前回のまとめ

前回の講義では、ジョナサン・クレーリーの『知覚の宙吊り』という著作に基づいて、一九世紀後半のマネの作品を検討した。たとえば＜フォリ・ベルジェールのカフェ＞においては、鏡の前に立っている女性が位置している空間は、奇妙な歪みをもった遠近法に基づいて表されている。これはルネサンス以来の一点透視画法以後の時代における、。「無限で連続的で等質的な空間」つまり幾何学的に測定可能な合理的な空間に歪みを与えるような空間である。同時に「見る主体」の位置も、ゆらぎをはらんでいる。

クレーリーの著作は、このような空間が、当時の文化およびテクノロジーと密接な関係を取り持っていることを明らかにしようとしている。芸術は、それが生まれるテクノロジーとどのような関係を持っているのだろうか。

（以下は前回のレジュメも参照。以下ではキーワードを中心に整理しておく）

・ 「注意」概念の規範化

・ 身体化された知覚＝「無意識の知覚」の取り込み

・ つねに散漫になろうとする視覚のコントロール

・ スペクタクルに魅せられた視線をとらえること

・ 電話などのテクノロジー

・ ヒステリー的身体：拘束されながら分散する知覚

・ マイブリッジの連続写真

スーラの点描

・知覚の改造。