科目名:現代文化研究 担当教員:廣瀬浩司
I. 主旨
デリダ研究入門。フランスの思想家ジャック・デリダの思想を具体的なテクストをとおして理解し、その現代文化にたいする意味や、応用可能性をさぐる。なによりもデリダを「読めるようになる」のが目的。
II. 内容
人数などにもよるが、1学期は原則として下記教科書・廣瀬浩司『デリダ──きたるべき痕跡の記憶』(白水社)『を手がかりに、デリダの思想の概要を講義する予定。(詳しくは開講時に指示する)。
2学期以降は具体的なテクストの読み方を学ぶことを中心とし、一部演習方式も組み込んでいきたい。
出席者の関心によってテクストを選定し、芸術、文芸批評、フェミニズムその他の分野との関係づけもおこなってもよい。多様な関心からの問題提起を期待したい。
III. 評価方法・基準
出席点を加味し、学期末のレポートまたは発表による。
IV. 参考文献
廣瀬浩司『デリダ──きたるべき痕跡の記憶』(白水社)
その他参考文献:
『知の教科書 デリダ』(講談社メチエ)
高橋哲哉『デリダ』(講談社)
長滝祥司編『現象学と二十一世紀の知』(ナカニシヤ出版)
「特集デリダ」『現代思想』2004年12月号(詳細な年表と著作目録あり)。
上利博規『デリダ』(清水書院)
斎藤慶典『デリダ──なぜ脱構築は正義なのか』(NHK出版)
カプート編『デリダとの対話』(法政大学出版局)
『デリダ、脱構築を語る』(岩波)
おもな「デリダ的」テーマ
・言語とはつねにすでにエクリチュール(文字)である
・現実でも虚構でもない出来事の痕跡を証言すること
・みずからを消し去りながらみずからを反復する
・生は死である。
・内部と外部のねじれに通過するもの
・補いとしてある余計者
・無以下であると同時に無以上のもの
・自然はみずからを非自然化する。
・祭の前と後の境界
・狂気を「野生の状態」で語らせることは可能か
・全体的な狂乱の経験
・決定の瞬間は狂気である
・人間は死んだのか
・テクストは見えない
・折り畳まれる余白
・「芸術作品」の内部と外部を軋ませる「枠」
・オリジナルとモデルの間の亡霊
・死体なき殺人
・読めるからこそ読めない
・絶対的歓待か、条件付きの歓待か──移民問題
・あたかも外から来たかのようにして、中から入る
・歴史的証言の不在と秘密の保持
・贈与は何も与えない
・けっして分かち合われないものを分かち合うこと
・「宗教の回帰」とは?──救済論の彼方に