「ピーター卿」シリーズを知るための最短コース(1) 2002/05/05
「ピーター卿」シリーズについて
セイヤーズ作品の中心はピーター・ウィムジー卿が探偵役として登場するシリーズです。他にモンタギュー・エッグの活躍するシリーズなどがあり、いずれも高い評価を得ていますが、セイヤーズといえばピーター卿。そのなかでも最高傑作の呼び名が高いのが『ナイン・テイラーズ』です。1998年、創元推理文庫からついに刊行されました。
ぜひご一読を!と薦めたいところですが、ものには順序があります。もし、あなたがまだセイヤーズ作品を読んでいないのなら、最短コースの作品は読んでください。レギュラー登場人物の性格もわかって、『ナイン・テイラーズ』を100倍楽しめることでしょう。
東風的おすすめ最短コースと、ロマンス的最短コースの2つを御用意しました。
最短コース(1) あるいは世界一の執事バンターを知るコース
1. 『誰の死体?』
まずはセイヤーズデビュー作から。ミステリ的にはいまいちですが、執事バンターファンには見逃せない一作。出だしから、バンターのすばらしさ満載です。
2. 『雲なす証言』
シリーズ第2作。ウィムジーファミリー大集合ですから押さえておきましょう。
ピーターの実兄が容疑者、さらに妹が自白して……と家族から容疑者続出、ピーターの親友の警察官パーカーの恋の行方も注目です。
3.『不自然な死』 または『五匹の赤い鰊』
『不自然な死』は、ピーター、パーカー、バンターの三位一体が楽しめる作品。地味だけど、個人的には好きな作品です。パーカーファンはお見逃しなく。バンター度も高いので、バンターを知りたいならこちら。
『五匹の赤い鰊』は、セイヤーズ評価の代名詞となる「文学性」を窺わせる作品で、シリーズの転機になっているようです。風景描写がすばらしい。シリーズを俯瞰したいならこちら。
4.『殺人は広告する』
セイヤーズ自身勤務経験のある広告代理店が舞台。この作品のピーターは……ナイショナイショ。事件の他に広告代理店の内情やクリケットにも詳しく、殺人事件を扱いながらも妙にたのしい作品です。
5.『ナイン・テイラーズ』
ピーター&バンターが旅行中に立ち寄った村の事件。傑作です、文句なく。
さらに旅先にあってもご主人さまが快適に暮らせるようにと気遣うバンターのすばらしさ。このあとはシリーズがピーターとハリエットの物語になりますから、バンターファンはこの作品をお見逃しなく!!
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