ちがや馬飾り


 1.ちがや馬

 2.ちがや[茅]

 3.弁天宮

 4.PDF File



ちがや馬

 練馬、板橋一帯に古くから伝わる七夕行事として、「ちがや」で馬を作って飾る風習があった。ちがやは荒川沿いの河原等に広く群生していたこともあり、入手はたやすかったと考えられる。また、ちがやには魔除けの力があるとされており、現在でも夏越しの祓えに「茅の輪くぐり」を行うところもあるが、当所では七夕行事としてちがや馬を作って、農作物の豊作や無病息災を星に祈願する風習があった。
弁天宮の七夕星祭り(八月七日)では、当時のちがや馬を再現し、神前に飾っています。ちがや馬の大きな特徴は、雌雄一対の馬を作って飾ったところであり、こうした例は他には少ないものである。尚、「ちがや馬飾り」は練馬区の無形民俗文化財(第七十号)として登録されている。
       
 藁馬を作る風習は各地にあるが、特に関東地方(千葉、茨城・埼玉の一部)では真菰(まこも)を使って馬を作るものがある。
 藁馬の風習例:
潮来の真菰馬(茨城)、真菰馬(千葉)、深大寺赤駒(東京)、信州藁馬−駒曳の馬−、桐原の藁馬(長野)

参考文献:
日本郷土玩具事典(岩崎美術社)



ちがや【茅】(茅萱、白茅) Imperata cylindrica var. koenigii

 チガヤの「チ」は千の意味で、草が群れを成して生える様子を表現したものと思われる。日本では本州、四国、九州等各地に見られる。日当たりの良い山野の他、海浜、河原や土手に群生する。イネ科の多年草で、高さ30〜80cmになる。
5から6月頃、葉に先立ち銀白色の毛でおおわれた円錐状の花穂を出す。これを茅花(ツバナ)といって、甘味があって若い花序を噛んで楽しんだりする。
花穂は詰め物に使用したり、火口用に利用したりした。根茎を乾燥したものを漢方で茅根(ぼうこん)といって、利尿、発汗、止血の効果があるとされる。
チガヤには呪力や魔除けの力があるといわれる。6月晦日、夏越しの祓えに神社の境内にチガヤで編んだ大きな輪をつくって、これをくぐることで祓えの儀とした「茅の輪くぐり」の風習は現在も広く行われている。摂津の住吉大社の夏越大祓や大和の大神神社の御祓(おんぱら)祭等、多くの神社で茅の輪をくぐる神事を行っている。

参考文献:
野草大図鑑(北隆館)、花と樹の大事典(柏書房)、日本野性植物館(小学館)、日本の祭りと大嘗祭(朱鷺書房)



弁天宮

宮司 新井 司

〒179 東京都練馬区北町 1-39-17

TEL&Fax: 03-3932-0167

[Home|Top]