Registaxの開発者やマニュアルからの情報

T.M.@YOKOHAMAさんが、Registaxの開発者のCor Berrevoets氏やAylin氏にコンタクトして得られたRegistax Ver.4の操作に関しての情報を
まとめてみました。説明画像や記載内容は、T.M.@YOKOHAMAさんと月惑星研究会関西支部の中井さんの協力も頂いております。

なお、月惑星研究会関西支部のベテラン観測者の方が作成された優れた解説“LRGB法と高解像惑星画像処理”もあります。
但し、以下の私の説明とは異なる部分もあるので、利用される方が良いと思われる方法を使って下さい。

Registax Ver.4に関しては、英文の使用マニュアルが公開されていますので、それを参考にされれば、さらに詳しい事が判ると思います。
以下の内容は、マニュアルに記載された使用方法の説明では無く、開発者からの情報や私が使って得た内容を示すものです。
また、基本的な操作は省略している部分もあるので、以前作成したRegistax Ver.3の操作説明も参考にして下さい。


1.アライメントでのグラディエント手法の選択
アライメントでのグラディエント手法の選択

FFTフィルタのマニュアル指定

@グラディエント手法の選択してアライメントを行うと、
 輪郭がより明確な画像が選ばれる好結果が得られ易い
 そうです。

AAVIファイルが暗く、模様が見えない時は、Preview gammaに
 チェックを入れて、設定値を上げると画像が明るくなるので
 便利です。(スタックは元画像を使うので影響はありません)

BShow Frame Listにチェックを入れるとフレームリストが表示
 されるので、撮影したフレームを順番に確認し、見た目が
 良さそうなフレーム(模様が良く見え 周辺がシャープな
 フレーム)を探し、そのフレームを選択してからアライメント
 エリアを指定します。

Cアライメントエリアを決めると、下の画像の様なFFT Spectrum
 が表示されます。FFT Spectrumが、小さ過ぎる(FFT Filterの
 値が大きい)場合は、選択したフレームが不適切な可能性が
 あるので、別の フレームを選択するか、あるいは、FFT
 Filterの値を小さくして見て下さい。

DAutomatic processingにチェックを入れずにアライメントを
 実行させます。
2.アライメントエリアサイズの自由設定
アライメントエリアサイズの自由設定

@アライメントのエリアの設定で、Userdefined Alignment Boxを
 選択すると、サイズと縦横比率を自由に決める事が出来ます。

 対象のサイズが128,256,512の固定に合わない中間的な場合
 には便利です。
3.アライメント結果の確認
アライメント結果の確認

@アライメントが終了すると、アライメント情報が表示され
 ます。
 そこで、再度フレームリストを表示させます。
 Show Frame Listにチェックが入っているのに、リストが表示
 されていない場合は、チェックを入れ直せば、表示されます。

 アライメント情報のグラフ中の赤線は、各フレームの画質を
 示し、緑の線はアライメントの誤差を示しています。

 緑の線は上下に振幅がありますが、全体的に水平か、
 右上がりであれば、最初に選択したフレームが適正なレベル
 だったので、以下は省略して、次の3.の低クォリティ
 フレームの除去に進んで下さい。

Aもし、緑の線が全体的に右下がりだったり、一度下がってまた
 上がる様なカーブを描いている場合は、Qualityが高め
 (左側)でDifferennceが低いフレームBを下の最下段の
 スライドバーかフレームリストを使って探します。

Cその時、ウィンドの最下端に表示されるFrameのフレーム番号
 を記憶し、再度、処理するファイルを読み込み、記憶した
 フレーム番号のフレームを選択して最初からやり直します。
4.低クォリティフレームの除去
低クォリティフレームの除去

@アライメントが終了するとアライメント情報が表示されます。
 今度は、最下段のスライドバーを右端から徐々に左側に
 スライドさせながら、極端に状態の悪いフレームが少なく
 なる位置を探します。

Aその位置で、左上のLimitボタンを押せば、指定したフレーム
 以降は、これからの処理から除外されます。

BAutomatic processingにチェックを入れずに再度アライメント
 を実行させます。
5.スタック後の低クォリティフレームの除去
スタック後の低クォリティフレームの除去

@スタック終了後Show Stackgraphにチェックを入れtackgraphを
 表示させ、Quality Cuttoffのスライドバーを調整しQualityの
 低いフレームをカットします。

ADifferennce Cuttoffのスライドバーを調整し、誤差が大きい
 フレーム(緑の線が上に伸びているフレーム)をカット
 します。

B全体的にQualityが高い場合は、最終的にスタックされる
 フレーム数を見て決めても良いでしょう。
 私は、900〜1200フレーム程度にしています。

C元画像が暗い場合は、Stretch histogram after stackingに
 チェックを入れると、スタック後の画像のヒストグラムが
 アップしスタック画像が明るくなります。
 (1回指定すれば、その後は常にその状態になります)

DNormalize intensity over frames(フレーム間で強度を規格
 化)は、雲などの影響でフレームごとの明るさが違った時に、
 明るさを揃える機能です。
 マルチ・ポイント・アライメントの時は必須です。

E最後にStackボタンを押してスタック開始です。

Fマルチポイントアライメントで、境目が目立つ場合は、
 Use feather ofにチェックをいれ、feather値指定すると
 境目が軽減します。
 feather値はデフォルトの5で良さそうです。
6.リファレンスフレームの作成
リファレンスフレームの作成1/3

リファレンスフレームの作成2/3


リファレンスフレームの作成3/3

アライメントの誤差を示す緑の線が、右上がりにならない場合は
リファレンスフレームを作成する方法があります。

@アライメント終了後、オプティマイズのプロセスで、Create
 Reference frame の Createボタンを押します。

AReference frame用のスタックフレーム数(Frames to atack)
 は、デフォルトの50フレームから100フレーム程度で良さそう
 です。

BCreateボタンを押すと、短時間でオプティマイズとスタックが
 行われ、Waveletプロセスまで進みます。
 そこで、軽くWaveletをかけます。

CWaveletをかけたのち、Continueボタンを押します。

DContinueボタンを押すとオプティマイズプロセスに戻り、
 作成されたReference frameが表示され、その参照フレームが
 新たな基準になります。

Eそれから、オプティマイズのみかオプティマイズ&スタックの
 処理を開始です。
7.スタック結果のAVIファイル保存
スタック結果のAVIファイル保存

@スタック後、合成のプロセスで、AVI書き込みを行うと、
 アライメントされた状態でスタック順に並んだAVIファイルが
 新たに保存できます。
 そのAVIファイルを目視で確認すれば、さらに良い画像だけを
 選択するのが容易になります。

AAlignment areaを
選択するとアライメントで指定した四角の
 エリアだけが保存されるので指定エリアが狭い時は、
 選択しない方が良いでしょう。

C新たに保存するAVIファイル名は、必ず元のAVIファイルと違う
 別名して下さい。
8.ウェーブレット処理の準備−明るさの調整
明るさ調整

@スタック画像の輝度が高過ぎる場合は、コントラスト
 ボタンを押すことで表示されるコントラストと明るさで、
 明るさを暗めに調整します。

A私は、Contrastは動かさず、Brightnessを下げています。
9.ウェーブレット処理の準備−色ずれ補正
色ずれ補正

@大気のプリズム効果で、色ズレが発生している場合は、RGBAlign
 を選択し、AのRチャンネルとBチャンネルの調整ボタンで
 R画像とB画像の位置を調整します。
 
10.ウェーブレットフィルタ−ガウス分布
ガウス分布−リニア

@ウェーブレットフィルタとしてデフォルトではなく、ガウス
 分布を指定すると良い結果が得られるケースが多いそうです。

Aシーイングが良い時は、Linear指定の方が滑らかな画像が
 得られる様です。

Bガウス分布では、階層1の枠内の値を0.29とし、他は0.10と
 するのがポイントだそうです。

Cまた階層1&5&6のチェックを外すとのアドバイスでした。


DLinear指定の場合は、階層2はかなり大きな値に設定し、
 階層2>階層3>階層4にするのがポイントだそうです。
11.ウェーブレットフィルタ−ガウス分布−2の階乗
ガウス分布−2の階乗

@ガウス分布でシーイングが悪い時は

ALinearでなく、Dyadic(2の階乗)を指定するとウェーブレット
 フィルタの効果が高まります。

B、Cは、上のLinearの場合と同じです。

DDyadicで行う場合は、Linearより設定値は小さくします。
12.仕上げ処理と保存
仕上げ処理と保存

@ウェーブレット処理が終了したら、最終プロセスに移り画像を
 回転させ惑星の向きを調整します。
 私は、模様を比較し易い様に、惑星の南を上にしています。

A最終プロセスでも色合い、飽和度、明るさの調整が可能なので、
 必要に応じて調整します。

Bマウスで範囲を指定すれば、指定した範囲で画像がトリミング
 され、その部分のみが保存されます。

C保存ボタンを押して、目的に応じたフォーマットで保存
 します。なお、FIT形式で保存すると、回転は無視されます。

D上端にある保存ボタンを押すと、調軸、最適化、合成の自動
 処理過程が記録されます。
 その記録を使うと、同じ処理を短時間で再現できます。
 仕上げた画像を間違って削除した時などは、その記録があると
 再現が容易です。
13.その他
その他

@アライメントの一般オプションでは、次の指定も可能です。

AInterlacing optionのHorizontal(水平)を指定すると、縦縞が
 軽減するので、
処理画像に縦縞が目立つ場合に有効でしょう。

BIgnore misakigned framesを指定すると、ズレや画質の悪さで
 アライメント異常になるフレームを自動的にアライメント
 対象外にされます。
 
14.開発者への質問
皆さんもRegistaxの使用方法での疑問や不具合報告、あるいは改善提案などをお持ちであれば、以下の画像の説明を参考にして、開発者へメールで問い合わせることができます。英文メールに不案内な方は、以下の画像を参考にして下さい。
開発者のCor Berrevoets氏やAylin氏も、問い合わせがあると嬉しい様です。開発者から届いた解答内容が良く判らない場合は、“惑星専用掲示板”に書き込んで
頂ければ、皆で解読します。

開発者への質問

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from 2008.02.13