文人倶楽部

浅草本案内


浅草について書かれた本、浅草を舞台にした小説は数限りなくあります。それらを全部いっぺんに紹介はできませんが、私が読んで面白かった本のなかから少しづつ紹介します(S)。

『小説 浅草案内』半村良 新潮文庫



この本を読んだために、私はいま浅草に住むようになったのだとおもいます。浅草の街や、人々、祭りや、お店。ここに書かれている事のすべてが、私の浅草体験の原点です。
「なんとかしないと生涯根なし草でおわってしまいそうだ。浅草よ、私をこのままつかまえておいてくれ。私はお前が好きなのだ」
この小説の結びの言葉が、そのまま、いまの自分にあてはまるような気がします。

『浅草木馬館日記』美濃瓢吾 筑摩書房



最近読んだ浅草本のなかでは、一番面白かった本です。いま、浅草に来るならこの本を読んでから、そこに書かれているとおり、銀座線の地下鉄地下街出入口から浅草に入りましょう、そこには、めくるめく浅草世界があります。素敵な地図もついています。
「さあ皆さん、人のことなど気にせずに浅草へいらっしゃい、騙されたと思って。そこには、鬼も福もごろごろいるよ」と、美濃さんは豆を撒いているのです。

『江戸から東京へ(二)浅草上(三)浅草下』矢田挿雲 中公文庫



浅草本の古典中の古典。これを読めば浅草の歴史がわかります。特に、明治、大正の頃の街並みの写真が数多く載っているので、それだけでも、一見の価値があります。
最後に浅草寺の「秘仏を公開せよ」と挿雲翁はしめくくっておられますが、私は、秘仏は金輪際、開帳しない方がよいと思います。

『東京路上細見4浅草、合羽橋、鳥越、浅草橋』
清水谷孝尚、小森隆吉 平凡社



浅草の歴史と街を、わかりやすく紹介している本です。この本も浅草についての、写真、図版、資料が豊富にあって楽しいですし、歴史的なことと、現在のことがバランスよく書かれているので、読み飽きません。


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