【ニューシリーズ・モールトン試乗会レポート】
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98年5月10日(日)皇居前広場にて,モールトン博士を交えてのニューシリーズの試乗会 と,走行会が行われました。
当日,私も参加すべく6時24分,新神戸発の新幹線に乗り込みました。走行会は11時から ですので,もう少し遅い列車でも良かったのですが,東京の地理に不案内なので早めに出発し ました。
10時少し前に東京駅に着きました。駅前で輪行袋を開きモールトンを組み立てます。前後の フレームをつなぎぺダルとシートを取り付けるだけですので,10分もかからずに作業は終了 し,皇居を目指し走り始めます。
あっけないほど早く皇居前に着きます。(こんなに近いとは思っていなかった。)時間的に早 すぎたのか,どこにもモールトンの姿は見えません。場所が本当にここで良かったのか不安に なったので、近くを通りがかったお巡りさんに「皇居前広場ってどこですか?」と訪ねると 「この辺だよ。」との答え。

しかたなく,しばらくウロウロとその辺を走り回ります。木陰になったベンチに,モールトン を立てかけて休んでいる人を発見。近寄ってみると,先月の余呉湖の走行会の時お会いした モールトンクラブ名古屋の方でした。
ベンチに座って話をしながら時間をつぶします。その内,サイクリングコースにちらほらと モールトンの姿が見え始めました。広い皇居前広場で集合場所が特定されていないため,みん な思い思いにコースをグルグル回っているようです。
その中に,前回のJMBCのミーティングでお会いした伊原さんを見かけたので,後を追いま す。挨拶をしながら暫く走ります。自然発生的にモールトンの集団が結成されつつあったので, コースの真ん中辺の歩道が自然と集合場所になったようです。
続々とモールトニア達が集まってきます。30人近くはいるでしょうか。歩道の両側に,色と りどりのモールトンが並べられます。が、時間は既に11時を大きく過ぎているのに,肝心の モールトン博士の姿がありません。「博士、遅いねー。」と言いながらも、あちこちで談笑し たり,人のモールトンを見て回ったりで退屈はしません。

11時50分頃,やっとモールトン博士のお出ましです。初めて見た実物の博士は,大柄で, お年からは考えられないほど矍鑠とした方でした。パッと見はこわそうな印象も受けるのです が,それも最初だけで,笑顔になられるととても優しい顔になります。
ニューシリーズ・モールトンも3台来ていました。早速試乗会が始まりましたが,大勢の人が たむろするには場所が悪いので,食堂前の広場に移動します。その頃には50人近くに膨れ上 がっていました。
食堂前の広場で,ニューシリーズが戻ってくるのを待って試乗させてもらいます。
ステンレスのマルーン・カラーのモデルに乗れました。 乗ってすぐ感じたのは,ソフトの一言。現行AMモデルのサスより,前後とも細かく動いてい るのが感じられます。ハードなブレーキング時にはアンチノーズ・ダイブ機能が働いて、車体 が安定しています。コーナーリングは,少々立ちが強いような気がしますが,それが車体の特性 なのか,幅の狭いハンドル・バーのせいなのか,はたまたいつも乗っているランドローバーが ハンドルが切れ込む癖が強いためにそう感じただけなのか・・・。とにかく、安定感を感じる 乗り心地でした。
ニュー・シリーズの実物を見る前から,さんざんフロント回りのデザインがゴツイという先入 観を植え付けられていたためか,実際に目の前にするとそれほど違和感は感じず,かえって全 体のスリムさの方が目立ちました。
タイヤサイズが大きくなっているのに,現行モデルよりフレームのトップ位置は下がっており, 前後の長さが強調されたように感じられ,それがスリムさに輪をかけていたように感じられま す。何故か新旧モデルを並べると,現行モデルの方に近代的な美しさを,ニュー・シリーズの 方にクラシカルな雰囲気を感じてしまいます。
この感じ方には,多分にハンドルのデザインの影響もあると思います。ニュー・シリーズに ドロップ・ハンドルを付けると,又感じ方も変わるかもしれません。
で、このモールトン博士デザインのハンドルを握った感想ですが,平坦な道をのんびりツーリ ングするにはなかなか良いハンドルではないかと思います。が、アップダウンの激しい道、向 かい風の強い日の走行,長距離を走り続けるツーリングには少々厳しいのではないか、と感じ ます。ウィシュボーン・ステムとの組み合わせでセッティングの幅は広いのですが、走りなが らのグリップポジションの変更幅が少ないのが欠点です。
…等々考えながら短い試乗を終えて、次の人にニュー・シリーズのサドルを譲ります。

モールトン博士の回りには人だかりができていました。
皆、各々のモールトンのフレームに博士のサインをもらっています。私も前日から是非博士に サインをもらおうと考えていました。何にしてもらおうかと考えていたのですが、フレームで はいずれ傷ついて消えてしまうのではないかという不安がありました。で,思いついたのが青 本(The Moulton Bicycle)の前書きの,モールトン博士の写真の載っているページです。
「ここにサインをもらおう」と思い,今日はここまで本とサインペンを持ってきていました。 順番を待ち,博士の前にでて本にサインをもらいます。サインをしながら博士は「新型にはもう 乗ったか?」と言う意味のことを盛んにおっしゃっていました。その問いに「イエス!」としか 答えられない自分の英語力のなさが悲しかった・・・「素晴らしい乗り心地でした。」と感想を 伝えたかったのですが。
でも,これで私の家宝が一つ増えました。
試乗会もひと段落つくと,全員で皇居一周のサイクリングに出かけます。最初はのんびりペース のサイクリングでしたが、先頭が赤信号で止まり皆が横一線で並び始めると・・・当然のごとく 青信号でシグナル・グランプリの開始です。(仕掛けたのはJMBC会長だったという噂も・・ ・。)私も必死でペダルを回しますが,いかんせんノーマル・ペダルにスニーカー履き。こんな 事ならSPDを付けて来るんだった。
今回はあまり距離も走らないだろうと考えていたので,あえてノーマル・ペダルに交換していた のでした。

自転車専用コースから一般道にでると,さすがにペースは落ち、一列になって走行します。休日 なので車は少ないらしいのですが,舗道上はジョギングをする人が多く少々迷惑をかけたかもし れません。
皇居を一周し元の場所に戻ってくると,又、各々ニューシリーズを乗り回したり、集まって モールトン談義に花を咲かせたり,博士と写真を撮ったりと自由に行動します。
この時間を利用して食堂で昼食を取りますが,一挙に人が詰めかけたため,食堂のおばちゃん はパニックに陥っていました。(ちなみに博士の昼食はピラフセットでした。)ここでダイナ ベクターさんが,先日の英国大使館での発表会の時に配られた,新型のパンフレットを配って いたので一部頂きました。写真の多いわかりやすい小冊子でした。
昼食後,おなかも落ちついたところでもう一回り皇居一周をし,3時過ぎに博士が会場を後に され,その後は流れ解散となりました。
私も4時過ぎに皇居前を,TCNのメンバーと共に去りました。TCNの2次会(自転車に乗 らない方)にも誘っていただいたのですが,自宅まで4時間以上かかることを考えると5時ま での新幹線に乗りたかったので,申し訳ないのですが辞退させていただき東京駅に向かいます。 来たときと同じ場所で今度はモールトンを分解し、切符を買いホームに向かいます。
タイミング良く4時38分の列車に乗れ,神戸まで座って帰ることができました。
新幹線の中でもまだ興奮がさめやらず,もらったパンフレットを眺めたり、撮ってきたデジカメ の写真を見たりで,一日を思い出しながら過ごしました。
モールトン博士にお会いでき、ニューモデルに試乗でき、大勢の方とお話しでき,色々な モールトンを見ることができ,とても素晴らしい日曜日でした。
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新神戸に着くと雨が降っていました。
軟弱者の私は,自宅前まで地下鉄とバスで輪行してしまいました。
9時過ぎに自宅に帰り着き,今日のイベントは総て終了しました。