巻頭言 コロナ禍時代の野外活動部

顧問 熊野谿 寛

 

 コロナ禍に翻弄される世界と日本の中、アウトドアが人気らしい。特に「ヒロシです」の影響か、山を買って誰もいない所でキャンプするのが流行とも聞く。山を買っても50年・100年と手入れできるのか、孫子の代までどうするつもりかな、と言う疑問もあるが、ひとまず誰もいない所でのんびり、マスクなんてしないで暮らしたい、という気持ちは分からなくはない。

しかし、これが学校部活の野外活動部となると、「できないこと」ばかりとなる。校内で調理実習と称して「望年会」を開催して皆で鍋を囲むのは、当然ながらご禁制。皆で奪いあい、人のかじった肉だろうと構わず奪い合う事が必然であるBBQは論外。テントでゴロゴロと転がってもつれて寝るのもダメ。焚火を皆で囲んで焼き芋やマシュマロを焼くのもNG…という事になる。

そこで「各自がテントを設営、横並びに座って各自が炊事をして、個々で寝る」という究極ボッチキャンプの集合体での合宿ならばできるかな、と考えた。アマゾンに3000円程度で売っている安い個人用テントでも一泊位は持つ。東京湾の臨海公園あたりのキャンプ場ならば安いし、広いし、釣りもできる。テントが買えない奴はブルーシートでテントを仮設する練習をしてやれば…と実際に校内で設営してみた。冬は寒いが秋休みならば…と考えた。でも、これも学校にお伺いを立てると、「まだ時期尚早」と却下。ようやく学校がフルバージョンになった段階だから無理もない。

しかし、こうなるとできないことばかりで、「果たしてなにができるの??」という事になる。サイクリングが可能なのだが、最近は何故か実施するたびにヒヤリハットというよりも小さいが事故が起きるので、あまり計画したくない。昔の部員たちは、学校的には限りなくアブナイ奴が多かったが、生命力と適応力だけは強かった。今どきはそんなにアブナイ奴はいないのだが、どうも生命体としてアブナイ奴が多い…。

そこで、秋休みに江の島で日の出をめざしたミッドナイトウォークを計画したが、こちらもコロナ禍休校で秋休みが消滅したので無理となった。後に残るは、釣り、夜釣り、日帰りのハイキング、日帰りの雪合戦、サバゲー、果てはアウトドアでのゲーム大会くらいしか浮かんでこなくなった。最大の活動である合宿なしに、果たしてこの部が存在する意味があるのだろうか。個人や友人数人とならば、もっと気楽に、いろいろな事ができるに違いないのだが、「学校」という限定ではできないことばかりとなる。

それなのになぜか今年も中学1年生が結構な人数で入部してしまった。えーい、なるようになれ!! というのが目下の部活の現状である。これはもうバンザイならぬ、お手上げかも知れない。

そんな訳で、活動の写真もあまりない、活動の実態もあまりない、それでも部長君や部員諸君が「ともかく学園祭は参加する」というので出ることになった、という中身のない企画である。すべてはコロナ禍と神様の思し召しであろうから、どうぞご容赦あれ。これはもう、インシャラー!!と叫ぶしかなさそうだ。