巻頭言 久しぶりの八丈島

 

顧問 熊野谿 寛

 

 この夏、久しぶりに夏合宿で八丈島に出かけた。台風で合宿が中止になって以来、「八丈島に行きたい」と言う意見が出ても、「合宿できなくなるじゃん」と外された。ほとぼりが冷めて八丈島に…という事になったのだが、実は島に入った日に台風が発生、あと一日遅い日程だったら途中で切り上げて帰らねばならない所だった。

さて、竹芝桟橋から11時間も乗る船は、すっかり模様替えしていた。以前は大部屋に雑魚寝だったと思うのだが、今は二等和室も小部屋に区切られ、各自のスペースもはっきりした。冷房がメチャクチャ効いて震え上がった以外は、実に快適だ。船の予約も以前はすぐに満席になったのだが、43名という大所帯でもすんなりと予約ができた。そうだ、八丈島は311の後、福島第一原発事故によって汚染水が海洋に流れたという事で、「関東の沿岸は危ないけど、八丈まで行けば安全だ」と人が流れ込んだ時期だったのだ。確か2014年の時も予約が大変だったのだが、そちらの方の心配も薄れて、八丈島から人の足も遠のいたのだろうか。考えてみたら、今の中学1年生は311の記憶があいまいだ。時が過ぎるのは当然だが、何か大切なことを伝えられていないのではないか、と改めて考えざるを得ない。八丈島で「自然エネルギー100%の島」のキャッチもどこにも見なかった。これはいったいどうしてだろう。誰かに都合が悪いのかな??

以前は混雑していたキャンプ場も、町役場に申し込んだ時に「そんなに混んでいませんよ」と言われた通りで、広々と使うことができた。キャンプ場に毎日、顔を出して面倒を見てくれた「仙人」に会えなかったのは残念だったが、島の人が「暑くて変形してパンクしてしまう」と出荷できなくなったメロンを大量に差し入れてくれ、デイキャンプのスイカ割で残った大きなスイカを二つも下さったり…島の人たちの厚情は変わらなかった。なるほど、変わったのはきっと私たちの方に違いない。

さらに残念なことは、41名参加と人数が多すぎてサイクリングもできず、「あそこが釣れるよ」と言った場所に行かずに坊主の部員が多かったことだろうか。はっきり言って、今の人数では部活動としての意味が半ば果たせない。今年は高校2年生たちが多く、かつ頑張ったから何とかなった。しかし、来年は今のままでは見通しが立たない様にも思う。まあ、もう先のことを考えても仕方がないのだけど。最後にサバイバルな本流に活動を戻していかないとダメかな、そうすると何人残るかな、などとも思う昨今である。