
ローマ 1:23","その証拠には、朽ちぬ“栄光”の神“の代りに、”朽ちはてる人
間や鳥や四足や長虫の“像を”おがんでいる。"
"450124","
ローマ 1:24","だから神は、彼らが情欲にかられて不品行を行うに任せられた。
自分で自分の体を辱しめさせるためである。"
"450125","
ローマ 1:25","彼らは真の神を偽りの神(偶像)にかえて、造物者の代りに創造
物を崇めもしおがみもしたからである。造物者こそ永遠に賛美すべきである、アーメン。"
"450126","
ローマ 1:26","このゆえに神は彼らが恥ずべき肉欲におぼれるに任せられた。す
なわち、女はその自然の交わりを不自然な交わりにかえ、"
"450127","
ローマ 1:27","同じく男も女との自然の交わりをすてて互に情熱をもやし、男と
男とが恥ずべきことを行い、迷いに対する当然の報いをその身に受けている。"
"450128","
ローマ 1:28","こうして彼らは神を知ることを役に立たぬものと考えたので、神
の方でも、彼らの心が役に立たなくなるに任せられた。その結果彼らは(人として)なす
べからざることをするようになったのである。"
"450129","
ローマ 1:29","彼らはあらゆる不道徳・悪意・欲張り・悪念に満ちた者、妬み・
人殺し・喧嘩・悪巧み・よこしまで一ぱいな者、陰口をきく者、"
"450130","
ローマ 1:30","悪口を言う者、神の敵、無法者、高ぶる者、法螺吹き、悪事の発
明家、親不孝者、"
"450131","
ローマ 1:31","無知・不誠実・無情・無慈悲の者である。"
"450132","
ローマ 1:32","この人たちは、こんなことをする者が死なねばならぬ神の定めを
よく知っていながら、自分でそれをするばかりでなく、人がするのをも喜ぶのである。"
"450201","
ローマ 2:1","だから、ああ人[ユダヤ人]よ、あなたは(人を)裁いているが、
あなたがだれであろうと、言い訳は立たない。あなたは人を裁いて、実は自分の罪を定め
ている。裁きながら、同じことをしているからである。"
"450202","
ローマ 2:2","わたし達が知っているように、(いま言った)こんなことをする者
を、神は真理によってお裁きになる。"
"450203","
ローマ 2:3","ああ人よ、あなたはこんなことをする者たちを裁きながら、自分
で同じことをしているが、それで自分(だけ)は神の裁きを免れると思っているのか。"
"450204","
ローマ 2:4","それとも、神の豊かな慈愛と忍耐と寛容とを誤解し、憐れみ深い
このお方があなたを悔改めさせようとしておられることが、わからないのか。"
"450205","
ローマ 2:5","こうしてあなたは頑固な悔改めない心によって、神の正しい裁き
の現われる怒りの日に望む(神の)怒りを、自分のために貯蓄している。"
"450206","
ローマ 2:6","神は“ひとりびとりの行いに応じて報いられる”(と聖書は言う。)
"
"450207","
ローマ 2:7","すなわち、忍耐して善を行うことによって栄光と栄誉と不滅とを
求める者には、神は永遠の命をおあたえになるが、"
"450208","
ローマ 2:8","自分本意で、真理に従わず偽りに従う者には、怒りと憤りとが待
っている。"
"450209","
ローマ 2:9","(つまり、)苦しみと悩みとは悪を働くすべての人、まずユダヤ人、
次に異教人に、"
"450210","
ローマ 2:10","また栄光と尊敬と平安とは善を行うすべての人、まずユダヤ人、
次に異教人に、のぞむであろう。"
"450211","
ローマ 2:11","神にはえこ贔屓がないからである。"
"450212","
ローマ 2:12","すなわち、律法なしに罪を犯した者[異教人]はみな、律法なし
に滅び、律法の下に罪を犯した者[ユダヤ人]はみな、律法によって罰される。"
"450213","
ローマ 2:13","なぜなら、律法を聞く者が神の目に義であるのでなく、律法を行
う者が義とされるからである。"
"450214","
ローマ 2:14","すなわち、律法を持たない異教人が、その天性によって律法の命
ずるところと同じことを行えば、律法を持たなくても、彼ら(の心)が彼らにとっては律
法なのである。"
"450215","
ローマ 2:15","それは取りも直さず、律法の命ずる行いが彼らの心に書きつけら
れていることを彼らが示すのであり、彼らの良心も(同じく)これを証明し、また彼らの
考えが互に咎めあるいは弁明することも、これを証明してくれる。"
"450216","
ローマ 2:16","そしてこれらのことは、わたしの福音によれば、神がキリスト・
イエスをもって人の隠れたことを裁かれる(最後の)日に、すべて明らかになるであろう。
"
"450217","
ローマ 2:17","しかしもしあなたが自分はユダヤ人だと言い、律法を頼りにし、
神との(特別の)関係を誇るならば、"
"450218","
ローマ 2:18","またあなたが律法によって教えられて(神の)御心を知り、何が
大切であるかが分り、"
"45021920","
ローマ 2:19,20 ,"かつ律法の中に具体化した知識と真理とを持っているので、
「盲人の手引」、「暗やみに迷う者の光り」、「無知な人の教育者」、「児童の教師」をもって
みずから任じているならば、──"
"450220","
ローマ 2:20",""
"450221","
ローマ 2:21","それで、人を教えながら、あなたは自分を教えないのか。盗んで
はならないと説きながら、盗むのか。"
"450222","
ローマ 2:22","姦淫をしてはならないと言いながら、姦淫をするのか。偶像を忌
みきらいながら、宮荒しをするのか。"
"450223","
ローマ 2:23","(要するに、)あなたは律法を誇りながら、律法を破って神を辱
しめている。"
"450224","
ローマ 2:24","“神の御名はあなた達のために異教人の中で冒涜される”と書い
てあるとおりである。"
"450225","
ローマ 2:25","なぜか。律法をまもれば、割礼も役に立つが、律法を犯せば、あな
たの割礼は割礼がないと同じである。"
"450226","
ローマ 2:26","反対に、割礼のない者が律法の要求することを守れば、割礼はな
くても、割礼があると同様にみなされるではないか。"
"450227","
ローマ 2:27","従って、肉に割礼のない者が律法を全うすれば、彼の方があなた
を──(律法の)文字に通じ、割礼を受けていながら律法を犯すあなたを──裁くであろ
う。"
"450228","
ローマ 2:28","なぜなら、みかけだけのユダヤ人はユダヤ人ではなく、みかけだ
けの肉的な割礼は割礼ではない。"
"450229","
ローマ 2:29","隠れた(心の中の)ユダヤ人こそ(まことのユダヤ人、)また(律
法の)文字によらない、霊的な心の割礼こそ(まことの割礼であり、こんなユダヤ人が、)
人間からでなく、神からの栄誉をうけるのである。"
"450301","
ローマ 3:1","それでは、ユダヤ人の特権はどうなるのか、また何が割礼の利益
でるか。あらゆる点において多くの特権がある。まず第一には、神の言葉が彼らにまかせ
られた。"
"450302","
ローマ 3:2","すると、どうなるのだろうか。もしある人たちが(神の言葉に)
不忠実であったら、その不忠実が神の忠実を無にするのではなかろうか。"
"450303","
ローマ 3:3","もちろん、そうではない。”人間を皆嘘つき”にしても、神を真実
とせねばならない。(聖書に)"
"450304","
ローマ 3:4","“これは、御言葉によってあなた[神]が正しいとされ、あなた
がさばかれる時、勝利を得られるためでる。”と書いてあるとおりである。"
"450305","
ローマ 3:5","しかしもしわたし達の不道徳が神の義を明らかにするならば、ど
ういうことになるのだろうか、お怒りになる神の方が──これは人間的に言うのだが──
間違っているのではなかろうか。"
"450306","
ローマ 3:6","もちろん、そうではない。もしそうだとすれば、どうして神はこ
の世をお裁きになることができよう。"
"450307","
ローマ 3:7","しかしもしわたしの(説いた福音が嘘であっても、その)嘘によ
って神の真実がいよいよ明らかになり、その栄光があらわれるとすれば、なぜそのわたし
が、罪人としてなおも罰されねばならないのか。"
"450308","
ローマ 3:8","そして──これをわたし達の言葉だと考えて中傷する者があるそ
うだが──「善いことを出かすために悪いことをしようではないか」ということにならな
いだろうか。この連中が罰されるのは当然である。"
"450309","
ローマ 3:9","それでは、どうなるのだろうか。(ユダヤ人である)わたし達には、
(異教人より)優れたところがあるのか。全然ない。わたし達が前から強く主張してきた
ように、ユダヤ人も異教人もことごとく、罪の(支配の)下にいるからである。""450310","
ローマ 3:10","(聖書に)こう書いてある。──“正しい人がいない、一人もいない、"
"450311","
ローマ 3:11","物のわかる人がいない、神をさがし求める人がいない。"
"450312","
ローマ 3:12","だれもかれも迷って、みんな堕落してしまった。善をする人がい
ない、ただの一人もいない。”"
"450313","
ローマ 3:13"“彼らの咽は口のあいた墓のよう、その舌であざむき、”“蝮の毒
が唇の下にある。”"
"450314","
ローマ 3:14","“口には呪いと苦い言葉とがいっぱいである。”"
"450315","
ローマ 3:15","“その足には血を流すにすばしこく、"
"450316","
ローマ 3:16","その行く所には破壊と悲惨とがある、"
"450317","
ローマ 3:17","彼らは平和の道を知らない。”"
"450318","
ローマ 3:18"“その目の前には神をおそれる恐れがない。”"
"450319","
ローマ 3:19","ところでわたし達が知っているように、(右の)律法[聖書]が
言うことはみな、律法に生きる者(すなわちユダヤ人)に対して語られるものである。(し
かし)こうして(ユダヤ人だけでなく)すべての(人の)口がふさがり、世界中の人が、
神に対して罪なしと言うことはできないのである。"
"450320","
ローマ 3:20","というのは、律法が命ずる行いによっては“だれ一人神の前に義
とされる者はない。”律法によって(は)罪を知る(ことができるだけで、人を罪から救
うことはできない)からである。"
"450321","
ローマ 3:21","しかしながら今、律法に関係なく、神の義は現わされた。しかし
律法と預言書と[聖書]によって(すでに)証しされているものである。"
"450322","
ローマ 3:22","この神の義は、イエス・キリストを信ずる信仰(だけ)によって、
これを信ずるすべての者にあたえられる。(すべてというのは、そこに人間的の)なんの
差別もないからである。"
"450323","
ローマ 3:23","なぜか。すべての人が罪を犯したため、いまだれ一人、(かつて
持っていた)神の栄光をもたない。"
"450324","
ローマ 3:24","(さりとて失った栄光を回復する力はないので、何一つ)代価を
払わず、(ただ)神の恩恵によって、キリスト・イエスによるあがないの力で、(神に)義
とされる(道が設けられた)のである。"
"450325","
ローマ 3:25","すなわち神は御自分の義を示すために、宥めの供え物としてキリ
ストを提供された。これはキリストの血でなされたものであり、(人は)信仰によ(って
この恩恵にあずか)るのである。このことは──神が(長いあいだ)忍耐をもって過ぎし
日に犯した罪を罰せずにおられたので──"
"450326","
ローマ 3:26","今の世において、御自分の義を示そうとされたのである。すなわ
ち御自分が義であること、またイエスを信ずる者を義とするお方であることを、(この世
に)示されたのである。"
"450327","
ローマ 3:27","それでは(ユダヤ人の)誇りはどうなるのか。誇ることは出来な
くなった。なんの法則によって(出来ないの)か。行いの(完全を要求するモーセ律法の)
法則によってか。そうではない、信仰の法則によってである。"
"450328","
ローマ 3:28","わたし達の信ずるところでは、(すでに言ったように、)人は律法
の命ずる行いに関係なく、(ただ)信仰(だけ)で、義とされるからである。"
"450329","
ローマ 3:29","それとも神はユダヤ人だけの神であろうか。また異教人の神では
なかろうか。もちろん異教人の神でもある、"
"450330","
ローマ 3:30","神がただお一人である以上は。すなわち神は、割礼のある者を信
仰により、割礼のない者をも信仰によって、義とされる。"
"450331","
ローマ 3:31","それではわたし達は、信仰(による救いの道)によって(モーセ)
律法を廃止することになるのか。もちろん、そうではない。(結果から見ると、)むしろ律
法の効力を発揮させるのである。"
"450401","
ローマ 4:1","それでは、わたし達(ユダヤ人の)肉の先祖アブラハムが得たも
のは、どういうことになるのだろうか、(何も得なかったことになるではないか、とある
人は言うかも知れない。"
"450402","
ローマ 4:2","わたしは答える、)もし実際アブラハムが(りっぱな)行いによっ
て義とされたのならば、(たしかに)誇る理由がある。しかし(誇ると言っても、人間に
対してであって、)神に対してではない。"
"450403","
ローマ 4:3","では聖書は何と言っているか。“アブラハムは神を信じて、そのこ
とが彼の義と見なされた”とある。(アブラハムが義とされたのは行いのゆえではなく、
恩恵である。)"
"450404","
ローマ 4:4","いったい、仕事をする者に対しては、報酬は債務であって、恩恵
とみなすべきではない。"
"450405","
ローマ 4:5","反対に、仕事をしない者、すなわち(善い行いは出来ずとも、信
ずれば)どんな悪人でも義とするお方(神)を信ずる者に対しては、その信仰が義と見な
されるのである。"
"450406","
ローマ 4:6","同じようにダビデ(王)も、行いに関係なく、(ただ信仰のゆえに)
神が義と見なされる人の幸福を讃美して、こう言っている。"
"450407","
ローマ 4:7","“幸いである、その不法をゆるされ、その罪をおおわれた人たち
は。"
"450408","
ローマ 4:8","幸いな人である、主がその罪を認められない人は。”
"450409","
ローマ 4:9","それではこの幸福の讃美は、割礼のある者(だけ)についてか、
それとも割礼のない者にも及ぶのか。わたし達は(くりかえして)言う、“アブラハムの
信仰が義と見なされた”と。"
"450410","
ローマ 4:10","それではどんな場合に義とみなされたのか。割礼を受けた後か、
それとも(まだ)割礼をうけない時か。割礼を受けた時でなく、割礼をうけない時である。
"
"450411","
ローマ 4:11","そしてアブラハムが(あとで)“割礼なる徴を”受けたのは、(ま
だ)“割礼をうけない”時、信仰によって義とされたことの証拠としてである。これは彼
が、(一方ではユダヤ人でない信者、すなわち)割礼なしで信じて義とみなされるすべて
の人の父になるためであり、"
"450412","
ローマ 4:12","また(他方ではユダヤ人の信者、すなわち)割礼があるだけでな
く、わたし達の父アブラハムが割礼をうけない時(に信じて義と見なされたそ)の信仰の
足跡を踏む、(まことの)割礼のある人たちの父になるためであった。"
"450413","
ローマ 4:13","(このように義とされるのは割礼に関係がない。)なぜなら、ア
ブラハムとその子孫とが世界の相続人になるという約束(が与えられたの)は、(モーセ)
律法(を行ったこと)によるのではなく、信仰の義によるからである。"
"450414","
ローマ 4:14","律法を行う人たちだけが(世界の)相続人(になるの)であるな
ら、信仰はむだなものになり、約束は無になるのである。"
"450415","
ローマ 4:15","律法(の目的)は、(人に罪を犯させ、神の)怒りをもたらす(こ
とにある)からである。律法のない所には、その違反もあり得ない。"
"450416","
ローマ 4:16","そうであるから、(相続人にされるのは)信仰のゆえである。こ
れは恩恵によらせるためであり、(アブラハムの)子孫全体に対して──ただ律法の子孫
[ユダヤ人]だけでなく、アブラハムの信仰の(足跡を踏む)子孫[異教人]に対しても
──(神の)約束が不動であるためである。彼はわたし達すべての者の(信仰の)父であ
る。"
"450417","
ローマ 4:17","“わたしはあなたを多くの国の人の父に決めた”と書いてあると
おりに。(ただし)それは、彼が信じた神、すなわち、死人を生かし、また無から有を呼
び出される神の前においてである。"
"450418","
ローマ 4:18","(まことに)アブラハムは(神の力を確信して、)望み得ないこ
とを望んで信じたので、“あなたの子孫はあのように、(空の星のように多く)なるであろ
う”と言われた言葉のとおり、“多くの国の人の父”になったのである。"
"450419","
ローマ 4:19","すなわち彼は信仰が弱らずに、ほとんど百歳であったので、自分
の体が死んでしまっており、(妻)サラの胎も死んでいるのをよく知っていながら、
""450420","
ローマ 4:20","不信仰をもって神の約束を疑わないばかりか、かえって信仰が
強くなり、神に栄光を帰した、"
"450421","
ローマ 4:21","神は約束を果たす力を持っておられる(ので、子をお授けになる)
と確信することによって。"
"450422","
ローマ 4:22","このゆえに、“そのことが彼の義と見なされた”のである。"
"450423","
ローマ 4:23","しかし(“彼の義と)みなされた”と書いてあるのは、彼だけの
ためではなく、"
"450424","
ローマ 4:24","わたし達のためでもある。主イエスを死人の中から復活させられ
たお方[神]を信ずるわたし達も、(信仰によって義と)みなされねばならないからであ
る。"
"450425","
ローマ 4:25","このイエスこそ、わたし達の過ちのために死に引き渡され、また
わたし達を義とするために復活された方である。"
"450501","
ローマ 5:1","だから、わたし達は信仰のゆえに義とされたのであるから、わた
し達の主イエス・キリストによって、いま神と平和ができた。"
"450502","
ローマ 5:2","そうだ、キリストにより、信仰で、わたし達はいまいるこの恩恵
の状態に入ることができ、また(最後の日に)神の(子になることを信じて、その)栄光
にあずかる希望を誇っているのである。"
"450503","
ローマ 5:3","そればかりではない。苦難をも誇る。苦難は忍耐を、"
"450504","
ローマ 5:4","忍耐は鍛錬を、鍛錬は希望を生むことを知っているからである。"
"450505","
ローマ 5:5","そしてこの“希望は(必ず実現して、わたし達を)失望させるこ
とはない。”神はわたし達に聖霊を授け、それによって愛をわたし達の心の中に(いつも
豊かに)注いでいてくださるからである。"
"450506","
ローマ 5:6","なぜなら、わたし達がまだ弱くあったとき、当時まだ不信心者の
(わたし達の)ために、キリストは死んでくださったからである。"
"450507","
ローマ 5:7","(驚くべき神の愛!人間の世界では、)義人のために命をすてる者
はほとんどあるまい。善人のためならば、惜しげもなく命をすてる者が、あるいはあるか
も知れない。"
"450508","
ローマ 5:8","しかしわたし達が(義人でも善人でもなく、)まだ罪人(神の敵)
であったとき、キリストが私たちのために死んでくださった。このことによって、神はわ
たし達に対する愛をお示しになったのである。"
"450509","
ローマ 5:9","それならばキリストの血で義とされている今、わたし達がキリス
トによって(最後の日の神の)怒りから救われるのは、もちろんである。"
"450510","
ローマ 5:10","なぜなら、(神の)敵であったのに、その御子の死によって神と
和睦ができたくらいならば、すでに和睦をしたわたし達が、御子の(復活の)命によって
救われるのは、もちろんである。"
"450511","
ローマ 5:11","そのことばかりではない。主イエス・キリストによって今すでに
この和睦を得たわたし達は、彼によって神を誇るのである。(自分を誇らない。キリスト
を誇り、神を誇る。)"
"450512","
ローマ 5:12","(この救いはキリストとアダムとを比較する時に、はっきりす
る。)すなわち、一人の人(アダム)によってこの世に罪が入ってき、罪によって死が入
ってき、こうして、(この人において)人は一人のこらず罪を犯したので、全人類に死が
行き渡ったように──([一八節ニツヅク]一人の人キリストの正しい行いによって、全
人類に命を与える義が臨んだのである。)"
"450513","
ローマ 5:13","なぜか。(律法のない時代、つまりアダム以後モーセ)律法(の
できる)までの間にも、罪はこの世にあったが、律法がないので、(たとえ罪に当たるこ
とをしても、)罪はその人の責任に帰せられ(ず、死の罰は受け)ないはずである。"
"450514","
ローマ 5:14","それにもかかわらず、アダムからモーセまでの間に、アダムと同
じ(律法)違反の罪を犯さなかった(その時代の)人たちの上にも、死が王として支配し
たからである。(従ってこの罪と死とがアダムによるものでなくてなんであろう。そして
一人の人の行いが全人類に影響を及ぼす点において、)アダムは来るべき者(である新約
のアダム、すなわちキリスト)の型である。"
"450515","
ローマ 5:15","しかし(神の)賜物は(アダムの)過ちと同じではない。なぜな
ら、一人の人(アダム)の過ちによってすら多くの人が死んだくらいであるから、まして
神の恩恵と一人の人イエス・キリストによる恩恵の賜物とが、多くの人に満ちあふれるの
はもちろんである。"
"450516","
ローマ 5:16","なお、(キリストの)賜物と一人の罪を犯した人の場合とは、同
じではない。なぜなら、一人の人(の罪)に対する(神の)裁きは、(多くの人に)死の
宣告を下したのであるが、(神の)賜物は、多くの(人をその)過ちから(救い出して)
義とするからである。"
"450517","
ローマ 5:17","一人の人によって、すなわち一人の人(アダム)の過ちによって
すら死が支配するようになったくらいであるから、ましてあふれるばかりの恩恵と義とさ
れる賜物とを戴いた者が、一人の人イエス・キリストにより(永遠の)命をもって支配す
るのは、もちろんであるからである。──"
"450518","
ローマ 5:18","従って、一人の人の過ちによって全人類に死の宣告が下されたと
同じに、一人の人の正しい行いによって、全人類に命を与える義が臨んだのである。"
"450519","
ローマ 5:19","すなわち、一人の人の不従順によって多くの人が罪人になったよ
うに、一人の人の従順によっても多くの人が義人になるのである。"
"450520","
ローマ 5:20","(それなら律法は人を義として永遠の命を与えるためには役立た
ないのか。その通り。)律法は、過ちを増し強めるために第二義的に来たのである。しか
し(神に感謝する、人の犯す)罪が増し強まれば、恩恵は豊かにあふれる。"
"450521","
ローマ 5:21","これは罪が死を持って支配したように、恩恵も義をもって支配し、
わたし達の主イエス・キリストによって、(わたし達を)永遠の命に入れるためである。"
"450601","
ローマ 6:1","それでは、どういうことになるのだろうか。(罪が増せば恩恵も豊
かになるならば、)恩恵が増し強まるために、わたし達は罪(の生活)を続けるべきであ
ろうか。"
"450602","
ローマ 6:2","もちろん、そうではない。わたし達は罪との関係ではすでに死ん
でいるのに、、どうしてなお罪の中に生きていられよう。"
"450603","
ローマ 6:3","それともあなた達は知らないのか、キリスト・イエスへと洗礼を
受けたわたし達はみな(彼のものになって、)彼の死へと洗礼を受けたのである。" 

"450604",,"ローマ 6:4","だからこの死への洗礼によって、彼と一しょに(死んで一しょ
に)葬られたのである。これはキリストが父上の栄光によって死人の中から復活されたよ
うに、わたし達も(復活して)新しい命をもって歩くためである。"
"450605","
ローマ 6:5","なぜなら、わたし達が(洗礼によって)彼と合体してその死にあ
やかる者になった以上、復活にもあやかるのは当然だからである。"
"450606","
ローマ 6:6","わたし達はこのことを知っている。──(洗礼は十字架をあらわ
す。)古いわたし達は(キリストと)一しょに十字架につけられたが、これは罪の体がほ
ろび失せて、わたし達がもう二度と罪の奴隷にならないためであると。"
"450607","
ローマ 6:7","死んだ者は罪から解放されるからである。"
"450608","
ローマ 6:8","しかしキリストと一しょに死んだ以上は、一しょに生きることを
もわたし達は信じている。"
"450609","
ローマ 6:9","キリストは死人の中から復活されたのであるから、もう二度と死
なれることはなく、もう死が彼を支配することはできないことを、わたし達は知っている
のである。"
"450610","
ローマ 6:10","なぜなら、彼が死なれたのは、一度かぎり罪との関係で死なれた
のであり、いま生きておられるのは、神との関係で(永遠に)生きておられるのである。"
"450611","
ローマ 6:11","だからあなた達もそのように、自分を罪との関係では死んだ者、
神との関係ではキリスト・イエスにあって生きている者と考えよ。"
"450612","
ローマ 6:12","(このようにあなた達と罪との関係は切れてしまった。)だから
(いつまでも)罪をあなた達の死ぬべき体の王にして支配させ、その欲望に服従してはな
らない。"
"450613","
ローマ 6:13","またあなた達の肢体を不道徳の武器にして罪にまかせていてはな
らない。あなた達は死人の中から命によみがえった者であるから、自分を神に、すなわち
自分の肢体を義の武器にして神にまかせよ。"
"450614","
ローマ 6:14","なぜなら、罪はもうあなた達の主人として支配することはないか
らである。あなた達は律法の下にいるのでなく、恩恵の下にいるのである。"
"450615","
ローマ 6:15","それでは、どうだろうか。わたし達は律法の下にいるのでなく恩
恵の下にいるのだから、罪を犯そうではないかということになるのだろうか。もちろん、
そんなことはない。"
"450616","
ローマ 6:16","あなた達はこのことを知らないのか。──奴隷として服従するた
めにある人に自分をまかせれば、あなた達は服従するその人の奴隷であって、罪の奴隷に
なって死ぬか、それとも、(神に)従順の奴隷になって義とされ(て生き)るか、どちら
かである。"
"450617","
ローマ 6:17","しかし神に感謝する、あなた達は(かつて)罪の奴隷であったが、
(神から信仰の)教えの型に入れられて心からそれに服従し、"
"450618","
ローマ 6:18","罪(の奴隷たる身分)から自由にされて、義の奴隷にしていただ
いたのである。"
"450619","
ローマ 6:19","(奴隷の例でこんな)人間的の言い方をするのは、あなた達の理
解力が(まだ)弱いからである。(わたしはこう言いたい。──かつて)あなた達が奴隷
になって肢体を汚れと不法とにまかせて不法を行ったように、今度は(神の)奴隷になっ
て肢体を義にまかせて聖くなれと。"
"450620","
ローマ 6:20","なぜなら、あなた達が罪の奴隷であった時には、義に対して自由
(の身)であって(勝手放題な生活をしてい)たが、"
"450621","
ローマ 6:21","その時いったいどんな実を得たのであったか。今なら恥ずかしい
ものではないか。それらのものの最後は死だからである。"
"450622","
ローマ 6:22","しかし今は、罪から自由にされて神の奴隷にしていただき、一つ
の実を得ている。この実はあなた達を聖め、最後は永遠の命に至らせるのである。"
"450623","
ローマ 6:23","なぜなら、罪が(奴隷に)払ってくれる給料は死であり、(従う
者に与えられる)神の賜物は、わたし達の主イエス・キリストにおいての永遠の命だから
である。"
"450701","
ローマ 7:1","それとも、あなた達は知らないのか、兄弟たちよ、──これは法
律を知っている人たちに言うのだが──法律は人が生きている間だけ人を支配するのであ
る。"
"450702","
ローマ 7:2","たとえば、結婚した婦人は夫が生きているうちは法律によって(夫
に)結びつけられているが、夫が死ねば、(彼女を夫に結びつける)夫の法律から解かれ
る。"
"450703","
ローマ 7:3","従って、夫が生きているうちにほかの男のものになれば、姦婦と
言われるけれども、夫が死ねば、たとえほかの男のものになっても、(夫の)法律から自
由(の身)であるから、姦婦ではない。"
"450704","
ローマ 7:4","だから、わたしの兄弟たちよ、(あなた達と律法との関係も同じで
ある。)キリストの体(が十字架の上で死んだこと)によって、あなた達も律法との関係
では(一しょに)殺されたのである。これはあなた達が(古い夫である律法の束縛をはな
れ、)ほかの者、すなわち死人の中から復活された方、(新しい夫キリスト)のものになっ
て、わたし達が神のために(善い)実を結ぶためである。"
"450705","
ローマ 7:5","なぜなら、わたし達が(生まれたままの)肉にあっ(て生きてい)
た時には、律法(の刺激)による罪の情熱が肢体の中に働いて、わたし達は死のために(滅
びの)実を結んだからである。"
"450706","
ローマ 7:6","しかし今は縛られていた律法に対して死に、律法から解かれたの
で、(律法の)古い文字によらず、(福音の)新しい霊において(神に)仕えるのである。"
"450707","
ローマ 7:7","それでは、どういうことになるのだろうか。律法(自体)が罪で
あろうか。もちろん、そうではない。(しかし罪と無関係ではない。)むしろ律法によらな
ければ、わたしは罪を知らなかった。なぜなら、律法が“(人のものを)欲しがってはな
らない”と言わなければ、わたしは欲を知らなかったであろう。"
"450708","
ローマ 7:8","ところが(“人のものを欲しがってはならない”という掟が来ると、
今まで眠っていた)罪は(目をさまし、)掟(に反抗しこれ)を利用して、ありとあらゆ
る欲をわたしの中に起こした。すなわち、律法がなければ罪は死んでいるのである。"
"450709","
ローマ 7:9","かつて律法のない時には、(罪が死んでいて)わたしは(子供のよ
うに罪を知らずに)生きていた。しかし掟が来ると、(わたしの中の)罪が生きかえり、"
"450710","
ローマ 7:10","(今度は)わたしの方が(罪によって)死んでしまった。(こう
して)命へ導く使命を持つ掟そのものが、(実際はかえってわたしを)死へ導くものにな
ったことが、わたしにわかった。"
"450711","
ローマ 7:11","なぜなら、罪は掟を利用してわたしを惑わし、掟によって(わた
しを)殺したからである。"
"450712","
ローマ 7:12","だから律法自体は聖であり、掟も聖であり、義であり善である。
"
"450713","
ローマ 7:13","それでは、善いものがわたしにとって死(をもたらすもの)にな
ったのだろうか。もちろん、そうではない。罪は罪であることが現われるために、善いも
のによって、(律法という善いものを悪用して、)わたしに死をもたらしたのである。これ
は掟によって、罪が一層はっきり罪になるためである。"
"450714","
ローマ 7:14","(要するに罪は掟になく、私の中の罪にある。)その訳は、わた
し達が知っているように、律法は(神から与えられた)霊的なものである。しかしわたし
は肉的なものであり、(奴隷として)売られて罪の(支配の)下にいるからである。"
"450715","
ローマ 7:15","(罪の命ずるままに動くだけで、)自分のしていることを知らな
いのである。(それは自分と結びつかない。)したいと思うことはせず、いやでたまらない
ことばかりしているのだから。"
"450716","
ローマ 7:16","ところで、したくないと思うことばかりをしているのなら、律法
が良いものであることを認めているわけである。"
"450717","
ローマ 7:17","そうすると、それをしているのはもはやこのわたしではなく、わ
たしの中に住み込んでいる罪である。"
"450718","
ローマ 7:18","なぜなら、わたしの中には、すなわちわたしの肉の中には、(何
一つ)善いものが住んでいないことを、わたしは知っている。良いことをしたいと思う意
志はいつもわたしにあるが、(悲しいかな、)する力がないのである。"
"450719","
ローマ 7:19","したいと思う善いことはせずに、したくないと思う悪いことばか
りを、するからである。"
"450720","
ローマ 7:20","ところで、したくないと思うことばかりをしているのだから、そ
れをしているのはもはやわたしではなく、わたしの中に住んでいる罪である。"
"450721","
ローマ 7:21","だから、わたしが良いことをしたいと思えば、かならず悪いこと
がわたしに生まれるという法則があることを、発見する。"
"450722","
ローマ 7:22","すなわち、(わたしの中に二つのわたしがあって、)内の人として
のわたしは神の律法を喜ぶが、"
"450723","
ローマ 7:23","わたしの肢体にもう一つの(わたし、罪の)法則(を喜ぶ外の人
としてのわたし)があり、(その神の律法を行おうとする)わたしの理性の法則と戦って、
肢体にあるこの罪の法則の捕虜にすることを、経験するのである。"
"450724","
ローマ 7:24","なんとわたしはみじめな人間だろう!だれがこの死の体から、わ
たしを救い出してくれるのだろうか。"
"450725","
ローマ 7:25","──神様、感謝します、わたし達の主イエス・キリストによって!
──従って、このわたしは理性では神の律法に仕えるが、肉では罪の法則に仕えるのであ
る。"
"450801","
ローマ 8:1","(こうしてわたし達はみな救われている。)だから今では、キリス
ト・イエスにある者は絶対に罪を罰されることはない。"
"450802","
ローマ 8:2","なぜなら、キリスト・イエスによる命の霊の法則が、死と罪との
法則からあなたを自由にしたからである。"
"450803","
ローマ 8:3","律法が肉に妨げられて無力になったために出来なくなったことを、
神は(御子によって)成し遂げてくださった。すなわち(わたし達の)罪の(征服の)た
めにその子を罪の肉の形で(この世に)遣わし、その肉(を殺すこと)において罪を罰さ
れたのである。"
"450804","
ローマ 8:4","これはわたし達が(もはや)肉によって歩かず、霊によって歩き、
律法の要求することがわたし達において完全に果たされるためである。"
"450805","
ローマ 8:5","なぜ(霊によって歩けばそれができる)か。肉による者[生まれ
ながらの人]は肉のことを追い求めるが、霊による者[キリストを信ずる者]は霊のこと
を追い求めるからである。"
"450806","
ローマ 8:6","肉を追い求めることは死をもたらすが、霊を追い求めることは命
と平安とをもたらすからである。"
"450807","
ローマ 8:7","というのは、肉を追い求めることは神への敵対である。肉は神の
律法に服従せず、服従することも出来ないからである。"
"450808","
ローマ 8:8","肉にある者は神をお喜ばせすることは出来ない。"
"450809","
ローマ 8:9","しかしあなた達は肉にある者ではなく、霊にある者である、(すで
にキリストを信じて)神の御霊があなた達の中に住んでおられる以上は。しかし(神の御
霊すなわち)キリストの霊を持たないなら、その人はキリストのものではない。"
"450810","
ローマ 8:10","しかしキリスト(の霊)があなた達におられるなら、(あなた達
の)体は(アダムの)罪によって死んでいるが、霊は(キリストの)義によって生きてい
る。"
"450811","
ローマ 8:11","しかしイエスを死人の中から復活させたお方の御霊があなた達の
中に住んでおられるなら、キリスト・イエスを死人の中から復活させたそのお方は、あな
た達の中に住んでおられるその御霊によって、あなた達の死ぬべき体をも生かしてくださ
るであろう。"

"450812","ローマ 8:12","(こんなに大きな恩恵をいただいているの)だから、兄弟たちよ、
わたし達は義務がある。(もちろん)肉に対して、肉的に生きる義務があるのではない。(神
に対して、霊によって生きる義務があるのである。)"
"450813","
ローマ 8:13","その訳は、もしあなた達が肉によって生きれば、かならず死ぬか
らである。しかしもし(霊によって生き、)霊をもって体の働き[肉の行い]を殺せば、(永
遠に)生きる。"
"450814","
ローマ 8:14","神の御霊に導かれている者はことごとく、神の子だからである。
"
"450815","
ローマ 8:15","なぜなら、あなた達が(神から)戴いた霊は、(あなた達を)も
う一度(律法の支配の下に置いて)びくびくさせる奴隷の霊でなく、(神の)子の霊であ
る。(その証拠には、)わたし達は(祈るとき、)その霊によって「アバ(お父様)、お父様」
と大声で呼ぶではないか。"
"450816","
ローマ 8:16","御霊自身が、今すでにわたし達が神の子供であることを、わたし
達の霊に保証してくださるのである。"
"450817","
ローマ 8:17","(すでに神の)子供であるならば、また相続人である。神の相続
人であり、キリストと共同相続人である、(キリストと)一しょに栄光を受けるため、(こ
うして彼と)一しょに苦しんでいる以上は。"
"450818","
ローマ 8:18","(しかもこの苦しみは恐れることはない。)なぜなら、わたしは
こう考える。今の世の苦しみは、わたし達に現われようとしている栄光(──キリストと
一しょに神の国の相続人になる最後の日の大いなる光栄──)にくらべれば、言うに足り
ない。"
"450819","
ローマ 8:19","(そしてこの栄光は必ず与えられる。)その証拠(の第一)は、
創造物が神の子たちの現われるのを、首を長くして待ちこがれていることである。"
"450820","
ローマ 8:20","なぜであるか。創造物は自分から(今のような)はかない運命に
屈服したのでなく、それは屈服させたお方([神]の御心)によるからである。(彼らはア
ダムの罪の責任を負わされたのである。)しかし(この屈服には)望みがある。"
"450821","
ローマ 8:21","創造物自身も、滅亡の奴隷になっている(現在の)状態から自由
にされて、神の子供たちがうける栄光と自由とにあずかるのだから。"
"450822","
ローマ 8:22","わたし達が知っているように、全創造物は(かの日から)今まで、
一しょになって呻き、一しょになって産みの苦しみをしている。(父なる神がこの 呻き
に耳を傾けられないことがあろうか。)"   
"450823","
ローマ 8:23","しかし(苦しんでいるのは)創造物だけではない。わたし達自身
も、(神の子にされた証拠として)御霊なる初穂を持っているので、このわたし達自身も、
自分(のみじめな姿)をかえりみて、呻きながら、(正式に神の)子にされること、すな
わちわたし達のこの(罪の)体があがなわれ(て、朽ちることのない栄光の体にされ)る
ことを、待っているのである。"
"450824","
ローマ 8:24","なぜなら、わたし達は(最後の日に救いが完成されるという)望
みをもって、救われているからである。目に見ることのできる望みは望みではない。人は
いま現に見ているものを、なんでその上望む必要があろうか。"
"450825","
ローマ 8:25","しかしわたし達が見ていないものを望むとすれば、忍耐をもって
待たねばならない。"
"450826","
ローマ 8:26","しかし(創造物やわたし達神の子が苦しんでいると)同じように、
御霊も、弱いわたし達を助けてくださる。すなわち、(神のみ心にかなうには)どう何を
祈るべきかわからないので、御霊自身が、無言の呻きをもって(わたし達の祈りを神に)
執り成してくださるのである。"
"450827","
ローマ 8:27","しかし(人の)心を見抜くお方[神]は、御霊が何を求めている
か、すなわち、御霊が神の御心にかなうように聖徒たちのために執り成しておられること
を、(もちろん)御存じである。"
"450828","
ローマ 8:28","そればかりではない。(わたし達の救いは次のことからも確かで
ある。)わたし達が知っているように、神を愛する者、すなわち(神の)計画に応じて召
された者には、すべてのことが救いに役立つのである。"
"450829","
ローマ 8:29","というのは、神は(世の始まる前に)あらかじめお選びになった
人たちをば御子(キリスト)と同じ姿にすることを、あらかじめお定めになったからであ
る。──これは(こうして出来た)多くの兄弟たちの中で、彼を長男にするためである。
──"
"450830","
ローマ 8:30","そして(時が来ると)あらかじめお定めになった人たちを召し、
お召しになった人たちを義とし、義とした人たちには栄光をお与えになるだろう。"
"450831","
ローマ 8:31","すると、それはどういうことになるのだろうか。──神がわたし
達の味方である以上、だれがわたし達に敵対できるか。"
"450832","
ローマ 8:32","御自分の子をさえなんの惜しげもなく、わたし達みんなのために
死に引き渡されたその神が、どうしてそれと共に、すべてのものをも賜わらないことがあ
ろうか。"
"450833","
ローマ 8:33","だれが(わたし達)神の選ばれた者を告発することができるか。
神が(裁判官として)“罪なしと宣告しておられるのに。”"
"450834","
ローマ 8:34","“だれが(わたし達を)罰することができるか。”キリスト・イ
エスが(わたし達の罪のために)死んで、それだけでなく復活して、いま神の右においで
になって、わたし達のために執り成していてくださるのに。"
"450835","
ローマ 8:35","(このゆえに)だれがキリストの(わたし達を愛する)愛から、
わたし達を引き離すことができるか。苦しみか、悩みか、迫害か、飢えか、裸か、危険か、
剣か。"
"450836","
ローマ 8:36","こう書いてある。──“あなた[神]のためにわたし達は一日中
死の危険にさらされている、わたし達は屠られる羊のように考えられた。”"
"450837","
ローマ 8:37","(もちろん、引き離すことのできるものはない。)そればかりか、
わたし達を愛して(十字架につけられて)くださった方により、これらすべての(苦難の)
中にあって、わたし達は悠々と勝つことができる。"
"450838","
ローマ 8:38","なぜなら、わたしは確信している、死でも命でも、天使でも支
配(天使)でも、現在起こっていることでも将来起こることでも、権力(天使)でも、"
"450839","
ローマ 8:39","高い所のものでも低い所のものでも、その他どんな創造物でも、
わたし達の主キリスト・イエスによる神の愛から、わたし達を引き離すことはできない。"
"450901","
ローマ 9:1","私はキリストにある者として本当のことを言う、嘘はつかない。
わたしの良心も聖霊によって、(それが本当であることを)保証してくれる。"
"450902","
ローマ 9:2","(わたしが急にこんなことを言い出したら信じてくれないかも知
れないが、)わたしに大きな悲しみと、心に絶えざる痛みとがあるのである。"
"450903","
ローマ 9:3","ほんとうに、兄弟すなわち血を分けた同胞の(救われる)ためな
らば、このわたしは呪われて、救世主(の救い)から離れ落ちてもよいと、幾たび(神に)
願ったことであろう。"
"450904","
ローマ 9:4","(言うまでもなく、)それはイスラエル人のことである。(彼らは
神の)子たる身分(を与えられ、神の)栄光(はその中に住み、)かずかずの契約(は神
との間に結ばれ、比類のない)律法、(荘厳な)礼拝、多くの(恩恵の)約束は、(ことご
とく)彼らのものである。"
"450905","
ローマ 9:5","(また、アブラハム、イサク、ヤコブなどの偉大な)祖先たちは
彼らのものであり、救世主も人間としては彼らから出られたのである。一切のものの上に
おられる神なる彼は、永遠に賛美すべきである、アーメン。"
"450906","
ローマ 9:6","(ところがイスラエル人は、この約束の成就であるイエス・キリ
ストを十字架につけて殺してしまった。)しかしこれは、神の(約束の)言葉が反故にな
ったなどというのでは決してない。なぜなら、(祖先)イスラエル[ヤコブ]から出た者
が皆、イスラエル人だという訳ではないからである。"
"450907","
ローマ 9:7","またアブラハムの子孫だからとて、それが皆その子供とはかぎら
ない。(その証拠には、神は女奴隷ハガルとの間のイシマエルを正当の子とみなさず、“正
妻サラとの間の約束の子)イサクから生まれる者が、あなたの子孫となるべきである”と
(仰せられたと聖書に)ある。"
"450908","
ローマ 9:8","すなわち、(アブラハムの)血筋を引く子供が、当然に(彼の子孫
として約束にあずかる)神の子供ではなく、約束の(言葉によって生まれた)子供(だけ)
が、(彼の)子孫と見なされるのである。"
"450909","
ローマ 9:9","なぜなら、(イサクが生まれるについては、)次のような約束の言
葉があるから。(“来年の)今ごろわたしは(また)来る。するとサラに息子ができる。”(こ
うしてイサクが生まれない前に、神は彼をアブラハムの正当の子孫と見なすことを約束さ
れた。)"
"450910","
ローマ 9:10","そればかりではない。(一人の女)リベカが、一人の男すなわち
わたし達の祖先イサクによって孕んだ場合も、その一例である。"
"450911","
ローマ 9:11","なぜか。(同じ父母から生まれた二子であるのに、弟ヤコブの方
が、兄エサウを差し置いて相続人になったのである。すなわち)二人がまだ生まれず、(従
って)なんの善いことも悪いこともしない先に、──これは、神の選びの計画は不動であ
り、"
"450912","
ローマ 9:12","(人の)行いによらず、召されるお方(の御心)による(ことを
示す)ためであったが──“兄は弟に仕える”と神はリベカに言われた。"
"450913","
ローマ 9:13","(そして預言どおりにヤコブが選ばれた。)“わたしはヤコブを愛
したが、エサウを憎んだ”と書いてあるとおりである。"
"450914","
ローマ 9:14","するとどういうことになるのだろうか。神に不公平でもあるのか。
もちろん、そんなことはない。"
"450915","
ローマ 9:15","その証拠には、神は(かつて)モーセにこう言われている、“わ
たしは憐れみたい者を憐れみ、慈悲をほどこしたい者に慈悲をほどこす”と。"
"450916","
ローマ 9:16","従って(憐れみも慈悲も、)それは(人間の)願望にも努力にも
よらず、ただ神の憐れみによるのである。"
"450917","
ローマ 9:17","(反対に、憐れみを奪われる場合も同じである。)現に聖書は、
パロ[エジプト王]にこう(神が仰せられたと)言っているではないか、”わたしがあな
たを(王として)立てたのは、(あなたの心を頑固にして私の命令にそむかせ、)あなたに
よってわたしの力を示すため、また、わたしの名が全世界に知れわたるため、ただそのた
めであった”と。"
"450918","
ローマ 9:18","従って神は思うままに、ある人を憐れみ、ある人を、”頑固にさ
れる”(ことは明らかである。)"
"450919","
ローマ 9:19","するとあなたはわたしに(抗議して)言うにちがいない、それで
は、なぜ神はなおも人を咎められるのか。(御自身が人の心を頑固にされるのなら、)だれ
も神の意志に逆らうことはできない訳ではないかと。"
"450920","
ローマ 9:20","ああ人よ、いったい君は何者なれば、神に口答えをするのか。“作
られたものが作った者に向かって、「なぜ“わたしをこんなものに造ったか」と言えるだ
ろうか。”"
"450921","
ローマ 9:21","それとも、“陶器師には、”同じ“粘土”の塊で、一つは尊い用途
の、一つは卑しい用途の器を造る権利がないのだろうか。"
"450922","
ローマ 9:22","それで、もし神が、(御自分の)怒りを示し御自分の力(の恐ろ
しさ)を知らせようとお思いになるので、(今日まで)いとも気長に、“滅びのために”つ
くられた”怒りの器[滅びる人]を辛抱された”とすれば、"
"450923","
ローマ 9:23","またそれは、栄光のためにあらかじめ用意された憐れみの器[救
われる人]に、御自分の豊かな栄光を知らせるためであったとすれば、どうだ。(かれこ
れ言うことはないではないか。)"
"450924","
ローマ 9:24","神はこの憐れみの器としてわたし達をも召されたのである。ただ
ユダヤ人の中からだけでなく、異教人の中からも。"
"450925","
ローマ 9:25","(異教人の中から憐れみの器が選ばれることは、不思議ではな
い。)神がホセア書でも言っておられるとおりである。“わたしはわたしの民でない者をわ
たしの民と呼び、愛されぬ者を愛される者と呼ぶであろう。”"
"450926","
ローマ 9:26","“「あなた達は私の民でない」と言われたその場所で、彼らは生
ける神の子と呼ばれるであろう。”"
"450927","
ローマ 9:27","(預言者)イザヤもイスラエル人について叫んでいる。“たとえ
イスラエル[ヤコブ]の子孫の数は海の砂のように(多数)であろうとも、(信ずる少数
の)残りの者(だけ)が救われる。"
"450928","
ローマ 9:28","なぜなら主は(間もなく約束の)御言葉を完了し打ち切って、(裁
きと救いとを)地上に実現されるからである。”"
"450929","
ローマ 9:29","さらにイザヤは前もってこう言われている。“もし万軍の主がわ
たし達に(まことのイスラエルの)子孫を残されなかったなら、わたし達はソドムのよう
になりゴモラと同じになっ(て滅び)たにちがいない。”"
"450930","
ローマ 9:30","すると、どういうことになるのだろうか。義を追い求めなかった
異教人が(かえって)義を勝ち取った。すなわち(行いによらない)信仰による義である。
"
"450931","
ローマ 9:31","反対に、イスラエル人は義を約束する律法を(熱心に)追い求め
たが、(ついに)律法に(よって義に)達することができなかったのであるが。"
"450932","
ローマ 9:32","なぜか。イスラエル人は信仰によってでなく行いによって(義と
され得るか)のように考え(て、追い求め)たからである。彼らは”躓きの石に“躓いた。
"
"450933","
ローマ 9:33","(聖書に)書いてあるとおりである。“見よ、”“躓きの石と邪魔
の岩とを”“シオンに”置く、“これを信ずる者は恥をかかないであろう。”"
"451001","
ローマ 10:1","兄弟たちよ、彼ら[イスラエル人]が救われること、これがわた
しの切なる望み、また彼らのための神への願いである。"
"451002","
ローマ 10:2","彼らは神に対して(ほんとうに)熱心だからである。そのことを
彼らのために証明する。ただ、(残念なことに、その熱心が正しい)認識を欠いている。"
"451003","
ローマ 10:3","すなわち、彼らは(キリストを信ずることによって義とされる)
神の義(の道が開けているの)がわからず、(自分の力で律法を守って)自分の義を立て
ようとしたため、神の義に服従しなかったのである。"
"451004","
ローマ 10:4","(では律法を守ることが、なぜいけないか。律法はキリストによ
って目的を達し、もうなくなってしまったからである。)すなわち、キリストは(御自分
を)信ずる者が一人のこらず義とされるために、律法の終りとなられたのである。"
"451005","
ローマ 10:5","その証拠には、モーセは律法による義について(こう)書いてい
る、“これを行う人(だけ)がそれによって生きる”と。(しかしだれ一人律法を完全に行
うことは出来ない。)"
"451006","
ローマ 10:6","ところが信仰による義はこう言う(と書いてある、)「“あなたは
心の中で言ってはならない、”『“だれが天に上ってくれるか”』と。すなわち、キリストを
(天から)つれ下ってくるために。"
"451007","
ローマ 10:7","あるいは、『”だれが地の底に下ってくれるか”』と。すなわち、
キリストを死人の中からつれ上るために」と。"
"451008","
ローマ 10:8","しかしこれはいったい何を言っているのか。(キリストはすでに
天から下り、また死人の中から復活されたので、もうそんな努力の必要はない、これも聖
書にあるように、)“言葉はあなたに近い。あなたの口に、あなたの心にある”(というの
である。)すなわちこの言葉こそ、わたし達が説いている信仰の言葉[福音]である。"
"451009","
ローマ 10:9","つまり、あなたは“口で”イエスを主と告白して、“心で”神が
イエスを死人の中から復活させられたことを信ずれば、救われる。"
"451010","
ローマ 10:10",心で信じて義とされ、口で告白して救われるからである。──
(こうわたし達は説いているのである。)"
"451011","
ローマ 10:11","(なぜ信仰だけで救われるか。)“これ[キリスト]を信ずる者
は”すべて、(最後の裁きの日に)“恥をかかないであろう”と聖書が言っているからであ
る。"
"451012","
ローマ 10:12","(「すべて」と言う以上、)ユダヤ人も異教人も、その間になん
の差別もないのである。なぜなら、同じ一人の方がすべての人の主であって、御自分を呼
ぶすべての人に、あり余る恩恵をお与えになるからである。"
"451013","
ローマ 10:13","ほんとうに(預言者ヨエルが言うように、)“主[キリスト]の
名を呼ぶ者はすべて救われる。”"
"451014","
ローマ 10:14","ところで、(呼ぶだけで救われると言うが、)信じたことのない
者を、どうして呼ぶことができようか。聞いたことのない者を、どうして信ずることがで
きようか。説く者がなくて、どうして聞くことができようか。"
"451015","
ローマ 10:15","(神に)遣わされなければ、どうして説くことができようか。(し
かし説く者はある。それはわたし達である。)“善いこと[福音]を伝える人たちの足の、
なんと美しいことよ!”と書いてあるとおりである。"
"451016","
ローマ 10:16","ところが、だれもが(このように伝えられた)福音を、従順に
受け入れたわけではない。イザヤも(こう)言っているから。“主よ、だれがわたし達に
聞いたことを信じましたか”と。(実際イスラエル人は信じなかったのである。)"
"451017","ローマ 10:17","(だから、(いま言ったように、)信仰は(福音を)聞くこと
から、聞くことはキリストの(伝道の)命令から生まれる。]
"451018","
ローマ 10:18","しかし、わたしは考える、彼らは(福音を)聞かなかったので
はあるまいかと。そんなことはない。“その声は全地に、その言葉は世界の果てにまで出
ていった。”(と書いてある。)"
"451019","
ローマ 10:19","しかし、わたしは(なお)考える、イスラエル人は(聞くには
聞いたが、むずかしくて)わからなかったのではあるまいかと。(そんなことはない。)第
一にモーセは言っている。(“神は言われる、)「わたしはわたしの民でない者(を救うこ
と)によって”あなた達に“妬みをおこさせ、愚かな民によって”あなた達を“怒らせる」
(と。)”(愚かな異教の民さえ信じたのである。)"
"451020","
ローマ 10:20","(次に)イザヤも勇敢に言っている。“(神は言われる、)「わた
しをさがさなかった者にわたしは姿を見せ、わたしを尋ねなかった者に現われた」(と。)”
"
"451021","
ローマ 10:21","彼はまたイスラエル人について言っている、”(神は言われる、)
「一日中、この不従順な反抗ばかりしている民に、わたしは手を伸べていた」(と。)”(だ
から彼らが信じないのは、頑なで自分の義を立てようとしたからであって、弁解の言葉は
ない。)"
"451101","
ローマ 11:1","それで、わたしは考える、”神は御自分の民をお捨てになった”
のではあるまいかと。もちろん、そうではない。その証拠には、こう言うわたしもイスラ
エル人であり、アブラハムの子孫の出、ベニヤミン族の者であるの(に、キリストを信じ
ているの)だから。"
"451102","
ローマ 11:2","“神は”あらかじめ選んだ”御自分の民をお捨てにならなかった”
(と書いてある。)それともあなた達は、聖書がエリヤの(ことを記した)所で何と言っ
ているか、知らないのか。エリヤはイスラエル人をこのように神に訴えているではないか。
──"
"451103","
ローマ 11:3","「主よ、“彼らはあなたの預言者たちを殺しました。あなたの祭
壇を破壊しました。そしてわたしだけが残っているのに、そのわたしの命をねらっていま
す。”」"
"451104","
ローマ 11:4","ところが彼に対する神のお告げはどうであるか。──「“わたし
は(異教の神)バアルに膝をかがめなかった男子七千人を”自分のために“残しておいた。”」
"
"451105","
ローマ 11:5","だから、同じように今の世にも、恩恵の選びによる残りの者があ
る。"
"451106","
ローマ 11:6","しかし恩恵による以上は、もはや行いのゆえではない。そうでな
ければ、恩恵がもはや恩恵でなくなるからである。"
"451107","
ローマ 11:7","それでは、どうだろうか。(結局)イスラエル人は(全体として)
自分のほしがっているものを得ることはできず、(ただ小数の)選ばれた者がこれを得た
のである。ほかの者は(みな)頑なにされてしまった。"
"451108","
ローマ 11:8","“神は彼らに”“麻酔の霊を”“与えて、目を見えなくし、耳を聞
こえなくされた、今日に至るまで。”と書いてあるとおりである。"
"451109","
ローマ 11:9","またダビデは(彼らに臨む呪いを次のように)言っている。”“彼
らの(喜びの)食卓は(たちまち)その罠となり”落し穴となり“邪魔物となり罰となる
ように。"
"451110","
ローマ 11:10","その目はくらんで見えなくなり、その背は常に(重荷の下に)
かがむように。”"
"451111","
ローマ 11:11","それで、わたしは考える、彼らが躓いたのは、倒れて滅びるた
めではあるまいかと。もちろん、そうではない。むしろ反対に、(キリストを信じなかっ
た)彼らの過ちによって救いが異教人に来た。(そのことが刺激になって)彼らに“妬み
をおこさせ、”(彼らも信仰を求めて、ついに救われ)るためである。"
"451112","
ローマ 11:12","しかしもし、彼らの過ちが、(福音を外に溢れさせて異教人の)
世界を富ませ、また彼らの失敗が異教人を富ませることになったとすれば、まして彼らが
(一人のこらず信仰に入って神の御心を)満たす時(の幸福と喜びと)は、どんなであろ
う。"
"451113","
ローマ 11:13","しかしわたしはあなた達(ローマ集会の)異教人諸君に言いた
いことがある。──わたしは異教人の使徒として、この自分の職務を重く考えて(全力尽
して)いる。"
"451114","
ローマ 11:14","それは、これによって同胞(イスラエル人)に妬みをおこさせ、
そのうちの幾人かでも救うことができはしないかと思うからである。"
"451115","
ローマ 11:15","なぜなら(前に言ったように、)もしイスラエル人の捨てられた
ことが(異教人へ福音の来る結果になり、)世界(と神と)の和睦(をもたらす機縁)に
なったとすれば、彼らが(悔改めて神に)受け入れられることは、それこそ死人の中から
の命(への復活、すなわち神の国来臨の徴)でなくてなんであろう。"
"451116","
ローマ 11:16","(こんな希望をもつことに不思議はない。神に供えた)初穂の
パンが聖ければ、(残りの)捏粉も聖く、根が聖ければ、枝も聖い(ではないか。初穂で
あり根であるアブラハムその他の先祖が聖いのだから、その子孫のイスラエル人が聖いの
は当然である。)"
"451117","
ローマ 11:17","しかし、(イスラエル人という栽培されたオリブの木の)いくら
かの枝が切り取られ、それに野生のオリブの木から出た(異教人の)あなたが接木されて、
オリブの脂肪豊かな根(の恩恵)を共有するものとなったのであるから、"
"451118","
ローマ 11:18","あなたはその(切り取られた)枝に対して自慢することはない。
自慢したところで、あなたが根を支えているのではなく、根があなたを支えているのであ
る。"
"451119","
ローマ 11:19","するとあなたは言うだろう、「でも、枝が切り取られたのは、こ
のわたしが接木されるためだ」と。"
"451120","
ローマ 11:20","いかにもそのとおり。彼らは不信仰のゆえに切り取られ、あな
たは信仰のゆえに(接木されて)りっぱに立っているのである。(だから)高ぶった考え
をもってはならない、(神を)恐れよ。"
"451121","
ローマ 11:21","本来の枝ですら容赦されなかった神である、(接木の)あなたに
容赦されるはずがない。"
"451122","
ローマ 11:22","神の慈愛と厳しさとを見よ。(不信仰のゆえに)倒れた者には厳
しさ、あなたには神の慈愛!(もちろん、)もしあなたがその慈愛を信じ続けているなら
ば、である。そうでなければ、あなたも切り落される。"
"451123","
ローマ 11:23","また彼ら(切り落された者)も不信仰を続けていないならば、(も
とのオリブの木に)接木される。神はもう一度彼らを接木する力をお持ちになっている。"
"451124","
ローマ 11:24","本来野性のオリブの木から切り落されたあなたが、本性に反し
て、栽培されたオリブの木に接木されるくらいであるから、ましてこれらの本来の枝が、
自分のオリブの木に接木されない訳がないではないか。"
"451125","
ローマ 11:25","兄弟たちよ、この秘密を知らずにいてもらいたくない、あなた
達(異教人諸君)が、自分は賢い(からこの特権を得た)などとうぬぼれることのないた
めに。一部のイスラエル人が頑なになって(キリストを信ぜずに)いるのは、異教人が(信
仰に)入って定数に満ちるまでであり、"
"451126","
ローマ 11:26","こうして(イスラエル人は異教人が妬ましくなり、悔改めて信
仰に入り、)イスラエル人全部が救われる、ということである。(聖書に)書いてあるとお
りである。“シオンから救済者が来て、ヤコブ(の子孫)から不信心を遠ざけるであろう。
"
"451127","
ローマ 11:27","──これが彼らと立てる私の契約である、”“彼らの罪をわたし
が取り除くその時に。”"
"451128","
ローマ 11:28","(思えば不思議な神の計画である。)彼らは、福音の点から言え
ば、あなた達(の救い)のために(福音をしりぞけて神の)敵になっており、(神の)選
びの点から言えば、先祖たち(に対する契約)のお蔭で(今もなお神に)愛される者であ
る。"
"451129","
ローマ 11:29","神の賜物も招待も、(一旦与えられた以上は永遠に)取り消され
ないからである。"
"451130","
ローマ 11:30","すなわち、かつては神に不従順であったあなた達が、今はこの
人たちの不従順によって(神に)憐れみを施されたと同じに、"
"451131","
ローマ 11:31","この人たちも今はあなた達の受ける憐れみに対して不従順にな
っているが、これは今(すぐにも)憐れみを施されるためである。"
"451132","
ローマ 11:32","つまり神はすべての人を不従順の中に閉じこめられたが、これ
はすべての人に憐れみを施すためであった。"
"451133","
ローマ 11:33","ああ、神の富と知恵と知識との深さよ!なんとその裁きの探り
がたく、(なんと)その(お歩きになる)道の不可解なことよ!"
"451134","
ローマ 11:34","“だれが主の御心を知ったか。だれがその顧問になったのであ
るか。"
"451135","
ローマ 11:35","だれがまず主に差し上げてそのお返しをいただくことができる
か。”"
"451136","
ローマ 11:36","すべては、彼から出て、彼によって保たれ、彼に帰する。栄光
は永遠に彼のものである、アーメン。"
"451201","
ローマ 12:1","(このように、神は偉大な計画によって人類を一人のこらず救お
うとしておられるのであって、救いは確かである。)だから、兄弟たちよ、わたしは神の
この慈悲を指してあなた達に勧める。あなた達の体を(感謝のしるしとして神に)捧げよ。
この生きた聖なる犠牲こそ、神のお気に入るものであり、(霊なる神を拝むにふさわし
い、)あなた達の霊的な礼拝である。(あなた達の礼拝は動物を供えるような不合理なもの
でなく、全心全霊をささげる合理的な礼拝でなければならならない)"
"451202","
ローマ 12:2","また、この世に調子を合わせてはならない。むしろ反対に、何が
神の御心であるか、何が善であり、お気に入るものであり、また完全であるかを見分け得
るために、(御霊によって)心を一新されて自分を造りかえていただけ。(そうすれば来る
べき世への準備ができる。)"
"451203","
ローマ 12:3","それでわたしは、(神から)賜わった恩恵、(この使徒の権威)に
よって、あなた達のひとりびとりに忠告する。思うべき限りをこえて思いあがらぬように、
神がめいめいに分けあたえられた信仰の量を思って、謙遜な思いをもつように。"
"451204","
ローマ 12:4","なぜなら、わたし達には一つの体に多くの器官があるが、すべて
の器官が同じ働きをしないと同様に、"
"451205","
ローマ 12:5","わたし達(信者)も大勢が(全体としては)キリストにおいて一
つの体であり、一つ一つとしては互が互の器官であ(って、互に補い合うからであ)る。"
"451206","
ローマ 12:6","(すなわち)わたし達は与えられた恩恵(の分量と種類と)に応
じて、(ひとりびとりが)ちがった賜物を持っているのだから、(たとえば、)預言(の力)
を持っているなら、信仰の量に応じて預言せよ。"
"451207","
ローマ 12:7","(貧しい人の救済その他の)職務を持っているなら、その職務に、
教師なら教育に、"
"451208","
ローマ 12:8","伝道なら伝道に、精を出せ。施す者は純粋に、世話をする者は熱
心に、慈善を行う者は喜んで、しなければいけない。"
"451209","
ローマ 12:9","愛に偽りがないように。悪を忌みきらい、善にはしっかりくっつ
いておれ。"
"451210","
ローマ 12:10","親身の兄弟のように互に愛し合い、尊敬し合って互に(人を自
分より)えらく思え。"
"451211","
ローマ 12:11","熱心で倦まず、(神の)霊に燃え、主に仕えよ。"
"451212","
ローマ 12:12","希望をもって喜び、苦難に耐え、たゆまず祈れ。"
"451213","
ローマ 12:13","力を合わせて聖徒の欠乏をおぎない、旅人の接待に努めよ。"
"451214","
ローマ 12:14","(あなた達を)迫害する者に(神の)祝福を求め、祝福して呪
うな。"
"451215","
ローマ 12:15","喜ぶ者と共に喜び、泣く者と共に泣け。"
"451216","
ローマ 12:16","互に思いを同じくせよ。高くなろうと思わず、低い方に従え。”
自分で賢いなどとうぬぼれてはならない。”"
"451217","
ローマ 12:17","だれにも悪をもあって悪に報いず、どんな”人の前でも善をす
るように心がけよ。”"
"451218","
ローマ 12:18","出来るなら、(少なくとも)あなた達の方では、どんな人とも仲
良くせよ。"
"451219","
ローマ 12:19","愛する者たちよ、自分で仕返しをするな、(裁きの日の神の)怒
りにまかせよ。こう書いてあるではないか、「主は言われる、“仕返しはわたしのもの、”
わたしが“報いをする”と。」"
"451220","
ローマ 12:20","むしろ、“あなたの敵が飢えているなら、食べさせてやれ。渇い
ているなら、飲ませてやれ。こうするのはその頭に炭火を積むことであるから、(いつか
は恥じて悔改める。)”"
"451221","
ローマ 12:21","悪に勝たれるな、善によって悪に勝て。"
"451301","
ローマ 13:1","人は皆上に立つ(国家の)官憲に服従せねばならない。神からで
はない官憲はなく、現存の官憲は(ことごとく)神から任命されたものであるから。"
"451302","
ローマ 13:2","従って官憲に反抗する者は、神の命令に違反する者である。違反
する者は、自分で自分に(神の)裁きを招くであろう。(この世で罰を受けるばかりでな
く、最後の日にも。)"
"451303","
ローマ 13:3","役人が恐ろしいのは、善いことをする者でなく、悪いことをする
者である。(だから)あなたは官憲を恐れたくなければ、善いことをせよ。そうすれば官
憲から誉められる。"
"451304","
ローマ 13:4","官憲はあなたの最善のためにつくす神の召使であるから。しかし
もし悪事をすれば、恐れねばならない。見えのために剣をささげているのではないのだか
ら。官憲は神の召使で、悪事を行う者に対して(神の)怒りをあらわす復讐者である。"
"451305","
ローマ 13:5","だからかならず服従せねばならない。ただ怒りの(恐ろしさの)
ためだけでなく、(それが信ずる者の義務であることを知っているあなた達は、自分の)
良心のためにも。"
"451306","
ローマ 13:6","それゆえに(同じ理由で、)あなた達は貢をも納めねばならない。
官憲は神につかえる者であり、いま言った職務に全力をそそいでいるからである。"
"451307","
ローマ 13:7","(彼らに対して、信ずる者には普通の人以上の、言わば借りがあ
る。)すべての役人にこの借りを返しなさい。貢取りには貢を、官税取りには官税を、恐
るべき者には恐れを、尊敬すべき者には尊敬を。"
"451308","
ローマ 13:8","(官憲ばかりでなく、)だれにも何も、借りがあってはならない。
ただし、互に愛することだけは例外である。(この借りは、いつまでも返してしまわない
ように。)人を愛する者は(モーセ)律法を完全に果たしたのである。"
"451309","
ローマ 13:9","なぜなら、“姦淫をしてはならない、殺してはならない、盗んで
はならない、(人のものを)欲しがってはならない”など、このほかにどんな掟があって
も、“隣の人を自分のように愛せよ”というこの一言に帰するからである。"
"451310","
ローマ 13:10","愛は隣の人に悪事を働かない。だから愛は律法の完成である。"
"451311","
ローマ 13:11","しかも、あなた達は今の時代を、すなわちもはや眠りからさめ
るべき時であることを、よく知っている(のだから、なおさらのことである。)今は、信
仰に入った時よりも、わたし達の救いが近づいているのである。"
"451312","
ローマ 13:12","夜がふけて、(最後の)日が近づいた。だから闇の業をぬぎすて、
光りの武具をつけようではないか。"
"451313","
ローマ 13:13","昼間にふさわしく、きちんとして生活しようではないか、酒宴
と酩酊でなく、淫楽と放蕩でなく、喧嘩と嫉妬でなく。"
"451314","
ローマ 13:14","主イエス・キリストを着なさい。肉をいたわるのはよいが、情
欲に陥らないように。"
"451401","
ローマ 14:1","信仰の弱い人をも(あなた達の)仲間に入れてやりなさい。(そ
の人の)考えの違いをかれこれ言わずに。"
"451402","
ローマ 14:2","(信仰は人それぞれで、たとえば、)ある人は(信仰が強くて肉
でも)なんでも食べてよいと信じており、(信仰の)弱い人は野菜(だけ)を食べる。"
"451403","
ローマ 14:3","(肉)を食べる人は食べない人を軽蔑してはならないし、(肉を)
食べない人は食べる人を裁いてはならない。神はその人をも(聖徒の)仲間にお入れにな
ったのだから。"
"451404","
ローマ 14:4","いったい何者なれば、あなたは他人[主キリスト]の僕(である
その人)を裁くのか、(あなた自身も僕でありながら。)彼が立っているのも倒れるのも、
その主人(の考え)によるのである。しかし彼はしっかり立っていることができるであろ
う。主人は彼を立てる力をもっているのだから。"
"451405","
ローマ 14:5","また(たとえば)ある人はある日をほかの日よりも尊いと考え、
ある人はどの日も同じと考える。(どちらでよろしい。ただ)ひとりびとりが、自分の心
に確信もつことが必要である。"
"451406","
ローマ 14:6","一定の日を(特別に尊く)思う人は、主のために(そう)思う。
また(肉でもなんでも無頓着に)食べる人は、主のために食べる。(食事のとき)神に感
謝をささげるのだから、(肉は)食べない人も、主のために食べない。彼も(食事のとき)
神に感謝をささげる。(結局、食べるものも食べないのも、主のためである。)"
"451407","
ローマ 14:7","なぜなら、(キリストを信ずる)わたし達はだれも、自分のため
には生きない、また、だれも、自分のためには死なないからである。"
"451408","
ローマ 14:8","生きれば、主のために生き、死ねば、主のために死ぬのである。
だから、生きるにせよ死ぬにせよ、わたし達は主のものである。"
"451409","
ローマ 14:9","キリストが死んで生き返られたのは、死んだ者と生きている者と
の主になるためであるから。"
"451410","
ローマ 14:10","それなのに、あなたはなんで自分の兄弟を、(肉を食べるからと
て)裁くのか。またあなたも、なんで自分の兄弟を、(野菜ばかり食べるとて)軽蔑する
のか。(裁くお方は神、)わたし達は(最後の日に)一人のこらず、神の裁判席の前に出な
ければならないのである。"
"451411","
ローマ 14:11","こう書いてあるではないか。“主は(御自分を指して誓って)言
われる、わたしは生きている!”“すべての膝はわたしの前にかがみ、すべての舌は神を
讃美するであろう。”"
"451412","
ローマ 14:12","従って、わたし達は(人を裁くどころか、裁きの日には)ひと
りびとり、神に自分のことを弁明せねばならない。"
"451413","
ローマ 14:13","だから、これからは互に裁き合うことをやめようではないか。
(そして、これは信仰が強くてなんでも食べる人に言うのであるが、)あなた達はいっそ
兄弟の前に躓きや邪魔物を置かないように、心に決めたらどうだ。"
"451414","ローマ 14:14","わたしが知りまた主イエスにあって確信しているところで
は、その物自体、汚れているものは何もなく、ただ汚れていると思うその人にだけ、汚れ
ているのである。(だから何を食べてもよく、人が食べるのを咎めてはならない。)]
"451415","
ローマ 14:15","なぜなら、食べ物のために兄弟(の良心)を苦しめるならば、
あなたはもう愛によって歩いていないのだから。あなたの食べ物などで、兄弟を滅ぼして
はならない。キリストはその人の(救いの)ためにも死んでくださったのである。"
"451416","
ローマ 14:16","だから、あなた達がもっている善いもの[福音の自由]を人に
あざけられてはならない。"
"451417","
ローマ 14:17","神の国は(なんでも自由に)食べることや飲むことではなく、
義と平安と聖霊による喜びとであるから。"
"451418","
ローマ 14:18","そしてこれらのことをもってキリストに仕える者は、神のお気
に入り、人々にも信用されるであろう。"
"451419","
ローマ 14:19","だから平安に役立つこと、また互に(信仰を)造りあげること
を、努めようではないか。"
"451420","
ローマ 14:20","食べ物のために、神の(尊い)業(である集会)をこわしては
ならない。たしかに、すべて(の食べ物)は清い。ただ食べて(兄弟を)躓かせる人には、
悪いものである。"
"451421","
ローマ 14:21","(何を食べてもよいと信じながら、)肉を食べず、酒を飲まず、
そのほかあなたの(弱い)兄弟を躓かせるようなことをしないのは、非常に良い。"
"451422","
ローマ 14:22","あなたは持っているその(強い)信仰を、そっと自分だけで神
の前に持っていなさい。自分で正しいと決断したことを、(神の前で)自分(の良心)に
責められない人は幸いである。"
"451423","
ローマ 14:23","しかし、(食べることの良し悪しの判断がつかず)躊躇する者が
食べるならば、信仰から出たのでないから、罰される。信仰からでないものはみな、罪で
ある。"
"451501","
ローマ 15:1","しかしわたし達強い(信仰をもつ)者は、強くない(信仰をもつ)
者の弱さを負い、決して(勝手なことをして)自分を喜ばせてはならない。"
"451502","
ローマ 15:2","わたし達各自は、(弱い)隣の人を喜ばせるように生きようでは
ないか。彼の最善をはかり、(信仰を)造りあげるために。"
"451503","
ローマ 15:3","キリストすら御自分を喜ばせる御生涯ではなかったのであるから。
むしろ(聖書に)書いてあるとおりであった、”あなたを罵る者の罵りが、わたしの上に
落ちた”と。"
"451504","
ローマ 15:4","なぜなら、(聖書に)前に書かれたほどのことはみな、(後の時代
の)わたし達の教訓のために書かれたもので、わたし達が聖書のあたえる忍耐と慰めとを
もって、希望を持ちつづけるためである。"
"451505","
ローマ 15:5","この忍耐と慰めとを賜わる神が、キリスト・イエスの心を体して
あなた達が互に思いを同じくするようにさせられんことを。"
"451506","
ローマ 15:6","これはあなた達が心を一つにし、一つの口をもって、わたし達の
主イエス・キリストの神また父をあがめるためである。"
"451507","
ローマ 15:7","このゆえに、キリストが(命をすてて)あなた達(みんな)を(神
の聖なる家族の)仲間に入れ、神の栄光をあらわされたように、あなた達も互を仲間に入
れなさい。"
"451508","
ローマ 15:8","(キリストが神の栄光をあらわされたと)わたしの言う意味はこ
うである。──キリストは神の(救いの約束の)真実を証明するために、割礼のある者[ユ
ダヤ人]の世話役になられた。これは、(一方では彼らの)先祖に与えられたその約束を
確かにするためであり、"
"451509","
ローマ 15:9","他方では、異教人が(彼によって神の家族の仲間入りができると
いう大なる)憐れみのゆえに、神をあがめるためである。(異教人の救いについては聖書
に)書いてあるとおりである。“このためにわたしは異教人の中であなたを讃美し御名を
ほめ歌います。”"
"451510","
ローマ 15:10","さらに言う。“異教人よ、彼の民と共に楽しめ。”"
"451511","
ローマ 15:11","さらに。”すべての異教人よ、主をたたえよ、すべての民よ、彼
を誉めたたえよ。”"
"451512","
ローマ 15:12","さらにイザヤは言う。“エッサイの根ははえ、起きあがる者[キ
リスト]があらわれる、異教人を支配するために。異教人は彼に望みをかけるであろう。”
"
"451513","
ローマ 15:13","希望の源である神が、(彼を)信ずることにおいて来る無上の喜
びと平安とであなた達を満たし、聖霊の力によって(豊かな)希望に溢れさせられんこと
を。"
"451514","
ローマ 15:14","しかし、わたしの兄弟たちよ、(こんな訓戒がましいことを言う
のは、あなた達のりっぱな信仰を知らないからではない。)このわたしはあなた達自身が
善で一ぱいであり、あらゆる知識に満たされており、互を訓戒し合うことも出来る者であ
ることを、確信している。"
"451515","
ローマ 15:15","ところが、(この手紙の)あちらこちらでだいぶ思い切って書い
たのは、わたしが神から賜わった恩恵によって、(あなた達がすでに知っていることを)
いま一度思いおこしてもらうためである。"
"451516","
ローマ 15:16","この恩恵とは、わたしが(神に選ばれて)異教人のためにキリ
スト・イエスにつかえる者になり、神の福音のために祭司の職をすることであって、こう
して異教人が聖霊によって聖別され、御心にかなう捧げ物になるようにしているのである。
"
"451517","
ローマ 15:17","だからわたしは誇りをもっているが、それは(ただ)キリスト・
イエスにおいて、神(の福音)に関してのことである。"
"451518","
ローマ 15:18","なぜなら、わたしは(これ以外)何も敢えて語らないからであ
る、キリストがわたしを用いて異教人を(福音に)従順にするために、言葉や業をもって、
"
"451519","
ローマ 15:19","奇跡や不思議の力によって、聖霊の力によって、働かれたとい
うことでなければ。こうしてエルサレムから、各地をまわってイルリコまで、わたしはキ
リストの福音(の伝道)を達成した。"
"451520","
ローマ 15:20","ただしこの場合、キリストの御名がまだとなえられえていない
所(だけ)で福音を伝えることを名誉とした。他人の(すえた)土台の上に(自分の事業
を)建てないためであって、"
"451521","
ローマ 15:21","むしろ“彼について知らされなかった人たちは彼を見、聞かな
かった人たちは悟るであろう。”と書いてあるとおり(に伝道したの)である。"
"451522","
ローマ 15:22","この(ように、福音を伝えねばならない所がアジヤに残ってい
た)ため、わたしはまたあなた達の所に行くことを今までいつも妨げられていた。"
"451523","
ローマ 15:23","しかし今は、もはやこの地方に(働く)場所がなくなり、すで
に長年あなた達の所に行く熱望があったので、"
"451524","
ローマ 15:24","(今度)イスパニヤに行くときに行こうと思う。(その途中ロー
マを)通過する際あなた達に会い、あなた達によってまず幾分でも(日ごろの願いが)満
足させられたのち、あそこまで見送ってもらいたいと望んでいるからである。"
"451525","
ローマ 15:25","──しかし今(その前に、)聖徒たちの世話をするためエルサレ
ムにのぼって行くのだ。"
"451526","
ローマ 15:26","それは、マケドニヤ(州)とアカヤ(州)と(の兄弟たち)が、
エルサレムの貧しい聖徒たちのためにいささか交わりのしるし(の醵金)をすることに決
心した(ので、持参せねばならない)からである。"
"451527","
ローマ 15:27","ほんとうにこんな決心をしたのだが、異教人たちは彼ら(エル
サレムの兄弟たち)に対して義務もある。なぜなら、異教人が彼らの霊的財産(の分配)
にあずかった以上は、(当然)肉的財産をもって彼らにつかえねばならない。"
"451528","
ローマ 15:28","そこでわたしはこの世話をすませ、彼らにこの実を確かにわた
したのち、あなた達のところを通ってイスパニヤへ行こう。"
"451529","
ローマ 15:29","しかしあなた達の所に行くときは、キリストの満ちみちた祝福
をもって行けるだろうと、わたしは信じている。"
"451530","
ローマ 15:30","兄弟たちよ、わたし達の主イエス・キリストを指して、また御
霊が注いでくださる愛を指して、あなた達に願う。どうかわたしのために神に祈って、わ
たしを助けてもらいたい。"
"451531","
ローマ 15:31","わたしがユダヤにいる信じようとしない人たちから守られ、エ
ルサレムに対するわたしのこの務めが聖徒たちに喜ばれるように、"
"451532","
ローマ 15:32","神の御心により喜びに満ちてあなた達の所に行き、一しょに休
息することができるように。"
"451533","
ローマ 15:33","平和の神があなた達一同と共においでになるように、アーメン。
"
"451601","
ローマ 16:1","ケンクレヤの集会の執事である、わたし達の姉妹のフィベを紹介
する。"
"451602","
ローマ 16:2","どうか聖徒にふさわしく主にあって彼女を歓迎し、彼女があなた
達を必要とする事があれば、助力してもらいたい。彼女自身が多くの人の、またわたし自
身の、援助者であったから。"
"451603","
ローマ 16:3","キリスト・イエスにあるわたしの共働者のプリスカとアクラとに
よろしく。"
"451604","
ローマ 16:4","彼らはわたしの命の代りに自分の首をも差しだした。わたしばか
りでなく、異教人のすべての集会も、彼らに感謝している。"
"451605","
ローマ 16:5","彼らの家の集会にもよろしく。わたしの愛するエパネトによろし
く。彼は(回心して)キリストのものになったアジヤ(州)の初穂である。"
"451606","
ローマ 16:6","マリヤによろしく。彼女はあなた達のために非常に苦労したので
ある。"
"451607","
ローマ 16:7","わたしの同胞で同囚のアンデロニコとユニアスとによろしく。彼
らは使徒の中で秀でた者であり、わたしより先にキリストを信ずる者になっていた。"
"451608","
ローマ 16:8","主にあってわたしの愛するアムプリアトによろしく。"
"451609","
ローマ 16:9","キリストにあるわたし達の共働者のウルバノと、わたしの愛する
スタキスとによろしく。"
"451610","
ローマ 16:10","キリストにあって試練を経た者であるアペレによろしく。アリ
ストブロの家の人たちによろしく。"
"451611","
ローマ 16:11","わたしの同胞のヘロデオンによろしく。ナルキソの家の主にあ
る人たちによろしく。"
"451612","
ローマ 16:12","主にあって苦労したツルパナとツルポサとによろしく。愛する
ペルシスによろしく。彼女は主にあって非常に苦労したのである。"
"451613","
ローマ 16:13","主にあって選ばれたルポスとお母さんとによろしく。彼女はわ
たしのお母さんでもある。"
"451614","
ローマ 16:14","アスンクリト、フレゴン、ヘルメス、パトロバ、ヘルマス、お
よび彼らと一しょにいる(主にある)兄弟たちによろしく。"
"451615","
ローマ 16:15","ピロロゴとユリヤ、ネレオとその姉妹、オルンパ、彼らと一し
ょにいる聖徒一同によろしく。"
"451616","
ローマ 16:16","聖なる接吻で互によろしくを言いなさい。キリストのすべての
集会からあなた達によろしく。"
"451617","
ローマ 16:17","兄弟たちよ、あなた達に勧める、あなた達が学んだ教えにそむ
いて、仲違いや罪のいざないをおこす者に注意せよ。彼らから遠ざかれ。"
"451618","
ローマ 16:18","こんな者はわたし達の主キリストの奴隷ではなくて、自分のお
腹[下等な欲求]の奴隷であり、あまい言葉と諂いとで無邪気な人たちの心を惑わすから
である。"
"451619","
ローマ 16:19","なぜなら、あなた達の(福音に対する)従順は、すべての人に
知れ渡っているのだから。そのことをわたしはあなた達のために喜ぶが、善いことに対し
ては知恵があり、悪いことに対しては純真であってもらいたい。"
"451620","
ローマ 16:20","平和の神が間もなく悪魔をあなた達の足の下に踏み砕かれるで
あろう。わたし達の主イエスの恩恵、あなた達と共にあらんことを。"
"451621","
ローマ 16:21","(御存じの)わたしの共働者のテモテと、わたしの同胞のルキ
オとヤソンとソシパテロとから、あなた達によろしく。──"
"451622","
ローマ 16:22","(はなはだぶしつけですが、)この手紙を書記しましたわたくし
テルテオからも、主にあってあなた達によろしく申し上げます。──"
"451623","
ローマ 16:23","わたしの、また全集会の宿の主人であるガイオから、あなた達
によろしく。町の会計係のエラストと、(主にある)兄弟のクワルトとから、あなた達に
よろしく。"
"451624","ローマ 16:24無シ]
"451625","
ローマ 16:25","わたしの福音すなわちイエス・キリストを説く言葉によって、
あなた達を強くすることの出来るお方に──この福音は長い間秘められた秘密の啓示であ
り、"
"451626","
ローマ 16:26","今現わされ、預言者たちの書き物により、永遠の神の命令に応
じて、従順に信仰を受けいれさせようとしてすべての国の人に知らせられたのである──"
"451627","
ローマ 16:27","このただひとりの賢い神に、イエス・キリストによって、栄光、
永遠より永遠にあらんことを、アーメン。"

コリント人へ 第一
"460101","
・コリント 1:1","神の御心によって、召された、キリスト・イエスの使徒であ
るパウロと、(主にある)兄弟のソステネとから、"
"460102","
・コリント 1:2","コリントにある神の集会、すなわちキリスト・イエスにあっ
て聖別され、(神に)召された聖徒たちに、および、到る所でわたし達の──わたし達ば
かりでなくまた彼らの──主イエス・キリストの名を呼ぶ人一同に、この手紙をおくる。"
"460103","
・コリント 1:3","わたし達の父なる神と主イエス・キリストとから、恩恵と平
安、あなた達にあらんことを。"
"460104","
・コリント 1:4","わたしがあなた達のためにいつも神に感謝しているのは、神
の恩恵がキリスト・イエスにおいて与えられたからであり、"
"460105","
・コリント 1:5","あなた達が彼にあって、あらゆることに、すなわちあらゆる
言葉とあらゆる知識とに富まされたことである。"
"460106","
・コリント 1:6","救世主の(福音の)証明があなた達の間にはそれほど根を張
った。"
"460107","
・コリント 1:7","それであなた達はどんな恩恵にも事欠くことなく、(安心し
て)わたし達の主イエス・キリストが(ふたたび)現われるのを待っているのである。"
"460108","
・コリント 1:8","キリストはなおも最後まであなた達をしっかり立たせてくだ
さるであろう、わたし達の主イエス・キリストの(来臨の)日に、(すこしも)非難する
ところのないように。"
"460109","
・コリント 1:9","神は誠実であられる。この神によって、御子なるわたし達の
主イエス・キリストとの交わりに、あなた達は召されたのである。"
"460110","
・コリント 1:10","兄弟たちよ、わたし達の主イエス・キリストの名を指してあ
なた達に勧める。皆が一致してもらいたい。またあなた達の間に仲間割れがなく、同じ考
え、同じ意見で団結してもらいたい。"
"460111","
・コリント 1:11","わたしの兄弟たちよ、あなた達の間に喧嘩があることを、ク
ロエの家の者たちから知らせてきた。"
"460112","
・コリント 1:12","もっとはっきり言うとこうである。──あなた達はめいめい、
「わたしはパウロ(先生)に」、「わたしはアポロ(先生)に」、「わたしはケパ(先生)に」、
わたしは(主)キリストに」と言っている。"
"460113","
・コリント 1:13","救世主が分裂しているのか。まさかパウロがあなた達のため
に十字架につけられたのではあるまい。それとも、(キリストでなく)パウロの名で、あ
なた達は洗礼を受けたというのか。"
"460114","
・コリント 1:14","わたしは(あの)クリスポとガイオ以外、あなた達のだれに
も洗礼を授けなかったことを(神に)感謝する。"
"460115","
・コリント 1:15","このことは、あなた達がわたしの名で洗礼を受けたと、人が
言うことのないためである。  "
"460116","
・コリント 1:16","そうだ、ステパナ一家もわたしが洗礼を授けた。その他には、
だれかほかの人に洗礼を授けたかどうか、覚えていない。"
"460117","
・コリント 1:17","救世主がわたしをお遣わしになったのは、洗礼を授けさせる
ためでなく、福音を説かせるためなのだから。それも、言葉の上の知恵をもって(説くの)
ではない。それでは(人間の言葉の力が大きくなり)、キリストの十字架(の救い)が空
虚なものになる恐れがあるからである。"
"460118","
・コリント 1:18","なぜか。この十字架についての言葉は、滅びゆく者には馬鹿
なことであるが、わたし達救われる者には、神の力(の現われ)であるから。"
"460119","
・コリント 1:19","(聖書に)こう書いてあるではないか、“知恵者の知恵をわ
たしは滅ぼし、賢い者の賢さをわたしは無にする”と。"
"460120","
・コリント 1:20","“どこに知恵者が”、“どこに聖書学者が、どこに”この世の
議論家がいるのか。神は(この)世の“知恵を馬鹿なものにされた”ではないか。"
"460121","
・コリント 1:21","なぜなら、(この)世(の人)が自分の知恵により(判断し)、
神の知恵(の現われである御業)において神を認めることをしないので、神は馬鹿な(こ
とと見える十字架の)説教によって信ずる者(だけ)を救おうと、お決めになったからで
ある。"
"460122","
・コリント 1:22","実際、ユダヤ人は(信ずるための証拠に神からの不思議な)
徴を乞い、異教人は(真理を知るために)知恵を求めるが、"
"460123","
・コリント 1:23","わたし達は十字架につけられたキリストのこと(だけ)を説
く。すなわち、ユダヤ人にはつまづき、異教人には馬鹿なことであるけれども、"
"460124","
・コリント 1:24","(神に)召された者だけには、ユダヤ人、異教人の別なく、
(これこそ)神の力、また神の知恵なるキリストを(説くのである)。"
"460125","
・コリント 1:25","というのは、神の(業はどんなに)馬鹿なこと(に見えても、
それ)は人よりも知恵があり、神の(業はどんなに)無力(に見えても、それ)は人より
も力があるからである。"
"460126","
・コリント 1:26","論より証拠、あなた達のお召しのことを考えてみるがよい。
兄弟たちよ、この世的には、(あなた達の中に)多くの知恵者がなく、多くの有力者がな
く、多くの高貴の人がないではないか。"
"460127","
・コリント 1:27","それどころか、世の馬鹿なものを神はお選びになった、知恵
者に恥をかかせるためである。また世の無力なものを神はお選びになった、力のあるもの
に恥をかかせるためである。"
"460128","
・コリント 1:28","また世の身分の低いもの、軽蔑されているもの、(いや、あ
っても)無い(ように思われている)ものを神はお選びになった、ある(と思われている)
ものを無にするためである。"
"460129","
・コリント 1:29","こうして、だれ一人神の前で誇ることのないようにされたの
である。"
"460130","
・コリント 1:30","この神ゆえに、あなた達は(はじめて)キリスト・イエスに
あるのであり、このキリストが、神から賜わるわたし達の知恵、また義、また聖さ、また
(罪の)あがないになられたのである。"
"460131","
・コリント 1:31","(聖書に)“誇る者は主[キリスト]にあって誇れ”と書い
てあるとおりになるためである。"
"460201","
・コリント 2:1","わたしもまた、兄弟たちよ、(はじめて)あなた達の所に行っ
たとき、(人間の)勝れた言葉や知恵を用いることなしに、神から賜った(福音の)証明
を伝えていたのであった。"
"460202","
・コリント 2:2","あなた達の間では、イエス・キリスト以外には何も(言うま
い)知るまいと、決心したからである、十字架につけられたあの方以外には!"
"460203","
・コリント 2:3","[アテネではこの世の知恵で福音を説こうとしたので失敗し
た。]それでわたしは、弱く、恐れて、またひどく震えて、あなた達の所にいたのである。
"
"460204","
・コリント 2:4","そしてわたしの話も説教も、人を感服させる知恵の言葉によ
らずに、(神の)霊と力との(直接の)立証によった。"
"460205","
・コリント 2:5","それはあなた達の信仰が人間の知恵に基づくのでなく、神(御
自身)の力に基づくためであった。"
"460206","
・コリント 2:6","こうは言うものの、(霊的に)成人した人たちの前では、わた
し達も知恵を話す。ただそれはこの世の知恵でも、やがて滅びるこの世の支配者ども(す
なわち悪魔の手下)の知恵でもない。"
"460207","
・コリント 2:7","わたし達が話すのは神から来る(神の)秘密を示す知恵であ
り、(世に)隠されていた知恵であり、神がわたし達に栄光を与えるために、世の始めの
前からあらかじめお定めになった知恵である。"
"460208","
・コリント 2:8","この世の支配者のだれ一人、これのわかっていた者はなかっ
た。もしわかったならば、栄光の主(キリスト)を十字架につけなかったはずであるから。
"
"460209","
・コリント 2:9","しかし(聖書に)書いてあるとおり(に実現したの)である。
“目も見ず耳も聞かず”、人の“心に起こらなかった”もの、“これを神は御自分を愛する
者たちのために”用意された。"
"460210","
・コリント 2:10","しかしわたし達には、神が御霊によって(すべてを)あらわ
してくださった。(わたし達に住ませてくださる)その御霊は、すべてのことを、神の(御
心の)深いところまでも、見抜かれるからである。"
"460211","
・コリント 2:11","なぜなら、(たとえば)人間のことも、その人間の中にある
霊のほかに、いったいだれがわかっていよう。そのように神のことも、神の霊のほかに、
わかった方はいままでなかった。"
"460212","
・コリント 2:12","しかしわたし達はこの世の霊でなく、神から来るその霊を戴
いた。それは、神から恩恵として賜わったもの(の何であるか)が、わかるためである。"
"460213","
・コリント 2:13","またその(賜物の)ことをわたし達が話すにも、人間的な知
恵に教えられた言葉によらず、御霊に教えられた言葉による。霊のことに霊のことを当て
はめ(て解しようとす)るのである。"
"460214","
・コリント 2:14","しかし(御霊を持たない)生まれながらの人間は、神の霊か
ら出てくることを受け入れない。彼にはそれが馬鹿なことなのである。またそれを理解す
ることも出来ない。(霊のことは)霊的に判断されねばならないからである。"
"460215","
・コリント 2:15","反対に、霊の人はすべてのことを判断することができるが、
しかし彼自身はだれからも判断されることがない。"
"460216","
・コリント 2:16","なぜなら(聖書に)、“だれが主の御心を知って、主を教える
ことができるか”とあるからである。ただわたし達(主キリストを信ずる者)は、キリス
トの(霊を持ち、その)心を持っているのである。"
"460301","
・コリント 3:1","そして兄弟たちよ、わたしは(以前、)霊の人と見てあなた達
と話すことが出来ず、肉の人と見て、キリストにある幼児と見て話した。"
"460302","
・コリント 3:2","乳を飲ませて、固い食べ物は食べさせなかった。まだ消化出
来なかったからである。いや、あなた達は今もまだ出来ない。"
"460303","
・コリント 3:3","まだ肉の人だから。あなた達の間に妬みや争いがあるかぎり、
肉の人であって、人間的な思いで歩いているのではないか。"
"460304","
・コリント 3:4","一人が「わたしパウロ(先生)に」と言い、他の一人が「わ
たしはアポロ(先生)に」と言うとき、あなた達は(ただの)人間ではないか。"
"460305","
・コリント 3:5","それなら、いったいアポロはなんだ、パウロはなんだ、(ただ)
使用人で、彼らによってあなた達が信仰に入ったまでであり、しかもそれは、それぞれ二
人に主がお命じになったように働いたのである。"
"460306","
・コリント 3:6","──わたしは植えた、アポロは水をやった、しかし神がこれ
まで成長させてくださった。"
"460307","
・コリント 3:7","従って、植える者も水をやる者もなんでもなく、成長させる
お方、神だけが偉いのである。"
"460308","
・コリント 3:8","植える者と水をやる者とは一つ(のことをするの)であり、
ただ(働きが違うから、)めいめいが自分の骨折りに応じて、自分の褒美を受けるのであ
る。"
"460309","
・コリント 3:9","なぜならわたし達は神の共働者であって、あなた達は神の畑、
神の建築物である。"
"460310","
・コリント 3:10","わたしは戴いた神の(特別の)恩恵によって、熟練した棟梁
として土台をすえた。他の人がその上に建ててゆく。だが建て方は、その人その人が気を
つけるべきである。"
"460311","
・コリント 3:11","なぜなら、(すでに)置かれている(ただ一つの)もののほ
か、他の土台をだれもすえることは出来ないのだから。──この土台はイエス・キリスト
である。──"
"460312","
・コリント 3:12","ある人がこの土台の上に金、銀、宝石、(あるいは)木、草、
藁で建てれば、"
"460313","
・コリント 3:13","それぞれの仕事(が金か藁か)は、かならず明らかになる。
(最後の裁きの)かの日がそれを明らかにするのである、その日は火で現われるから。そ
してそれぞれの仕事がどんなであるかを、その火が試験して証明する。"
"460314","
・コリント 3:14","その(土台の)上に建てたある人の仕事がそのままのこれば、
褒美を受け、"
"460315","
・コリント 3:15","ある人の仕事が焼けてしまえば、罰を受ける。ただ彼自身は、
火をくぐるようにして(やっと)救われるのである。"
"460316","
・コリント 3:16","(とにかく、)あなたは達は神のお宮であり、神の霊があな
た達の中に住んでいてくださることを、あなた達は知らないのか。"
"460317","
・コリント 3:17","(だから、争いなどで)この神のお宮をこわす者があれば、
神がその人を滅ばされる。神のお宮は神聖だから。──あなた達はそのお宮である。"
"460318","
・コリント 3:18","だれでも自分をごまかしてはならない。あなた達の中にこの
世で知恵者だと思う者があるなら、まず馬鹿になれ。(本当の)知恵者になるために。"
"460319","
・コリント 3:19","この世の知恵は、神の目には馬鹿なことであるから。“彼は
知恵者達を、彼ら(自身)の策略を用いて捕らえられる”と書いてあるではないか。"
"460320","
・コリント 3:20","さらに、“主は”知恵者たちの“考えのたわいのないのを御
存じである”とある。"
"460321","
・コリント 3:21","従って、(自分の先生はだれだ、彼だなどと、)人間のことを
自慢する者があってはならない。万物はあなた達のものではないか。"
"460322","
・コリント 3:22","パウロでもアポロでもケパでも、世界でも命でも死でも、現
在起こっていることでも将来起こることでも、万物はあなた達のものである。"
"460323","
・コリント 3:23","しかしあなた達はキリストのもの、キリストは神のものであ
る。"
"460401","
・コリント 4:1","いずれにしても(わたし達はキリストの福音のために働いて
いるのであるから、)人はわたし達をキリストの部下、神の秘密の管理人と考えなくては
いけない。"
"460402","
・コリント 4:2","この際、管理人にはなお、その人が(主人に)忠実であるこ
とが求められる。"
"460403","
・コリント 4:3","しかし(そのことについて、わたしはだれにも判定してもら
おうと思わない。)あなた達によって、あるいは人間の裁判所によって判定されることな
ど、わたしには全くつまらないことである。いや、わたし(自身)でさえ自分を判定しな
い。"
"460404","
・コリント 4:4","なぜなら、わたしは身にすこしも(務めをなおざりにした)
覚えはないが、だからと言って、これで義とされているのではない。わたしを判定される
方は主(御自身)である。"
"460405","
・コリント 4:5","だから主がおいでになるまで、まだ時でないのに、あなた達
は何も裁いてはいけない。主は(来て)、暗闇に隠されたことを(何もかも)明るみに出
し、(人の)心のなかの企てをお現わしになる。するとその時、栄誉がひとりびとりに、(善
い行いに対して)神からあたえられるであろう。"
"460406","
・コリント 4:6","しかし(誤解があってはならない、)兄弟たちよ、これらのこ
とをわたしとアポロとの例によったのは、あなた達の(理解の)ためである。それは、(わ
たし達二人が一つ心で主のために働いていることをあなた達に知らせ、)わたし達のこと
から、あなた達が「(聖書に)書いてあるところをふみ越えないこと」を学び、(あなた達
のうちの)だれもが、ある一人(の先生)をかつぎ、他の一人をけなして得意になる、と
いうことのないためである。"
"460407","
・コリント 4:7","いったいだれが、あなたをそんなに偉いと言うのか。あなた
は持っているもので戴かなかったものが、何かあるのか。しかも(何もかも)戴いたのな
ら、なぜ戴いていないかのように自慢するのか。"
"460408","
・コリント 4:8","あなた達はもう満腹し切っている。もう全く裕福になった。
わたし達ぬきで(一足先きに神の国に入って)、王様になったのだ!ほんとうにあなた達
が王様になってくれたらよかったのに!わたし達も一しょに王様になれるから。"
"460409","
・コリント 4:9","なぜなら、わたしはこう思うのだ。神は使徒であるわたし達
を(人間の中で)一番下の者、(闘技場の)死刑囚のようにされたと。というのは、わた
し達はこの世に対し、天使と人間とに対して、見せ物になっているからである。"
"460410","
・コリント 4:10","わたし達はキリストのために(こんなに)馬鹿である、あな
た達はキリストにあって(そんなに)賢い。わたし達は弱い、あなた達は強い。あなた達
には名声がある、わたし達には屈辱がある。"
"460411","
・コリント 4:11","いまこの時まで、わたし達は空腹で、渇いて、裸で、ぶたれ
て、宿なしで、"
"460412","
・コリント 4:12","自分の手で働きながら苦労している。罵られては(神の)祝
福を求め、迫害されては我慢し、"
"460413","
・コリント 4:13","そしられては親切な言葉をかける。いまでもなお、この世の
屑、すべての人のかすのようになっている。"
"460414","
・コリント 4:14","わたしはあなた達を辱しめるために、これを書いているので
はない。むしろわたしの可愛い子供として注意を与えるためである。"
"460415","
・コリント 4:15","たとえキリストにある家庭教師は無数にあなた達にあっても、
お父さんは沢山はないのだから。キリスト・イエスにあって、福音により、わたしがあな
た達を生んだのではないか。"
"460416","
・コリント 4:16","だからあなた達に勧める、わたしのまねをする者になっても
らいたい。"
"460417","
・コリント 4:17","それゆえにこそ、わたしはテモテをやった。彼は主にあって
わたしの愛する忠実な子供であり、わたしが到る所で、すべての集会において教えている
とおりに、キリスト・イエスにあるわたしの道を、あなた達に思い出させてくれるであろ
う。"
"460418","
・コリント 4:18","ある人たちは、わたしが(引け目を感じているので)あなた
達の所に行くことはないと考えて、得意になっている(とのこと)。"
"460419","
・コリント 4:19","しかし主の御心ならば、大急ぎでわたしは行く。行けば、得
意になっている人たちの(口先だけの)言葉ではなく、(実際の)力がみせてもらえる。"
"460420","
・コリント 4:20","神の国は言葉にはなく、力にあるのだから。"
"460421","
・コリント 4:21","あなた達はどちらを望むのか。わたしが笞をもって行くこと
なのか、それとも、愛とおだやかな心とをもって行くことなのか。"
"460501","
・コリント 5:1","いったい、聞くところによればあなた達の間に不品行があり、
しかも異教人の間にすらないような不品行で、父の妻(であった婦人)を妻にしている者
があるほどだというではないか。"
"460502","
・コリント 5:2","それなのにあなた達は得意になっているのか。むしろ悲しん
で、その行いをした者をあなた達の中から除こうとはしなかったのか。"
"460503","
・コリント 5:3","現にわたしとしては、体ではそこにいないが、霊では居合わ
せて、そんなことを仕出かした者に対し、(わたし自身が)居合わせたかのように、すで
に決断を下してしまった。"
"460504","
・コリント 5:4","すなわちあなた達が主イエスの名を呼んで集まったとき、わ
たしの霊も主イエスの力を持って一しょにそこにいて、"
"460505","
・コリント 5:5","こんな男は、悪魔に引き渡してその肉体を滅ぼさせることに
したのである。これはその霊が主の(裁きの)日に救われるためである。"
"460506","
・コリント 5:6","(こんな仲間がいる中で、)あなた達の自慢は誉めたことでは
ない。(一人だけだと言うかも知れないが、)少しのパン種が捏粉全体を発酵させることを、
あなた達は知らないのか。"
"460507","
・コリント 5:7","新しい捏粉であり得るために、古いパン種を掃き出せ。実際
あなた達は種なしパンなのだから。また、わたし達の“過越の小羊”キリスト“は屠られ
た”のだから。"
"460508","
・コリント 5:8","それゆえに、古いパン種をもってでなく、また悪と悪意との
パン種をもってでなく、純潔と真実との種なしパンをもって、(永遠の過越の)祭りをし
ようではないか。"
"460509","
・コリント 5:9","(前の)手紙で、決して不品行な者たちと付き合ってはなら
ないと書いたが、"
"460510","
・コリント 5:10","あれはこの世の不品行な者や貪欲な者、略奪者や偶像礼拝者
などと決して付き合うなというのではない。もしそうならば、あなた達はこの世から出て
ゆかねばならないからである。"
"460511","
・コリント 5:11","しかしわたしは(はっきり)書く。──もし兄弟と呼ばれる
者が、不品行な者や貪欲な者や偶像礼拝者や罵る者や大酒飲みや掠奪者などであるならば、
付き合ってはならない。そんな者とは一しょに食事もしてはならない。"
"460512","
・コリント 5:12","なぜというのか。(主を信じない)外の人たちを、なんでわ
たしが裁くことがあろう。あなた達は、内輪の者たちだけを裁くべきではないのか。"
"460513","
・コリント 5:13","外の人たちは神が裁かれる。“あなた達の中から悪人を取っ
てのけよ。”"
"460601","
・コリント 6:1","あなた達のひとりが(信仰の兄弟である)他の人に対して訴
訟があるとき、聖徒でなく、(主を信じない)不正な人たちに訴える(ような不見識な)
ことを、恥としないのか。"
"460602","
・コリント 6:2","それとも、(最後の日には)聖徒がこの世を裁くことを、あな
た達は知らないのか。そしてあなた達(が着く裁判席)の前でこの世が裁かれるというの
に、ごくつまらない事件をさばく資格が、あなた達にはないのか。"
"460603","
・コリント 6:3","わたし達は(かの日)天使をさえ裁くのだ、まして日常のこ
とはなおさらであるということを、あなた達は知らないのか。"
"460604","
・コリント 6:4","あなた達は日常のことの事件がある場合に、(日ごろ)集会で
軽蔑されている(不正な)人たち、あんな者を裁判席に着かせるのか。"
"460605","
・コリント 6:5","あなた達を辱めるために言うのだ。そんなに、あなた達の間
には、兄弟と兄弟との間を調停することの出来る分別のある人が、たった一人もないのか。
"
"460606","
・コリント 6:6","それどころか、兄弟が兄弟を訴え、しかも不信者の(裁判席
の)前に持ち出すのか。"
"460607","
・コリント 6:7","その上、そもそも(信仰の兄弟でありながら)、互に裁判沙汰
にすることが、すでにあなた達の失敗である。なぜむしろ不正をさせないのか。なぜむし
ろ奪い取られないのか。"
"460608","
・コリント 6:8","あなた達は自分の方でかえって不正をし、奪い取っている、
しかも兄弟たちに対して。"
"460609","
・コリント 6:9","それとも、不正な人たちは神の国を相続しないことを、あな
た達は知らないのか。思い違いをするな。不品行な者も、偶像礼拝者も、姦淫する者も、
男娼も、男色をする者も、"
"460610","
・コリント 6:10","泥坊も、貪欲な者も、大酒飲み、罵る者、掠奪者も、神の国
を相続することはない。"
"460611","
・コリント 6:11","そして(かっては)あなた達も幾人かは、こうした者であっ
た。しかしもはや(洗礼を受けて汚れを)洗っていただいたのであり、聖別されたのであ
り、義とされたのである、主キリストの名によって、またわたし達の神の霊によって。"
"460612","
・コリント 6:12","「万事はわたしに自由である」(とあなた達は言う。そのと
おり。キリストを信ずる者はモーセ律法にも縛られない。)しかし万事が有益ではない。(た
しかに)「万事はわたしに自由である」。しかしわたしは何ものにも支配されようとは思わ
ない。(キリストによって自由であるわたしは、肉の欲に支配されない。)"
"460613","
・コリント 6:13","(肉の欲と言っても一様にはゆかない。あなた達のいうとお
り、)「食べ物は腹のため、腹は食べ物のためにある」。しかし神はそれをもこれをも消え
ゆかせられるのである。これに反して、体は不品行のためにあるのでなく、主の(御用の)
ためにあり、主は(わたし達の)体のために(命をすてられたので)ある。"
"460614","
・コリント 6:14","そして神は主を生きかえさらせたばかりか、(最後の日には)
わたし達(の体)をも御力をもって生きかえらせてくださるのである。"
"460615","
・コリント 6:15","あなた達は知らないのか、あなた達の体は(すでに)キリス
トの器官であることを。(もちろん、知っているはずだ。)では、わたしはキリストの器官
(であるこのわたしの体)を取って、遊女の器官にしてよいだろうか。もっての外だ。"
"460616","
・コリント 6:16","それとも、遊女に結びつく者はそれと一つの体であることを、
あなた達は知らないのか。“二人は一体となる”と(聖書は)言うではないか。"
"460617","
・コリント 6:17","しかし主に結びつく者は(主と一つの体、)一つの霊になる
のである。"
"460618","
・コリント 6:18","不品行から逃げよ。人のおかすどんな罪も、体の外にある。
しかし不品行をする者は、自分の体、(キリストの体、神のお宮)に対して罪を犯すので
ある。"
"460619","
・コリント 6:19","それとも、あなた達の体は神からいただいた聖霊の住んでお
られるお宮で、自分のものでないことを、あなた達は知らないのか。"
"460620","
・コリント 6:20","なぜというのか。あなた達は(キリストの血の)代価を払っ
て買われたのである。だからあなた達の体をもって神を賛美せよ。"
"460701","
・コリント 7:1","また、あなた達が(わたしに)書いている(結婚の)ことに
ついては、(こう答える。)──(出来れば)男は女に触れないがよい。"
"460702","
・コリント 7:2","ただ不品行をさけるために、それぞれ自分の妻を持て、また
それぞれ自分の夫を持て。"
"460703","
・コリント 7:3","夫は妻に対して(夫婦の)務めを果たせ、妻も同様に夫に対
して務めを果たせ。"
"460704","
・コリント 7:4","(夫婦の体は共有で、)妻は自分の体を自由にする権利をもた
ない。夫がそれをもっている。夫も同様に、自分の体を自由にする権利をもたない。妻が
それをもっている。"
"460705","
・コリント 7:5","互に(夫婦の務めを)拒んではならない。ただ、祈りに身を
捧げるため、申し合せの上でしばらく間をおき、あとでまた一しょになるような場合は別
として。自制力が足りないのに乗じて、悪魔があなた達を誘惑することのないためである。
"
"460706","
・コリント 7:6","(今わたしは妻を持った方がよいと言ったが、)しかしこれは
(あなた達の弱さを思いやって)譲歩して言うのであって、命令するのではない。"
"460707","
・コリント 7:7","(欲を言えば、)人が皆、わたしのよう(に独身)であっても
らいたい。しかしそれぞれ神からいただいた独自の賜物があって、この人はこう、あの人
はこうである。(独身も恩恵、結婚も恩恵である。)"
"460708","
・コリント 7:8","しかし独身の者および寡婦に言う、もしわたしのようにして
通すならば、それが(一番)よい。"
"460709","
・コリント 7:9","しかし自制ができないのなら、結婚せよ。情欲に燃えるより、
結婚する方が善いからである。"
"460710","
・コリント 7:10","しかし結婚した者に命ずる、命ずるのはわたしではなく主で
ある。妻は夫と別れてはならない。"
"460711","
・コリント 7:11","──しかし別れたのなら、独身でいるか、夫と仲直りをせよ。
──夫も妻と離婚してはならない。"
"460712","
・コリント 7:12","しかしそのほかの人たちに、わたしが言う、主ではない。あ
る兄弟が不信者の妻を持ち、彼女が彼と一しょに生活することを喜ぶなら、離婚してはな
らない。"
"460713","
・コリント 7:13","また、不信者の夫を持ち、その夫が彼女と一しょに生活する
ことを喜ぶ場合の妻は、夫と離婚してはならない。"
"460714","
・コリント 7:14","(夫婦は結婚生活で一体となるため、)不信者の夫は(信者
の)妻によってすでにきよめられており、不信者の妻は兄弟(すなわち信者の夫)によっ
てすでにきよめられているからである。そうでなければ、あなた達の子供は清くないはず
であるが、現に彼らはきよい(と認められている)ではないか。"
"460715","
・コリント 7:15","しかし不信者の夫(なり妻なり)が別れるなら、別れさせよ。
こんな場合に、兄弟なり姉妹なり(つまり信者)は(結婚に奴隷として)束縛されてはい
ない。神は平和な生活へあなた達をお召しになったのである。(無理があるのは、御心で
はない。)
"460716","
・コリント 7:16","なぜか。妻よ、夫を(信仰に導いて)救うことができるかど
うか、どうしてわかるのか。また夫よ、妻を救うことができるかどうか、どうしてわかる
のか。"
"460717","
・コリント 7:17","むしろ、(何事も)主が各自に分けあたえられたところに即
し、神が各自を召されたところに即して、歩かねばならない。そして(あなた達だけでな
く)、すべての集会にわたしはこのように言いつける。"
"460718","
・コリント 7:18","ある人が割礼を受けていたときに召されたのか。(それなら
信者になったからとて、)割礼の跡をもどすべきではない。ある人が割礼なしで召されて
いるのか。(それなら信者になってからも、)割礼を受けるべきではない。"
"460719","
・コリント 7:19","割礼も、なんでもない、割礼なしも、なんでもない。意味が
あるのは神の掟を守ることだけである。"
"460720","
・コリント 7:20","各自がお召しを受けた時の状態に留まっておれ。"
"460721","
・コリント 7:21","あなたは奴隷として召されたのか。それを気にすることはな
い。かえって、(釈放されて)自由人になることが出来るとしても、むしろ(奴隷たる身
分を)利用せよ。(そのままにしていたがよい。)"
"460722","
・コリント 7:22","なぜなら、奴隷として召されて主にある者は、(罪の奴隷の
状態から)主によって釈放された自由人であり、同様に、自由人として召された者は、キ
リストの奴隷(になったの)であるから。"
"460723","
・コリント 7:23","あなた達は(自由人にせよ奴隷にせよ、キリストの血の)代
価を払って買われたのである、人間の奴隷になるな。"
"460724","
・コリント 7:24","兄弟たちよ、各自が召された時の状態で神の前に留まってお
れ。"
"460725","
・コリント 7:25","また、(伝道する者を助けている)処女について(あなた達
が書いて来ているが、これに)は、(離婚の場合のような)主の命令がわたしには(まだ)
ない。しかし主の憐れみをうけて信頼されている者として、(わたし自身の)意見を述べ
る。"
"460726","
・コリント 7:26","それで、わたしの考えでは、患難が目の前に迫っているのだ
から、これがよろしい、すなわち人は現状維持がよろしい。"
"460727","
・コリント 7:27","あなたはすでに妻に縛られているのか。解くことを求めるな。
妻に結ばれていないのか。妻を求めるな。"
"460728","
・コリント 7:28","しかしたといあなたが結婚したからとて、罪を犯したことに
はならない。またたとえ処女が結婚しても、罪を犯したことにはならない。しかしこんな
人たちは、肉体に苦しみがあるにちがいない。わたしはあなた達をそんな目に合わせたく
ないのである。"
"460729","
・コリント 7:29","兄弟たちよ、わたしが言うのはこのことである。──時は迫
った。(だから)今から後は、妻を持つ者は持っていない者のように、"
"460730","
・コリント 7:30","泣いている者は泣いていない者のように、喜んでいる者は喜
んでいない者のように、(物を)買う者は(何も)持っていない者のように、"
"460731","
・コリント 7:31","(つまり、)この世と交渉のある者は交渉がない者のように、
しなくてはいけない。この世の姿は(じきに)消え去るのだから。"
"460732","
・コリント 7:32","ただわたしはあなた達が、(この世のことに)気をつかわな
いでほしいのである。独身の男は、どうしたら主に喜ばれるかと、主のこと(ばかり)に
気をつかうが、"
"460733","
・コリント 7:33","結婚している男は、どうしたら妻に喜ばれるかと、この世の
ことに気をつかって、"
"460734","
・コリント 7:34","心が割れるのである。また独身の女と処女とは、身も霊もき
よくあろうとして、主のこと(ばかり)に気をつかうが、結婚している女は、どうしたら
夫に喜ばれるかと、この世のことに気をつかうのである。"
"460735","
・コリント 7:35","しかしこれはあなた達自身の利益のために言うのであって、
(もちろん)罠に掛け(て束縛す)るのではなく、むしろあなた達が品位を保つため、か
つまた、余念なく主のもとにあって動かされないためである。"
"460736","
・コリント 7:36","しかし(あなた達が言うように)、ある人が彼の処女に対し
て折り目正しくないものを覚えるならば、また自分の精力が余り、そうせねばならない(と
考える)ならば、望みのことをせよ。彼は罪を犯すのではない。二人は結婚すべきである。
"
"460737","
・コリント 7:37","しかし(ある人が)心に堅く決しており、(結婚の)必要も
なく、自分の欲望を支配する力があり、また自分の処女をそのままにしておこうと心に決
めている(ならば、その)人は(もちろん)よいことをするのである。"
"460738","
・コリント 7:38","従って、自分の処女と結婚する者はよいことをするのであり、
結婚しない者はよりよいことをするのである。"
"460739","
・コリント 7:39","妻は夫が生きている間は、(夫に)束縛されている。しかし
もし夫が眠ったなら、望みの人と結婚することは自由である。ただ主にあって(信者とだ
け)すべきである。"
"460740","
・コリント 7:40","しかしもしそのままにしておれば、より仕合わせである。こ
れはわたしの意見であるが、わたしも神の霊をいただいていると思う。"
"460801","
・コリント 8:1","また、(あなた達が書いている)偶像に供えた肉(を食べるこ
との善し悪し)については、(なるほど)「わたし達は皆知識を持っている」ことを、わた
し達は知っている。(しかし)知識は(人を)得意にするが、愛は(人を)高める。"
"460802","
・コリント 8:2","もしある人が(愛がなくて)何か知っていると思うならば、
彼は知らねばならぬようにはまだ知っていないのである。"
"460803","
・コリント 8:3","しかしもしある人が(愛があって)神を愛するならば、その
人は(神を知っているのである。いや、)神に知られ(、選ばれ)ているのである。(まこ
との知識は神を愛する者に神から与えられる。)"
"460804","
・コリント 8:4","それで、偶像に供えた肉を食べること(の善し悪し)につい
ては、(問題は明らかである。)「世にいかなる偶像もなく、また、ただ一人のほかにいか
なる神もない」ことを、わたし達は知っている。"
"460805","
・コリント 8:5","なぜなら、たとい天にも地にもいわゆる神々があるとしても、
──そして実際多くの神と多くの主とがあるけれども──"
"460806","
・コリント 8:6","少なくともわたし達(信ずる者)には、ただ一人の父なる神
があり、一切のものはこのお方から出て、わたし達もこのお方に帰する。またただ一人の
主イエス・キリストがあり、一切のものはこの方によってでき、わたし達もこの方による
のである。(従ってまことの神でない偶像に供えた肉はただの肉で、これを食べることは
信仰と無関係である。)"
"460807","
・コリント 8:7","しかしながら、(キリストを信ずる)すべての人にこの知識が
あるのではない。中には(異教から信仰に入り、)偶像に対する今までの習慣によって、
偶像に供えた肉としてこれを食べるので、弱い良心が汚される人たちがある。"
"460808","
・コリント 8:8","食べ物はわたし達を神に近づけるものではない。食べずとも
損はなく、食べても得はない。"
"460809","
・コリント 8:9","しかし気をつけよ、(強い)あなた達のその自由が、弱い人た
ちにつまずきにでもなることがないように。"
"460810","
・コリント 8:10","なぜなら、あなたが知識を持っているため、偶像のお宮で食
事の席について(供え物の肉を食べて)いるのを、(知識を持たない)ある人が見たとす
ると、その人は弱いのに、その良心が(はたしてあなた達がいうように「強め」られるで
あろうか。いや全く)「強め」られて、偶像に供えた肉を(御利益でもあるように思って)
食べる、ということにならないであろうか。"
"460811","
・コリント 8:11","そんなことになると、弱い人、一人の兄弟があなたの知識に
禍されて滅びるのである。キリストはその人のためにも死なれたのである。"
"460812","
・コリント 8:12","このようにあなた達が兄弟に対して罪を犯し、彼らの弱い良
心を傷つけるのは、(取りも直さず)キリストに対して罪を犯すのである。"
"460813","
・コリント 8:13","それゆえに、食べ物がわたしの兄弟を罪にいざなうなら、わ
たしは兄弟を罪にいざなわないために、永遠に断じて肉を食べない。"
"460901","
・コリント 9:1","わたしは(すべての律法から釈放されて)自由ではないか。
わたしは(とくに神に選ばれた)使徒ではないか。(このことを疑う者があるようだが、)
わたしはわたし達の主、(復活の)イエスにお目にかかったではないか。あなた達は主に
おけるわたしの作品ではないか。"
"460902","
・コリント 9:2","ほかの人たちには使徒でなくても、少なくともあなた達には
そうである。なぜなら、あなた達は主にあってわたしの使徒職を証明する印鑑であるから。
"
"460903","
・コリント 9:3","──これが、わたしを批判する人たちに対するわたしの答弁
である。"
"460904","
・コリント 9:4","わたし達には(集会の費用で)食べたり飲んだりする権利が
ないというのか。"
"460905","
・コリント 9:5","わたし達には他の使徒たちや、主の御兄弟たちやケパのよう
に、姉妹を妻として連れてまわる権利がないというのか。"
"460906","
・コリント 9:6","それとも、わたしとバルナバとだけには、(生活のための)仕
事をしない権利はないのか。"
"460907","
・コリント 9:7","いったい手弁当で軍務に服する者があるのか。葡萄畑をつく
っておいてその実を食べない者があるのか。また、群れを養っておいてその群れの乳を飲
まない者があるのか。"
"460908","
・コリント 9:8","わたしは(ただ)人間的にこれを主張するのであろうか。そ
れとも、律法も同じことを言ってはいないのか。"
"460909","
・コリント 9:9","モーセ律法に“脱穀する牛に口篭をはめてはならない”と書
いてあるではないか。これは神が牛のためを考えられるのであろうか。"
"460910","
・コリント 9:10","それとも、あくまでわたし達のために言われるのか。そうだ
たしかにわたし達のために、耕す者は(収穫を得る)望みがあって耕し、脱穀する者はそ
れにあずかる望みがあって脱穀するのでなければならない、と書いてあるのだ。"
"460911","
・コリント 9:11","わたし達が霊的なものをあなた達にまいた以上、あなた達か
ら物質的なものを刈り取ったところで、大したことではないか。"
"460912","
・コリント 9:12","(なんの関係もない)ほかの人たちがあなた達を支配する権
利にあずかっている以上、(生みの親である)わたし達はなおさらではないのか。しかし
わたし達はこの権利を用いず、救世主の福音に少しの妨げも与えることのないようにと、
すべてのことを我慢している。"
"460913","
・コリント 9:13","お宮で聖なる務めを行なう者はお宮のものを食べ、祭壇に奉
仕する者は祭壇のものの分け前をいただくことを、あなた達は知らないのか。"
"460914","
・コリント 9:14","そのように主も、福音を伝える者は福音で生活するようにと
定められたのである。"
"460915","
・コリント 9:15","しかしこのわたしは、それら(の特権)を何一つ用いたこと
がない。わたしがこのことを書いたのは、自分がそうしてもらいたいからではない。なぜ
なら、むしろわたしは死んだ方がよっぽど仕合わせだ、もし‥‥(いや)この、わたしの
誇り、(びた一文厄介をかけずに福音を伝えるというこの誇り)を、だれも無にしてくれ
るな!"
"460916","
・コリント 9:16","なぜなら、たとい福音を伝えたところで、わたしの誇りには
ならない。なぜなら、(神に)強要されているのだから。なぜなら、もし福音を伝えない
ならわたしは禍だからである。"
"460917","
・コリント 9:17","なぜなら、わたしが自分から進んでこれをしているというの
なら褒美もいただこうが、否応なしであってみれば、この職を(神に)託されているに過
ぎないからである。"
"460918","
・コリント 9:18","では、わたしの褒美とはいったい何であるか。それは、わた
しが福音を伝えるとき、無報酬で福音を提供し、福音にあってもつわたしの権利を利用し
ないことである。"
"460919","
・コリント 9:19","それで、わたしはすべての人から(全く)自由であるが、(同
時に、)自分をすべての人の奴隷にした。(キリストのために出来るだけ)多数の人を得る
ためである。"
"460920","
・コリント 9:20","ユダヤ人たちにはユダヤ人のようになった。ユダヤ人たちを
得るためである。わたし自身は(モーセ)律法の下にいないのではあるが、律法の下にい
る者たちには、律法の下にいる者のようになった。律法の下にいる者たちを得るためであ
る。"
"460921","
・コリント 9:21","わたしは神の律法を知らないのではなく、むしろキリストの
律法に縛られているのではあるが、律法を知らない者たちには律法を知らない者のように
なった。律法を知らない者たちを得るためである。"
"460922","
・コリント 9:22","(信仰の)弱い者たちには弱くなった。弱い者たちを得るた
めである。わたしはこれらみんなのために、どんなものにでもなった。せめて幾人かだけ
でも救うためである。"
"460923","
・コリント 9:23","わたしは福音のためには、どんなことでもする。福音(の恩
恵)を共有する者になるためである。"
"460924","
・コリント 9:24","(だからあなた達も、競技場の闘士のように自制しなければ
ならない。)競技場で走る者は皆走るけれども、たった一人が賞をもらうことを、あなた
達は知らないのか。あなた達も、それを勝ち取るように走らなければならない。"
"460925","
・コリント 9:25","しかし競技する者は皆、何事にも自制する。ただ、あの人た
ちは朽ちはてる冠をもらうためであるが、わたし達は朽ちぬ冠のためである。"
"460926","
・コリント 9:26","わたしはそれゆえに、目標があいまいでないように走る。空
を打たないように拳闘をする。"
"460927","
・コリント 9:27","いや、自分の体を打ちたたいて征服する。人には(福音を)
説きながら、自分では失格するようなことのないためである。"
"461001","
・コリント 10:1","それで、兄弟たち、このことを知らずにいてもらいたくない。
すなわち、わたし達の先祖は皆(シナイの荒野で)雲の下におり、皆紅海を通り、"
"461002","
・コリント 10:2","皆雲の中で、また海の中で、洗礼を受けてモーセのものにな
った。"
"461003","
・コリント 10:3","皆同じ天与の食べ物(マナ)を食べ、"
"461004","
・コリント 10:4","また皆同じ天与の飲み物を飲んだ。すなわち、ついて来た天
与の岩から(出る水を)飲んだのである。そしてこの岩こそ救世主であった。"
"461005","
・コリント 10:5","しかし、彼らの大部分の者は神の御心にかなわなかった。そ
の証拠に、(カナンに入ることが出来ず、)“彼らは荒野でうち倒された”。"
"461006","
・コリント 10:6","しかしこれらのことは(ただ先祖たちを懲らしめられたとい
うのではない。後の時代の)わたし達に対する実例になったのであり、悪いことに対し、
あの人たちが“欲をおこした”ように、わたし達も“欲をおこす者”にならないためであ
る。"
"461007","
・コリント 10:7","また、“民は坐って飲み食いし、立ち上がって戯れた”と(聖
書に)書いてあるように、あなた達は彼らのうちのある者のように、偶像礼拝者になるな。
"
"461008","
・コリント 10:8","また彼らのある者が不品行をして、一日に二万三千人も倒れ
たが、わたし達はそんな不品行をしないようにしよう。"
"461009","
・コリント 10:9","また彼らのある者が主(の力)を試して蛇に殺されたが、わ
たし達はそんな主を試すことをしないようにしよう。"
"461010","
・コリント 10:10","また彼らのある者が不平を言って、滅ぼす者[刑罰の天使]
に殺されたが、あなた達はそのような不平を言うな。"
"461011","
・コリント 10:11","すなわちこれらのことは(後の時代の)あの人たちに実例
として起こったのであって、わたし達への警告のために書いてあるのであり、そのわたし
達は(いま)世の終りにぶつかっているのである。"
"461012","
・コリント 10:12","だから、りっぱに立っていると信じている者は、倒れない
ように気をつけよ。"
"461013","
・コリント 10:13","人間の力に余る試みが、あなた達をおそったことはないの
である。神は誠実であられる。あなた達が耐えられない程に試みられることを、お許しに
ならない。試みに添えて、(かならず)逃げ道をもつくっておいてくださるので、それに
耐え得るのである。"
"461014","
・コリント 10:14","それゆえに、わたしの愛する者たちよ(主題にもどろう)、
偶像礼拝から逃げよ。"
"461015","
・コリント 10:15","賢い者とみて(あなた達に)語る、わたしの言うことをあ
なた達自身で判断してもらいたい。"
"461016","
・コリント 10:16","(主の晩餐の時、)わたし達が(神を)讃美する讃美の杯(に
あずかること)は、救世主の血の交わりに入ることではないか。わたし達が裂くパン(に
あずかること)は、救世主の体の交わりに入ることではないか。"
"461017","
・コリント 10:17","というのは、パンがただ一つだから、わたし達は大勢であ
るが、ただ一つの体になるのである。わたし達全体がそのただ一つのパンに共にあずかる
からである。"
"461018","
・コリント 10:18","(霊のイスラエルであるキリストの集会ではこのとおり。
今度は)肉のイスラエル(であるユダヤ人の掟)を考えてみよ。(祭壇に供えた)犠牲を
食べる者は、祭壇に関係する仲間(だけ)ではないか。"
"461019","
・コリント 10:19","では、いったい何をわたしは言っているのか。(晩餐や犠牲
の場合と同じように、)偶像に供えた肉が何か(本当の供え物)で(でも)あるというの
か。あるいは、偶像が何か(本当の神)で(でも)あるというのか。"
"461020","
・コリント 10:20","そうではない。(聖書にあるように、異教の)人々が犠牲を
捧げるのは、“悪鬼にであり神でないものに捧げている”、というのである。あなた達には
悪鬼の仲間になってもらいたくない。"
"461021","
・コリント 10:21","あなた達は主の(晩餐の)杯と悪鬼の杯とを飲むというこ
とは出来ない。“主の(晩餐の)食卓”にも悪鬼の食卓にもあずかるということは出来な
い。"
"461022","
・コリント 10:22","それとも、“わたし達は(悪鬼にも仕えて)、主を怒らせよ
うとする”のか。わたし達は主よりも力があるとでもいうのか。"
"461023","
・コリント 10:23","(前にも言ったが、)「万事は自由である」、しかし万事が有
益ではない。「万事は自由である」、しかし万事が(人を)高めるのではない。""461024","
コリント 10:24","だれも自分自身のことを求めず、他の人のことを求めよ。"
"461025","
・コリント 10:25","(それで、)肉市場で売っているものはなんでも、良心のた
めに何も詮議をせずに食べなさい。"
"461026","
・コリント 10:26","“地とそれに満ちているものとは主のもので、(すべて聖で)
ある”からである。"
"461027","
・コリント 10:27","あなた達がある不信者に招待されて、行こうと思うなら、
出されるものはなんでも、良心のために何も詮議をせずに食べなさい。"
"461028","
・コリント 10:28","ただもし「これは供えた肉です」と言う人があったら、知
らせたその人と良心とのために、食べるな。"
"461029","
・コリント 10:29","良心と言うのは、あなた自身のでなく、(信仰の弱い)他の
人の良心のことである。いったいなんでわたしの自由が、ほかの人の良心のことで裁かれ
ることがあろう、"
"461030","
・コリント 10:30","もしわたしが感謝を捧げてそれにあずかるなら、わたしが
感謝するもののゆえにどうして非難されることがあろう。"
"461031","
・コリント 10:31","とにかく、あなた達は食べるにも、飲むにも、何かほかの
ことをするにも、何事も神に栄光を帰するためにせよ。"
"461032","
・コリント 10:32","ユダヤ人にも異教人にも神の集会にも、つまずきになるな。
"
"461033","
・コリント 10:33","わたしも、何事においても何人をも喜ばせて、わたし自身
の利益を求めず、多くの人が救われるようにとその人達の利益を求めているではないか。"
"461101","
・コリント 11:1","わたしがキリストのまねをする者であるのと同じに、わたし
のまねをする者になってもらいたい。"
"461102","
・コリント 11:2","わたしはあなた達を褒める。何事にもわたしを忘れず、わた
しが伝えたとおりに、言伝えをしっかり守っているからである。"
"461103","
・コリント 11:3","それで、(意見を求められた女のベールの問題であるが、)あ
なた達にこのことを知ってもらいたい。──すべての男の頭はキリスト、女の頭は男、キ
リストの頭は神である。"
"461104","
・コリント 11:4","男が祈りあるいは預言するとき、頭にかぶるのは、その頭(で
あるキリスト)を侮辱するのである。"
"461105","
・コリント 11:5","しかしすべての女が祈りあるいは預言するとき、頭にベール
をかぶらないのは、その頭(である男)を侮辱するのである。それは(頭を)剃ったのと
全く同じであるから。"
"461106","
・コリント 11:6","女がベールをかぶらないのなら、いっそ(頭を)刈ったがよ
い。しかし刈ったり剃ったりするのが女にとって恥ずかしいことなら、ベールをかぶらな
くてはいけない。"
"461107","
・コリント 11:7","なぜか。男は“神の影像”であり、反影であるから、頭にベ
ールをかぶるべきではないが、女は男の反影であるから(、そのしるしにベールをかぶる
べき)である。"
"461108","
・コリント 11:8","男は女から出たのではなく、女が男から出たのだから。"
"461109","
・コリント 11:9","また、男は女のために創造されたのでなく、女が男のために、
(男を助けるために)創造されたのだから。"
"461110","
・コリント 11:10","このゆえに、女は(祈りの時、悪い)天使たちに用心し、(身
を守る)力のしるし(としてベール)を頭にかぶらねばならない。"
"461111","
・コリント 11:11","とにかく、主に(ある関係に)おいては(同等で)、男がな
ければ女もなく、女がなければ男もない。"
"461112","
・コリント 11:12","なぜなら、女が男から出たように、男も女によるのである
から。だが、(男にせよ女にせよ、)すべては神から出たのである。"
"461113","
・コリント 11:13","あなた達自身で判断してみよ。女がベールをかぶらずに神
に祈ることはふさわしいだろうか。"
"461114","
・コリント 11:14","15節と合節)もし男が長い髪をしていれば、男の恥であ
るけれども、女が長い髪をしていれば、女の名誉であることを、天性そのものもあなた達
に教えてはいないか。髪はかぶり物として女に与えられたからである。"
"461115","
・コリント 11:15","14節と合節)"
"461116","
・コリント 11:16","もし(この問題について)だれかに異論があるとしても、
わたし達には(女がベールをかぶらずに祈るような)そんな慣例はない。各地の神の集会
にもない。"
"461117","
・コリント 11:17","(次に)わたしは(主の晩餐につき)指図をするに当って、
あなた達の集まりが利益にならず害になっていることは、褒めるわけにはゆかない。"
"461118","
・コリント 11:18","なぜなら、まず第一に、集会の会合に集まるとき、あなた
達の間に仲間割れがあることを耳にしているのだが、わたしは一部それを信ずる。"
"461119","
・コリント 11:19","──(信仰の)試練済みの者があなた達の間で明らかにな
るためには、あなた達の間に党派もできねばならないから。──"
"461120","
・コリント 11:20","それであなた達は一しょに集まっても、主の晩餐を食べる
ことができない。"
"461121","
・コリント 11:21","なぜなら、その食事の際、めいめいが(持って来た)自分
の晩餐を(勝手に)先に食べるので、ある人は(貧しくて持って来られず)空腹であるの
に、ある人は酔っぱらう(有様だ)からである。"
"461122","
・コリント 11:22","いったいあなた達には飲み食いする家がないとでもいうの
か。それとも、あなた達は神の集会を軽蔑し、また持たぬ人たちに恥をかかせるのか。あ
なた達になんと言ったらよいのか。褒めるべきであろうか。(残念ながら、)このことでは
褒めるわけにはゆかない。"
"461123","
・コリント 11:23","なぜというか。わたしは(晩餐のことを)主から授かり、
それをまたあなた達に伝えたのであるが、それはこうである。──主イエスは(敵に)引
き渡された夜、パンを手に取り、"
"461124","
・コリント 11:24","(神に)感謝して裂いて、言われた、「これはあなた達のた
めにわたすわたしの体である。わたしを記念するためにこのことを行ないなさい」。"
"461125","
・コリント 11:25","食事の後、杯を同じように(感謝)して(分けて、)言われ
た、「この杯はわたしの“血”の犠牲を払った“新しい約束”である。(今から後、)飲む
たびごとに、わたしを記念するためにこのことを行ないなさい」。"
"461126","
・コリント 11:26","すなわち、主が(ふたたび)来られるまで、あなた達はこ
のパンを食べこの杯を飲むたびごとに、主の死(の意味)を、(このことを行なうことに
よって)宣べ伝えるのである。"
"461127","
・コリント 11:27","従って、これにふさわしくない有様で主のパンを食べまた
は杯を飲む者は、主の体と血とに罪を犯すのである。"
"461128","
・コリント 11:28","人は自分をしらべてみて、それからパンを食べ、杯を飲み
なさい。"
"461129","
・コリント 11:29","なぜなら、食べまた飲む者が、この(主の)体(と血との
特別の意味)をわきまえないならば、食べまた飲むことによって自分に罰を招くからであ
る。"
"461130","
・コリント 11:30","それゆえに、あなた達の間に大勢の体の弱い者や病人があ
り、かなり多くの者が眠りについているのである。"
"461131","
・コリント 11:31","しかしもしもわたし達が自分をわきまえるならば、罰せら
れないであろう。"
"461132","
・コリント 11:32","たとい主に罰せられても、こらしめられるのであって、そ
れはこの世と共に(永遠に)罰せられることのないためである。"
"461133","
・コリント 11:33","従って、わたしの兄弟たち、食事のために集まるときには、
互に待ち合わせよ。"
"461134","
・コリント 11:34","もし(待たれないほど)空腹の人があるなら、(前もって)
家で食事をせよ。あなた達が(主の晩餐のために)集まって(、かえって)罰を受けるこ
とがないためである。なお(これについての)ほかのことは、わたしが行った時に決めよ
う。"
"461201","
・コリント 12:1","また霊の賜物について(求められたわたしの意見)は、兄弟
たちよ、知らずにいてもらいたくない。"
"461202","
・コリント 12:2","あなた達がまだ異教人であった時、(不思議な力に)魅惑さ
れたかのように、口のきけない(木や石の)偶像に引き寄せられた様子は、あなた達が知っ
ているとおりである。"
"461203","
・コリント 12:3","だから(霊の見分け方について、)あなた達に次のことを知
らせる、神の霊に感じて語る者は、だれも 呪われよ、イエス!とは言わない、また聖霊
に感じてでなければ、だれも、イエスは主と言うことは出来ない。"
"461204","
・コリント 12:4","ところで、(神の霊の賜物は同じものではない。しかし)賜
物はいろいろあるが、同じ御霊(の働き)である。"
"461205","
・コリント 12:5","役目はいろいろあって、しかも同じ主(が与えるもの)であ
る。"
"461206","
・コリント 12:6","力の働きはいろいろあって、同じ神(から出るもの)であり、
このお方がすべての人の中にすべてのことを行なわれるのである。"
"461207","
・コリント 12:7","御霊が(このように)それぞれの人に現われるのは、(集会
全体の)利益のためである。"
"461208","
・コリント 12:8","すなわち、ある人には御霊をもって知恵の言葉が与えられ、
ほかの人には同じ御霊によって知識の言葉が、"
"461209","
・コリント 12:9","他の人には同じ御霊において信仰が、ほかの人にはその一つ
の御霊において治療の賜物が、"
"461210","
・コリント 12:10","ほかの人には奇蹟の力の働きが、ほかの人には預言が、ほ
かの人には霊の見分けが、他の人には各種の霊言が、(また)ほかの人には霊言の解釈が、
与えられる。"
"461211","
・コリント 12:11","しかしこれら一切のことはただ一つの同じ御霊が行なうの
であって、その思いどおりに、それぞれの人にそれ特有のものを分けてくださるのである。
"
"461212","
・コリント 12:12","なぜか。体はただ一つであって、それに多くの器官がある
けれども、この体の器官が皆、多くあっても、一つの体を成しているように、キリスト(の
体である集会)の場合も同じである。"
"461213","
・コリント 12:13","また、わたし達は皆、ユダヤ人にせよ異教人にせよ、奴隷
にせよ自由人にせよ、一つの体になるために、一つの御霊で洗礼を受けたからである。そ
してわたし達は皆一つの御霊を飲まされた。"
"461214","
・コリント 12:14","ほんとうに、体は一つの器官でなく、多くの器官から成っ
ているのである。"
"461215","
・コリント 12:15","たとい足が、「自分は手でないから、体に属していない」と
言ったからとて、それゆえに体に属していないことにはならない。"
"461216","
・コリント 12:16","またたとい耳が、「自分は目でないから、体に属していない」
と言ったからとて、それゆえに体に属していないことにはならない。"
"461217","
・コリント 12:17","もし体全体が目であったら、どこに聴覚があるのか。もし
体全体が聴覚であったら、どこに嗅覚があるのか。"
"461218","
・コリント 12:18","しかし実際は、神は御心どおりに、器官をひとつびとつそ
れぞれ(の用途に従って、)体に配置された。"
"461219","
・コリント 12:19","もし全体が一つの器官であったら、どこに体があるのか。"
"461220","
・コリント 12:20","しかし実際は、器官は多いが、体は一つなのである。"
"461221","
・コリント 12:21","目は手に、「お前はいらない」、あるいはまた頭は足に、「お
前たちはいらない」と言うことは出来ない。"
"461222","
・コリント 12:22","いや反対に、体の中でわりあいに弱いと見える器官こそか
えって必要であり、"
"461223","
・コリント 12:23","また体の中でわりあいにりっぱでないとわたし達が思う器
官は、これにことさらにりっぱなものをまとわせるのである。またわたし達の見苦しい部
分はことさらに体裁よくするが、"
"461224","
・コリント 12:24","(始めから)体裁のよい部分は、その必要がない。むしろ、
神は劣っている部分にことさらにりっぱなものを与えて、体(全体)を統合された。"
"461225","
・コリント 12:25","これは体の間に仲間割れがなく、(多くの)器官が一致して
互に心を配り合うためである。"
"461226","
・コリント 12:26","もし一つの器官が苦しみをうければ、(ほかの)すべての器
官が一しょに苦しみ、もし一つの器官がとうとばれれば、(ほかの)すべての器官が一し
ょに喜ぶのである。"
"461227","
・コリント 12:27","(同じことをあなた達についても言うことが出来る。)あな
た達はキリストの体であり、ひとりびとりとしては器官である。"
"461228","
・コリント 12:28","神はある人々を集会に置かれた、第一に使徒として、第二
に預言者として、第三に教師として、次に奇蹟を、次に治療の賜物、援助、(集会の)管
理、各種の霊言(など)を。"
"461229","
・コリント 12:29","皆が使徒であろうか。皆が預言者であろうか。皆が教師で
あろうか。皆が奇蹟をするのであろうか。"
"461230","
・コリント 12:30","皆が治療の賜物を持っているのであろうか。皆が霊言を語
るのであろうか。皆がそれを解釈するのであろうか。"
"461231","
・コリント 12:31","ただあなた達は(絶えず)より大きい賜物を得ようと努力
せよ。それで、(これらの賜物より)なお一層すぐれた道をあなた達に示そう。"
"461301","
・コリント 13:1","たといわたしが人間や天使の霊言を語っても、愛がないなら、
響くゴング、騒々しいシンバルである。"
"461302","
・コリント 13:2","またたといわたしが預言の賜物を持ち、あらゆる秘密とあら
ゆる知識とに通じていても、たといわたしがあらゆる信仰を持っていて山を動かすことが
できても、愛がないなら、わたしは無価値である。"
"461303","
・コリント 13:3","またたといわたしの全財産をほどこしても、たとい焼かれる
ためにわたしの体をささげても、愛がないなら、わたしにはなんの益もない。"
"461304","
・コリント 13:4","愛はじっと辛抱する、愛は親切である。妬まない、愛は自慢
しない、得意にならない。"
"461305","
・コリント 13:5","無作法をしない、自分勝手をしない。激昂しない、“(人の)
悪いことを根にもたない”。"
"461306","
・コリント 13:6","偽りを見て喜ばない、むしろ真理を喜ぶ。"
"461307","
・コリント 13:7","すべてを我慢し、すべてを信じ、すべてを望み、すべてを耐
え忍ぶ。"
"461308","
・コリント 13:8","愛は決してすたらない。預言も無くなるであろう、霊言もや
むであろう、知識も無くなるであろう。"
"461309","
・コリント 13:9","なぜなら、わたし達がいま知っているのは部分的であり、預
言しているのも部分的であって、"
"461310","
・コリント 13:10","完全なものが来る(最後の)時には、部分的なものは(み
な)無くなるからである。"
"461311","
・コリント 13:11","わたしが幼児であった時は、幼児のように語り、幼児のよ
うに思い、幼児のように考えていたが、おとなになると、幼児の時のことを捨ててしまっ
た(のと同じである)。"
"461312","
・コリント 13:12","わたし達はいまは(何事も)鏡でおぼろに見ているが、(完
全なものが来る)その時には、顔と顔と相対してみるのである。いまはわたしは部分的に
知っているが、その時には、(今神に)知りつくされているからそのようにわたしも知り
つくすであろう。"
"461313","
・コリント 13:13","それゆえに、いつまでものこるものは信仰と希望と愛、こ
の三つ。しかし、この中で一番大きいのは愛!"
"461401","
・コリント 14:1","愛を追い求めよ。(同時に)またいろいろな霊の賜物を得る
ことを、ことに預言することができるようにと努力せよ。"
"461402","
・コリント 14:2","なぜなら霊言を語る者は人間相手でなく、神相手に語るのだ
から。(聞いて)だれもわからず、彼は御霊で(普通の人に不可解な)秘密を語るからで
ある。"
"461403","
・コリント 14:3","しかし預言する者は(普通の言葉で)、人間相手に(、信仰
を)造りあげることと勧めと慰めとを語るのである。"
"461404","
・コリント 14:4","霊言を語る者は自分(の信仰)を造りあげ、預言する者は集
会(の信仰)を造りあげる。"
"461405","
・コリント 14:5","わたしはあなた達みんなに霊言を語ってもらいたいが、それ
よりもむしろ預言してもらいたい。霊言を語る者がそれを解釈して集会(の信仰)が造り
あげられるようにするのでない限りは、霊言を語る者より預言する者の方がまさっている。
"
"461406","
・コリント 14:6","実際、兄弟たちよ、たといわたしがあなた達の所に行って霊
言を語っても、啓示か、知識か、預言か、教訓かの形で語(って信仰を造りあげ)るので
ないならば、あなた達になんの得があろう。"
"461407","
・コリント 14:7","同じく、あの命のない楽器、(たとえば)笛でも竪琴でも、
もしその音に(高さとリズムの)区別がなければ、その吹かれているもの、弾かれている
ものを、どうして知ることができよう。"
"461408","
・コリント 14:8","またもしラッパが不明瞭な音を出すならば、だれが戦闘準備
をするだろうか。"
"461409","
・コリント 14:9","そのようにあなた達も、もし舌ではっきり分る言葉を話さな
いならば、あなた達の語ることがどうして知られよう。それでは空気に向かって語ってい
るのではないか。"
"461410","
・コリント 14:10","世の中には言語の種類がどんなに沢山あるか知れないが、
無意味なものは一つもない。"
"461411","
・コリント 14:11","だからもしわたしがその言葉の意味を知らないならば、語
る者にわたしはチンプンカンであり、わたしには語る者がチンプンカンであろう。"
"461412","
・コリント 14:12","あなた達も同じである。あなた達は霊のものを得ようと努
力する者であるから、集会(の信仰)を造りあげるために、それが豊富になることを求め
よ。"
"461413","
・コリント 14:13","だから霊言を語る者は、それを解釈できるようにと祈れ。"
"461414","
・コリント 14:14","なぜなら、もしわたしが霊言で祈る(だけ)ならば、霊は
祈っているが、わたしの理知は(集会の信仰のために)実を結ばないからである。"
"461415","
・コリント 14:15","では、どうしたらよいだろうか。わたしは霊(言)で祈り
もしよう、しかし理知でも祈ろう。霊(言)で讃美の歌をうたいもしよう、しかし理知で
もうたおう。"
"461416","
・コリント 14:16","そうでないと、もしあなたが霊(言)で(神を)讃美(し
感謝)するならば、(集会で)初心者の席を占める者は、あなたの感謝の祈りに対してど
うしてアーメンを言うことができようか。あなたがなんと言っているのかわからないのだ
から。"
"461417","
・コリント 14:17","あなたはたしかにりっぱな感謝をしようが、しかし人は(そ
れですこしも信仰を)造りあげられない。"
"461418","
・コリント 14:18","わたしはあなた達のだれよりも多くの霊言を語(り得)る
ことを神に感謝する。"
"461419","
・コリント 14:19","しかし集会の会合では、霊言で一万の言葉を語るよりも、
ほかの人たちをも教えるために、(むしろ)わたしの理知で(だれにもわかるただの)五
つの言葉を語りたい。"
"461420","
・コリント 14:20","兄弟たちよ、判断力の点では子供であってはならない。む
しろ悪(を行なうこと)については(無力な)幼児であり、判断力の点では成人らしくせ
よ。"
"461421","
・コリント 14:21","律法[聖書]にこう書いてあるではないか、「“外国語の者
を使い、外国人の唇を使って、わたしはこの民に語るが”、それでも“彼らは聞きいれな
いであろう”と主は言われる」と。(神は不信仰なイスラエル人を、彼らにわかりにくい
外国語を使って躓かせられたというのである。この外国語とはあなた達の霊言のことであ
る。)"
"461422","
・コリント 14:22","従って霊言は、信者のためでなく不信者のため、(神の刑罰)
の徴になるものである。しかし預言は、不信者のためでなく信者のため、(彼らを教え高
めるため)のものである。"
"461423","
・コリント 14:23","だから、もし全集会が一しょに集まって皆が霊言を語って
いるとき、(霊言のわからない)初心者か不信者たちが入ってきたならば、「あなた達は気が
狂っている」と言われないだろうか。"
"461424","
・コリント 14:24","しかし皆が預言しているとき、ある不信者か初心者が入っ
てきたならば、その人は皆に誤りを認めさせられ、皆に批判され、"
"461425","
・コリント 14:25","自分の心の中の隠れたことが明らかになり、こうして、地
にひれ伏して神を“おがみ、「ほんとうに神はあなた達の中においでに成る」”と公言する
であろう。"
"461426","
・コリント 14:26","では、兄弟たち、どうしたらよいだろうか。あなた達が集
まる時には、それぞれ聖歌を持ち、教えを持ち、啓示を持ち、霊言を持ち、その解釈を持
っている。皆、(集会の信仰を)造りあげるために用いられねばならない。"
"461427","
・コリント 14:27","霊言で語る場合は、毎回二人か、たかだか三人が、一人ず
つ順々にせよ、そしてだれか一人が解釈せよ。"
"461428","
・コリント 14:28","もし解釈する者がなければ、集会の会合では黙っていて、(家
に帰って、)自分にまた神に語るがよい。"
"461429","
・コリント 14:29","預言者も、二人か三人語れ、ほかの(預言する)者たちは
それを判断せよ。"
"461430","
・コリント 14:30","しかしもし(一人が立って預言している時)、坐っているほ
かの人に啓示があったら、(その人が立って語り、)先の者は話をやめよ。"
"461431","
・コリント 14:31","なぜなら、あなた達皆が(機会を待って)一人ずつ預言す
ることが出来るからであり、こうすれば皆が学び、皆が励まされることができるのである。
"
"461432","
・コリント 14:32","(預言は途中でやめられないと言う者には答える、まこと
の)預言者の霊は預言者の命令に服従するものである(と)。"
"461433","
・コリント 14:33","(その霊をお与えになった)神は無秩序の神でなく、平和
の神だからである。聖徒の集会全体での(習わしの)ように、"
"461434","
・コリント 14:34","婦人は集会の会合では黙っていなさい。なぜなら、婦人は
語ることを許されず、律法も言うように、ただ服従すべきだからである。"
"461435","
・コリント 14:35","もし何か学びたいと思うなら、家で夫に尋ねるがよい。婦
人が集会の会合で語るのは恥ずべきことだから。"
"461436","
・コリント 14:36","それとも、(その習わしはあなた達の会合独得だというの
か。)神の言葉はあなた達(の集会)から出たのか、あるいは、あなた達だけのところに
来たのか。"
"461437","
・コリント 14:37","自分を預言者あるいは霊を授けられた者だと思う者は、わ
たしがあなた達にいま書いていることが、主の掟であることを認めなければならない。"
"461438","
・コリント 14:38","それを認めない者があるなら、その人は(神にも)認めら
れない。"
"461439","
・コリント 14:39","従って、わたしの兄弟たちよ、預言することを努力せよ、
また霊言を語ることを禁ずるな。"
"461440","
・コリント 14:40","しかし万事品位を保って、秩序正しくあれ。"
"461501","
・コリント 15:1","また、わたしが思い出してもらいたいのは、兄弟たちよ、(以
前)あなた達に伝え、あなた達が(喜んで)受けいれてくれて、(今日まで)それに立っ
ている、あの(死人の復活についての)福音である。"
"461502","
・コリント 15:2","どんな言葉でわたしがその福音を伝えたにせよ、あなた達が
それを守っていさえすれば、軽々しく信仰に入ったのではない限りは、あなた達もその福
音で救われる。"
"461503","
・コリント 15:3","まえにわたしが(福音の)一番大切な事としてあなた達に伝
えたのは、わたし自身(エルサレム集会から)受けついだのであるが、キリストが聖書(の
預言)どおりにわたし達の罪のために死なれたこと、"
"461504","
・コリント 15:4","葬られたこと、聖書どおりに三日目に復活しておられること、
"
"461505","
・コリント 15:5","またケパに、それから十二人(の弟子)に、御自分を現わさ
れたことである。"
"461506","
・コリント 15:6","そのあと、一度に五百人以上の兄弟に御自分を現わされた。
そのうちの多数の者はいまでも生きてい(て、わたしが嘘を言っていないことを証明して
くれ)る。もっともすでに眠った者もあるにはある。"
"461507","
・コリント 15:7","そのあと(御兄弟の)ヤコブに、それから使徒一同に、御自
分を現わされた。"
"461508","
・コリント 15:8","しかし一番最後には、さながら月足らずのようなわたしにも
御自分を現わされた。"
"461509","
・コリント 15:9","ほんとうにわたしは、使徒の中で一番小さい者である、いや、
わたしは使徒と言われる値打もない、神の集会を迫害したからである。"
"461510","
・コリント 15:10","しかし神の恩恵によって、いまあるような者であり、わた
しに対するその恩恵はむだでなく、わたしは彼ら(使徒)一同よりも余計に働いた。しか
しそれはわたしでなく、わたしを助けた神の恩恵である。"
"461511","
・コリント 15:11","どのみち、わたしにせよ彼らにせよ、わたし達はこのよう
に(復活の福音を)説いており、そのようにあなた達は信じたのである。"
"461512","
・コリント 15:12","ところで、キリストが死人の中から復活しておられること
が(こんなに)説かれ、(また信じられ)ているのに、死人の復活はないと主張する者が
あなた達の中にあるのは、いったいどうしてか。"
"461513","
・コリント 15:13","しかし死人の復活がないのなら、キリストも復活しておら
れないわけである。"
"461514","
・コリント 15:14","キリストが復活しておられないならば、わたし達の説教は
それこそ根拠がない。あなた達の信仰も根拠がない。"
"461515","
・コリント 15:15","またわたし達は神の偽証者ともなるであろう。というのは、
死人が復活しないということがもし事実なら、神が復活させられることもなかったキリス
トを、復活させられたと言って、わたし達は神に逆らう証言をしたことになるからである。
"
"461516","
・コリント 15:16","死人は復活しないのなら、キリストも復活しておられない
のだから。"
"461517","
・コリント 15:17","しかしキリストが復活しておられないならば、あなた達の
信仰は無意味であり、あなた達はまだ自分の罪の中にいる。"
"461518","
・コリント 15:18","従ってまたキリストを信じて眠った者も滅びたのである。"
"461519","
・コリント 15:19","もしただこの生涯でキリストに望みをかけていただけ(で、
来るべき世で満たされることがないの)なら、わたし達ほど同情すべき人間はない。"
"461520","
・コリント 15:20","しかしながら今、キリストは死人の中から復活しておられ
る、眠った者の(復活の)最初として。"
"461521","
・コリント 15:21","というのは、一人の人によって死が来たので、同じく一人
の人によって死人の復活が来るのである。"
"461522","
・コリント 15:22","(一人の人)アダムとのつながりのゆえにすべての人が死
ぬのと同じように、(一人の人)キリストを信じてすべての人が命を与えられるのである。
"
"461523","
・コリント 15:23","ただ(それには順序がある。)ひとりびとりが自分の(属す
る)組の番の時に(復活する。)最初は(すでに)キリストが、その次に、キリストの来
臨の時にキリストのものである人たちが、"
"461524","
・コリント 15:24","それから(最後に)残りの人たちが。この時、キリストは
すべての支配(天使)、すべての権威(天使)と権力(天使)とを滅ぼした後、神にして
父なるお方にその王国を引き渡される。"
"461525","
・コリント 15:25","彼はすべての“敵を(征服して)足の下に置く”(まで、地
上に)王であらねばならないからである。"
"461526","
・コリント 15:26","最後の敵として、死が滅ぼされる。"
"461527","
・コリント 15:27","“万物を神は彼の足の下に服従させた”(と聖書にある)か
らである。しかし万物が(彼に)服従していると言うとき、万物を彼に服従させたお方を
除くことは明白である。"
"461528","
・コリント 15:28","そして万物が彼に服従したら、その時御子自身も、万物を
御自分に服従させたお方に服従されるであろう。そうすれば神がすべてにおいてすべてと
なられる。"
"461529","
・コリント 15:29","もしこうで(なく、復活というものが)ないならば、(集会
で)死人に代わって洗礼を受ける人たちは、どうすればよいのであろうか。死人は全く復
活しないのなら、いったいなぜあの人たちは彼らに代わって洗礼を受けるのか。"
"461530","
・コリント 15:30","いったいなぜわたし達は絶えず(命の)危険をおかして(働
いて)いるのか。"
"461531","
・コリント 15:31","(危険どころか、)わたしは毎日死んでいる。ほんとうなの
だ、兄弟たちよ、わたし達の主キリスト・イエスにあってわたしが持っているあなた達に
ついての誇りにかけて言う。"
"461532","
・コリント 15:32","もしわたしが(復活の信仰からでなく、)人間的な思いから
エペソで獣と戦ったとすれば、わたしにとってなんの得があろう。死人が復活しないのな
ら、“食おうじゃないか、飲もうじゃないか、どうせあしたは死ぬ身だ”である。"
"461533","
・コリント 15:33","迷わされてはならない。(復活の信仰のない人との交際に注
意せよ。)悪い交際は良い習慣をこわす。(と詩人も言っている。)"
"461534","
・コリント 15:34","真にまじめになれ、罪を犯すな。(あなた達の)中には、(神
を知っていると思いながら)神の知識を持たない者があるのだから。辱しめるために、あ
なた達に言うのだ。"
"461535","
・コリント 15:35","しかし、ある人は言うかも知れない、(かりに復活があると
しても、)どんな風にして死人が復活するのか、どんな体で来るのかと。"
"461536","
・コリント 15:36","訳のわからない人!あなたがまくものは、死ななければ生
かされないのだ。"
"461537","
・コリント 15:37","そしてあなたのまくものは、やがて出来る体をまくのでは
なく、たとえば麦にしても何かほかの種類にしても、裸の粒にすぎないのである。"
"461538","
・コリント 15:38","しかし神は御心のままにそれに体をお与えになる、しかも
それぞれの種に独得の体を。"
"461539","
・コリント 15:39","すべての肉が同じ肉ではない。人間の(肉)がちがい、家
畜の肉がちがい、鳥の肉がちがい、魚の(肉)がまたちがう。"
"461540","
・コリント 15:40","天の体があり、地の体がある。しかし天のものの輝きは別
であり、地のもののはまた別である。"
"461541","
・コリント 15:41","(天のものの輝きにしても、)太陽の輝きがちがい、月の輝
きがちがい、星の輝きがまたちがう。その上、星はひとつびとつ輝きが相違している。"
"461542","
・コリント 15:42","死人の復活もこのようである。(一つの体が死んで別の体が
生まれる。)死滅の姿でまかれて不滅の姿に復活する。"
"461543","
・コリント 15:43","恥辱の姿でまかれて栄光の姿に復活する。弱さの姿でまか
れて力の姿に復活する。"
"461544","
・コリント 15:44","(神の霊を持たない)魂だけの体がまかれて霊の体が復活
する。魂だけの体がある以上は霊の体もあるわけである。"
"461545","
・コリント 15:45","(聖書にも)このように書いてある、「最初の“人”アダム
“は魂だけの生きものになり”、最後のアダム[キリスト]は命を与える霊になった」と。
"
"461546","
・コリント 15:46","しかし霊のものが最初でなく、魂だけのものであり、その
次に霊のものである。"
"461547","
・コリント 15:47","最初の“人は地から出て土で出来たものであり”、第二の人
は天の出である。"
"461548","
・コリント 15:48","土の人たちはこの土の人(アダム)のようであり、天の人
たちはこの天の人(キリスト)のようである。"
"461549","
・コリント 15:49","こうしてわたし達は土の人の姿を帯びたように、(復活の時
は)天の人の姿を帯びるであろう。"
"461550","
・コリント 15:50","兄弟たち、わたしの言うのはこのことである。血肉の人間
は神の国を相続することは出来ず、死滅が不滅を相続することはない。"
"461551","
・コリント 15:51","いまここに(最後の日の)秘密を語る。わたし達はみんな
眠ってしまうのではなく、(その時生きている者も眠った者も、)みんな変化させられるの
である。"
"461552","
・コリント 15:52","あっと言う間に、瞬く間に、最後のラッパの音で!ラッパ
が鳴る。すると死人は不滅のものに復活し、(その時生きている)わたし達は変化させら
れるのである。"
"461553","
・コリント 15:53","(というのは、神の国に入るためには、)この死滅すべきも
のが不滅を着、この死ぬべきものが不死のものを着ねばならないからである。"
"461554","
・コリント 15:54","そしてこの死滅すべきものが不滅を着、この死ぬべきもの
が不死のものを着たら、その時(聖書に)書いてある言葉が実現する。“死は(神の)勝
利に飲みこまれてしまった。”"
"461555","
・コリント 15:55","“死よ、どこに、お前の勝利は。死よ、どこに、お前の剣
は”。"
"461556","
・コリント 15:56","──死の剣は罪である、罪の力(の源)は律法である。─
"
"461557","
・コリント 15:57","しかし神に感謝あれ、勝利をわたし達の主イエス・キリス
トによってわたし達にお与えになる神に!"
"461558","
・コリント 15:58","だから、わたしの愛する兄弟たちよ、しっかりしておれ、
動かずにおれ、いつも主の仕事にぬきんでよ。骨折りが主にあってむだにならないことを、
あなた達は知っているのだから。"
"461601","
・コリント 16:1","また、(エルサレム集会の)聖徒たちへのあの醵金のことに
ついては、あなた達(の集会で)も、わたしが前にガラテヤ各地の集会に指図したとおり
にせよ。"
"461602","
・コリント 16:2","週の初めの日[日曜日]ごとに、各自何か儲けたものがあれ
ば、家にためて置け。わたしが行った時、それから(はじめて)醵金が行なわれることの
ないように。"
"461603","
・コリント 16:3","そちらに行った時には、あなた達の適当だと思う人たちに、
手紙をつけてエルサレムにその贈物を持たせてやろう。"
"461604","
・コリント 16:4","しかしもしわたしも行く値打ちがある(ほど多額)ならば、
彼らはわたしと一しょに行けばよい。"
"461605","
・コリント 16:5","わたしはマケドニヤ(州)を巡回したあとで、あなた達の所
に行く。マケドニヤは(ただ)巡回するのである。"
"461606","
・コリント 16:6","しかしあなた達の所では、たぶん泊まるか、あるいは冬を越
すことにもなろう。それは(つぎに)どこへ行くにしても、(あなた達の所でゆっくりし
て、)あなた達に送り出してもらいたいためである。"
"461607","
・コリント 16:7","こんどは(ただ)通りすがりに会う(だけの)ことにしたく
ないのだから。主がもしお許しになるならば、しばらくあなた達の所に滞在することを望
んでいる。"
"461608","
・コリント 16:8","しかし五旬節の祭まではエペソに泊まっていよう。"
"461609","
・コリント 16:9","(ここには)大きな働きがいのある門がわたしに開けている
し、多くの反対者もあることだから。"
"461610","
・コリント 16:10","テモテが着いたならば、恐れずにあなた達の所にいられる
ようにと気をつけてほしい。(まだ年も若く学問もないが、)わたしと同じように主の仕事
をしているのだ。"
"461611","
・コリント 16:11","だから、だれも彼を軽蔑してはならない。彼を(ねぎらっ
て)平安に送り出し、わたしの所にもどって来るようにしてやってもらいたい。兄弟たち
と一しょに待っているのだから。"
"461612","
・コリント 16:12","兄弟アポロのことについていえば、(使いに来ている)兄弟
たちと一しょにあなた達の所に行くようにと、しきりに勧めてみた。だが今は行く意志が
全くない。しかし好い機会があれば行くであろう。"
"461613","
・コリント 16:13","目を覚ましておれ、信仰にしっかり立っておれ、“男らしく
あれ、強くなれ。”"
"461614","
・コリント 16:14","あなた達のすることすべてを、愛をもって行なえ。"
"461615","
・コリント 16:15","兄弟たちよ、あなた達に勧める。御承知のように、ステパ
ナ一家は(アカヤで最初に信仰に入った言わば)アカヤの初穂で、聖徒たちへの奉仕に身
を捧げた。"
"461616","
・コリント 16:16","あなた達もこんな人たちには、またこんな人たちと一しょ
に働いて苦労をしている人にはどんな人にも、服従しなくてはいけない。"
"461617","
・コリント 16:17","それからステパナとポルトナトとアカイコとが来ているこ
とを嬉しく思う。あなた達の不在をこの人達が補ったのだから。"
"461618","
・コリント 16:18","彼らはわたしの心を、またあなた達の心をも休めてくれた
のだ。こんな人たちの真価を認めなければならない。"
"461619","
・コリント 16:19","アジヤ州の各地の集会からあなた達によろしく。アクラと
プリスカとからその家の集会ともども、主にあってくれぐれもあなた達によろしく。"
"461620","
・コリント 16:20","兄弟一同からあなた達によろしく。聖なる接吻で互に挨拶
せよ。"
"461621","
・コリント 16:21","(最後に、)パウロが自筆で挨拶する。"
"461622","
・コリント 16:22","主を愛しない者があるなら、呪われよ!、マラナ、サ(主
よ、来てください)!"
"461623","
・コリント 16:23","主イエスの恩恵、あなた達と共にあらんことを。"
"461624","
・コリント 16:24","わたしの愛はキリスト・イエスにおいてあなた達一同と共
にある。"

コリント人へ 第二
"470101","
・コリント 1:1","神の御心によってキリスト・イエスの使徒であるパウロと、(主
にある)兄弟のテモテとから、コリントにある神の集会、および全アカヤ州にいる聖徒一
同に、この手紙をおくる。"
"470102","
・コリント 1:2","わたし達の父なる神と主イエス・キリストとから、恩恵と平
安、あなた達にあらんことを。"
"470103","
・コリント 1:3","讃美すべきかな、わたし達の主イエス・キリストの神また父、
慈悲深い父、あらゆる慰めを賜わる神!"
"470104","
・コリント 1:4","どんな苦難の時にもわたし達を慰めてくださる神、こうして
わたし達自身も神に慰めていただくその慰めをもって、どんな苦難の中にいる人たちをも
慰めることが出来るのである。"
"470105","
・コリント 1:5","というのは、キリストの苦しまれた(苦しみをわたし達は共
に苦しむので、その)苦しみがわたし達に満ちあふれるのと同じように、わたし達の慰め
もキリストを通じて満ちあふれるからである。"
"470106","
・コリント 1:6","(すなわち)わたし達が苦しめられるにしても、それはあな
た達の慰めとなり救いとなるためであり、わたし達が慰めていただくにしても、それはあ
なた達の慰めとなるためであって、その慰めが働いて、わたし達がうけるのと同じ苦しみ
をあなた達は耐え忍ぶことが出来るのである。"
"470107","
・コリント 1:7","そしてあなた達に関するわたし達の希望は動揺しない。あな
た達は苦しみを共にしてくれる者であると同じように、慰めをも共にする者であることを
知っているからである。"
"470108","
・コリント 1:8","だから、兄弟たちよ、アジア(州)でわたし達が遇った苦難
については、知らずにいてもらいたくない。わたし達は力に余るほどひどく圧迫されたの
で、生きることさえ望みがなくなった。"
"470109","
・コリント 1:9","ほんとうに、自分ではもはや自分に死の宣告を下していたの
だ。これはわたし達が自分にたよるのではなく、死人を(も)生きかえらせる神にたよる
ためであった。"
"470110","
・コリント 1:10","神はこんな恐ろしい死の淵から救いだしてくださった、今後
も救ってくださる。今後もなお救われることと、わたし達は神に望みをかけてきた。"
"470111","
・コリント 1:11","このことについてはあなた達も、わたし達のために祈りをも
って加勢してくれている。こうして多くの人(の祈り)によってわたし達にいただくこの
(救の)賜物が、多くの人によってわたし達のために(神に)感謝されることになるので
ある。(神は一人でも多くの人の感謝をお喜びになる。)"
"470112","
・コリント 1:12","ところで(こう言えば、パウロがまた自慢していると言われ
るかも知れないが、)わたし達の自慢は、と言えば、わたし達がこの世において、とくに
あなた達に対して、神の聖潔と純真とで、人間的の知恵によらずに神の恩恵によって振舞
ったことを、わたし達の良心が証明してくれることである。"
"470113","
・コリント 1:13","なぜなら、(敵対者はわたし達の手紙に裏表があると言うそ
うであるが、)わたし達が書くものは、あなた達が読みまた理解もするもの、それ以外で
はない。しかしわたしが望むのは、あなた達が完全に理解してくれることである、"
"470114","
・コリント 1:14","あなた達がすでにわたし達を一部分は理解してくれたように。
すなわちわたし達の主イエスの(来臨の)日には、あなた達がわたし達の名誉であるのと
同じように、わたし達があなた達の名誉であることを、理解してくれることである。"
"470115","
・コリント 1:15","(あなた達の理解があるという)この確信のもとに、わたし
はこう決めた──まずあなた達の所に行ってあなた達が二度目の恩恵をいだくようにし、"
"470116","
・コリント 1:16","そしてあなた達のところを通ってマケドニヤ(州)に行き、
マケドニヤ(州)からあなた達の所にもどり、あなた達にユダヤまで送り出してもらおう
と決めたのである。"
"470117","
・コリント 1:17","ところでこう決めたのは、一体(いつものように)わたしの
気紛れでもあったのだろうか。あるいは、わたしが決めるのは人間的の考えで決めるので、
わたしにははっきり「はい」と言うことが同時にはっきり「いいえ」と言うことでもあっ
たのだろうか。"
"470118","
・コリント 1:18","神の誠実にかけていう、わたし達のあなた達への言葉は、「は
い」が同時に「いいえ」ではない。(わたし達の言葉に嘘はない。)"
"470119","
・コリント 1:19","なぜというか。わたし達によって──わたしとシルワノとテ
モテとによって──あなた達に説かれた神の子キリスト・イエスは、「はい」が同時に「い
いえ」でもあるというものではなかった。いや、彼においては「はい」だけがある。"
"470120","
・コリント 1:20","(聖書にある)あらゆる神の約束は彼において(実現して)
「はい」となったからである。このゆえにまた、わたし達が神に栄光を帰するために彼を
通じてアーメンが言われるのである。"
"470121","
・コリント 1:21","そしてあなた達と一緒にわたし達をキリストにしっかり立た
せ、また油を注いで(聖別して)くださったお方はこの神であり、"
"470122","
・コリント 1:22","このお方がまた、わたし達に(御自分のものという)証印を
おし、その手付けとして御霊をわたし達の心の中にくださったのである。"
"470123","
・コリント 1:23","しかしわたし個人としては、自分の命をかけ、神を証人に立
てる、──わたしはあなた達をひどい目にあわせたくなかったので、もうコリントには行
かなかったのである。(行けば、敵対者たちを厳重に処分しなければならないではない
か。)"
"470124","
・コリント 1:24","これはわたし達が、(なにも敵対者の非難しているように、)
あなた達の信仰を支配しようというのではなく、わたし達はただあなた達の喜びのために
共に働く者である。あなた達は信仰に立ってしっかりしているのだから。"
"470201","
・コリント 2:1","で、わたしは自分でこう決心したのだ、二度と悲しい訪問は
するまいと。"
"470202","
・コリント 2:2","なぜなら、もしわたしがあなた達を悲しませたら、わたしか
ら悲しませられるその人(達)をおいて、一体だれがわたしを楽しませてくれる人達であ
るか。"
"470203","
・コリント 2:3","この故にこそわたしは(あの手紙を)書いたのであり、それ
は行ったとき、わたしを喜ばせてくれるべき人たちから悲しみを受けたくないためであっ
た。わたしの喜びがあなた達みんなの喜びであると、あなた達みんなについてわたしは信
頼しているのである。"
"470204","
・コリント 2:4","わたしは非常な苦悩と心の痛みとから、多くの涙のうちにあ
れを書いたのであって、あなた達が悲しませられるためではなく、わたしがあなた達に対
して特に持っている愛を知ってもらいたかったためである。"
"470205","
・コリント 2:5","で、もし誰かが人を悲しませていたとすれば、わたしを悲し
ませていたのではなく、言い過ぎないように言えば多少、あなた達全体を悲しませていた
のである。"
"470206","
・コリント 2:6","当人にはあなた達の多数の者からうけたあの制裁で十分であ
る。"
"470207","
・コリント 2:7","だから(今度は)むしろ反対に、あなた達がゆるして慰めな
ければならない。当人があまり大きな悲しみに圧倒されてしまうようなことがあってはい
けない。"
"470208","
・コリント 2:8","だからあなた達に勧める、愛を彼にしめす議決をしてもらい
たい。"
"470209","
・コリント 2:9","わたしがあれを書いたのは、(当人を罰する目的ではなく、)
あなた達が何事についても従順であるかどうか、この点で試験ずみであることを知るため
にほかならなかったのである。"
"470210","
・コリント 2:10","しかし、(いまは、)あなた達が何かについてゆるす人を、わ
たしもゆるそう。いや、わたしがもし何かについてゆるしたとすれば、わたしがゆるした
ことは、あなた達のため、キリスト(を証人としてそ)の目の前でしたことなのである。"
"470211","
・コリント 2:11","こうするのは、わたし達が悪魔の策略に乗せられないためで
あって、(不和に乗ずる)そのたくらみをよく知っているからである。"
"470212","
・コリント 2:12","なお(このことも知らずにいてもらいたくない。)──わた
しは救世主の福音を伝えるためにトロアス(の港)に行ったとき、主のために(有望な)
門がわたしに開けたのに、"
"470213","
・コリント 2:13","(あなた達の所に使いに行った)兄弟のテトスに会えないの
で、心の休まることがなく、(その地の)人々に別れを告げてマケドニヤに出てきたので
あった。"
"470214","
・コリント 2:14","しかし神に感謝せねばならない。神はいつでもわたし達をキ
リストによる凱旋行列に(虜として)引き回し、至る所でわたし達を通して御自分を知ら
せる知識の薫をお広めになる。"
"470215","
・コリント 2:15","というのは、わたし達は救われる者の間でも、滅びゆく者の
間でも、神にささげられるためのキリストのよい薫である。"
"470216","
・コリント 2:16","ある者には、死から死へみちびく薫であるが、ある者には、
命から命へみちびく薫である。(ああ、)一体だれにこんなことが勤まろう。"
"470217","
・コリント 2:17","──わたし達はあの多くの人たちのように、神の言葉を売り
物にするようなことをしない。いやそればかりか、純心な心からする者として、いや、神
につかわされた者として、神の前に(責任をもち、)キリストにあって、語っているので
ある。"
"470301","
・コリント 3:1","(こう言えば、)わたし達はまたまた「自分を推薦し」始めた
(と悪口を言われる)のであろうか。それともどこかの人たちのように、(エルサレム集
会から)あなた達あての、あるいはあなた達からの推薦の手紙を、わたし達が必要とする
とでもいうのか。"
"470302","
・コリント 3:2","わたし達のための(推薦の)手紙はあなた達であり、わたし
達の心に書き込まれており、皆の人に知られまた読まれている。"
"470303","
・コリント 3:3","(実際)あなた達はわたし達によって配達されたキリストの
手紙であって、インキでなく生ける神の霊で、また、(モーセ律法とは違い)“石の板”に
ではなく“人の心の板”に書かれていることが、知れ渡っているのである。"
"470304","
・コリント 3:4","しかしわたし達がこんな(大きな)自信を持つのは、キリス
トを通してであり、神にたよってである。(神がキリストを通してわたし達を使徒に任じ
られたからである。)"
"470305","
・コリント 3:5","これは自分でことを考え出すような能力が自分にあるという
のではない。わたし達の能力はみな神から来る。"
"470306","
・コリント 3:6","神はわたし達に、新しい契約のための世話役、(すなわち古い
契約にある律法の)文字のためではなく、(神の)霊のための世話役たる能力をお与えに
なったのである。文字は殺すが、霊は命を与えるからである。"
"470307","
・コリント 3:7","文字で石に彫られている(モーセ律法、すなわち)死をつげ
る役目でさえ栄光があったので、やがては無くなるものながら“モーセの顔の栄光”のゆ
えに、イスラエル[ヤコブ]の子孫はその顔を見つめることが出来なかったくらいである
(という。そうである)なら、"
"470308","
・コリント 3:8","まして(命を与える)霊の役目が、どうして栄光にかがやか
ないことがあろうか。"
"470309","
・コリント 3:9","刑罰をさだめる役目でさえ栄光をもつくらいなら、義とする
役目が栄光にあふれるばかりであるのは、なおさらだからである。"
"470310","
・コリント 3:10","それどころか、(かっては古い契約によって)栄光を受けた
ものも、この点では、(新しい契約の)ぬきんでた栄光のまえに、(全く)“栄光”を受け
なくなっている、(と言うことが出来る。)"
"470311","
・コリント 3:11","やがては無くなるものが栄光にかがやいたくらいなら、いつ
までものこるものが栄光にかがやくのは、なおさらだからである。"
"470312","
・コリント 3:12","わたし達はこんな(自信と)希望(と)を持っているのであ
るから、正正堂堂と振舞い、(福音の真理を説いて、)"
"470313","
・コリント 3:13","“モーセ”のような(見苦しい)ことはしない。彼はやがて
は無くなるもの(栄光)の最後をイスラエルの子孫に見て取られまいと、“顔にベールを
かけたのである。”"
"470314","
・コリント 3:14","しかし(そのために、)彼らの考えは頑なにされてしまった。
なぜなら、今日までも古い契約の朗読の時、同じベールが残っているからである。ベール
は取り除かれないままである。古い契約は(ただ)キリストにおいて無くなるものだから
である。"
"470315","
・コリント 3:15","いやむしろきょうまでモーセ(律法)が朗読される度毎に、
ベールは彼らの心にかかって(いるので、そのほんとうの意味が隠されて)いる。"
"470316","
・コリント 3:16","“しかし彼らの心が主に帰るならば、その時ベールは取り除
かれる。”"
"470317","
・コリント 3:17","(ここで)主(と)は御霊(のこと)である。主の御霊のあ
るところには自由が(あるから、ベールが取り除かれるので)ある。"
"470318","
・コリント 3:18","そしてわたし達(主キリストを信ずる者)は皆、覆いを取ら
れた顔で(直接)“主の栄光”を鏡にうつして拝見し、栄光から栄光に進み(つつ、つい
に)主と同じ(栄光の)姿に造りかえられる。御霊である主がなさるのであるから当然で
ある。"
"470401","
・コリント 4:1","わたし達は(神の)憐れみをうけて、この(モーセにまさる)
役目を託されているのであるから、(どんな場合にも)気を落さない。"
"470402","
・コリント 4:2","いや、(一切の)恥かしい隠し事を絶った、計略を用いて歩か
ず、神の言葉をごまかしもせず、ただ(福音の)真理を明らかにすることによって、神の
前ですべての人間の良心に自分を推薦しているのである。"
"470403","
・コリント 4:3","しかしそれでもなおわたし達の説く福音が(ベールで)覆わ
れている(からわからないのだと言う)なら、それは滅びゆく者にとって(だけ)覆われ
ているのである。"
"470404","
・コリント 4:4","彼らの場合、この不信者たちの考えをこの世の神(である悪
魔)が盲にして、神の影像である救世主の栄光をつげる福音の光を見ることができないよ
うにしたのである。"
"470405","
・コリント 4:5","なぜならわたし達が説いているのは自分のことでなく、ただ
キリスト・イエスは主であること、自分たちはイエスの(奴隷、いや彼の)ためにあなた
達の奴隷であるということである。"
"470406","
・コリント 4:6","というのは、(世界創造の時、)「光、暗闇から輝き出でよ」と
言われたその神は、キリストの顔に現れている神の栄光を知る知識が明らかになるため、
わたし達の心の中に光を輝かせてくださったからである。"
"470407","
・コリント 4:7","しかしこの宝が、(貧弱な)土の器の中にある。それはその素
晴らしい力が神のものであって、わたし達(土の器)から出るのではないことがわかるた
めである。"
"470408","
・コリント 4:8","わたし達はあらゆることで悩まされる、しかし行き詰まらな
い。当惑する、しかし絶望しない。"
"470409","
・コリント 4:9","迫害される、しかし(神に)見捨てられない。打ち倒される、
しかし死にはしない。"
"470410","
・コリント 4:10","わたし達はいつもイエスの死の苦しみを体に受けて持ち回っ
ている。それはわたし達の体にイエスの命も現れるためである。"
"470411","
・コリント 4:11","言い換えれば、わたし達が生きながらイエスの故に絶えず死
の手にゆだねられているのは、イエスの(復活の)命もわたし達の死ぬべき肉体に(すで
にこの世で)現れるためである。"
"470412","
・コリント 4:12","従って死はわたし達に働くけれども、(そのことによってわ
たし達に溢れる)命があなた達に働くことになるのである。"
"470413","
・コリント 4:13","しかしわたし達は聖書に“わたしは信じた、それゆえに語っ
た”と書いてあるのと同じ信仰の霊を持っているので、わたし達も信じており、それゆえ
にまた(福音を)語っているのである。"
"470414","
・コリント 4:14","というのは、主イエスを生きかえらせたお方は、イエスと一
体としてわたし達をも生きかえらせ、あなた達と一所にその(御座の)前に立たせてくだ
さることを知っているからである。"
"470415","
・コリント 4:15","何もかもあなた達のためにするのである。これは恩恵が増す
につれていよいよ多くの(信ずる)人たちが感謝にあふれ、神の栄光が揚がるためである。
"
"470416","
・コリント 4:16","このゆえに、わたし達は気を落さない。いや、わたし達の(生
れながらの)外の人はどんなにこわれていっても、(キリストによって生れた)内の人は
一日一日と新しくされてゆく。"
"470417","
・コリント 4:17","なぜなら、現在の軽い苦難は、この上もなく素晴らしい、永
遠に豊富な(神の)栄光をわたし達にもたらす(保証だ)からである。"
"470418","
・コリント 4:18","このわたし達は見えるものに目を向けているのではなく、見
えないものに目を向けているのである。見えるものは一時的、見えないものが永遠だから
である。"
"470501","
・コリント 5:1","なぜ(こんな希望に生きることができるの)であろうか。も
し地上の家であるわたし達のこのテント、(この肉体)がこわれるならば、天に、神の建
てられた建物、(人間の)手で造らない永遠の家をいただいていることを、わたし達は知
っているからである。"
"470502","
・コリント 5:2","どうしてであろうか。わたし達はこのテントにいて、天の住
いを上に着たくてたまらずに呻いているからである。(この憧れと呻きこそ、永遠の住い
のある証拠ではないか。)"
"470503","
・コリント 5:3","ほんとうにもしこれを着たならば、裸(の恥しい姿)である
ことはないであろう!"
"470504","
・コリント 5:4","それで、わたし達のこのテントにいる者は、重荷に呻いてい
る。これを脱ぎたい(つまり死にたい)のではなく、(天の住いを)上に着たいからであ
る。これは死ぬべきものが命に飲み込まれるためである。"
"470505","
・コリント 5:5","このことがわたし達に出来るようにされたお方は神であり、
このお方がその手付けとして御霊を下さったのである。"
"470506","
・コリント 5:6","だから、わたし達はいつも心強くあり、また、この体に同居
しているあいだは主から離れて別居していることを知っている、"
"470507","
・コリント 5:7","──というのも(いま)わたし達は(主を)見ることによっ
てではなく、信仰によって歩いているからである。──"
"470508","
・コリント 5:8","それで、わたし達は心強くはあるけれども、むしろこの体を
離れて別居し、主の所に同居したいと望んでいる。"
"470509","
・コリント 5:9","この故にまた、(この体と)同居していようが、別居していよ
うが、(ただ)主のお気に入ることだけを名誉とするのである。"
"470510","
・コリント 5:10","なぜなら、わたし達は(最後の日に)一人のこらずキリスト
の裁判席の前に自分を現し、ひとりびとりがその体によってしたことに従い、善いことに
せよ悪いことにせよ報いを受けねばならないからである。"
"470511","
・コリント 5:11","このようにわたし達は主の(裁判の)恐ろしさを知っている
ので、(非難者の言葉を借りれば、)人々を「説得している」のであるが、わたし達(に私
心)の(ない)ことは神には知られている(筈である)。しかしあなた達の良心にも知ら
れることを望むのである。"
"470512","
・コリント 5:12","(前にも言ったが、)わたし達はまたあなた達に「自分を推
薦する」のではない。ただわたし達のことを誇る手掛りを与えて、内面でなく外面を誇る
あの連中に受け答えできるようにするまでである。"
"470513","
・コリント 5:13","なぜなら、もし(非難されているように)わたし達が「気が
狂った」のなら、神に対して(熱心だから)である。もし正気なら、あなた達に対して(そ
のためを考えるから)である。"
"470514","
・コリント 5:14","なぜというか。キリストの愛がわたし達を駆り立てるからで
ある。わたし達はこう考える、──ただの一人の人(キリスト)がすべての人の身代りに
死なれた、従ってすべての人は(キリストと一緒に一度)死んだのである、"
"470515","
・コリント 5:15","そして彼がすべての人の身代りに死なれたのは、(彼と一緒
に死んで新しい命にいま)生きている者たちが、もはや自分のために生きず、身代りに死
んで復活された方のために生きるようにというのである。"
"470516","
・コリント 5:16","だからこのわたし達は、今からのちだれをも人間的に知ろう
とはしない。たとい(以前は)キリストをも人間的に知っていたにせよ、今はもはや(そ
のように)知りはしない。"
"470517","
・コリント 5:17","だから、キリストと結びついている者は、新しい創造物であ
る。古いものは消え失せて、いまここに、新しくなってしまっている!"
"470518","
・コリント 5:18","しかしこれらすべてのことは神から(の恩恵)である。神は
キリストによってわたし達(人類)を御自分と和睦させ、わたし達(使徒)にこの和睦の
(福音を伝える)役目をお与えになった。"
"470519","
・コリント 5:19","すなわち神はキリスト(の死)において、この世を御自分と
和睦させて、(世の)人々の過ちを彼らの勘定につけず、わたし達に和睦を告げる御言葉
を賜わったのである。"
"470520","
・コリント 5:20","だから、キリストの(この御業の)ためにわたし達は使者と
して働いている、神(御自身)がわたし達(の口)をもってお勧めになるのである。キリ
ストの名によって願う、神と和睦せよ。"
"470521","
・コリント 5:21","神は罪を知らなかった方をわたし達の身代りに(十字架につ
けて)罪に定められた。わたし達がこの方において神の義(をいただく者)となるためで
ある。"
"470601","
・コリント 6:1","それで、(この和睦の福音のために)わたし達は(神と)御一
緒に働いているのであるから、なおこのことを勧める、あなた達は神のこの恩恵を受け取
って(実を結ばせ)、むだにしないようにせよ。"
"470602","
・コリント 6:2","“恵みの時にわたしはあなたの願いを聞きとどけ、救いの日
にわたしはあなたを助けた。”と神は仰せられるではないか。見よ、今や“大いなる恵み
の時”、見よ今や“救いの日”!"
"470603","
・コリント 6:3","わたし達は(神に託された)この役目が嘲けられないように、
何事にも何一つ躓きを与えていない。"
"470604","
・コリント 6:4","そればかりではなく、あらゆることによって、神に仕える世
話役として自分を推薦している、すなわち、(あるいは)大いなる忍耐によって、──た
とえば苦難により、艱難により、苦悩により、"
"470605","
・コリント 6:5","打たれることにより、牢に入れられることにより、暴動をお
こされることにより、労働により、徹夜により、飢餓によって──であり、"
"470606","
・コリント 6:6","(あるいは)純潔により、知識により、寛容により、親切に
より、聖霊により、偽らぬ愛により、"
"470607","
・コリント 6:7","真理の言葉により、神の力によってであり、(あるいは)右と
左とに持つ義の武器をもって、"
"470608","
・コリント 6:8","名誉と恥辱とをもって、悪評と好評とをもってである。(ある
いはまた)嘘つきと言われながら、真実な者として、"
"470609","
・コリント 6:9","(世間では)無名人でありながら、(神の前では)有名人とし
て、“死にかけてい”ながら、いまここに“わたし達は生きている!”“そしてまた(神に)
こらしめられるが、殺されない者”として、"
"470610","
・コリント 6:10","悲しんでいるが、しかしいつでも喜んでいる者として、貧乏
であるが、しかし多くの人を金持にする者として、何一つ持たないで、何もかも持ってい
る者としてである。"
"470611","
・コリント 6:11","コリント人たちよ、(気持ちはすっかり直った。)わたし達の
口はあなた達に向かって開いている。心は広くなっている。"
"470612","
・コリント 6:12","わたし達の(心の)中であなた達はすこしも狭苦しい扱いを
受けてはいない。あなた達が狭苦しい扱いを受けているのは、自分の心の中でのことだ。"
"470613","
・コリント 6:13","だからお返しに──(自分の)子供に物言うように言うが─
─あなた達も広くなりなさい!"
"470614","
・コリント 6:14","不信者と一緒に不似合いな軛を負うようになってはいけない。
なぜというか。義と不法とはなんの共同関係があろう。また光は暗闇に対しなんの共通性
があろう。"
"470615","
・コリント 6:15","キリストがベリアルに対してなんの調和があろう、また信者
は不信者となんの共同があろう。"
"470616","
・コリント 6:16","神の宮が偶像となんの一致があろう。わたし達はたしかに生
ける神の宮である。神がこう仰せられた。──“わたしは彼らの間に住みまた歩むであろ
う、わたしは彼らの神になり、彼らはわたしの民になる”"
"470617","
・コリント 6:17","それゆえに、“あなた達は彼らの中から出よそして離れよ、”
と主は仰せられる、そして“清くないものに触れるな”と。“そうすればわたしはあなた
達を受け入れる、”                                         "
"470618","
・コリント 6:18","“わたしは”あなた達の“父になり、”あなた達は“わたし
達の息子”娘“に”なる、“と全能者である主が仰せられる。”"
"470701","
・コリント 7:1","だから愛する者たちよ、こんな(神の)約束がわたし達には
あるのだから、肉と霊とのあらゆる汚れから自分を清め、神を恐れて完全に聖くなろうで
はないか。"
"470702","
・コリント 7:2","(コリント人たちよ、このとおりわたし達の心は広くなって
いる。)どうかわたし達を受け入れて貰いたい!わたし達は(ある人達が非難するような)
間違ったことを(あなた達の)だれにもした覚えはない。だれも堕落させた覚えはない。
だれもごまかした覚えはない。"
"470703","
・コリント 7:3","これは(かっての)罪を責めるつもりで言うのではない。前
にも言ったように、あなた達はわたし達の心の中にあって生死を共にする人だからである。
"
"470704","
・コリント 7:4","あなた達へのわたしの信頼は大きく、あなた達についてのわ
たしの自慢は大きい。わたしはいま慰めに満ちている。わたしはどんな苦難をわたし達が
うけるときにも喜びにあふれている。"
"470705","
・コリント 7:5","というのは、わたし達が(トロアスからこの)マケドニヤに
来たときにも、体が全く休まらず、あらゆることに悩まされた、外には(福音の敵との)
戦い、内には(愛する集会のための)心配があったのである。"
"470706","
・コリント 7:6","しかしあわれな者を慰めてくださる神は、テトスの到着によ
って(この)わたし達を慰めてくださった。"
"470707","
・コリント 7:7","いや、彼の到着によってというだけでなく、彼があなた達の
ところで慰められたその慰め(を聞いたこと)によってでもある。彼は(わたしに会いた
いという)あなた達の熱望と、(罪を悔いる)あなた達の悲嘆と、わたしに対するあなた
達の熱意とをわたし達に報告してくれたのである。こうしてわたしはますます喜んだ。"
"470708","
・コリント 7:8","というのは、あの(烈しい)手紙であなた達を悲しませたに
しても、(もはや)わたしは悔いないからである。(前には)悔いたにしても、──わたし
は認める、あの手紙が一時はあなた達を悲しませたにしても、……"
"470709","
・コリント 7:9","(とにかく)今は喜んでいる。(もちろん)あなた達が悲しん
だからではなく、悲しんで悔改めたからである。あなた達は神の御心に沿って悲しんだ、
だから何事においてもわたし達から害を受けなかったのである。"
"470710","
・コリント 7:10","なぜなら、神の御心に沿った悲しみは、(人を)救いに入れ
る悔いのない悔改めをもたらすけれども、この世(的)の悲しみは、(絶望と)死をもた
らすからである。"
"470711","
・コリント 7:11","見よ。神の御心に沿ってあなた達が悲しんだこと、それがど
れほどの熱心を、そうだ弁解を、そうだ(事件に対する)憤慨を、そうだ(わたしの怒り
に対する)恐れを、そうだ熱望を、そうだ熱誠を、そうだその処罰(の決意)を、あなた
達にもたらしたことであろうか!あなた達はあらゆることで、あの事件に関して自分の罪
のないことを現した。"
"470712","
・コリント 7:12","それゆえわたしはあれを書いたにしても、間違ったことをし
た者の(制裁の)ためでもなければ、間違ったことをされた者の(満足の)ためでもない。
ただわたし達に対するあなた達の熱心があなた達のところで神の前に現されるためであっ
た。"
"470713","
・コリント 7:13","[目的は達せられた。]そういうわけだから、わたし達は慰
められたのである。しかしわたし達のこの慰めに加え、わたし達は、テトスがあなた達一
同から安心させられたことを喜ぶのを見て、何にもまして喜んだ。"
"470714","
・コリント 7:14","というのは、わたしが彼にあなた達のことを多少自慢してお
いたけれども恥をかかずにすみ、むしろ、わたし達があなた達に語ったことがすべて真実
であったように、わたし達がテトスに(あなた達の)自慢をしたことも真実になったから
である。"
"470715","
・コリント 7:15","そして彼は、あなた達一同の従順、恐れ震えて彼を迎えてく
れた様子を思い出して、あなた達にいま特別の好意を寄せている。"
"470716","
・コリント 7:16","わたしはあらゆることであなた達に信頼できる(ようになっ
た)のを喜んでいる。"
"470801","
・コリント 8:1","さて、兄弟たちよ、わたし達はマケドニヤ各地の集会に賜わ
った神の恩恵をあなた達に知らせる。"
"470802","
・コリント 8:2","すなわち苦難の大試練に耐えぬいた彼らのあふれるばかりの
喜びと、どん底の貧乏(生活)とは、彼らの物惜しみをしない心の豊さとなってあふれた
のである。"
"470803","
・コリント 8:3","というのは、わたしは証人であるが、彼らは力相応に、いや
力以上に、自分から進んで、"
"470804","
・コリント 8:4","聖徒たちのための援助に参加することを、(つまり)この贈物
をさせてもらいたいとわたし達に懇願したのである。"
"470805","
・コリント 8:5","それも予期したような(ただ醵金を、という)ふうにではな
く、(神の御心によって)、彼ら自身を第一に主に捧げ、それからわたし達にも捧げてくれ
た。"
"470806","
・コリント 8:6","そこで、わたし達はテトスに、この贈物を、彼が前に始めた
からには(今度)あなた達のところで完成もするようにと勧めることにしたのである。"
"470807","
・コリント 8:7","それで、あなた達がすべてのことに、然り信仰にも、弁舌に
も、知識にも、あらゆる熱心にも、またわたし達から出てあなた達にあふれている愛にも、
ぬきんでているように、この贈物をすることにも、ぬきんでてもらいたい。"
"470808","
・コリント 8:8","わたしはこれを命令として言うのではない。ただ他の人の熱
心を語って、あなた達の愛の純粋さをも見届けようとしているのである。"
"470809","
・コリント 8:9","──あなた達はわたし達の主イエス・キリストの恩恵を知っ
ているではないか、彼は(神の子として)富んでおられたのに、あなた達のために(人間
となって)貧しくなられた、この方の貧しさによってあなた達が富むためである。"
"470810","
・コリント 8:10","それで、この際わたしは意見(だけ)を述べる。なぜなら、
これはあなた達に有益だ(と思う)からである。あなた達は(この醵金)を昨年から、実
行ばかりか、願いもし始めたではないか。"
"470811","
・コリント 8:11","だから今その実行を完成して、この願いの心からの気持どう
りに、その完成もするようにせよ。(もちろんあなた達の)持物に応じてである。"
"470812","
・コリント 8:12","心からの気持ちさえあれば、人は持たないもの(までをも用
立てること)によらず、持っているもの(を用立てること)によって、(神に)喜ばれる
からである。"
"470813","
・コリント 8:13","なぜなら、ほかの人たちに安楽があるためにあなた達に難儀
があってはならず、平等の原則によって、"
"470814","
・コリント 8:14","現在はあなた達のあり余るものがあの人たちの足りないとこ
ろに用立ち、(あとでは)あの人達のあり余るものがあなた達の足りないところに用立つ
ようにしたいのである。平等が実現するためである。"
"470815","
・コリント 8:15","“多くを集めた者も多過ぎず、少く集めた者も不足しなかっ
た”と(聖書)に書いてあるとおりである。"
"470816","
・コリント 8:16","テトスの心に、あなた達に対する(わたしと)同じ熱心を下
さった神に感謝せねばならない。"
"470817","
・コリント 8:17","というのは、彼は(わたしの)勧めを受け入れ、いや、非常
に熱心で、自分から進んであなた達の所に行くのである。"
"470818","
・コリント 8:18","またわたし達は兄弟のAを彼と一所にやる。福音(伝道)の
ことにおいての彼の名声はすべての集会の間に聞えている。"
"470819","
・コリント 8:19","そればかりではない。主御自身の栄光のため、またわたし達
の熱意の(実現の)ため、いまわたし達が世話をして(集めて)いるこの贈物を届けるわ
たし達の道連れに、彼は(マケドニヤ)各地の集会から選挙された者である。"
"470820","
・コリント 8:20","彼をやるのは、わたし達が世話をしているこの多額の故に、
人から(とかくの)疑いを受けることを避けたいからである。"
"470821","
・コリント 8:21","わたし達は“主の御前”ばかりではなく、“人の”前で“も、
立派であるように心がけている”のだから。"
"470822","
・コリント 8:22","なお(もう一人)わたし達の兄弟のBをこの二人と一所にや
る。わたし達はいろいろな機会に、たびたび、彼が熱心であることを見届けた。しかし今
は、あなた達に対する大きな信頼の故に、彼は一層熱心になっている。"
"470823","
・コリント 8:23","(とにかく、)テトスについて言えば、わたしの仲間またあ
なた達のための共働者であり、(二人の)兄弟たちはと言えば、各地の集会の使者、キリ
ストの栄光である。"
"470824","
・コリント 8:24","だから(どうか)、あなた達の(熱い)愛と、あなた達につ
いてわたし達のこの人たちに対する自慢(に偽りがないこと)との証拠を、各地の集会の
前に示してもらいたい。"
"470901","
・コリント 9:1","エルサレムの聖徒たちのための援助について言わないのは、
あなた達にそれを書くのは余計なことだからである。"
"470902","
・コリント 9:2","なぜなら、わたしはあなた達の熱意を知っているので、アカ
ヤは昨年からその準備ができていると、あなた達のことをマケドニヤ人にいつも自慢して
いる(位な)のだから。そしてあなた達のこの熱誠は多数の者を奮い立たせ(て、この企
てに参加させ)た。"
"470903","
・コリント 9:3","それにも拘らずわたしがいまこの兄弟たちをやるのは、この
(醵金の)点で(も)あなた達について自慢したことが無にならず、(今)言ったとおり、
あなた達に(すっかり)準備ができているようにするためであり、"
"470904","
・コリント 9:4","たといマケドニヤ人がわたしと一所に行っても、あなた達が
準備のできていないのを見られて、その状態において「あなた達が」とは言わないまでも
わたし達が恥をかくことがないようにしたいからである。"
"470905","
・コリント 9:5","だから兄弟たちがあなた達のところに先発して、あなた達の
かねて約束している祝福の贈物を前もって整えるようにと、彼らに勧めることが必要だと
わたしは考えたのである、それが惜しがりながらの贈物としてではなく、豊かな贈物とし
て用意できているようにして貰いたい。"
"470906","
・コリント 9:6","わたしの言うのはこのことである。──(まき方の)けちな
者はけちな刈り取りをし、(まき方の)豊かな者は豊かな刈り取りをするであろう。"
"470907","
・コリント 9:7","めいめいが、しぶしぶでなくあるいは強いられてでもなく、
心に決めたとおりにせよ。“神は喜んで与える人を”愛されるのだから。"
"470908","
・コリント 9:8","しかし神はあなた達にすべての恩恵をあふれさせることがお
出来になるので、あなた達はすべてのものに、あなた達はすべての時に、すべての点で十
分な暮らしをし、(その上)すべての善い行いにあふれるのである。"
"470909","
・コリント 9:9","“彼は散らして貧乏人に与えた、彼の善行は永遠に無くなら
ない。”と(聖書に)書いてあるとおりである。"
"470910","
・コリント 9:10","それで、“種まく人に種を”授け、“食べるためのパンを”授
けられるお方はあなた達にもまくべき種をふやし、“あなた達の善行の実を”成長させら
れる。"
"470911","
・コリント 9:11","(このように、)あなた達はどんなのもにも豊かであるので、
どんなことにも物惜しみをしない心となるのである。この心がわたし達(の手)を通じて
(それを受ける人に)神への感謝を起こさせるのである。"
"470912","
・コリント 9:12","というのは、この援助は、ただ聖徒たちの乏しさを補うばか
りではなく、また神に対する多くの感謝の祈りであふれるばかりになるからである。"
"470913","
・コリント 9:13","この援助が成功することによって、彼ら(聖徒たち)は、あ
なた達が、従順にキリストの福音への信仰の告白をしたことと、彼らひいてはすべての(信
ずる)者に対し、物惜しみをしない交りのしるし(の醵金)をもって協力したこととの故
に、神を賛美するであろう。"
"470914","
・コリント 9:14","そして、あなた達に示された神の著しい恩恵のゆえに、彼ら
はあなた達のために祈り、あなた達を慕うであろう。"
"470915","
・コリント 9:15","言い尽しがたい神の賜物の故に、神に感謝せねばならない。
"
"471001","
・コリント 10:1","さて、このわたしパウロが、キリストの温和と寛容とを指し
てあなた達に忠告する。「あなた達の所で面と向かっては意気地がないけれども、離れて
いるとあなた達に対して勇敢だ」(と批評されるわたしだ)が、"
"471002","
・コリント 10:2","お願いだ、(今度)一所にいるとき、わたし達を人間的に歩
くと考えているある人たちに対しては(今度こそ十分の)自身をもって勇敢に行動しよう
と考えているが、どうか、こんな自身をもって勇気を振う必要のないようにしてもらいた
い。"
"471003","
・コリント 10:3","いかにも、わたし達は人間として歩いてはいるが、人間的に
は(歩いていない、)戦っていない。"
"471004","
・コリント 10:4","なぜなら、わたし達の戦いの武器は人間的のものではなく、
(霊の武器であり、)神のために(あくまで)強力であって、(福音の邪魔をするすべての)
砦を打ち破るからである。わたし達は(すべての)詭弁と、"
"471005","
・コリント 10:5","神を知る知識に逆らい立つすべての(高慢の)櫓とを打ち破
り、すべての(悪魔の)たくらみを捕虜にして、従順にキリストを受けいれさせようとし
ているのである。"
"471006","
・コリント 10:6","そしてあなた達の(集会の)従順が完全になりさえすれば、
すべての不従順(な者ども)を(それぞれ厳重に)処罰する用意がある。"
"471007","
・コリント 10:7","(とにかく)目の前の事(実、あなた達の集会がだれによっ
て生まれたか)を見てもらいたい。もし自分をキリストのものだと信じている人があるの
なら、その人は自分がキリストのものであるのと同じように、他方において、わたし達も
そうであることをよく考えてもらいたい。"
"471008","
・コリント 10:8","なぜなら、(わたし達もキリストに召されて使徒の全権を授
かったのだから、)わたし達の授かっているこの全権──これは主があなた達(の信仰)
を造りあげるためにお授けになったもので、(ある人たちが言うように)それを破壊する
ためではないのだが──この全権についてたといわたしがもっと自慢したとしても、恥を
かくことはあるまい。"
"471009","
・コリント 10:9","しかし、(わたしはそうしない。)手紙であなた達をおどそう
としているように見え(て信仰を破壊するようなことはし)たくないのである。"
"471010","
・コリント 10:10","というのは「手紙はいかにも重みがあって力があるけれど
も、御本人がお出ましになると貧弱で、話はなっていない」と(人は悪口を)言うのであ
る。"
"471011","
・コリント 10:11","そんな人は考えてもらいたいのだが、わたし達は離れてい
るときの手紙での言葉と、一所にいるときにすることが、全く同じなのである。"
"471012","
・コリント 10:12","それで、わたし達は自分で推薦しているある(えらい)方々
と、自分を並べたり比べたりするほど勇敢ではない。が、あの方々御自身は、悟りが(良
いのか)悪いのか、自分を自分(の尺度)で測り、自分の標準に自分を比べて(自慢して)
いる。"
"471013","
・コリント 10:13","しかしわたし達は、(あの方々のように)限度を越えて自慢
しようとするのではない。ただ神が割り当ててくださった(わたし達の伝道の職)分──
これは実際あなた達の所まで及んだのであるが──この(職)分の限度に応じて自慢する
だけである。"
"471014","
・コリント 10:14","なぜなら、わたし達は(伝道が)あなた達に及んでいない
のに、限度を越えて自分(の勢力)を広げるようなことはしない。実際あなた達の所まで
行って、キリストの福音を説いたのだから。"
"471015","
・コリント 10:15","わたし達は他人の仕事(の実)を(自分の手柄顔に)限度
を越えて自慢するのではない。むしろこんな希望を持っている、(すなわち、)あなた達の
信仰があなた達の中で成長し(て、もはやわたし達の必要がなくなっ)た暁には、(神に
割り当てられた)わたし達の(職)分に応じて、最大限度にまで発展したいのである。"
"471016","
・コリント 10:16","あなた達のはるかかなたの地方に福音を伝えたいのである。
他人の(職)分を種に、出来上がっているものを自慢したくないのである。"
"471017","
・コリント 10:17","“誇る者は(ただ)主にあって誇れ”(と聖書にある。)"
"471018","
・コリント 10:18","本物(の使徒)は自分で推薦する者ではなく、主が推薦さ
れる者だからである。  "
"471101","
・コリント 11:1","わたしの少しばかりの馬鹿さ加減を今しばらく我慢して(聞
いて)くれるといいのだが!いや、あなた達はもう我慢していてくれるのだ!"
"471102","
・コリント 11:2","わたしは神(御自身)の熱愛をもってあなた達を熱愛してい
るのだから。なぜなら、(わたしは自分の子である)あなた達を、(来臨の時)キリストに
嫁入りさせるため、純潔な処女として、たった一人の夫(であるそのキリスト)の許嫁に
したのである。"
"471103","
・コリント 11:3","しかしわたしは、“あの蛇が”計略を使ってエバを惑わし(、
彼女と夫とが神に背い)たように、あなた達の考えが誘惑されて、キリストに対する単純
な信頼と純潔とから離れるようなことになってはと、心配しているのだ。"
"471104","
・コリント 11:4","なぜかというと、(あなた達は至極寛大で、)だれかがあらわ
れて、わたし達が説いたのではないほかのイエスを説いても、あるいは(わたし達から)
受けたのではない別の霊を、または(わたし達から)受け入れたのではない別の福音をあ
なた達が受けても、よくもまあ我慢しているのだから。"
"471105","
・コリント 11:5","だが、わたしは何一つあの「特別使徒諸君」に劣っていない
と思っている。"
"471106","
・コリント 11:6","なるほど弁舌にかけては全くの素人であっても、(説く福音
の)知識の点ではそうではない。かえってこれ(の秘密)をわたし達は、あらゆる点で、
とくにあなた達に、現したのである。"
"471107","
・コリント 11:7","それとも、あなた達が(神に)高くされるためにわたしは(使
徒の権利をすてて)自分を低くし、(テント造りをしながら)ただで神の福音を伝えたの
で、罪を犯したのだろうか。"
"471108","
・コリント 11:8","わたしはあなた達への(無料の報酬で)任務に就くために、
ほかの集会を強奪してそこから給料を取ったのである。"
"471109","
・コリント 11:9","そしてあなた達の所にいて不自由したときも、だれの厄介に
もならなかった。わたしの不自由は(みな)マケドニヤから来た兄弟たちが補ってくれた
のだから。こうして、わたしはあらゆることで自分があなた達の重荷にならないようにし
ていた。これからもそのつもりである。"
"471110","
・コリント 11:10","わたしの中にあるキリストの真理にかけて誓う、──この
自慢が、アカヤ地方で封じられることはないようにするであろう。"
"471111","
・コリント 11:11","なぜか。それはわたしが(マケドニヤの兄弟達を愛して、)
あなた達を愛しないから(だというの)か。(すべては)神が御存じである!"
"471112","
・コリント 11:12","とにかく、わたしはいましていることを、これからもしよ
う。それは、(あなた達の厄介になりつつ福音を説くことを使徒の権利と)自慢している
人たちが、わたし達と同じに自分たちを認めさせたいと機会をねらっているから、その機
会を断ち切るためである。"
"471113","
・コリント 11:13","こんな人たちは、キリストの使徒に変装している偽使徒、
悪賢い働き手だからである。"
"471114","
・コリント 11:14","そして驚くに当らない。悪魔自身が光の天使に変装するの
だから、"
"471115","
・コリント 11:15","だから、その(悪魔の)部下が義の部下に変装することは
なんでもない。しかし彼らの最後は、その仕業相当であろう!"
"471116","
・コリント 11:16","もう一度言う、だれもわたしを馬鹿者だと思わないでもら
いたい。そうできないなら、馬鹿者としてでもよいからわたしを受け容れて、少しばかり
わたしにも自慢させてもらいたい。"
"471117","
・コリント 11:17","(ただ)わたしがいま語るのは主の心を体して語るのでは
なく、(しばらく)馬鹿になったようにして、(自分も負けずに)自慢できる(んだ)とい
う(心の)状態で語るのである。"
"471118","
・コリント 11:18","大勢の人が人間的に(目に見えることを)自慢するから、
わたしも自慢してみよう。"
"471119","
・コリント 11:19","あなた達賢い方々は、喜んで馬鹿者どもを我慢しているか
らだ。"
"471120","
・コリント 11:20","実際、だれかが(来て)あなた達を奴隷にしても、だれか
が(使徒だからと)あなた達を食いつぶしても、だれかが巻き上げても、だれかが横柄で
あっても、だれかが(「黙れ!」と)あなた達の横っ面を張っても、あなた達は我慢して
いるのだ!(見上げたものだ。)"
"471121","
・コリント 11:21","(わたし達はあなた達に弱いと言われる。)面目ないが、わ
たし達は(そんなことをするにはあなた達に対しあまりに)弱かったと、わたしは(正直
に)言わねばならない。しかしだれかが勇敢に(自慢)できることならば馬鹿になって言
うのだが──、わたしも勇敢にできる。"
"471122","
・コリント 11:22","あの人たちはヘブライ人だというのか、わたしもだ。イス
ラエル人だというのか、わたしもだ。アブラハムの子孫だというのか、わたしもだ。"
"471123","
・コリント 11:23","キリストに仕える者だというのか、気違いになって言う、
わたしはもっとそうだ。(伝道の)苦労において(彼らより)なお一層、牢屋に入れられ
ることにおいてなお一層、打たれることにおいて(彼らより)もっともっと、死の危険に
おいて度々だ。"
"471124","
・コリント 11:24","ユダヤ人から「四十マイナス一」の笞の刑を五度受けた。"
"471125","
・コリント 11:25","(ローマの)笞で打つ刑を三度受けた、一度石打ちされた、
三度難船し、一度は一昼夜漂流した。"
"471126","
・コリント 11:26","度々旅行して、川の危難、強盗の危難、同国人の危難、外
国人の危難、都会の危難、荒野の危難、海の危難、偽兄弟の危難に遇った。"
"471127","
・コリント 11:27","苦労し辛苦した、度々徹夜し、飢えまた渇いた、度々絶食
し寒く着る物がなかった。"
"471128","
・コリント 11:28","(その上、)ここで言えないことは別として、毎日わたしに
押し寄せる(山のような)事件、すべての集会のための心配。"
"471129","
・コリント 11:29","ああ、だれかが弱って、わたしが弱らないことがあるか、
だれかが罪にいざなわれて、このわたしが(悲しみに)燃えないことがあるか。"
"471130","
・コリント 11:30","(ああ、なんと弱い人間であろう!なんの誇りがわたしに
あろう!)もし(使徒の権威を示すために)自慢せねばならないなら、わたしは自分の弱
いことを自慢しよう。"
"471131","
・コリント 11:31","永遠に讃美すべきお方、主イエスの神また父は、わたし達
が嘘をつかないことを御存じである。"
"471132","
・コリント 11:32","(そうそう、)ダマスコでアレタ王の総督がわたしを捕らえ
ようとしてダマスコ人の町を見張りしていたので、"
"471133","
・コリント 11:33","わたしは窓から篭で城壁づたいに吊りおろされて、その手
をのがれたこともあった。"
"471201","
・コリント 12:1","わたしは(もう少し)自慢せねばならない。なんの役にも立
たないことではあるが。そこで、主の幻と啓示と(を見聞きしたこと)に進もう。"
"471202","
・コリント 12:2","キリストにある一人の人が、十四年前──肉体をもってであ
ったか、わたしは知らない、肉体を離れてであったか、わたしは知らない、神が御存じで
ある、──この人が第三の天にまでさらってゆかれたことを、わたしは知っている。"
"471203","
・コリント 12:3","すなわちその人が──肉体をもってであったか、肉体なしで
あったか、わたしは知らない、神が御存じである、──"
"471204","
・コリント 12:4","彼が極楽にさらってゆかれて、口にしてはいけない、人が語
ってはならない(聖なる)言葉を聞いたことをわたしは知っている。"
"471205","
・コリント 12:5","こんな人のことをわたしは自慢しよう。しかしわたし自身の
ことは、弱いこと以外は自慢するまい。"
"471206","
・コリント 12:6","もっともわたしが(こんな啓示を)自慢したところで、「馬
鹿者」(と言われるほどのこと)ではなかろう。本当のことを言うのだから。しかし差し
控える。わたしを見、あるいはわたしから聞く以上に、(何か特別のものでもあるように)
だれかがわたしを買いかぶらないためである。"
"471207","
・コリント 12:7","そしてこれらの素晴らしい啓示があるので、わたしが高慢に
ならないようにと、わたしの肉に一つの刺が与えられた。悪魔の使いであって、これはわ
たしが高慢にならないようにと、わたしをうつものである。"
"471208","
・コリント 12:8","この使について、それがわたしから手を引くようにと、三度
まで主に願ったが、"
"471209","
・コリント 12:9","主は(その都度)言われた、「わたしの恩恵はあなたに十分
だ。力は弱さの中に完成されるのだから。」、それでわたしはキリストの力がわたしに住み
ついてくださるように、大喜びで、むしろ(自分の)弱いことを自慢しよう。"
"471210","
・コリント 12:10","それゆえわたしは弱いことを、虐待、艱難、また迫害と苦
悩をうけることを、キリストの故に喜ぶ。わたしは弱い時には、(彼の力によってかえっ
て)強いのであるから。"
"471211","
・コリント 12:11","わたしは(とうとう)馬鹿者になってしまった。あなた達
がわたしを強いたのだ。あなた達に推薦してもらわねばならなかったの(に、してくれな
かったの)だから。わたしは無価値であっても、何一つあの「特別使徒諸君」に劣ってい
なかったではないか。"
"471212","
・コリント 12:12","実際、使徒の印はあなた達のあいだで、あらん限りの忍耐
をもって、かずかずの徴や不思議なことや奇蹟によって、行われたのであった。"
"471213","
・コリント 12:13","いったい、あなた達はほかの(人が建てた)集会に比べて、
ひけを取ったことが何かあるのか、このわたしが(あの諸君とは違い、)御厄介にならな
かったことを除いては。この不正(だけ)は(どうか)ゆるしてもらいたい!"
"471214","
・コリント 12:14","わたしはあなた達の所にもうこれで三度目に行く準備がし
てある。(今度も)御厄介になるまい。わたしはあなた達のものをねらっているのではな
く、あなた達自身をねらっているのだから。子供が親のために貯えるのは当然でなく、親
が子供のために貯えるのが当然ではないか。"
"471215","
・コリント 12:15","しかしわたしは(魂の父であるから、)大喜びで(物を)捧
げ(るばかりでなく)、あなた達の魂のためには、命をも捧げ尽くそう、わたしが特に強
くあなた達を愛するので、そのためより少なく愛されねばならないのだろうか。"
"471216","
・コリント 12:16","わたしが、あなた達に重荷を負わさなかったことは、その
とおりであるにしても、しかしわたしは「悪賢くて、計略であなた達から巻き上げた」と
いうのだ!"
"471217","
・コリント 12:17","わたしはあなた達の所にやった者たちのだれかを使って、
あなた達をごまかしたのではなかろうか。"
"471218","
・コリント 12:18","わたしはテトスに勧め、そして(一人の)兄弟(のB)を
一所にやったが、テトスがあなた達をごまかしでもしたというのか。(まさかそんなこと
はあるまい。)わたし達は同じ御霊で歩かなかったろうか。同じ足跡を踏んで歩かなかっ
たろうか。"
"471219","
・コリント 12:19","あなた達は(この手紙を読みながら、)わたし達があなた達
に(自分を)弁明していると、ずっと前から思っていたであろう。(そうではない。)わた
し達は神の前に、(責任をもち、)キリストにあって語っているのである、愛する者たちよ、
しかしすべてはあなた達(の信仰)を造りあげるためである。"
"471220","
・コリント 12:20","なぜなら、わたしが行って、わたしが願っているようでな
いあなた達を見たり、あなた達が願っていないような(きびしい)わたしをあなた達に見
られることがあってはと、心配しているのだから。すなわち、(まだあなた達の間に)争
い、嫉妬、激怒、利己的行動、そしり、陰口、高ぶり、無秩序(など)があってはと、心
配している。"
"471221","
・コリント 12:21","わたしが行ったとき、もう一度わたしの神があなた達の所
でわたしに面目を失わせられるのではないか、そして前に罪を犯し、(なお)その行なっ
た汚れと不品行と放蕩とを悔改なかった大勢の人(のこと)を惜しみ悲しまねばならない
のではないか、それをわたしは心配している。"
"471301","
・コリント 13:1","わたしはあなた達の所にこれで三度目の訪問をする。“すべ
ての事は、二人もしくは三人の証人の証言によって定められる”(と律法にあるではない
か、三度の訪問が三人の証言に当る。)"
"471302","
・コリント 13:2","(だから)わたしが二度目に行ったとき、前に罪を犯した者
たちとほかのみんなに、あらかじめ言ったように、今離れていて、(同じことを)あらか
じめ言っておくが、──わたしがもう一度行ったら、(その時こそ)容赦しない。"
"471303","
・コリント 13:3","あなた達はキリストがわたしにあって語っておられる証拠を
求めているのだから、(願いどおり、彼がわたしによって働かれる力を見るであろう。)彼
はあなた達に対して弱くない。いや、あなた達の間で強い。"
"471304","
・コリント 13:4","ほんとうに、彼は弱さのゆえに十字架をつけられ(て死なれ)
たけれども、神の力によって、いま生きておられるからである。同様に、わたし達も彼と
結びついているので弱いけれども、彼と共に、神の力により、あなた達に対して(強く)
生きるだろうからである。"
"471305","
・コリント 13:5","あなた達は(わたし達の使徒たる証拠を求めるより、)自分
に信仰があるかどうか、自分自身を吟味し、自分自身をしらべてみよ。あるいは、もう(自
分に信仰があって)イエス・キリスト(の霊)が自分の中におられることが、わかってい
ないのではないか。それではあなた達(の信仰)は明らかにまがい物なのだ!"
"471306","
・コリント 13:6","しかしそれにしても、わたし達はまがい物ではないことを認
めてくれるように、わたしは望む。"
"471307","
・コリント 13:7","けれどもわたし達が神に祈るのは、あなた達が何一つ悪い
ことをしないようにということである。(もちろん)それはわたし達が本物(の使徒)と
見えるためではなく、わたし達はまがい物のようであっても、ただあなた達が(悔改めて)
善いことをするようになるためである。"
"471308","
・コリント 13:8","というのはわたし達は神の真理に逆らっては何も出来ないが、
真理のためには何でも出来るからである。"
"471309","
・コリント 13:9","ほんとうに、わたし達は弱く(て何も出来なく)ても、あな
た達が強い(ので善いことが出来るというの)なら、嬉しいのである。わたし達が祈るの
は(結局)このこと、あなた達が完成されることである。"
"471310","
・コリント 13:10","こういう訳で、(今度)一所にいるとき、主が授けてくださ
った全権によって、(あなた達に)きびしく振舞う必要のないために、(今)離れていてこ
れを書くのである。この全権は(あなた達の信仰を)造り上げるためのもので、破壊する
ためではないのだから。"
"471311","
・コリント 13:11","それでは、(愛する)兄弟たちよ、御機嫌よう。正しい道に
もどってくれ。自分を戒めよ。思いを同じくせよ。平和を保て、そうすれば、愛と平和と
の神が一緒にいてくださる。"
"471312","
・コリント 13:12","聖なる接吻で互に挨拶せよ。(この地の)聖徒たちみんなか
らあなた達によろしくとのことである。"
"471313","
・コリント 13:13","主イエス・キリストの恩恵と、神の愛と、聖霊の交りとが、
あなた達一同と共にあらんことを。"

ガラテヤ人へ
"480101","
ガラテヤ 1:1","人々から(使徒にされたの)でなく、また人によってでもなく、
(すなわち人間的の命令や委任によってでなく、)イエス・キリストと、彼を死人の中か
ら復活させられた父なる神とによって使徒となったパウロと、"
"480102","
ガラテヤ 1:2","および、わたしと一緒におるすべての兄弟たちとから、この手
紙をガラテヤの諸集会におくる。"
"480103","
ガラテヤ 1:3","わたし達の父なる神と主イエス・キリストからの恩恵と平安、
あなた達にあらんことを。"
"480104","
ガラテヤ 1:4","キリストはわたし達の父なる神の御心にしたがい、わたし達を
悪い現在の世から救いだそうとして、わたし達の罪のために自分を与え(て十字架につけ)
られたのである。"
"480105","
ガラテヤ 1:5","栄光は永遠より永遠に神のものであれ、アーメン。"
"480106","
ガラテヤ 1:6","わたしが(実に)不思議に思うことは、あなた達が、キリスト
の恩恵によって召されたお方[神]からこんなに早く別の福音に離れおちつつあることで
あるが、"
"480107","
ガラテヤ 1:7","(実は)ほかの福音はない。これはただある人たちがあなた達
を騒がせて、救世主の福音を(福音でない反対なものに)ひっくりかえそうとしているの
である。"
"480108","
ガラテヤ 1:8","しかし、わたし達自身でも、あるいは天の使でも、わたし達が
伝えた福音に反する福音を伝えるならば、その人は呪われよ。"
"480109","
ガラテヤ 1:9","前にも言ったと同じに、今もう一度言う、あなた達が以前に受
けいれたものに反する福音を伝える者は、呪われよ。"
"480110","
ガラテヤ 1:10","そもそもわたしは今、人の気に入ろうとしているか、それとも
神か。それとも人を喜ばせようとしているか。もし今もなお人を喜ばせているのだったら、
わたしは(人の奴隷で、)キリストの奴隷ではない。"
"480111","
ガラテヤ 1:11","なぜなら、あなた達に知らせる、兄弟たちよ、わたしが説いた
福音は、人間的のものではない。"
"480112","
ガラテヤ 1:12","というのは、わたしは人からそれを受けいれたのでも、また教
えられたのでもなく、イエス・キリストの啓示によったのである。"
"480113","
ガラテヤ 1:13","その証拠には、わたしがまだユダヤ教にいた時分の行動は、あ
なた達が聞いたとおりで、わたしはひどく神の集会を迫害し、これをたたきつぶそうとし
た。"
"480114","
ガラテヤ 1:14","そしてユダヤ教においては、同族の中で多くの同年輩の人々よ
りも進んでおり、祖先の言伝えの非常な熱心家であった。"
"480115","
ガラテヤ 1:15","しかし“わたしが母の胎内にいる時から”(すでに)わたしを
聖別し、また恩恵によって“召された”お方[神]が、"
"480116","
ガラテヤ 1:16","異教人に福音を伝えさせるため御子をわたしに啓示する決心を
されたその時、わたしはじきに血肉[人間]と相談をせず、"
"480117","
ガラテヤ 1:17","また、先輩の使徒たちに会いにエルサレムにのぼりもせず、ア
ラビヤに行き、ダマスコに戻った。(このようにわたしの福音はキリストの啓示によるも
ので、人からのものではない。)"
"480118","
ガラテヤ 1:18","その後三年たって、ケパと近づきになろうとしてエルサレムに
のぼり、彼の所で十五日泊った。"
"480119","
ガラテヤ 1:19","しかし別の使徒には会わなかった、主の兄弟のヤコブ以外には。
"
"480120","
ガラテヤ 1:20","──いまあなた達に書いていることは、神の前に、決して嘘で
はない。──"
"480121","
ガラテヤ 1:21","それからシリヤとキリキヤの地方に行った。"
"480122","
ガラテヤ 1:22","だが、わたしはユダヤのキリスト諸集会にはまだ顔を知られて
いなかった。"
"480123","
ガラテヤ 1:23","彼らはただ、「かつてはわたし達を迫害した男が、いま、かつ
てたたきつぶそうとしていた信仰を伝えている」という噂を聞いて、"
"480124","
ガラテヤ 1:24","わたしのゆえに神を讃美した。"
"480201","
ガラテヤ 2:1","その後十四年たって、わたしはバルナバと一緒に、テトスをも
連れて、ふたたびエルサレムにのぼった。"
"480202","
ガラテヤ 2:2","しかし、のぼったのは(神の)啓示によったので、異教人のあ
いだで説いている福音を(そこの)人々に、名士たちには特別に、示した。(これは、)わ
たしが(現に福音のために力を尽くして)走っており、また(過去において)走ったこと
を、無駄にしないためであった。"
"480203","
ガラテヤ 2:3","それで(彼らはわたしの福音がどんなものかを知ったので、わ
たしの異教伝道を否認せず、そればかりか、)わたしが連れていたテトスすら、異教人で
あるのに、割礼を強いられなかった。"
"480204","
ガラテヤ 2:4","すなわち忍び入った偽兄弟がいて、(わたし達の中に)忍び込み、
わたし達がキリスト・イエスによって持っている自由を待伏せして、奴隷にしようとして
いたので、"
"480205","
ガラテヤ 2:5","わたし達は片時も彼らに服従し譲歩しなかった。真の福音があ
なた達の所に保存されるためでる。"
"480206","
ガラテヤ 2:6","しかし名士たちからは──その人たちがどんな(に偉い)人た
ちであったにもせよ、わたしはそんなことに頓着しない。“神は”人に“わけ隔てをされ
ない”。──ほんとうにこの名士たちは、わたしに(これ以上)何も要求しなかった。"
"480207","
ガラテヤ 2:7","むしろ反対に、ペテロが割礼の人[ユダヤ人]への福音を(神
から)まかせられたように、わたしも割礼のない人[異教人]への福音をまかせられてい
ることを、彼らは知ったので、"
"480208","
ガラテヤ 2:8","──というのは、ペテロに働いて割礼の人の使徒にされたお方
[神]が、わたしにも働いて異教人の使徒にされたのであるが──"
"480209","
ガラテヤ 2:9","こうして彼らは(神が)わたしに下さった恩恵をみとめたので、
(エルサレム集会の)柱石と思われているヤコブとケパ[ペテロ]とヨハネとは、わたし
とバルナバとに協同の(伝道をする)握手をした。わたし達は異教人に、あの人たちは割
礼の人に(福音を伝えることにして)。"
"480210","
ガラテヤ 2:10","ただ貧しい人たちだけは忘れないようにとのことだが、そのこ
とならば、わたしもまた(常に)しようと努めていたのである。(かくしてエルサレム集
会は、わたしが使徒たることを認めざるを得なかった。)"
"480211","
ガラテヤ 2:11","またわたしはケパがアンテオケに来た時、彼が(良心に)責め
られることをしたので、面と向かって反対したことがあった。"
"480212","
ガラテヤ 2:12","彼はヤコブのところから(割礼の)人々が来る前は、異教人(ク
リスチャン)と一緒に食事をしていたのに、彼らが来ると、この割礼の人々を恐れ、離れ
て身を引いたからである。"
"480213","
ガラテヤ 2:13","そしてほかのユダヤ人(クリスチャン)たちも彼と一緒に偽善
をやり、ついにはバルナバまでが彼らの偽善にさらわれたからである。"
"480214","
ガラテヤ 2:14","しかし彼らが福音の真理に従って正直に行動しないのを見て、
わたしはみんなの前でケパに言った、「あなたはユダヤ人でありながら、ユダヤ人のよう
でなく、異教人のように生活するではないか。それだのに、どうして異教人(クリスチャ
ン)を強要してユダヤ人のように生活させるのか。」"
"480215","
ガラテヤ 2:15","(言うまでもなく)わたし達は生まれながらのユダヤ人であっ
て、罪の異教人ではない。"
"480216","
ガラテヤ 2:16","けれども、人は(モーセ)律法を行うことによっては(神の前
に)義とされない、ただキリスト・イエスを信ずる信仰によらねばならぬことを知ったの
で、わたし達も(ユダヤ人でありながら、)キリスト・イエスを信じたのである。律法を
行うことによらず、キリストを信ずる信仰によって義とされるためである。というのは、
律法を行うことによっては、人は“すべて義とされない”からである。"
"480217","
ガラテヤ 2:17","しかしながら、キリスト(を信ずる信仰)によって義とされよ
うとする結果、(モーセ律法を捨てるので)わたし達自身が罪人となるとすれば、キリス
トは罪の扇動者ではないか。とんでもない!"
"480218","
ガラテヤ 2:18","なぜなら、もしわたしが一旦こわした(律法なる)ものをふた
たび建てるならば、それこそ自分自身が(律法を)犯す者であることを表わすからである。
(ケパがしたことはこれではないか。)"
"480219","
ガラテヤ 2:19","というのは、神に対して生きるために、わたしは律法によって
律法(との関係)に(おいて)死んでしまったのである。キリストと一緒に十字架につけ
られたのである。"
"480220","
ガラテヤ 2:20","わたしはもはや生きていない。キリストがわたしの中に生きて
おられる。いまわたしが肉体で生きるのは、わたしを愛し、このわたしのために自分をす
てられた神の子を信ずる信仰によって生きているのである。"
"480221","
ガラテヤ 2:21","わたしは神の恩恵をないがしろにしない。もし律法によって義
が来るならば、それこそキリストの死は犬死である。"
"480301","
ガラテヤ 3:1","ああ、なんと物のわからぬガラテヤ人たちよ、だれがあなた達
をたぶらかしたのか。(この前わたしがいった時、)十字架につけられたイエス・キリスト
があなた達の目の前に(はっきりと)描き出されたのに!"
"480302","
ガラテヤ 3:2","わたしはあなた達からこのことだけを聞かせてもらいたい、あ
なた達が御霊をいただいたのは、律法を行なうことによってか、それとも、信仰(の福音)
を聞いて信じたことによってか。"
"480303","
ガラテヤ 3:3","あなた達はこんなに物がわからないのか。(信仰、すなわち)霊
で始めたのに、今、(律法の行い、すなわち)肉で完成しようとするのか。"
"480304","
ガラテヤ 3:4","あれほどまでの経験を(すっかり)無駄にするのか。まさか無
駄にするのではあるまい。"
"480305","
ガラテヤ 3:5","では(もう一度たずねるが)、神が御霊を授け、あなた達の中に
(不思議な)力を働かせられたのは、(あなた達が)律法を行なうことによってか、それ
とも、信仰を聞い(て信じ)たことによってか。"
"480306","
ガラテヤ 3:6","(聖書に)こう(書いて)ある、アブラハムは、“神を信じて、
(その信仰を)彼の義とみなされた”と。"
"480307","
ガラテヤ 3:7","だから信仰の人は、アブラハムの子であることを、あなた達は
知らねばならない。(ユダヤ人であると否とを問わない。)"
"480308","
ガラテヤ 3:8","すなわち聖書は、神が異教人をも信仰(のみ)によって義とさ
れることを前から知っていたので、アブラハムにあらかじめ福音を伝えた、“お前によっ
て、すべての異教人が祝福をうける”と。"
"480309","
ガラテヤ 3:9","だから信仰の人は、(ユダヤ人、異教人の別なく、)信仰のアブ
ラハムと共に祝福される。"
"480310","
ガラテヤ 3:10","なぜか。律法の行いによる人は、呪の下にある。(聖書に)こ
う書いてあるからである、“律法の書に書いてある一切のことを行なうため、これを守ら
ない者はみな呪われている”と。"
"480311","
ガラテヤ 3:11","しかし(人は一切の律法を守ることはできない。)律法によっ
ては、だれ一人神の目に義とされないことは明白である。“信仰による義人は生きる”か
らである。"
"480312","
ガラテヤ 3:12","律法は(これを)信仰(すること)によって(人を生かすの)
ではなく、“これを行なう人(だけ)がそれによって生きる”のである。"
"480313","
ガラテヤ 3:13","キリストはわたし達(ユダヤ人)のために(十字架にかけられ、
みずから)呪となって、わたし達を律法の呪から贖い出してくださった。“木にかけられ
る者はみな呪われている”と書いてある。"
"480314","
ガラテヤ 3:14","これは、(モーセ律法を知らぬ)異教人に、(律法を行なわずと
も、)イエス・キリスト(につながっているというだけの理由)によってアブラハムの祝
福が臨むため、(然り、キリストを信ずる)信仰によって、(アブラハムに対する)約束の
御霊をわたし達がいただくためである。"
"480315","
ガラテヤ 3:15","兄弟たちよ、人間的に言うのであるが、人間の遺言ですら、法
律上有効に成立した以上は、いかなる人も(後から)無効にしたり、あるいは追加したり
することは(でき)ない。"
"480316","
ガラテヤ 3:16","しかし(神の)約束は、アブラハムと、その“子とに”言われ
たのである。子たちとに、と多数の人を指して言うのでなく、一人を指すかのように“お
前の子とに”と言う。この子はキリストである。"
"480317","
ガラテヤ 3:17","わたしの言う意味はこうである。──神によってあらかじめ有
効に成立した遺言が、四百三十年後(モーセによって)律法が出来ても、反故にされて、
その約束が無になるわけはない。"
"480318","
ガラテヤ 3:18","というのは、(御国の)相続が律法によるのであるならば、そ
れはもはや約束によらない。しかし神は約束によって、これをアブラハムに恩恵として賜
わったのである。"
"480319","
ガラテヤ 3:19","それでは、律法は何のためにあるか。(わたしは答える。)律法
は違反のため(、言いかえれば、罪を知らせてこれを犯させるために、あとから約束に)
つけ加えられたものであり、しかも約束された子(なるキリスト)の来られる時まで(の
もの)である。(かつ、これは神が直接につけ加えられたものでなく、)天使たちをもって、
仲介者(モーセ)の手をもって規定されたに過ぎない。"
"480320","
ガラテヤ 3:20","──仲介者は一方的のものではない。しかし(約束を与えられ
た)神はただ一人である。──"
"480321","
ガラテヤ 3:21","それでは、律法は神の約束に矛盾するか。以てのほかである。
もしも命を与える力をもつ律法が与えられたのであったら、(それこそ)本当に律法によ
って義たることがあるでもあろう。"
"480322","
ガラテヤ 3:22","しかし(律法は命を与えるものでなく、人を罪に閉じこめる力
をもつだけである。)聖書はすべての人を(律法によって)罪の下に閉じこめ、イエス・
キリストを信ずる信仰によって、信ずる者に約束が与えられるのである。(律法は約束に
矛盾しない。むしろこれに導く家庭教師である。)"
"480323","
ガラテヤ 3:23","しかし信仰が来る前には、わたし達は(みな)律法の下に閉じ
こめられ、監督されて、信仰が現れねばならぬ時にまで及んだ。"
"480324","
ガラテヤ 3:24","だから(モーセ)律法は(わたし達を)キリストへつれて行く
家庭教師となった。信仰によってわたし達を義とするためである。"
"480325","
ガラテヤ 3:25","しかし(それは信仰が来るまでのことで、)信仰が来た以上は、
わたし達はもはや家庭教師の下にはいない。"
"480326","
ガラテヤ 3:26","(なぜか。)あなた達はキリスト・イエスを信ずる信仰によっ
て、みな神の子だからである。"
"480327","
ガラテヤ 3:27","すなわちキリストへと洗礼を受け(て彼のものとなっ)たあな
た達はみな、キリストを着たからである。"
"480328","
ガラテヤ 3:28","(神の子には、)もはやユダヤ人もなければ異教人もなく、奴
隷もなければ自由人もなく、男もなければ女もない。あなた達はみなキリスト・イエスに
よって一つであるからである。"
"480329","
ガラテヤ 3:29","そしてキリストのものである以上、それこそあなた達はアブラ
ハムの子であり、約束による相続人である。"
"480401","
ガラテヤ 4:1","わたしの意味はこうである。──相続人がまだ未成年である間
は、(亡くなった父の)全財産の主人でありながら、奴隷と何の相違もなく、"
"480402","
ガラテヤ 4:2","父の定めた期限(が来る)までは、後見人と管理人との下にい
るのである。"
"480403","
ガラテヤ 4:3","同じようにわたし達も、(信仰の)未成年であった時は、(信仰
のいろはである地水火風というような)この世の元素の霊の(支配の)下に奴隷になって
いた。"
"480404","
ガラテヤ 4:4","しかし(定められた)時が満ちると、神はその御子を女から生
まれさせ、律法の下に置いて、(この世に)お遣わしになった。"
"480405","
ガラテヤ 4:5","これは律法の下に(奴隷になって)いる者を贖い出して、わた
し達に子たる身分を受けさせるためである。"
"480406","
ガラテヤ 4:6","しかしあなた達が(いまや神の)子であることは、神がわたし
達の心に、「アバ[お父様]、お父様」と呼ぶ御子の霊をお遣わしになったことによって(、
知り得るの)である。"
"480407","
ガラテヤ 4:7","だからあなたはもはや奴隷ではなく、子である。子である以上、
神(の恩恵)によって相続人である。"
"480408","
ガラテヤ 4:8","けれども、(まことの)神を知らなかった当時は、あなた達は実
際神でない神々に(奴隷として)仕えた。"
"480409","
ガラテヤ 4:9","しかし今あなた達は神を知っている、いや、むしろ神に知られ
ているのに、どうしてもう一度無力な、貧弱なあの元素の霊(の崇拝)に戻るのか。(ど
うして)もう一度あらためて(その奴隷として)仕えようと思うのか。"
"480410","
ガラテヤ 4:10","あなた達は(なおも元素の霊に仕えて、)日や、月や、季節や、
年(の祭り)を守っている。"
"480411","
ガラテヤ 4:11","わたしは無駄骨折りをしたのではないかと、あなた達のために
心配する。"
"480412","
ガラテヤ 4:12","兄弟たちよ、お願いする、わたしのように(自由に)なっても
らいたい、わたしも(ユダヤ人でありながら、あなた達に福音を伝えるために)あなた達
のようになったのだから。あなた達はわたしに対してなんらの苦しみを与えたことがない。
"
"480413","
ガラテヤ 4:13","いや、あなた達は知っている、最初わたしがあなた達に福音を
伝えたのは、(わたしの)肉体の病気のためであった。"
"480414","
ガラテヤ 4:14","そしてわたしの肉体にあなた達を試みるものがあったにもかか
わらず、軽蔑せず、唾棄もせず、いな、神の使のように、キリスト・イエス(自身)のよ
うに、わたしを迎えてくれた。"
"480415","
ガラテヤ 4:15","すると(その時の)あなた達の幸福感は、(今)どうなったの
か。(ほんとうに)あなた達は、出来るなら、自分の目をえぐり出してくれたでもあろう。
あなた達のためにわたしはそのことを証明する。"
"480416","
ガラテヤ 4:16","ではわたしがあなた達に真理を(、ただ信仰だけで救われると
いう福音の真理を)語ったので、(それで)あなた達の敵になったのか。"
"480417","
ガラテヤ 4:17","(あの人たちはあなた達を非常に慕っているように見える。し
かし)あの人たちがあなた達を熱心に慕っているのは、善くはない。彼らはあなた達を(た
だわたしから、いや、福音の真理から)引離して、自分に熱心にしようとしているのであ
る。"
"480418","
ガラテヤ 4:18","善い心から、いつも熱心に慕われるのは、よろしい、わたしが
あなた達の所にいる時ばかりでないのは。"
"480419","
ガラテヤ 4:19","わたしの子供たちよ、あなた達の中にキリストが形づくられる
まで、わたしはもう一度産みの苦しみをしている。"
"480420","
ガラテヤ 4:20","(出来るなら、)いまわたしはあなた達の所にいたい。そして
(この烈しい)語気を変え(て、やさしい声で話し)たい。わたしは(今)あなた達のこ
とで途方にくれている。"
"480421","
ガラテヤ 4:21","(モーセ)律法の下にいたいと思う人たちよ、言ってくれ、あ
なた達は律法がわからないのか。"
"480422","
ガラテヤ 4:22","こう書いてある。──アブラハムに二人の息子があって、一人
は女奴隷(ハガル)から、一人は自由の女(正妻サラ)から生まれた。"
"480423","
ガラテヤ 4:23","けれども女奴隷からの(イシマエル)は、(普通の人間のよう
に)肉によって生まれ、自由の女からの(イサク)は、(聖書に書いてあるように)約束
によったのである。"
"480424","
ガラテヤ 4:24","これは比喩で言うのである。すなわち、二人の女は(旧約と新
約との)二つの契約を意味する。一つはシナイ山から(出たモーセ律法)であって、産ん
だ子は奴隷である。この契約はハガルである(からである)。"
"480425","
ガラテヤ 4:25","──ハガル(という語)はアラビヤではシナイ山(を意味する
の)である。──そしてハガルは今のエルサレムに相当している。(律法の御本山である
エルサレムは、)彼女の(多くの)子供たちと一緒に、(律法の)奴隷であるからである。"
"480426","
ガラテヤ 4:26","しかし天のエルサレムは自由で(あって)、これこそわたし達
の母である。"
"480427","
ガラテヤ 4:27","というのは、(聖書に)こう書いてある。──“喜べ、産まぬ
石女よ、歓呼せよ、さけべよ、産みの苦しみせぬ者。そは孤独なる女の子は多いからであ
る、夫をもつ女の子よりも。”"
"480428","
ガラテヤ 4:28","兄弟たちよ、(今のエルサレムに属しない)あなた達は(、ハ
ガルの子ではなくして、サラの子)イサクと同じく、約束の(言葉によって生まれた)子
である。"
"480429","
ガラテヤ 4:29","しかしその時、肉によって生まれた者(イシマエル)が御霊に
よって生まれた者(イサク)を迫害したように、今も同じである。(地上のエルサレムの
子らが天のエルサレムの子らを迫害する。)"
"480430","
ガラテヤ 4:30","しかし聖書はなんと言うか。“女奴隷とその息子とを追出せ。
女奴隷の息子は決して”自由の女の“息子と一緒に相続すべきではないから”。"
"480431","
ガラテヤ 4:31","このゆえに、兄弟たちよ、わたし達は女奴隷の子でなく、自由
の女の子である。"
"480501","
ガラテヤ 5:1","自由を与えるためにキリストはわたし達を自由にされた。だか
らしっかり立って、二度と奴隷の軛につながれるな。"
"480502","
ガラテヤ 5:2","見よ、このパウロがあなた達に言う、もし割礼を受けるなら、
キリストはあなた達に何の役にも立たない。"
"480503","
ガラテヤ 5:3","割礼を受けるすべての人にもう一度はっきり言う。その人は律
法の全体を行なう義務がある。"
"480504","
ガラテヤ 5:4","律法によって義とされようとするあなた達は、実はキリストか
ら離れ、恩恵から落ちているのである。"
"480505","
ガラテヤ 5:5","(キリストを信ずる)わたし達は、御霊によって、信仰により、
(最後の日に)義とされる希望をもって待っているからである。"
"480506","
ガラテヤ 5:6","キリスト・イエスを信ずる者においては、割礼があるのも、割
礼がないのも、なんの価値もない。ただ信仰(、信仰だけ)が愛によって働くのだから。"
"480507","
ガラテヤ 5:7","あなた達は(あんなに)よく走り出したのに、だれが邪魔をし
て真理に従わせなかったのか。"
"480508","
ガラテヤ 5:8","(真理に従わせなかった)あの忠告は、あなた達を召されたお
方[神]から(出たの)ではない。"             
"480509","
ガラテヤ 5:9","(注意せよ。)すこしのパン種が捏粉全体を醗酵させる。
""480510","
ガラテヤ 5:10","わたしは(もちろん)主にあってあなた達を信用している、
あなた達がなんら(わたしと)ちがった考えを持っていないことを。しかしあなた達を騒
がせる者は、それがだれであろうとも、(神の)裁きを受ける。"
"480511","
ガラテヤ 5:11","兄弟たちよ、(わたしが割礼を説いていると悪口を言う者があ
るとか。冗談も休み休みにせよ。)わたしが(今も)なお割礼(の必要)を説いているな
らば、なんでなおも(こんなに)迫害されようか。それこそ十字架の(福音に対するユダ
ヤ人の)躓きも、なくなったであろう。"
"480512","
ガラテヤ 5:12","(割礼々々と言って)あなた達をひっかき回しているあの連中
は、(いっそのこと)自分で切り取ったらよかろう!"
"480513","
ガラテヤ 5:13","兄弟たちよ、あなた達は自由のために(神から)召されたので
ある。ただこの自由を(濫用して)肉を満足させる機会としてはならない。むしろ愛によ
って互に奴隷として仕えるべきである。"
"480514","
ガラテヤ 5:14","(もしあなた達がたがいに愛するならば、律法を守らずして、
実は律法を完成することができる。)というのは、律法全体は一言で成就するからである、
すなわち、“隣の人を自分のように愛せよ”。"
"480515","
ガラテヤ 5:15","しかし、もし(愛をわすれて、)互にかみ合い、食い合ってい
るならば、共倒れにならないように気をつけよ。"
"480516","
ガラテヤ 5:16","わたしの意味はこうである。──霊によって歩け。そうすれば
肉の欲を満たすことがないであろう。"
"480517","
ガラテヤ 5:17","なぜなら肉の欲するところは霊に反し、霊は肉に反する。二つ
は互にさからうものであって、(肉の体をもつ)あなた達は、したいと思うことを、する
ことができないからである。"
"480518","
ガラテヤ 5:18","しかしもしあなた達が霊に導かれているならば、律法の(支配
の)下にはいない。"
"480519","
ガラテヤ 5:19","肉の行いは明らかである。──それは不品行、汚れ、放蕩、"
"480520","
ガラテヤ 5:20","偶像礼拝、魔術、敵意、争い、嫉妬、激怒、我利、仲違い、党
派心、"
"480521","
ガラテヤ 5:21","そねみ、酩酊、酒宴等々である。前もって言ったことであるが、
(今もう一度)あらかじめ言っておく、こんなことをする者は、神の国を相続することが
ないであろう。"
"480522","
ガラテヤ 5:22","しかし霊の実は愛、喜び、平和、寛容、親切、善良、忠実、"
"480523","
ガラテヤ 5:23","柔和、節制である。これらのものに対しては律法は(力が)な
い。"
"480524","
ガラテヤ 5:24","キリスト・イエスのものである者は、肉と共に情熱をも欲をも
十字架につけてしまった。"
"480525","
ガラテヤ 5:25","もしわたし達が(かく)霊によって生きているのなら、また霊
に従おうではないか。"
"480526","
ガラテヤ 5:26","たがいに挑発したり、たがいに妬んだりして、虚栄心にかられ
まいではないか。"
"480601","
ガラテヤ 6:1","兄弟たち、もし何か過ちを犯した人があったら、あなた達霊の
人は、柔和な心でこんな人を正しい道に引戻さねばならない。(ただ)あなたも(一緒に)
誘惑されないように、自分に注意せよ。"
"480602","
ガラテヤ 6:2","(互が)互の重荷を負え。そうすれば救世主の律法を成就する
ことができる。"
"480603","
ガラテヤ 6:3","なぜなら、もしなんでもない人が自分を何かであるように思う
ならば、その人は自分をごまかしているのである。"
"480604","
ガラテヤ 6:4","一人一人、自分のすることをしらべてみよ。するとその時、誇
る理由は自分自身にだけあって、(決して)他人に(比較して誇るべきで)ない(ことに
気づく)であろう。"
"480605","
ガラテヤ 6:5","一人一人がそれぞれの重荷を負っているからである。"
"480606","
ガラテヤ 6:6","けれども、御言葉を教えられている者は、善い物の分前をなん
でもその教師に差上げよ。"
"480607","
ガラテヤ 6:7","思違いをするな、神は侮るべきではない。人は(自分で)蒔い
たものを、また刈取らねばならない。"
"480608","
ガラテヤ 6:8","というのは、肉に蒔く者は肉から滅亡を刈取り、霊に蒔く者は
(最後の日に神の)霊から永遠の命を刈取るであろう。"
"480609","
ガラテヤ 6:9","わたし達は気を落さず善いことをしようではないか。怠けずに
おれば、時が来ると(かならず)刈取るのだから。"
"480610","
ガラテヤ 6:10","従って、わたし達は時のある間に、すべての人に対し、とくに
信仰仲間に対して、善を行なおうではないか。"
"480611","
ガラテヤ 6:11","見よ、わたしが自分の手であなた達に書くこの文字の、何と大
きいことであろう!"
"480612","
ガラテヤ 6:12","(兄弟たち、)肉において見えを張りたい連中がみな、あなた
達に割礼を強いる。(それは)ただキリストの十字架(を説くこと)によって、(ユダヤ人
から)迫害されまいとするだけである。"
"480613","
ガラテヤ 6:13","というのは、割礼を受けている彼ら自身が、律法を守らない。
彼らがあなた達に割礼を受けさせたいのは、あなた達の肉において誇ろうとするのである。
"
"480614","
ガラテヤ 6:14","しかし少なくともわたしは、わたし達の主イエス・キリストの
十字架以外に、誇ることがないように!この十字架によって、世はわたしに対し、わたし
は世に対して、十字架につけられている。"
"480615","
ガラテヤ 6:15","なぜなら、割礼があるのも、割礼がないのも、なんの意味もな
い。ただ意味があるのは、(キリストによる)新しい創造。"
"480616","
ガラテヤ 6:16","この規範に従うすべての人々の上に、“平安”と憐れみとあら
んことを。また神の“イスラエルの上に”も。"
"480617","
ガラテヤ 6:17","今後、だれもわたしに迷惑をかけてくれるな。このわたしの体
にはイエスの焼印があるのだから!"
"480618","
ガラテヤ 6:18","わたし達の主、イエス・キリストの恩恵、あなた達の霊と共に
あらんことを、兄弟たちよ、アーメン。"

エペソ人へ
"490101","
エペソ 1:1","神の御意によってキリスト・イエスの使徒となったパウロから、
【エペソに】ある聖徒、またイエス・キリストを信ずる人達にこの手紙を遺る。"
"490102","
エペソ 1:2","われらの父なる神と主イエス・キリストよりの恩恵と平安君達に
あれ!"
"490103","
エペソ 1:3","賛美すべきかな、天上におけるあらん限りの霊の祝福をもって私
達をキリストにあって祝福し給うわれらの主キリスト・イエスの父なる神!"
"490104","
エペソ 1:4","神は御前にて聖く瑕無き者とするため、天地開闢の前から私達を
キリストにおいて選び、"
"490105","
エペソ 1:5","御意の思いのままにイエス・キリストによりその子たるべく愛を
もって予め定めたもうたのであった。"
"490106","
エペソ 1:6","これはその愛し給う者において私達に賜うた恩恵の栄光が讃美さ
れんためで、"
"490107","
エペソ 1:7","私達はこの愛され給う者において、神の豊かなる恩恵により、そ
の血による贖いすなわち咎の赦免を戴いたのであり、"
"490108","
エペソ 1:8","且つ神はこの恩恵を私達に溢れさせて凡ての知恵と悟りとを与え、
"
"490109","
エペソ 1:9","御意の奥義を知らせ給うたのである。これは神の御思いのままに
成ったことで、時期満つるに及んで実行すべく予め自ら計画し給うた摂理であり、"
"490110","
エペソ 1:10","天のもの地のもの一切をキリストにおいて一つに纒め給うことで
あった。私達はまたキリストにおいて、"
"490111","
エペソ 1:11","然り、彼において、凡てを御意の欲いのままに為し得給う御方の
考えによって予め定められ、(神の王国の)相続人となったのである。"
"490112","
エペソ 1:12","そしてこれは私達(ユダヤ人)がまずキリストに望みを置いて、
神の栄光が讃美されんためである。"
"490113","
エペソ 1:13","このキリストにおいて君達(異教人)もまた、真理の言すなわち
君達の救いの福音を聴いたので──このキリストにおいて君達もまた、信ずることにより
約束の聖霊をもって封印されたのであるが、"
"490114","
エペソ 1:14","この聖霊こそ(実は)私達が神の王国を相続することの担保であ
り、私達を贖って神の所有とするのであって、(凡ては)神の栄光が讃美されんためであ
る。"
"490115","
エペソ 1:15","それ故に私もまた、主イエスに対する君達の信仰と凡ての聖徒に
対する愛とを聞いたので、"
"490116","
エペソ 1:16","祈りの中で君達のことを述べる時絶えず君達のために(神に)感
謝し、"
"490117","
エペソ 1:17","われらの主イエス・キリストの神、栄光の父が、知恵と黙示との
霊を君達に与えて神の知識に至らせ給わんこと、"
"490118","
エペソ 1:18","また【君達の】心の目を明らかにして、神に召され(ることによ
って得)た希望の何であるか、“聖徒の受くる”光栄ある(天の)“相続財産”の富の何で
あるか、"
"490119","
エペソ 1:19","また私達信者に対する神の能力の如何に絶大であるかを知らせ給
わんことを願っている──この力強く働く神の威力こそ、"
"490120","
エペソ 1:20","彼がこれをキリストの中に働かせ、彼を死人の中から蘇らせ、天
上において、“己が右”、"
"490121","
エペソ 1:21","凡ての「権威」「権力」「能力」「支配者」の上、またこの代ばか
りでなく来世においてもありとあらゆる名という名の上に“坐らせ給うた”力である。"
"490122","
エペソ 1:22","然り、神は“万物を彼”(キリスト)“の足の下に屈服せしめ”、
彼を万物の上にある頭として教会に与え給うた。"
"490123","
エペソ 1:23","そしてこの教会こそ彼の体であり、万物を万物に満たし給う者の
満ち給う所である。"
"490201","
エペソ 2:1","君達も(私達と同様に)自分の咎と罪によって死んだ者であって、
"
"490202","
エペソ 2:2","かつてはこの世の世界の流れに従い、すなわち空中の権威と、今
も不従順の子らの中に働いている(悪)霊との首領に従って、その咎と罪の中を歩いたの
であった。"
"490203","
エペソ 2:3","(否、)私達も皆かつてはこの人達に伍して自分の肉の欲の中に生
活し、肉と欲望の欲するままに振舞って、他の(異教)人達のように生まれながら(神の)
怒りの(審判に定められた)子であった。"
"490204","
エペソ 2:4","しかし憐憫に富み給う神は、その大なる愛によって私達を愛し、"
"490205","
エペソ 2:5","咎によって死んでいたこの私達をもキリストと共に活かし──君
達が救われたのは恩恵によるのだ──"
"490206","
エペソ 2:6","キリスト・イエスにおいて彼と共に蘇らせ、共に天上に坐らせ給
うたのであるが、"
"490207","
エペソ 2:7","これはキリスト・イエスにおいて私達に与えられた慈愛による神
の恩恵の豊富絶大なることを、来るべき代々(の人達)に示し給わんためである。"
"490208","
エペソ 2:8","然り、君達は恩恵の故に、信仰によって救われた者である。これ
は君達の力によるのでなく、神の賜物である。"
"490209","
エペソ 2:9","業によるのではない──誇る者の無からん為である!"
"490210","
エペソ 2:10","何故なら私達は神が予め準備し給うた善い業のため、その中を歩
くために、キリスト・イエスにおいて創造られた神の作品である。"
"490211","
エペソ 2:11","だから記憶せよ、かつて君達は肉的には「異教人」で、手で施し
た肉的のいわゆる割礼者から「無割礼の者」と呼ばれ、"
"490212","
エペソ 2:12","その当時はキリスト無く、またイスラエルの民籍に縁無く、(従
ってアブラハムとその子孫に対する神の大なる)約束に基づく種々な契約にも与らず、こ
の世において希望なく、また神無き人であった。"
"490213","
エペソ 2:13","しかしながら今やキリスト・イエスに在って、かつては“遠く”
あった君達が、キリストの血によって“近く”なったのである。"
"490214","
エペソ 2:14","何故なら、彼(キリスト)が私達の”平和”であって、(今まで
離反していたイスラエルと異教人の)両者を一つにし、(その仲を割いていた)仕切りの
籬なる敵意を取り除け給うたからである。すなわちその肉で、"
"490215","
エペソ 2:15","(あらゆる)命令規則から成る律法を廃止し給うたのである。こ
れは(今まで敵であった)この二つの者を己において一つの新しい人に創造りかえて平和
を作るため、"
"490216","
エペソ 2:16","かくてまた十字架によって二つの者を一つの体において神と和睦
させ、十字架において(神と人との間の)敵意を殺すためである。"
"490217","
エペソ 2:17","且つ来て、“遠い”君達に“平和の福音を宣べ、また近い者にも
平和の福音を宣べ給うた”のである。"
"490218","
エペソ 2:18","というのは、(今)私達二つの者が、(イスラエル人も異教人も、)
一つの霊で父(なる神)に近づくことが出来るのは彼によるのであるからである。"
"490219","
エペソ 2:19","だから、君達は最早余所の人でも居候でもなく、聖徒と同じ(天
上の)市民また神の家族であり、"
"490220","
エペソ 2:20","使徒と預言者なる土台の上に築き上げられた建物であって、キリ
スト・イエス御自身がその“首石”である。"
"490221","
エペソ 2:21","そして建物全体は彼において(しっかり)つなぎ合わされて成長
し、主に在る聖なる宮となるのであって、"
"490222","
エペソ 2:22","君達も彼において一緒に建て合わされ、神の霊の御住居となるの
である。"
"490301","
エペソ 3:1","この故に君達異教人のためにキリスト・イエスの囚人となってい
る私パウロは…"
"490302","
エペソ 3:2","君達への(使徒たるべき)恩恵の職が神から私に与えられたこと、
"
"490303","
エペソ 3:3","すなわち黙示によって(大いなる救いの)奥義が私に示されたこ
とを君達は聞いたに違いない。前に手短に書いた通りである。"
"490304","
エペソ 3:4","それを読めば私がキリストの奥義を理解していることを知ること
が出来る。"
"490305","
エペソ 3:5","この奥義は今は霊によりその聖なる使徒と預言者達とに(明らか
に)顕されているが、他の時代の人の子らにはかく示されなかったもので、"
"490306","
エペソ 3:6","異教人が福音により、キリスト・イエスにおいて(イスラエルと)
共に(天上の王国の)相続人となり、共に一体となり、共に(恩恵の)約束に与る者とな
るということである。"
"490307","
エペソ 3:7","そして私はこの福音の世話役となったのであるが、これは神の力
が働いて私に与えられたもので、神の恩恵の賜物である。"
"490308","
エペソ 3:8","凡ての聖徒の中で一番小さいこの私に、こんな恩恵──異教人に
キリストの測り難い富を宣べ伝え、"
"490309","
エペソ 3:9","また万物を創造り給うた神の中に世々隠されていた奥義の経綸の
何であるかを露すこんな大きな恩恵が与えられたのである。"
"490310","
エペソ 3:10","これは今教会によって神の多種多様な知恵が天上における「権
威」や「権力」達に示されるためであって、"
"490311","
エペソ 3:11","神の永遠の計画に基づくものであるが、(今)神は私達の主キリ
スト・イエスにおいてこれを実現し給うたのである。"
"490312","
エペソ 3:12","そして私達はキリストを信ずる信仰により、彼に在って勇気を得、
安心して神に近づくことが出来るのである。"
"490313","
エペソ 3:13","だからどうか君達のために私の受ける(種々な)患難に気を落と
さぬように。この患難こそ(実は)君達の光栄(のため)である。"
"490314","
エペソ 3:14","…この故に私(パウロ)は天上地上において凡て「父」と名のつ
くものの本源である父の御前に跪く──"
"490315","
エペソ 3:15","(一四節と合節)
"490316","
エペソ 3:16","願わくはその栄光の豊富なるに相応しく、その霊により君達の「内
なる人」に力を与えてこれを強くし、"
"490317","
エペソ 3:17","信仰によってキリストを君達の心の中に宿らせ、(また君達の言
と行とをして悉く)愛に根を下ろし、(愛に)基礎を置くものならしめ給わんことを!"
"490318","
エペソ 3:18","かくて君達が凡ての聖徒と共に神の経綸の広さ、長さ、高さ、深
さの如何ばかりなるかを悟り、"
"490319","
エペソ 3:19","また(人の)知識を越ゆるキリストの愛を知ることが出来、かく
て遂に神の中に充ち満つる凡てのものをもって満たされんことを!"
"490320","
エペソ 3:20","願う、私達の衷に(御霊の)力を働かせて、私達が凡て求むると
ころ、然り、思うところに遥かに優って為し得給う御方に、"
"490321","
エペソ 3:21","教会により、キリスト・イエスによって千代万代までも栄光あら
んことを、アーメン!"
"490401","
エペソ 4:1","だから主にある囚人であるこの私(パウロ)が君達に勧める、(神
に)召された召しに相応しく歩け。"
"490402","
エペソ 4:2","全き謙遜と柔和を以て、また寛容を以て。愛をもって互に忍び、"
"490403","
エペソ 4:3","平和の帯によって(結ばれて)御霊の(与うる)一致を保つよう
努力せよ。"
"490404","
エペソ 4:4","(すなわち)一つの体、一つの霊──君達が(神に)召されたそ
の召しもまた同じく一つの希望に至らんためである。"
"490405","
エペソ 4:5","一人の主、一つの信仰、一つのバプテスマ、"
"490406","
エペソ 4:6","凡ての人の一人の父また神──神は凡ての者の上に(立ち、)凡て
の者を貫き、凡ての者の内にいまし給う。"
"490407","
エペソ 4:7","しかし私達一人一人に与えられた恩恵は(それぞれ異なり、)キリ
ストから賜わる程度に応ずる。"
"490408","
エペソ 4:8","だから(聖書に)言う──“かれは高きに昇りて捕虜を捕らえ、
人々に賜物を与えたまえり。”"
"490409","
エペソ 4:9","「“昇りたまえり”」とあるからには、まず地の低い所にも下り給
うたことを意味するものでなくして何であろう。"
"490410","
エペソ 4:10","(従って地上に)降り給うたその御方こそ、万物を満たさんため
に、凡ての天の上に“昇り給うた”御方である。"
"490411","
エペソ 4:11","彼はまた或る者を使徒、或る者を予言者、或る者を伝道者、或る
者を牧師また教師として(教会に)“与え給うた”。"
"490412","
エペソ 4:12","これは(キリストに対する)奉仕の務めを果たし得るよう聖徒達
を準備し、かくしてキリストの体(なる教会)が建て上げられんためである。"
"490413","
エペソ 4:13","かくて遂に私達は皆信仰と神の子を知る知識とにおいて一致する
に至り、(信仰において)大人となり、キリストの豊満(と同一)の程度の(熟成した)
年令に達するのである。"
"490414","
エペソ 4:14","これは最早私達が(信仰において)幼児でなく、奸計をもって(私
達を)迷いに誘おうとするペテンによるあらゆる人間の教えの風のまにまに吹きまわされ
翻弄されることのないためであり、"
"490415","
エペソ 4:15","否、(むしろ信仰の大人として福音の)真理に生き、愛において
あらゆる点に成長して、彼すなわち頭なるキリストに達せんためである。"
"490416","
エペソ 4:16","そして体全体は(この頭なる)彼を本源として凡ての支えの靭帯
によりつなぎ合わされ、結び合わされ、斯くて(体の)それぞれの部分が相応の活動をす
ることによって(教会なるこの)体が成長し、愛によって(遂に)自分を建てあげるので
ある。"
"490417","
エペソ 4:17","(かく君達はキリストの体を建てねばならないの)だから、(今)
私は主にあってこのことを言いまた厳命する──君達は最早、異教人が空っぽの考えで歩
いているように歩いてはならない。"
"490418","
エペソ 4:18","彼らは理解力が曇っており、彼らの中に在る無知の故に、またそ
の頑迷な心の故に、神の(賜わる永遠の)生命に縁無き者となっている。"
"490419","
エペソ 4:19","鈍になっているので放埒に身を委ね、貪欲をもってあらん限りの
不潔を行っている。"
"490420","
エペソ 4:20","しかし君達は、そんな風(のことをするため)にキリストの教え
を学んだのではない。"
"490421","
エペソ 4:21","君達は彼に聴き、彼に在ってイエスにあるような真理に依り教え
られたのだ!"
"490422","
エペソ 4:22","然り、君達は情欲に欺かれて破滅すべき、以前の生活に属する旧
い人間を脱ぎ棄て、"
"490423","
エペソ 4:23","君達の霊も心も(すっかり)新しくされ、"
"490424","
エペソ 4:24","真理の義と聖とにより神に肖って創造られた新しい人間を着るべ
き(ことを教えられたの)である。"
"490425","
エペソ 4:25","だから虚偽をやめ、“各々その隣人と真実を語れ”、私達は互いに
(一つの体の)肢であるから。"
"490426","
エペソ 4:26","“怒っても罪を犯すな”。憤ったまま陽を入らせるな。"
"490427","
エペソ 4:27","また悪魔に(付け込む)隙を与えるな。"
"490428","
エペソ 4:28","盗みをしている者は最早盗むな。むしろ困る人に分けて与れるよ
う(うんと)働いて、自分の手で正しく稼げ。"
"490429","
エペソ 4:29","悪い言葉を一つも君達の口から出すな。もし徳を建てる必要があ
り、何かそれに善い言葉があるなら、それを言って聴く者を恩恵に与らせよ。"
"490430","
エペソ 4:30","神の聖霊を悲しませるな。君達は贖いの日(に永遠)の(救いに
入る)ためこの御霊をもって封印されたのである。"
"490431","
エペソ 4:31","凡ての苦いこと、憤怒、怒り、喧噪、誹謗、並びに凡ての悪意を
君達から除け。"
"490432","
エペソ 4:32","互いに親切で、憐憫深く、神がキリストにおいて君達を赦し給う
たように互いに赦し合え。"
"490501","
エペソ 5:1","(これらは要するに愛である。)だから、(既に神の愛子となった
君達は)愛子らしく(愛なる)神を真似る者となれ。"
"490502","
エペソ 5:2","そして愛に歩め──キリストが君達を愛し、私達のために自分を
“献げ物また犠牲”として献げ、神への“馨しい香りとなり”給うたように。"
"490503","
エペソ 5:3","しかし淫行やあらゆる汚穢また貪欲は、聖徒に似つかわしく、君
達の間では口にもするな。"
"490504","
エペソ 5:4","また卑下たことや馬鹿話また冗談を言うな。これは(聖徒に)相
応しくない。むしろ(神に)感謝を述べよ。"
"490505","
エペソ 5:5","淫行の物や汚穢を行う物や貪欲な者すなわち偶像礼拝者は皆、キ
リストと神との王国の相続権を有たないことは、君達が(よく)知って居りまた認めてい
ることではないか!"
"490506","
エペソ 5:6","君達は誰からも空な言葉で瞞されてはならない。(これらの罪はそ
の人達が言うように決して何でもないことではない。)こんなことをするからこそ、神の
怒りがこれら不従順の子らに臨むのである。"
"490507","
エペソ 5:7","だから(決して)その仲間になるな。"
"490508","
エペソ 5:8","君達はかつては暗であったが、今は主に在って光である。光の子
らしく歩け──"
"490509","
エペソ 5:9","光の果実はあらゆる善と義と真であるから──"
"490510","
エペソ 5:10","何が主の御意に適うかを(よく)吟味せよ。"
"490511","
エペソ 5:11","そして果実を結ばれない暗の業に与せず、むしろ(これを)明る
みに出せ。"
"490512","
エペソ 5:12","何故なら、彼らが隠れて行うことは(これを)口にするさえ恥ず
かしいことである。"
"490513","
エペソ 5:13","しかし明るみに出され(てその正体を暴露され)るものは皆(神
の)光によって照らされる。"
"490514","
エペソ 5:14","(そして神の光に照らされ罪を浄められる時その人自身が光とな
る。)然り、(光に)照らされるものは皆光である。故に主は言い給う──眠る者、起きよ、
死人の中より立ち上がれ、さすればキリストが汝を照らし給うであろう。"
"490515","
エペソ 5:15","だから、自分が如何歩いているか、愚か者のようでなく賢い者の
ように歩いているかを、よく注意せよ。"
"490516","
エペソ 5:16","機会を(ねらい、充分に)利用せよ。今は時が悪いのであるから。
"
"490517","
エペソ 5:17","この故に分からず屋にならず、主の御意の何であるかを悟れ。"
"490518","
エペソ 5:18","また“酒に酔うな”──これが放蕩(の始まり)である──むし
ろ御霊に満たされよ。(これに酔え。)"
"490519","
エペソ 5:19","聖歌と讃美歌と霊の歌をもって互いに語り、心をもって主に歌い
また奏で、"
"490520","
エペソ 5:20","事毎に私達の主イエス・キリストの名において父なる神に常に感
謝せよ。"
"490521","
エペソ 5:21","キリストを畏れて互いに服従し合え。"
"490522","
エペソ 5:22","妻達よ、主に対するように自分の夫に服従せよ。"
"490523","
エペソ 5:23","キリストが教会の頭であり給うように、夫は妻の頭であるから─
─しかも彼は(同時に)その体(なる教会)の救い主であり給う。(この点においてキリ
ストと夫とはもちろん異なる。)──"
"490524","
エペソ 5:24","しかし教会がキリストに服従するように、妻もまた何事によらず
夫に服従せよ。"
"490525","
エペソ 5:25","夫達よ、妻を愛せよ、キリストが教会を愛し、そのために自分を
棄て給うたように。──"
"490526","
エペソ 5:26","キリストは洗礼の水浴びにより、(その際述べられる告白の)言
葉をもって、教会を潔めて聖なるものとなし、"
"490527","
エペソ 5:27","かくて汚点も皺もかかるものの何も無い、聖なる瑕なき輝かしい
教会を自分で自分のために建てようとし給うたのである。――
"490528","
エペソ 5:28","これと同様に夫【もまた】自分の妻を自分の体のように愛すべき
義務がある。自分の妻を愛する者は自分自身を愛するのである。"
"490529","
エペソ 5:29","何故なら、未だ曽て自分の「肉」を悪んだ者は無く、何人もこれ
を養い育てる。同じようにキリストも教会を養い育て給う。"
"490530","
エペソ 5:30","私達は彼の体の肢である。"
"490531","
エペソ 5:31","“この故に人は父と母とを捨ててその妻に結びつき、二人は一体
となる”。"
"490532","
エペソ 5:32","この奥義は大きい。私はキリストを指し、また教会【を指して】
言っている。"
"490533","
エペソ 5:33","何れにせよ、君達も一人一人自分の妻を自分自身のように愛せよ。
そして妻は夫を畏れよ。"
"490601","
エペソ 6:1","子達よ、【主に在って】両親に従順なれ。これは当然のことである
から。"
"490602","
エペソ 6:2","「“汝の父と母を敬え”──これは(次のような褒美の)約束のあ
る第一の戒律である──"
"490603","
エペソ 6:3",“さらば汝は幸福にして地上に長命ならん”」(と聖書にある。)"
"490604","
エペソ 6:4","父達よ、君達も子を憤らせるな。むしろ“主の躾”と”訓戒”と
によって育てよ。"
"490605","
エペソ 6:5","奴隷達よ、キリストに対するように、畏れと戦きをもって真情か
らこの世の主人に従順なれ。"
"490606","
エペソ 6:6","ご機嫌取りのように、(主人の)目の前だけでなく、キリストの奴
隷らしく心から神の御意を行え。"
"490607","
エペソ 6:7","人でなく主に対するように喜びをもって事えよ。"
"490608","
エペソ 6:8","奴隷にせよ自由人にせよ、誰でも善いことをすれば(きっと)主
からその報いを受けることを君達は知っているのだから。"
"490609","
エペソ 6:9","主人達よ、君達も同じことを彼らにせよ。威迫をやめよ。彼らに
も君達にも同じ(一人の)主が天に在し給うて、彼には(少しも)依怙が無いことを君達
は知っているのだから。"
"490610","
エペソ 6:10","最後に(言う、)主にあって、またその逞しい威力によって強く
なれ。"
"490611","
エペソ 6:11","悪魔の奸策に対抗し得るよう、神の武具を著けよ。"
"490612","
エペソ 6:12","私達の戦いは(この世の)血肉に対するものでなく、「権威」に
対するもの、「権力」に対するもの、この暗の世界の主権者(なる悪魔)に対するもの、
天上における悪霊(の軍勢)に対するものであるからである。"
"490613","
エペソ 6:13","この故に神の武具を執れ。(悪魔が勢力を擅にする)悪い日にお
いて彼に抵抗し、凡てを征服してその立場を守り得るためである。"
"490614","
エペソ 6:14","だから“腰に真理の帯をしめ、義の鎧を著け、" 
"490615","
エペソ 6:15","平和の福音の用意を”(靴として)“足に”穿いて立て。"
"490616","
エペソ 6:16","その上になお信仰の盾を執れ。これで悪者の(投ぐる)凡ての火
箭を消すことが出来よう。"
"490617","
エペソ 6:17","また“救いの兜”と、“神の言”なる“御霊の剣”を取れ。"
"490618","
エペソ 6:18","(最後に祈りで武装せよ。すなわち)あらゆる祈りと願いをもっ
て常に御霊において祈れ。そしてそのため(いつも)目を覚まし、あらん限りの根気をも
って聖徒達一同のために祈って居れ。"
"490619","
エペソ 6:19","また私のためにも、私が(大きく)口を開いて御言を語り、大胆
に福音の奥義を示し得るよう──"
"490620","
エペソ 6:20","この奥義のために私は(神の)使者として鎖に繋がれているので
あるが──かく繋がれていながらも、語らねばならぬことを大胆に語り得るよう祈ってい
てもらいたい。"
"490621","
エペソ 6:21","私自身のこと、私の様子が君達にもわかるように、愛する兄弟で
あり、主に在る忠実な世話人であるテキコが、万事を君達に知らせるであろう。"
"490622","
エペソ 6:22","(今この手紙を持たせて)彼を君達の所に遺るのはこのためで、
私達のことを知らせて(少しでも)君達の心を慰めさせるために外ならない。"
"490623","
エペソ 6:23","願う、父なる神及び主イエス・キリストよりの信仰と共に平和と
愛とが、兄弟達にあらんことを。"
"490624","
エペソ 6:24","われらの朽ちぬ栄光の主イエス・キリストを愛する凡ての者に恩
恵あれ!"

ピリピ人へ
"500101","
ピリピ 1:1","キリスト・イエスの奴隷でるパウロとテモテ(の二人)から、キ
リスト・イエスに在るピリピの凡ての聖徒達、並びに取締りと世話役達にこの手紙を遺る。
願わくは"
"500102","
ピリピ 1:2","私達の父なる神及び主イエス・キリストからの恩恵と平安、君達
にあれ!"
"500103","
ピリピ 1:3","私は(祈りの中で)君達のことを述べる毎に私の神に感謝してい
る──"
"500104","
ピリピ 1:4","私はいつも祈りの度毎に喜びをもって君達皆のために祈るのであ
るが──"
"500105","
ピリピ 1:5","それは(信仰に入った)始めの日から今まで、君達が福音(の恩
恵)に(深く)与っているからで、"
"500106","
ピリピ 1:6","私は君達の間に善い仕事を始め給うたお方が、キリスト・イエス
の(来臨の)日までに(必ずそれを)成し遂げ給うことを確信している。"
"500107","
ピリピ 1:7","そしてこんなに君達皆のことを考えているのは、私には(むしろ)
当然だ。というのは、縄目に在る時も、福音を弁護し証明する時も、君達は皆私と(苦難
の)恩恵を共にする者として(いつも)心に在るのだから。"
"500108","
ピリピ 1:8","実際、神が私の(ために)証人になって下さるように、私は(い
つも)キリスト・イエスの愛情をもって君達皆を慕っているのである。"
"500109","
ピリピ 1:9","そして私が(絶えず)祈っているのは、君達の愛がなおもますま
す(成長することによって)知識と凡ての(道徳的)知覚を増し、"
"500110","
ピリピ 1:10","君達が本質的なものの判別が出来るようになり、斯くしてキリス
ト(来臨)の日に潔くして非難すべき点なく、"
"500111","
ピリピ 1:11","イエス・キリストによる義の果実に満ちて、(凡ての)栄光と誉
れが神に帰せんことである。"
"500112","
ピリピ 1:12","兄弟達よ、(何はさて置き)君達に知ってほしいのは、私(が因
われの身であるそ)のことが、(伝道の妨げにならないばかりか、)むしろ福音を発展させ
る結果になったことである。"
"500113","
ピリピ 1:13","すなわち私の縄目がキリストのためであることが(遂に)近衛兵
全体と他の凡ての人々に知れ、"
"500114","
ピリピ 1:14","(そのため)主に在る多数の兄弟達は私の縄目に(神の力が働い
ていることを深く)信頼して、一層大胆に、恐るることなく神の言を語るようになった。"
"500115","
ピリピ 1:15","なるほど嫉妬と争いの心からキリスト(の福音)を伝える者もあ
るが、また善意からする者もある。"
"500116","
ピリピ 1:16","(すなわち)後の人達は、私が福音を弁護するため(神に)立て
られて(今こうして)いることを知り、(私に対する)愛からキリストを宣べ、"
"500117","
ピリピ 1:17","また前の人達は縄目の私を苦しめようと思って、純な心でなく利
己心からキリストを宣べ伝えるのである。"
"500118","
ピリピ 1:18","でもそれが何だろう!とにかく(福音に)かこつけ(て私を苦し
めようとするの)であろうと、真実(の心)から(するの)であろうと、どの途キリスト
が宣べ伝えられるのだから、私はそれを喜ぶ。いや、これからも喜ぼう。"
"500119","
ピリピ 1:19","何故なら、君達の祈りとイエス・キリストの御霊の助けとによっ
て、(今私が因われの身となっている)“このことが、結局私の救いとなる”ことを知って
いるからだ。"
"500120","
ピリピ 1:20","そして私の切なる期待と望みは、私が何事にも恥をかかされず、
かえって、いつものように今度も、キリストが正々堂々と私の体で、(私の)生によって
も死によっても、(勝を得て)崇められ給わんことである。(然り、私の死によっても!)"
"500121","
ピリピ 1:21","何故なら、私にとって生きることはキリスト(を生きること、彼
が私に生き給うことである。否、彼が私の生命)である。そして死ぬることは(完全にキ
リストと共に生きることであるから、私にはむしろ)利益である。"
"500122","
ピリピ 1:22","しかしもし肉体で生きることが私の役目であるなら、(それは)
私にとっては(福音のために)活動き、その果実(を結ばせること)である。だから
(生と死と)どちらを選ぶべきか、私は知らない。"
"500123","
ピリピ 1:23","私は(今)この二つの板挟みになっている。すなわち一方では(一
日も早く悩みの)この世を去ってキリストと共にいたいという願いがあって──もちろん
この方が遥かにずっと勝れているのに──"
"500124","
ピリピ 1:24","他方では肉体で止まって(活動いて)いることの方が君達のため
に必要なのだ。"
"500125","
ピリピ 1:25","そして斯く(生きていることが君達のために必要であると)確信
するから、私は(きっと)生存えて君達皆の所に留まり、君達の進歩と信仰の喜びとのた
めに(何かの)役に立つことが出来ると思っている。"
"500126","
ピリピ 1:26","そしてこれは私において──私が(放免されて)もう一度君達を
訪問することによって──キリスト・イエスにおける君達の誇りが(一層)増し加わらん
ためである。"
"500127","
ピリピ 1:27","(何れにせよ、)ただ一つの(ことが大切である。)キリストの福
音(を信ずる者たる)に相応しく歩け。そうすれば行って会うにせよ、離れていて君達の
ことを聞くにせよ、君達が心を一つにして確り立ち、一致して福音の信仰のために戦い、"
"500128","
ピリピ 1:28","何事においても敵に嚇かされないことを知ることが出来よう。そ
して(決して敵に嚇かされないという)このことは、(敵対する)彼らにとっては(遂に)
滅び(ること)の兆である、君達には救いの兆であって、これは(何れも)神から賜わっ
たものである。"
"500129","
ピリピ 1:29","君達はキリストのために──ただ彼を信ずるばかりでなく、また
彼のために苦しむことをも恵まれたからである。"
"500130","
ピリピ 1:30","(然り、)君達はかつて私に於て(目のあたり)見、今また私に
就いて聞いているのと同じ戦いをしているのだ!"
"500201","
ピリピ 2:1","(斯く君達は心を一つにして敵と戦うの)だから、もしキリスト
における勧めなるものが(あって君達にそれを受ける心が)あるのなら、もし(神の)愛
による励ましなるものが(あって何かの役に立つもので)あるのなら、もし霊の交わりな
るものがあ(って私たちが一つに結ばれてい)るのなら、もし同情と憐れみなるものがあ
るのなら、"
"500202","
ピリピ 2:2","どうか私を心一杯喜ばせてもらいたいのである──すなわち思い
を同じうし、同じ愛をもち、心を共にし、思いを一つにし、"
"500203","
ピリピ 2:3","何事も(決して)利己心や虚栄心からせず、謙遜をもって互いに
(他人を)自分よりも勝れていると考え、"
"500204","
ピリピ 2:4","各々自分のことだけでなく、各々他人のことをも顧みよ。"
"500205","
ピリピ 2:5","キリスト・イエスに在る思いで互いを思え。"
"500206","
ピリピ 2:6","彼は(先には)神の姿であり給うたが、神と等しくあることを棄
て難いことと思わず、"
"500207","
ピリピ 2:7","かえって自分を空しうして人と同じ形になり、奴隷の姿を取り給
うたのである。そして人の様で現れた彼は、"
"500208","
ピリピ 2:8","自ら謙り、死に至るまで、(然り、)十字架の死に至るまで(父な
る神に)従順であり給うた。"
"500209","
ピリピ 2:9","それ故に神も彼を至高く上げ、凡ての名に優る(「主」なる)名を
与え給うた。"
"500210","
ピリピ 2:10","これはイエスの(この尊い)名の前に、天の上、地の上、地の下
にある“万物が膝を屈め、"
"500211","
ピリピ 2:11","凡ての舌が”「イエス・キリストは主なり」と“告白して”父な
る“神に”、栄光を帰せんためである。"
"500212","
ピリピ 2:12","だから、愛する者達よ、(今まで)何時も従順であったように、(従
順であってもらいたい。)私が(一緒に)居る時ばかりでなく、居ない今こそ却つてなお
一層、畏れと戦きをもって、自分の救いを得よ。"
"500213","
ピリピ 2:13","(しかしもちろんこれは君達の力では出来ない。)何故なら、(救
いに関わる)御旨を成し遂ぐるため、君達のうちに働いて、(救いの)願望を起こさせ、
これを成就せしめ給う者は、神であるからである。"
"500214","
ピリピ 2:14","何事をするにも呟くな、躊躇うな。"
"500215","
ピリピ 2:15","これは君達が非難すべき所でなく、純真であって、“曲ったねじ
くれた(この)時代”の真中にあって“瑕なき神の子”とならんためである。(まことに)
君達はこの時代にあって、生命の言を堅く守りながら、この(暗い)世に星のように輝い
ているのである。"          
"500216","
ピリピ 2:16","かくて私の走ったことが無駄にならず、”苦労したことが無駄に”
ならずに、キリストの日に名誉が私に帰するであろう。"
"500217","
ピリピ 2:17","否、(ただに苦労だけでなく、)たとい私が君達の信仰を供え物と
して(神に)献ぐる時(潅奠としてそれに)血をも注がねばならぬとしても、私は喜ぶ。
君達皆と共に喜ぶ。"        
"500218","
ピリピ 2:18","同じように君達も喜んでくれ。私と共に喜んでくれ。"
"500219","
ピリピ 2:19","(ところで)私は早くテモテを君達の所に遺りたいと主イエスに
あって望んでいる。君達の(元気な)ことを知って私も元気になりたいためである。"
"500220","
ピリピ 2:20","(そして特に彼を選んだのは、)彼と同じ心で、真実に君達のこ
とを心配してくれそうな者が(私の周囲に)誰一人いないからである。"
"500221","
ピリピ 2:21","何故というのか。(他の者は)皆自分のこと(だけ)を求めて、(誰
も)キリスト・イエスのことを求めないのだ!"
"500222","
ピリピ 2:22","しかしテモテは、君達も知っているように、親と子のようにして
私と一緒に福音のために尽くし、(既に)試験ずみ(の男)である。"
"500223","
ピリピ 2:23","それで彼を、私の身の成り行きを見極めた上で、(前に言ったよ
うに)早速(君達の所に)遺りたいと望んでいる。"
"500224","
ピリピ 2:24","しかし(彼ばかりでなく)わたし自身も早く行けることと、主に
あって確信している。"
"500225","
ピリピ 2:25","しかし、(とりあえず今は)私と共に働き、共に戦い、また君達
の使いとして私の窮乏を助けてくれた兄弟エパフロデトを君達の所に遺ることが必要だと
考えた。"
"500226","
ピリピ 2:26","彼は君達を皆慕って居り、自分が病気をしたことが君達の耳に入
ったのを気に病んでいるのだから。"
"500227","
ピリピ 2:27","(実際)彼は病気で死にそうであったが、神は彼を憐れみ給うた
のである。否、彼ばかりでなく私をも憐れんで、悲しみに悲しみを重ねさせ給わなかった。
"
"500228","
ピリピ 2:28","それで君達が彼に会って再び喜ぶよう、私も(それによって少し)
気が楽になるように、特に大急ぎで彼を(君達に)返す(ことにした)。"
"500229","
ピリピ 2:29","だからどうか主に在って大いに彼を歓迎してくれ。且つこのよう
な人達を尊敬せよ。"
"500230","
ピリピ 2:30","彼は生命賭けで、君達に私の世話の出来ない所を補おうとして、
キリストの仕事のためにほとんど死のうとしたのである。"
"500301","
ピリピ 3:1","最後に、(愛する)わが兄弟達よ、主に在って喜べ──(こう喜べ
喜べと言ってはうるさいかも知れないが、)このことを書くのは私には(少しも)うるさ
いことではなく、また君達には(苦難を喜ぶことが信仰を保つに最も)安全(な道)であ
る(と思う。)"
"500302","
ピリピ 3:2","あの犬どもに気をつけよ、あの悪い「労働人」どもに気をつけよ、
あの「切り取り」どもに気をつけよ!(あの連中は割礼割礼と言うが、ただ肉を取っただ
けのことだ。)"
"500303","
ピリピ 3:3","(割礼は無いが、)私達こそ本当の割礼者である。(その証拠には、)
私達は神の霊によって神に仕え、(ただ)キリスト・イエスを誇りとし、(決して)肉に、
(人間の特権に)頼らないからだ──"
"500304","
ピリピ 3:4","私(個人)としては肉に頼ることも出来るのであるが!(しかし)
もし誰か他の人が肉に頼れると思うなら、私はなおさらそうである。"
"500305","
ピリピ 3:5","私は(モーセ律法に拠って)八日目に割礼された者で、イスラエ
ルの血族、(殊に名誉ある)ベニヤミン族の出、ベブライ人中のヘブライ人、律法の点で
は(最も厳格な)パリサイ人、"
"500306","
ピリピ 3:6","(ユダヤ教に対する)熱心の点では、(キリストの)教会の迫害者、
律法による義の点では非難の打ち処ない者であった。"
"500307","
ピリピ 3:7","しかし(前には)自分に得であ(ると思っ)たこれらの特権も、
キリストのために(かえって)損と思うようになってしまった。"
"500308","
ピリピ 3:8","否、ただにそれ(らの特権)ばかりでなく、わが主キリスト・イ
エス(を知る)の知識が(余りにも尊く)優れているために、本当は(今は)一切合切の
ものを損だと思っている。(実際)彼のために何もかも損してしまったのだが、(そんなも
のは皆)塵芥と思っている。これはキリスト・イエスを自分の有とし、"
"500309","
ピリピ 3:9","彼に在ることが出来──(もちろん)これは律法(を守ること)
から来る私自身の義によるのでなく、キリストの信仰による(義、)すなわち信仰に基づ
いて神から与えられる義によるのであるが──"
"500310","
ピリピ 3:10","かくて(ますます深く)キリストを知り、その復活の力を受け、
その苦難に与り、彼と同じような死様をして、"
"500311","
ピリピ 3:11","あわよくば私も(最後に)死人の復活に達したいためである。"
"500312","
ピリピ 3:12","しかしこれは(何も)既に(それを)捉えたとか、既に完成され
ているとか言うのでは(もちろん)ない。ただもしや私も(それを)捉えることが出来は
しないかと、走っているまでである。私もキリスト・イエスに捉えられたのだから。"
"500313","
ピリピ 3:13","兄弟達よ、私はまだ自分で(それを)捉えたなどとは考えていな
い。しかし(ただ)一つの事──後ろのものを忘れ、前のものを追い求めながら、"
"500314","
ピリピ 3:14","(或る)目標に向かって、すなわち神がキリスト・イエスにおい
て天上に招き給う褒美に向かって(ひた走りに)走っているのである。"
"500315","
ピリピ 3:15","だから(兄弟達よ、既に)完成した者は皆(──君達も私も──)
このことを心がけようではないか。そしてもし君達に何か考え違いがあれば、それも神が
示し給うに違いない。"
"500316","
ピリピ 3:16","ただ私達は(その時その時に)自分が達した(完成の)程度に応
じて歩こうではないか。"
"500317","
ピリピ 3:17","兄弟達よ、皆で私を真似る者になれ。また君達と同様私達を手本
にして歩いている人達に目を留め(、その人達をも手本にせ)よ。"
"500318","
ピリピ 3:18","何故なら、度々君達に言ったように、今また涙を流して言うよう
に、キリストの十字架の敵として歩いている者が多いのだから!──"
"500319","
ピリピ 3:19","あの人達の最後は破滅、その神は自分の腹、その光栄(と考えて
いるもの)は(実は)恥であって、あの人達は(ただ)地のこと(ばかり)に気を取られ
ているのだ!"
"500320","
ピリピ 3:20","しかし(私達はそうであってはならない。)私達の故国は天にあ
る。私達は主イエス・キリストが救い主として其処から来給うのを待っているのである。"
"500321","
ピリピ 3:21","(その時)彼は私達の(この)卑しい体を御自分の栄光の体と同
じ貌に変え給うであろう──万物を己に従わせ得給う御力によって!"
"500401","
ピリピ 4:1","だから、愛し慕うわが兄弟達よ、わが歓喜よ冠よ、かく主にあっ
て確り立って居れ、(ああ、わが)愛する者よ!"
"500402","
ピリピ 4:2","ユオデヤに勧める、またシンケテに勧める、主に在って思いを同
じうするように!"
"500403","
ピリピ 4:3","然り、(私と共に軛を負ってくれる)真実なる僚友よ、君にも頼む、
どうかこの婦人達を助けてやってくれ。この人達はクレメンスや、その他“生命の書に”
名の載っている私の働き仲間と一緒になって、私と共に福音のために戦ってくれたのだ。"
"500404","
ピリピ 4:4","いつも主に在って喜べ!もう一度(繰り返して)言う、喜べ!"
"500405","
ピリピ 4:5","君達の優しい心を(信仰の友人ばかりでなく、)皆(世間)の人に
(も)知らせよ。主(の来臨)は近い。"
"500406","
ピリピ 4:6","何事についても心配せず、君達の求めは感謝を添えた祈りと願い
とにより、大小となく神に知らせよ。"
"500407","
ピリピ 4:7","そうすれば全く思いもよらぬ神の平安が君達の心と考えをキリス
ト・イエスにおいて守るであろう。"
"500408","
ピリピ 4:8","最後に、兄弟達よ、(凡て)真なること、気高いこと、正しいこと、
潔いこと、人の喜ぶこと、褒めることは何でも、徳という徳、誉れという誉れ、これら(凡
て)を(常に)心に留め(、これを行おうと努め)よ。"
"500409","
ピリピ 4:9","君達が学びまた伝えられ、私に聞きまた見たことは、(すべて)こ
れを行え。そうすれば平和の神が君達と共にいまし給うであろう。"
"500410","
ピリピ 4:10","君達が私のことを思ってくれる心にとうとうもう一度花を咲かせ、
(私に贈り物をして)くれたことを私は主に在って非常に喜んだ──君達は(もちろん前
から)いつも思っていてくれたのだが、(実行する好い)機会がなかったのだ。"
"500411","
ピリピ 4:11","これは(何も)貧乏をしているから言うのではない。私自身はど
んな境遇にでも満足する稽古をしたのだから。"
"500412","
ピリピ 4:12","貧乏の道も知って居れば、有福の道も知っている。食い飽きるこ
とにも飢えることにも、有り余ることにも事欠くことにも、一切合切に通じている。"
"500413","
ピリピ 4:13","私を力づけ給うお方の御蔭で何でも出来る。"
"500414","
ピリピ 4:14","それにしても君達は善くこそ私と苦難を共にしてくれた。"
"500415","
ピリピ 4:15","ピリピの人達よ、君達自身も知っているように、福音伝道の初め
私がマケドニヤ(の君達の所)を出て来る時、ただ君達を除いては一つの教会も私と(遣
り取りして)貸借勘定(の親しい関係)に入ってくれなかった。"
"500416","
ピリピ 4:16","また私がテサロニケにいた時も、(本当に)君達は一度ならず二
度まで乏しい私に物を贈ってくれたのである。"
"500417","
ピリピ 4:17","これは贈り物が欲しいからではない。君達の貸の勘定を殖やす信
仰の果実が欲しいのである。"
"500418","
ピリピ 4:18","とにかく(今)私は凡てを受け取ったので有り余っている。エパ
フロデトから君達の贈り物を貰ったので満ち溢れているのだ──(本当に君達の贈り物
は)“馨しい香り”、神の喜び受け給う献げ物である。"
"500419","
ピリピ 4:19","そして私の神はその(満ち足る)富により、君達の乏しいものを
何でもキリスト・イエスをもって輝かしく満たし給うであろう。"
"500420","
ピリピ 4:20","願う、私たちの父なる神に栄光世々限りなくあらんことを、アメ
ーン!"
"500421","
ピリピ 4:21","キリスト・イエスにあって聖徒の一人一人によろしく伝えてくれ。
私と一緒にいる兄弟達から君達によろしく。"
"500422","
ピリピ 4:22","凡ての聖徒達、ことにカイザルの宮廷の者達から君達によろしく。
"
"500423","
ピリピ 4:23","主イエス・キリストの恩恵、君達の霊とともにあらんことを。"

コロサイ人へ
"510101","
コロサイ 1:1","神の御意によってキリスト・イエスの使徒たる(われ)パウロ
と、兄弟テモテ、"
"510102","
コロサイ 1:2","手紙をキリストにある信仰の兄弟なるコロサイの聖徒達に遺る。
願う、我らの父なる神よりの恩恵と平安、君達にあれ。"
"510103","
コロサイ 1:3","君達のため祈る時、私達は何時も主イエス【・キリスト】の父
なる神に感謝する。"
"510104","
コロサイ 1:4","君達のキリスト・イエスにおける信仰と、凡ての聖徒達に対し
て持つ愛について聞くからである。"
"510105","
コロサイ 1:5","この愛は君達のため天に蓄えられている希望によるのであるが、
この希望のことは曩に君達が福音の真理の言において聞いたところである。"
"510106","
コロサイ 1:6","(そして今や)この福音は君達の所まで来て、君達の間でも真
に神の恩恵を聴き知った(最初の)日から、全世界におけると同様、(豊かに)果実を結
び成長しているのである。"
"510107","
コロサイ 1:7","この恩恵は君達がエパフラに(福音を)聞いた(時教えられた)
通り──彼は(主にある)私達の愛する奴隷仲間で、君達のためにキリストの忠実な世話
役である。"
"510108","
コロサイ 1:8","彼はまた君達が(神の)霊による愛を持っていることを私達に
明らかにしてくれた。"
"510109","
コロサイ 1:9","それ故私達もそのことを聞いた日から絶えず(神に)祈って、
君達が御霊による凡ての知恵と聡明とを与えられて、神の御意を知る知識に満たされんこ
とを求めている。"
"510110","
コロサイ 1:10","これは君達が主(を信ずる者たる)に相応しく歩いて、凡ての
天において彼を喜こばせんこと、(然り、第一には)凡ての善き業において(多くの)果
実を結び神を知る知識に成長せんこと、"
"510111","
コロサイ 1:11","(第二には)彼の栄光の威力に応じて凡ての能力を強められ、
凡て(の苦難)を耐え忍ばんこと、"
"510112","
コロサイ 1:12","(最後に)君達をして光に在る聖徒達の(受くる大なる)世襲
財産の分け前に与り得る者と為し給う父(なる神)に、喜びをもって感謝せんことである。
"
"510113","
コロサイ 1:13","父は暗闇の権力から私達を救い出して、その愛の御子の王国に
移し給うた。"
"510114","
コロサイ 1:14","私達は彼において贖罪すなわち罪の赦しを持っているのである。
"
"510115","
コロサイ 1:15","(まことに)彼は見えざる神の御像、凡て創造られた物の(前
に生まれた)長子であり給う。"
"510116","
コロサイ 1:16","万物は彼において創造られたからである。(然り、)天上のもの
も地上のものも、見ゆるものも見えぬものも、また(あらゆる天使達、すなわち)「王座」
も「支配者」も「権威」も「権力」も、万物ことごとく彼によって、また彼のために創造
られた。"

"510117","コロサイ 1:17","そして彼は万物より先にあり給う。且つ万物は彼によって存在
する。"
"510118","
コロサイ 1:18","彼はまた体なる教会の頭であり給う。彼は始めであり、死人の
中から最初に生まれた長子であり給う。これは凡てにおいて彼が第一人者たらんためであ
る。"
"510119","
コロサイ 1:19","何故なら、神は豊満なる神性を悉く彼に宿らせ、"
"510120","
コロサイ 1:20","その十字架の血によって平和を作り、彼によって地上のものも
天上のものも、万物を(悉く)彼によって御自分と和睦させようと決心し給うたからであ
る。"
"510121","
コロサイ 1:21","かつては君達も悪行を行って神に縁無き者(であり、)また心
にてはその敵であったが、"
"510122","
コロサイ 1:22","今や神は君達をも御子の肉体の死によって(御自分と)和睦さ
せ給うた。それは君達を御自分の前で聖い、瑕の無い、咎め所の無い者にしようとし給う
たのである──"
"510123","
コロサイ 1:23","もし君達が(飽くまで)根強く堅く信仰に止まり、聞いた福音
の希望から動かされることさえ無ければ!この福音は天の下の凡ての創造られたものに宣
べ伝えられ、私パウロがその世話役となったのである。"
"510124","
コロサイ 1:24","今私は君達のために苦しむことを喜びとし、またキリスト・イ
エスの体なる教会のために私の体でキリストの患難の不足を補っている。"
"510125","
コロサイ 1:25","そして私は神からその(教会の)世話役たる(尊い)職を賜わ
ったので、君達に神の言を充分に伝えようとしているのである──"
"510126","
コロサイ 1:26","この神の言は世々代々隠されていた奥義であるが、今や神の聖
者達に顕されたのであって、"
"510127","
コロサイ 1:27","神はこの奥義が異教人にとって如何ばかり大なる栄光の富であ
るかを知らせようと欲し給うたのである。そして奥義とは(取りも直さず)君達の中にい
給うキリストのことであって、(これがまた)栄光の希望である。"
"510128","
コロサイ 1:28","私達はこのキリストを宣べ伝え、あらん限りの知恵をもって凡
ての人を諭し、凡ての人を教えて、凡ての人をキリストにおいて完全な者にしようとして
いるのである。"
"510129","
コロサイ 1:29","そしてまた私の中に力強く働き給う御力に応じて、このため奮
闘努力しているのである。"
"510201","
コロサイ 2:1","君達に知ってもらいたいのは、君達や、ラオデキヤの人達や、(ま
だ)肉で私の顔を見たことのない皆の人達のために、私がどんなに苦労して、"
"510202","
コロサイ 2:2","皆の心を励まし、愛によって教え、(かくて)豊富且つ完全なる
凡ての聡明、(然り、)神の奥義すなわちキリストを知る知識に達せしめようとしているか、
ということである。"
"510203","
コロサイ 2:3","“知恵”と知識と“の宝は”悉くこのキリストの中に“隠され
ている”のである。"
"510204","
コロサイ 2:4","君達が誰からもうまい言で言いくるめられることのないように、
このことを言っておく。"
"510205","
コロサイ 2:5","私は肉でこそ離れて居れ、霊では(いつも)君達と一緒にいて、
キリストに対する君達の信仰の秩序正しいことと、堅固なこととを見て喜んでいるのであ
る。"
"510206","
コロサイ 2:6","それで君達は(既に)主イエス・キリストを受け入れたのであ
るから、(ただ)彼において歩まなくてはいけない──"
"510207","
コロサイ 2:7","彼の中に(深く)根を下ろし、彼の上に(いよいよ高く)建て
られ、また教えられた通りに信仰に堅くなり、感謝に溢れながら!"
"510208","
コロサイ 2:8","注意せよ、(いわゆる)哲学、すなわち空しい欺瞞をもって君達
を奪い去る者があるかも知れない。この(人達の言う)哲学は(如何に巧みな説明がある
にせよ、要するに)人間の言い伝えに拠るものであり、(地水火風というような)此世の元
素の霊に拠るものであって、キリストに拠らないものである。"
"510209","
コロサイ 2:9","(君達はこんなものに惑わされず、ただキリストに拠れ。)何故
なら、彼の中には豊満なる神性が悉く形体を取って宿って居り、"
"510210","
コロサイ 2:10","君達は彼によってこの豊満に与る者とされたのであるから──
彼は凡ての(天使達、すなわち)「権威」「権力」(等)の頭であり給う。"
"510211","
コロサイ 2:11","君達はまた彼において手にてせざる(真の)割礼、すなわち(モ
ーセ律法によりただ体の一部に施すものでなく、)肉の体を(悉く)脱ぎ去るキリストの
割礼によって割礼された。"
"510212","
コロサイ 2:12","(然り、キリストの)洗礼(こそ真の割礼であって、君達はこ
れ)によって彼と共に(死んで)葬られ(たのである。そして)また彼を死人の中から甦
らせ給うた神の力を信ずることによって、彼に於て共に甦ったのである。"
"510213","
コロサイ 2:13","(異教人たる)君達は(前には)咎と肉に割礼無きこととの故
に死んだ者であったが、神は私達の凡ての咎を赦して、君達をもキリストと共に生かし給
うた。"
"510214","
コロサイ 2:14","すなわち(厳しい)規則をもって私達に敵し私達を責める証文
(すなわちモーセ律法)に棒を引き、これを十字架に釘づけて取り除き給うた。"
"510215","
コロサイ 2:15","かくて(また)「権威」と「権力」とに武装を解かせて公然(こ
れを)曝しものにし、キリストに於て彼らを捕虜として凱旋行列に引き廻し給うたのであ
る。"
"510216","
コロサイ 2:16","(斯く証文に棒が引かれて私達は律法から全く自由となった
の)だから、君達は(最早)食うことや、飲むことや、あるいは祭日、新月(の祭り)、
安息日のことについて、人にかれこれ言われることはない。"
"510217","
コロサイ 2:17","これらは(皆)来るべきものの影で、その本体はキリストであ
る。(従って私達は本体を有っているのであるから、今更何で影の必要があろう!"
"510218","
コロサイ 2:18","君達は謙遜と天使礼拝とを嬉しがっている者(など)から決し
て貶さられることはない。こんな人は自分が(異教の)奥義に入った時(親しく)観た(と
思っている掴まえ所もない)ものを、肉の感念から訳もなく(ただ)威張っている(だけ)
の(こと)で、"
"510219","
コロサイ 2:19","(キリストなる)頭にくっついていない。体(なる教会)全体
はこの頭から靭帯と腱とによって支えられ、結び合わされ、(かくして)神に育てられて
成長するのである。"
"510220","
コロサイ 2:20","もし君達が、(今言ったように洗礼によって)キリストと共に
死に、此世の元素の霊(の支配)から離れたのなら、何故(なお)この世に生きている者
のように、"
"510221","
コロサイ 2:21","「手をつけるな、味わうな、触るな」という規則に縛られるの
か。"
"510222","
コロサイ 2:22","これら(禁断の物)は皆使えば消え失せるように出来ていて、
“人間の訓戒と教え”によるものである(から、少しの心配もない)。"
"510223","
コロサイ 2:23","そして(また)これら(の訓戒や教え)はお手製礼拝と(いわ
ゆる)謙遜と禁欲とで(如何にも)知恵があるように思われているが、(実は)ただ肉の
(感情の)満足に役立つだけである。"
"510301","
コロサイ 3:1","だからもし君達が(洗礼によって)キリストと共に(死に、共
に)甦ったのであるならば、キリストいまして“神の右に坐し給う”(天)上のものを求
めよ。"
"510302","
コロサイ 3:2","(常にただ天)上のものを思え。地上のものに気を取られるな。
"
"510303","
コロサイ 3:3","君達は(既にこの世に)死んで、その生命はキリストと共に神
の中に隠されているのだから。"
"510304","
コロサイ 3:4","(しかし今でこそ隠されているが、)私達の生命であるキリスト
が顯れ給う時には、君達もまた彼と共に栄光の裡に顯れるであろう。"
"510305","
コロサイ 3:5","だから、地上のものである(体の)肢の様々の慾、すなわち淫
行、汚穢、情慾、邪慾、また偶像礼拝なる貪慾を(悉く)殺せ。"
"510306","
コロサイ 3:6","神の怒りはこれらのことのために臨むのである。"
"510307","
コロサイ 3:7","君達もかつて(他の異教人と同様)これらの(罪の)中に生き
ていた時には、その中を歩いたのであった。"
"510308","
コロサイ 3:8","しかし今や君達もまた(キリストと共に死にまた甦ったのであ
るから、)凡てのものを棄てよ──(いま言った様々の慾はもちろん、なお)怒り、憤怒、
悪意を、また君達の口から誹謗と悪口を!"
"510309","
コロサイ 3:9","互いに嘘をつくな。行為もろとも旧い人間を脱ぎ棄て、"
"510310","
コロサイ 3:10","新しい人間を着よ。この新しい人間はいよいよ新しくされて、
彼を創造り給うた御方の“像に肖って”(遂に完全なる)知識に達するのである。"
"510311","
コロサイ 3:11","そして其処──(この新しい人間の住む世界)──には(最早)
ギリシヤ人とユダヤ人、割礼(の者)と無割礼(の者、また)野蛮人、スキテン人、奴隷、
自由人(の別)がなく、ただ凡てがキリスト、凡てにキリストである。"
"510312","
コロサイ 3:12","(斯く君達は新しい人間に創造られたの)だから、神に選ばれ
た者、聖い者、また(神に)愛される者として、心からなる同情、親切、謙遜、柔和、寛
容を着よ。"
"510313","
コロサイ 3:13","互いに我慢して、たとい誰かに対して不平があっても、互いに
赦し合え。主が君達を赦し給うたように、君達も赦せ。"
"510314","
コロサイ 3:14","しかしこれら一切のものに愛を加えよ。愛は(凡ての徳をしめ
くくり、これを)完成する帯である。"
"510315","
コロサイ 3:15","またキリストの平和に君達の心を心配せよ。君達もまた一体と
してこの平和に召されたのである(から)。また(神に対し)感謝深くあれ。"
"510316","
コロサイ 3:16","キリストの言をして豊かに君達の間に住ませよ。あらゆる知恵
をもって互いに教えまた諭せ。感謝の心に溢れて、聖歌と讃美歌と霊の歌を神にうたえ。"
"510317","
コロサイ 3:17","凡て言うこと為ることは、皆主イエスの名において為よ。彼に
よって父なる神に感謝せよ。"
"510318","
コロサイ 3:18","妻達よ、主にある者らしく夫に従え。"
"510319","
コロサイ 3:19","夫達よ、妻を愛し、辛くあたるな。"
"510320","
コロサイ 3:20","子達よ、何事によらず親の言うことを聴け。これは主において
喜ばれることであるから。"
"510321","
コロサイ 3:21","父達よ、子を怒らせて、いじけさせるな。"
"510322","
コロサイ 3:22","奴隷達よ、何事によらずこの世の主人の言うことを聴け。御機
嫌取りのように(主人の)眼の前だけでなく、主を畏れて真心で為よ。"
"510323","
コロサイ 3:23","何をするにも心から(これを)行え、人間でなく主を相手にし
て。"
"510324","
コロサイ 3:24","その報いとして主から「相続分」を戴くことを知っているでは
ないか。君達は主キリストに仕えているのである。"
"510325","
コロサイ 3:25","何故なら、(善い事をする者はその善い事に対して報いを受
け、)悪い事をする者はその為た悪い事の報いを受けるのであって、主には決して依怙が
無いのだから。"
"510401","
コロサイ 4:1","主人達よ、正義と公平をもって奴隷に対せよ、君達にも(一人
の)主人が天にあることを知って。"    
"510402","
コロサイ 4:2"," 撓まず祈れ、感謝をもって祈りつつ目を覚まし居れ。"
"510403","
コロサイ 4:3","同時に私達のためにも祈って、神が御言の門を私達に開いてキ
リストの奥義を語らせ給うよう──(実に)そのために私も(今)縄目についているので
あるが──"
"510404","
コロサイ 4:4","また私が命ぜられるままにその奥義を顕し得るようにしてもら
いたい。"
"510405","
コロサイ 4:5","(信者ならぬ)外部の人に対しては知恵をもって接し、(福音の
ためにあらゆる)機会を利用せよ。(時は迫っている。)"
"510406","
コロサイ 4:6","(また彼らに対する)君達の言は何時も気持よく、且つ塩で味
をつけよ。そうすれば一人一人に如何に答うべきかを知るであろう。"
"510407","
コロサイ 4:7","私自身のことは、愛する兄弟であり、主に在る忠実な世話役ま
た奴隷仲間であるテキコが、皆君達に知らせるであろう。"
"510408","
コロサイ 4:8","(今この手紙を持たせて)彼を君達に遺るのは、私達のことを
知らせて(少しでも)君達の心を慰めるために外ならない。"
"510409","
コロサイ 4:9","なお忠実な愛する兄弟であり、君達の所の者であるオネシモも
一緒に遺る。二人が何くれとなく此処のことを君達に知らせるであろう。"
"510410","
コロサイ 4:10","私と同じ因われの身であるアリスタルコと、バルナバの従兄弟
マルコから君達によろしく。【マルコのことについては(既に私からの)指図を受け取っ
たに違いない。彼が君達の所に行ったら歓迎してもらいたい。】"
"510411","
コロサイ 4:11","またユストというイエスからよろしく。割礼ある者の中でこの
人達だけが神の王国のために一緒に働いてくれて、私の慰めとなった者である。"
"510412","
コロサイ 4:12","君達の所のエパフラからよろしく。彼はキリスト・イエスの奴
隷であるが、君達が完成され、如何なる神の御意にも確信に満ちて立ち得るよう、何時も
君達のために祈りにおいて戦っている。"
"510413","
コロサイ 4:13","彼が君達と、ラオデキヤ及びヒエラポリスの人達とのために非
常に苦労していることは、私が証明する。"
"510414","
コロサイ 4:14","愛する医者ルカとデマからよろしく。"
"510415","
コロサイ 4:15","ラオデキヤの兄弟達、ニンフアとその家の教会に宜しく伝えて
くれ。"
"510416","
コロサイ 4:16","この手紙を君達の所で読んだら、ラオデキヤ人の教会にも読ま
せてくれ。また君達もラオデキヤから廻って来る手紙を読むように。"
"510417","
コロサイ 4:17","アルキッポに、「主に在って受けた職責に注意し、これを果た
せ」と言ってもらいたい。"
"510418","
コロサイ 4:18","これが私パウロの手による挨拶である。どうか私の縄目を記憶
してもらいたい。恩恵君達と共にあらんことを!"

テサロニケ人へ 第一
"520101","
・テサロニケ 1:1","パウロとシルワノとテモテから、手紙を父なる神と主イエ
ス・キリストとに在るテサロニケ人の教会に遺る。願わくは恩恵と平安とが君達(と共)
にあらんことを。"
"520102","
・テサロニケ 1:2","私達は祈りの中で君達のことを口にする度毎に、いつも君
達一同のことで神に感謝している。"
"520103","
・テサロニケ 1:3","私達は私達の神また父の前に私達の主イエス・キリストに
よ(って君達が表してい)る、君達の信仰の働きと愛の労苦と希望の忍耐とを、絶えず思
い出しているのである。"
"520104","
・テサロニケ 1:4","神に愛せられる兄弟達よ、君達が(神に)選ばれた者であ
ることを私達は知っている。"
"520105","
・テサロニケ 1:5","何故なら、私達の福音が君達の中に入ったのは、ただ言だ
けでなく、また能力と聖霊と大なる確信とによった(のであって、これこそ君達が選ばれ
ている証拠である)からである。──そして私達が君達の間で君達のために如何に行動し
たかは御承知の通りである。"
"520106","
・テサロニケ 1:6","且つ君達は大なる患難の中にあっても、聖霊の賜う喜びを
もって(私達の伝える)御言を受け容れて、私達と主(キリスト)との模倣者となり、"
"520107","
・テサロニケ 1:7","遂にマケドニヤとアカヤとにおける信者全体の模範となっ
たのである。"                    
"520108","
・テサロニケ 1:8","というのは、主の御言は君達から出て、ただマケドニヤと
アカヤとに響いたばかりでなく、神に対する君達の信仰(が篤いと言う評判)は至る所に
知れ渡っているので、私達は(今更)何も言う必要はない。"
"520109","
・テサロニケ 1:9","というのは、私達がどんな風にして君達の所で受け入れら
れたか、また君達が如何にして偶像から離れて(真の)神に立ち帰り、活ける真の神に仕
えているか、"
"520110","
・テサロニケ 1:10","そして如何に天から下り給うその御子を待ち望んでいるか
を、人々が自分で言い弘めているからである。そしてこの御子こそ神が死人の中から甦ら
せ給うたお方、すなわち私達を来らんとする御怒りから救い出し給うイエスである。"
"520201","
・テサロニケ 2:1","まことに、(愛する)兄弟達よ、私達の(この前の)君達訪
問が(決して)空(な訪問)でなかったことは、君達自身が知っている。"
"520202","
・テサロニケ 2:2","否、君達が知っている通り、私達は(君達の所に行く)前
にピリピで苦しめられ、虐待されたにも拘らず、私達の神によって勇気を得、苦しい戦い
をしながら君達に神の福音を語ったのである。"
"520203","
・テサロニケ 2:3","然り、私達は(或る人達が言うように、)迷いからや、不潔
(な考え)からや、また奸計によっては福音を説かなかった。"
"520204","
・テサロニケ 2:4","私達は神に(心の中を)験され(た後、選ばれ)て福音を
託されたのであるから、そのように──人間の気に入ろうとせず、(ただ)私達の“心を
験し給う”神の御意に適うように──語るのである。"
"520205","
・テサロニケ 2:5","君達が知っている通り、私達はかつて(一度も)お世辞を
使ったこともなく、また口実を設けて貪ったこともない──(これについては)神が証人
であり給う。"
"520206","
・テサロニケ 2:6","また私達は君達からも、他の人からも、人間の名誉を求め
なかった。"
"520207","
・テサロニケ 2:7","キリストの使徒として重んぜられ得るに拘らず! 否、私
達は君達の間で、あたかも母がその子を慈しみ育てるように、優しかった。"
"520208","
・テサロニケ 2:8","私達はこんなに君達を恋い慕っていたので、ただ神の福音
ばかりでなく、自分の生命までも与りたいと思った──君達は私達の愛人になったのだか
ら!"
"520209","
・テサロニケ 2:9","兄弟達よ、私達の労苦と骨折りを(まだ)憶えているであ
ろう。私達は君達の誰にも厄介をかけまいとして夜も昼も働きながら、君達に神の福音を
伝えたのであった。"
"520210","
・テサロニケ 2:10","君達信者に(向かって)私達が如何に敬虔に、正しく、ま
た非難の打ち処なく振舞ったが、"
"520211","
・テサロニケ 2:11","如何に君達一人一人を、ちょうど父が子に対するように─
─このことは君達が(よく)知っているが──"
"520212","
・テサロニケ 2:12","あるいは勧め、あるいは励まし、あるいは厳命して君達を
その御国と栄光とに召し給うた神の子らしく歩かせるようにしたかについては、君達(自
身)がその証人であり、また神が証人であり給う。"
"520213","
・テサロニケ 2:13","この故にまた私達が絶えず神に感謝しているのは、君達が
私達から神の言を聞いた時、(これを)人間の言とせず、事実通り神の言として受け、そ
れが(今)君達(テサロニケの)信者の間に(強く)働いていることである。"
"520214","
・テサロニケ 2:14","兄弟達よ、(本当に)君達はユダヤにおけるキリスト・イ
エスにある神の教会の模倣者となった。というのは、君達も彼らが(同胞)ユダヤ人から
受けたと同じ苦しみを同国人から受けたからである──"
"520215","
・テサロニケ 2:15","主イエスをも豫言者をも殺し、また私達(イエスの福音を
伝える者)をも迫害した同胞! 神の御意に適わず、凡ての人に敵意をもち、"
"520216","
・テサロニケ 2:16","私達が異教人の救いのために伝道することを妨げて、いつ
も自分の“罪の枡目を充たしている”(あの同胞ユダヤ)人達! しかし(神の)御怒り
は(今や)遂に彼らに臨んでいる!"
"520217","
・テサロニケ 2:17","兄弟達よ、私達は少しの間、君達から離れていたので──
(もちろん)形の上(だけ)のことで、心ではそうではなかったが──それだけ一層熱心
に君達に会いたいと思い焦がれた。"
"520218","
・テサロニケ 2:18","というのは、私達は君達の所に行こうと思ったけれども─
─そして私このパウロは、一度ならず二度までも──(しかし)サタン(の奴)に邪魔さ
れ(て行けなかっ)たのである。"
"520219","
・テサロニケ 2:19","何故(こんなにも君達に対して熱心であるか)と言うのか。
(兄弟達よ、)私達の主イエスの来臨の時、その御前で私達の希望(であり)、喜び(であ
り)、誇りの冠(である者)は(一体)誰であるか。(他の人達と共に)君達もそうではな
いのか。"
"520220","
・テサロニケ 2:20","然り、(誠に)君達こそ私達の光栄、また喜びである!"
"520301","
・テサロニケ 3:1","それ故もはや我慢が出来ず、私達だけアテネに残ることに
決心し、"
"520302","
・テサロニケ 3:2","私達兄弟で、キリストの福音における神の共働者であるテ
モテを(君達の所に)遺った。これは(彼によって)君達をその信仰において強め、また
励まし、"
"520303","
・テサロニケ 3:3","(斯くして)この(大なる)患難の際に(君達の中の)誰
一人も揺すぶられることの無いためである。──私達(キリストを信ずる者)が斯く運命
づけられていることは、君達自身が(よく)承知しているはずだ。"
"520304","
・テサロニケ 3:4","何故なら、私達が患難に遭わねばならぬことは、君達と一
緒にいた時分に予め話して置いたことでもあり、それが(果たして)その通りになって、
君達が(今自分で経験してそれを)知ったまでであるから。──"
"520305","
・テサロニケ 3:5","この故に私は最早我慢が出来ず、あるいは「試惑者」(なる
サタン)が君達を試惑みて、(今日までの)私達の骨折りが(全く)無駄になるようなこ
とがあってはと、君達の信仰(のことが心配になり、様子)を知るため君達の所に使い(と
してテモテ)を遺ったのである。"
"520306","
・テサロニケ 3:6","然るに今テモテが君達の所から帰って来て、君達の信仰と
愛とについて喜ばしい報告を齎し、また君達がいつも私達について善い思い出を有って居
り、丁度私達が会いたいと思っているように、君達(の方で)も私達に会いたいと思い焦
がれていると告げたので、"
"520307","
・テサロニケ 3:7","(愛する)兄弟達よ、それ故、私達は君達の故に、あらゆ
る苦難と患難において君達の信仰によって慰められた。"
"520308","
・テサロニケ 3:8","(君達は私達の生命である。)君達が主に在って確く立って
いれば、(私達は生きている。然り、)私達は今生きているのだ!"
"520309","
・テサロニケ 3:9","まことに私達は君達に就き、君達の故に私達の神の前に喜
んでいる一切の大なる喜びに対して、(一体)如何なる感謝(の祈り)を神に捧ぐること
が出来ようか。"
"520310","
・テサロニケ 3:10","私達は(もし許されれば再び)君達の顔を見、且つは君達
の信仰の欠けた所を完全にしたいと、夜も昼も熱心に(神に)懇願しているのである。"
"520311","
・テサロニケ 3:11","願わくは私達の父なる神彼自らと私達の主イエスが、私達
のために道を備えて君達に到らしめ給わんことを。"
"520312","
・テサロニケ 3:12","願わくは君達相互の間においても、凡ての人に対しても、
主が君達の愛を増し且つ豊かにして、君達に対する私達の愛の如くなし給わんことを。"
"520313","
・テサロニケ 3:13","かくて君達は心を強められ、私達の主イエスがその凡ての
聖徒達と共に(再び)来臨り給う時、私達の父なる神の前に於てその聖潔に就て責めらる
ることなからんことを。"
"520401","
・テサロニケ 4:1","だから最後に、(愛する)兄弟達よ、主イエスによって願い
また勧める。神をお喜ばせするにはどう歩かねばならぬかを、(既に)私達に教えられた
のだから、どうかその通りに…君達は(今)その通りに歩いているのであるが、どうかな
お一層進歩してもらいたい!"
"520402","
・テサロニケ 4:2","私達が主イエスによってどんな命令を与えたか、君達は知
っているのだから。"
"520403","
・テサロニケ 4:3","然り、神の御旨は君達が潔くなること、すなわち淫行を避
け、"
"520404","
・テサロニケ 4:4","一人一人が聖潔と尊敬とをもって自分の妻を待うことを学
び、"
"520405","
・テサロニケ 4:5","(決して)“神を知らぬ異教人”のように情慾をもって(こ
れに対)してはならぬこと、"
"520406","
・テサロニケ 4:6","兄弟の権利を侵し、取り引きにおいて利を貪らぬことであ
る。凡てこれらのことに対し、“主が仕返しをし給うお方”であることは、前に君達に言
いまた証した通りだから。"
"520407","
・テサロニケ 4:7","神が私達を召し給うたのは不潔を行わせるためでなく、聖
潔のためである。"
"520408","
・テサロニケ 4:8","かかるが故にこの戒めを軽んずる者は人を軽んずるのでな
く、“君達にその”聖なる“霊を賜うた”神を軽んずるのである。"
"520409","
・テサロニケ 4:9","兄弟愛については(かれこれ)書く必要はあるまい。互い
に相愛すべきことは君達自ら神に教えられ、"
"520410","
・テサロニケ 4:10","しかもそれをマケドニヤ中にいる凡ての兄弟達に対して実
行しているのだから。しかし(愛する)兄弟達よ、君達に勧める。なお一層(そのことに
おいて)進歩し、"
"520411","
・テサロニケ 4:11","また静かに生活し、自分の仕事を励み、(曩に)命じたよ
うに手ずから働くことをもって名誉とせよ。"
"520412","
・テサロニケ 4:12","これは(主を信じない)外部の人に対して(信者らしい)
見苦しからぬ生活をし、また誰の厄介にもならずにすむためである。"
"520413","
・テサロニケ 4:13","兄弟達よ、(主に在って)眠った者のことを知っていて、
希望の無い他の人々のように(徒らに)歎かないようにしてもらいたい。"
"520414","
・テサロニケ 4:14","私達が信ずるようにもしイエスが死んで復活し給うたなら
ば、神はイエスによって眠った者をも同様にイエスと共に連れ来たり給うであろうから。"
"520415","
・テサロニケ 4:15","然り、私達の主の御言をもってこのことを(はっきり)君
達に言う(ことが出来る)──私達主の来臨(の時)まで生き残っている者は、(既に)
眠った者に先立つ(て光栄に与る)ことは絶対に無い。"
"520416","
・テサロニケ 4:16","何故なら、(その時)主自ら号令と御使いの頭の声と神の
ラッパ(の響き)と共に天から下り給うて、キリストにおいて死んだ死人がまず復活し、"
"520417","
・テサロニケ 4:17","それから私達(その時まで)生き残っている者が主に会う
ため彼らと一緒に雲に乗って空中に奪い去られる。かくして私達はいつも主と共に居るの
である。"
"520418","
・テサロニケ 4:18","だから、これらの言をもって互いに慰め合え。"
"520501","
・テサロニケ 5:1","兄弟達よ、(来臨までの)時間と(その)時期とについては、
(更めてここに)書く必要はあるまい。"
"520502","
・テサロニケ 5:2","主の日が夜の盗人のように(不意に)来ることを君達は精
密く知っているのだから。"
"520503","
・テサロニケ 5:3","人々が無事だ、大丈夫だと言っている時に、丁度妊婦に陣
痛が起こると同じように、思いもかけず滅亡が来て、決して逃げ出すことは出来ない。"
"520504","
・テサロニケ 5:4","しかし兄弟達よ、君達は暗の中にいないから、その日が君
達に盗人のように襲いかかることは無い。"
"520505","
・テサロニケ 5:5","皆光の子、昼の子なのだから。私達(主を信ずる者)は夜
の者でも、暗の者でもない。"
"520506","
・テサロニケ 5:6","だから、他の人のように眠っていずに、(いつも)目を覚ま
し、白面でいようではないか。"
"520507","
・テサロニケ 5:7","眠る者は夜眠り、(酒に)酔う者は夜酔うのである。"
"520508","
・テサロニケ 5:8","しかし私達は昼の者だから、信仰と愛の“鎧と、救いの”
希望の“兜とに身を固め”て、白面でいようではないか。"
"520509","
・テサロニケ 5:9","何故なら神が私達に定め給うた運命は御怒りによる滅亡で
なく、私達の主イエス・キリストによって救いを得ることであるから。"
"520510","
・テサロニケ 5:10","主は、私達が(その日)目を覚ましていても(あるいは既
に墓に)眠っていても、(皆等しく)彼と共に生きることが出来るように、私達のために
死に給うたのである。"
"520511","
・テサロニケ 5:11","だから、今既にそうしているように、互いに慰め合い、ま
た互いに励まし合え。"
"520512","
・テサロニケ 5:12","兄弟達よ、願う、君達の所で働き、主にあって世話し、ま
た訓戒する人々(の骨折り)を認め、"
"520513","
・テサロニケ 5:13","その仕事の故に特別に彼らを愛し尊重せよ。互いに仲善く
せよ。"
"520514","
・テサロニケ 5:14","兄弟達よ、なお勧める、ふしだらな者を戒め、気の小さい
者を励まし、(心の)弱い者の面倒を見てやり、誰に対しても寛大であれ。"
"520515","
・テサロニケ 5:15","誰も悪で悪に仕返しせぬように注意し、互いに、また何人
にも、常に親切であるように努めよ。"
"520516","
・テサロニケ 5:16","常に喜べ、"
"520517","
・テサロニケ 5:17","絶え間なく祈れ、"
"520518","
・テサロニケ 5:18","(幸不幸、)何事についても(神に)感謝せよ。これ(ら
三つ)は神がキリスト・イエスに於て君達に求め給うものである。"
"520519","
・テサロニケ 5:19","(他人に燃えている)霊(の火)を消すな。"
"520520","
・テサロニケ 5:20","(殊に)預言(する者があれば、それ)を軽蔑するな。"
"520521","
・テサロニケ 5:21","何事についても真偽を見別け、善いもの(だけ)を保存せ
よ。"
"520522","
・テサロニケ 5:22","“あらゆる”種類の“悪に遠ざかれ”。"
"520523","
・テサロニケ 5:23","願わくは、平和の神自ら君達を潔め尽くし、私達の主イエ
ス・キリストの来臨の時咎められることの無いように、君達の霊と心と体を完全に守り給
わんことを。"
"520524","
・テサロニケ 5:24","君達を召し給うお方は真実だから、このことをも(きっと)
成し遂げ給うであろう。"
"520525","
・テサロニケ 5:25","兄弟達よ、私達のために【も】祈ってくれ。"
"520526","
・テサロニケ 5:26","潔い接吻で兄弟一同に宜しく(と伝えてくれ)。"
"520527","
・テサロニケ 5:27","主に誓って君達に願う、兄弟一同にこの手紙を読み聞かせ
よ。"
"520528","
・テサロニケ 5:28","願わくは私達の主イエス・キリストの恩恵、君達と共にあ
らんことを!"

テサロニケ人へ 第二
"530101","
・テサロニケ 1:1","パウロ、シルワノ、テモテより、私達の父なる神と主イエ
ス・キリストに在るテサロニケ人の教会に手紙を遺る。"
"530102","
・テサロニケ 1:2","父なる神と主イエス・キリストの恩恵と平安、君達にあら
んことを。"
"530103","
・テサロニケ 1:3","兄弟達よ、当然のことながら、私達がいつも君達のために
神に感謝しなければならないのは、君達の信仰が著しく成長し、また互いの愛が君達一
人一人に皆増し加わっていることであって、"
"530104","
・テサロニケ 1:4","そのため私達は自分(の口)で、君達があらゆる迫害と患
難に耐えているその忍耐と忠実とを神の諸教会の中で自慢しているのであるが、"
"530105","
・テサロニケ 1:5","(実はかく)君達が苦しんでいることが(とりも直さず)
神の正しい(最後の)審判の(既に切迫している)兆であり、(またそれにより)君達が
神の国に相応しい者とされるためであって、君達は(今)その御国のために苦しんでいる
ので、"
"530106","
・テサロニケ 1:6","神は(きっと)──これは神において正しいことであるか
ら──(今)君達を苦しめている者達には患難をもって、"
"530107","
・テサロニケ 1:7","また(これに反し今)苦しめられている君達には私達と一
緒に安息をもって報い給うのであって、そのことは主イエスが天からその能力なる天使(の
群)と共に“火焔の中に”現れ給う時に実現し、"
"530108","
・テサロニケ 1:8","(その時)主は“神を知ろうとせぬ(異教の)者”と、私
達の主イエスの福音に“従順でない者に仕返しをし給う”ので、"
"530109","
・テサロニケ 1:9","これらの人達は罰を受けて“主の御顔とその御力の栄光と
から”永遠に滅び失せる──"
"530110","
・テサロニケ 1:10","そしてこれは主が“聖徒達の間に崇められ”、凡ての信者
の間にて【(もちろん君達の間にても)──私達の(福音の)証は君達の所で信じられた
のだ!】“誉めたたえられんとて来たり給うかの日に”実現するのである。"
"530111","
・テサロニケ 1:11","そのため私達はまた、私達の神が君達をその御召しに相応
しい者とし、また(君達の)善に対する凡ての悦びと信仰の業とを力づよく完成し給わん
ことを、いつも君達のために祈っているのであるが、"
"530112","
・テサロニケ 1:12","これは私達の神と主イエス・キリストの恩恵によって、私
達の主イエスの“御名が君達の間にて崇められ”、また君達も彼に在って崇められ“んた
めである”。"
"530201","
・テサロニケ 2:1","兄弟達よ、お願いだが、【私達の】主イエス・キリストの来
臨と、(その時)私達が御許に集まることとについては、"
"530202","
・テサロニケ 2:2","(たとい)霊(の語)によって、あるいは私達から(出た)
と(吹聴)されている言によりあるいは手紙によって、主の日は(既に)来ていると言わ
れても、(決して)直に心を騒がせたり、狼狽えたりしないようにしてもらいたい。"
"530203","
・テサロニケ 2:3","誰が何と言っても決して騙されてはならない。何故なら、(主
の日が来る前には必ず)まず背教が起こり、そして不法の人、(すなわち)滅亡の子が顕
れねばならぬからである。"
"530204","
・テサロニケ 2:4","これは“凡て神”とか聖なるものとか呼ばれるものに反抗
して自ら“高ぶり”、斯くして(遂に)“神の”聖殿“に坐り込み”、自分を”神”なりと
する者である。"
"530205","
・テサロニケ 2:5","これは私がまだ君達の所にいた時(度々)言ったことであ
るが、思い出さないのか。"
"530206","
・テサロニケ 2:6","そして彼がその定められた時に(はじめて)顕れるため、
今(これを)引き留めているものがあることを君達は知っている(はずである。)"
"530207","
・テサロニケ 2:7","然り、既に不法は秘密に働いている。ただ、それは今(こ
れを)引き留めている者が取り除かれるまでであって、"
"530208","
・テサロニケ 2:8","その時(いよいよ)“不法の者”が顕れ、これを主【イエス】
が“その口の息で殺し”、その来臨の出現で亡ぼし給うであろう。"
"530209","
・テサロニケ 2:9","そしてこの不法の者はサタンの働きによって来臨し、あら
ゆる偽りの奇蹟と徴と不思議と、"           
"530210","
・テサロニケ 2:10","あらん限りの不義の眩惑とをもって、亡び行く人達に向か
うのである。というのは、この人達は彼らを救う(福音の)真理に対する愛を(少しも有
たず、福音を示されながら遂にこれを)受けなかったからである。"
"530211","
・テサロニケ 2:11","そこで神は彼らが虚偽を信ずるため惑わす力を彼らに送っ
て、"
"530212","
・テサロニケ 2:12","真理を信ぜず悪を喜ぶ人達を悉く審判き給うのである。"
"530213","
・テサロニケ 2:13","しかし、“主に愛されている”兄弟達よ、私達は常に君達
のために神に感謝しなければならない。というのは、神は君達を霊の聖潔と真理の信仰と
によって始めから救いに選び、"
"530214","
・テサロニケ 2:14","私達の主イエス・キリストの栄光を得させようとして、私
達の福音によって君達をも召し給うたからである。"
"530215","
・テサロニケ 2:15","それだから、兄弟達よ、堅く(信仰に)立って、私達が言
や手紙で教えた言い伝えを確り守ってくれ。"
"530216","
・テサロニケ 2:16","願わくは、私達の主イエス・キリスト彼自らと、私達を愛
し、恩恵により永遠の慰めと善き希望を与え給うた私達の父なる神とが、"
"530217","
・テサロニケ 2:17","君達の心を慰め、あらゆる善き業と言とにおいて(君達を)
強くし給わんことを!"
"530301","
・テサロニケ 3:1","最後に、兄弟達よ、どうか私達のために祈ってくれ──君
達の場合と同様、主の言が駈け足で弘まり、また(至る所で)崇められるように、"
"530302","
・テサロニケ 3:2","且つ私達が邪な悪人ども(の手)から救い出されるように!
誰にも信仰がある訳ではないのだから。"
"530303","
・テサロニケ 3:3","しかし主は忠実であり給う、君達を強くして悪人から守り
給うであろう。"
"530304","
・テサロニケ 3:4","君達が私達の命令を今【も】後も行うであろうことを、主
に在って確信している。"
"530305","
・テサロニケ 3:5","願わくは主が君達の心を、神の愛とキリストによる忍耐と
に導き給わんことを!"
"530306","
・テサロニケ 3:6","兄弟達よ、主イエス・キリストの名において命令する。ふ
しだらな生活をし、私達から受けた言い伝えに拠って歩かぬ兄弟とは誰とも交際を避けよ。
"
"530307","
・テサロニケ 3:7","どう私達を真似ねばならぬかを、君達は自分で(よく)知
っているはずだから。私達は君達の所で(決して)ふしだらな生活をせず、"
"530308","
・テサロニケ 3:8","また無代で他人のパンを食ったこともないではないか。否、
誰にも厄介をかけまいとして、苦労し骨折りながら夜も昼も(手ずから)働いた。"
"530309","
・テサロニケ 3:9","これは(何も君達の所でパンを食う)権利がないというの
ではない。ただ私達の真似をさせるために、自分を君達の手本にしようとしたまでである。
"
"530310","
・テサロニケ 3:10","君達の所にいた時にも、働きたくない者は食ってはならぬ
と言ったではないか!"
"530311","
・テサロニケ 3:11","ところが聞くところによると、君達の所にふしだらな生活
をする者、(すなわち)何も仕事をせず、無駄事ばかりしている者があるそうである。"
"530312","
・テサロニケ 3:12","そんな人達に、落ち着いて働き自分のパンを食うように、
主イエス・キリストにおいて命令しまた勧める。"
"530313","
・テサロニケ 3:13","しかし兄弟達よ、君達は倦まず善を行え。"
"530314","
・テサロニケ 3:14","もし私達のこの手紙の言に従わない者があるならば、その
人を注意人物にして付き合わないようにせよ。その人が恥じ(て過ちを改め)るためであ
る。"
"530315","
・テサロニケ 3:15","しかし敵と思わず、兄弟として訓戒せよ。"
"530316","
・テサロニケ 3:16","願わくは、平和の主自ら、何時如何なる場合においても、
君達に平安を与え給わんことを!主が君達一同と共に在し給わんことを!"
"530317","
・テサロニケ 3:17","これがパウロの自筆の挨拶で、凡ての手紙の記号である―
―私は(いつも)こんな風に書く

"530318","・テサロニケ 3:18","願わくは、私達の主イエス・キリストの恩恵、君達一同と
共にあらんことを!

テモテへ 第一
"540101","
・テモテ 1:1","われらの救い主なる神とわれらの希望なるキリスト・イエスの
命によってキリスト・イエスの使徒たる(われ)パウロより、"
"540102","
・テモテ 1:2","(わが)信仰の本当の子なるテモテに手紙を遣る。願う、父な
る神とわれらの主キリスト・イエスよりの恩恵と憐憫と平安あれ!"
"540103","
・テモテ 1:3","私がマケドニヤに出かける時お前に頼んだように、(引き続き)
エペソに留まり、或る人達に確と言いつけて、(福音と)違った教えを説かぬよう、"
"540104","
・テモテ 1:4","昔話や果てしもない系図(の穿鑿)に気を取られないようにし
てもらいたい。これらはただ理窟をこねるだけで、信仰による神の救いの計画の成就には
(少しも)役立たない。"
"540105","
・テモテ 1:5","しかし(真の)伝道の目標は清い心と善い良心と偽らない信仰
から生まれる愛である。"
"540106","
・テモテ 1:6","或る人達はこれらから外れて(今言うような)無駄話に向かっ
たのであって、"
"540107","
・テモテ 1:7","律法の教師を気取ってはいるが、(実は自分で)何を言っている
のかも、何を懸命に証明しているのかも知らない。"
"540108","
・テモテ 1:8","しかし律法はその精神に従ってこれを用うれば善いものである
ことを私達は知っている──"
"540109","
・テモテ 1:9","すなわち律法は正しい人のためでなく、無法の者と不逞の者、
不敬虔な者と罪人、不潔な者と涜す者、父殺しと母殺し、人殺し、"
"540110","
・テモテ 1:10","淫行の者、男色家、誘拐者、嘘つき、偽誓者のため、この他(凡
て)健全な教えに反するもののためにあることを知って(用う)るならば!"
"540111","
・テモテ 1:11","そしてこのことは私(パウロ)が託された至幸なる神の栄光の
福音によれば正に然りである。"
"540112","
・テモテ 1:12","私は(この尊いつとめを果たすに足る者とするため)私を強く
し給うたわれらの主キリスト・イエスに感謝する。彼は私(如き者)を忠実なりとしてこ
の職に任じ給うたのである──"
"540113","
・テモテ 1:13","かつては(神を)冒涜する者、迫害する者、また暴逆を行う者
であったこの私を! しかしそれは信仰の無い時に知らずにしたことであったため、憐れ
みを蒙り、"
"540114","
・テモテ 1:14","われらの主の恩恵が、信仰とキリスト・イエスにある愛と共に
(私に)溢れ漲ったのである。"
"540115","
・テモテ 1:15","(まことに)「キリスト・イエスは罪人を救うために世に来給
うた」という言は信ずべく、また無条件に承認さるべきである。そしてこの私がその罪人
の第一人者である。"
"540116","
・テモテ 1:16","しかし(罪人の第一人者たる)この私が(特に)憐れみを蒙っ
たのは、イエス・キリストが(まず救いの)第一人者として私にあらん限りの寛容を示し、
(私をして今後)彼を信じて永遠の生命に入ろうとする者の典型たらしめんために外なら
なかった。"

"540117","・テモテ 1:17","万代の王、朽ちぬ見得ざる唯一の神に、栄誉と栄光代々限りな
くあらんことを! アーメン。"
"540118","
・テモテ 1:18","わが子テモテよ、曩に(伝道を委ねられる時)お前に向けて為
された(度々の)予言に従い、(今)この命令をお前に与える。あの予言(を思い起こし、
それ)によって(力づけられ、)"
"540119","
・テモテ 1:19","(強い)信仰と善い良心を持って善き戦いを戦ってもらいたい
ためである。この良心を斥けて信仰に難破した者がある。"
"540120","
・テモテ 1:20","その中にはヒメネオとアレキサンデルがいるが、これを懲らし
めて涜を言うことを止めさせるため、私は彼らをサタンに引き渡した。"
"540201","
・テモテ 2:1","だから何よりも先に勧める、凡ての人のために祈願、祈祷、代
願、感謝を(神に)捧げよ、"
"540202","
・テモテ 2:2","特に王達及び凡ての高官達のために。これは私達が一生を穏や
かに静かに、全き敬虔と謹厳とをもって過ごす(ことの出来る)ためである。"
"540203","
・テモテ 2:3","(かく凡ての人のために祈ること、)これは私達の救い主なる神
の御前に善いこと、また御意に適うことである。"
"540204","
・テモテ 2:4","神は凡ての人が救われ、真理の知識に達せんことを欲し給うの
である。"
"540205","
・テモテ 2:5","(しかし何故凡ての人が救われるか。)それは(天上天下、)神
はただ一柱であり、神と人との(間の)仲介者もただ一人、(すなわち)人なるキリスト・
イエス、"
"540206","
・テモテ 2:6","凡ての人のために身代金として自分を与え給うた彼(だけ)で
あるからである。そして(今や定められた)その時が来てこのことが(神によって)証明
され、"
"540207","
・テモテ 2:7","私はそのための宣教者また使徒、異教人の信仰と真理の教師と
されたのである──私は本当のことを言うので、虚言をつかない!"
"540208","
・テモテ 2:8","だから男子達は、何処ででも、怒らず争わず、潔い手をあげて
祈ってもらいたい。"
"540209","
・テモテ 2:9","同じく婦人達も身嗜みよく、貞淑と慎みをもって身を飾り、編
んだ頭髪や金や真珠や高価な着物でなく、"
"540210","
・テモテ 2:10","神信心を告白する婦人に似つかわしい立派な業をもって身を飾
ってもらいたい。"
"540211","
・テモテ 2:11","婦人は(教会ではただ)静かに聴き、絶対の服従をもって(道
を)学ばねばならぬ。"
"540212","
・テモテ 2:12","(教会で)婦人が教えたり、男子の上に立ったりすることは許
さない。ただ静かにして居れ。"
"540213","
・テモテ 2:13","(このことは天地創造の由来からでも、エデンの話を見ても明
らかである。)何故なら、アダムがまず造られ、次いでエバが造られたのであり、"
"540214","
・テモテ 2:14","またアダムは惑わされず、女なる(エバ)が(蛇に)惑わされ
て罪に落ちたからである。"
"540215","
・テモテ 2:15","しかしもし婦人が慎みをもって信仰と愛と聖潔とを保っている
ならば、子を産むこと(、これを育てて母の務めを果たすこと)によって救われるであろ
う。(婦人は教会でなく家の中で働くべきである。)"
"540301","
・テモテ 3:1","「監督の職にあこがれる者は善い仕事を欲しがる者」という(言
があるが、)この言は信ずべきである。(監督は尊い職であるからである。)"
"540302","
・テモテ 3:2","だから監督(たる者)は一点非難の打ち処のない(者でなけれ
ばならない。すなわち)一人の妻の夫であり、真面目で、思慮があり、端正で、接待好き
で、教え上手で、"
"540303","
・テモテ 3:3","酒好き喧嘩好きでなく、むしろ優しく、喧嘩嫌いで、金銭を欲
しがらず、"
"540304","
・テモテ 3:4","自分の家をよくおさめ、きわめて謹厳で、その子女達が従順な
者でなければならぬ。"
"540305","
・テモテ 3:5","【自分の家を(すらよく)おさめることを知らない者に、どう
して神の(家である)教会の世話が出来ようか。】"
"540306","
・テモテ 3:6","なお(信仰の)新入生でないこと(が必要である。)そうでない
と、(直に)思い上がって悪魔の審判に落ちるであろう。"
"540307","
・テモテ 3:7","また外の者の評判も好くなければならぬ。そうでないと悪口を
言われて、悪魔の羂に落ちるであろう。"
"540308","
・テモテ 3:8","執事も同様に謹厳で、二枚舌を使わず、大酒を飲まず、汚い金
儲けをせず、"
"540309","
・テモテ 3:9","潔い良心に信仰の奥義を有っている者でなければならぬ。"
"540310","
・テモテ 3:10","(監督と同じく)この人達もまず(これらの点をよく)調べた
上で、(少しも)非難すべき所が無ければ、執事の職に就かせよ。"
"540311","
・テモテ 3:11","女執事も同様に謹厳で、(人の)悪口を言わず、真面目で、何
事にも忠実でなければならぬ。"
"540312","
・テモテ 3:12","執事は一人の妻の夫で、子女達と自分の家とをよくおさめねば
ならぬ。"
"540313","
・テモテ 3:13","よく執事の職を務める者は、(教会にて)善き地位と、またキ
リスト・イエスに対する信仰による大なる確信とを獲る(ことが出来る)であろう。"
"540314","
・テモテ 3:14","これらのことを君に書くのは、直に君の所に行こうと思ってい
るが、"
"540315","
・テモテ 3:15","万一延引した場合、(皆が)神の家で如何に振舞うべきかを君
(だけ)に(でも)知らせたいためである──神の家は活ける神の教会、真理の柱、また
礎である。"
"540316","
・テモテ 3:16","そして確かに(私達の)信仰の奥義は偉大である。(讃美歌に
うたう通りである──)彼(キリスト)は肉にて顕され、霊にて義とされ、御使いたちに
見られ、諸国の民に宣べ伝えられ、世に信ぜられ、挙げられて栄光に入り給うた。"
"540401","
・テモテ 4:1","しかし御霊は、後日(必ず)或る人々が虚言者どもの偽善に欺
かれて迷いの霊と鬼の教えに心を奪われ、信仰から離れ落ちることを(予め)明らかに言
い給う。"
"540402","
・テモテ 4:2","この虚言者どもは(私利や貪欲の奴隷となり、あたかも奴隷が
額に焼印を押されるように)自分の良心に焼印を押され(ていながら、)"
"540403","
・テモテ 4:3","(口では禁欲を唱えてあるいは)結婚を禁じたり、(あるいは)
食物を断たせたりしている──しかし食物は信じ且つ真理を知る者が感謝をもって頂くよ
うに神が創造り給うたものである。"
"540404","
・テモテ 4:4","何故なら、神の創造り給うたものは皆佳く、感謝をもって受く
れば廃り物は一つも無い。"
"540405","
・テモテ 4:5","(食物は悉く食前の祈りにおける)神の言と感謝の祈りとによ
って聖められるからである。"
"540406","
・テモテ 4:6","この(結婚や食物の)ことを(正しく)兄弟達に教えるならば、
君は信仰と(今まで)随って来た(健全な)善い教えとの言によって育てられ、キリスト・
イエスの立派な世話役となるであろう。"
"540407","
・テモテ 4:7","信仰的でない、愚にもつかぬ昔話をはねつけよ。(人はともあれ、
いよいよ)自分を鍛錬して敬虔となれ。"
"540408","
・テモテ 4:8","「(禁欲ごとき)体の鍛錬は益少ないが、敬虔は凡てに益がある。
現世、来世の生命の約束を有つ」(という言があるが)、"
"540409","
・テモテ 4:9","この言は信ずべく、また無条件に承認さるべきである。"
"540410","
・テモテ 4:10","私達の奮闘も努力も畢竟この生命の約束を目的としている──
私達は凡ての人、特に信者の救い主である活ける神に希望を置いているのであるから!"
"540411","
・テモテ 4:11","これらのことを(堅く)命令し且つ教えよ。"
"540412","
・テモテ 4:12","自分の年の若いことを誰にも軽蔑されるな。却って言において、
振舞いにおいて、愛において、信仰において、純潔なことにおいて(凡ての)信者の模範
となれ。"
"540413","
・テモテ 4:13","私が行くまで(集会で聖書を)朗読すること、勧めをすること、
教えることに心を傾けよ。"
"540414","
・テモテ 4:14","(伝道を委ねられた時)長老達の按手と共に予言によって与え
られた恩恵を無駄にすることのないように。"
"540415","
・テモテ 4:15","これらのことを努め、その中に生きて、君の進歩を皆の者に明
らかにせよ。"
"540416","
・テモテ 4:16","君自身にもまた(自分の)教えにも注意せよ。(いつまでも)
これらのことに止まって居れ。これをすれば君自身をも、君の話を聴く人達をも(悉く)
救う(ことが出来る)であろう。"
"540501","
・テモテ 5:1","年寄りはひどく叱らず(自分の)お父さんのように、若い者は
兄弟のように、"
"540502","
・テモテ 5:2","年寄りの婦人はお母さんのように、若い婦人は──(ただこの
場合は)極めて廉目正しく──姉妹のように、(よく)諭してやれ。"
"540503","
・テモテ 5:3","(身寄りの無い)本当の寡婦(だけ)を寡婦として敬え。"
"540504","
・テモテ 5:4","もし或る寡婦に子や孫があるなら、この人達にまず自分の家の
者に孝行し、父祖に恩を報ゆることを学ばせよ。これは神の御前に喜ばれることであるか
ら。"
"540505","
・テモテ 5:5","本当の寡婦で孤独の者は望みを神に置いて夜も昼も願い且つ祈
り続ける。"
"540506","
・テモテ 5:6","しかしだらしのない寡婦は生ける屍である。"
"540507","
・テモテ 5:7","このことを(堅く)命令して、彼らに一点非難の打ち処の無い
ようにせよ。"
"540508","
・テモテ 5:8","自分の身内の者、特に家族を顧みないなら、その人は信仰を棄
てたので、不信者よりも悪い。"
"540509","
・テモテ 5:9","「寡婦」(の籍)に載せ(て教会で働かせ)る者は、六十歳以下
でなく、(ただ)一人の夫の妻であり、"
"540510","
・テモテ 5:10","善い仕事で評判が高く、すなわち或は(よく他人の)子を育て、
旅の人を待し、聖徒の足を洗い、苦しんでいる者を助け(る等、)凡て善い仕事にたずさ
わった者でなければならぬ。"
"540511","
・テモテ 5:11","年若い寡婦は(教会で働きたいとの申し込みがあっても)断れ。
キリストに背いて情慾に負ける時は、結婚したくなり、"
"540512","
・テモテ 5:12","最初の誓いを破ったという審きを受けるからである。"
"540513","
・テモテ 5:13","彼らはまた惰けることを覚えて家々を歩き廻り、しかもただ惰
けるばかりでなく、お喋りをし、おせっかいをして、言うべからざることを言うようにな
る。"
"540514","
・テモテ 5:14","だから年若い寡婦は(いっそもう一度)結婚して子を産み、家
を治めて、敵に悪口の機を少しも与えないようにしてもらいたい。"
"540515","
・テモテ 5:15","数人の者は既に外れてサタンの後に随いて行ったのだから。"
"540516","
・テモテ 5:16","(身内に)寡婦をもつ信者の婦人は、教会に厄介をかけぬため
(自分で)その人達の世話をせよ。本当の寡婦の世話を教会にさせるためである。"
"540517","
・テモテ 5:17","長老でよく(教会を)治めている者、特に話すこと教えること
に骨折っている者は、二倍の謝礼を受ける資格ありとせよ。"
"540518","
・テモテ 5:18","聖書は「“穀物を踏む牛に口篭を箝めるな”」と言うのだから。
また「労働人がその報酬にありつくのは当然である」とある。"
"540519","
・テモテ 5:19","長老に対する訴えは“二人または三人の証人”が無ければ受け
付けるな。"
"540520","
・テモテ 5:20","(長老で)罪を犯している者は(教会の者)皆の前で咎めて、
他の長老達の見せしめにせよ。"
"540521","
・テモテ 5:21","神とキリスト・イエスと選ばれた御使い達の前で(君に)きっ
と申しつける。(凡て)これらのことを偏見なしに守れ。また何事も依怙でするな。"
"540522","
・テモテ 5:22","何人にも軽々しく按手するな。(このことについては)他人の
(犯す)罪に巻き込まれてもいけない。自分を潔く保て。"
"540523","
・テモテ 5:23","君ももう水飲みをせず、胃のため、またよく病気をするから、
少し葡萄酒を用いてはどうか。"
"540524","
・テモテ 5:24","或る人の罪は(余り明らかで)はっきり見え、(本人に)先だ
って裁判に行くが、或る人には(罪が)後から随いて行く。"
"540525","
・テモテ 5:25","同じように善い仕事もはっきり見える。(たとい始めは)そう
でないものも、(何時までも)隠れていることは出来ない。"
"540601","
・テモテ 6:1","軛の下に在る奴隷は皆、自分の主人(がどんな主人であっても、
これ)をあらん限りの尊敬に値する者と考えよ、神の御名と、(主の)教えが涜されない
ためである。"
"540602","
・テモテ 6:2","また信者の主人をもつ奴隷は、主人が(主にある)兄弟である
からといって(これを)軽んぜず、むしろ却つて(熱心に)奉公しなくてはいけない。主
人は信者で、神に愛される者であって、(凡ての人に、然り、奴隷にも)親切を尽くそう
としているのであるから。このことを教え且つ勧めよ。──"
"540603","
・テモテ 6:3","もし(真の福音と)違った教えを説き、我らの主イエス・キリ
ストの健全なる言と、敬虔なる教えに賛成しない者があるなら、"
"540604","
・テモテ 6:4","その人は思い上がっていて、何もわからず、(ただ)議論と口論
の病気に罹っているので、それから出て来るものは嫉み、争い、誹謗、邪推であり、"
"540605","
・テモテ 6:5","(また)理性を失い真理を奪われた人達の不断の争闘である。
この人達は信心を金儲けと考えている。"
"540606","
・テモテ 6:6","信心はたしかに大きな「金儲け」である──足るを知るなら!"
"540607","
・テモテ 6:7","本当に私達は何一つ持たずにこの世に来たのである。従って何
一つ持って(この世を)去ることは出来ない。"
"540608","
・テモテ 6:8","だから(とにかく)食う物と着る物があれば、それで足れりと
しよう。"
"540609","
・テモテ 6:9","しかし金持ちになろうとする者は誘惑と罠と、愚にして有害な
種々の慾とに陥る。そしてこれが人を堕落と滅亡とに突き落とすのである。"
"540610","
・テモテ 6:10","あらゆる悪の根は金を欲しがることにあるから。或る人はこれ
に憧れて信仰から迷い、多くの苦痛で自分を刺し通した。"
"540611","
・テモテ 6:11","ああ、しかし神の人よ、君はこれを避け、義、敬虔、信仰、愛、
忍耐、柔和を追い求めよ。"
"540612","
・テモテ 6:12","信仰の善い戦いを戦い、永遠の生命を捉えよ。君はこの生命に
召されて、多くの証人達の前で(信仰の)よき告白をしたのである。"
"540613","
・テモテ 6:13","私は万物に生命を賜う神と、ポンテオ・ピラトの前で善き証し
を為し給うたキリスト・イエスとの前で、(君に堅く)命ずる──"
"540614","
・テモテ 6:14","我らの主イエス・キリストの顕れ給う時まで欠くる所なく、一
点非難の打ち所なく(私の)この命令を守れ。"
"540615","
・テモテ 6:15","その時が来れば、至幸唯一の主権者、王の王、主の主(なる神)
は、(必ず)彼を(私達に)示し給うであろう。"
"540616","
・テモテ 6:16","神は(ただ)独り不死を有ち、近づき難き光に住み、誰一人こ
れを見た者がなく、また見ることも出来ない。栄誉と永遠の権力彼にあれ!アーメン。"
"540617","
・テモテ 6:17","この世の金持ち達に(堅く)命ぜよ──高慢にならぬように、
また不確かな富でなく、私達を楽しませようとして豊かに万物を与え給う神に望みを置く
ように、"
"540618","
・テモテ 6:18","善を行うように、善い仕事に富むように、物惜しみせず分け好
きであるように、"
"540619","
・テモテ 6:19","かくして自分の未来のために善い資本を積んで、真の生命を捉
えるように(命ぜよ。)"
"540620","
・テモテ 6:20","ああ、テモテよ、委ねられたもの(、すなわち健全な教え)を
守れ。信仰的でない無駄話と名ばかりの「知識」の反対論を離れよ。"
"540621","
・テモテ 6:21","或る人はこの「知識」にかぶれて信仰から離れ落ちたのである。
恩恵君達と共にあらんことを。"

テモテへ 第二
"550101","
・テモテ 1:1","神の御意によりキリスト・イエスにおける生命の約束を宣ぶる
ためにキリスト・イエスの使徒たる(われ)パウロ、"
"550102","
・テモテ 1:2","(わが)愛子テモテに手紙を遺る。願う、父なる神と、われら
の主キリスト・イエスよりの恩恵と憐憫と平安あれ!"
"550103","
・テモテ 1:3","祈りの中で夜も昼も絶えず君のことを思う時、私は(わが)先
祖代々潔い良心を以て事えている神に(いつも)感謝する。"
"550104","
・テモテ 1:4","私は(別れた時の)君の涙を思い出しては、(最後の日が来る前
に是非一度)君に会って心一杯に喜びたいと思い焦がれている。"
"550105","
・テモテ 1:5","(本当に)私は(君の純な信仰、)最初に君のお祖母さんロイス
に、次にお母さんユニケに宿った、そして私の確信するところでは(今)君にも宿ってい
る君の偽らない信仰を思い起こすのだ。"
"550106","
・テモテ 1:6","そのため君に注意するが、どうか私の按手によって君が戴いて
いる神の恩恵の火を(もう一度)煽るように、"
"550107","
・テモテ 1:7","神が私達に与え給うた恩恵は臆病の霊でなく、能力と愛と節制
の霊であるから。"
"550108","
・テモテ 1:8","だから我らの主の証明(をすること)と、その囚人となるこの
私とを恥とせず、神の能力によって福音のために(私と)共に苦しめ。"
"550109","
・テモテ 1:9","神は私達を救い、また私達を聖ならしめんとして召し給うたの
であるが、(もちろんそれは)私達の業によらず、神御自身の計画と恩恵によるのであっ
て、これは(既に)永遠の昔キリスト・イエスにおいて私達に与えられ、"
"550110","
・テモテ 1:10","今私達の救い主キリスト・イエスの顕れ給うたことによって(は
じめて)あらわされたものである。すなわち彼は一方にては死を亡ぼし、他方にては福音
により朽ちぬ生命を明らかにし給うた。"
"550111","
・テモテ 1:11","(そして)私はこの(福音の)ために宣教者、使徒また教師に
任ぜられたのである。"
"550112","
・テモテ 1:12","そのためまたこの(縄目の)苦しみをもしなければならないの
であるが、私は(決してこれを)恥としない、誰に信じているかを知り、またその御方は
私が委ねられたものを(最後の)かの日まで守り得給うことを確信しているからである。"
"550113","
・テモテ 1:13","私から聴いたことを健全なる教えの模範とせよ。キリスト・イ
エスにある信仰と(彼に対する)愛とをもってこれを宣べよ。"
"550114","
・テモテ 1:14","(また君に)委ねられた善いものを、私達の中に宿りたもう聖
霊によって守れ。"
"550115","
・テモテ 1:15","アジヤにいる者が皆私に背いたことを君は知っている。その中
にフィゲロとヘルモゲネがいる。"
"550116","
・テモテ 1:16","主がオネシフォロの家に憐憫を与えたまわんことを! 彼は
度々私を元気づけてくれ、また私が鎖に繋がれていることを恥としないばかりか、"
"550117","
・テモテ 1:17","ローマに着き、熱心に私を探して見出したのである。"
"550118","
・テモテ 1:18","(──その褒美に)主がかの日、主の所で彼に憐憫を見出さし
め給わんことを!──また彼がエペソで私にしてくれたことは何でも皆、君が一番よく知
っている。"
"550201","
・テモテ 2:1","(いま言う通り)だから、わが子よ、君はキリスト・イエスに
ある恩恵によって強かれ。"
"550202","
・テモテ 2:2","そして(按手の時)多くの証人達の前で私から聴いたことを、
また他人に教え得る信頼すべき人達に委ねよ。"
"550203","
・テモテ 2:3","キリスト・イエスの善き兵卒として、(皆と)共に苦しめ。"
"550204","
・テモテ 2:4","(いやしくも)兵卒たる者は、司令官に喜ばれるため(ただ戦
いのことに全力を尽くし、決して)生活問題に携わ(ってはな)らない。"
"550205","
・テモテ 2:5","また試合をする者は、法に適って試合をせねば勝利の冠を得(る
ことは出来)ない。"
"550206","
・テモテ 2:6","苦労する農夫がまず収穫(の分け前)に与るのは当然である。(褒
美を得ようとする者は、そのことに全力を尽くさねばならぬ。)"
"550207","
・テモテ 2:7","私が言うことをよく考えよ、主は何事についても(必ず)君に
悟りを与え給うであろうから。"
"550208","
・テモテ 2:8","ダビデの子孫から出、死人の中から甦りい給うイエス・キリス
トを忘れるな──これが私の福音である。"
"550209","
・テモテ 2:9","私はこの(福音の)ため罪人として縛られるまでに苦しみを受
けているが、神の言は縛られてはいない。"
"550210","
・テモテ 2:10","この故に私は選ばれた人達のために凡てを忍耐する、彼らにも
キリスト・イエスにおける救いと、永遠の栄光とを得させるためである。"
"550211","
・テモテ 2:11","これは信ずべき言である──そは、もし(キリストと)共に死
んだなら私達もまた(彼と)共に生きるであろう。"
"550212","
・テモテ 2:12","もし忍耐するなら私達もまた共に王となるであろう。もし(彼
を)否むなら彼もまた私達を否み給うであろう。"
"550213","
・テモテ 2:13","たとい私達は不真実でも彼は(いつも)真実であり給う、自分
を否み給うことが出来ないのだから!"
"550214","
・テモテ 2:14","(皆に)これらのことを思い出させ、(また)論争しないよう
に神の御前で確と言いきかせよ──論争は何の役にも立たず、(ただ)聞く者を堕落させ
る(だけである。)"
"550215","
・テモテ 2:15","自分を、神の御前に試練を経た者、真理の言を正しく示す、恥
ずる所のない労働人とするよう努力せよ。"
"550216","
・テモテ 2:16","俗な無駄話に遠ざかれ。(そうでないと)いよいよ不敬虔に進
み行くからであって、"
"550217","
・テモテ 2:17","彼らの教えは癌のように拡がるであろう。彼らの中にヒメネオ
とフィレトがいる。"
"550218","
・テモテ 2:18","彼らは復活は既にあったと言って(自分たちが)真理から外れ
(たばかりでなく、)また幾多の人の信仰を滅茶々々にしている。"
"550219","
・テモテ 2:19","しかし神の(据え給うた教会の)固い土台石は(しっかり)立
っていて、(それに)こんな銘がある──「“主(なる神)は己のものを知り給う”」、また
「“主の御名を呼ぶ”者は皆不義を離れよ」と。"
"550220","
・テモテ 2:20","しかし(教会にこんな人達が現れるのは少しも不思議ではない。
見よ、)大きな家には金や銀の器ばかりでなく、木や土の器もあって、或る物は尊く、或
る物は卑しく用いられる(ではないか)。"
"550221","
・テモテ 2:21","だからもし或る人がこれら(の卑しいこと)から(離れて)自
分を潔めるならば、尊い(目的の)器となり、清められ、主人に役立ち、あらゆる善い仕
事に適するであろう。"
"550222","
・テモテ 2:22","だから若い時の情欲を避け、潔い心で主を呼び求むる者と共に
義、信仰、愛、平和を追い求めよ。"
"550223","
・テモテ 2:23","愚かな訳の解らぬ議論をはねつけよ。それが(ただ)争いを生
むことを君は知っている(はずだ)。"
"550224","
・テモテ 2:24","しかし主の僕は争わず、誰に対しても優しくあらねばならぬ。
教え上手で、辛抱強く、"
"550225","
・テモテ 2:25","反抗する者の誤りを柔和に正してやれ。あるいは神が彼らに真
理の知識への悔い改めを与え給うて(本心に立ち返らせ)、"
"550226","
・テモテ 2:26","悪魔の罠から逃れしめ給うかも知れない──彼らは(いま)悪
魔に虜にされて、その意のままになっているのである。"
"550301","
・テモテ 3:1","しかしこのことを知れ──最後の日には(本当に)難しい時が
来る。"
"550302","
・テモテ 3:2","(その時)人は(皆)利己主義、金好き、法螺吹き、横柄、冒
涜者、親不孝、恩知らず、無道者、"
"550303","
・テモテ 3:3","無情者、頑固者、悪口家、放埒な、粗野な、善の敵、"
"550304","
・テモテ 3:4","裏切り者、向こう見ず、思い上がった、神を愛するより快楽を
愛する者になるからである。"
"550305","
・テモテ 3:5","彼らは敬虔を装うが(真面目な生活をしようとせず、)その(乱
れた生活によってかえって敬虔の)能力を否定している。彼らを離れよ。"
"550306","
・テモテ 3:6","その中には(人の)家に潜り込んで、女どもを口車に乗せる者
がある──様々な慾に引かれて罪を重ね、"
"550307","
・テモテ 3:7","(罪に悩んで)いつも学んでいるが、決して(救いの)真理の
知識に達することの出来ない女どもを!"
"550308","
・テモテ 3:8","この人達の真理は腐れ、信仰はまがい物で、ヤンネとヤンブレ
がモーセに逆らったように、真理に逆らうのである。"
"550309","
・テモテ 3:9","しかし(彼らのすることは一時はとにかく、結局)うまくゆか
ない。あの二人のように、(やがて)その馬鹿げたことが皆に見えすくからである。"
"550310","
・テモテ 3:10","しかし(他人はともあれ、)君は私の教え(を守り、私の)行
状、意向、信仰(を理解し、寛容、愛、忍耐(を見習い、)"
"550311","
・テモテ 3:11","(また)アンテオキヤ、イコニウム、リストラで私が遭った(数々
の)迫害、苦難に(もよく)随って来た。(ああ、)何という(ひどい)迫害を耐え忍んだ
ことか! しかし主は(これら)凡て(の迫害)から私を救い出してくださった。"
"550312","
・テモテ 3:12","(私だけでなく、)キリスト・イエスにあって敬虔に生きよう
とする者は皆迫害される。"
"550313","
・テモテ 3:13","そして悪人と詐欺師とはいよいよ悪に進み行くであろう──瞞
しつ瞞されつつしながら!"
"550314","
・テモテ 3:14","しかし君は(先輩達から)学んだこと、(自ら)確信したこと
に(しっかり)留まって居れ。誰から(それを)学んだか、"
"550315","
・テモテ 3:15","また(既に)子供の時から聖書を習ったことを知っているでは
ないか。この聖書はキリスト・イエスの信仰による救いへの知恵を君に与えることが出来
る。"
"550316","
・テモテ 3:16","聖句は悉く霊感されたもので、教訓に、訓戒に、矯正に、義の
教育に益があり、"
"550317","
・テモテ 3:17","かくて神の人が完成し、あらゆる善い仕事をする準備が出来る。
"
"550401","
・テモテ 4:1","神の御前、また生者と死者を審かんとし給うキリスト・イエス
の御前で、且つその(最後の日における)顕現とその(時うち建てられる)王国とをかけ、
誓って(君に)命令する、"
"550402","
・テモテ 4:2","御言を宣べよ、折よくも折悪くも(たえずそのために)準備し
て居れ。寛容と教訓の限りを尽くして咎め、叱り、(また)諭せ。"
"550403","
・テモテ 4:3","というのは、(今に)人が健全な教えに我慢出来ず、自分の慾の
ままに先生を狩り集めて耳を擽り、"
"550404","
・テモテ 4:4","真理に耳を背けて(つまらぬ)昔話に外れゆく時が来るからで
ある。"
"550405","
・テモテ 4:5","しかし君は何事にも真面目であれ、苦難に耐え、伝道者の仕事
を為し、君の職務を全うせよ。"
"550406","
・テモテ 4:6","もう(直に)私は(犠牲の)血を注ぐのであって、別離の時は
迫った。──"
"550407","
・テモテ 4:7","ああ、善い戦いを戦った、競争を終わった、忠誠を守った。"
"550408","
・テモテ 4:8","今や(ただ)義の冠が私を待っている(だけである)。かの日、
義しい審判者である主は、私に、(否、)私だけでなくその顕現を待ち焦れた凡ての人に、
これを賜うであろう。"
"550409","
・テモテ 4:9","急いで早く私の所に来い。"
"550410","
・テモテ 4:10","デマはこの世を愛し私を棄ててテサロニケに行き、クレスケは
ガラテヤに、テトスはダルマテヤに行ってしまったから。"
"550411","
・テモテ 4:11","ルカだけが私と一緒にいる。マルコは私の仕事に(非常に)役
立つから一緒に連れて来い。"
"550412","
・テモテ 4:12","テキコはエペソに遺った。"
"550413","
・テモテ 4:13","(もう直き冬だから、)トロアスのカルポの所に置いて来た外
套を来る時に持って来てくれ。それから書物、とりわけ羊皮紙のを(忘れないように)。"
"550414","
・テモテ 4:14","鍛冶屋のアレキサンデルが悪い事を沢山私にした。“主はその
仕業に応じて”彼に“報い給うであろう”。"
"550415","
・テモテ 4:15","君も彼を警戒せよ、ひどく私達の言に逆らったのだから。"
"550416","
・テモテ 4:16","私の始めの弁明の時には誰一人扶けてくれず、皆私を棄てた─
─この罪が彼らに帰せられないように!──"
"550417","
・テモテ 4:17","しかし私によって宣教が全うされ、異教人が皆(これを)聴く
(ことが出来る)ために、主は私を援け、力づけ給うて、私は“獅子の口から”救い出さ
れたのである。"
"550418","
・テモテ 4:18","(かくてまた)主は私を凡ての悪の業から救い出して、天の王
国に導き給うであろう。栄光世々限りなく彼にあらんことを、アメーン!"
"550419","
・テモテ 4:19","プリスカとアキラに、またオネシフォロの家によろしく。"
"550420","
・テモテ 4:20","エラストはコリントに留まっている。トロピモは病気であった
のでミレトに遺して来た。"
"550421","
・テモテ 4:21","冬(になる)前に急いで来い。ユブロとプデとリノとクラウデ
ヤと兄弟達皆から君によろしく。"
"550422","
・テモテ 4:22","主、君の霊と共に、恩恵、君達と共にあらんことを!"

テトスへ
"560101","
テトス 1:1","神の奴隷またイエス・キリストの使徒(なるわれ)パウロ(より、)
共通の信仰によって(私の)実子(なる)テトスに手紙を遺る。──私が使徒とされたの
は(凡て)神に選ばれた者の信仰(のため、)また敬虔なる真理の知識のためで、"
"560102","
テトス 1:2","(何れも)永遠の生命の希望に基づくもので(あって、)欺き給わ
ぬ神はこの生命を(与えんことを)永遠の昔において約束し給うた。"
"560103","
テトス 1:3","(そして)時来るや宣教によって御言を顕し給い、私が(この)
われらの救い主なる神の命によってこの宣教を託されたのである。"
"560104","
テトス 1:4","願う、父なる神と、われらの救い主なるキリスト・イエスよりの
恩恵と平安あれ!"
"560105","
テトス 1:5","君をクレタに遺して来たのは(私に代わって)跡かたづけをし、(殊
に)私が君に言いつけたように町毎に長老を任命してもらいたいためであった。"
"560106","
テトス 1:6","(すなわち)非難すべき処が無く、(ただ)一人の妻の夫で、(そ
の)子達は信仰があり放蕩の風評なくまた頑固でないならば、(長老に立てるべきであ
る。)"
"560107","
テトス 1:7","というのは、監督は神の(家の)番頭として非難すべき処なく、
横柄でなく、短気でなく、酒好きでなく、喧嘩好きでなく、けちでなく、"
"560108","
テトス 1:8","接待好きで、善い事好きで、考え深く、真直ぐで、信心ぶかく、
自制力が強く(なければならぬ)、"
"560109","
テトス 1:9","(そして)健全な教えをもって(人を)諭し、反対者を説得し得
るために、(教会の)教(義)に適った信ずべき言を(常に)心に置いて居らねばならぬ。
"
"560110","
テトス 1:10","というのは、(クレタには)頑固で、馬鹿話をし、(人を)ごまか
す者が、とりわけ割礼を受けた者の中に多い。"
"560111","
テトス 1:11","その口を封ずる必要がある。彼らは汚い金儲けのために、(教う)
べからざることを教えて家中を破壊するのである。"
"560112","
テトス 1:12","クレタ人である彼ら自身の(詩人なる)預言者がクレタ人は以前
から嘘つきで、悪い獣で、怠け者の大飯食い。と言っている。"
"560113","
テトス 1:13","この証言は本当である。それ故に彼らを厳しく説得して、彼らが
信仰を健全にし、"
"560114","
テトス 1:14","ユダヤ人の昔話や、真理に背く人間の誡命に耳を傾けないように
せよ。"
"560115","
テトス 1:15","潔い者には凡てが潔く、穢れた、不信仰の者には一つも潔いもの
がなく、その理性も良心も穢れている。"
"560116","
テトス 1:16","(口では)神を知っていると公言しながら、(その)業で否定し
ている。彼らは(神の目に)忌まわしく、不従順で、凡ての善い業に不適当である。"
"560201","
テトス 2:1","しかし君は健全な教えに相応しいことを語れ──"
"560202","
テトス 2:2","(すなわち)老人達には真面目で、謹厳で、考え深く、信仰、愛、
忍耐に健全であるように語り、"
"560203","
テトス 2:3","老婦人達にも同様、(その)態度が聖者らしく、(人の)悪口を言
わず、大酒の奴隷とならず、(凡ての)善いことの教師となり、"
"560204","
テトス 2:4","若い婦人達に勧めて、夫を愛し、子を愛し、"
"560205","
テトス 2:5","貞淑で、純潔で、家庭的で、有能で、自分の夫に従順で、神の言
が(彼らのふしだらの故に)涜されぬようにせよと語れ。"
"560206","
テトス 2:6","若い男達にも同様、万事に考え深くあるよう訓戒し、"
"560207","
テトス 2:7","自分を善い仕事の手本として示し、純潔と威厳をもって教え、"
"560208","
テトス 2:8","(君の)言を健全な論駁の余地のないものにして、敵が私達に就
き何一つ悪しざまに言うものなく、恥じ入るようにせよ。"
"560209","
テトス 2:9","奴隷には何事においても自分の主人(の命)に服し、(その)満足
を図り、口答えせず、"
"560210","
テトス 2:10","(主人の物を)横領せず、かえって完全な立派な忠実さを示して、
何事においても我らの救い主なる神の教えを飾り得るように訓戒せよ。"
"560211","
テトス 2:11","というのは、凡ての人を救うべき神の恩恵は(既に世に)顕れ、
"
"560212","
テトス 2:12","私達を導いて、不敬虔とこの世の情欲とを離れ、考え深く、真直
ぐに、また敬虔にこの世に生きさせ、"
"560213","
テトス 2:13","幸福な希望と、大なる神及びわれらの救い主キリスト・イエスの
栄光の顕現(によってその希望が満たされること)とを待ち望ませるのである。──
""560214","
テトス 2:14","彼は私達を“凡ての不法から贖い出し”、また(私達を)“潔め
て”、善い仕事に熱心な“自分の選民にしよう”として、私達のために自分を与え給うた
のである。"
"560215","
テトス 2:15","斯く語り、諭し、断乎として責めよ。誰にも馬鹿にされるな。"
"560301","
テトス 3:1","当局(と)官憲に服し従うべきこと、善い業は(何でも喜んです
る)心用意をしていること、"
"560302","
テトス 3:2","誰にも悪口しないこと、平和好きで、優しく、凡ての人にあらん
限りの柔和を示すべきことを(知っているはずであるが、それをもう一度)彼らに思い出
させるようにせよ。"
"560303","
テトス 3:3","私達とてもかつては無智で、不従順で、(道に)迷い、様々な慾と
快楽の奴隷となり、悪意と妬みとに(日を)過ごし、(人に)嫌われ、(また)互いに憎み
合っていたのである。"
"560304","
テトス 3:4","しかし我らの救い主なる神の慈愛と愛情とが顕れた時、"
"560305","
テトス 3:5","私達がした義の行為からでなく、(ただ)その憐憫により、再生と
聖霊による革新とを齎す水浴びをもって私達を救い給うた。"
"560306","
テトス 3:6","神はこの聖霊を我らの救い主イエス・キリストによって豊かに私
達の上に注ぎ給うたが、"
"560307","
テトス 3:7","これはその(キリストの)恩恵により義とされて、私達が望む永
遠の生命の相続人となるためである。"
"560308","
テトス 3:8","この言は信ずべきである。どうかこれらのこと(の真理であるこ
と)を強く証明して、神を信じた人達が専心善い業にいそしむようにしてもらいたい。こ
れは善いことで、人に益がある。"
"560309","
テトス 3:9","しかし愚かな論議と(下らぬ)系図(論)と争いと律法に関する
論争に遠ざかれ。これらは無益で無駄であるから。"
"560310","
テトス 3:10","異端論者は一、二度訓戒した後、(聴かぬ時は集会から)断れ。"
"560311","
テトス 3:11","こんな人は心が歪んでいて、自分で自分を審きながら、(なお)
罪を犯し(続け)ていることを君は知っている。"
"560312","
テトス 3:12","私がアルテマからテキコを君の所に遺ったら、急いでニコポリス
の私の所に来てもらいたい。其処で冬を過ごすことに決めたから。"
"560313","
テトス 3:13","法学者ゼナとアポロが、少しも不自由のない(旅が続けられる)
ようによく気をつけて見送ってやれ。"
"560314","
テトス 3:14","そして(このことによって、)私達の仲間も(兄弟の)切迫した
必要を満たす善い業にいそしむことを学び、(信仰の)実を結ばぬ者にならぬようにせね
ばならぬ。"
"560315","
テトス 3:15","私と一緒にいる者達皆から君に宜しく。信仰において私達を愛し
てくれる者たちによろしく。恩恵、君達凡てと共にあらんことを!"

ピレモンへ
"570101","
ピレモン 1","キリスト・イエスの囚人パウロと、兄弟テモテから、愛する共働
者ピレモン、"
"570102","
ピレモン 2","姉妹アピヤ、わたし達の戦友アルキポ、およびあなたの家の集会
に(、この手紙をおくる)。"
"570103","
ピレモン 3","わたし達の父なる神と主イエス・キリストらの恩恵と平安、あな
た達にあらんことを。"
"570104","
ピレモン 4","わたしは祈りの時にあなたを思うて、いつもわたしの神に感謝し
ている。"
"570105","
ピレモン 5","主イエスに対して、またすべての聖徒に対して持っているあなた
の愛と信仰とについて聞くからである。"
"570106","
ピレモン 6","(わたしの祈りは、)あなたの信仰の交わりがますますキリストへ
と強く働き、わたし達に賜わったすべての善の知識に達することである。"
"570107","
ピレモン 7","然り、あなたの愛のゆえにわたしが受けた喜びと慰めとは大きい。
あなたのお蔭で聖徒たちの心はやすめられたからである、兄弟よ。"
"570108","
ピレモン 8","それゆえに、わたしはキリストにおいて、あなたの義務として命
令するのに、なんの憚るところもないが、"
"570109","
ピレモン 9","(むしろ)あなたのこの愛によって、たってお願いする。──こ
んな、(もはや)老人で、かつまた今はキリスト・イエスの囚人であるパウロが、"
"570110","
ピレモン 10","あなたにお願いするのは、わたしが縄目のあいだに(福音によっ
て)生んだわたしの子オネシモのことである。"
"570111","
ピレモン 11","彼は、かつてはあなたに無益な男であったが、今はあなたにもわ
たしにも有益な者となった。"
"570112","
ピレモン 12","彼を(、この手紙を持たせて)あなたに送りかえす。──彼はわ
たしの最愛の人である。"
"570113","
ピレモン 13","(実は)彼をわたしの所に留めておいて、あなたに代って、福音
の縄目にあるわたしの世話をしてもらいたかったのである。"
"570114","
ピレモン 14","が、あなたの諒解なしに何一つすることを好まなかった。あなた
がわたしの無理強いなどでなく、自由意志をもって、このよいことをするように願うので
ある。"
"570115","
ピレモン 15","彼がしばらくあなたの所を離れたのは、多分彼をいつまでもあな
たの手もとに置くためであろう。"
"570116","
ピレモン 16","もはや奴隷としてでなく、奴隷以上、愛する兄弟として。彼はわ
たしにとって、とくに愛する兄弟である。またあなたにとっては、肉においても、主にお
いても、なおさらのことである。"
"570117","
ピレモン 17","だからもしあなたがこのわたしを仲間と思ってくれるなら、どう
か彼をわたし同様に迎えてください。"
"570118","
ピレモン 18","もし彼が何かあなたに損害を与えたか、あるいは借りがあるなら、
それはわたしの勘定にしてもらいたい。"
"570119","
ピレモン 19","──わたしパウロ自筆をもって認める、わたしが返済します。─
─あなたが(わたしの負債者であり、)あなた自身をさえわたしに借りていることについ
ては、(今)わたしは何も言わないが、"
"570120","
ピレモン 20","ほんとうに兄弟よ、主にあってわたしを喜ばせてもらいたい。ど
うかキリストにあってわたしの心をやすめてください。"
"570121","
ピレモン 21","あなたの快諾を確信してこの手紙を書く。わたしが言う以上のこ
とまであなたがしてくれることを。わたしは知っている。"
"570122","
ピレモン 22","しかしまた同時に、わたしに宿を準備してください。あなた達の
祈りによって、(わたしの体は近々)あなた達に与えられることを期待しているのだから。
"
"570123","
ピレモン 23","キリスト・イエスにあってわたしの囚人エパフラスからあなたに
よろしく。"
"570124","
ピレモン 24","私の共働者たちマルコ、アリスタルコ、デマス、ルカからも。"
"570125","
ピレモン 25","主イエス・キリストの恩恵、あなた達の霊と共にあらんことを。
"
ヘブライ人へ
"580101","
ヘブル 1:1","神は昔、(多くの)預言者たちをもって、(一つの御旨を)多くに
分け、多くの方法で先祖たちに語られたが、"
"580102","
ヘブル 1:2","(いよいよ)この最後の日には、御子[キリスト]をもってわた
し達に語られたのである。神はこの御子を万物の相続人と定め、彼によって(この)世界
をお造りになった。"
"580103","
ヘブル 1:3","彼は神の栄光の放射であり、本質の像である。彼はまたその力あ
る言葉をもって万物を保たれる。彼は(この世に降り)、罪の潔めを成し(とげて、ふた
たび)高き所にのぼり、(神の)御稜威の“右にお坐りになっている”。"
"580104","
ヘブル 1:4","(ことに)彼が天使たちより秀でた(子なる)御名を相続された
だけ、彼は彼らにまさっておられる。"
"580105","
ヘブル 1:5","なぜか。神はかつて天使のだれにこう言われたか。“あなたはわた
しの子、わたしが今日あなたを生んだ。”またさらに”わたしは彼の父になり、彼はわた
しの子になるであろう。”"
"580106","
ヘブル 1:6","なお、神はその長男[キリスト]を、ふたたびこの世界に導きい
れようとする(再臨の)時に(つき、)言われる。“神の使たちはみな、彼[キリスト]を
おがめ。”"
"580107","
ヘブル 1:7","天使については(聖書に)“神はその使を風とし、その奉仕者を燃
える焔とされる。”と言うが、"
"580108","
ヘブル 1:8","御子については(こう言う。)──“あなたの御座は、神[キリス
ト]よ、永遠より永遠に立ち、公正のつえは、あなたの王国のつえである。"
"580109","
ヘブル 1:9","あなたは義を愛し、不法をにくまれた。このゆえに、神よ、あな
たの神は、喜びの油をあなたの仲間でなく、あなたに注がれた。”"
"580110","
ヘブル 1:10","また“あなたは、主よ、始に、地の基をすえられた、もろもろの
天はあなたの御手の業である。"
"580111","
ヘブル 1:11","これらは消失せる、しかしあなたはながらえる。そしてすべては
着物のように古び、"
"580112","
ヘブル 1:12","あなたはそれを外套のように巻き、また”着物のように“それは
変わるであろう。しかしあなたは(いつも)同じあなたであり、あなたのよわいは尽きな
いであろう。”"
"580113","
ヘブル 1:13","しかし、神はかつて天使のだれに対して、こう言われたことがあ
るか。“わたしの右にすわりなさい、わたしがあなたの敵を(征服して)あなたの足台に
してやるまで。”"
"580114","
ヘブル 1:14","(要するに、)天使とはみな(ただ)奉仕する霊であり、救を相
続すべき者のために務めをなすべく(神から)派遣されたものではないか。(御子にくら
べられないのは当然である。)"
"580201","
ヘブル 2:1","(御子はこのように天使たちにまさっておられる。)だからわたし
達は(御子に)聞いたことに一層(深く)耳をかたむけ、押流されないようにせねばなら
ない。""580202","ヘブル 2:2","というのは、もし天使たちによって語られた(神の)言葉
(モーセ律法)ですら効力をもっていて、(その)違反と不従順とがすべて相当の罰を受
けたならば、"
"580203","
ヘブル 2:3","(まして)こんなに大きな救の福音を(聞いた)わたし達は、(こ
れを)なおざりにしてどうして(神の裁きを)免れ(ることができ)よう。この救の福音
こそ主(キリスト)によって初めて語られ、聞いた人々からわたし達に確かにされ、"
"580204","
ヘブル 2:4","神も徴と不思議(なこと)とさまざまの奇跡と、御心のままに聖
霊を分け与えることとによって、賛成の意を表されたのである。"
"580205","
ヘブル 2:5","というのは、神はわたし達が(いま)語っている来るべき世界を、
天使たちには屈服させられなかった。"
"580206","
ヘブル 2:6","(詩篇の)ある所で、ある人がこう言って証している。“人間は何
者であれば、あなたは記憶されるのであるか。また人の子は何者であれば、心にかけられ
るのであるか。"
"580207","
ヘブル 2:7","(神よ、)あなたは彼を少しのあいだ(だけ)天使たちよりも小さ
くされた。(しかし)栄光と栄誉との冠をさずけ、"
"580208","
ヘブル 2:8","万物をその足の下に屈服させられた。”しかし人は抗議して言うか
もしれない。一体“万物を屈服させた”と(言う以上)は、彼に屈服しない何者をも残さ
れなかったというのである。しかし今、わたし達はまだ彼に“万物が屈伏しているのを”
見ない(ではないか、と。然り、この預言はまだ実現していない)。"
"580209","
ヘブル 2:9","ただわたし達は、このイエスが“少しのあいだ(だけ)天使たち
よりも小さくされ(て地上に遣わされ)た”が、死の苦しみのゆえに“栄光と栄誉との冠
をさずけられた”のを見るのである。(そしてここに預言の実現がある。)彼が死ぬことは、
神の恩恵によって、万人の(救の)ためであった。"
"580210","
ヘブル 2:10","なぜなら、多くの子たちを栄光に導くため、彼らの救の創始者(で
あるイエス)を苦しみによって完成することは、万物が彼のため、また万物が彼によ(っ
て存在す)る神に、(いかにも)ふさわしいことであった。"
"580211","
ヘブル 2:11","というのは、(人を)聖別する者(なるイエス)も、聖別される
彼ら(人類)も、皆一つ(の本現たる神)から出た者であるからである。それゆえに、彼
は彼ら(人類)を“兄弟”と呼ぶことを恥じられない。"
"580212","
ヘブル 2:12","いわく──“わたしはお名前をわたしの兄弟たちに告げ、集会の
中であなたをほめ歌うであろう。”"
"580213","
ヘブル 2:13","またさらに“わたしは彼[神]にたよるであろう。”またさらに
“見よ、わたしと、神がわたしに賜わった子らとは…”"
"580214","
ヘブル 2:14","だから、“子らは”血と肉とを共有しているので、(イエス)彼自
身も、(全く)同じようにこれを保たれた。(これはその)死によって、死の権力をもって
いる者、すなわち悪魔をほろぼし、"
"580215","
ヘブル 2:15","死を恐れ、全生涯(その)奴隷になっている彼ら(人類)を(の
こらず)釈放するためであった。"
"580216","
ヘブル 2:16","然り、イエスは天使たちを世話(しようとは)されない。“彼は
(人類を)、アブラハムの子孫を世話される”。"
"580217","
ヘブル 2:17","そのため、彼はどの点からしても“兄弟”(である人間)に似ざ
るを得なかったのである。彼は(人間に対して)憐れみぶかい、神に関することについて
は忠実な大祭司となられた。それは民の罪を贖うためであった。"
"580218","
ヘブル 2:18","というのは、みずから誘惑にあって苦しみをうけたので、(同じ
く)誘惑にあう者を助けることが出来るからである。"
"580301","
ヘブル 3:1","それゆえ、聖なる兄弟たちよ、天の選択にあずかった者よ、わた
し達が告白する使徒また大祭司(である)イエスに心を向けよ。"
"580302","
ヘブル 3:2","彼は“モーセが神の全家に”忠実であったように、彼を創造され
た方に対して“忠実”であった。"
"580303","
ヘブル 3:3","家を造った者が家(そのもの)より大きな尊敬を受けると同様、
彼はモーセ以上に大きな栄光に価する者にされたのである。(モーセは神の家、すなわち
イスラエル人の一員であったが、イエスはその家を造られた方であるから。)"
"580304","
ヘブル 3:4","[(一体)家はみな人によって造られる。(従って神の家にもこれ
を造った人があり、それはイエスである。)しかし万物を造られた方は(もちろん)神で
ある。]"
"580305","
ヘブル 3:5","なお“モーセは”、(将来預言者たちにより、また御子によって)
語られるべきことを証するために、“(一人の)僕”として、“神の全家に忠実”であった
が、"
"580306","
ヘブル 3:6","キリストは“神の家”の御子として忠実であった。そして(キリ
ストを信ずる)わたし達は、そのキリストの家(の者)である。もしわたし達が(大胆な)
信頼と、希望の誇りとを最後まで堅く守っているならば。"
"580307","
ヘブル 3:7","だから、聖霊が言う通りである。──“今日、あなた達は御声を
聞いたら、"
"580308","
ヘブル 3:8","心を頑固にするな、荒野における誘惑の日に(わたしに)反抗し
た時のように。"
"580309","
ヘブル 3:9","そこであなた達の先祖は(わたしを)こころみ試し、しかもわた
しの業を見たのである、"
"580310","
ヘブル 3:10","四十年の間。”だからその“時代(の人)をわたしは憤って言っ
た、「絶えず彼らは心に迷っており、わたしの道がわからなかった」と。"
"580311","
ヘブル 3:11","そこで、わたしは怒って誓った、「彼らは絶対にわたしの休みに
入るべからず」と”。"
"580312","
ヘブル 3:12","気をつけよ、兄弟たちよ、あなた達のどの一人にも、悪い、不信
仰の心がおこって、生ける神から離れ(おち)るようにならないとは限らない。"
"580313","
ヘブル 3:13","あなた達のうちどの一人も、罪に惑わされて“頑固になる”こと
のないように、“今日”という(日のつづく)うちに、日々互に励まし合わねばならない。
"
"580314","
ヘブル 3:14","というのは、わたし達は(信仰に入った)当初にもっていた確信
を最後まで堅く守っているならば、(ただその時にのみ、)キリスト(の栄光)にあずかる
者となったのである。"
"580315","
ヘブル 3:15","こう言われている。──“今日、あなた達は御声を聞いたら、心
を頑固にするな、(わたしに)反抗した時のように。”"
"580316","
ヘブル 3:16","というのは、だれが(神の命令を)聞きながら、“反抗した”の
であるか。(それは)モーセに率いられてエジプトから出てきたすべての人ではなかった
か。"
"580317","
ヘブル 3:17","また、だれに対して神は“四十年の間憤られた”のであるか。罪
を犯し、“屍を荒野に横たえた”(イスラエルの)人々に対してではなかったか。"
"580318","
ヘブル 3:18","また、(一体)だれに対して神が“その休みに入るべきでないと
誓われた”のであるか。信じようとしなかった彼らに対してではなかったか。"
"580319","
ヘブル 3:19","すると、わたし達はみとめる、彼らが(約束の地に)入ることの
出来なかったのは、不信仰のゆえであったことを。"
"580401","
ヘブル 4:1","だから、神の休みに入る約束は(今日もまだ)満たされていない
のに、あなた達のうちだれかが、(それに)入ることができぬと考えることのないように、
わたし達は注意を払おうではないか。"
"580402","
ヘブル 4:2","なぜなら、彼等(イスラエル人がエジプトの虐待から釈放される
福音を聞かせられた)と同じように、わたし達も(罪の赦しの)福音を聞かせられたから
である。ただ(モーセから)聞いた(神の)言葉が、聞く人たちに信仰で結びつかなかっ
たため、(すこしも)彼らを益しなかった。"
"580403","
ヘブル 4:3","というのは、信ずる者として、(今でも)“わたし達は休みに入(り
得)る”からである。神が言われたとおり──“そこで、わたしは怒って誓った、「彼ら
は絶対にわたしの休みに入るべからず」と。”しかも“御業”は世の始から出来(上がっ)
ていたのである。(そして神の休みはその時から始まっていた。)"
"580404","
ヘブル 4:4","なぜなら、(聖書の)ある所で、(創造の)第七日について(神は)
こう言われたからである、“そして神は第七日にその一切の御業を休まれた”と。"
"580405","
ヘブル 4:5","(ところがイスラエル人がその休みをしりぞけたので、神は)ま
たこの場所で、“彼らは絶対にわたしの休みに入るべからず”と(言われたのである)。"
"580406","
ヘブル 4:6","(神の休みはいたずらに残っているのではない。)だから、だれか
ここ“に入るべき”人たちが残されているはずであり、前に(この休みに入るべき)福音
を聞かせられた人たちは、不従順のゆえに“入ら”なかったので、"
"580407","
ヘブル 4:7","神はまた“今日”という(一つの)日を定められる。(そしてモー
セの時から)あんなに長い時がたってから、ダビデをもってこう言われる。前に言われて
いるとおりである。──“今日、あなた達は御声を聞いたら、心を頑固にするな。”"
"580408","
ヘブル 4:8","(この今日というのは、もちろんダビデの時を指したものではな
い。モーセの死後、ヨシュアがイスラエル人をカナンの地に導いて休みを与えたが、神の
休みとはこのことではない。)もしもヨシュアが(ほんとうに)彼らを休み(の場所)に
導いたのであったら、(数百年たった)その後で、他の日のことを(ダビデをもって「今
日云々」と)語られなかったはずである。(これは天にある安息を指すのである。)"580409","
ヘブル 4:9","それだから、神の民[キリストを信ずる者]には安息が残っているのである。
"
"580410","
ヘブル 4:10","現に、“神の休みに入った”者は、“神が”(七日目に)御自分の
“御業を”休まれたように、その人もその“業を休んだ”からである。"
"580411","
ヘブル 4:11","だから、わたし達はその(神の)“休みに入るようにと”努めて、
一人も同じ不従順の例にならって堕落しないようにしようではないか。"
"580412","
ヘブル 4:12","というのは、神の言葉は生きていて、活動し、あらゆる諸刃の剣
よりも鋭く、精神と霊魂と、関節と骨髄との境までも突きいって、心の考えと思いとを裁
くからである。"
"580413","
ヘブル 4:13","かくて創造物は(何一つ)神の前にあらわれないものはない。(然
り、)神の目には万物が裸で姿をあらわし、わたし達はこのお方に対して、勘定を払わね
ばならないのである。"
"580414","
ヘブル 4:14","(話を本筋にもどしたい。)──それで、わたし達には、(この世
の大祭司が聖所を通って至聖所に入るように、)もろもろの天を通(って天の至聖所に入)
られた、(この)偉大なる大祭司、神の子イエスがあるのだから、わたし達の告白(する
信仰)を固く守っていようではないか。"
"580415","
ヘブル 4:15","なぜなら、わたし達の大祭司は、わたし達の弱さに同感すること
の出来ない(ような)方でないからである。むしろどの点からしてもわたし達と(全く)
同様に誘惑された。ただし罪は犯されなかった。"
"580416","
ヘブル 4:16","だからわたし達は安心して恩恵の御座に近づこう。そして(彼か
ら)憐れみを受け、また時宜を得た助けとなる寵愛を得ようではないか。"
"580501","
ヘブル 5:1","なぜなら、(イエスという大祭司は一方ではアロン、他方ではメル
キゼデクと同様で、完全である。元来)人の中から選ばれる(この世の)大祭司は皆、人
に代って神に関すること(を司るため)、すなわち罪のために供物や犠牲を捧げるために、
任命されるものである。"
"580502","
ヘブル 5:2","彼は自分自身も(人間で、彼が代って犠牲を捧げる人々と同様、
人としての)弱さを身に帯びているので、無知の人々、また(罪に)迷う人々を思いやる
ことが出来るのである。"
"580503","
ヘブル 5:3","そしてこの弱さのゆえに、彼は民のためにするように、自分自身
のためにも罪祭を捧げねばならない。"
"580504","
ヘブル 5:4","また(大祭司は)、アロンもそうであったように、神に召されなけ
れば、だれもこの名誉職を自分で取る者はない。"
"580505","
ヘブル 5:5","(これがこの世の大祭司である。神の大祭司)キリストもそのよ
うに、自分で大祭司職の光栄ある地位につかれたのではなく、彼にこう言われた者(、然
り、神)が、されたのである。“あなたこそわたしの子、わたしが今日あなたを生んだ。”"
"580506","
ヘブル 5:6","また(詩篇の)ほかの所で言われるとおりである。──“あなた
は永遠にメルキゼデクと同等の祭司である。”(彼はメルキゼデクと同じく永遠の大祭司で、
ただ一代かぎりのアロンおよびその後継者とちがっている。)"
"580507","
ヘブル 5:7","彼はその(地上における)肉の日に、烈しい叫び声と涙とをもっ
て、彼を死から救い得るお方に向かって祈りや嘆願を捧げ、その敬虔のゆえに聞きいれら
れた(方である)。"
"580508","
ヘブル 5:8","彼は御子であるにもかかわらず、苦しみをうけて従順を学び、"
"580509","
ヘブル 5:9","完成されたので、(今度は彼が、)彼に従順であるすべての人に対
して“永遠の救の”本源となり、"
"580510","
ヘブル 5:10","神から“メルキゼデクと同等の”大祭司と呼ばれたのである。"
"580511","
ヘブル 5:11","(イエスがメルキゼデクと同等の大祭司であるという)このこと
については、言うべきことが沢山あるけれども、説明が(非常に)困難である、あなた達
の耳が遠くなったので。"
"580512","
ヘブル 5:12","というのは、(福音を聞いた)時間からすれば、(もはや当然人
の)先生であるはずなのに、あなた達はもう一度だれかに神の言葉のいろはを教えられる
必要がある。そして、堅い食べ物ではなく、乳を必要とする者となっている。"
"580513","
ヘブル 5:13","なぜなら、乳を飲む者は皆、幼児であるため、信仰の言葉に慣れ
ていない。"
"580514","
ヘブル 5:14","しかし堅い食べ物はただ成人(だけ)のもの、すなわち(自分の
ために)何が善で、何が悪であるかを見分けるため、長い実践によって鍛えられたかんを
もつ人々(だけ)のものである。"
"580601","
ヘブル 6:1","それゆえ、わたし達は(すこしも早く)キリストの教のいろはを
すてて、完全(な信仰生活)に進みゆこうではないか。(すなわち)死ぬ行いの悔改めや
神への信仰、"
"580602","
ヘブル 6:2","(いろいろな)洗礼の教や按手、死人の復活や永遠の審判(など、
信仰)の土台をすえ直す(ような)ことをすまいではないか。"
"580603","
ヘブル 6:3","(もちろんこれも必要なことだから、)神がお許しになるならば、
これをもやろう。"
"580604","
ヘブル 6:4","というのは、一度(福音の光に)照らされていながら、(すなわち)
天からの賜物を味わい、聖霊を授かる者となり、"
"580605","
ヘブル 6:5","また、神の良い御言葉と、来るべき世の力とを味わっていながら、
"
"580606","
ヘブル 6:6","堕落した者は、(今度は)自分で神の子を十字架につけ、晒しもの
にするのであるから、(彼らを)もう一度新しくして悔改めさせることは出来ないからで
ある。"
"580607","
ヘブル 6:7","“地が”たびたびその上に降りそそぐ雨を(よく)吸込んで、耕
す人々のために有益な“作物を”産すれば、神の祝福にあずかる(ことができる)。""580608","
ヘブル 6:8","だが、“茨や薊をはやすならば”、(地は)益なきものとなり、“呪われ”、その
最後は、焼かれるのである。"
"580609","
ヘブル 6:9","しかし愛する者たちよ、わたし達は(今)こんなに(烈しいこと
を)言っていても、あなた達については、それより善いもの、すなわち(最後の)救に関
するものがあることを確信する。"
"580610","
ヘブル 6:10","というのは、神は不公平ではないから、あなた達のした(善い)
ことや、御名のために聖徒たちの世話をし、今もなお世話をしつつ、示したその愛を、お
忘れになることはないからである。"
"580611","
ヘブル 6:11","ただわたし達は、あなた達のひとりびとりが希望を完成するため、
最後まで前と同じ熱心を示したらと思うのである。"
"580612","
ヘブル 6:12","これはあなた達が怠け者とならずに、信仰と忍耐とをもって、(神
の)約束(のもの、すなわちキリストによる救)を相続する人たちの真似をする者となる
ためである。"
"580613","
ヘブル 6:13","(あなた達はあのアブラハムの真似をしなければならない。)と
いうのは、神はアブラハムに約束をされるとき、(全能の神で、ご自分より)大なる者を
指して誓うことができなかったので、“御自分を指して誓い”、"
"580614","
ヘブル 6:14","“わたしはかならずあなたを恵みに恵むであろう、また”あなた
を“ふやしにふやすであろう”と言われた。"
"580615","
ヘブル 6:15","こうしてアブラハムは忍耐づよく待って、約束(のもの)を得た
のである。"
"580616","
ヘブル 6:16","なぜなら、人は自分より大なる者(、すなわち神)を指して誓い、
その誓が彼らのすべての反対論にきまりをつける裏づけとなるのである。"
"580617","
ヘブル 6:17","だから神は、約束(のもの)を相続する人たちに、御計画の不変
であることを、よりはっきり示してやるために、誓をもって(それを)保証されたのであ
る。"
"580618","
ヘブル 6:18","これは神が嘘をつくことの出来ない二つの不変のこと(、すなわ
ち約束と誓と)によって、(わたし達に──自分の)前にある希望をしっかり持っている
ため(キリストの福音に)のがれてきているわたし達に──力強い奨励をお与えになろう
とするのである。"
"580619","
ヘブル 6:19","わたし達はこの希望を魂の安全かつ不動なる錨として持っており、
(海の深所ならぬ)“(聖所の)幕の内に入るのである”。(わたし達の希望がいと高き天にま
で達するのはこのためである。)"
"580620","
ヘブル 6:20","主イエスはわたし達のために先駆者としてそこに入ってゆき、
“永遠にメルキゼデクと同等の”大祭司となられたのである。"
"580701","
ヘブル 7:1","なぜか。この“メルキゼデクはサレムの王であり、いと高き神の
祭司であった。アブラハムが(四人の)王たちを打破って帰るとき出迎えて彼を祝福した
ので、"
"580702","
ヘブル 7:2","アブラハムはすべての(分捕物の)一割税を”彼に分けたのであ
る。(このことは、メルキゼデクがイスラエルの民の上に立つ王であり、祭司であること
を示している。)第一に、(メルキはヘブライ語で「王」、ゼデクは「義」で、)メルキゼデ
クは訳すると「義の王」(である)。つぎに、(サレムは「平和」であり、)“サレムの王は”
すなわち「平和の王」である。"
"580703","
ヘブル 7:3","(ことに聖書はメルキゼデクの系図を掲げない。)父なく、母なく、
系図なく、(生涯の)日の初めもなく、命の終りもなく、神の子に似ていて、(永久に)い
つまでも“祭司”である。"
"580704","
ヘブル 7:4","祖先、“アブラハムが”分捕物の“一割税を与えた”このメルキゼ
デクが、いかに偉大であるかを、あなた達はよく(考えて)見よ。"
"580705","
ヘブル 7:5","まずレビの子孫のうち祭司職を受ける者は、律法によって民、す
なわちその兄弟たちから、(同じく)アブラハムの腰から出てきた者ではあるが、一割税
を取れと命ぜられている。"
"580706","
ヘブル 7:6","ところが、メルキゼデクは、彼ら(レビ)の血統(の者)でない
にもかかわらず、アブラハムから一割税を取り、また(神の)約束を受けた者(であるそ
のアブラハム)を“祝福したのである”。"
"580707","
ヘブル 7:7","言うまでもなく、小さい者が大きい者に祝福される。(だからアブ
ラハムよりもメルキゼデクの方が大きい。)"
"580708","
ヘブル 7:8","かつここでは、(すなわちレビの場合は、)死ぬべき人間が“一割
税を”受けるけれども、そこでは、(すなわちメルキゼデクの場合は、永遠に)生きてい
る、と証されている者が、それを受けるのである。"
"580709","
ヘブル 7:9","そして、言わば一割税を受けるレビ(の祭司たち自身)も、アブ
ラハムによって一割税をささげたのである。"
"580710","
ヘブル 7:10","“メルキゼデクがアブラハムを出迎えた”時、レビはまだ父(ア
ブラハム)の腰にあったからである。"
"580711","
ヘブル 7:11","(このようにメルキゼデクはアブラハムにもレビにも勝ってい
る。)それで、もしレビ系の祭司職によって(神の前に人間が)完全になることができる
ならば──民はこの祭司職の基礎の上に律法を受けたのであるから──(レビ系の祭司)
アロンと“同等”でない、“メルキゼデクと同等”と言われるほかの“祭司(イエス)の”
あらわれる必要が、なおどこにあるか。"
"580712","
ヘブル 7:12","(しかし詩篇が預言したように、いまイエスは、アロン系にかわ
るメルキゼデクと同等の大祭司としてあらわれ、これによって、レビ系の祭司職はモーセ
律法と同時に廃止されたのである。)というのは、祭司職が変更されるときは、必然に律
法の変更をも来たすからである。"
"580713","
ヘブル 7:13","なぜならこの詩篇の言葉は、そのだれもかつて祭壇に携わったこ
とのないほかの族(、すなわちユダ族に属する者)についてである。"
"580714","
ヘブル 7:14","(大祭司である)わたし達の主がユダ(族)の出であることは、
明白だからである。この族については、モーセは何も祭司に関することを語ったことがな
い。"
"580715","
ヘブル 7:15","なお一層明白なことは、“メルキゼデク”と同じ“ような”ほか
の“祭司(イエス)が”あらわれた以上、"
"580716","
ヘブル 7:16","彼は肉にかんする掟の法則によらず、不滅の命の力によって立て
られていることである。"
"580717","
ヘブル 7:17","(詩篇で、)“あなたは永遠にメルキゼデクと同等の祭司である”
と証されているではないか。"
"580718","
ヘブル 7:18","(それならば新しい祭司職はどの点が勝れているか。)一方では、
(祭司に関する)前の掟は、それが弱くかつ無益なため、廃止の宣告をうけたのである。"
"580719","
ヘブル 7:19","この律法は、(罪の赦しや神との和合などを)何一つ成しとげる
ことが(でき)なかったからである。しかし他方では、(イエスによってレビの祭司職に
よるものに)まさった希望がもたらされ、わたし達はこの希望によって神に近づくのであ
る。"
"580720","
ヘブル 7:20","それから(イエスの場合には)、それが誓約なくしては行われな
かったので──というのは、彼らの方は誓約なしに祭司になったが、"
"580721","
ヘブル 7:21","イエスの方は、彼に対してこう言われるお方により、誓約をもっ
て祭司とされた、“(神なる)主は(つぎのように)誓われたが、(決して)心を変えられ
ないであろう、「あなたは永遠に祭司である」と”。"
"580722","
ヘブル 7:22","──この点において、イエスは彼らにまさった(新しい)契約の
保証人となられたのである。"
"580723","
ヘブル 7:23","それから、彼らは死によって(いつまでも)祭司の職に留まるこ
とを妨げられるため、祭司になった者(の数)が多いけれども、"
"580724","
ヘブル 7:24","イエス(の場合)は、“永遠に”生きながらえるのであって、彼
のもつ祭司職は移り変りがないのである。"
"580725","
ヘブル 7:25","それゆえ彼はまた、彼によって神に近づく人々を完全に救うこと
が出来る。彼は人々のために(神に)執成をしようとして常に生きておられるからである。
"
"580726","
ヘブル 7:26","(わたしはイエスがメルキゼデクと同等の大祭司であることを、
くどくどと述べてきた。なぜか。)こんな大祭司こそ、わたし達にふさわしいからである。
聖なる、罪のない、汚れのない、罪人と分けられ、もろもろの天よりも高くされた大祭司!
"
"580727","
ヘブル 7:27","彼は(レビ系の)大祭司たちのように、まず自分の罪のために、
つぎに民の罪のために、毎日犠牲を捧げるに及ばない。(あとにも先にも)ただ一度かぎ
り、(山羊や小牛でなく)自分自身を捧げて、これをなしとげられたからである。"
"580728","
ヘブル 7:28","(なぜ一度で十分であるか。)律法は弱さをもつ人々を大祭司に
任命するけれども、律法の後に来たこの誓約の御言葉は、“永遠に”完成された“御子(イ
エス)を”任命するからである。"
"580801","
ヘブル 8:1","しかし(ここに言う)要点はこうである。わたし達にはこんな大
祭司があって、天で(神の)御稜威の御座の“右に坐っておられ”、"
"580802","
ヘブル 8:2","聖所、すなわち人間でなく、“主が建てられた”本当の“幕屋の”
奉仕者である、ということである。"
"580803","
ヘブル 8:3","いったいすべての大祭司が任命されるのは、供物や犠牲を捧げる
ためである。それゆえ(今言った)イエスもまた、何か捧げるべきものが必要である。"
"580804","
ヘブル 8:4","それで、もし彼が地上におられたならば、祭司ではあり得ないは
ずである、(ここにはすでに)律法によって供物を捧げる(レビの)祭司たちがいたので
あるから。"
"580805","
ヘブル 8:5","彼らは天上のことの模型と影とに奉仕しているのである、モーセ
が幕屋を建てようと(計画)したときお告を受けたとおりである。いわく、“心して、す
べてのものを、山であなたに示された型をまねて造れ”と。"
"580806","
ヘブル 8:6","しかし今イエスは(天上の祭司となり、レビ)より秀でた祭司の
務を受けられた。彼は(レビの場合に)まさる約束に基いて制定された、まさる契約の仲
介者であるからである。"
"580807","
ヘブル 8:7","なぜなら、もしかのシナイの最初の契約に非難すべきところがな
かったなら、第二の(イエスによる)契約が要求される余地はなかったはずである。(し
かしついに、新しい契約が要求された。)"
"580808","
ヘブル 8:8","なぜか。神が彼ら(イスラエル人を)非難して、こう言われたか
らである。“「見よ、日が来れば」と主は言われる、「(その時)イスラエルの家に対し、ま
たユダの家に対して、新しい契約をするであろう。"
"580809","
ヘブル 8:9","それはわたしが彼らの先祖たちの手を取り、エジプトの地から引
出した時に、彼らとした契約と同じではない。彼らはわたしの契約に留まらなかったので、
わたしも彼らを構わなかった」と主は言われる。"
"580810","
ヘブル 8:10","「これこそわたしがイスラエルの家と結ぶ契約である、かの日の
後に」と主は言われる、「わたしは彼らの悟りにわたしの律法を与え、彼らの心にそれを
書きしるすであろう。わたしは彼らの神になり、彼らがわたしの民になるであろう。"
"580811","
ヘブル 8:11","そしてひとりびとりがその同胞に、ひとりびとりがその兄弟に、
『主を知れ』と言って、教えることは決してないであろう、(その時)彼らは小より大に
至るまで皆わたしを知るであろうから。"
"580812","
ヘブル 8:12","なぜなら、わたしは彼らの不正をみのがし、もはや絶対に彼らの
罪を記憶しないであろうから。」”"
"580813","
ヘブル 8:13","(このように)“新しい契約”[新約]と言う以上は、(神みずか
ら)最初の契約[旧約]を古びたものとされたのである。古びたものと老いぼれたものと
は、間もなく消失せる。"
"580901","
ヘブル 9:1","さて、(前に言ったように、)最初の契約にも、礼拝の定めとこの
世的の聖所とがあった。"
"580902","
ヘブル 9:2","(その構造はつぎのとおり。)すなわち(聖所は二つの幕屋に分れ、
前方に)第一の幕屋が設けてあって、その中には燭台と机と供えのパンとがあった。この
幕屋を聖所と呼んだ。"
"580903","
ヘブル 9:3","また第二の幕のうしろには、至聖所と呼ばれる(第二の)幕屋が
あった。"
"580904","
ヘブル 9:4","そこには金の香壇と、ぐるりと金を張った契約の箱とがあって、
箱の中にはマナのはいっている金の壷と、芽を出したアロンの杖と、(十戒の書かれた)
契約の(石)板とがあった。"
"580905","
ヘブル 9:5","箱の上には、(翼で)贖罪所をおおう栄光のケルビムがあった。こ
れらのことについては、今一々述べることはできない。"
"580906","
ヘブル 9:6","このように、これらが設けられると、第一の幕屋には祭司たちが
絶えず入っていって、(燭台を整え、香をたき、供えのパンを替える)礼拝を行うのであ
る。"
"580907","
ヘブル 9:7","しかし(その奥の)第二の幕屋には、大祭司だけが年にただ一度
(七月十日の贖罪の日に入ることを許され)、しかも自分と民との過失のために捧げる血
なしでは、許されないのである。"
"580908","
ヘブル 9:8","これは、第一の幕屋がなお存在しているかぎり、(至)聖所への道
がまだ現われていないことを、聖霊が明らかにしているのである。"
"580909","
ヘブル 9:9","──この第一の幕屋は現在の比喩である。──従って供物や犠牲
は捧げられるが、礼拝する人の良心を完全にすることはできない。"
"580910","
ヘブル 9:10","(これらは)食物と飲物、また種々なる洗いごとに関する(もの
で、キリストの来臨による)完成の時まで有効な、肉体の定めに過ぎない。"
"580911","
ヘブル 9:11","しかしキリストは来るべき善いことの大祭司として(ついに地上
に)あらわれ、手で造らない、すなわち、この世界に属しない、より大なる、より完全な
幕屋を通って、"
"580912","
ヘブル 9:12","また、雄山羊や小牛の血をもってでなく、自分の血をもって、た
だ一度かぎり(至)聖所に入り、永遠のあがないを得られたのである。"
"580913","
ヘブル 9:13","なぜなら、もし雄山羊や雄牛の血や(水にまぜた)雄牛の灰を、
けがされた人々に注ぐことによって、肉体をきよめて、清潔にする(くらい)ならば、
""580914","
ヘブル 9:14","まして永遠の御霊の力によって傷のない自分自身を神に捧げた
キリストの血が、わたし達の良心を死ぬ行いから清めて、生ける神を礼拝させないことが
あるだろうか。"
"580915","
ヘブル 9:15","このゆえに、彼(キリスト)は新しい契約の仲介者である。彼
は最初の(旧い)契約の下に犯された違反をあがなうために死なれたのであるから、(そ
のあとは神に)召された者が(すべて)永遠の相続財産の約束をいただくのである。"
"580916","
ヘブル 9:16","なぜなら、遺言[契約]には、遺言者の死んだこと(の証拠)を
必ず提出せねばならない。"
"580917","
ヘブル 9:17","遺言は遺言者が生きている間は決して価値がないので、死によっ
て効力を生ずるからである。"
"580918","
ヘブル 9:18","それゆえ最初の契約も、血なくしては清められなかった。"
"580919","
ヘブル 9:19","というのは、律法による掟がことごとくモーセから民全体に語ら
れたのち、彼は小牛と雄山羊との血を、水と緋色の羊毛とヒソプと一しょに取り、(これ
を)律法の書自体と民全体とにそそいで、"
"580920","
ヘブル 9:20","こう言ったからである、“これは神があなた達に命じられた契約
の血”と。"
"580921","
ヘブル 9:21","そして幕屋にも礼拝用の器具全体にも、同じく血をそそいだ。"
"580922","
ヘブル 9:22","こうして律法にしたがえば、ほとんどすべてのものが血で清めら
れ、血を流すことなしには(罪の)赦はない。"
"580923","
ヘブル 9:23","だから、天上のものの模型が必ずこんなにして清められねばなら
ない(くらい)なら、(原形である)天上のこと自体は、これら(地上)のものにまさる
犠牲で清められねばならない。"
"580924","
ヘブル 9:24","というのは、キリストは手で造った、本当の聖所の模型の聖所で
なく、天そのものに入って、今わたし達のために神の御顔のまえに現れてくださったので
ある。"
"580925","
ヘブル 9:25","また、大祭司が自分のものでない血をもって毎年(至)聖所に入
るように、彼は幾度も自分を捧げるために入られたのでもなかった。"
"580926","
ヘブル 9:26","そうでなければ、世の始から(罪人はあったのだから)、彼は幾
度も苦しみをうけねばならなかったのである。しかし今や世の終に、キリストは(人々の)
罪を除くため、自分の犠牲によって、ただ一度自分を現わされたのである。(彼の犠牲は
空前絶後である。)"
"580927","
ヘブル 9:27","そして、ただ一度死ぬことと、そのあとで(神の前に出て)裁き
を受けることとが人間にきまっていると同様、"
"580928","
ヘブル 9:28","キリストも、ただ一度“多くの人の罪を負う”ために捧げられ、
(それから)二度目に、(しかし今度は)罪と関係なく、救のため、彼を待っている者に
自分をあらわされるのである。"
"581001","
ヘブル 10:1","つまり(モーセ)律法には、(ただキリストがもたらす)来るべ
き幸福の影があるばかりで、その事の(まことの)姿それ自身がないのである。毎年たえ
ず捧げる同じ(雄牛や雄山羊の)犠牲では、(神に)近づく者[祭司と一般の人](の罪)
を(永久に清めて)完全にすることは、決して出来ないからである。"
"581002","
ヘブル 10:2","もしそうでなければ、捧げることをやめてしまったはずではない
か、(犠牲を捧げて)礼拝する者は(それによって)ただ一度清められ、もはやいかなる
罪の自覚も持たないわけだから。"
"581003","
ヘブル 10:3","しかし(事実は反対で)、この犠牲によって(むしろ)毎年罪の
記憶が呼びさまされるのである。"
"581004","
ヘブル 10:4","雄牛や雄山羊の血は罪を取去ることが出来ないからである。
""581005","
ヘブル 10:5","だからキリストは、(血肉の人として)この世に入ってきたとき
に言われる、“犠牲や捧げ物を、あなたは好まれず、ただ体をわたしのためにお備えにな
った。"
"581006","
ヘブル 10:6","燔祭や罪祭を、あなたは喜ばれなかった。"
"581007","
ヘブル 10:7","その時わたしは言った、「見よ、わたしは来ました、──聖書の
巻物に、わたしについて書いてある──神よ、御心を行うために!」と。”"
"581008","
ヘブル 10:8","初めには“犠牲や献げ物や燔祭や罪祭を、あなたは好まれず、ま
た喜ばれなかった”と言い──これらは律法にしたがって捧げられるものである──
""581009","
ヘブル 10:9","“その時、見よ、わたしは来ました、御心を行うために!”と
言われたのである。(これは)第二のものを立てようとして、第一のものを廃止されるの
である。(すなわち律法による捧げ物が御心にかなわないので、キリストは御自身を捧げ
物にされた。)"
"581010","
ヘブル 10:10","この(神の)“御心”によって、イエス・キリストの“体が捧げ
られること”により、わたし達はただ一度かぎりで、きよめられているのである。""581011","
ヘブル 10:11","そして──(くどいが、もう一度くり返して言う)──祭司(という祭司)
は皆、(聖所に)立って毎日務をし、決して罪を取除くことの出来ない同じ犠牲を幾たび
も捧げているのに反して、"
"581012","
ヘブル 10:12","彼(キリスト)は罪のために(ただ)一つの犠牲(として御自
身)を捧げ、(天に入って)たえず“神の右に座っておられ”、"
"581013","
ヘブル 10:13","そのあとは、“彼の敵がその足台にされるまで、”(ただ)待って
おられるのである。"
"581014","
ヘブル 10:14","なぜなら、彼は(ただ)一つの捧げ物をもって、(その)きよめ
られた人々を永久に完全にされたからである。"
"581015","
ヘブル 10:15","しかし(このことは)聖霊もわたし達に証しをして、"
"581016","
ヘブル 10:16","“「これこそわたしが”彼らと“結ぶ契約である、かの日の後に」
と主は言われる、「わたしは彼らの心にわたしの律法を与え、彼らの悟りにそれを書きし
るすであろう。」”と言われたあとで、"
"581017","
ヘブル 10:17","「“もはや絶対に彼らの罪”と彼らの不法と“を記憶しないであ
ろう”」とつけくわえられたからである。"
"581018","
ヘブル 10:18","(すでに)こんな(罪の)赦しがある以上、もはや罪のための
捧げ物(の必要)はない。(旧約による祭司制度も礼拝の行われる聖所も、全然必要がな
くなったのである。)"
"581019","
ヘブル 10:19","(わたし達は今や旧約の律法から解放されて、新約の時代に入
った。)だから、兄弟たちよ、わたし達はイエスの血により、安心して聖所に入ることが
できるのである。"
"581020","
ヘブル 10:20","それは(イエスが)わたし達のために開かれた新しい生きた道
である。わたし達は(彼自身である)幕、すなわち彼の肉体を通るのである。"
"581021","
ヘブル 10:21","そして、(わたし達には)“神の家をつかさどる偉大な祭司”が
あるのである。"
"581022","
ヘブル 10:22","だからわたし達は誠実な心と、堅い信仰をもって、(神に)近づ
こうではないか、心は(イエスの血で)洗い浄められて良心の呵責なく、体は(洗礼の)
清い水で洗われて。"
"581023","
ヘブル 10:23","また、わたし達は(洗礼のとき)告白した(主の再臨の)希望
を、動かさずに守っていようではないか。──(これを)約束された方は忠実であるから。
──"
"581024","
ヘブル 10:24","また、わたし達は愛と善い業とを励まし合うように互に心掛け
ようではないか。(堅い信仰と動かぬ希望と愛の励み、この三つこそ最も尊い神の賜物で
ある。)"
"581025","
ヘブル 10:25","(また、)ある人々がするように、集会を怠けず、むしろ互に勧
め(合って出席す)るようにしなくてはいけない。その日が近づいていることをあなた達
は知っているから、いよいよそうしなくては!"
"581026","
ヘブル 10:26","なぜなら、わたし達が(キリストの)真理の知識を受けた後、
故意に罪を犯すならば、その罪のために、もはや(これをあがなうべき)犠牲は残ってい
ない。"
"581027","
ヘブル 10:27","ただ、恐れて刑罰を待っていることと、“(神に)反抗する者を
食いつくそ”うとしている“(裁きの)火の熱心(だけ)が”残っている。"
"581028","
ヘブル 10:28","モーセの律法をないがしろにする者があれば、憐れみなく、”“二
人もしくは三人の証人(の証言)によって死ぬのである。”"
"581029","
ヘブル 10:29","まして神の子を踏みつけ、きよめられた“約束の血を”けがれ
た(人間の血と同じ)と考え、恩恵の御霊を侮辱する者は、どんなひどい刑罰に価すると、
あなた達は思っているのか。"
"581030","
ヘブル 10:30","わたし達はこう言われた方を知っているからである。“仕返しは
わたしのもの、”わたしが、“報いをする”、さらに“主はその民を罰される”と。"
"581031","
ヘブル 10:31","生きた神の御手に落ちることのなんと恐ろしいことであろう。"
"581032","
ヘブル 10:32","あなた達が(前に聖霊に)照らされ(てキリストを信じ)た(す
ぐ)あとで、苦しみの激しい戦を耐え忍んだ前の日のことを思出しなさい。"
"581033","
ヘブル 10:33","それは、あるいは罵りや苦難のうちに(多くの人に)見世物に
されたり、あるいは、こんな目に会っている人々の仲間になったりすることであった。"
"581034","
ヘブル 10:34","しかり、あなた達は(信仰のための)囚人たちと苦しみをわか
ち、また自分がもっとまさった、いつまでもなくならない持物を持っていることを知って
いるので、自分の財産の奪われるのを喜んで忍んだではないか。"
"581035","
ヘブル 10:35","だからあなた達は(この堅い)信頼をすててはならない、それ
は大きな報いを持っている。"
"581036","
ヘブル 10:36","あなた達が神の御心を行って約束のものを受けるには、忍耐の
必要があるからである。"
"581037","
ヘブル 10:37","なぜなら、もう“ほんのしばらくすると”、“来るべき方が来ら
れる、おそくなることはない。"
"581038","
ヘブル 10:38","信仰によるわたしの義人は生きる。しかしもしあとに退くなら
ば、わたしの心にかなわない。”"
"581039","
ヘブル 10:39","しかしながら、わたし達は“あとに退いて”滅びに行く(臆病)
者でなく、“信仰によって”命を救う者である。"
"581101","
ヘブル 11:1","(では信仰とは何であるか。)信仰とは、希望することの実現で
あり、(目に)見ぬ事の確信である。"
"581102","
ヘブル 11:2","実際、(昔の偉大な)先祖たちは、この信仰において(神から聖
書で)有名にされた。"
"581103","
ヘブル 11:3","(まず、)信仰によって、わたし達はこの世界が神の言葉で造ら
れたことを知る。すなわち、見えるものは、現われぬものからできているのである。"
"581104","
ヘブル 11:4","信仰によって、アベルは(兄の)カインよりもすぐれた犠牲を神
に捧げ、その信仰のゆえに、義人であることを(神に)証しされた。“神は彼の供え物に
ついて、”(これを嘉納されたことを)証しされたのである。そしてその(信仰の)ゆえに、
死んでいながら、(今日まで)まだ語っている。"
"581105","
ヘブル 11:5","信仰によって、エノクは死なずに(天に)移された。“神が彼を
お移しになったのだから、(地上で)見つけ出されなかった”(と聖書は言う)。というの
は、天に移される前、彼は“神のお気に入ったことを”証しされたのである。"
"581106","
ヘブル 11:6","信仰がなければ“(神の)お気に入ることは”出来ない。神に近
づく者は、神がいますことと、彼をさがし求める者に報いを与える者であることを、信ず
べきだからである。"
"581107","
ヘブル 11:7","信仰によって、ノアはまだ見ないもの[洪水]について(神の)
お告げを受け、自分の家族を救うために恐れかしこんで箱船を造った。この信仰(の行い)
のゆえに(残りの)世界の罪は決まり、彼は信仰による義の相続人となった。"
"581108","
ヘブル 11:8","信仰によって、アブラハムは財産として戴くべき(カナンの)場
所に“出てゆけ”とのお召しを受け、(素直に)言うことを聞いた。そしてどこへ行くと
もわからず、“出ていった”。"
"581109","
ヘブル 11:9","信仰によって、彼は約束の地に他国人として“宿った”。彼は同
じ約束の(ものの)共同相続人(である子)イサクおよび(孫)ヤコブと一しょに、天幕
に住んだのである。"
"581110","
ヘブル 11:10","(どうしてこんな生活に甘んじたか。)彼は(堅固な)土台を持
つ(天の)都を待ちのぞんでいたからである。その建設者また創造者は神である。""581111","
ヘブル 11:11","信仰によって、アブラハムはまた(その妻)サラと共に、子孫をつくる力
を受けた、(すでに年齢が)盛りを過ぎていながら。彼は約束された方を誠実であると考
えたのである。"
"581112","
ヘブル 11:12","だからまた、(たった)一人から、しかも(老いぼれて)死んだ
ような者から、“天の星のように数多く、また数えきれぬ海岸の砂のように子孫ができた
のである。”"
"581113","
ヘブル 11:13","信仰に従い、これらの人たちは皆、(地上では)約束のものを受
けずに死んだのである。彼らはただ遠くからそれを眺めて歓迎し、自分たちは、“この地
上では外国人であり、旅の者”であると認めた。"
"581114","
ヘブル 11:14","このように(自分を外国人、旅の者と)言う人々は、(ほかにあ
る)自分の国を追及していることを現わしているからである。"
"581115","
ヘブル 11:15","もしも彼らが出てきた所、(すなわちカルデヤのウル)のことを
思ったのであったら、(いくらも)引き返す機会があったはずである。"
"581116","
ヘブル 11:16","しかし今や彼らは(地上のものに)まさる天の国を熱望してい
るのである。だから神も、彼らの神と言われることを恥とされない。彼は彼らのために(天
に)都を用意されたのであるから。"
"581117","
ヘブル 11:17","信仰によって、“アブラハムは(神に)試されたとき、(燔祭と
して)イサクを捧げた。その独り子を”捧げようとしたのである。彼は(神の)約束を受
け、"
"581118","
ヘブル 11:18","“イサクから生まれる者が、あなたの子孫となるべきである”
と語られた者であった。"
"581119","
ヘブル 11:19","神は死人の中からでも生きかえらせる力があると考えたからで
あった。そのため(この信仰に対する報いとして、)彼はその子を(キリストの死と復活
との)比喩として返してもらったのである。"
"581120","
ヘブル 11:20","信仰によって、(イサクも)将来のことに関してヤコブとエサウ
とに(神の)祝福を祈った。"
"581121","
ヘブル 11:21","信仰によって、ヤコブは死のうとするとき、ヨセフの子たちに
ひとりびとり祝福を祈った。そして“彼の杖の先によりかかって(神を)おがんだ”。
"581122","
ヘブル 11:22","信仰によって、ヨセフは臨終のとき、(将来)イスラエルの子孫
が(エジプトを)脱出することを思い、自分の骨(をいかに葬るべきか)について命令し
た。"
"581123","
ヘブル 11:23","信仰によって、モーセは生まれて“三か月のあいだ”、両親によ
って“隠された”。彼らは幼児の“奇麗なのを見て”(神に選ばれたことを知り)、王の命
令を恐れなかったからである。"
"581124","
ヘブル 11:24","信仰によって、“モーセは成長したとき”パロの王女の子と言わ
れることを拒み、"
"581125","
ヘブル 11:25","一時的の罪の享楽をするよりは、むしろ神の民と一しょに虐待
されることを選んだ。"
"581126","
ヘブル 11:26","彼は“キリストの(受けられる)罵りを(受けることは)”、エ
ジプトの宝にまさる大なる富と考えたのである。(来るべき天からの)報いに目を向けて
いたからである。"
"581127","
ヘブル 11:27","信仰によって、彼は王の憤りを恐れず、エジプトを去った。彼
は見えない神をあたかも(目で)見ているようにして、我慢したのである。"
"581128","
ヘブル 11:28","信仰によって、彼は“過越の食事”と、(門に)“血を”そそぐ
ことを実行した。“殺す者が”(イスラエルの)初子たちに(手を)触れないためである。"
"581129","
ヘブル 11:29","信仰によって、イスラエル人たちは陸地のように紅海を歩いて
通ったが、エジプト人たちは、これを試みて溺れた。"
"581130","
ヘブル 11:30","信仰によって、エリコの城壁は七日間取り囲まれて崩れた。"
"581131","
ヘブル 11:31","信仰によって、遊女ラハブは(イスラエルの)間諜を平和をも
って歓迎したので、不従順な(国)人と一しょに滅びなかった。"
"581132","
ヘブル 11:32","なおわたしは何を言おうか。ギデオン、バラク、サムソン、エ
フタ(等の士師)、ダビデ(王)とサムエルと(多くの)預言者たちとについて話すには、
わたしに時が足りない。"
"581133","
ヘブル 11:33","これらの人たちは、信仰のゆえに、(あるいは敵の)国々を征服
し、(あるいは)正義を行い、(あるいは神から)約束のものを得、(あるいは)獅子の口
を閉じ、"
"581134","
ヘブル 11:34","(あるいは)火の力を消して(害を受けず、あるいは)剣の刃
を免れ、(あるいは霊肉の)弱い状態から強くされ、(あるいは)戦に強くなり、(あるい
は)敵軍を打ち負かした。"
"581135","
ヘブル 11:35","婦人たちはその死んだ者を復活させてもらった。しかしほかの
(男の)人々は、それにまさる復活に達するため、釈放を願わずに、車裂きにされた。"
"581136","
ヘブル 11:36","また他の人々は、嘲りや鞭打ちや、そのほか縄目や牢の試みを
受けた。"
"581137","
ヘブル 11:37","石で打ち殺され、鋸で引かれ、剣で殺されて死に、羊の皮や山
羊の皮を着てうろつき回り、見捨てられ、悩まされ、虐待され、"
"581138","
ヘブル 11:38","──この世は(純潔な)彼らにふさわしくなかった──彼らは
荒野と山と洞穴と地の割れ目とをさまよい歩いたのである。"
"581139","
ヘブル 11:39","そしてこれらすべての人々は信仰のゆえに(その正しいことを)
証しされたが、(地上にいる間には)約束のものを受けなかった。"
"581140","
ヘブル 11:40","神がわたし達のために、(地上の幸福でなく、何か)これにまさ
る(偉大な)ことを計画されて(いて)、わたし達を抜きにしては、それは完成されない
からである。"
"581201","
ヘブル 12:1","それゆえ、わたし達も、こんなに雲のような(大勢の)証人に囲
まれているのであるから、(信仰の障害となる)すべての煩わしさと、すぐにからみつく
罪とをぬぎすてて、わたし達の前に置かれている競走を、忍耐をもって走ろうではないか。
"
"581202","
ヘブル 12:2","(かの)信仰の創始者また完成者であるイエスを見上げて!彼は
自分の前にある喜びを捨て、恥をもいとわず十字架を耐え忍んで、(いまや)神の御座の
“右に坐られているのである”。"
"581203","
ヘブル 12:3","あなた達も倦怠し、無気力になることがないように、彼が(御子
でありながら、)“罪人どもの自分に対する”あんな敵対を耐え忍ばれたことを考えなくて
は。"
"581204","
ヘブル 12:4","あなた達はまだ、罪と戦って血を流すまでに抵抗したことがない。
"
"581205","
ヘブル 12:5","また、(親がその)子に話すようにして話される(神の)励まし
を忘れてしまっている。──“わが子よ、主の訓練を軽んずるな、処罰されるときに、ひ
るむな。"
"581206","
ヘブル 12:6","なぜなら、主は愛する者を訓練し、好きな子をすべて懲らしめら
れる。”"
"581207","
ヘブル 12:7","(神の)“訓練”を受けるために、(迫害を)耐え忍べ。神はあな
た達を(自分の)“子”のように取り扱われるのである。なぜなら、父の“訓練し”ない
“子が”どこにかあるのか。"
"581208","
ヘブル 12:8","もし皆が受ける“訓練が”ないとすれば、それこそあなた達は私
生児で、(ほんとうの)“子”ではない。"
"581209","
ヘブル 12:9","かつまた、わたし達は訓練をする者として肉の父を尊敬した(と
するならば)、まして霊魂の父に服従して、(永遠に)生きないことがあるだろうか。"
"581210","
ヘブル 12:10","というのは、肉の父は(ほんの)少しの日数(だけ)、自分の考
えに従って訓練したのに反して、神はわたし達を益するため、わたし達をその聖さにあず
からせるために、訓練されるのであるから。"
"581211","
ヘブル 12:11","あらゆる訓練(というもの)は、その当座は喜びとは見えず、
かえって悲しみと見えるが、しかしあとで、それで鍛えた者に(まことの)義の実である
平安を与えるのである。"
"581212","
ヘブル 12:12","だから、“力の抜けた手と、しびれた膝をまっすぐに伸ばしなさ
い。”"
"581213","
ヘブル 12:13","そしてあなた達の“足で、まっすぐな道を歩きなさい”。足なえ
が脱臼することなく、むしろそれが直るように。"
"581214","
ヘブル 12:14","すべての人との“平和を追い求めよ”、また聖潔を。聖潔がなけ
れば、だれも主にまみえることはできない。"
"581215","
ヘブル 12:15","よく注意して、神の恩恵に入ることができぬ者が(一人も)な
いように、(また、)“(一本の)苦い(毒草の)根が生え出てやっかいをかけ”、それによ
って多くの人が(罪に)よごされ(るものが一つも)ないように、"
"581216","
ヘブル 12:16","(また、たった)一杯の食べ物のために自分の“長子相続権を
売り渡したエサウ”のような、不品行の者、野卑な者が(一人も)ないように、せねばな
らない。"
"581217","
ヘブル 12:17","なぜなら、彼はあとから(その相続権である神の)祝福を相続
しようと願ったが、排斥されたことを知っているではないか。涙を流しながら求めたにも
かかわらず、悔改めの余地がなかったのである。"
"581218","
ヘブル 12:18","なぜであるか。(いま)あなた達があゆみ寄っている所は、(手
で)さわることのできる山ではない、また“燃えている火、また黒雲、また暗やみ、また
暴風、"
"581219","
ヘブル 12:19","またラッパの響、また(神の)言葉の声”ではない。この声を
聞いた者は(みな恐れおののいて、これ以上)自分たちに一言もつけたして与えられない
ようにと、断ったのである。"
"581220","
ヘブル 12:20","というのは、“たとい獣がこの山に触れても石で打ち殺される”
という(神の)命令に堪えられなかったのである。"
"581221","
ヘブル 12:21","そしてその光景があまり恐ろしかったので、モーセ(すら)も、
「“自分は怯え”かつ震える」と言ったほどであった。"
"581222","
ヘブル 12:22","(これは旧い約束が与えられた時のシナイ山であるが、)しかし
(今キリストを信ずる)あなた達があゆみ寄っている所は、(目に見えない、喜びと平安
の)シオンの山、(然り、)生ける神の都、天のエルサレム、また数かぎりない天使、"
"581223","
ヘブル 12:23","また、天に登録された(神の)長男たちの祝いの集いまたその
集会、またすべての(ものの)裁判官である神、また完成された(天にある)義人たちの
霊、"
"581224","
ヘブル 12:24","また新約の仲介者であるイエス、また、(地の中から神に復讐を
叫ぶ)アベルの血よりも雄弁に語る(イエスの)注ぎの血である。"
"581225","
ヘブル 12:25","あなた達は(キリストをもって)語られるお方をしりぞけない
ように気をつけよ。なぜなら、もし彼ら(イスラエル人)ですら地上でお告げを下される
お方をしりぞけて罰を免れなかったくらいならば、ましてわたし達が天からお告げを下さ
れるお方にそむいたら、なおさらのことである。"
"581226","
ヘブル 12:26","その時、そのお声は地を震わせた。しかし今彼は約束をして言
われた、“わたしはもう一度、地”ばかりでなく“天を”も“揺り動かす”と。"
"581227","
ヘブル 12:27","しかし、この“もう一度”とは、造られたものとして、震われ
るものの変更されることを意味する。これは震われることのないものが(永遠に)のこる
ためである。"
"581228","
ヘブル 12:28","だからわたし達は(永遠に)揺り動かぬ国を授かったのだから、
(神に)感謝しようではないか、それによって敬虔と畏怖とをもって、お気に入るように
神を礼拝しようではないか。"
"581229","
ヘブル 12:29","わたし達の“神は焼きつくす火”であるからである。"
"581301","
ヘブル 13:1","(集会では、お互の間に)兄弟愛がいつまでもなくならないよう
に。"
"581302","
ヘブル 13:2","(また、)旅人の接待を忘れないように。というのは、このこと
により(アブラハム、サラなど)ある人々は、(自分でも)知らずに天使を泊め(て、神
の恩恵を受け)たからである。"
"581303","
ヘブル 13:3","(主のための)囚人を、同囚人として記憶せよ。虐待されている
人たち(のこと)を記憶せよ、あなた達自身も(なお)肉体においてあるのだから。""581304","
ヘブル 13:4","婚姻はすべての点において尊ばれよ。また夫婦の床が汚れないように。神
は不品行の者と姦淫する者とを罰されるからである。"
"581305","
ヘブル 13:5","金銭を愛せぬ生活をせよ。(現在)もっているもので満足せよ。
神がこう言われたからである、“わたしは決してあなたを見殺しにしない、また決してあ
なたを見捨てない”と。"
"581306","
ヘブル 13:6","だからわたし達は確信して言う(ことができる)。──“主はわ
たしの助け人、わたしは(何ものも)恐れない。何を人間がわたしにすることができよう
か。”"
"581307","
ヘブル 13:7","神の御言葉を語ってくれたあなた達の指導者たちのことを思え。
その生涯の終り(──いかに神の御言葉を証ししながら死んだか)を注意してみて、その
信仰をまねよ。
"581308","
ヘブル 13:8","イエス・キリストは、きのうも、きょうも、また永遠に、同じで
ある。"
"581309","
ヘブル 13:9","あなた達はさまざまな、異様の教義に惑わされてはいけない。(近
ごろ食物が救いに役立つように言う人があるが、それは大きな誤りである。)なぜなら、
食物によらず、(神の)恩恵によって、心を確かにされることがよろしいからである。食
物によって(信仰の道を)歩いた者たちは、(食物ではすこしも)益されなかったではな
いか。"
"581310","
ヘブル 13:10","(なるほど旧約と同じように、新約の)わたし達にも一つの祭
壇がある。(すなわち聖晩餐の食卓であるが、新約の)幕屋に奉仕する者は、そこから(い
ただいて)食べる権利を持たない。"
"581311","
ヘブル 13:11","なぜなら、(旧約によれば贖罪の日、)大祭司によって、(民の)
“罪のための”(犠牲の)獣の“血は聖所に持って入られ(る”けれども)、その体は“宿
営の外で焼きすてられる”からである。"
"581312","
ヘブル 13:12","だからイエスも(これと同様に、しかし獣の血でなく)自分の
血をもって、民をきよめるために、(エルサレムの)門の外で(十字架の)苦しみをうけ
られたのである。(すなわち贖罪と同じように、血は天の聖所の中に持って入られたけれ
ども、その肉体は門の外のゴルゴダで滅び失せたのである。だから新約の祭壇では、食べ
る肉は無い。聖晩餐のパンがキリストの肉である訳はないではないか。)"
"581313","
ヘブル 13:13","それならばわたし達も彼(と同様)の罵りを忍んで、(肉のこの)
“宿営の外”に出て彼のところにゆこう。"
"581314","
ヘブル 13:14","わたし達にはここにいつまでもなくならない都はなく、ただ来
るべき(天の)都をさがし求めているからである。"
"581315","
ヘブル 13:15","だからわたし達は、イエスによって“讃美の犠牲を”絶えず“神
に捧げようではないか。(すなわち)これは御名をたたえる“唇の実”である。"
"581316","
ヘブル 13:16","しかし(同様に、)慈善と同情とを忘れるな。こんな犠牲こそ神
のお気に召すからである。"
"581317","
ヘブル 13:17","指導者に従い、(その権威に)服せよ。彼らは(神に)責任を問
われる者として、あなた達の魂のために(絶えず)心配しているからである。(こんな注
意をするのは、)彼らが呻きながらでなく、喜んでその(仕)事をするためである。そう
でなければ、(いかに熱心でも、)そのことが、(すこしも)あなた達の為にならないから
である。"
"581318","
ヘブル 13:18","わたし達のために祈りをつづけてくれ。わたし達は正しい良心
を持ち、すべての点において正しく行動しようと念願していることを、(かたく)信じて
いるからである。"
"581319","
ヘブル 13:19","しかし一層(強く)祈るようにあなた達に願う、わたしがすこ
しでも早くあなた達に戻してもらえるようにと!"
"581320","
ヘブル 13:20","“羊の”大“牧者”であるわたし達の主イエスを、“永遠の約束
の血によって”死人の中から“つれ上られた”平和の神が、"
"581321","
ヘブル 13:21","あらゆる善いことをあなた達に備えて御心を行わせ、かつ、御
前にお気に入ることをイエス・キリストによってあなた達の中に行われんことを。栄光、
永遠より永遠にこの神にあらんことを、アーメン。"
"581322","
ヘブル 13:22","兄弟たちよ、あなた達に勧める。わたしの励ましの言葉を(快
く)聞いてほしい。わたしは手短かに書き送ったのだから。"
"581323","
ヘブル 13:23","わたし達の兄弟テモテが釈放されたことを知ってもらいたい。
もし彼が早く来れば、彼と一しょにあなた達を訪ねよう。"
"581324","
ヘブル 13:24","あなた達の指導者一同、また聖徒一同によろしく。イタリヤの
人々からあなた達によろしく。"
"581325","
ヘブル 13:25","恩恵、あなた達一同と共にあらんことを。"

ヤコブの手紙
"590101","
ヤコブ 1:1","神と主イエス・キリストの奴隷なるヤコブ、(国々に)「撒きちら
されたる十二族」に敬意を表す。"
"590102","
ヤコブ 1:2","わが兄弟達よ、種々な試練に遭った時には、(それを)無上の喜び
と思え。"
"590103","
ヤコブ 1:3","信仰の試験に及第することが忍耐を生み出すことを、君達は知っ
ているのだから。"
"590104","
ヤコブ 1:4","そして忍耐に完全な働きをさせて、如何なる点にも欠くることの
無い、完全無欠な者となれ。"
"590105","
ヤコブ 1:5","で、もし君達のうち誰か知恵に欠けている者があるならば、誰に
でも無造作にまた快く与え給う神に求めよ。そうすれば(きっと)与えられるであろう。"
"590106","
ヤコブ 1:6","ただし決して疑わず、(神を)信じて求めよ。疑う者は風のまにま
に漂う海の浪に似ているのだから。"
"590107","
ヤコブ 1:7","そんな人は主から何か戴けるなどと(決して)思うな──"
"590108","
ヤコブ 1:8","そんな人は二心で、そのすること為すことが皆ぐらぐらしている。
"
"590109","
ヤコブ 1:9","(身分の)卑い(貧しい)兄弟は(終わりの日において)自分が
高まることを誇れ。"
"590110","
ヤコブ 1:10","しかし(不信者なる)金持ちは(もし誇りたければ終わりの日に
おいて)自分が低くなることを誇ったがよかろう。彼は“草花のように”(たちまち)消
え失せるのだから!"
"590111","
ヤコブ 1:11","(一度)日が出て熱い風が吹いて、“草を枯らすと、花は落ち”
その麗しい顔は失せる。これと同じく、金持ちもその(儲け)仕事の最中に萎んでしまう
であろう。"
"590112","
ヤコブ 1:12","“幸福なるかな”、試練に“耐える”人、(これに)及第すると、
主を愛する者に約束された生命の冠が戴けるのだから。"
"590113","
ヤコブ 1:13","誰も(悪に)誘われる時、「私は神から誘われている」と言って
はならぬ。神は(決して)悪に誘われ給わず、また自らも人を(悪に)誘い給わないから
である。"
"590114","
ヤコブ 1:14","ただ各自が自分の慾に引かれ釣られて、誘われるのである。"
"590115","
ヤコブ 1:15","かくて慾が孕むと罪を産み、罪が熟すると死を生む。"
"590116","
ヤコブ 1:16","愛するわが兄弟達よ、考え違いをしてはならぬ──"
"590117","
ヤコブ 1:17","(誘いは神から来るのではない。)あらゆる善い贈り物、あらゆ
る完い賜物が、上から、(もろもろの)光の父から下るのである。父には微塵も変化がな
く、また星辰の運行から生ずる陰影も無い。(だから、こんな神から悪への誘いが来る訳
が無いではないか。)"
"590118","
ヤコブ 1:18","(のみならず、)彼は私達をその創造り給うた物の謂わば初穂た
らしめようと思って、真理の言により私達を生み給うたのである。"
"590119","
ヤコブ 1:19","愛するわが兄弟達よ、知れ──人は皆聽くに速く、談るに遅く、
怒るに遅くなければならぬ。"
"590120","
ヤコブ 1:20","人の怒りは神の義を行わないのだから。"
"590121","
ヤコブ 1:21","故に一切の穢れと夥しい悪とを脱ぎ棄てて、心に植えつけられた、
君達の魂を救うことの出来る御言を、柔和(な心)をもって受け容れよ。"
"590122","
ヤコブ 1:22","御言の実行者となれ。(自分で)自分をごまかしてただの聴聞者
となるな。"
"590123","
ヤコブ 1:23","もし(ただ)御言の聴聞者で(あるだけで)その実行者でないな
らば、その人は(丁度)鏡で自分の生来の顔を眺める人に似ている。"
"590124","
ヤコブ 1:24","自分(の顔)を眺めて立ち去ると、直にどんな(顔)であったか
を忘れるのである。"
"590125","
ヤコブ 1:25","しかし完全な自由の律法に見入って離れない者は、忘れっぽい聴
聞者でなく(善き)業の実行者となるのであって、その人は(それを)実行すれば幸福で
あろう。"
"590126","
ヤコブ 1:26","もし誰か自分を信心深いと思い、その舌の轡をかけず、(外見だ
けの信心を真の信心と思って自分で)自分の心を欺くならば、その人の信心は空である。"
"590127","
ヤコブ 1:27","父なる神の前に(真に)潔い、穢れのない信心とはこれである─
─孤児や寡婦をその患難の時に見舞うこと、この世から穢されぬように自分を守ること!"
"590201","
ヤコブ 2:1","わが兄弟達よ、我らの栄光の主イエス・キリストの信仰をもつ者
には偏頗があってはならぬ。"
"590202","
ヤコブ 2:2","すなわち金の指輪をはめ、立派な着物を着た人が君達の会堂に入
って来、また貧乏人も汚い着物で入って来た時、"
"590203","
ヤコブ 2:3","もし立派な着物を着た人に目をつけて、「貴方は此処のよい席にお
かけなさい」と言い、貧乏人には、「君はあそこに立つか、(ここで)私の足台の傍にお坐
り」と言うならば、"
"590204","
ヤコブ 2:4","君達は自分勝手に差別待遇をする悪徳裁判人になったのではない
か。"
"590205","
ヤコブ 2:5","聴け、愛するわが兄弟達よ、神はこの世の貧乏人を選んで信仰に
おける金持ちとし、神を愛する者に約束し給うた御国の相続人となし給うたではないか。"
"590206","
ヤコブ 2:6","しかるに君達は貧乏人を軽蔑した。(しかし)金持ちどもこそ君達
を抑えつけ、また裁判所に曳いて行くのではないか。"
"590207","
ヤコブ 2:7","彼らこそ(洗礼の際)君達の上に称えられた(イエス・キリスト
の)高貴な御名を涜すのではないか。"
"590208","
ヤコブ 2:8","もちろん君達が聖書に従って、「“己の如く汝の隣人を愛せよ”」と
いう王者律を全うするならば、それはよいことである。(だから君達が金持ちを愛するの
は悪いことではない。)"
"590209","
ヤコブ 2:9","ただもし偏頗なことをすれば、罪を犯すのであって、律法から犯
人と定められる。"
"590210","
ヤコブ 2:10","律法全体を守っても(ただ)一点において失策る者は、全体を犯
したことになるからである。"
"590211","
ヤコブ 2:11","というのは、「“姦通するな”」と言い給うた御方がまた「“殺す
な”」と言い給うたのであるから、たとい姦通せずとももし殺せば、律法(全体)の犯人
となるのである。"
"590212","
ヤコブ 2:12","(だから死んだ文字でなく、霊の)自由の律法をもって審かるべ
き者らしく語りまた行動せよ。"
"590213","
ヤコブ 2:13","憐憫を行わぬ者には憐憫なき審判があるのである。憐憫は審判に
向かって勝ち誇る。"
"590214","
ヤコブ 2:14","わが兄弟達よ、信仰を有っていると言う人があっても、もし行為
がなければ何の役に立とう。(行為の伴わない)そんな信仰がその人を救い得る(と思う)
か。"
"590215","
ヤコブ 2:15","(君達の)兄弟か姉妹が裸でいて、その日の食物に事欠いている
時、"
"590216","
ヤコブ 2:16","君達の誰かがこれに、「(では)“お大事に”、温かにして、満腹し
なさい」と言って体に必要なものを与らなければ、何の役に立とう。"
"590217","
ヤコブ 2:17","同じように信仰にも行為が(伴わ)なければ、それは実質におい
て死んだものである。"
"590218","
ヤコブ 2:18","しかし(また、)「この人には信仰があり、かの人には行為がある。
(何も信仰に行為が伴う必要はないではないか」)と言う人があるかも知れない。(よろし
い)行為の無い君の信仰を私に見せてくれ。そうすれば私も私の行為によって信仰を見せ
てやろう!"
"590219","
ヤコブ 2:19","君は神は唯一であると信ずるか。それはよいことである。(しか
しその信仰だけでは足りない。)鬼ですら(それを)信じて慄くのである。"
"590220","
ヤコブ 2:20","ああ間の抜けた人よ、君は行為のない信仰の駄目なことが知りた
いのか。"
"590221","
ヤコブ 2:21","(一体)我らの父”アブラハムはその子イサクを祭壇に献げた”
時、(献げるという)行為によって義とされたではないか。"
"590222","
ヤコブ 2:22","君に判るように、信仰が彼の行為と共に働き、行為によって信仰
が全うされたのである。"
"590223","
ヤコブ 2:23","そして(その時、)「“アブラハム神を信じ”、(その信仰を彼の)
“義と認められたり”」、また「彼は“神の友”と称えられたり」という聖書が成就したの
である。"
"590224","
ヤコブ 2:24","(だから)人は行為によって義とされるので、信仰だけで(義と
されるので)はないことが、君達に解るであろう。"
"590225","
ヤコブ 2:25","同様に遊女ラハブも使いの人達を迎え入れて他の道から逃がした
時、(その殊勝な)行為によって義とされたではないか。"
"590226","
ヤコブ 2:26","霊魂の無い体が死んでいるように、行為の無い信仰も死んでいる。
"
"590301","
ヤコブ 3:1","兄弟達、あまりに多く教師になるな。君達が知っているように、
私達教師は(人一倍)厳しい審判を(神から)受けるのに、"
"590302","
ヤコブ 3:2","皆しばしば失策をするからである。もし言において失策をしない
者があるなら、それは全身にも轡をつけることの出来る完全な人である。"
"590303","
ヤコブ 3:3","もし馬を従わせるために口に轡を嵌めれば、その全身を御するこ
とが出来る。"                     
"590304","
ヤコブ 3:4","また船を見よ。あんなに大きくありながら、また激しい風に追わ
れていても、極小さな舵で、舵手の心のはずみでその欲する処に動かされる。"
"590305","
ヤコブ 3:5","このように舌も(体の)小さな肢ではあるが、大きなこと(が出
来るの)を威張るのである。見よ、あんな小さな火があんな大きな林を燃やすではないか!
"
"590306","
ヤコブ 3:6","舌も火である。舌は不義の世界として私達の肢体の中に座を占め、
全身を穢し、(自らは)地獄の火に燃やされながら、「輪転の一生」を燃やすのである。"                             
"590307","
ヤコブ 3:7","というのは、凡ての生物は、獣も鳥も、匍うものも海のものも(悉
く)押さえつけられるが、そして(既に)人間の性に押えつけられて来たが、"
"590308","
ヤコブ 3:8","舌は如何なる人もこれを押さえつけることが出来ない。舌は休む
ことなき悪であり、死の毒に満ちている。"
"590309","
ヤコブ 3:9","私達はこれで父なる主を讃美し、またこれで”神に象って“造ら
れた人間を呪う。"
"590310","
ヤコブ 3:10","(すなわち)同じ口から讃美と呪詛が出るのである。(しかし、)
兄弟達、そんなことがあってはならぬ。"
"590311","
ヤコブ 3:11","(一体)泉が同じ穴から甘い水と苦い水を出すことがあろうか。
"
                                 
"590312","
ヤコブ 3:12","(それとも、)兄弟達、無花果が橄欖を、また葡萄が無花果を生
らせることが出来ようか。またしおからい泉が甘い水を出すことは出来ない。"
"590313","
ヤコブ 3:13","君達の中で知恵があり、分別があるのは誰か。その人は立派な生
活により、(真の)知恵から生まれる柔和を以てその行為を示(し、真の知恵を有ってい
ることを証明)せ(よ。)"
"590314","
ヤコブ 3:14","しかし、もし君達の心に苦い嫉妬や争いがあるならば、(知恵が
あるなどと)誇って(はならぬ。それは虚言である。)真理に反して虚言をいってはなら
ぬ。"
"590315","
ヤコブ 3:15","そんな知恵は上から降ったものではない。地上のもの、血肉のも
の、(然り、)悪鬼のものである。(真の知恵は謙遜であり、柔和である。)"
"590316","
ヤコブ 3:16","何故なら、嫉妬や争いのあるところには無秩序とあらゆる悪事が
ある。"
"590317","
ヤコブ 3:17","上からの知恵はまず聖く、次に平和を好み、親切で、温順で、憫
れみと善き果実に満ちて居り、党派根性がなく、偽善でない。"
"590318","
ヤコブ 3:18","そして(この)義の果実は平和を作る人(の心)に、(神によっ
て)平和の裡に播かれるのである。"
"590401","
ヤコブ 4:1","君達の間の戦いは何処から(来る)か、また争いは何処からか。
君達の五体の中で(いつも良心と)戦っている快楽(の慾)、其処から(来るの)ではな
いか。"
"590402","
ヤコブ 4:2","君達は貪る、しかし得ない、妬みまた猾む、しかし取ることが出
来ない。君達は争いまた戦う。しかし得ない、(神に)求めないからである。"
"590403","
ヤコブ 4:3","求めてしかも受けないのは、悪い心で、自分達の快楽のために費
やそうとして求めるからでる。"
"590404","
ヤコブ 4:4","姦婦達、世に対する愛情は神への敵対であることを知らないのか。
だから誰でも世の友になろうと思う者は自分を神の敵とするのである。"
"590405","
ヤコブ 4:5","それとも君達は「(神は)私達の中に住ませ給うた霊を嫉みぶかく
慕い給う」と聖書が言うのを空なことと思うのか。"
"590406","
ヤコブ 4:6","神は(二心の者を必ず罰し給う代わりに、彼を愛する者には)い
よいよ大きな”恩恵を賜うのである”。それ故に(また聖書は)言う「“神は横柄な者に抵
抗し、謙遜な者には恩恵を賜う”」と。"
"590407","
ヤコブ 4:7","だから神に従え。しかし悪魔には反抗せよ、すると君達から逃げ
るであろう。"
"590408","
ヤコブ 4:8","神に近づけ、すると君達に近づき給うであろう。罪人達、手を(洗
い)潔めよ、二心の者、心を聖くせよ。"
"590409","
ヤコブ 4:9","(自分の惨めさを)嘆け、悲しめ、泣け。君達の笑いを悲しみに、
喜びを憂鬱に変えよ。"
"590410","
ヤコブ 4:10","主の御前に(自分を)低くせよ、すると(主が)君達を高くし給
うであろう。"
"590411","
ヤコブ 4:11","兄弟達よ、互いに譏るな。兄弟を譏る者、兄弟を審く者は、律法
を譏り、律法を審くのである。そして君達が律法を審けば、律法を行う者でなく(その)
審判者である。"
"590412","
ヤコブ 4:12","立法者また審判者は、(人を)救いまた滅ぼすことの出来る彼(た
だ)一人である。(神に代わって)隣人を審く君は(一体)何者だ!"
"590413","
ヤコブ 4:13","さあ来い、「今日か明日どこそこの町に行き、一年其処に居り商
売をして儲けてやろう」と言う者達!"
"590414","
ヤコブ 4:14","(だが)君達は明日のことを知らないのだ。君達の生命は何か。
君達は一寸見えて、(直)またあとで見えなく成る湯気ではないか。"
"590415","
ヤコブ 4:15","その代わりに君達はこう言わねばならぬ、「主の御心ならば、私
達はいきていてこのことあのことを為よう!」"
"590416","
ヤコブ 4:16","しかし今君達は誇り高ぶっている、こんな誇りは皆悪い。"
"590417","
ヤコブ 4:17","だから善を為ることを知ってしないのはその人にとって罪である。
"
"590501","
ヤコブ 5:1","さあ、金持ち、君達に臨もうとする不幸を嘆きながら泣き叫べ。"
"590502","
ヤコブ 5:2","君達の富は腐れた。君達の着物は紙魚に食われた。"
"590503","
ヤコブ 5:3","君達の金と銀とは錆びた。その錆が君達の(罪の)証拠になり、
“火”のように君達の肉を食うであろう。君達は最後の日において(なおも)“宝を積ん
だ”。"
"590504","
ヤコブ 5:4","見よ、畑を刈った労働者に君達が払わなかった“賃金は叫び”、刈
り入れをした者たちの叫び声は“万軍の主の耳に”入った。"
"590505","
ヤコブ 5:5","君達は地上で贅沢をし享楽をして、“「屠りの日」に”心を肥やし
(太らせ)た。"
"590506","
ヤコブ 5:6","義人を罪に処して殺した──(しかも)彼らは君達に(少しも)
抵抗しない。"
"590507","
ヤコブ 5:7","だから兄弟達よ、主の来臨(の時)まで忍耐せよ。見よ、農夫は
地の尊い果実が“前の雨と後の雨を”受けるまで、忍耐して待っている(ではないか)。"
"590508","
ヤコブ 5:8","君達も忍耐せよ、心を強くせよ、主の来臨は近づいたから。"
"590509","
ヤコブ 5:9","兄弟達よ、審かれないために、互いに呟くな。見よ、審判者は戸
の前に立って居られる。"
"590510","
ヤコブ 5:10","兄弟達よ、主の名において語った預言者達を、辛抱と忍耐の手本
にせよ。"
"590511","
ヤコブ 5:11","見よ、”私達は待ち堪えた者の幸福を讃える”。君達はヨブの(大
なる)忍耐(の物語)を聞いた、また主の(来らせ給うたそのめでたい終局を見た、“主
は憐れみに富み、また慈悲深くあり給う”ではないか。
"590512","
ヤコブ 5:12","しかしわが兄弟達よ、何はさて措き、誓うな、天をさしても、地
をさしても、(また)他の如何なる誓いをもするな。君達の然りは然り、否は否であれ。
これは審判に陥らないためである。
"590513","
ヤコブ 5:13","君達の中に苦しんでいる者があるのか、その人は祈ったがよかろ
う。喜んでいる者があるのか、その人は(神に)讃美の歌をうたったがよかろう。
"590514","
ヤコブ 5:14","君達の中に病んでいる者があるのか、その人は教会の長老を呼び、
長老たちは主の名により油を塗って、その人のことを祈ったがよかろう。
"590515","
ヤコブ 5:15","信仰(による真)の祈りは病人を癒し、主は彼を立たせ給うであ
ろう。そしてもし罪を犯して居るならば、赦されるであろう。
"590516","
ヤコブ 5:16","だから互いに罪を告白し、医されるため互いのために祈れ。義人
の(熱心な)祈りは働くと大きな力がある。
"590517","
ヤコブ 5:17","エリヤは私達と同じ(ただの)人間であるが、雨が降らないよう
に切に祈ると、地上に三年六か月雨が降らなかった。
"590518","
ヤコブ 5:18","そして再び祈ると、天は雨を与え地はその果実を生じた。
"590519","
ヤコブ 5:19","わが兄弟達よ、君達の中に真理から迷う者があって、誰かがそれ
を引き戻すならば、
"590520","
ヤコブ 5:20","罪人を迷いの道から引き戻した者はその人の魂を死から救い、且
つ多くの“罪を蔽う”ことを知れ

ペテロの手紙 第一
"600101","
・ペテロ 1:1","イエス・キリストの使徒(なるわれ)ペテロ(より、)ポント、
ガラテヤ、カパドキヤ、アジヤ及びビテニヤの「離散民」、(すなわち)選ばれた仮寓者(な
る君達クリスチャン)に(手紙を遺る。)──"
"600102","
・ペテロ 1:2","君達は父なる神の予定に循い、御霊の聖潔によって、従順とイ
エス・キリストの血の潅ぎに与らんために選ばれたのである──恩恵と平安、(いよいよ)
君達に豊かならんことを!"
"600103","
・ペテロ 1:3","讃美すべきかな、我らの主イエス・キリストの父なる神!彼は
大なる憐憫により、イエス・キリストが死人の中から復活し給うたことをもって、私たち
を活ける希望に新しく生み、"
"600104","
・ペテロ 1:4","君達のために天に保管されている、朽ちぬ、穢れぬ、萎まぬ相
続財産に与らせ給うたのである。"
"600105","
・ペテロ 1:5","(そして)君達は最後の時に顕れる準備の(既に)出来ている
救いに入るために、信仰によって神の力に護られる。"
"600106","
・ペテロ 1:6","(もちろん)その時には(大いに)喜ぶ(であろう)が、もし
(御意により)必要ならば、今は少し様々な試練に(悩み)悲しまねばならない。"
"600107","
・ペテロ 1:7","これは君達の信仰が、火によって本物であると証明された(こ
の世の)はかない金よりも尊い本物であることが判り、イエス・キリストの顕現の時に(君
達の)面目また光栄また栄誉とならんためである。"
"600108","
・ペテロ 1:8","君達は彼を(目のあたり)見たことはないが、(これを)愛し、
今も見ることは出来ないが、(これを)信じて、(既にかの日の)輝きに満ちた、言語に絶
する喜悦を喜んでいる。"
"600109","
・ペテロ 1:9","信仰の目標なる霊魂の救いを獲るからである。"
"600110","
・ペテロ 1:10","君達への恩恵について予言した予言者達はこの救いを穿鑿し、
研究した。"
"600111","
・ペテロ 1:11","(すなわち)彼らは自分達の中のキリストの霊が、キリストに
臨む苦難とその後の栄光とについて予め証明し給うたのは、(そもそも)何時、如何なる
時を指していたかを研究した。"
"600112","
・ペテロ 1:12","そして(その結果、自分達はキリストの苦難と栄光を見ること
が出来ず、かえって君達がその恩恵に与ること、すなわち)彼らの奉仕は自分達のため
でなく、(後の世の)君達に対するものであることを黙示されたのである。(そして)その
奉仕したものこそ、天から遺わされた聖霊によって君達に福音を宣べ伝えている人達が今
君達に告げているものであり、天使たちも一目見たいと願っているものである。"
"600113","
・ペテロ 1:13","だから君達の心の腰に帯をして、真面目で(あれ。そして)イ
エス・キリストの顕れ給う時君達に齎される恩恵に全き希望を置け。"
"600114","
・ペテロ 1:14","従順の子らしく(振舞い、)以前の無知な時の情欲に順うこと
なく、"
"600115","
・ペテロ 1:15","君達を召し給うた聖なるお方に倣って、君達も凡ての生活にお
いて聖くなれ。"
"600116","
・ペテロ 1:16","「“われ聖ければ汝等も聖かれ”」と(聖書に)書いてあるから
である。"
"600117","
・ペテロ 1:17","そして依怙贔屓をせず、一人々々の業に応じて審き給うお方を
“父と呼ぶ”なら、畏れをもって(この地上の)仮住まいの時を過ごせ。"
"600118","
・ペテロ 1:18","君達は“銀”や金のような朽つる物によらず、"
"600119","
・ペテロ 1:19","瑕のない穢れのない小羊のようなキリストの尊い血によって、
祖先伝来の空な生活から“贖われた”ことを知っているからである。"
"600120","
・ペテロ 1:20","彼は天地開闢の前に選ばれてい給うたが、(この)末の世にな
って(はじめて)君達のために顕れ給うた。"
"600121","
・ペテロ 1:21","(そして)君達は彼によって、彼を死人の中から甦らせて栄光
を給うた神を信ずる者となり、斯くして君達の信仰はまた神に対する希望となった。"
"600122","
・ペテロ 1:22","君達は真理に対する従順によって霊魂を聖め、偽らぬ兄弟愛を
持ったのであるから、心から深く互いに愛せよ。"
"600123","
・ペテロ 1:23","(君達は)朽つる種でなく、朽ちぬ種から、(すなわち)神の
活ける、また(永遠に)消え失せぬ言によって新しく生まれたのである。"
"600124","
・ペテロ 1:24","何故なら“人はみな草”のよう“また”その“栄華はみな草の
花のようである”。”草は枯れた花は落ちた”"
"600125","
・ペテロ 1:25","“しかし”主の“言は永遠に消え失せない”。これが君達に”
宣べ伝えられた福音の言”である。"
"600201","
・ペテロ 2:1","(君達はかく新しく生まれたの)だから一切の悪意と一切の欺
瞞と偽善と嫉妬と一切の誹謗を脱ぎ捨て、"
"600202","
・ペテロ 2:2","今生まれたばかりの赤ん坊として、まぜ物のない霊の乳を慕え、
これで育って救いに入る(ことが出来る)ためである──"
"600203","
・ペテロ 2:3","もし“君達が主の美味しさを(本当に)味わった”のならば !
彼に来い。"
"600204","
・ペテロ 2:4","彼は人からは(役に立たぬと)棄てられたが、神の前では、“選
ばれた尊い”活きた“石”(である。)"
"600205","
・ペテロ 2:5","そして君達自身も(主と同じく)活きた石として建てられて、
霊の家となれ。これは君達が聖い祭司として、イエス・キリストによって神の御意に適う
霊の供物を献げるためである。"
"600206","
・ペテロ 2:6","というのは“見よ、”われ“シオンに選びの石、尊き隅石を”置
く”これを信ずる者は決して恥をかかされない。”と聖書にある。"
"600207","
・ペテロ 2:7","だから信ずる君達は光栄に与る(ことが出来る)が、信ぜぬ人
達には”建築師が(役に立たぬと)棄てた石で、これが隅の首石、”"
"600208","
・ペテロ 2:8","また”蹉跌の石、躓きの岩となった”。彼らは御言(を聴きなが
らこれ)に従わないので、(遂に)蹉跌するのであって、それはまた(神によって)彼ら
に定められたことである。"
"600209","
・ペテロ 2:9","しかし君達は“選ばれた種族、王なる祭司、聖き民族、”神の“所
有物なる民”(である。そして君達がかく神の所有物となったのは、)君達を暗から驚くべ
き光へと召し給うたお方の“功業を宣べるためである”。"
"600210","
・ペテロ 2:10","(誠に)君達はかつては、「“非民”」(であったが)今や神の民、
(前には神に)“憐れまれぬ者”(であったが)今や憐れまれる者(となった)。"
"600211","
・ペテロ 2:11","愛する者よ、勧める、(地上で)“旅の者また仮寓者”である君
達は、霊魂に逆らって戦う肉の慾を避け、"
"600212","
・ペテロ 2:12","異教人の中における歩き方を立派にせよ。(今)君達を悪いこ
とをする者のように譏っている人達が、(君達の)立派な行動によって悟り、その(譏っ
ていた)ことにおいて(かえって)“訪問の日に”神を(信じ)崇める(に至らん)ため
である。"
"600213","
・ペテロ 2:13","主の(立て給うたものであるが)故に、人間の凡ての制度に服
従せよ。あるいは主権者として王に、"
"600214","
・ペテロ 2:14","あるいは悪人を罰し善人を褒めるため王から遣わされた者とし
ての総督達に(服従せよ)。"
"600215","
・ペテロ 2:15","(君達の)善行によって、(君達を危険人物のように考えてい
る)無理解な人達の無知(な非難)を沈黙させることは、神の御旨であるからである。"
"600216","
・ペテロ 2:16","(しかし君達は自由の人であるから、)自由の人としてこれを
せよ。ただその自由を悪の覆いとせず、かえって神の奴隷としてこれをせよ。"
"600217","
・ペテロ 2:17","凡ての者を敬え、すなわち教友を愛し、“神を畏れ、王を”敬
え。"
"600218","
・ペテロ 2:18","奴隷達よ、(神に対する)あらん限りの畏れをもって主人に服
従せよ、ただ善い、優しい主人だけでなく、気難しい主人にも(快く服従せよ。)"
"600219","
・ペテロ 2:19","もし人が(自分を奴隷としたのは)神(であること)を意識し
て苦痛を忍び、不当に苦しむならば、これは(神に)喜ばれることであるからである。"
"600220","
・ペテロ 2:20","何故なら、もし罪を犯して打たれて忍耐したとて、何の名誉に
なろう。しかし善行によって苦しめられて忍耐するならば、これこそ神の前に喜ばれるこ
とである。"
"600221","
・ペテロ 2:21","君達はこのために召されたのであるから。というのはキリスト
も君達のために苦しみ、君達をその足跡に随わせようとして模範を遺し給うたのである。"
"600222","
・ペテロ 2:22","彼は(聖書にあるように)罪を”犯さず、その口には欺瞞が無
かった”。"
"600223","
・ペテロ 2:23","彼は悪口されても悪口し返さず、苦しめられても脅かさずして、
正しく審き給う者に裁量を任せ給うた。"
"600224","
・ペテロ 2:24","彼は“自ら私達の罪を”自分の身に“負って”木の上に“上り
給うた”。私達が罪によっては死に、義によっては生きるためである。彼の“傷によって
君達は医された”。"
"600225","
・ペテロ 2:25","何故なら、君達は(かつては)“迷える羊のよう”であったが、
今や君達の霊魂の牧者また監督者に戻ったからである。"
"600301","
・ペテロ 3:1","同じく妻達よ、自分の夫に従え、或る夫が(伝道者の宣べる)
御言には従わずとも、言葉でなく妻の行いによって、"
"600302","
・ペテロ 3:2","(すなわち)お前達の神を畏れる潔い行いを見て捕えられんた
めである。"
"600303","
・ペテロ 3:3","お前達の飾りは髪を(綺麗に)編んだり、金(の装身具)をつ
けたり、(美しい)着物を着たりする外部のことでなく、"
"600304","
・ペテロ 3:4","柔和な、典雅な心ばせを朽ちぬ飾りとする心の中の隠れた人で
なければならぬ。これこそ神の前で値打あるものである。"
"600305","
・ペテロ 3:5","昔神に望みをかけた妻達も、斯く(柔和と典雅な心をもって)
その夫に従い、自らを飾ったではないか。"
"600306","
・ペテロ 3:6","(例えば)サラが“「主」と呼んで”(夫)アブラハムに従順で
あったように。お前達も善いことをして、どんな“脅迫を”も”恐れなければ”、サラの
子となったのである。"
"600307","
・ペテロ 3:7","夫達も同じく、妻を(自分よりも)弱い器として(いたわり、)
理解をもって共に棲み、彼女達もまた恩恵の生命の共同相続人(である)として尊敬を払
え。これは君達の祈りが妨げられないようにするためである。"
"600308","
・ペテロ 3:8","最後に、皆の者が同じ思いで、同情深く、兄弟仲よく、憐憫深
く、謙遜であり、"
"600309","
・ペテロ 3:9","悪で悪に、あるいは悪口で悪口に報いず、むしろ反対に、祝福
せよ。祝福を相続するために召されたのであるから。"
"600310","
・ペテロ 3:10","“何故なら生命を愛し善い日を見ようと思う者は、舌を抑えて
悪を、唇を抑えて欺瞞を語らぬようにせよ。"
"600311","
・ペテロ 3:11","悪を避け、善を行え、平和を探し、追い求めよ、"
"600312","
・ペテロ 3:12","主の目は義人の上に注がれ耳は彼らの祈りに傾く、しかし主の
御顔は悪を行う者にうち向かう”。(と詩篇にある。)"
"600313","
・ペテロ 3:13","もし君達が善に熱心であるなら、誰が害を加えよう。"
"600314","
・ペテロ 3:14","しかし仮に正義のため苦しんでも、幸いである。“彼ら(異教
人達)の恐ろしさを恐れず、また驚かされず”、"
"600315","
・ペテロ 3:15","ただ心に“主”キリスト“を(畏れこれを)聖とせよ”。君達
にある希望について説明を求むる者には誰にでも、何時でも弁明の用意をして居れ。"
"600316","
・ペテロ 3:16","しかし柔和と、(主に対する)恐れとをもってせよ。また(恥
ずることのない)善い良心をもて。君達のキリストにおける善い行いを罵っている者達が、
その譏っている事柄について恥をかかせられるためである。"
"600317","
・ペテロ 3:17","何故ならもし神の御意が欲するのであるならば、善いことをし
て苦しむ方が、悪いことをして苦しむよりはよいからである。"
"600318","
・ペテロ 3:18","というのはキリスト(御自身)すら罪の(贖いの)ために、義
しい人でありながら義しからぬ人々のために、ただ一度死に給うたのである。これは君達
を神に連れ行くためで、彼は肉では殺され給うたが、霊では活かされ、"
"600319","
・ペテロ 3:19","且つ霊で行って、(陰府の)獄に閉じ込められていた(悪)霊
達に(救いの福音を)宣べ給うた。"
"600320","
・ペテロ 3:20","彼らはかつてノアの日に、箱船が造られる間神が寛容をもって
(悔い改めを)待ち給うた時不従順で、(ただ)小数の者、すなわち(ノアとその家族)
八人(だけ)がこの箱船に入り水を通って救われた。"
"600321","
・ペテロ 3:21","今やこの水の対型たる洗礼は、肉の穢れを除くことでなく、善
い良心を神に祈願することであって、イエス・キリストの復活により君達をも救うのであ
る。"
"600322","
・ペテロ 3:22","彼は天に行き神の右に居給うて、使い、権威、権力(等の天使
達)がこれに服従している。"
"600401","
・ペテロ 4:1","かくキリストは肉体で受難し給うたのであるから、君達も同じ
考えで自分を武装せよ──(罪なくして)肉体で受難した者は(既に)罪(の生活)を断
ったのであるから──"
"600402","
・ペテロ 4:2","これは君達が最早人間の情欲によらず、神の御心によって肉体
の残りの時を生きるためである。"
"600403","
・ペテロ 4:3","というのは君達は過去を(神の御意ならぬ)異教人の意欲を行
いながら放埒、情欲、大酒、酒宴、酒乱と禁断の偶像礼拝とに過ごしたが、(もう)充分
だからである。"
"600404","
・ペテロ 4:4","(しかしかつては共にこれらのふしだらな生活をしていた)彼
ら(異教人達)は、君達が(最早)同じ放蕩(生活)の流れに共に身を投じないので、そ
のことを(驚き)異しみ、(君達を譏るばかりか、遂に)主と神とを冒涜する。"
"600405","
・ペテロ 4:5","(もちろんそれについて)彼らは生者と死者とを審く準備をし
てい給う方に勘定を払わねばならない。──(然り、死者もまた審かれねばならない。)"
"600406","
・ペテロ 4:6","何故なら、肉体では人間的に(既に罪人として)審かれ(て死
んだが、)霊では神に倣って(永遠に)生きるため、(陰府に在る)死者にも(キリストに
よって)福音が宣べ伝えられたからである。"
"600407","
・ペテロ 4:7","(今や)万事の終わりが近づいた。だから考え深くあれ、また
真面目に祈れ。"
"600408","
・ペテロ 4:8","何はさて措き、互いに対し強き愛を持て。“愛は”多くの“罪を
蔽う”のだから。"
"600409","
・ペテロ 4:9","呟かず互いに接待せよ。"
"600410","
・ペテロ 4:10","神の様々な恩恵の(依託をうけた)善い番頭のように、一人々々
が受けた恩恵(の賜物)を以て互いに奉仕せよ。"
"600411","
・ペテロ 4:11","(例えば)もし或る人が(預言の賜物を与えられて)語るなら
ば、(自分の言をまじえず、ただ)神の言として(語れ。)もし(また)或る人が(職務を
行う賜物を与えられそれを以て)奉仕するならば、(自分の力を以てせず、)神が授け給う
た力によって(これを行え。)これはイエス・キリストにより何事においても神が栄光を
受け給わんためである。栄光と権力とは代々限りなく彼のものである、アーメン。"
"600412","
・ペテロ 4:12","愛する者よ、試練のため君達に起こった烈火の苦難を(何か)
異常なことが臨んだかのように(驚き)異しむな。"
"600413","
・ペテロ 4:13","むしろキリストの苦難に与れば与るだけ喜べ。(最後の日)そ
の栄光の顕るる時にも歓びに喜ぶ(ことが出来る)ためである。"
"600414","
・ペテロ 4:14","もし君達がキリストの名において罵られるならば幸福である、
(それは、その時)栄光の霊と“神の霊が”君達の上に“留まっている”(証拠である)
から。"
"600415","
・ペテロ 4:15","君達のうち誰も人殺し、あるいは泥坊、あるいは悪者として、
あるいはおせっかい屋として受難してはならない。"
"600416","
・ペテロ 4:16","しかしもしクリスチャンとして(受難するの)ならば恥じるな、
むしろこの(クリスチャンたる)名において神の栄光を顕せ。"
"600417","
・ペテロ 4:17","審判が神の家“から始まる”時(は既に近づいているの)だか
ら。しかしもし(審判が)まず(神の家すなわちキリストを信ずる)私達から(始まる)
とすれば、神の福音に従わぬ者の最後はどうであろう!"
"600418","
・ペテロ 4:18","そして“もし義人すら辛うじて救われるとすれば、不敬虔な者
や罪人は”(一体)どうなるのであろう”。"
"600419","
・ペテロ 4:19","だから(君達の中で)神の御心により受難する者もその霊魂を
誠実なる造物主に委ねよ、善を行いながら!"
"600501","
・ペテロ 5:1","だから、(君達と)同じ長老(であり)、キリストの苦難の証人
(であり)、またまさに顕れんとする栄光の共有者(である)私は、君達の中の長老達に
勧告する、"
"600502","
・ペテロ 5:2","君達の中の神の群れを飼え。不承不承でなく、神のように心か
ら、また汚い金儲けのためでなく、献身的に(せよ。)"
"600503","
・ペテロ 5:3","また(自分の)持ち分たる群れの支配者のようでなく、その群
れの手本となれ。"
"600504","
・ペテロ 5:4","そうすれば大牧者(キリスト)の顕れ給う時、凋まぬ栄光の冠
を獲るであろう。"
"600505","
・ペテロ 5:5","同じく、若者達よ、(君達にも勧告する、)長老達に服従せよ。
また皆互いに謙遜を着よ、“神は横柄な者に抵抗し、謙遜な者には恩恵を賜う”からであ
る。"
"600506","
・ペテロ 5:6","だから神の強き御手の下に謙遜れ。時到って君達を高うし給わ
んためである。"
"600507","
・ペテロ 5:7","“君達の心配を”悉く彼に“投げかけよ”。(いつも)君達のこ
とを心にかけて居られるのだから。"
"600508","
・ペテロ 5:8","真面目であれ、目を覚まして居れ。君達の敵なる悪魔が“獅子
のように哮えながら”、呑む者を探しつつ歩きまわっている。"
"600509","
・ペテロ 5:9","信仰を堅くして彼に立ち向かえ。全世界に在る君達の教友にも
同じ苦難が臨むことを君達は知っている。"
"600510","
・ペテロ 5:10","しかしキリストにおいて君達を永遠の栄光へと召し給うたあら
ゆる恩恵の神は、暫く受難せねばならぬ君達を自ら武装し、強め、力づけ、堅く立て給う
であろう。"
"600511","
・ペテロ 5:11","権力、代々限りなく彼にあれ、アーメン。"
"600512","
・ペテロ 5:12","忠実な兄弟と私が確信しているシルヴァノによって手短に君達
に(この手紙を)書き、勧告し、且つ君達が(今)いるこの恩恵こそ神の真の恩恵である
ことを証明する。"
"600513","
・ペテロ 5:13","(君達と)共に選ばれたバビロンの人達と私の子マルコスから
君達によろしく。"
"600514","
・ペテロ 5:14","愛の接吻をもって互いに宜しくを言え。キリストにある君達一
同に平安あれ!"

ペテロの手紙 第二
"610101","
・ペテロ 1:1","イエス・キリストの奴隷また使徒(なる)シメオン・ペテロ(よ
り、)我らの神と救い主イエス・キリストとの義によって私達と同じ(尊い)信仰を戴い
た人達に(手紙を遺る)。"
"610102","
・ペテロ 1:2","(祈る、)神及び我らの主イエスを知る知識によって、恩恵と平
安(いよいよ)君達に豊かならんことを!"
"610103","
・ペテロ 1:3","然り、(主は必ずこの祈りを聴き給うであろう。見よ、)彼の神
性の能力はその栄光と威力とによって、私達を召し給うた方を知る知識の故に、生命と敬
虔(を得る)に必要な凡てのものを私達に賜うたのである。"
"610104","
・ペテロ 1:4","(そしてまた)この栄光と威力とによって、(主は)尊い最大の
約束、(すなわち神の国の成就に関する約束)を賜い、これによって君達を、慾情によっ
てこの世に働く滅亡から逃げ出させ、神性の共有者たらしめんとし給うのである。"
"610105","
・ペテロ 1:5","この故に、(その感謝の印として)あらん限りの努力をして、君
達の信仰によって徳を、徳によって知識を、"
"610106","
・ペテロ 1:6","知識によって節制を、節制によって忍耐を、忍耐によって敬虔
を、"
"610107","
・ペテロ 1:7","敬虔によって兄弟愛を、兄弟愛によって愛を捧げよ。"
"610108","
・ペテロ 1:8","これら(凡てのもの)が君達にあり且つ増して行く時には、そ
れが君達を働かせず実を結ばせずに置くことはなく、必ず私達の主イエス・キリストを知
る知識に到達させるからである。"
"610109","
・ペテロ 1:9","これらの(徳から徳への進歩の)無い人は(道徳的の)盲人で
近眼で、その旧い罪の潔めを(受けたことを)忘れたのである。"
"610110","
・ペテロ 1:10","だから兄弟達よ、(上に言ったように)いよいよ努力をして君
達の(受けた)召しと選びを確かにせよ。これをすれば、決して躓くことはないからであ
る。"
"610111","
・ペテロ 1:11","何故なら、かくして君達に(その報いとして)私達の主また救
い主イエス・キリストの永遠の御国に入ることが、豊かに与えられるからである。"
"610112","
・ペテロ 1:12","だから私は君達にこの(最も大切な)ことをいつも思い出させ
ようと思う、君達は(もちろんこれを)知って居り、且つ(伝えられて今)君達の所に来
ている真理において強くされている(にはいる)けれども。"
"610113","
・ペテロ 1:13","私はこのテントにいる間に(斯く)君達にこれを思い出させ目
を覚まさせておくことを、義務と考える。"
"610114","
・ペテロ 1:14","私達の主イエス・キリストも私に示し給うたように、私のテン
トを脱ぎ棄てるのが間もないことを知っているからである。"
"610115","
・ペテロ 1:15","しかし私が去った後も君達が何時でもこれを思い出すように、
努力しよう。"
"610116","
・ペテロ 1:16","というのは、私達は私達の主イエス・キリストの能力と来臨と
を君達に(告げ)知らせるのに、(一派の人達が)頭を捻って考え出した作り話に従わな
かった。否、(私達はおおけなくも)かの(変貌の)稜威の目撃者(として、その証人)
となったのである。"
"610117","
・ペテロ 1:17","というのは彼は(其処で)父なる神から尊貴と栄光とを受けら
れ、(私達はそれを見たのである。)且つ(その時、)「これは我が“愛子”なり、”わが心
に適えり”」と、かような声が尊厳なる栄光の間から出た──"
"610118","
・ペテロ 1:18","然り、私達はこの声が天から出たのを彼と共に聖なる山にいて
聞いたのでる。"
"610119","
・ペテロ 1:19","かくして私達に預言の言が一層確かなものとなった。どうか(こ
の言を)真暗な所に輝く燈火として、日が照り出で暁の明星が君達の心の中に出るまで、
これに注意してもらいたい。"
"610120","
・ペテロ 1:20","ただ聖書の預言はどれも自分勝手な解釈をしてはならぬことを
第一に知らねばならない。"
"610121","
・ペテロ 1:21","というのは、預言はかつて人間の意志から出たことがなく、人
が聖霊に駆り立てられ神(の霊)によって語ったものである。"
"610201","
・ペテロ 2:1","しかし(昔イスラエルの)民の中に(真の預言者の外に)偽預
言者がいたが、そのように君達の中にも偽の先生が出て来て、(帰依者を)滅亡(に陷れ
るか)の(勝手な)教義を持ち込み、(高い値をもって)彼らを買い取り給うた主人(イ
エス・キリスト)をさえ否定して、忽ち滅亡を身に招くのである。"
"610202","
・ペテロ 2:2","そして(迷わされた)多くの人は彼らの放埒の跡を追い、この
人達“の故に”真理の道は“罵られるであろう”。"
"610203","
・ペテロ 2:3","且つ彼らは貪欲のため言巧みに君達を(も)手に入れる(けれ
ども、)既に永い間彼らに対する審判は怠らず、滅亡は微睡まない!"
"610204","
・ペテロ 2:4","何故なら、もし神が罪を犯した天使達を容赦せず、闇の洞窟の
地獄に入れ、審判のために引き渡して監禁し給うたとするならば、"
"610205","
・ペテロ 2:5","もしまた(神が)古い世界を容赦せず、洪水を不敬虔な人々の
世界に来たらせ給うた時(ただ)義の宣教者ノアとも八人(だけ)を(滅亡から)守り給
うたとするならば、"
"610206","
・ペテロ 2:6","もしまたソドムとゴモラの町を灰にして破滅の宣告を下し、将
来不敬虔である人々の見せしめにし給うたとするならば、"
"610207","
・ペテロ 2:7","しかしもし無法者どもの放埒な振舞いによって苦しめられてい
た義しいロトは、(これを)救い出し給うたとするならば──"
"610208","
・ペテロ 2:8","というのはこの義人は彼らの中に住み、日に日に(彼らの)不
法の行跡を見聞して、(その)義しい心を悩ましたのである──"
"610209","
・ペテロ 2:9","主は敬虔な者を試練から救い出し、義しからぬ者を懲罰のため
(最後の)審判の日まで監禁し得給う(ことは確かである。)"
"610210","
・ペテロ 2:10","殊に不潔の情慾にかられ肉を追うて歩き、且つ支配権を軽蔑す
る者については言うまでもない。彼ら横柄な向こう見ずどもは(天使の)栄光を罵って憚
らない。"
"610211","
・ペテロ 2:11","ところで天使達は力も能力も(彼らより)優れていながら、彼
らを罵る宣告を主の前に申し出たことはないのである。"
"610212","
・ペテロ 2:12","しかるにこの人達は、生来(ただ)捕らえられて滅ぼされるた
めに生まれた無知な獣のようであって、知りもせぬことを罵り、(最後の日)獣が滅びる
と共に彼らもまた滅ぼされるであろう。"
"610213","
・ペテロ 2:13","彼らは(斯くして)不義の(生活の)報酬をふいにするのであ
る。彼らは昼間の酒宴を快楽と思い、汚点また欠点となって、君達と一緒に席について腹
をふくらせ、その情慾に耽っている。"
"610214","
・ペテロ 2:14","眼は姦婦に満ち、また罪を(求めて)休むことがなく、貪欲に
鍛錬された心をもっていて、(信仰に入ったばかりでまだ)心の定まらない人々をおびき
寄せる。彼らは呪いの子である!"
"610215","
・ペテロ 2:15","彼らは真直ぐな道を捨てて迷い出て、(遂に)不義の報酬を愛
したベオルの子バラムの道に従った。"
"610216","
・ペテロ 2:16","しかし彼はその律法違反に対して(神の)詰責をうけた。(す
なわち、)物の言えぬ驢馬が人間の声で口を利き、この預言者の乱心を止めたのである。"
"610217","
・ペテロ 2:17","この人達は水の出ない泉、疾風に追いまくられる霧雲であって、
彼らのために暗い闇が取って置かれている。"
"610218","
・ペテロ 2:18","何故なら彼らは横柄なしかし空なことを語って、肉の慾情をも
って、放埒により、かの漸く迷いの生活から逃げ出した者をおびき寄せるからである。"
"610219","
・ペテロ 2:19","(そして)彼らに自由を約束するけれども、自分たちは滅亡の
奴隷である。降参した者はその奴隷となったのであるから。"
"610220","
・ペテロ 2:20","然り、もし彼らが主また救い主イエス・キリストを知る知識に
よって、この世の穢れから逃げ出し(た後)再びこれに絡みつかれて降参すれば、後は(き
っと)前より悪くなるのである。"
"610221","
・ペテロ 2:21","(一旦)義の道を知った後で、授けられた聖なる戒めから後戻
りするより、むしろ(始めから)知らなかった方がましであるから。"
"610222","
・ペテロ 2:22","(まことに)「“犬は自分で吐いた物に戻る”」、「豚は体を洗っ
て泥に転ぶ」なる諺の真理は、この連中に適中している。"
"610301","
・ペテロ 3:1","愛する者よ、最早これで二度目の手紙を君達に書き、これら(の
手紙)により記憶を喚び起こして君達の純な心に眼を覚まさせ、"
"610302","
・ペテロ 3:2","聖なる預言者達が前以て言った言と、君達の使徒達が伝えた主
また救い主の戒めを思い出させよう(と思う)。"
"610303","
・ペテロ 3:3","それには第一にこのことを知らねばならない──末の日には嘲
弄をもって嘲弄者が現れ、自分の情慾に従って歩きながら、"
"610304","
・ペテロ 3:4","言う、「彼の来臨の約束は何処にあるか、父祖たちが眠って以来、
凡ての事が創造の初めからあった通りにしているではないか」と。"
"610305","
・ペテロ 3:5","(しかし)そんなことを言い張るのはその人達が次のことに気
付かないからである──すなわち既に永い間天と地はあり、神の言により、水を以て、ま
た水によって出来たが、"
"610306","
・ペテロ 3:6","この神の言によって当時の世界は水に浸されて亡びたのである。
"
"610307","
・ペテロ 3:7","そして今の天と地は同じ(神の)言によって、(今度は)火(に
よる滅亡)のために蓄えられ、(最後の)審判と不敬虔な人達の滅亡との日のために取っ
て置かれているのである。"
"610308","
・ペテロ 3:8","愛する者よ、“主の前では”一日が千年の如く、“千年”が一“日
の如く”である、この一つの事を忘れるな。"
"610309","
・ペテロ 3:9","主は或る人達が遅いと考えているように約束を果たし給うのが
遅いのでは(決して)ない。ただ何人の亡びることをも欲せず、凡ての者が悔い改めに到
ることを欲して、君達に対し寛大であり給うのである。"
"610310","
・ペテロ 3:10","しかし主の日は盗人のように来るであろう。(そして)その日
天は轟然たる響きと共に消え失せ、日月星辰は燃えて解け去り、地とその上にある(人間
の)事業は燃え失せるであろう。"
"610311","
・ペテロ 3:11","これらのものが皆このように解け去るとすれば、【君達は】如
何に聖い行いと敬虔とにあって、"
"610312","
・ペテロ 3:12","神の日の到来を待ち望みつつ(これを)早め(ることに努力せ)
ねばならぬことであろう!その日“天は”焼けて解け去り、日月星辰は燃えて“溶けるで
あろう”。"
"610313","
・ペテロ 3:13","しかし私達は彼の約束によって、義の住む“新しい天”と“新
しい地”とを待ち望む。"
"610314","
・ペテロ 3:14","だから愛する者よ、これを待ち望むならば、(その日)神に汚
点のない、疵のない、平安にある者として見られるよう努力せよ。"
"610315","
・ペテロ 3:15","また私達の主の寛容をもって(君達の)救い(の保証)と考え
よ。私達の愛する兄弟パウロも授けられた知恵に従って君達に書いた通りである。"
"610316","
・ペテロ 3:16","これについて述べているその凡ての手紙においても同様である
が、その中には難解なものも少なくないので、教養のない者や心の定まらない者は他の
(聖)書と同様これをも曲解して自分の亡滅を招いている。"
"610317","
・ペテロ 3:17","だから愛する者よ、君達は前以てこのことを知って、無法者ど
もの迷いに引き込まれ自分の堅い決心から落ち(ることの)ないように気をつけ、"
"610318","
・ペテロ 3:18","私達の主また救い主イエス・キリストの恩恵と知識とに成長せ
よ。(願う、)今も永遠の日までも栄光彼にあらんことを!"

ヨハネの手紙 第一
"620101","
・ヨハネ 1:1","(世の)始めから(すでに)おられたもの、(それは)わたし達
が(この耳で)聞いたもの、自分の目で見たもの、直観しまた自分の手でさわったもの、
(すなわち)命の言葉について、──"
"620102","
・ヨハネ 1:2","この命が自分を現わし、(それを)わたし達は見て、証明し、ま
たこの永遠の命をあなた達に告げる。これは(始めには)父と共におられたが、(今)わ
たし達に自分を現わしたのである──"
"620103","
・ヨハネ 1:3","わたし達が見たもの、また聞いたものを、あなた達にも告げる。
あなた達もわたし達と(霊の)交わりを持つためである。しかしわたし達のこの交わりは、
(他方においては)父(なる神)とその子イエス・キリストとの交わりである。"
"620104","
・ヨハネ 1:4","わたし達が(この手紙を)書くのは、(あなた達がわたし達との
交わりに入り、)わたし達(が父と子と)の(交わりにおいてもっている)喜びが、完全
なものとなるためである。"
"620105","
・ヨハネ 1:5","さて、わたし達が彼(キリスト)から聞いて、(いま)あなた達
に告げしらせるおとずれ(というの)は、これである。──神は光であって、彼にはすこ
しも暗闇がないということである。"
"620106","
・ヨハネ 1:6","もし神と交わりがあると言いながら、暗闇を歩いているならば、
わたし達は嘘をつくのであって、真理を行ってはいない。"
"620107","
・ヨハネ 1:7","しかしもし神が光の中にあるように、わたし達も光の中を歩い
ているならば、(神と交わりを持ち、従って)互に(まことの)交わりを持つ(ことがで
きる)のである。そして(たとい罪を犯すことがあっても)、その子イエスの血があらゆ
る罪から清めてくださる。(かくてわたし達は光の子となるのである。)"
"620108","
・ヨハネ 1:8","もしわたし達が自分に罪はない、と言うならば、自分をごまか
しているのであって、真理はわたし達の中にない。"
"620109","
・ヨハネ 1:9","もし罪を正直に言うならば、神は真実で、正しいお方であるか
ら、わたし達の罪を赦し、あらゆる不義から清めてくださるのである。"
"620110","
・ヨハネ 1:10","もし自分は罪を犯したことはない、と言うならば、(それは)
神を嘘つきとするのであって、(約束の)御言葉はわたし達の中にないのである。(聖書は、
わたし達が一人のこらず罪人であるとするからである。)"
"620201","
・ヨハネ 2:1","わたしの子供たちよ、わたしがこのことを書くのは、あなた達
に罪を犯させないためである。万一罪を犯す者があっても、わたし達には父の所に弁護者、
すなわち義なるイエス・キリストがある。"
"620202","
・ヨハネ 2:2","そして彼こそわたし達の罪のための宥め(の供物)である。し
かしただわたし達の罪のためだけでなく、この世全体のためでもある。"
"620203","
・ヨハネ 2:3","したがって、もし彼の掟を守るならば、そのことによって、わ
たし達は彼を知っていることがわかるのである。"
"620204","
・ヨハネ 2:4","(これに反して)「彼を知っている」と言いながら、しかもその
掟を守らない者は、嘘つきで、その人に真理はない。"
"620205","
・ヨハネ 2:5","しかし御言葉を守る者は、その人において本当に神を愛する愛
が完全にされる。そのことによって、わたし達は神(との交わり)の中におることがわか
るのである。"
"620206","
・ヨハネ 2:6","神(との交わり)に留っていると言う者は、キリストが歩かれ
たように、その人も(神に従順に)歩く義務がある。"
"620207","
・ヨハネ 2:7","愛する者たちよ、わたしは(何も今までになかった)新しい掟
をあなた達に書いているのではない。むしろ(イエスが来られた)始めからあなた達が持
っていた古い掟である。古い掟というのは、あなた達が(かつて)聞いた御言葉である。"
"620208","
・ヨハネ 2:8","(しかし他方から言うと、)新しい掟をわたしは(いま)あなた
達に書いているのである。これが(新しいということは、)キリストにおいても、あなた
達においても(知り得る)まことの事実である。なぜなら、(この愛の掟はキリストによ
ってはじめてこの世に現われ、あなた達は彼を知ることによって、はじめてこれを知るこ
とが出来たからである。その証拠には、キリストによって)暗闇は(徐々に)消え去り、
まことの光が(おぼろげながら)すでに輝いている。"
"620209","
・ヨハネ 2:9","(暗闇は憎み、光は愛である。だから)光におると言いながら、
兄弟を憎む者は、いまも(なお)暗闇におるのである。"
"620210","
・ヨハネ 2:10","兄弟を愛する者は光に留まっている。そして彼につまずきはな
い。"
"620211","
・ヨハネ 2:11","これに反して、その兄弟を憎む者は暗闇におり、かつ暗闇を歩
く。そしてどこへ行くのかわからない。暗闇がその目を見えなくしたからである。"
"620212","
・ヨハネ 2:12","子供たちよ、わたしが(この手紙を)あなた達に書くのは、キ
リストの御名のために、あなた達の罪は赦されているからである。"
"620213","
・ヨハネ 2:13","父たちよ、わたしがあなた達に書くのは、あなた達は世の始め
からおられる方を知っているからである。若者たちよ、わたしがあなた達に書くのは、あ
なた達は悪者[悪魔]に勝っているからである。"
"620214","
・ヨハネ 2:14","小さい人たちよ、私があなた達に書いたのは、あなた達は父を
知っているからである。父たちよ、わたしがあなた達に書いたのは、あなた達は始めから
おられる方を知っているからである。若者たちよ、わたしがあなた達に書いたのは、あな
た達は強くあり、神の御言葉があなた達に留っており、悪者に勝っているからである。"
"620215","
・ヨハネ 2:15","あなた達は(神を知らぬ罪の)世をも、世にあるものをも、愛
してはならない。もし世を愛する者があったら、その人には父(なる神)を愛する愛はな
い。"
"620216","
・ヨハネ 2:16","というのは、世にあるものはすべて、(すなわち)肉の欲も、
目(から入ってくるさまざま)の欲も、また財産の自慢も、父のものでなく、世のものだ
からである。"
"620217","
・ヨハネ 2:17","(この)世と、その欲とは消え去る。ただ神の御心を行う者が、
永遠に生きながらえるのである。"
"620218","
・ヨハネ 2:18","小さい人たちよ、(いまや)最後の時である。反キリストが現
われるとかつてあなた達が聞いたように、今や沢山の反キリストが出ている。このことか
ら、(いまが)最後の時であることをわたし達は知るのである。"
"620219","
・ヨハネ 2:19","彼らはわたし達の中から出ていった。しかし(もともと)わた
し達のものではなかった。もしもわたし達のものであったら、(いつまでも)わたし達と
一しょにいるはずだからである。ただすべてがわたし達のものではないことが知られるた
め(、彼らは出ていったの)である。"
"620220","
・ヨハネ 2:20","そしてあなた達は聖者(キリスト)から油を注がれ(て聖者と
なっ)たのであるから、皆、(何が真理で、何が嘘であるかを)知っている。"
"620221","
・ヨハネ 2:21","わたしが(このことを)あなた達に書いたのは、あなた達が真
理を知らないからではない、むしろそれを知っているからである。そして(また)、あら
ゆる嘘は真理から(出るの)ではないからである。"
"620222","
・ヨハネ 2:22","(それならば)だれが嘘つきか。イエスは救世主ではないと否
認する者(、すなわち彼を単なる人間と見る者でなくして、だれであろう)。こんな者こ
そ反キリストであって、父と(その)子とを否認する者である。"
"620223","
・ヨハネ 2:23","子を否認する者は皆、父をも持たず、子を公然告白する者は父
をも持っている(からである)。"
"620224","
・ヨハネ 2:24","あなた達は始めから聞いたことを(いつまでも)留めておかね
ばならない。もし始めから聞いたことがあなた達に留まっているならば、あなた達は(永
遠に)子と父とに留っているであろう。"
"620225","
・ヨハネ 2:25","そして彼(キリスト)がわたし達に約束された約束のものこそ、
この永遠の命である。"
"620226","
・ヨハネ 2:26","わたしはあなた達を迷わす者たちについて、これらのことを書
いたのである。"
"620227","
・ヨハネ 2:27","しかしあなた達は、キリストから戴いた油(すなわち聖霊)が
留っているのだから、だれからも教えてもらう必要はない。彼の油が万事についてあなた
達に教えるように、またそれはまことであって、嘘ではない。そしてその油があなた達に
教えたとおり、(つねに)キリストに留っておれ。"
"620228","
・ヨハネ 2:28","さあ、子供たちよ、キリストに留っておれ。彼が自分を現わさ
れるときに、(わたし達が喜びの)信頼を持ち、その来臨に際し彼に恥じないためである。
"
"620229","
・ヨハネ 2:29","もしあなた達がキリストの義であることを知っているならば、
義を行う者は皆、神から生まれたのであることを知れ。"
"620301","
・ヨハネ 3:1","見よ、父はなんとすばらしい愛を賜わったことか、わたし達は
神の子(たるべき特権を与えられたの)であり、否、事実上すでに神の子である!この世
は神を知らないために、わたし達(が神の子であること)を(も)知らないのである。"
"620302","
・ヨハネ 3:2","愛する者たちよ、わたし達は今神の子であるが、(最後の日に)
どうなるか、それはまだ現われていない。(キリストが)自分を現わされるときには、わ
たし達は彼に似ているであろうことを知っている。その時わたし達は彼をありのまま(の
姿)で見るからである。(それはわたし達が彼に似ている証拠、また見ることによって、
いよいよ似た者になるであろう。)"
"620303","
・ヨハネ 3:3","神にこんな希望を持っている者は皆、キリストが清くあるよう
に、自分を清める。"
"620304","
・ヨハネ 3:4","罪を犯す者は皆、不法をも働く(者である)。そして罪は不法で
ある。"
"620305","
・ヨハネ 3:5","あなた達はキリストが(地上に)自分を現わされたのは、(人の)
罪を取りのぞくためであることを知っている。その方の中には罪がないからである。"
"620306","
・ヨハネ 3:6","(罪なき)彼に留っている者はだれも、罪を犯さない。罪を犯
す者はだれも、彼を見たことがなく、知ってもいないのである。"
"620307","
・ヨハネ 3:7","子供たちよ、あなた達はだれにも迷わされてはいけない。義を
行う者は、神が義であるように、義である。"
"620308","
・ヨハネ 3:8","しかし罪を犯す者は悪魔の子である。というのは、悪魔は始め
から罪を犯したからである。神の子が自分を現わされたのはそのため、(すなわち)悪魔
の業をこわすためであったのである。"
"620309","
・ヨハネ 3:9","すべて神(の力)によって生まれた者は罪を犯さない。神の(霊
の)種がその人に留っているからである。彼は神(の力)によって生まれた(者である)
から、罪を犯すことが出来ない。"
"620310","
・ヨハネ 3:10","神の子と悪魔の子と(の区別)は、この点において明らかであ
る。──(義を行う者、すなわち兄弟を愛する者は神から出た者であり、)すべて義を行
わない者、また兄弟を愛しない者は、神から(出た者)ではない。"
"620311","
・ヨハネ 3:11","なぜなら、わたし達は互に愛さねばならぬこと、これがあなた
達が(イエスが来られた)始めから聞いたおとずれだからである。"
"620312","
・ヨハネ 3:12","カインのようであってはならない。彼は悪者[悪魔]から出て、
弟(のアベル)を殺害したのである。何ゆえに弟を殺害したか。彼の行いは悪く、弟の行
いは正しかったからである。"
"620313","
・ヨハネ 3:13","世があなた達を憎むことを、兄弟たちよ、驚くに及ばない。"
"620314","
・ヨハネ 3:14","わたし達は(神の子を信ずると同時に、もといた悪魔の支配す
る)死(と憎みとの世界)から、命(と愛との世界)に移っていることを知っている。な
ぜなら、わたし達は兄弟を愛するからである。愛しない者は(今もなお)死に留っている。
"
"620315","
・ヨハネ 3:15","兄弟を憎む者は皆、人殺しである。そして、すべて人殺しには、
永遠の命が留っていないことを、あなた達は知っている。"
"620316","
・ヨハネ 3:16","(神の子である)キリストがわたし達のために命を捨てられた
(その)ことで、わたし達は(はじめて)愛を知った。だからわたし達も兄弟のために命
をすてねばならない。"
"620317","
・ヨハネ 3:17","(手近な例であるが、)この世の財産を持っていて、その兄弟
の必要を見ながら、しかも彼に対して憐れみの心を閉じる者があれば、どうして神の愛が
その人に留っていることができよう。"
"620318","
・ヨハネ 3:18","子供たちよ、わたし達は言葉や舌でなく、業と真理とをもって
愛しようではないか。"
"620319","
・ヨハネ 3:19","それによって、わたし達は自分が真理(の子、すなわち神)か
ら(出た者)であることがわかるであろう。すると神の前に自分の心を安んずることがで
きる。"
"620320","
・ヨハネ 3:20","たとえわたし達の心が自分自身を責めても、神はわたし達の心
よりもえらいのであって、すべてを知っておられるからである。"
"620321","
・ヨハネ 3:21","愛する者たちよ、もし心が自分を責めないなら、わたし達は神
に対して確信を持つ。"
"620322","
・ヨハネ 3:22","そして(なんでも)願うものを、彼から戴く。なぜなら、彼の
掟を守り、御前にお気に召すことをするからである。"
"620323","
・ヨハネ 3:23","そして彼のおきてというのはこれである。──その(独り)子
イエス・キリストの御名を信じ、彼がわたし達に命じられたように、互に愛することであ
る。"
"620324","
・ヨハネ 3:24","神の掟を守る者は神に留り、神も彼に留っておられる。そして
わたし達はそのことで、(すなわち)神がわたし達に分けてくださった霊によって、神が
わたし達に留っておられることがわかるのである。"
"620401","
・ヨハネ 4:1","愛する者たちよ、(今わたしは神の霊と言ったが、)どの霊をも
信じないで、(まず)それらの霊が神から出たのかどうかを吟味しなさい。というのは、
多くの偽預言者が(キリストの集会をはなれたこの)世に出てきているからである。"
"620402","
・ヨハネ 4:2","(しかしこれを吟味することは難しくない。)あなた達はこのこ
とで神の霊を知るのである。──どんな霊でも、イエス・キリストは肉体で(この世に)
来られた(神の子である)ことを公然認めるものは、神から(出たの)であり、"
"620403","
・ヨハネ 4:3","どんな霊でも、イエス(が肉体を取られた神の子であること)
を公然認めないものは、神から(出たの)ではない。それは反キリストの霊である。それ
が来ることを、あなた達は(かねがね)聞いていたのであり、今やすでに、それがこの世
におるのである。"
"620404","
・ヨハネ 4:4","子供たちよ、あなた達は神から出たので、(すでに)彼ら偽預言
者に勝っているのである。というのは、あなた達の中におられるお方(すなわち神)は、
(この)世に(権力を持って)いる者(すなわち悪魔)よりも、有力であるからである。"
"620405","
・ヨハネ 4:5","彼らは(この)世から(出たの)である。だから、その語るこ
とはこの世的であり、世は彼らの言うことを聞くのである。"
"620406","
・ヨハネ 4:6","わたし達は神から(出たの)である。(だから)神を知っている
者はわたし達の言うことを聞くが、神から出たのでない(この世の)者は、わたし達の言
うことを聞かない。このことで、真理の霊と迷いの霊(との区別)をわたし達は知るので
ある。"
"620407","
・ヨハネ 4:7","愛する者たちよ、互に愛しようではないか。愛は神から(出た
の)であり、(どんな人でも)愛する者は神から生まれ、また神を知っている(からであ
る)。"
"620408","
・ヨハネ 4:8","愛さない者は、神を知らない。神は愛であるから。"
"620409","
・ヨハネ 4:9","神がその独り子を(この)世に遣わし、独り子によって(死ぬ
べき)わたし達が生きるようになったそのことで、神の愛が(はじめて)わたし達に現わ
されたのである。"
"620410","
・ヨハネ 4:10","わたし達が神を愛したことではなく、彼がわたし達を愛し、そ
の子をわたし達の罪のための宥め(の供物)として遣わされたそのことに、愛があるので
ある。"
"620411","
・ヨハネ 4:11","愛する者たちよ、神はこのようにわたし達を愛されたのだから、
わたし達も互に愛する義務がある。"
"620412","
・ヨハネ 4:12","神を見た者は、いまだかつて一人もない。(ただ)わたし達が
互に愛するならば、(その時)神はわたし達に留っておられ、(わたし達も神に留ってお
り、)神の愛はわたし達の間で完全になるのである。"
"620413","
・ヨハネ 4:13","わたし達が神に留っており、彼もわたし達に留っておられるこ
とは、彼がその霊をわたし達に分けてくださったそのことで、わかるのである。"
"620414","
・ヨハネ 4:14","わたし達は(このことを)見たので証しをする。──父がその
子を世の救い主として遣わされたことを。"
"620415","
・ヨハネ 4:15","イエスが神の子であることを告白すれば、その人に神は留って
おられ、その人も神に留っている。"
"620416","
・ヨハネ 4:16","わたし達は神がわたし達に対して持たれる愛を、知りまた信じ
ているのである。神は愛である。愛に留っている者は神に留っており、神も彼に留ってお
られる。"
"620417","
・ヨハネ 4:17","(そして最後の)裁きの日にわたし達が(喜びの)確信を持っ
ていることによって、わたし達の側の愛は完全にされるのである。というのは、彼(イエ
ス)が(神に、神も彼に留って)おられるため、(彼の愛が完全であるように、)わたし達
(の愛)もこの世で同じくあり得るからである。恐れは愛にはない。"
"620418","
・ヨハネ 4:18","完全な愛は(平安で、すべての)恐れを追い払う。というのは、
恐れは(つねに最後の裁きの日)の刑罰と関係があるのであって、恐れる者は(まだその)
愛において完全になっていないのである。"
"620419","
・ヨハネ 4:19","わたし達は(神を)愛しよう。彼が先にわたし達を愛されたの
だから。"
"620420","
・ヨハネ 4:20","もし「神を愛する」と言いながら、兄弟を憎む者があったら、
(その人は)嘘つきである。見た兄弟を愛さない者は、見たことのない神を愛することは
出来ないから。"
"620421","
・ヨハネ 4:21","神を愛する者は兄弟をも愛すべきであるというこの掟を、わた
し達は神から受けたのである。"
"620501","
・ヨハネ 5:1","どんな人でも、イエスが救世主であると信ずる者は、神(の力)
によって生まれたのであり、またどんな人でも、自分を生んでくださったお方を愛する者
は、彼(の力)によって生まれた者(、すなわち同じ父から生まれた者)を愛する。"
"620502","
・ヨハネ 5:2","神を愛し、その掟を行う時、そのことによって、わたし達は神
の子(なる兄弟)たちを愛していることがわかるのである。"
"620503","
・ヨハネ 5:3","神の掟を守ること、それが神を愛することだからである。そし
てその掟は、むずかしいものではない。"
"620504","
・ヨハネ 5:4","というのは、すべて神(の力)によって生まれたものは、(掟に
反抗する)この世(の悪の力)に勝っているからでる。そしてこの世に勝った勝利、それ
はわたし達の信仰。"
"620505","
・ヨハネ 5:5","では、だれがこの世に勝つのであるか、イエスは神の子である
と信ずる者でなくして。"
"620506","
・ヨハネ 5:6","彼こそ水と血とを経て来られた方、イエス・キリストである。
ただ水をもってばかりでなく、水をもってまた血をもって(、こられたのである)。(彼が
受けられた洗礼の水と、十字架の上に流された血が、彼を神の子と証しするのである。)
また御霊(弁護者)が(まことの)証しをする者である。御霊は真理であるからである。"
"620507","
・ヨハネ 5:7","なぜ(水と血とのほかに、御霊の証しがいる)か。(モーセ律法
により)証しをする者は三人で、
"620508","
・ヨハネ 5:8","御霊と水と血である。そしてこれら三つが一つにな(り、イエ
スが神の子キリストであることを証しす)るのである。"
"620509","
・ヨハネ 5:9","もし人の証しを(真実なものとして)受けいれるならば、(御霊
と水と血とによる)神の証しは、もっと有力である。なぜなら、これは神の証しであり、
彼が御子について証しをされたのだからである。"
"620510","
・ヨハネ 5:10","(そしてこの神の証しによって)神の子を信ずる者は、(ただ
外の証しばかりでなく、)自分の中に(その)証しを持つのである。(これに反して)神を
信じない者は、神を嘘つきにしたのである。神が御子について証しされた証しを信じなか
ったからである。"
"620511","
・ヨハネ 5:11","そして(神の)証しというのはこれである。──(わたし達が
御子を信じたとき、)神が永遠の命を与えられたこと、この命は御子がもっておられると
いうことである。"
"620512","
・ヨハネ 5:12","(だから、)御子を持つ者は(永遠の)命を持ち、神の御子を
持たない者は命を持たない。"
"620513","
・ヨハネ 5:13","このことをあなた達に書いたのは、あなた達は(イエスを)神
の子として信じているので、すでに永遠の命があることを知らせるためである。"
"620514","
・ヨハネ 5:14","そして、もし神の御心に従って何かを求めるならば、神は(か
ならず願いを)聞いてくださること、それが神に対して持っているわたし達の確信である。
"
"620515","
・ヨハネ 5:15","かくしてわたし達は、神はかならずわたし達の求める願いを聞
いてくださることを知っているならば、求めた(すべての)求めを(すでに)得ているこ
とを知っているのである。"
"620516","
・ヨハネ 5:16","もしだれかが、死に至らない罪を犯す兄弟を見たら、(神に祈
り)求むべきである。そうすれば(その人は)彼に命を与える。(ただし、これは)死に
至らない罪を犯す者のことである。死に至る罪がある。わたしはそんな(罪を犯す)者の
ために願えと言うのではない。"
"620517","
・ヨハネ 5:17","どんな不義でも罪である。しかし、死に至らない罪がある。"
"620518","
・ヨハネ 5:18","わたし達は知っている、(前に言ったように、)すべて神(の力)
によって生まれた者は罪を犯さないことを、否、神(の力)によってお生まれになった方
(キリスト)がその人を守られるので、悪者[悪魔]はその人にさわらないことを。"
"620519","
・ヨハネ 5:19","(また)わたし達は知っている、わたし達は神から(出た者)
であって、全世界は悪者の支配の下にあることを。"
"620520","
・ヨハネ 5:20","しかしわたし達は知っている、神の子が来て、(唯一の)まこ
との者(なる神)を知る知識力をわたし達に与えられたことを。そしてわたし達はこのま
ことの者の中に、(然り、)御子イエス・キリストの中に、あるのである。この方はまこと
の神であり、また永遠の命である。"
"620521","
・ヨハネ 5:21","子供たちよ、(このまことの神をもつあなた達は、)偶像から身
を守りなさい。"

ヨハネの手紙 第二
"630101","
・ヨハネ 1","長老(ヨハネ)から、(神に)選ばれた貴女[集会]と、その子供
(たる信者)たちへ(手紙をおくる)。わたしは真理を以てあなた達を愛している──わ
たしばかりでなく、真理を知っている者はみなあなた達を愛している。──"
"630102","
・ヨハネ 2","わたし達の中にいつも留まっており、また永遠にわたし達と共に
あるであろう、この真理のゆえに。"
"630103","
・ヨハネ 3","神なる父から、また父の御子イエス・キリストから、恩恵と憐れ
みと平安とが、真理と愛とにおいて、私達と共にあらんことを!"
"630104","
・ヨハネ 4","わたしはあなたの子供たちの中に、わたし達が父から受けた掟ど
おりに、真理において歩いている者があるのを見て非常に喜んだ。"
"630105","
・ヨハネ 5","貴女よ、それで今、あなたに願う──これは新しい掟をあなたに
書くのではない、(イエスが来られた)始めから、わたし達がもっているのであるが──
互に愛しようではないか。"
"630106","
・ヨハネ 6","わたし達が神の掟に従って歩くこと、それが愛である。あなた達
が始めから聞いたように、愛において歩くこと、それが掟である。"
"630107","
・ヨハネ 7","というのは、イエス・キリストが肉体で来られたことを告白しな
い誘惑者が、多く(この)世に出てきたのである。これが誘惑者であり、また(最後の日
に現われるかの)反キリストである。"
"630108","
・ヨハネ 8","自分に気をつけて、わたし達が働いて得たものを失わず、神から
満ち溢れる報いを受けるようにせよ。"
"630109","
・ヨハネ 9","誰でもキリストの教えに留まらず、それを越える者は、(キリスト
だけでなく)神をももたない。(しかし)キリストの教えに留まっている者は、父をも御
子をももっている。"
"630110","
・ヨハネ 10","あなた達の所に来る者で、この(キリストの)教えを持たない者
があるなら、それを家に迎えるな。挨拶もするな。"
"630111","
・ヨハネ 11","挨拶をする者はその悪い行いに、与するのであるから。"
"630112","
・ヨハネ 12","あなた達に沢山書くべきことを、紙とインキですることを欲しな
い。それよりもあなた達の所に行って、口と口で語り、わたし達の喜びを溢れさせたいと
望んでいる。"
"630113","
・ヨハネ 13","神に選ばれたあなたの姉妹[集会]の子供たちから、あなたによ
ろしく。"

ヨハネの手紙 第三
"640101","
・ヨハネ 1","長老(ヨハネ)から愛するガイオへ(手紙をおくる)。わたしは真
理をもってあなたを愛している。"
"640102","
・ヨハネ 2","愛する者よ、あなたの霊のことがうまく行っているように、何事
もうまく行き、また健康であれかしと、願っている。"
"640103","
・ヨハネ 3","というのは、兄弟たちが(ここに)来て、あなたが真理に立って
いること、(すなわち、)いかに真理を歩いているかを証ししてくれたので、わたしは非常
に喜んだのである。"
"640104","
・ヨハネ 4","わたしには、自分の子供たちが真理を歩いていると聞く以上の大
きな喜びはない。"
"640105","
・ヨハネ 5","愛する者よ、あなたがこれを兄弟たちに、しかも旅人に対してす
ることは、忠実に義務を果しているのである。"
"640106","
・ヨハネ 6","この人たちは(あちこちの)集会であなたの愛を証しした。あな
たが、彼らを神に仕える者らしく(愛と献身とをもって)見送るのは、善いことをするの
である。"
"640107","
・ヨハネ 7","というのは、彼らは(キリストの)御名のために(伝道に)出か
けたので、異教人からは、なにも貰わないのである。"
"640108","
・ヨハネ 8","だからわたし達はこのような人々を、もてなす義務がある。わた
し達も真理のために、共働者となるためである。"
"640109","
・ヨハネ 9","私は(前にガイオの属する)集会に、すこし書き送った。彼らの
中で首位を占めたがっているあのデオテレペスは、わたし達を歓迎しない。"
"640110","
・ヨハネ 10","それでわたしが行ったら、彼がやっている行いを思い出させるで
あろう。彼は口ぎたなくわたし達のことをしゃべり、それでも足りずに、(巡回して来た)
兄弟たちを厚遇せず、なお、そうしようとする者の邪魔をして、集会から追い出している。
"
"640111","
・ヨハネ 11","愛する者よ、あなたは(そのような)悪をまねず、善をまねよ。
善を行う者は神から(出たの)であり、悪を行う者は神を見たことがないのである。"
"640112","
・ヨハネ 12","あのデメテリオは、すべての人からも、また真理そのものからも、
(正しいことを)証しされている。わたし達もまた(そのことを)証しする。あなたはわ
たし達の証しが、真実であることを知っている。"
"640113","
・ヨハネ 13","あなたに沢山書くべきことがあるが、インキとペンで書くことを
したくない。"
"640114","
・ヨハネ 14","(そちらに行き、)じきにあなたに会いたいと望んでいる。そし
て口と口で語ろう。"
"640115","
・ヨハネ 15","あなたに平安あらんことを。友人達からあなたによろしく。(そ
ちらの)友人達にひとりびとり名を指して、よろしく。"

ユダの手紙
"650101","
ユダ 1","イエス・キリストの奴隷、且つヤコブの兄弟(なる)ユダ(より、)父
なる神に愛され、イエス・キリストの(再び来たり給う時の)ために守られている、召さ
れた人達に(手紙を遺る。)"
"650102","
ユダ 2","(神の)憐憫と平安と愛、君達に豊かならんことを!"
"650103","
ユダ 3","愛する者よ、(実は)非常な熱意をもって私達に共通する救い(の一般
問題)について君達に書こうと考えていたところ、聖徒達に最後的に伝えられた(唯一の)
信仰のために戦うように勧めるこの手紙を書く必要が起こった。"
"650104","
ユダ 4","というのは或る人達、(すなわち、)私達の神の恩恵を放埒に変え、私
達の唯一の支配者また主なるイエス・キリストを否定する不敬虔な人達が、(君達の中に)
潜り込んで来たからである──彼らが(次に記す)こんな審判を受けることは、古くから
(預言者達によって)予め書かれているのである──"
"650105","
ユダ 5","それで、(もちろん)君達は凡てのことを最後的に(よく)知ってはい
るが、(もう一度)思い出してもらいたいと思うのは、主は(初め)エジプトの地から民
を(引き出して)救い給うたが、二度目には信じない者どもを亡ぼし、"
"650106","
ユダ 6","また自分の職分を守らず、(勝手に)その居所(なる天)を去っ(て地
上に来)た天使達を、(最後の)大なる日の審判のために永遠の鎖を以て(黄泉の)闇の
下に監禁してい給うことである。"
"650107","
ユダ 7","同じくソドムとゴモラもその周囲の町々も、彼ら(天使達)と同じよ
うに淫行に耽って道ならぬ肉を追いかけ、永遠の火の刑罰を受ける見せしめになっている。
"
"650108","
ユダ 8","それにも拘らず、かの夢を見ている連中もまた(ソドム、ゴモラと)
同じように肉を穢し、(主の)支配権を軽んじ、(天使の)光栄を罵っている。"
"650109","
ユダ 9","しかし“天使の長ミカエル”(を見よ、彼)は悪魔と議論をしてモーセ
の屍体に就て争った時、(自ら天使でありながら悪魔をすら)あえて罵り審くことをせず、
「“主が汝を叱り給わんことを”」と言った。"
"650110","
ユダ 10","しかしこの人達は(何も)知らぬ(天使の)ことを罵り、他方無知な
獣と共に本能的に知っていること──(肉の堕落生活)──これによって滅びるのである。
"
"650111","
ユダ 11","禍なる哉、彼らはカインの道を歩み、報酬のためにバラムの迷いに陥
り、且つコラの反逆によって亡びた。"
"650112","
ユダ 12","この人達は君達の愛餐の汚点であって、(君達と)一緒に臆面もなく
(席について)腹をふくらしている。(彼らは)また“自分を牧する”(牧者であり、)風
に吹きまくられる水の無い雲、二度枯れて死んで根こそぎにされる晩秋の実の無い木、"
"650113","
ユダ 13","自分の恥辱を泡立たせる海の荒浪、また迷い星であって、彼らのため
に暗い闇が永遠に取って置かれている。"
"650114","
ユダ 14","しかし(少しも不思議はない。)彼らについてもアダムから七代目の
エノクが預言して言った──見よ、”主はその聖なる千万の軍勢と共に来たり給うた”。"
"650115","
ユダ 15","凡ての者に対して審判をなし、且つ不敬虔によって犯した凡ての不敬
虔な行跡の故に、また不敬虔な罪人達が彼に対して発した凡ての不遜(な言)の故に、不
敬虔な凡ての人達に罰を加えるためである、と。"
"650116","
ユダ 16","この人達は運命に呟く不平家であり、情慾に従って歩き、その口は横
柄を語り、利益のために人に諂う。"   
"650117","
ユダ 17","しかし愛する者よ、君達は私達の主イエス・キリストの使徒達が前以
て言った言を思い出せ。"
"650118","
ユダ 18","すなわち「末の世に自分の不敬虔な情慾に従って歩く嘲弄者が起こ
る」と君達に言った(ではないか。)"
"650119","
ユダ 19","この人達は(人間を)区別し、(自分達だけが霊の者であると言い
ながら、実は自分こそ)霊を持たない肉の者である。"
"650120","
ユダ 20","しかし愛する者よ、君達は君達の最も聖なる信仰の上に自分を築き上
げ、聖霊において祈り、"
"650121","
ユダ 21","(賜わった)神の愛において自分を守り、永遠の生命に入れ給う私達
の主イエス・キリストの憐憫を待ち望め。"
"650122","
ユダ 22","そして疑っている或る人々を説得し、"
"650123","
ユダ 23","或る人々を“火から引き出(すように)して”救い、また或る人々に
は同情せよ、(しかし)畏れをもって──肉に“穢された下着”すら憎め。"
"650124","
ユダ 24","踏み外すことなきよう君達を見守り、(最後の日)瑕無き者として歓
びをもってその栄光の前に立たせ得給う方に、"
"650125","
ユダ 25","我らの救い主(なる)唯一の神に、我らの主イエス・キリストによっ
て、永遠の前も、今も、永遠の後までも、栄光、稜威、権力の帰せんことを! アーメン。

ヨハネの黙示
"660101","
黙示録 1:1","これは(王国来臨の奥義に関し)イエス・キリストの(与え給う
た)黙示(である。)すなわち(必ず)直に起こらねばならぬことをその僕達に示すため
に、神が彼に与え給うたものを、彼がその使いを遣ってその僕ヨハネに示し給うたもので
ある。"
"660102","
黙示録 1:2","(それで)彼(ヨハネ)は(今)神の言と、イエス・キリストの
(為し給うた)証明、すなわち彼が(自ら異象の中に)見(また聞い)た(一切の)こと
(について、その真実であること)を証明する。"
"660103","
黙示録 1:3","幸福なる哉、この預言の言を朗読する人、及び(それを)聞いて、
その中に書かれてある(一切の)ことを守る人々!(この言の成就する)時が(はや既に)
近いからである。"
"660104","
黙示録 1:4","ヨハネからアジヤ(州)にある七つの教会への手紙。願わくは(第
一に、今)在り給う(者、昔)在り給いし(者、また後に)来たり給うべき者から、また
(第二に、)その御座の前にある七つの霊──(七つにして一つに在し給う御霊)──か
ら、"
"660105","
黙示録 1:5","及び(第三に、死に至るまで)忠実な証人(であり、甦りによっ
て、)死(から生命に生まれる)人(達)の長子(となり給うた者、そしてその故に)ま
た地上の諸王の君侯であり給うイエス・キリスト(──この三方)からの恩恵と平安とが、
君達に在らんことを! 願わくは、私達を愛し、その血によって私達を罪から釈き放ち、"
"660106","
黙示録 1:6","斯くして私達を(来るべき)王国(の民となし、)その神また父へ
の祭司となし給うた彼に、栄光と権力とが永遠より永遠にあらんことを! アーメン"
"660107","
黙示録 1:7","視よ、彼は雲に包まれて来たり給う。そして凡ての(人の)目が、
然り、彼を刺した者らが彼を見るであろう。そして地上のあらゆる種族は、彼の(審判の
恐ろしさの)故に胸を打つ(て嘆き悲しみ、後悔する)であろう!然り、アーメン"
"660108","
黙示録 1:8","「我はアルパである、またオメガである。(我このことの真実なる
ことを証明する」と、(今)在り給う(者、昔)在り給いし(者、また後に)来たり給う
べき者、(また)全能の主なる神言い給う。"
"660109","
黙示録 1:9","君達の兄弟であり、(主にある)患難と、(来るべき)王国(にお
ける幸福)と、(また)イエス(来臨)の待望とを共にする(この)私ヨハネは、神の言
とイエスの証明と(を伝えたこと)のために、パトモスという島に(流されて)いた。"
"660110","
黙示録 1:10","(或る)主の日に私は御霊に感じた。そして(突然)私の後でラ
ッパのような大きな声が(して、)こう言うのを聞いた、"
"660111","
黙示録 1:11","「お前が(今直に)見るもの(また聞くもの)を(悉く)巻き物
に書いて、七つの教会、(すなわち)エペソとスミルナとペルガモとテラテヤとサルデス
とヒラデルヒヤとラオデキヤとに(それを)遺れ。(お前が今見る異象はこの七つの教会、
また凡ての教会に関わるものである。)」"
"660112","
黙示録 1:12","そこで私は自分に語っている声(の主)を見ようとして(後を)
振り返った。振り返った時(そこに)七つの金の燭台と、"
"660113","
黙示録 1:13","その燭台の真中に(ダニエルが見たと同じ)人の子のような者が
(いて、王が祭司のように、)足までとどく上衣を着、胸のところに金の帯を締めている
のを私は見た。"
"660114","
黙示録 1:14","その頭と髪の毛とは白い羊毛のように、雪のように白く、その目
は焔のよう(に輝き)、"
"660115","
黙示録 1:15","その足はあたかも鎔炉で灼熱された(金色燦然たる)真鍮に似て
居り、その声は大水の(轟く)音のようであった。"
"660116","
黙示録 1:16","そして右の手には七つの星を持ち、その口からは鋭い両刃の剣が
突き出で、その顔は真盛りに照る太陽のようであった。"
"660117","
黙示録 1:17","私は(この荘厳極まりない)彼(の異象)を見た時、死んだよう
に(なって)その足許に倒れた。すると彼はその右の手を私の上に於て言い給うた──「懼
れるな。私は最初の者、最後の者、"
"660118","
黙示録 1:18","また(永遠に)活きる者である。(だからかつて)死んだけれど
も、視よ、(今)私は(再び)永遠より永遠に活きる者である。私は死と陰府の(門の)
鍵を有つ。(私には凡てのものを活かし、また殺す権能がある。)"
"660119","
黙示録 1:19","だから、お前が(今私について)見たことと、(これからお前に
示す天と地とに今)あることと、この後に起ころうとしていることとを書け。"
"660120","
黙示録 1:20","お前が(今)私の右の手に見た七つの星と、七つの金の燭台との
奥義を示せば──七つの星は七つの教会の使いである。七つの燭台は七つの教会である。」
"
"660201","
黙示録 2:1","エペソ教会の御使いに(斯く手紙を)書け、その右手に七つの星
を握る者、(また)七つの金の燭台の真中を歩く者、(すなわち七つの教会と、七つの教会
の御使い達との上に権を有っている人の子)が斯く言うと──"
"660202","
黙示録 2:2","私はお前の(善い)業、(すなわち、異端と戦う)お前の労苦と、
(私の名のためのお前の)忍耐とを知っている。また、(お前が教会を擾そうとする)悪
者どもを我慢することが出来ず、且つ、使徒でもないのに(勝手に自分で)自分を使徒と
称えている者どもを験して(化の皮を剥ぎ、)それが(大)虚言者であることを見破った
ことを私は(よく)知っている。"
"660203","
黙示録 2:3","お前には忍耐がある。お前は私の名のために(凡てを)我慢し、
そして倦まなかった(──これら凡てのことについて、私はお前を褒める)。"
"660204","
黙示録 2:4","しかしながら、お前を責めねばならぬことがある。それは、お前
が(兄弟達に対して有っていた、あの)最初の(純な)愛を棄ててしまったことである。"
"660205","
黙示録 2:5","だから、お前は(そもそも)何処から堕ちて来た(のである)か
を(よく)考えよ。そして悔い改めて、(あの)最初の(日のような善い)業をせよ。も
しそうでなくして、悔い改めないならば、私は(直に)お前の所に行って、お前の燭台を
その場所から(取り去って他に)移すであろう。"
"660206","
黙示録 2:6","しかし(また、)お前がニコライ派の(者どものあの忌まわしい)
業を憎むこと、そのことはお前が有っている善い所である。私もそれを憎む。"
"660207","
黙示録 2:7","耳を有っている者は、御霊が(全)教会に言い給うことの何であ
るかを聴け。勝利者には、神の楽園にある生命の樹からその実を食うことを許すであろう。
"
"660208","
黙示録 2:8","また、スミルナ教会の御使いに(斯く手紙を)書け、最初の者、
最後の者、(一度)死んで(今)また活きた者(である人の子)が斯く言うと──"
"660209","
黙示録 2:9","私はお前(が私の名のために受けた、また受けつつある数々)の
患難と、(またお前の)貧しさとを知っている──しかし(貧しいのはただ外見だけであ
って、神の前では)お前は(一番)富んでいる(のである。)──また、(自分で)自分を
ユダヤ人であると称え(て誇り)ながら、(その実、決して真の)ユダヤ人でなく、むし
ろサタンの会堂に属する者達からの罵詈を(お前が受けていることを、)私は知っている。
(お前が今日までよくこれに耐えて来たことを私は褒める。)"
"660210","
黙示録 2:10","お前はまだ苦しむであろうが、(決して)それを恐れるな。視よ、
悪魔はお前達の中から(幾人かを)牢屋に投げ込もうとしている。それはお前達が試練を
受けるためである。お前達は十日の間患難を受けるであろう。(しかしただ少しの間の我
慢である。)お前は死ぬるまで私に忠実であれ。そうすればお前に生命の冠を与えるであ
ろう。"
"660211","
黙示録 2:11","耳を有っている者は、御霊が(全)教会に言い給うことの何であ
るかを聴け。勝利者は決して第二の死、(永遠の死)に害なわれないであろう。"
"660212","
黙示録 2:12","またペルガモ教会の御使いに(斯く手紙を)書け、(人の子、そ
の口に)鋭い両刃の剣を有っている者が斯く言うと──"
"660213","
黙示録 2:13","私はお前がどんな処に住んでいるかを知っている。其処にはサタ
ンの玉座がある(ため、お前の信仰を言い表わすことがどんなに難しいかを私はよく知っ
ている。)しかもお前は私の名を(堅く)守って、私の忠実な証人(であったあの)アン
デパスが、お前達の間(で、すなわち)サタンの住んでいる処で殺された時にも、(なお)
私(へ)の信仰を捨てなかった。(このことを私は褒める。)"
"660214","
黙示録 2:14","しかしながら、少しくお前を責めねばならぬことがある。それは
お前の処にバラアムの教えを奉じている者があることである。彼は(お前も知っているよ
うに、)バラクに教えてイスラエルの子ら(を誘い、そ)の前に躓物を置き、(彼らをして)
偶像の供物を食わせ、淫行を行わしめたのである。"
"660215","
黙示録 2:15","斯くお前(の中)にもまた、同じくニコライ派の教えを奉じてい
る者がある。"
"660216","
黙示録 2:16","だから(早く)悔い改めよ。もしそうでないならば、私は直にお
前の所に行って、私の口の剣を以て彼らと戦うであろう。"
"660217","
黙示録 2:17","耳を有っている者は、御霊が(全)教会に言い給うことの何であ
るかを聴け。勝利者には隠されたマナを与えるであろう。また白い石を与えるであろう。
その石の上には、(それを)貰った者でなければ誰も(その意味を)知らない新しい名が
書かれてある。"
"660218","
黙示録 2:18","また、テアテラ教会の御使いに(斯く手紙を)書け、神の子、【そ
の】目は焔のよう、その足は真鍮に似ている者が斯く言うと──"
"660219","
黙示録 2:19","私はお前の(善い)業、(すなわち、)お前の愛と信仰と働きと忍
耐と、そしてお前の後の業は先のものよりも大きく(立派で)あることとを知っている。
(私はこれを褒める。)"
"660220","
黙示録 2:20","しかしながら、お前を責めねばならぬことがある。それは、お前
が(あの妖婦──(勝手に自分で)自分を女預言者と称して、私の(善い)僕達を教え惑
わし、淫行を行わしめ、偶像の供物を食わせる(あの)女エザベルを(黙って)放って置
くことである。"
"660221","
黙示録 2:21","私は(度々彼女を、戒め、)彼女に悔い改めの時を与えたけれど
も、彼女は(私の言に従って)その淫行から悔い改めようとしない。"
"660222","
黙示録 2:22","(だから)視よ、私は彼女を(その快楽の床から疫病の)床の中
に投げ入れる。そして彼女と姦淫を犯している者も、もし彼女(から惑わされた淫行)の
(忌まわしい)行為から悔い改めないならば、大きな患難に投げ入れる(であろう)。"
"660223","
黙示録 2:23","そして、彼女の子供らを(も)疫病をもってうち殺すであろう。
斯くして全教会は、私が(人の最も隠れた所である)腎臓をも心臓をも尋ね究め(て、彼
らを罰す)る者であることを知る(に至る)であろう。そして(また、)私はお前達の業
に従って一人一人に報ゆるであろう。"
"660224","
黙示録 2:24","しかし(この)他のテアテラの人達──この(エザベルの)教え
を受けず、いわゆる「サタンの深い所」を知らなかったお前達に私は言う──私は(何も
新しい)他の重荷をお前達に負わせ(ようとは思わ)ない。"
"660225","
黙示録 2:25","ただお前達は、私が(再び)来る(時)まで、(いま)有ってい
るものを(確り)握って居れ。"
"660226","
黙示録 2:26","勝利を得て最後まで私(に対する信仰)の業を保つ者には、諸国
の民の支配権を与え、"
"660227","
黙示録 2:27","彼は(聖書にあるように、)鉄の杖を以て彼らを牧し、(彼に手向
かう者を)土の器のように打ち砕くであろう。"
"660228","
黙示録 2:28","そして私が私の父から(それを)戴いたように、彼にもまた暁の
明星を与えるであろう。(彼は斯くして新しい救いの光に接することが出来るであろう。)"
"660229","
黙示録 2:29","耳を有っている者は、御霊が(全)教会に言い給うことの何であ
るかを聴け。"
"660301","
黙示録 3:1","また、サルデス教会の御使いに(手紙を)書け、神の七つの霊と、
七つの星とを持つ者がこう言うと──私はお前の業を知っている。活きているという(え
らい)評判はあるが、お前は死んでいる。"
"660302","
黙示録 3:2","(早く)目を覚まして、死にそうになっていた(少しばかりの生
き)残りのものを堅め(て生命を取り止め)よ。(人の前ではともかく、)私の神の前では
お前の業が完全でないことを私は見たのである。"
"660303","
黙示録 3:3","だから、お前は(前に一体)何を(私から)受けたか、また(何
を)聴いたか(、よくそれ)を思い出してみよ。そして、(その時受けたこと、聴いたこ
とをしっかり)守って、(今直ぐに)悔い改めよ。それで、もし目を覚まさなければ、私
は泥棒のようにやって来る。そして何時私がお前の所に来るかを、お前は決して知らない
であろう。"
"660304","
黙示録 3:4","しかし、サルデスにも(穢れた生活によって)その着物を汚さな
かった者が少数はある。彼らは(来るべき王国で)白い着物を来て私と一緒に歩くであろ
う。彼らはそうすることを許されるに相応しい。(彼らは潔く生きている)からである。"
"660305","
黙示録 3:5","(しかし)勝利者は(誰でも皆、)このように白い着物を着せられ
るであろう。そして私はその名を決して生命の書から消さず、また、私の父の前とその御
使い達の前でその名を告白するであろう。"
"660306","
黙示録 3:6","耳を有っている者は、御霊が(全)教会に何と言い給うかを聴け。
"
"660307","
黙示録 3:7","また、ヒラデルヒヤ教会の御使いに(手紙を)書け、聖なる者、
真実なる者、ダビデの(家の)鍵を有ち、開けば閉ずる者なく、閉ずれば開く者なき者が
こう言うと──"
"660308","
黙示録 3:8","私はお前の(善い)業を知っている。(だから)視よ、私は(お前
を王国に入れるために、)お前の前に(広く)開いた門を置いてやった。誰もそれを閉ず
ることは出来ない。(何故なら、)お前は(この世にほんの)少しの勢力しか有たないのに、
(よく)私の言を守って、(どんな場合にも決して)私の名を否まなかったからである。"
"660309","
黙示録 3:9","(だから)視よ、私はサタンの会堂(の或る者、)すなわち(自分
で)自分をユダヤ人であると称えながら、(その実決して真の)ユダヤ人でなく、かえっ
て虚言をつく者の或る者に、こうさせる──視よ、私は彼らをしてお前の足下に来て(お
前を)拝ませる。そして、(その時)彼らは(はじめて、)私がお前を愛していたことを知
るであろう。"         
"660310","
黙示録 3:10","お前は私の忍耐(に傚って忍耐し、これについて私)の言を(よ
く)守っ(てくれ)たから、私もまた、地上に住む者を試煉るため全世界に臨もうとして
いる試煉の時に、お前を守るであろう。"                   "660311","
黙示録 3:11","私は直に来る。(だから今)有っているものを(確り)握って、誰にもお前
の(光栄の)冠を取られないようにせよ。"
"660312","
黙示録 3:12","勝利者はこれを私の神の宮における柱にしよう。そして最早決し
て外に(離れ)出ることがないであろう。また私はその上に、私の神の名と、天から、私
の神から降って来る新しいエルサレム、(すなわち)私の神の都の名と、私の新しい名と
を書くであろう。"
"660313","
黙示録 3:13","耳を有っている者は、御霊が(全)教会に何と言い給うかを聴け。
"
"660314","
黙示録 3:14","また、ラオデキヤ教会の御使いに(手紙を)書け、アーメンであ
る者、忠実な、真実な証人、神の創造の本源である者がこう言うと──"
"660315","
黙示録 3:15","私はお前の業を知っている。お前は冷たくもなければ熱くもない。
(いっそ)冷たいか熱ければよいのに!"
"660316","
黙示録 3:16","私はお前がこんなに生暖くて、熱くも冷たくもないから、お前を
口から吐き出そうとしている。"
"660317","
黙示録 3:17","お前は、「自分は金持ちである。金持ちになった。何も足りない
ものは無い」と言うて(いる。なるほどお前には金がある。しかし)自分(の精神)が(ど
んなに)惨めな、かわいそうな、貧乏な、盲目な、裸な者である(かという)ことを知ら
ない。"
"660318","
黙示録 3:18","(だ)から私はお前に勧める──(一つ)私から火で煉った金を買
って(本当の)金持ちになり、白い着物を買って、着て、お前の裸体の恥じが露されない
ようにし、目に塗る眼薬を買って、見えるようになれ。"
"660319","
黙示録 3:19","(何も私のこの烈しい言に驚くことはない。)私は愛する者を罰
し、また躾る。だから熱心になって、(早く)悔い改めよ。"
"660320","
黙示録 3:20","視よ、私は(お前の家の)戸の前に立って叩いている(ではない
か)。もし私の声を聞いて戸を開ける者があれば、私はそこに入って彼と一緒に、彼はま
た私と一緒に食事をするであろう。"
"660321","
黙示録 3:21","勝利者には私と一緒に私の座に坐ることを許すであろう。丁度私
が勝って、私の父と一緒に彼の玉座に坐ったように!"
"660322","
黙示録 3:22","耳を有っている者は、御霊が(全)教会に何と言い給うかを聴け。
"
"660401","
黙示録 4:1","この(異象の)後で、私は(また一つ異象を)見た。そして視よ、
天に(一つの)開いた門があった。すると、(前に)ラッパのように(大きな声で)私に
語るのが聞こえた(あの)最初の声が、(私に)言うた、「ここに上れ、この後起こらねば
ならぬ(ように決まっている)ことをお前に示そう。」"
"660402","
黙示録 4:2","(すると)直に私は御霊に感じた。そして視よ、天に玉座があっ
た。そして玉座の上に坐し給う者があって、"
"660403","
黙示録 4:3","その坐し給う者は、外観が碧玉及び赤瑪瑙に似ていた。そして(そ
の)玉座の周囲には、外観が緑玉に似ている虹があった。"
"660404","
黙示録 4:4","また玉座の周囲に二十四の座があり、その座の上には、(祭司のよ
うに)白い着物を着、その頭に(は王のように)金の冠を被っている二十四人の長老が坐
っていた。"                             
"660405","
黙示録 4:5","そして玉座からは、電光と、(鳴り轟く雷の)声と、雷霆とが(絶
えず)出ている。そして神の七つの霊である七つの炬火が、(その)玉座の前に燃えてい
る。"                     
"660406","
黙示録 4:6","また玉座の前には(透徹った)水晶に似た、玻璃の海のようなも
のがある。そして玉座の真中と玉座の周囲には、前にも後にも一杯に眼がある四つの活者
がいる。"                           
"660407","
黙示録 4:7","第一の活物は獅子に似て居り、第二の活物は犢に似て居り、第三
の活物は人間のような顔を有ち、第四の活物は(空を)翔っている鷲に似ている。"
"660408","
黙示録 4:8","そして四つの活物にはそれぞれ六つずつの翼があり、(その翼に
は)周囲にも内側にも一杯に眼がある。そして昼も夜も絶え間なく(讃美の歌をうとうて)
言う、聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな、主なる神、全能者、(昔)在り給いし者、(今)
在り給う者、(後に)来たり給うべき者!"
"660409","
黙示録 4:9","そして(この四つの)活物が、玉座の上に坐し永遠より永遠に活
き給う者(を斯く讃美しつつ彼)に栄光と栄誉と感謝とを捧ぐる時、"
"660410","
黙示録 4:10","二十四人の長老は(その座を立ち、)王座の上に坐し給う者の前
に平伏して、永遠より永遠に活き給う者を拝し、彼らの冠を玉座の前に投げ出して言う"
"660411","
黙示録 4:11","われらの主なる神よ、貴神は(凡ての創造られたものから)栄光
と栄誉と権能とを受け、(また凡ての創造られたものを支配し)給うに相応しい。万物を
創造り給うたのは貴神であり、万物は貴神の御意によって存在し、また創造られた(ので
ある)からである。"
"660501","
黙示録 5:1","そして私は玉座に坐し給う者の右手に(一つの)巻き物(がある
の)を見た。それは内側にも外側にも(一杯に)字が書いてあり、七つの封印を以て(固
く)封ぜられてあった。"
"660502","
黙示録 5:2","私はまた強い天使が大声で、「誰が(この)巻き物を開いて、その
封印を解くに相応しいか」と触れているのを見た。"
"660503","
黙示録 5:3","しかし、天にも地にも地の下にも、誰一人(として)その巻き物
を開いて、それ(に書いてあること)を見ることの出来る者が無かった。"
"660504","
黙示録 5:4","私はさめざめと泣いた。(広いこの宇宙に、)その巻き物を開いて、
それを見るに相応しい者が一人も無かったのである。"
"660505","
黙示録 5:5","すると(かの)長老の一人が私に言う、「泣くな。視よ、ユダ族の
獅子、ダビデの根(である者)が(既に)勝った(から)、彼がその巻き物と七つの封印
とを開く(ことが出来る。)」"
"660506","
黙示録 5:6","(私は面を上げた。)すると玉座及び(これを取り囲む)四つの活
物と、(二十四人の)長老との真中に、(犠牲として)屠られたような、(頚に疵のある)
仔羊が立っているのを私は見た。それには七つの角と七つの眼とがあった──この眼は全
地に遣わされた神の七つの霊である。──"
"660507","
黙示録 5:7","(やがて)彼は行って、玉座に坐し給う物の右手から(その巻き
物を)受け取った。"
"660508","
黙示録 5:8","彼がその巻き物を受け取った時、四つの活物と二十四人の長老と
は、各々竪琴と香の一杯入っている金の鉢とを(手に)持って──この香は聖徒の祈りで
ある──仔羊の前に平伏し、"
"660509","
黙示録 5:9","新しい(讃美の)歌をうとうて言う──貴方は巻き物を受け取り、
その封印を開くに相応いたもう。貴方は屠られ給うて、その血(の価)によって凡ての種
族と国語と民と国民と(の中)から人を神のために買い、"
"660510","
黙示録 5:10","これをわれらの神のために王国(の民となし、)また祭司となし
給うたから。彼らは地上に王となるであろう。"
"660511","
黙示録 5:11","また私は見た。そして、玉座と活物と長老との周囲に、多くの天
使の声を聞いた。その数は千々万々であって、"
"660512","
黙示録 5:12","大声で(仔羊を讃美して)言うた──屠られ給うた仔羊こそ、権
能と富と知恵と権力と栄誉と栄光と讃美とを受くるに相応いたもう。"
"660513","
黙示録 5:13","そして、天と地と地の下と海の上に[ある]凡ての造られた物と、
その中にある凡てのものとが(これに応えてこう)言うのを私は聞いた──願わくは、玉
座に坐し給う者と仔羊とに、讃美と栄誉と栄光と統治とが、永遠より永遠にあらんことを!
"
"660514","
黙示録 5:14","「アーメン」と四つの活物が言うた。そして長老が平伏して拝し
た。"
"660601","
黙示録 6:1","そして仔羊が七つの封印の(最初の)一つを開いた時、見ると、
私は(玉座の傍にいる)四つの活物の一つが雷のような(大きな)声で「来い」と言うの
を聞いた。"
"660602","
黙示録 6:2","そして見ると、視よ、白い馬が顕れて、それに乗っている者は弓
を持ち、冠が彼に与えられた。そして彼は勝ちつつまた勝たんとして出て行った。"
"660603","
黙示録 6:3","また彼が第二の封印を開いた時、私は第二の活物が「来い」と言
うのを聞いた。"
"660604","
黙示録 6:4","すると赤い他の馬が出て来た。そしてそれに乗っている者に、地
(上)から平和を奪い取ること、また(戦争と内乱とにて)互いに屠り合わせることを許
された。そして大きな剣が彼に与えられた。"
"660605","
黙示録 6:5","また彼が第三の封印を開いた時、私は第三の活物が「来い」と言
うのを聞いた。そして見ると、視よ、黒い馬が顕れて、それに乗っている者は手に秤を持
っていた。"
"660606","
黙示録 6:6","そして私は、四つの活物の真中で声のようなものが(こう)言う
のを聞いた、「小麦は一ケニックスで一デナリ、大麦は三ケニックスで一デナリ、油と葡
萄酒を害してはならぬ。」"
"660607","
黙示録 6:7","また彼が第四の封印を開いた時、私は第四の活物の「来い」と言
う声を聞いた。"
"660608","
黙示録 6:8","そして見ると、視よ、青ざめた馬が顕れて、それに乗っている者
はその名を死という。そして陰府がこれに従っていた。彼らは地の四分の一に住む人々を、
(あるいは)剣を以て、(あるいは)飢饉を以て、(あるいは)疫病を以て、(あるいは)
また地の(野)獣によって殺す権威を与えられた。"
"660609","
黙示録 6:9","また彼が第五の封印を開いた時、私は祭壇の下に、神の言のため、
またその立てた証のために(かつて)殺された(殉教)者達の(多くの)霊を見た。"
"660610","
黙示録 6:10","彼らは大声で叫んで言うた、「聖なる、真実なる主よ、何時まで
審かず(に待ち給うのであるか。何時まで)地上に住む(不信)者どもに、(罪無くして
流した)私達の血を復讐し給わないのであるか。(主よ、何時まで?)」"
"660611","
黙示録 6:11","すると各自に白い上衣が与えられ、自分達と同じく殺されねばな
らぬ僕仲間と兄弟達と(が殺されて、神の定め給うたそ)の数が満つるまで、なお暫くの
間休息んで(静かに待って)いるように彼らに言い聞かされた。"
"660612","
黙示録 6:12","また彼が第六の封印を開いた時、見ると、大きな地震が起こった。
太陽は毛の荒布の(喪服の)ように黒くなり、(満)月はすっかり血のようになり、"
"660613","
黙示録 6:13","天の星は(丁度)無花果の樹が大風に揺られてその夏生りの無花
果を落とすように地に落ちた。"
"660614","
黙示録 6:14","また天は巻き物が巻かれるように消え去り、山と島とは悉くその
場所から動かされ(て見えなくなっ)た。"
"660615","
黙示録 6:15","そして(これを見て)地(上)の王、貴人、将軍、富豪、権力者、
また凡ての奴隷、自由人は(みな恐れて)洞穴や山の岩の間に身を隠した。"
"660616","
黙示録 6:16","そして山や岩に(叫んで)言う、「我々の上に倒れ(かかっ)て、
玉座に坐し給う者の御顔から、(烈しい)仔羊の御怒りから我々を隠してくれ。"
"660617","
黙示録 6:17","その御怒りの大なる日が来たのだ。誰が立つ(てこの審判に堪え
る)ことが出来よう!」"
"660701","
黙示録 7:1","この後で四人の御使いが地の四隅に立って、地の四方の風を引き
留め、風が地の上に、また海の上に、また一切の樹々の上に吹かないようにしているのを
私は見た。"
"660702","
黙示録 7:2","また私はもう一人(他)の御使いが、活ける神の玉璽を(手に)
持って太陽の出る方から上(って来)るのを見た。彼は地と海(と樹々)とを害うことを
許された四人の御使いに大声で叫んで"
"660703","
黙示録 7:3","言うた、「私達が神の(玉璽でその)僕達の額に印をつけ(終わ)
るまでは、地をも海をも樹々をも害うな!」"
"660704","
黙示録 7:4","すると(間もなく)私は印をつけられた者の数を聞いた。(曰く)
──イスラエルのあらゆる種族の子達の中から印をつけられた者が(総計)十四万四千。"
"660705","
黙示録 7:5","(まずユダ族から始めるならば──)ユダ族から一万二千印をつ
けられ、ルベン族から一万二千、ガド族から一万二千、"
"660706","
黙示録 7:6","アセル族から一万二千、ネフタリム族から一万二千、マナセ族か
ら一万二千、"
"660707","
黙示録 7:7","シメオン族から一万二千、レビ族から一万二千、イッサカル族か
ら一万二千、"
"660708","
黙示録 7:8","ザブロン族から一万二千、ヨセフ族から一万二千、ベニヤミン族
から一万二千印をつけられた。"
"660709","
黙示録 7:9","この後で(また)私は見た。すると視よ、誰も数えることの出来
ない(ほど)多くの群衆が(あった。彼らは)凡ての国と種族と民と国語との中から集ま
(った者であ)り、白い上衣を纏い、手に棕櫚(の枝)を持って、玉座の前、仔羊の前に
立っていた。"
"660710","
黙示録 7:10","そして(讃美して)大声に叫んで言う、救いは玉座に坐し給う我
らの神と仔羊とに!"
"660711","
黙示録 7:11","すると凡ての御使い達が玉座と長老達と四つの活物との周囲に立
って、玉座の前に平伏し、神を拝して"
"660712","
黙示録 7:12","言うた──アーメン、願わくは讃美と栄光と知恵と感謝と栄誉と
権能とが、永遠より永遠に我らの神にあらんことを、アーメン!"
"660713","
黙示録 7:13","すると長老の一人が答えて私に言うた、「白い上衣を纏うたこの
人達は(一体)誰であるか。また何処から来たか(、お前はそれを知っているか。」""660714","
黙示録 7:14","わが主よ、貴方が御存知です」と私は彼に言うた。そこで彼が私に言うた、
「この人達は(既に最後の日の)大なる患難を経て来た者である。彼らは仔羊の(流し給
うた聖い)血でその上衣を洗ってそれを白くした。"
"660715","
黙示録 7:15","この故に(今)彼らは神の玉座の前にあって、昼も夜もその聖所
で彼に仕えているのである。そして玉座に坐し給う者は、彼らの上に天幕を張(って彼ら
を護)り給うであろう。"
"660716","
黙示録 7:16","彼らは最早飢えず、最早渇かず、太陽も如何な暑さも(最早)彼
らを襲わないであろう。"
"660717","
黙示録 7:17","玉座の真中にい給う仔羊が彼らを牧し、彼らを生命の水の泉に導
き、また神は彼らの目から悉く涙を拭い去り給うからである。」"
"660801","
黙示録 8:1","かくて仔羊が(最後に)第七の封印を開いた時、およそ半時の間
天が静かであった。(歌は止み、御使い達は固唾を飲んで次に起ころうとすることを待っ
た。)"
"660802","
黙示録 8:2","すると七人の御使いが神の前に立っているのを私は見た。そして
彼らに七つのラッパが与えられた。"
"660803","
黙示録 8:3","するともう一人(他)の御使いが来て、(手に)金の香炉を持ち、
香壇の前に立った。すると沢山の香が彼に与えられた。それは凡ての聖徒達の祈りのため
(、これに力を添えるため)に、玉座の前の金の香壇に供えるのであった。"
"660804","
黙示録 8:4","香(は焚かれた。そ)の煙が聖徒達の祈りのために御使いの手か
ら神の前に立ち上がった。"
"660805","
黙示録 8:5","(遂に祈りは聴かれた)──御使いが(再びその)香炉を取り、
これに香壇の火を盛って(天から)地上に投げつけた。すると(たちまち恐ろしい)雷と
轟と電光と(大)地震とが(地上に)起こった。"
"660806","
黙示録 8:6","すると七つのラッパを持った七人の御使いが、(それを)吹く準備
をした。"
"660807","
黙示録 8:7","第一の御使いがラッパを吹いた。すると血の混じった火が起こっ
て、地上に降った。そして地の三分の一が焼かれ、樹の三分の一が焼かれ、(その三分の
一の地にあった)青草が悉く焼かれ(てしまっ)た。"
"660808","
黙示録 8:8","第二の御使いがラッパを吹いた。すると火に燃えている大きな山
のようなものが海の中に放り込まれた。そして海の三分の一が血になり、"
"660809","
黙示録 8:9","生命を有つ海中の被造物の三分の一が死に、舟の三分の一が破壊
された。"
"660810","
黙示録 8:10","第三の御使いがラッパを吹いた。すると炬火のように燃えている
大きな星が天から落ちた。そして河の三分の一と水の源(の三分の一)との上に落ちた。"                  
"660811","
黙示録 8:11","その星の名を苦艾という。そして水の三分の一は(そのため)苦
艾(のよう)に(苦く)なり、多くの人は水が苦くなったので(飲むことが出来ずに)死
んだ。"
"660812","
黙示録 8:12","第四の御使いがラッパを吹いた。すると太陽の三分の一と月の三
分の一と星の三分の一とが撃たれて、(各々)その(光の)三分の一が暗くなり、昼もそ
の三分の一は(太陽が)照らず、夜も同様に(三分の一は暗く)なった。"
"660813","
黙示録 8:13","すると(その時)私は見た、そして一羽の(大)鷲が中空を飛び
ながら大声で(こう)言うのを聞いた、「禍なる哉、禍なる哉、禍なる哉、地に住む者、
三人の御使いが吹こうとしている残るラッパの声の故に!」"
"660901","
黙示録 9:1","(やがて)第五の御使いがラッパを吹いた。すると私は(今し)
天から地上に落ちた(一つの)星を見た。それに奈落の坑の鍵が与えられた。"
"660902","
黙示録 9:2","そしてそれが奈落の坑(の戸)を開けると、大きな炉の煙のよう
な煙が(もうもうと)坑から立ち上って、太陽も空気も(その)坑の煙で暗くなった。" 
"660903","
黙示録 9:3","そして、煙の中から蝗(の大軍)が地上に出て来た。それに地の
蝎が有っている力のような、(人間を苦しめる)力が与えられた。"
"660904","
黙示録 9:4","そして地の草も、あらゆる緑のものも、あらゆる樹も害せず、た
だ額に神の印の無い人間(だけ)を害するように言われた。"
"660905","
黙示録 9:5","且つそれを殺すのではなく、(ただ)五か月の間苦しめること(だ
け)が許された。彼らの苦痛は蝎が人を刺した時の苦痛のようである。"
"660906","
黙示録 9:6","そしてそれらの日において、人間は(苦痛のあまり)死を求める
けれども、決してそれを見出さないであろう。死のうと切に望むであろうけれども、死は
彼らから逃げる。"
"660907","
黙示録 9:7"," 蝎の外観は戦争の用意をした(軍)馬に似て居り、その顔には金
に似た(輝きを有つ)冠のようなものがあった。またその顔は人間の顔のようであった。"
"660908","
黙示録 9:8","女の髪の毛のような髪の毛があり、その歯は獅子の歯のようであ
った。"
"660909","
黙示録 9:9","また鉄の胸鎧のような胸鎧を著け、その羽音は戦車と多くの馬と
が戦争に駈け行く音のようであった。"
"660910","
黙示録 9:10","そして蝎に似た尾と刺があり、その尾(の刺)に五か月の間人間
を害する力がある。"
"660911","
黙示録 9:11","彼の上に王がある。奈落の使いであって、その名をヘブライ語で
は破壊者(といい)、ギリシヤ語では破壊者という。"
"660912","
黙示録 9:12","(斯くして)第一の禍は過ぎた。(しかし)視よ、この後なお二
つの禍が来る!"
"660913","
黙示録 9:13","第六の御使いがラッパを吹いた。すると私は神の前の金の香壇の
四つの角から一つの声が出て、"
"660914","
黙示録 9:14","ラッパを持っている第六の御使いに(こう)言うのを聞いた、「大
ユーフラテス河の辺に縛られている四人の御使いを解き放て!」と。"
"660915","
黙示録 9:15","そしてその時、その日、その月、その年のために(長い間)準備
されていた四人の御使いは、(今やその時期満ちて)人間の三分の一を殺すために解き放
たれた。"
"660916","
黙示録 9:16","そしてその(御使い達に従う)騎兵(の大)軍の数は二億(ばか
り)であった──(見渡すことは出来なかったが、)私はその数を聞いた。"
"660917","
黙示録 9:17","そして、私が幻影で見た馬とそれに乗っている者とはこうであっ
た──彼らは火色と紫色と硫黄色の胸鎧を著けていた。馬は頭は獅子の頭のようであり、、
その口からは(胸鎧の色に応じて)火と煙と硫黄とが出ている。"
"660918","
黙示録 9:18","この三つの災厄で、(すなわち)彼らの口から出る火と煙と硫黄
とで、人間の三分の一が殺された。"
"660919","
黙示録 9:19","というのは、(この)馬の力はその口とその尾にあるからである。
すなわち、その尾は蛇に似て居り、(尾の端に蛇の)頭があって、それで(噛んで人を)
害するのである。"
"660920","
黙示録 9:20","しかしこれらの災厄(にも拘らず、これ)で殺されなかった残り
の(三分の二の)人々は(ますます頑固になった。彼らは)その手の行為を悔い改めず、
悪鬼や、見ることも聞くことも歩くことも出来ない金や銀や銅や石や木の偶像を拝するこ
とを廃めず、"

"660921","黙示録 9:21","またその殺人をもその呪術をもその淫行をもその窃盗をも悔い改
め(ようとし)なかった。(より大なる災厄は来なければならぬ。"
"661001","
黙示録 10:1","また私はもう一人(他)の強い天使が天から降りて来るのを見た
──(私は何時の間にか地上に立っていた──彼は雲を(身に)纏い、虹を(冠として)
頭上に戴いていた。またその顔は(さながら)太陽のよう、その足は火の柱のようで、"
"661002","
黙示録 10:2","手には開いた小さな巻き物を持っていた。そして(全世界に跨が
って立ち、)右足を海の上に、左足を地の上に置き、"
"661003","
黙示録 10:3","あたかも獅子が吼えるような大きな声で叫んだ。そして彼が叫ん
だ時、七つの雷がその声を出した。"  
"661004","
黙示録 10:4","(斯く)七つの雷が語った時、私は(それを)書こうとした。す
ると天から声が(あって、)「七つの雷が語ったことを封ぜよ。それを書くな」と言うのを
私は聞いた。"
"661005","
黙示録 10:5","すると海と地の上に立っているのを私が見た天使が、天に向かっ
てその右手を挙げ、"
"661006","
黙示録 10:6","永遠より永遠に活き給う者、天とその中にあるもの、地とその中
にあるもの、海とその中にあるものとを創造り給うた者にかけ誓っ(て言う)た、「(時が
迫った、)最早時はない。"
"661007","
黙示録 10:7","第七の御使いが吹こうとしているラッパの声の(響くその)日、
彼がその僕たる預言者達ちに宣べ伝えた通りに神の奥義は成就するであろう。」"
"661008","
黙示録 10:8","すると(前に)私が天から(出るのを)聞いた声が、再び私に語
って言うのを聞いた、「行って、海と地の上に立っている天使の手にある開いた巻き物を
取れ。」"
"661009","
黙示録 10:9","そこで私は天使の所に行って、その小さな巻き物を私に(渡して)
くれるように言うた。すると彼が私に言う、「(さあ、)これを取って食ってしまえ。お前
の腹は苦くなるが、しかし口には蜜のように甘いであろう。」"
"661010","
黙示録 10:10","私は小さい巻き物を天使の手から受け取った。そしてそれを食
ってしまった。果たして(それは)口には蜜のように甘くあったが、それを食った時、私
の腹は苦くなった。"
"661011","
黙示録 10:11","すると(その天使と七つの雷が)私に言う、「お前はもう一度多
くの民と国と国語と王達とについて預言せねばならぬ!」"
"661101","
黙示録 11:1","そして(命令により)杖のような(一本の)間棹が私(の手)に
渡されて、(天使がこう)言う(のを私は聞いた、「起って(エルサレムにある)神の聖所
と(燔)祭(の)壇と其処で礼拝をしている者達とを測れ。"
"661102","
黙示録 11:2","ただ聖所の外の庭(すなわち異教人の庭)を除け、それを測るな。
それは異教人(の荒らす)に任されたのであるから。(彼らをしてエルサレムを懲らさし
める。)彼らは四十二か月の間(この)聖なる都を蹂躙るであろう。"
"661103","
黙示録 11:3","そして我は我が二人の証人(モーセとエリヤと)に、(預言する)
権を与える。彼らは荒布を着て千二百六十日の間(悔い改めの)預言をするであろう──"
"661104","
黙示録 11:4","彼ら(二人)は(聖書に誌されているように、全)地の主の前に
立つ二本の橄欖の木と、二つの燭台である。──"
"661105","
黙示録 11:5","もし彼らを害しようと思う者があれば、彼らの口から火が出てそ
の敵を焼き尽くす。然り、もし彼らを害しようと思う者があれば、その人はこのようにし
て殺されvければならない。"
"661106","
黙示録 11:6","彼らはその預言する日の間雨を降らせぬ(ようにする)ため、天
を閉ずる権力を有っている。また彼らは水を変えて血となし、また思うままに(何時でも)
幾度でも、あらゆる災厄を以て地を撃つ権力を有っている。"
"661107","
黙示録 11:7","しかし(四十二か月が過ぎ)彼らがその証明を終ると、奈落(の
底)から(一匹の)獣が上って来て、彼らと戦闘をなし、彼らに勝ってこれを殺すであろ
う。"
"661108","
黙示録 11:8","そしてその屍体は大な都(エルサレム)の大通りに置かれ(人目
に曝され)る。この都は霊的にソドムまたエジプトと呼ばれる。其処で彼らの主(イエス)
もまた十字架につけられ給うた。"
"661109","
黙示録 11:9","そして(あらゆる)民と種族と国語と国と(の人々)は三日半の
間その屍体を見、その屍体を墓に葬ることを許さない。"
"661110","
黙示録 11:10","そして、地上に住む者は彼ら(が殺されたこと)について喜び
楽しみ、(嬉しさのあまり)互いに贈り物をするであろう。それはこの二人の預言者が(生
前)地上に住む者を(散々に)苦しめ(悩まし)たからである。」"
"661111","
黙示録 11:11","しかし三日半の後、生命の息が神から(出て)彼らの中に入っ
た。すると彼らは(生き返ってやおら)足で立ち上がった。大なる恐怖が彼らを見ていた
者を襲った。"
"661112","
黙示録 11:12","彼ら(二人の証人)は、天から大きな声が(あって、)「此処に
昇って来い」と言うのを聞いた。そして(人々の目の前で)雲に乗って天に昇った。然り、
彼らの敵も(また)それを見た。"
"661113","
黙示録 11:13","(丁度)その時大地震があって、都の十分の一が倒れ、七千人
の者達がこの地震で殺された。(生き)残った人々は(これを見て非常に)懼れ、(悔い改
めて)天の神に栄光を帰した。"
"661114","
黙示録 11:14","(かくして)第二の禍は過ぎた。(しかし、この悔い改めはほん
の一時であった。だから)視よ、第三の禍が直に来る(であろう)!"
"661115","
黙示録 11:15","(やがて)第七の御使いがラッパを吹いた。すると(沢山の)
大きな声が天に起こってこう言うた──(今や)この世の王国は我らの主(なる神)とそ
のキリストの有となった。彼は永遠より永遠に王となり給うであろう。"
"661116","
黙示録 11:16","すると神の前でその座に坐っていた二十四人の長老が平伏し、
神を拝して"
"661117","
黙示録 11:17","言うた──主なる全能の神、(今)在り給う者、(昔)在り給い
し者、貴神が(再び)その大なる権能を取り(自ら)王となり給うたことを感謝する。"
"661118","
黙示録 11:18","諸国の民は怒っ(て貴神に反抗し)た。しかし(今や)貴神の
御怒りが来た。死人が審判されて、貴神の僕達すなわち預言者と聖徒に、また貴神の御名
を懼れる小さい大きい者達に報酬を与え、地を滅ぼす者を滅ぼし給う時が来た!"
"661119","
黙示録 11:19","すると天にある神(の至)聖所が開いて、(至)聖所の中にある
その契約の櫃が見えた。そして、(地には恐ろしい)電光と轟きと雷と地震と大きな雹と
があった。"
"661201","
黙示録 12:1","また大きな徴が天に顕れた──太陽を着た(一人の)女が、足の
下には月を足台とし、頭には十二の星の冠を戴いていた。"
"661202","
黙示録 12:2","そして懐妊していて、子を産もうとする痛みと苦しみのために(大
声に)叫んでいる。"
"661203","
黙示録 12:3","するともう一つ(他)の徴が天に顕れた。そして視よ、大きな赤
い竜が七つの頭と十の角を有ち、その頭には七つの冠があった。"
"661204","
黙示録 12:4","またその尾は天の星の三分の一を引き摺って、それを地に(投げ)
落とした。竜は子を産もうとしている女の前に立ち、子を産んだならば(直に)その子を
食い尽くそうとして(待ち構えて)いた。"
"661205","
黙示録 12:5","彼女は(遂に子を)──鉄の杖を以て凡ての国民を牧すべき男の
子を産んだ。するとその子は(竜が手出しをする前に、)神の御許に、その御座の許に挙
げられた。"
"661206","
黙示録 12:6","またその女は(竜を)逃げて荒野に行った。──其処には千二百
六十日の間彼女を其処で養うために、神の備え給うた場所がある。"
"661207","
黙示録 12:7","すると天に戦闘が起こって、(天使の首なる)ミカエルとその使
い達が竜と戦った。そして竜もその使い達も(一所にこれに対して)戦ったけれども、"
"661208","
黙示録 12:8","勝つことが出来なかった。そして最早天には彼らの(いる)場所
が無くなった。"
"661209","
黙示録 12:9","かくて(この)大きな竜は(天から)落とされた──(昔エバを
惑わしたあの)旧い蛇、悪魔またサタンと呼ばれ、全世界を惑わす者は、地に(叩き)落
とされた。その使い達もまた彼と共に落とされた。"
"661210","
黙示録 12:10","すると大きな声が天で(こう)言うのを私は聞いた──今や我
らの神の救いと権能と王国と、そのキリストの権力とは来た。われらの兄弟達を訴うる者、
昼も夜も彼らを神の前に訴うる者が(地に)落とされたからである。"
"661211","
黙示録 12:11","(然り、今や)彼ら(兄弟達)は仔羊の血により、また彼らの
(立てた)証明の言によって、彼に勝ったのである。──彼らは死に至るまで(羊のため
に戦い、少しも)自分の生命を愛しなかった。"
"661212","
黙示録 12:12","この故に、喜べ、天とその中に住む者達!(しかし)禍なる哉、
地と海!悪魔が時の迫ったことを知り、大なる憤怒をもってお前達の所に下り(て行っ)
たからである。"
"661213","
黙示録 12:13","かくて竜は自分が地に落とされたのを見た時、男の子を産んだ
(かの)女を迫害した。"
"661214","
黙示録 12:14","すると女に大鷲の両の翼が与えられた。荒野にある(神の予め
備え給うた)彼女の場所に飛んで行って、其処で蛇の顔を避けて一年と二年とまた半年の
間養われるためであった。"
"661215","
黙示録 12:15","蛇はその口から(大)河のような水を女の後に吐き出して、彼
女を浚おうとしたけれども、"
"661216","
黙示録 12:16","地が女を助け、地がその口を開けて、竜の口から吐き出した河
(の水)を(悉く)飲み干した。"
"661217","
黙示録 12:17","そこで竜は女を怒り、彼女の裔の残っている者、すなわち神の
戒律を守り、イエスの証明を有っている者達と戦闘をするために出て行った。"
"661218","
黙示録 12:18","彼は海の砂の上に立った。"
"661301","
黙示録 13:1","また私は十の角と七つの頭とを有った(一匹の)獣が海から上っ
て来るのを見た。その角には十の冠が被されて居り、またその頭には(神を)涜す名が記
されてあった。"
"661302","
黙示録 13:2","私が見たその獣は豹に似ていた。またその足は熊の足のよう、そ
の口は獅子の口のようであった。そして(曩に天から落とされた)竜が、自分の(有って
いる)権能と、自分の王座と、大なる権力とをそれに与えた。"
"661303","
黙示録 13:3","またその一つの頭は(剣で)打たれて死んだようであったけれど
も、(不思議にも)その致命の傷が癒されたのを私は見た。すると全地の人々は獣の(癒
された)ことを(見て)驚き、"
"661304","
黙示録 13:4","竜を拝んだ。彼が獣にその権力を与えた(ためにこんな不思議が
行われたと思うた)からである。そして獣を(も)拝んで言うた、「誰がこの獣のように
偉いか。誰が彼と戦うことが出来るか。」"
"661305","
黙示録 13:5","するとその獣に、大言(壮語)し、(神に向かって)涜言をいう
口が与えられ、また四十二か月の間それを実行する権力が与えられた。"
"661306","
黙示録 13:6","そこで彼は口を開き、神に向かって涜言をいうた──その御名と、
(天にある)その天幕、(すなわち)天に住む人々とを涜した。"
"661307","
黙示録 13:7","また彼は聖徒達と戦争をしてこれに勝つことを許され、且つ凡て
の種族と民と国語と国とを支配する権が与えられた。"
"661308","
黙示録 13:8","かくて凡て地に住む者、宇宙開闢の時からその名を屠られた仔羊
の生命の書に記されていなかった者は、彼を拝むであろう。"
"661309","
黙示録 13:9","(聞く)耳あらば(私の言を)聴け──"
"661310","
黙示録 13:10","牢屋に行かねばならぬならば(素直に)牢屋に行け。剣で他人
を殺すならば、自分が剣で殺されねばならぬであろう。ここに聖徒の忍耐と信仰がある!"
"661311","
黙示録 13:11","また私はもう一つ(他)の獣が地から上って来るのを見た。そ
れには仔羊に似た二つの角があって、竜のように語った。"
"661312","
黙示録 13:12","そして第一の獣の(有つ)凡ての権力を彼(に代わってそ)の
前に行い、地とそこに住む者とをして、致命の傷を癒された(かの)第一の獣を拝ませる。
"
"661313","
黙示録 13:13","彼は(驚くべき)大きな徴をする──天から火を(呼び、)地に、
人々の(目の)前に降らせる(ようなことをすらする)。"
"661314","
黙示録 13:14","また(第一の)獣の前で行うことを許された(種々の)徴によ
って、地に住む者を惑わし、剣の傷を受けて(死んだようになり、再び)生き(返っ)た
(かの)獣(を崇めるために、そ)の像を作るように地に住む者に言う。"
"661315","
黙示録 13:15","且つ彼はその獣の(生命の)息を吹き入れて獣の像に口を利か
せ、また獣の像を拝まない者をば誰でも殺すことを許された。"
"661316","
黙示録 13:16","そして小さい者も大きい者も、金持ちも貧乏人も、自由人も奴
隷も、悉くその右手かあるいは額に印をつけさせ、"
"661317","
黙示録 13:17","【そして】その獣の印かあるいはその(獣の)名の数をつけて
いる者でなければ売買が出来ないようにする。"
"661318","
黙示録 13:18","ここに知恵が(蔵されて)ある。理知ある者は(この)獣の数
をかぞえよ。それは人間の数である。(人の名である。)そして(その人の名を数うれば、)
その数は六百六十六!"
"661401","
黙示録 14:1","また私は(一つの異象を)見た。すると視よ、仔羊がシオンの山
(の頂)に立ってい給うた。そして、額に仔羊の名とその父(なる神)の名とを書かれて
いる十四万四千人(の者)が彼と一緒にいた。(四十二か月の獣の時代は過ぎ、今や仔羊
の支配が始まったのである。)"
"661402","
黙示録 14:2","(たちまち)私は大水の轟きのような、また大雷の轟きのような
(大きな)声を天から聞いた。そして私が聞いたその声は(あたかも)竪琴を弾く竪琴弾
きの声のようであった。"
"661403","
黙示録 14:3","彼らは玉座の前と四つの活物と(二十四人の)長老の前とで新し
い歌をうたう。そして(仔羊の血を以て)地(上の人々の中)から買われた(神を信ずる)
十四万四千人(の者)の外、誰もこの歌を聞くことは出来なかった。"
"661404","
黙示録 14:4","彼らは(その身を)女に汚されなかった人達である。(皆)童貞
であるからである。彼らは(地上にあった時、)仔羊の行く所には何処にでも随いて行く
(のを常とした)人達である。彼らは人々の中から買われて、神と仔羊とのために初穂(の
献げ物)となった(人達である)。"
"661405","
黙示録 14:5","その口には虚偽がない。彼らは瑕なき者である。"
"661406","
黙示録 14:6","また私はもう一人(他)の天使が、地に住む者、(すなわち)あ
らゆる国民と種族と国語と民とに宣べ伝うべき永遠の福音を携えて中空を飛ぶのを見た。"
"661407","
黙示録 14:7","彼は大声に言うた、「神を畏れ、彼に栄光を帰せよ。(今や)その
審判の時が来たのである。天と地と海と水の源とを造り給うた者を拝め。」"
"661408","
黙示録 14:8","するともう一人(他の)、第二の天使が(これに)続いて言うた、
「倒れた、倒れた、大なるバビロンが!その淫行の憤怒の葡萄酒をあらゆる国民に飲ませ
た者!」"
"661409","
黙示録 14:9","するともう一人(他の)、第三の天使が彼らに続いて大声に言う
た、「もし獣とその像とを拝み、額かあるいは手に(その獣の名の)印を受くる者があれ
ば、"
"661410","
黙示録 14:10","その人もまた神の怒りの酒杯に注がれた雑なき神の憤怒の葡萄
酒を飲み、且つ聖なる天使の前と仔羊の前とにおいて、(永遠に)火と硫黄で苦しめられ
るであろう。"
"661411","
黙示録 14:11","彼らの苦痛の煙は永遠より永遠に立ち上がって、獣とその像と
を拝む者、また、誰でもその名の印を受くる者は(これに苦しめられ、彼らは)昼も夜も
休息を得ることが無い。」"
"661412","
黙示録 14:12","ここに聖徒達、(すなわち)神の戒律とイエス(へ)の信仰を守
る者の忍耐がある。"
"661413","
黙示録 14:13","また私は天から声が(こう)言うのを聞いた、「書け、『今から
後主にあって死ぬる死人は幸福である。』」御霊も言い給う、「然り、彼らはその労苦を休
息む(ことが出来る)であろう。その(為した)業が彼らに随いて行くのであるから!」
と。"
"661414","
黙示録 14:14","また私は(一つの異象を)見た。すると視よ、真白な雲があっ
て、雲の上に人の子のような者が坐し、頭には金の冠を戴き、手には利き鎌を持ち給うた。
"
"661415","
黙示録 14:15","するともう一人(他の、第四)の天使が(天の)聖所から出て
来て、雲の上に坐し給う者に大声で叫んだ、「汝の鎌を入れて刈り取れ。刈り取るべき時
が来た、他の穀物は(既に)熟したのだから。」"
"661416","
黙示録 14:16","そこで雲の上に坐し給う者がその鎌を地上に投げ給うた。する
と地(の穀物)は(たちまち)刈り取られた。"
"661417","
黙示録 14:17","またもう一人(他の、第五)の天使が天にある(神の)聖所か
ら出て来た。彼もまた(その手に)利き鎌を持っていた。"
"661418","
黙示録 14:18","すると火の支配権を有つもう一人(他の、第六)の天使が祭壇
から出て来て、利き鎌を持つ天使に大声で叫んで言うた、「汝の利き鎌を入れて、地の葡
萄樹の房を刈り集めよ。葡萄は(もうすっかり)熟し切ったのだから。」"
"661419","
黙示録 14:19","そこで天使はその鎌を地に投げ入れて地の葡萄樹を刈り集め、
(それを)神の憤怒の大きな酒槽に投げ込んだ。"
"661420","
黙示録 14:20","酒槽は町の外で踏まれた。そして血が酒槽から(流れ)出て、(深
さ)馬の轡に達し、(広さ)千六百町歩に及んだ。"
"661501","
黙示録 15:1","また私はもう一つ(他)の大きな、驚くべき徴を天に見た──最
後の災厄を持つ七人の天使。(最後というのは)この災厄によって神の(烈しい)憤怒は
成就される(からである)。"
"661502","
黙示録 15:2","また私は火の混じった(真赤な)玻璃の海のようなものを(天に)
見た。(また)獣とその像とその名の数字とに勝った者が玻璃の海の辺に立ち、神の竪琴
を持っている(のを見た)。"
"661503","
黙示録 15:3","彼らは神の僕モーセの歌と仔羊の歌をうたって言う──主なる神
よ、全能者よ、御業は大なるかな、驚くべきかな!諸々の国の王よ、なんじの道は義しき
かな、真実なるかな!"
"661504","
黙示録 15:4","主よ、誰が汝を畏れず、御名を崇めないであろう。(ただ)汝の
み聖にいまし給う。万国(の民)は来たって汝の前に跪くであろう。汝の(義しき)審判
が(既に)顕れたから!"
"661505","
黙示録 15:5","この後また私は見た。天にある証の天幕の聖所が開かれ、"
"661506","
黙示録 15:6","七つの災厄を持つ七人の天使が聖所(の中)から出て来た。(彼
らは)輝いた潔い麻の衣を纏い、胸には金の帯を締めていた。"
"661507","
黙示録 15:7","すると四つの活物の一つが、永遠より永遠に活き給う神の憤怒の
盛られた七つの金の鉢を(この)七人の天使に渡した。"
"661508","
黙示録 15:8","(たちまち)聖所は神の栄光とその権能からの煙で一杯になった。
そして七人の天使の七つの災厄が終わるまでは、誰も聖所に入ることが出来なかった。"
"661601","
黙示録 16:1","すると私は大きな声が聖所から(出て)七人の天使に(こう)言
うのを聞いた、「行って、神の憤怒の(盛られた)七つの鉢を地に注げ!」"
"661602","
黙示録 16:2","第一の天使が行ってその鉢を地に注いだ。すると悪い痛い腫物が、
獣の印を有つ者とその像を拝む人々(の身)に生きた。"
"661603","
黙示録 16:3","第二の天使がその鉢を海に注いだ。するとそれが死人(の体)か
ら出たような血になり、海にいる生物は悉く死んでしまった。"
"661604","
黙示録 16:4","第三の天使がその鉢を河と水の源に注いだ。するとそれが血にな
った。"
"661605","
黙示録 16:5","そして私は水の天使が(こう)言うのを聞いた、「(今)在り給う
者、(昔)在り給いし者、聖なる者よ、かく審き給うた汝は義しい。"
"661606","
黙示録 16:6","彼らは聖徒、預言者(を迫害してそ)の血を流し、(その報復と
して今)汝は彼らに血を飲ましめ給うたのであるから。(主よ、)それは当然である!」"
"661607","
黙示録 16:7","すると私は祭壇が(これに応えて)言うのを聞いた、「然り、主
なる神よ、全能者よ、汝の審判は真実にして義しい!」"
"661608","
黙示録 16:8","第四の天使がその鉢を太陽の上に注いだ。そしてそれは火で人を
焼くことを許された。"
"661609","
黙示録 16:9","そこで人々は(その)烈しい熱で焼かれた。しかし彼らは(却つ
て)これらの災厄を支配する権を有ち給う神の名を涜した。そして悔い改めて彼に栄光を
帰することをしなかった。"
"661610","
黙示録 16:10","第五の天使がその鉢を獣の王座の上に注いだ。するとその王国
は真暗になり、人々は疼痛のために舌を噛んだ。"
"661611","
黙示録 16:11","そしてその疼痛と腫物のために天の神を涜し、自分の(悪い)
業を悔い改めなかった。"
"661612","
黙示録 16:12","第六の天使がその鉢を大ユーフラテス河の上に注いだ。すると
その水が(皆)涸れてしまった。それは太陽の出る方から来る王達に道を備えるためであ
った。"
"661613","
黙示録 16:13","また私は(サタンである)竜の口からと、(反キリストである)
獣の口からと、(その手先である)偽預言者の口から、蛙のような(格好をした)三つの
穢れた霊が出て来るのを見た。"
"661614","
黙示録 16:14","これら(の蛙)は(不思議な)徴を行う悪鬼の霊である。彼ら
は全能者なる神の大なる日の戦闘のために、全世界の王達を集めようとして出て行く。─
"
"661615","
黙示録 16:15","(主言い給う、)視よ、我は盗人のように来る。幸福なる哉、(絶
えず)目を覚まして自分の着物を守っている者!彼は(その時)裸で歩かず、またその恥
所を見られない(で済む)からである。──"
"661616","
黙示録 16:16","彼ら(三つの霊)はヘブライ語でハルマゲドンと呼ばるる処に
王達を集めた。"
"661617","
黙示録 16:17","(最後に)第七の天使がその鉢を空中に注いだ。すると大きな
声が(天の)聖所から、(神の)玉座から出て言うた──「(事は)成った」と。"
"661618","
黙示録 16:18","すると(たちまち)電光と轟きと雷とがあり、また大地震が起
こった。人間が地上に出来て以来かつて無い程のもの──そんな大きな地震であった。"
"661619","
黙示録 16:19","大なる都は三つに分かたれ、諸国の町々も倒れた。大なるバビ
ロンは(遂にその不義を)神の前に思い出され、神の怒りの憤怒酒(を飲むべく、そ)の
酒杯が与えられた。"
"661620","
黙示録 16:20","(地震のために)島は悉く逃げ去り、山は見えなくなった。"
"661621","
黙示録 16:21","また百斤ほどの大きな雹が天から人の上に降って来る。その雹
の災厄が非常に大きいので、人々はその災厄の故に(また)神を涜した。"
"661701","
黙示録 17:1","すると(神の憤怒の盛られた)七つの鉢を持つ七人の天使の一人
が来て、私に語って言うた、「さあ(此処に来い)、多くの水の上に坐っている大淫婦の審
判(の異象)を(今から)お前に示そう。"
"661702","
黙示録 17:2","地の王達は(皆)彼女と淫行をなし、地に住む者は彼女の淫行の
葡萄酒に酔っぱらった。」"
"661703","
黙示録 17:3","そして彼は私を霊にて荒野に連れて行った。私は(其処で一人の)
女が、(神を)涜す名にて(全身を)蔽われた、七つの頭と十の角のある緋色の獣に乗っ
ているのを見た。"
"661704","
黙示録 17:4","その女は紫と緋の衣を着、金と宝石と真珠とにて(身を)飾り、
手に嫌悪むべきものと彼女の淫行の穢れとの一杯入った金の酒杯を持っていた。"
"661705","
黙示録 17:5","そしてその額には(こういう)一つの名、すなわち奥義が書きつ
けてあった、「大バビロン、淫婦らと地の嫌悪むべきものとの母!」"
"661706","
黙示録 17:6","また私はその女が聖徒の(流した)血とイエスの証人達の血とに
酔っぱらっているのを見た。彼女を見た時私は大なる驚きに打たれた。"
"661707","
黙示録 17:7","すると天使が私に言うた、「何故驚くのか。私がこの女と、それ
を背負っている七つの頭と十の角のある獣との奥義をお前に話してやろう。──"
"661708","
黙示録 17:8","お前が見た獣は以前にはいたが今はいない。しかし(直にまた)
奈落(の底)から上って来るであろう。そして(時期が来ると再び永遠の)滅亡に(落ち)
行くのである。そして地に住む者で、宇宙開闢の時からその名を生命の書に記されていな
い者は、その獣が以前にはいたが今はいず、再び来るのを見て驚くであろう。"
"661709","
黙示録 17:9","「知恵ある理知がここに要る!七つの頭(というの)はこの女の
坐っている七つの山(のこと)であり、(同時に)また七人の王(のこと)である。"
"661710","
黙示録 17:10","(その中)五人は(既に)倒れ、一人は今(現に)いる。他の
(もう)一人はまだ来ていない。来れば(ただ)少しの間(だけ王位に)留まるはずであ
る。"
"661711","
黙示録 17:11","また以前にいて今いない獣、それが第八(番目)であり、しか
も(前の)七つ(の頭)から(出たの)である。そして(遂に)滅亡に(落ち)行く。"
"661712","
黙示録 17:12","またお前が見た十の角(というの)は十人の王(のこと)であ
る。彼らはまだ王権を受けていないけれども、獣と共に一時王のような権力を受くる(で
あろう)。"
"661713","
黙示録 17:13","彼らは一つの思いをもって(獣を助け、)自分達の能力と権力と
を獣に与える。"
"661714","
黙示録 17:14","彼らは仔羊と戦い、仔羊が彼らに勝ち給うであろう。(彼こそ)
主の主、王の王にいまし給うからである。また召されて彼と共にある者、選ばれた者、忠
実な者が共に戦い、共に勝つであろう。」"
"661715","
黙示録 17:15","すると天使が私に言う、「お前が見た(あの)淫婦の坐っている
(多くの)水(というの)は、(諸々の)民と群衆と、国と国語である。"
"661716","
黙示録 17:16","またお前が見た十の角と、(淫婦を背負っている)獣──彼らが
(今度は)淫婦を憎み、彼女を荒れ果てさせ、裸にするであろう。またその肉を喰い、彼
女を火で焼くであろう。"
"661717","
黙示録 17:17","というのは、神が彼らの心を動かしてその御意を行わせ、彼ら
の思いを一つにして、神の御言が成就するまでは彼らの王権を獣に与えさせ給うたからで
ある。"
"661718","
黙示録 17:18","そしてお前が見たあの女こそ、地の王達の上に王権を有つ大な
る都(バビロン)である。」"
"661801","
黙示録 18:1","この(異象の)後私はもう一人(他)の、大なる力を有つ天使が
天から下りて来るのを見た。地はその栄光によって輝いた。"
"661802","
黙示録 18:2","彼は強い声で叫んで言うた、「倒れた、倒れた、大バビロンが! 
そして悪鬼の住家、あらゆる穢れた霊の逃げ場、またあらゆる穢れた憎むべき鳥の逃げ場
となった。"
"661803","
黙示録 18:3","何故なら、万国の民は彼女の淫行の憤怒の葡萄酒を飲み、地の王
達は(皆)彼女と淫行をなし、地の商人達は彼女の豪勢な奢侈によって富んだからである。
"
                          
"661804","
黙示録 18:4","また私はもう一つ(他)の声が天から(こう)言うのを聞いた、
「私の民よ、彼女(の所)から出て来い。その罪に干与らず、またその災厄の巻き添えを
喰わないために!"
"661805","
黙示録 18:5","彼女の罪は天に達し、(今や)神はその悪事を思い出し給うたの
である。"
"661806","
黙示録 18:6","彼女が(自分で他人に)為たように彼女にもせよ。その行為に応
じて(報復を)二倍にせよ。彼女が(他人に)注いだ酒杯に、倍にして彼女に注げ。""661807","
黙示録 18:7","彼女が自分を誇り且つ奢っていただけの苦痛と悲歎とを彼女に与えよ。彼
女は心の中で『私は女王として(王座に)坐っている。私は寡婦ではない。決して悲嘆に
遭わないであろう』と言うからである。"
"661808","
黙示録 18:8","だから(わずか)一日の中に(様々な)彼女の災厄、死と悲嘆と
飢饉とが来、また火で焼かれるであろう。彼女を審き給うた主なる神は強くいまし給うか
らでる。"
"661809","
黙示録 18:9","そして彼女と淫行をなし、(共に)奢っていた地の王達は、彼女
の焼かれる煙を見た時、彼女のために泣いて胸を打ち、"       
"661810","
黙示録 18:10","(且つ)彼女の呵責の恐ろしさのため遠くに立って言うであろ
う、『禍なる哉、禍なる哉、大なる都、堅固なる都バビロン! 一時の間にお前の刑罰は
来たではないか!』"
"661811","
黙示録 18:11","また地の商人達は彼女のために泣き悲しむ。最早誰もその商品
を買う者がないからである──"
"661812","
黙示録 18:12","すなわち金、銀、宝石、真珠(の商品も)、細布、紫色、絹、緋
色の商品(も)、あらゆる(種類の)香木、あらゆる象牙の器(も)、究めて高価な木、青
銅、鉄、大理石の器(も)、"
"661813","
黙示録 18:13","肉桂、香料、香、香油、乳香、葡萄酒、油、麦粉、穀物(も)、
家畜、羊、馬、馬車、奴隷、人の霊魂(も)、凡て最早買うことが出来ない。"
"661814","
黙示録 18:14","またお前の霊魂の欲しがる果物はお前から(逃げ)去った。あ
らゆる(お前の)華やかなもの、きらびやかなものもお前から消え失せた。それは最早決
して(再び)見られないであろう。"
"661815","
黙示録 18:15","これらの(物を商う)商人、(すなわち)彼女によって富んだ者
達は、彼女の呵責の恐ろしさのため遠くに立ち、泣き悲しみつつ"
"661816","
黙示録 18:16","言うであろう、『禍なる哉、禍なる哉、大なる都、細布と紫と緋
の衣を着、金と宝石と真珠とにて(身を)飾っている者、"
"661817","
黙示録 18:17","こんな(大きな)富が一時の間に荒れ果て(てしまっ)たでは
ないか!』また凡ての船長、沿海を航海する凡ての人達、水夫達、海で働く人達も(悉く)
遠くに立ち、"
"661818","
黙示録 18:18","彼女の焼かれる煙を見て叫んで言うた、『(世界の)どの都が(か
つて)この大なる都のようであったか!(しかしそれがあのように焼かれた!)』"
"661819","
黙示録 18:19","そして頭に塵を被り、泣き悲しみつつ叫んで言うた、『禍なる哉、
禍なる哉、大なる都、海に船を有つ者は皆其処で彼女の(夥しい)珍宝によって富んだの
に、(今)その都が一時の間に荒れ果て(てしまっ)たではないか!』」"
"661820","
黙示録 18:20","天よ(喜べ、)聖徒、使徒、預言者達よ、彼女について喜べ、お
前達の(流した血の)ために神が彼女に罰を加え給うたのだ!"
"661821","
黙示録 18:21","すると一人の強い天使が大きな碾臼のような石を持ち上げ、海
に投げ込んで言うた、「大なる都バビロンは(丁度)このように烈しい力で投げ倒され、
最早決して(再び)見られないであろう。"
"661822","
黙示録 18:22","また竪琴を弾く者、歌うたう者、笛を吹く者、ラッパを吹く者
達の声は最早決してお前の中にて聞かれず、凡ての細工をする凡ての細工人も最早決して
お前の中にて見られず、また碾臼の音も最早決してお前の中にて聞かれないであろう。"
"661823","
黙示録 18:23","また燈火の光は最早決してお前の中にて(照り)輝かず、新郎
新婦の(喜ばしい)声も最早決してお前の中にて聞かれないであろう。何故なら、お前の
商人は地の権力者となり(て奢り楽しみ)、万国の民はお前の(淫行の)呪術によって誑
かされ、" 
"661824","
黙示録 18:24","また預言者、聖徒達の血と、地上で屠られた凡ての(殉教)者
の血が彼女の中にて見られたからである。」"
"661901","
黙示録 19:1","この後私は多くの群衆の大声のようなものを天に聞いた、曰く、
ハレルヤ! 救いと栄光と権能とは我らの神のものである。"
"661902","
黙示録 19:2","その審判は真実にして義しく、彼は淫行によって地(の人々)を
滅ぼした大淫婦を審き、彼の(忠実な)僕達の(流した)血を彼女の手に復讐し給うたか
らである。"
"661903","
黙示録 19:3","再び彼らは(繰り返して)言うた、「ハレルヤ! 彼女の(焼か
るる)煙は永遠より永遠に立ち上る(であろう)。」"
"661904","
黙示録 19:4","すると二十四人の長老と四つの活物とが平伏し、玉座に坐し給う
神を拝んで言うた、「アーメン、ハレルヤ!」"
"661905","
黙示録 19:5","すると玉座から(一つの)声が出て言うた──(汝ら)凡て神の
僕達、神を懼るる者達、小なる者も大なる者も(皆)我らの神を讃美せよ!"
"661906","
黙示録 19:6","また私は多くの群衆の声のような、また大水の轟きのような、ま
た烈しい雷の轟きのようなものを聞いた、曰く、ハレルヤ(今や)主なる我らの神、全能
者が王となり給うた(から)!"
"661907","
黙示録 19:7","(さあ、)喜ぼうではないか、小躍りしようではないか。彼に栄
光を帰し奉ろうではないか。仔羊の婚姻の時が来、その(新)妻は(既に)身支度をした
のだから!"
"661908","
黙示録 19:8","そして彼女は輝いた細布の衣を与えられて(これを)纏うた。─
─細布は聖徒達の義しい行為である。"
"661909","
黙示録 19:9","するとかの天使が私に言う、「書け『幸福なる哉、仔羊の婚宴に
招かれた者!』と。」また私に言う、「これらの(異象における凡ての)言は神の真実の言
である。」"
"661910","
黙示録 19:10","私はその足下に平伏して彼を拝もうとした。すると彼は(それ
を遮って)私に言う、「(いけない)するな! 私はお前やイエスの証明を立てているお前
の兄弟達と同輩である。(私を拝んではならぬ。)神を拝め。──イエスの証明とは預言の
霊で(あり、お前も私も共にこれを有っているので)ある(から)!」"
"661911","
黙示録 19:11","また私は天が開いているのを見た。すると視よ、白い馬が顕れ
て、それに乗り給う者は「忠実且つ真実なる者」と呼ばれ、義をもって審きまた戦い給う。
"
"661912","
黙示録 19:12","その目は焔(のようであり)、頭には多くの冠があり、自分でな
ければ、誰も(その意味を)知らない名が(それに)書いてある。"
"661913","
黙示録 19:13","彼は血で染められた(真赤な)衣を纏い、その名は「神の言」
と呼ばれる。"
"661914","
黙示録 19:14","そして天の軍勢が真白な潔い細布の衣を着、白い馬に乗って彼
に従っていた。"
"661915","
黙示録 19:15","彼の口からは、諸国の民を撃つために鋭い剣が突き出ている。
彼自ら鉄の杖を以て彼らを牧し給うであろう。且つ彼自ら全能者なる神の怒りの憤怒酒の
酒槽を踏み給う。"
"661916","
黙示録 19:16","そして彼の衣と股とには「王の王、主の主」と書いた名がある。
"
"661917","
黙示録 19:17","また私は一人の天使が太陽の中に立っているのを見た。彼は中
空を飛んでいる凡ての鳥に大声で叫んで言うた、「さあ、神の大宴会に集まって来い。"
"661918","
黙示録 19:18","そして(死んだ)王達の肉、将軍の肉、権力者の肉、馬とそれ
に乗る者との肉、また凡ての自由人と奴隷と、小なる者と大なる者との肉を(悉く)食え。」
"
"661919","
黙示録 19:19","また私は獣と地の王達とその軍勢とが、(かの白い)馬に乗り給
う者とその軍勢とに対し戦争をするために集まって来るのを見た。"
"661920","
黙示録 19:20","すると(たちまち)その獣は捕えられ(た。また)彼の前で(不
思議な)徴を行って、獣の印を帯ぶる者、その像を拝む者達を惑わした偽預言者も(また)
彼と共に捕らえられ、二人とも活きながら硫黄の燃えている火の池に放り込まれ(てしま
っ)た。"
"661921","
黙示録 19:21","そして残る者は(かの白い)馬に乗り給う者の口から出ている
剣にて殺された。そして凡ての鳥は彼らの肉によって満腹した。"
"662001","
黙示録 20:1","また私は、(一人の)天使が奈落の鍵と大きな鎖とを手に持って
天から下りて来るのを見た。"
"662002","
黙示録 20:2","彼は竜、すなわち悪魔またサタンである(かの)古い蛇を掴まえ
て、千年の間それを縛り、"
"662003","
黙示録 20:3","奈落(の底)に放り込み、錠をかけてその上に(固く)封印した。
千年が終わるまで(このサタンが)なお諸国の民を惑わすことのないためである。(しか
し)その後彼は(また)暫くの間釈放されねばならぬ。" 
"662004","
黙示録 20:4","また私は数々の座を見た。人々がそれに坐り、その人達に審判の
権が与えられた。またイエスの証明のためと神の言のために馘られた(殉教)者の霊を私
は見た。彼らは獣をもその像をも拝まず、またその額と手とに印を受けなかった(者であ
る。)彼らは生き返って、キリストと共に千年の間王となった。"
"662005","
黙示録 20:5","しかし残りの死人達は千年が終わるまで生き返らなかった。これ
が第一の復活である。"
"662006","
黙示録 20:6","幸福なる哉、聖なる哉、第一の復活に与(り得)る者! この人
達に対しては第二の死も権威が無く、彼らは神とキリストとの祭司となって、千年の間彼
と共に王となるであろう。"
"662007","
黙示録 20:7","千年(の期間)が終わった時、サタンはその牢から釈放され、"
"662008","
黙示録 20:8","出でて地の四隅にいる諸国の民──ゴグとマゴグとを惑わし、
(メシヤとの)戦争のため彼らを集めるであろう。その数は海の砂のよう(に沢山であっ
た)。"
"662009","
黙示録 20:9","彼らは地の面に上って、聖徒の陣営と(神に)愛された都(エル
サレム)とを取り囲んだ。すると天から火が降って彼らを焼き尽くした。"
"662010","
黙示録 20:10","そして彼らを惑わす悪魔は火と硫黄との池に放り込まれた。其
処には獣も偽預言者も(放り込まれて)いた。彼らは昼となく夜となく永遠より永遠に苦
しめらるるであろう。"
"662011","
黙示録 20:11","また私は大きな白い玉座とそれに坐し給う者とを見た。地と天
とはその御顔(の前)から逃げ、跡形も無くなっ(てしまっ)た。"
"662012","
黙示録 20:12","また私は死人が大なる者も小なる者も(悉く)玉座の前に立っ
ているのを見た。すると(人の業を記した)数多の書が開かれた。また(もう一冊)他の
書が開かれた。それは生命の書である。死人達は前の(数多の)書に書いてあることによ
り、(すなわち)彼らの業に応じて審判された。"
"662013","
黙示録 20:13","海はその中にあった死人を出し、死も陰府もその中にあった死
人を出し、各々その業に応じて審判された。"
"662014","
黙示録 20:14","そして死と陰府とは火の池に放り込まれた。これが第二の死、
(最後の)火の池の死である。"
"662015","
黙示録 20:15","生命の書に(その名を)書かれていない者は(悉くこの)火の
池に放り込まれた。"
"662101","
黙示録 21:1","また私は新しい天と新しい地とを見た。初めの天と初めの地とは
消え去ったのである。最早海も無い。"
"662102","
黙示録 21:2","また聖なる都新しいエルサレムが、夫のために飾った新婦のよう
に身支度をして、天から、神(の御許)から降って来るのを私は見た。"
"662103","
黙示録 21:3","そして私は玉座から大きな声が(出てこう)言うのを聞いた、「視
よ、人と共に神の幕屋がある! 神が彼らと共に住み、彼らは神の民となり、神自ら彼ら
と共にいまして、"
"662104","
黙示録 21:4","彼らの目から悉く涙を拭い取り給うであろう。最早死もなく、悲
嘆も叫喚も疼痛も最早無いであろう。初めの(天と地にあった)ものが(すっかり)消え
去ったからである。」"
"662105","
黙示録 21:5","すると玉座に坐し給う者が言い給うた、「視よ、われ凡てを新し
くする」と。また言い給う、「書け、この言は信ずべくまた真実であるから。」"
"662106","
黙示録 21:6","そして私に言い給うた、「(事は)成った。我はアルパまたオメガ、
初また終である。渇く者には無代で生命の水の泉から我は飲ませるであろう。"
"662107","
黙示録 21:7","勝利者はこの幸福を相続し、我は彼の神となり、彼はわが子とな
るであろう。"
"662108","
黙示録 21:8","しかし臆病者、不信の者、嫌悪むべき者、(また)殺人者、淫行
の者、魔術を行う者、(また)偶像礼拝者、凡ての虚偽者──彼らの運命は、火と硫黄の
燃えている池に投げ込まれることである。これは第二の死、(すなわち最後の死)である。」
"
"662109","
黙示録 21:9","すると最後の七つの災厄が盛られた七つの鉢を持つ七人の天使の
一人が来て、私に語って言うた、「さあ(此処に来い。)仔羊の妻たる新婦をお前に示そう。」
"
"662110","
黙示録 21:10","そして霊にて私を大きな高い山の上に連れて行き、聖なる都エ
ルサレムが神の栄光をもって天から、神(の御許)から降って来るのを私に示した。"
"662111","
黙示録 21:11","その光輝は究めて高価な宝石に似て居り、水晶の如く透明な碧
玉のようである。"
"662112","
黙示録 21:12","(其処には)大きな高い城壁があり、十二の門があって、門に
は十二人の天使が居り、イスラエルの子らの十二族の名が書きつけてある。"
"662113","
黙示録 21:13","(すなわち)東に三つの門、北に三つの門、南に三つの門、西
に三つの門(がある)。"
"662114","
黙示録 21:14","また都の城壁には十二の土台石があり、その上に仔羊の十二人
の使徒の十二の名が(書いて)ある。"
"662115","
黙示録 21:15","私に語る者は都とその門と城壁とを測るために金の間棹の尺度
を持っていた。"
"662116","
黙示録 21:16","都は真四角で、その長さは幅と同じである。彼は間棹で都を一
万二千町と測った。長さと幅と高さとは(皆)同じでる。"
"662117","
黙示録 21:17","またその城壁を人間の尺度、すなわち、(この)天使の尺度で百
四十四キュビットと測った。"
"662118","
黙示録 21:18","城壁の建築は碧玉、都は潔い玻璃に似た純金である。"
"662119","
黙示録 21:19","都の城壁の土台石はあらゆる宝石で飾られている──第一の土
台石は碧玉、第二は青玉、第三は玉髄、第四は緑玉、"
"662120","
黙示録 21:20","第五は赤縞瑪瑙、第六は赤瑪瑙、第七は貴橄欖石、第八は緑柱
石、第九は黄玉石、第十は緑玉髄、第十一は風信子石、第十二は紫水晶。"
"662121","
黙示録 21:21","また十二の門は十二の真珠で、門の一つ一つはそれぞれ一つの
真珠であった。また都の大通りは透き徹る玻璃のような純金であった。"
"662122","
黙示録 21:22","都の中には宮を見なかった。全能者たる主なる神と仔羊とがそ
の宮であるからである。"
"662123","
黙示録 21:23","また都はそれを照らすのに太陽をも月をも必要としない。神の
栄光がそれを照らし、仔羊がその燈火であるからである。"
"662124","
黙示録 21:24","諸国の民はその光の中を歩むであろう。また地の王達は彼らの
(有つ凡ての)光栄をここに持って来る。"
"662125","
黙示録 21:25","その門は一日中決して閉ざされないであろう、其処には夜が無
いのである。"
"662126","
黙示録 21:26","諸国の民はその光栄と栄誉とをここに持って来るであろう。"
"662127","
黙示録 21:27","しかし凡ての穢れたもの、嫌悪むべきことと虚偽とをする者は、
決してここに入れない。ただ仔羊の生命の書に(その名を)書かれている者だけがここに
入るであろう。"
"662201","
黙示録 22:1","天使はまた神と仔羊の玉座から(流れ)出ている水晶のように輝
いた生命の水の河を私に示した。"
"662202","
黙示録 22:2","都の大通りの真中と河の此方彼方に生命の樹があって、(一年
に)十二度実を結ぶ、すなわち月毎に実が生るのである。そしてその樹の葉は諸国の民(の
凡ての病と傷と)を医す。"              
"662203","
黙示録 22:3","最早凡ての呪詛が無いであろう。そして神と仔羊の玉座が都の中
にあって、その僕達は(其処で)彼に仕え、"
"662204","
黙示録 22:4","(おおけなくも目のあたり)御顔を拝し、その御名が彼らの額に
(書いて)あるであろう。"
"662205","
黙示録 22:5","また(昼夜の別が消え失せ)最早夜が無いであろう。(其処では)
燈火の光も太陽の光も必要がない。主なる神が彼らを照らし給うから。そして彼らは永遠
より永遠に王となるであろう。"
"662206","
黙示録 22:6","彼が私に言うた、「(凡て)これらの言は信ずべくまた真実である。
預言者達の霊の主なる神がその使いを遣わして、(必ず)直に起こるべき(これらの)こ
とをその僕達に示し給うたのである。」"
"662207","
黙示録 22:7","(イエスが言い給うた、)「そして視よ、私は直に来る。幸福なる
哉、この書の預言の言を守る者!」"
"662208","
黙示録 22:8","これらのことを聞きまた見たのはわたしヨハネである。そして(こ
れを)聞きまた見た時、私はこれらのことを示してくれた天使を拝もうと、その足下に平
伏した。"
"662209","
黙示録 22:9","すると彼は(遮って)私に言う、「(いけない、)するな! 私は
お前や、お前の兄弟である預言者達や、この書の言を守っている人達の同輩である。(私
を拝むな。)神を拝め。」"
"662210","
黙示録 22:10","彼はまた私に言う、「この書の預言の言を封ずるな。(審判の)
時期が近いから。"
"662211","
黙示録 22:11","不義をする者はなおも不義をして居れ。穢れた者はなおも穢れ
て居れ。(しかし)義なる者はなおも行って居れ。聖い者はなおも聖くして居れ。」"
"662212","
黙示録 22:12","(イエスが言い給う、)「視よ、私は直に来る。行為に応じて各
人に与える私の報酬も私と共に来る!"
"662213","
黙示録 22:13","私はアルパまたオメガ、最初また最後、初また終である。"
"662214","
黙示録 22:14","幸福なる哉、生命の樹に行き(その実を食い)、また(聖なる)
都の門を入る権を得るために、その上衣を洗う者!"
"662215","
黙示録 22:15","(しかし都の)外には(この権を有たぬ穢れた)犬、魔術を行
う者、淫行の者、殺人者、偶像礼拝者、すべて虚偽を愛しまた行う者がいるであろう。"
"662216","
黙示録 22:16","私イエスが(諸)教会についてこれらのことをお前達に証明す
るために、私の使いを遣わしたのである。私はダビデの根また裔、輝く暁の明星である。」
"
"662217","
黙示録 22:17","すると御霊と新婦とが(答えて)言う、「来たり給え」と。聞く
者も(また)「来たり給え」と言え。渇く者は来い。望む者は無代で生命の水を受けよ。"
"662218","
黙示録 22:18","私(ヨハネ)が凡て聞く者にこの書の預言の言を証明する。も
し誰かがこれに(何かを)加えるならば、神はこの書に書いてある災厄を彼に加え給うで
あろう。"
"662219","
黙示録 22:19","またもし誰かがこの預言の書の言(から何か)を省くならば、
神はこの書に書いてある生命の樹と聖なる都から彼の(受くべき)分を省き給うであろう。
"
"662220","
黙示録 22:20","これらのことを証明する者が言い給う、「然り、私は直に来る。」
アーメン、主イエスよ、来たり給え!"
"662221","
黙示録 22:21","(願わくは、)主イエスの恩恵凡ての者と共にあらんことを!"

 
 

 
 

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