巻頭言  コロナ禍二年目の野外活動部

 顧問 熊野谿 寛

 

 コロナ禍元年の昨年、あらゆる活動が抑圧された。春合宿の中止から始まって、学校そのものが夏までオンラインとなり、ようやく夏明けに学校はほぼ通常モードに復帰したものの、部活の中心となる合宿は結局一年間できなかった。それどころか、皆で鍋をつつきあうことも、BBQの肉を奪い合う事も、群馬に雪合戦をしに行くことも、およそ野活らしいことはことごとく「ダメ」となった。3月に湯河原のハイキングに行って、帰りに希望者だけでも温泉に行ったのが、久しぶりの部活動だった。

 コロナ禍二年となった今年、新学期を迎えての野外活動部の案内に「正直に言って、入部をおすすめできません」と書いた。なにしろ、合宿はダメ、県外に行くのはダメ、あれもダメ、これもダメなのだから。「一人で、家族でならば推奨され、少なくとも可能なことが、多人数だと、学校だとダメとなっている」中で、果たして部活にどんな意味があるのだろう。

ところが、それでもなんだかたくさんの中学生が入部してきた。コロナ禍の中で、「自粛生活」への反動として家族でキャンプや山に行く人が増えているのが、反映したのだろうか。それも「釣りは自分でやっている」とか、「家族でキャンプに行くのが好きだ」とか等の、一応の経験者が多い様だ。また、「ゆるゆる部活」を求める流れは今年も健在のようだ。

さて、何ができるかと考えて、「飯は自分で作る」「一人でキャンプできるようになる」事をめざして、ダイソーでメスティンを買っての「ご飯炊き」から始めて、夏は県内でのデイキャンプ練習会を企画した。当日の天気が怪しく、校内での飯づくりの実施となったが、まあ、それなりに野活らしいことのサワリばかりはできたかと思う。また、夏休み明けにまたまたオンライン期間があったが、コロナも落ち着いた11月の創立記念日には丹沢にハイキングに出かけた。

しかし、そうは言ってもやはり合宿ができなければ野外活動部の存在意義は無いに等しい。ようやく高校生だけが合宿可能とされることになったのだが、さて、春休みに無事に二年ぶりの合宿を行えるのかどうか、すべてはコロナ禍のご機嫌次第である。

という訳で、活動そのものがロクにできないために、今回も大した展示はない事はご容赦いただきたい。

かくいう顧問の私も、コロナ禍もありすっかりクライミングをサボってしまった。今年は年間40日位は山を散歩しているが、本来の領域である「岩」や「氷壁」「雪山」を登るのにはしっかりトレーニングしないと、つまらない所で命を落としかねない。定年・再雇用二年目の歳にして、さてもう一度、基本の訓練と身体づくりをどうするか、に悩ましい最近である。