1997年度 丹沢クリーンハイク結果

再生 丹沢を緑豊かな山へ

−丹沢クリーンハイク報告−

 丹沢大山の登山者(だけではない!)によるゴミの投げ捨てによって、緑豊かな丹沢
は、「ゴミの丹沢」に変質しかねない状況にある。この丹沢のゴミに挑戦しているの
が、丹沢クリーンハイクである。
  97年度クリーンハイクは、5月25日、前日の悪天にも関わらず243名が参加
し、1098.3トンのゴミを回収した。主催者ながら、参加者の熱意にはいつも感激
する。

−丹沢のゴミ事情−

 91年から97年まで7.5トンのゴミを回収してきた。¥0=D1は『林道のゴミ』で ある。今回は、林道の入り口に、トイレの便器から始まって、漫画本の山やエレクトー ンが捨てられていた。生活用品から産業廃棄物まで何でもありで、車で捨て去っていく。  次は、『山小屋の廃材』。丹沢には廃業した小屋が数多くある。そのいくつかは、小 屋の廃材をそのまま放置している。クリーンハイクでは、7年間にわたり表尾根の二ノ 塔、三ノ塔のトタンやドラム缶、角材、鉄製のゴミ箱などの大物と格闘している。「か けや」や「金切りバサミ」で背負いやすい大きさにして、一人5〜20Kを下ろす。今 まで、下ろした量は1.5トンになっている。あと2〜3年はかかるだろう。手を染め たから頑張ろうと言い合っているが、行政がやってくれるなら、喜んで渡したい。  『山小屋のゴミ』。えっと、思われるだろうが、山小屋のゴミは、沢に投げ捨てられ、 次に埋められた経過がある。小屋の裏など古いカンや割れたビンなどがざくざくである。 新大日小屋や尊仏山荘近辺には、ゴミが層をなしている。誰かが、「夢の島状態」と呼 んだ。塔ノ岳・オバケ沢は、2年間で800Kを回収したが、足場の悪さやゴミが危険 な状態で、今は中止している。各山頂やピークで、昔埋められたゴミが、表土に現れ出 たのに気付かれた方もおられるだろう。掘り返したら、山が低くなるかもしれない。

−行政は本腰を入れた取り組みを−

 このように丹沢クリーンハイクは、登山者の捨てたゴミの回収と啓蒙などという活動 をはるかに越えたものとなっているのである。  93年度より、県主導の丹沢大山クリンピア21に加盟しており、ゴミ袋・軍手など のグッズと清掃車の手配など、行政よりの協力はある。が、深刻な丹沢ゴミ問題を真剣 に考えるならば、行政は、もっと本腰を入れるべきである。県の自然保護課と、2回、 話し合いを持った(96年11月、97年2月)。担当者が現地視察に行き、新大日小屋に事 情を聞いたり、9月には登山道補修用ヘリをゴミ下ろしに利用するなどの提案をしてき ている。必ず実施してほしいし、県として丹沢の環境保全に対し、具体的な対策をきち んと示すことを更に要求していきたい。

−泥だらけの天使ー

 丹沢の自然を守る力の一つは、登山者にあることを大いに自覚して、クリーンハイク を始めとする活動にこれからも取り組んでいきます。皆さんの知恵と力を借りて、県民 、首都圏の住民の関心を呼ぶ創意あふれる運動を展開していきます。毎年、5月の最後 の日曜は、丹沢で、大いに汗を流しましょう。我々は、汗と泥とゴミにまみれた天使で す。    (神奈川県勤労者山岳連盟 磯部 津輝子)

丹沢クリーンハイク 参加者とごみ回収量

1991年度1992年度1993年度1994年度1995年度1996年度1997年度
参加者487人169人219人248人199人372人243人
回収量1217.15Kg822Kg722Kg778Kg953Kg1905.6Kg1098.3Kg