今年のお題 

「もしも、一カ月のアウトドア特別休暇が与えられて、お金も100万円くれたら、どんな場所に行って、どんな事をしたいか」

顧問 熊野谿 寛

 

「いい加減ネタ切れだろう」と思いつつ、今年はこんなテーマを思いついた。100万円は部員諸君にはかなりの大金だが、もちろんエベレストの登山料には足下にも及ばない。30日間で100万円というと、実は一日3万円と少しなので、そう贅沢でもない(そんな事は無いかな)と思う輩もいるかも知れない。

さて、そうお題を出してみて、私は…と考えて、ハタと困った。今年はともかく山にも行けていない。岩もろくに触っていない。夏に熱があるのに合宿の引率でムリをして寝込んで、その後も咳が止まらずに9月まで棒に振ってしまった。100万円、1ヶ月か…。さて、何をしようかなぁ。

とりあえず季節が無雪期ならば、一ヶ月、ぼろ車に山道具やその他を詰め込んで、旅に出よう。北海道から九州までを旅しながら、のんびり山をまわることにしよう。旅のお供には、無線機器を担いでいく。最初にフェリーで北海道に行くのが良い。

北海道は、トムラウシにクワウンナイから登ってみたい。山頂からマイクロ波の電波でテレビジョンの画像を送るのも、相手さえ見つければ楽しいだろう。夏前ならば、日本海を望む場所に陣取って、「日本海ダクト」による異常伝搬での長距離交信にチャレンジする。日高や知床の山も魅力的だが、別に全部を登ろうなんて考えたら、北海道だけでも1ヶ月では時間が足らない。だから、一つか二つ、気に入った山を登って、あとはのんびり回るのだ。

同じように、東北で和賀岳、日本海側で飯豊の山を何日かなんてやっていたら、きっと新潟まで降りてこないうちに1ヶ月が過ぎてしまうだろう。時間節約には太平洋側は外して、日本海側をずーっと南下しながら山に行くのが良いかも知れない。加賀の白山、鳥取の大山、そして広島の恐羅漢と山に行っては、日本海の幸を食べに降りて、温泉に入ってからどこかで気楽にテントで泊まる旅がよさそうだ。

一方、積雪期だとやりたい事は多いのだが、北海道等は真冬はなかなか手強い。そもそも真冬を外してもちゃんとした相棒がいないと積雪期は手が付けられない。ここは中部山岳とその周辺に絞って、じっくりと山に向かい、降りてきたら温泉宿で湯に浸って、それからまたまた山に行くのがよいかも知れない。春は3月から4月頃が一番楽しめそうだなぁ。ここに1ヶ月の休暇が取れるのが、一番の夢だ。雪稜の雪が堅く締まって、日も長くなるので行動しやすい。まさに雪山が一番楽しめる時期なのだ。

だが現実には、3月から4月は学年末・新学期でおまけに春闘やらなんやらもあるので、とてつもない日々が続く。夢と現実はあまりに違いすぎる。やれやれ、今年もやっぱりため息しか出てこないお題になって仕舞ったようだ。