「かながわ新総合計画21」は、政策課題や時代のニーズに対応するため、県政運営の総合的な指針として、県民の皆様や市町村の方々のご意見をお聞きしながら、平成
9年1月に策定したものであり、そこでお示しした少子・高齢化の進展、経済や都市の
緩やかな成長、情報ネットワーク社会の到来など、21世紀の本県の将来方向を考えるにあたっての基本的状況に変化がないことから、計画の将来展望や実行計画でお示しした施策の基本的な方針について、変更する必要はないと考えております。
しかし、計画で見込んだ経済成長率が予想を大きく下回ることが見込まれており、事業計画の5ヶ年簡に見込んだ財源の確保がきわめて困難な状況です。
そこで、本年度予定しております計画のローリング(計画事業等の見直し)におきましては、計画策定後に生じた介護保険やダイオキシン、環境ホルモン等の新たな課題への対応とともに、計画に位置づけられた事業について、優先すべき事業の選択、事業の実施時期やテンポの調製といったことがポイントになると考えております。
2、5、6.について
「活力ある神奈川、心豊かなふるさと」を実現するためには、県土の均衡ある発展と県内外の多様な交流と連携による社会経済活動を促進する必要があると考えており、本格的な高齢化社会となる21世紀を控え、社会基盤の根幹となる道路網や鉄道
網の整備が急務であると考えております。
特に、第二東海自動車道(第二東名自動車道)や、首都圏中央連絡自動車道(さがみ縦貫道路)、国道246号バイパス(厚木秦野道路)、横浜環状道路、川崎縦貫道路などの県土構造の骨格となる自動車専用道路網を早期に整備することにより、交通
の流れを円滑にし道路環境を改善させることが肝要と考えております。
また、「かながわ交通計画」においても、増大する交通需要に対応するとともに「交流と連携の活力ある県土」の形成を目指し、鉄道網や骨格的な道路網をそれぞれの役割に応じて機能するよう位置づけており、今後ともその整備の着実な推進に努め
てまいります。
さらに、生活を取り巻く地球・自然・住環境に対する負荷の軽減に配慮し、交通需要の質的特性、交通機関の特性に応じた適切な交通機関分担や、みどりの保全等の周辺環境にも配慮した交通施設整備など、総合的な施策を展開していくことが必要であると考えております。
このため、これらの道路の整備にあたっては、自然環境に十分配慮した道路となるよう、取り組んでまいります。なお、第二東海自動車道や国道246号バイパスでは、事業者が学識経験者などの専門家からなる検討会を設置しており、オオタカの生
息状況等の調査を進めているところです。
3.について
丹沢山麓のオオタカ生息地を広くエリアとして保全していくための方策をとのご要望ですが、県では、第8次鳥獣保護事業計画(計画期間は平成9年度から13年度)を策定して鳥獣保護事業を進めており、その中で「オオタカなどの国内希少野生動植
物の営巣・繁殖地を特定鳥獣生息地の保護区として設定していくこと」としています。
したがって、オオタカの継続的な営巣・繁殖が確認されたときは、地元市町村や土地所有者、農業団体等の関係機関の意見を聴くなどして、鳥獣保護区の設定について検討してまいります。
4.について
「丹沢のブナ枯れ、大山のモミ枯れに現東名や国道246号などの自動車の排気ガスがどの程度寄与しているのか、調査すること」とのご要望に対してお答えいたします。
本県が平成5年度から4ヶ年計画で実施した丹沢大山自然環境総合調査の一環として、檜洞丸山頂部のブナの立ち枯れが目立つ南斜面と、比較的健全な北斜面に調査区を設定し、各種の気象要因等の分析を行っております。
その結果は、「南斜面では、酸性イオン濃度のより高い霧が発生する傾向があり、植物の生理活性に対する影響度の強いオゾンの濃度が高い傾向にあること」、「酸性イオン濃度の高い霧は多くの場合、首都圏の汚染物質が北東風北東風によって相模湾
に移送された後、南風によって山域に運ばれた可能性があること」、「現時点では、山地のブナ・モミ・ウラジロモミなどの立ち枯れの主因は、首都圏の広域的な大気汚染にあると推定されること」等が、丹沢大山自然環境総合調査報告書によって報告さ
れております。
この調査を受けて、具体的にどのような大気汚染物質がどのようなメカニズムで、丹沢のブナに影響を与えているのか、さらなる調査が必要と考えまして、平成9年度から、檜洞丸頂上において大気汚染関係と気象関係のモニタリング調査を継続して実
施しているところです。
ご要望の点については、前記のモニタリング調査を委託している専門家に相談したところ、「ブナやモミの立ち枯れに現東名や国道246号などの自動車の排気ガスが、どの程度寄与しているかを解明することは非常に難しいが、ブナの立ち枯れ等に
影響を与えている大気汚染物質が解明されれば、大気汚染対策の範囲もある程度絞られてくるだろう」とのことでした。
いずれにしましても、まずは、ブナの立ち枯れ等の原因を解明することが必要でございますので、その解明に向けて、モニタリング調査を継続してまいりますので、ご理解をいただきたいと存じます。
7.について
「箱根ポーラ美術館建設」に関する「国民の財産を守るという観点から、慎重な対応を求む。」とのご要望に対してお答えいたします。
わが国の公園制度は、ご承知のとおり地域指定制度となっており、公園区域の中には民有地が多く含まれています。当該地は、自然公園法の第二種特別地域であり、一定要件のもとに開発が認められている地域であります。
このため、県としては可能な限り自然環境の保全に配慮された建設計画となるよう環境影響評価条令や自然公園法の手続を通じて指導しておりますので、何卒ご理解をいただきたいと存じます。
8.について
二重投資とのご指摘がありました相模大堰につきましては、神奈川県内広域水道企業団が進めている相模川水系建設事業(第1期)の基幹施設であり、長期的には引き続き増加傾向にある県内の水需要に対応し、また、水道施設の多系統化を図り安定給水体制を整備する上からも、是非とも必要であると考えています。
なお、この事業の主体は神奈川県内広域水道企業団でありますので、資金の回収は同企業団が行うことになります。
9.について
県は、産業廃棄物対策の総合的、かつ計画的な推進を図るため「第4次神奈川県産業廃棄物処理計画」を策定し、これまでの排出された廃棄物の「適正処理」という施策から、再利用・再資源化、減量化の促進に加えて、廃棄物の発生・排出抑制と環境
への影響に配慮して事業活動の各段階における廃棄物化の回避に自主的に取り組む「発生源自主管理」へと施策を発展させ、産業廃棄物の最終処分量を減らす施策を進めています。
このような施策により、資源循環型社会への転換を促進し、最終的には廃棄物が「ゼロ」となる社会を目指していますが、一朝一夕に達成することは困難であり、当面は最終処分をせざるを得ない状況にあります。
そのため県は、公共関与により、十分な安全対策、防災対策を講じるとともに、それを住民の方々が検証できるような積極的な情報公開や住民参加を含む監視体制を整備した、安全性のモデルとなる最終処分場を建設することで、民間施設の設置促進を
図るとともに、適正処理の確保のためにも緊急補完的役割を果たすことを目的として、当該事業を計画したものでありますので、地元の方々のご理解が得られるよう努め、事業を進めてまいります。
10.について
都市における緑地の保全については、重要な課題として地元市民の意向を踏まえながら、その協力のもと必要な対応に努めてまいります。「カーリットの森」についても、横浜市の対応を見守りながら、具体的な提案があれば、対応してまいります。
11.について
公共事業の再評価システムは、公共事業の効率性及びその実施過程の透明性の一層の向上を図るため、5年間以上未着工の事業や10年以上計おz駆虫の事業など一定要件に該当する事業に関し、事業の進捗状況や事業を巡る社会情勢の変化などの視点から再評価するものです。再評価に当たっては、第三者から構成される公共事業再評価委員会を設け、意見を聴くこととし、意見は最大限尊重し、対応を図ることとしております。このシステムは、まだチ緒に着いたばかりですが、今後とも継続実施し、その目的を果たしていけるように努めたいと考えています。
以上