巻頭言 島と野外活動部

顧問 熊野谿 寛

 

 この所、野外活動部の夏合宿は「島」で行うことが続いている。去年の八丈島に続いて、今年は瀬戸内海・小豆島にキャンプした。

「島」の魅力は、なんと言っても「良く釣れる」という事である。八丈島では、「これ、熱帯魚?!」と迷うブダイに始まって、アジのお仲間がまさに入れ食いだった。海の真ん中に島があるのだから、釣れて当然、という事なのだろう。ちなみに見かけは熱帯魚でも、ブダイも食べればなかなかの美味である。

 今年の小豆島の場合も、キャンプ場のすぐ前で一投げすれば、中型から大型のキスが釣れた。おかげで、朝釣りで釣れた者は、朝食から「天ぷら定食」を食べられた。もちろん、寝ていたり、釣れなかった者には、豪華野菜付御飯・みそ汁定食となる。(食べきれないほど釣れたら、ヒトに上げても良いのだが・・・)さらに、瀬戸内海は、ベラやカサゴが目立った。カサゴも唐揚げにするとおいしいのだが、針を外すのには神経を使った。

 しかし、野活で「島」が好まれるもう一つの理由は、「お店がすぐある」とか「買い出しをしないで行ける」という所にあるようだ。八丈島だと、ともかく物がすぐに腐るので、毎日の八丈ストアへのお買い物は欠かせない。ここに行けば、名物の「島寿司」だって売っており、まあ無い物はない程の品揃えで、しかも安い。アイスもあれば、飲み物もよし・・となる。

 その点では小豆島は違っていた。何しろ、キャンプ場のあった小部には、小さな百円均一コーナーを昼間だけやっている以外は、お店というものがない。部員の下調べでは、徒歩30分ほどの大部にマーケットがあるとの事で、買い物に行った。しかし、そこは小さな万屋さんで、人数分のパンを買うことも無理。さらに、お値段も高めだった。翌日に法務局などもある港のあたりに行ったら、とても巨大なスーパーがあったのだが、そこまではバスで片道数百円かかる。だいたい小豆島は、一周すれば100キロ近くになる。同じ「島」でも、八丈島とは大きさが違ったのである。なるほど、島の中でも過疎があるんだ。

 その小豆島でバスに乗ったら、あちこちに山が削られた跡があった。「採石場ですか」と訪ねて、「関西空港を作るために土砂を持って行ったのさ」との話に驚いた。そう言えば、姫路からのフェリーからも山の半分くらいが削られた島が見えていた。神様でもないのに、人間は何でもやってしまおうとするのだ。

 ところで、「島」と言えば「無人島」がブームである。できることならば、「無人島でサバイバル合宿」というのも面白いだろう。だが、実際には無人島にも地主さんがいるのがニッポンの現実だから、勝手に使うわけにはいかない。それにお店がないとキャンプできない様では、無人島から買い出しツアーに出かけることになりかねない。足となる船の問題、何よりも生活に欠かせない水の確保が問題だ。さらに、この何かとウルサイご時世に、部活で無人島合宿などと言ったら、きっと問い合わせの山で嫌になってしまうかも知れない。それでも、素敵で安全な無人島があったら、ぜひとも行ってみたいとは思う。別に「大きなエモノをトッタドー!!」と叫ばなくてもよいのだが。

 今年は、久しぶりに中一が大量に入部してくれた。上級生からは、気の知れた部員たちでこじんまりと出かけていたのとはエライ違いで、何をやっても「人数が多いなぁ」「小回りがきかないな」とボヤキの声が聞かれる。まあ、人数が多いからこそできること、という奴も何かあるのだろうから、「大きいことは良いことだ」と言える何かが見つかることを願っている。