ドゥルーズの時間論
木村のまとめ
- 能記的自己=まとまりとしての自己、ノエマ的自己、他と区別された自己。空間的。自己同一性。
- ベルグソンの「純粋持続」、個別化以前、自己以前の根源的で無限定な自発性。無限定なノエシス的自発性。非時間的な無意識。
- 無限定な自発性の自己限定のプロセス。今と非現在との差延。自己の内的差異としての時間
-
ドゥルーズへ Deleuze, Gilles 1925-95
著作
- 「差異と反復」1968
- 「ニーチェと哲学」1962
- 「プルーストとシーニュ」1964
-
- 「アンチ=オイディプス」1972
- 「千のプラトー」1980
- 「意味の論理学」1969
- 「シネマ」1983,85
- 「襞」88
- 「哲学とは何か」91
●ベルグソン論
- ー「持続」流れとしての実在
- ー直観=流れとの一致
- 「意識に直接与えられたものについての試論」
- 神秘主義、非合理主義?
ドゥルーズの解釈(「ベルグソン哲学」法政大学出版局)
- 1)方法としての直観。直観とは神秘的な合一ではなく、用意周到に練り上げられた方法である。
- 2)時間。質。分割されると質が変わるもの。相互浸透する流れ。新たなものの創出。予測不可能性。潜在的。主観的。それにたいして程度の差異(=空間。量)は、分割されても質が変わらない。固定。
- イマージュ=光に満ちあふれた実在。それが光学的に屈折して、有用な経験へと折れ曲がっていく。
- 微分と積分の比喩。
- virtual なもの=微分的にdifferentiation
されているが、それが顕在化していない。
時間のパラドックス
1)飛躍のパラドックス
- ・ベルグソンの持続は一般には連続体とかんがえられる。しかし、そうした連続体は、さらに深い非連続性をはらんでいる。
- ・「そこ」に知覚する。過去性のしるしを持っている「過去一般」への飛躍。
- ・過去一般は「存在論的なエレメント」=特定の現在が「過ぎ去る」ための媒体。
- ・immemorial な記憶。
- ・意味の超越。まず我々は意味一般に飛躍する。それがやがて生理的に知覚される音に顕在化。そして同時にイマージュが生じる。
2)現在と過去の質的差異
3)現在と過去の共存
- ・過去は現在と「同時」に作られる。ドゥルーズ的な現在の特権の批判。
- 現在という瞬間は、知覚と記憶に二重化していることによってのみ、現在という瞬間たりうる。
- 過去は「潜在的」。
- 純粋記憶は、virtuel
で非活動的で無意識的
4)収縮と弛緩(心的反復)
- ・過去全体が現在と共存する
- ・過去はおのれを保存する。(持続には入力も出力もない)
- ・記憶とは潜在的共存(空間的な性質)
- 潜在的反復=私たちの過去は、それが描き出すあらゆる水準において、同時におのれを取り上げ直し、おのれを反復する。
- ・反復でありながら、新たなものを作り出す。
まとめ
- 1)ドゥルーズのいう潜在的多様体とはなんだろうか。
- 2)実在のarticulation
=潜在的なものは、differencie されているが、differentier
されていない。
- 3)運動という質的変化。運動は動体を前提しない。
- 4)内的差異はヘーゲル的な矛盾でも否定性でもない。
- 5)色の比喩
-
virtuel とactuel
- ベルグソン自体は、POSSIBLE
という概念を否定。
- 可能的なものは、回顧的錯覚。可能性は実在に先立つものでも、それを支えるものでもない。可能性のほうが実在性よりより多くのものを含んでいるのではない。それは、行為がなされたあとで回顧的に生み出された「幻想」である。
- 必然的ー可能的の対立は誤り。予見不可能で自己根拠的な時間の自己産出。
ドゥルーズの記憶論(「差異と反復」319-
- - POSSIBLE-REEL
- - VIRTUEL-ACTUEL
潜在的なものとしての記憶。(L'ELAN VITAL COMME
MOUVEMENT DE DIFFERENCIATION)
- ・VIRTUEL は実在性を持つ。
- LE POSSIBLE = SE REALISE
(類似と限定の規則にしたがう)ある可能性が排除される。否定的な作用。
- LE VIRTUEL = S'ACTUALISE (
差異と逸脱、創造)。ACTUALISATION
の線を創造する。問題を解決するため(逃走線)。肯定的な作用。差異化しながら顕在化するもの。
- なぜこのような区別をするのか?=可能的なものは誤った概念。可能的なもののなかですべてが与えられているという幻想。回顧的な錯覚。
- 進化はVIRTUEL からACTUEL
に進む。前成説と後成説。
- 前成説のあやまり=POSSIBLE
- 後成説の誤り=差異化を純粋に偶然なものと考えること。しかしそれがなぜ進化の動因になるかは説明できない。
- (1)生の差異は内的な差異である。
- (2)それは分離と分割によって働く
- (3)分割線。潜在的な多様体。
- 生のはずみ=本性からして分割し、差異化するような統一体。生命の多様性。
- 潜在的なものにおける差異と反復はACTUALISATION
- ドラマ化